JP2018123065A - インスリン分泌促進用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なインスリン分泌促進用組成物の提供。
【解決手段】本発明によれば、ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含んでなるインスリン分泌促進用組成物であって、ホエイタンパク質加水分解物がジペプチドを含み、前記ジペプチドが、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される1種又は2種以上である組成物が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によれば、ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含んでなるインスリン分泌促進用組成物であって、ホエイタンパク質加水分解物がジペプチドを含み、前記ジペプチドが、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される1種又は2種以上である組成物が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明はインスリン分泌促進用組成物に関する。
現在の日本は「糖尿病大国」の1つであり、2012年の厚生労働省の「国民健康栄養調査(平成25年)」によると、日本の糖尿病有病者とその予備軍は約2050万人と推計されている。日本では糖尿病患者の約95%は2型糖尿病の発症者であり、その主な発症の要因としては、暴飲暴食、運動不足、肥満及びストレスなど生活習慣の乱れが関わっているといわれる。
2型糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法により血糖値をコントロールすることである。これらの療法によっても治療効果が十分でない場合には血糖降下薬やインスリン製剤といった薬物療法の併用が必要となる。このような糖尿病の薬物療法は長期間継続して行う必要があることから、長期間にわたって服用しても副作用の懸念がなく、安全性が高い薬剤の開発が期待されている。
このような薬剤としては、乳ホエイタンパク質を有効成分として含有するグリコーゲンの貯蔵促進に用いられる組成物(特許文献1)や、ペプチドを有効成分として含有する、グリコーゲンの貯蔵を促進する組成物(特許文献2)がこれまでに報告されている。
本発明者らは、糖尿病の予防や治療方法の充実の観点から、インスリンの働きを調節する食品や医薬品に着目し、鋭意研究を重ねた。その結果、ジペプチドを含有するホエイタンパク質加水分解物にインスリン分泌促進作用があることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
本発明は新規なインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含んでなるインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤であって、ホエイタンパク質加水分解物がジペプチドを含み、前記ジペプチドが、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される1種又は2種以上であるインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤(以下、「本発明の組成物及び用剤」ということがある)。
[2]ジペプチドが、
(1)Ile−Leuと、
(2)Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、及びIle−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチドと
を少なくとも含む、上記[1]に記載の組成物及び用剤。
[3]食後の血中インスリン濃度を高めるための、上記[1]又は[2]に記載の組成物及び用剤。
[4]前記組成物を摂食前に摂取させるか、又は投与する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[5]前記組成物を2型糖尿病患者又は糖尿病予備軍へ摂取させるか、又は投与する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[6]一食あたりの単位包装形態からなり、該単位包装形態中に、ホエイタンパク質加水分解物を一食摂取量として総タンパク質含量換算で1〜40g含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[7]食品組成物である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[1]ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含んでなるインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤であって、ホエイタンパク質加水分解物がジペプチドを含み、前記ジペプチドが、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される1種又は2種以上であるインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤(以下、「本発明の組成物及び用剤」ということがある)。
[2]ジペプチドが、
(1)Ile−Leuと、
(2)Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、及びIle−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチドと
を少なくとも含む、上記[1]に記載の組成物及び用剤。
[3]食後の血中インスリン濃度を高めるための、上記[1]又は[2]に記載の組成物及び用剤。
[4]前記組成物を摂食前に摂取させるか、又は投与する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[5]前記組成物を2型糖尿病患者又は糖尿病予備軍へ摂取させるか、又は投与する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[6]一食あたりの単位包装形態からなり、該単位包装形態中に、ホエイタンパク質加水分解物を一食摂取量として総タンパク質含量換算で1〜40g含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[7]食品組成物である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
本発明によれば、ホエイタンパク質加水分解物を有効成分とするインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤が提供される。本発明の組成物及び用剤に含まれるホエイタンパク質加水分解物は、長年食品の原料として用いられていきた乳タンパク質を利用するものであることから、本発明の組成物及び用剤は、長期間にわたって継続的に服用しても副作用の懸念がなく、安全性が高い点において有利である。また、ホエイタンパク質は、通常、ナチュラルチーズの製造過程のうち、原料乳の凝乳過程の後に排出され、廃棄されて産業廃棄物となるものである。本発明の組成物及び用剤に有効成分として含まれるホエイタンパク質加水分解物は、この産業廃棄物となるホエイを再利用して原料とすることができることから、環境面や経済面においても本発明は非常に有利であるといえる。
本発明の組成物及び用剤の有効成分であるホエイタンパク質加水分解物(以下、「本発明のホエイタンパク質加水分解物」ということがある)は、乳清ペプチドともよばれ、原料となるホエイタンパク質の全部又は一部を加水分解していれば、その手段及び/又は方法において、特に制限はない。本発明に用いられるホエイタンパク質は、分離や精製されたホエイタンパク質であってもよく、ホエイタンパク質とカゼインタンパク質とを既に特定のタンパク質量比で含んでいる原料や飲食品(例えば、乳タンパク質混合物など)を用いることもできる。
分離や精製されたホエイタンパク質には、例えば、ホエイの原液(甘性ホエイ、酸ホエイなど)、その濃縮物、その乾燥物(ホエイ粉など)、その凍結物など、及び、これらの還元溶液などを用いることができる。さらに、脱塩ホエイ、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質精製物(WPI)、α−ラクトアルブミン(α−La)、β−ラクトグロブリン(β−Lg)、免疫グロブリン、ラクトフェリンなど、及び、これらの還元溶液を用いることができる。また、ホエイタンパク質を含んでいる原料や飲食品には、例えば、生乳、殺菌乳(牛乳など)、脱脂乳、成分調整牛乳、加工乳、乳製品(濃縮乳、粉乳、練乳、発酵乳(ヨーグルトなど)、乳酸菌飲料、プロセスチーズ類、アイスクリーム類、クリーム類)及び乳タンパク質濃縮物(MPC)並びにそれらの濃縮物、それらの乾燥物、それらの凍結物などを用いることができる。このとき、前記のホエイタンパク質を含んでいる原料や飲食品は、市販品を入手して用いてもよいし、自ら調製して用いてもよい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、上述のようなホエイタンパク質を1回以上加水分解することによって調製することができる。例えば、分離、精製工程中においてホエイタンパク質を少なくとも部分的に加水分解し、このような部分的な加水分解後、さらに別の加水分解を行い調製してもよい。本発明のホエイタンパク質加水分解物は、ホエイタンパク質を公知の方法で加水分解することで調製することができるが、好ましくは、タンパク質分解酵素による加水分解により調製することができる。タンパク質加水分解酵素は、本発明のインスリン分泌促進効果が得られる限り、特に限定されるものではなく、特許文献2などの記載を参考にして、その種類や反応条件などは任意に設定できる。例えば、バシラス属(Bacillus)又はアスペルギルス属(Aspergillus)に属する微生物由来のタンパク質分解酵素、パパイヤ由来のパパイン、パイナップル由来のブロメライン、キウイ由来のアクチニダインなどの植物由来のタンパク質分解酵素、パンクレアチン、トリプシン、キモトリプシンなどの動物由来のタンパク質分解酵素が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらのタンパク質分解酵素は、市販品を用いることができる。市販品のタンパク質分解酵素は、例えば、プロテアーゼMアマノ(アマノエンザイム社)、プロテアーゼNアマノ(アマノエンザイム社)、プロテアーゼPアマノ(アマノエンザイム社)、プロテアーゼAアマノ(アマノエンザイム社)、トリプシン(ノボ社)、ペプシン(和光純薬社)、ウマミザイム(アマノエンザイム社)、フレーバザイム(ノボ社)などがあるが、これに制限されない。本発明の好ましい態様によれば、ホエイタンパク質を加水分解するために用いられるタンパク質分解酵素は、バシラス属由来タンパク質分解酵素、アスペルギルス属由来タンパク質分解酵素、トリプシン、ペプシン及びフレーバザイムからなる群から選択される一種又は二種以上である。
後述するように本発明のホエイタンパク質加水分解物は特定のジペプチドを含有することを特徴とし、ホエイタンパク質の加水分解に使用する加水分解酵素を適宜選択することにより所望のジペプチドが豊富に含まれる加水分解物を得ることができる。例えば、ホエイタンパク質を加水分解してIle−Leuを得る場合には、バシラス属由来のプロテアーゼ及びアスペルギルス属由来のプロテアーゼを組み合わせて加水分解を行うことが好ましく、Ile−Trpを得る場合には、トリプシンで反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼで反応させることが好ましい。また、ホエイタンパク質を加水分解してVal−Leu、Lys−Ile、Ile−Ile、Leu−Ile、Ile−Asn、Leu−Ala、Leu−Glu及びIle−Valを得る場合には、アスペルギルス属由来のプロテアーゼを用いることが好ましく、Ala−Leu及びAsp−Leuを得る場合には、トリプシンで反応後、バシラス属由来のプロテアーゼで反応させることが好ましく、Gly−Leu、Leu−Leu及びLeu−Valを得る場合には、ペプシンで反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼで反応させることが好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応温度は、好ましくは20〜80℃、より好ましくは25〜75℃、さらに好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは35〜65℃、さらに好ましくは40〜60℃、特に好ましくは45〜55℃である。反応温度が20℃以上であれば、タンパク質分解酵素により、ホエイタンパク質を効率よく加水分解でき、好ましい。また、反応温度が80℃以下であれば、タンパク質分解酵素の変性による失活が抑制され、好ましい。
なお、本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応温度は、使用するタンパク質加水分解酵素の至適温度を鑑み、1段階又は2段階以上の反応温度を設定することができる。2段階以上の反応温度を設定する場合には、その順番は任意である。
本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応時間は、好ましくは2〜48時間、より好ましくは2〜36時間、さらに好ましくは2〜24時間、さらに好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは2〜14時間、さらに好ましくは4〜12時間、さらに好ましくは6〜10時間、特に好ましくは7〜9時間である。反応時間が2時間以上であれば、タンパク質分解酵素により、ホエイタンパク質を多く加水分解でき、好ましい。また、反応時間が48時間以下であれば、ホエイタンパク質を効率よく加水分解でき、好ましい。
なお、本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応温度を2段階以上で設定する場合には、前記の反応時間において、任意に2段階以上の反応温度を設定することができる。
本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、タンパク質加水分解酵素の添加量は、インスリン分泌促進効果が奏されれば、特に制限はないが、タンパク質100gに対して、好ましくは0.5〜10g、より好ましくは0.7〜5g、さらに好ましくは0.8〜4g、特に好ましくは1〜2gである。
本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応pHは、使用するタンパク質加水分解酵素の至適pH近傍であれば、好ましい。例えば、バシラス属由来のタンパク質分解酵素及びアスペルギルス属由来のタンパク質分解酵素を併用する場合には、好ましくはpH5〜9、より好ましくはpH5.5〜8.5、さらに好ましくはpH6〜8、特に好ましくはpH6.5〜7.5である。
なお、本発明のホエイタンパク質加水分解物を得るために、タンパク質加水分解酵素によりホエイタンパク質を加水分解する場合の、反応pHは、使用するタンパク質加水分解酵素の至適pHを鑑み、1段階、又は2段階以上の反応pHを設定することができる。2段階以上の反応pHを設定する場合には、その順番は任意である。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドを含むことを指標とすることもできる。ここでいう、特定のジペプチドとは、好ましくは、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileであり、これらの群から選択される少なくとも1種のジペプチドを含むものをいう。ここで、Ileはイソロイシン、Leuはロイシン、Alaはアラニン、Valはバリン、Lysはリジン、Asnはアスパラギン、Gluはグルタミン酸をそれぞれ表す。上記ジペプチドは、LC/MSやLC/MSMSにより測定することができ、具体的には、後述する分析例1に記載の方法で測定できる。本発明のホエイタンパク質加水分解物のうち特定のジペプチドを含むものは、前記のような加水分解反応条件に加えて、後記製造例1〜11に記載された例を参照することにより製造することができる。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、好ましくは以下の(1)と(2)を満たす特定のジペプチドを含むものとすることができる。
(1)Ile−Leu並びに
(2)Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチド。
(1)Ile−Leu並びに
(2)Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチド。
すなわち、(1)のIle−Leuは、本発明のホエイタンパク質加水分解物に含有されていることが特に好ましく、(2)のLeu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileの中でも最低1種のジペプチドが、本発明のホエイタンパク質加水分解物に含有されていることが特に好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、さらに好ましくは以下の(1’)と(2’)を満たす特定のジペプチドを含むものとすることができる。
(1’)Ile−Leu並びに
(2’)Val−Leu、Leu−Leu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチド。
(1’)Ile−Leu並びに
(2’)Val−Leu、Leu−Leu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチド。
すなわち、(1’)のIle−Leuは本発明のホエイタンパク質加水分解物に含有されていることが特に好ましく、(2’)のAla−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileの中でも最低1種のジペプチドが、本発明のホエイタンパク質加水分解物に含有されていることが特に好ましい。
上記(1’)と(2’)に記載されたジペプチドのホエイ加水分解物当たりの含有量は、例えば、以下のように設定することができる。
Ile−Val:0.5mg/g加水分解物以上(好ましくは0.7〜4mg/g加水分解物、より好ましくは0.9〜1.1mg/g加水分解物)
Leu−Val:0.4mg/g加水分解物以上(好ましくは0.6〜3mg/g加水分解物、より好ましくは0.8〜1.0mg/g加水分解物)
Val−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.0〜20mg/g加水分解物、より好ましくは5.0〜7.0mg/g加水分解物)
Ile−Ile:0.2mg/g加水分解物以上(好ましくは0.3〜2mg/g加水分解物、より好ましくは0.4〜0.6mg/g加水分解物)
Leu−Ile:0.02mg/g加水分解物以上(好ましくは0.03〜1mg/g加水分解物、より好ましくは0.05〜0.20mg/g加水分解物)
Ile−Leu:1.5mg/g加水分解物以上(好ましくは2.0〜15mg/g加水分解物、より好ましくは3.0〜5.0mg/g加水分解物)
Leu−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.5〜22mg/g加水分解物、より好ましくは5.5〜7.5mg/g加水分解物)
Ile−Val:0.5mg/g加水分解物以上(好ましくは0.7〜4mg/g加水分解物、より好ましくは0.9〜1.1mg/g加水分解物)
Leu−Val:0.4mg/g加水分解物以上(好ましくは0.6〜3mg/g加水分解物、より好ましくは0.8〜1.0mg/g加水分解物)
Val−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.0〜20mg/g加水分解物、より好ましくは5.0〜7.0mg/g加水分解物)
Ile−Ile:0.2mg/g加水分解物以上(好ましくは0.3〜2mg/g加水分解物、より好ましくは0.4〜0.6mg/g加水分解物)
Leu−Ile:0.02mg/g加水分解物以上(好ましくは0.03〜1mg/g加水分解物、より好ましくは0.05〜0.20mg/g加水分解物)
Ile−Leu:1.5mg/g加水分解物以上(好ましくは2.0〜15mg/g加水分解物、より好ましくは3.0〜5.0mg/g加水分解物)
Leu−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.5〜22mg/g加水分解物、より好ましくは5.5〜7.5mg/g加水分解物)
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドIle−Leuを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.5mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜10mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜8mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜6mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜4mgである。ジペプチドIle−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.5mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドIle−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり10mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
ここで、「タンパク質含量」とは、各種のタンパク質に含まれるアミノ酸の総量を意味する。ここで、タンパク質含量は、ケルダール法やローリー法などの慣用の方法によって測定して算出してもよい。実際に、ケルダール法の場合には、各種のタンパク質に含まれる窒素を測定し、その値に、窒素−タンパク質換算係数(通常 6.25)を乗じて算出することができる。例えば、本発明のホエイタンパク質加水分解物は、ホエイタンパク質を加水分解することにより得られたものであることから、上述のように算出されるホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量は、加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量と理論上は同一である。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドLeu−Alaを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.5mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜10mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜8mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜6mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜4mgである。ジペプチドLeu−Alaの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.5mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドLeu−Alaの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり10mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドAla−Leuを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.2mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜10mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜8mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜6mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜5mgである。ジペプチドAla−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.2mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドAla−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり10mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドVal−Leuを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり1mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜15mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜12mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜10mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜8mgである。ジペプチドVal−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり1mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドVal−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり15mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドLys−Ileを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.2mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜15mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜12mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜10mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜8mgである。ジペプチドLys−Ileの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.2mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドLys−Ileの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり15mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドLeu−Leuを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.2mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜25mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜20mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜18mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.2〜16mgである。ジペプチドLeu−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.2mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドLeu−Leuの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり25mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドIle−Asnを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり1mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜10mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜8mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜6mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり1〜5mgである。ジペプチドIle−Asnの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり1mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドIle−Asnの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり10mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、分解の指標として、特定のジペプチドLeu−Gluを含むことを指標とする場合には、その含量は、好ましくはホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量(加水分解前のホエイタンパク質のタンパク質含量)1gあたり0.5mg以上、より好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜12mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜10mg、さらに好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜8mg、特に好ましくはタンパク質含量1gあたり0.5〜6mgである。ジペプチドLeu−Gluの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり0.5mg以上であれば、本発明のインスリン分泌促進効果がより奏され、好ましい。また、ジペプチドLeu−Gluの含量がホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量1gあたり12mg以下であれば、効率よく本発明のホエイタンパク質加水分解物を調製でき、好ましい。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、調製直後は、液状であるものの、その保存性を高めるために、凍結保存、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥)、濃縮、加熱殺菌(プレート式加熱殺菌、チューブ式加熱殺菌、バッチ式加熱殺菌、通電加熱殺菌、マイクロウエーブ波による加熱殺菌、レトルト加熱などの間接加熱殺菌、スチームインジェクション、スチームインフュージョンなどの直接加熱殺菌)、非加熱殺菌(光照射殺菌、放射線照射殺菌、高電圧パルス殺菌)をすることができる。中でも、取扱いの容易さから、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥)させた形態が好ましい。
後記実施例に示されるように、ホエイタンパク質加水分解物を含有する本発明の組成物は対照群と比較して、糖負荷後の血中インスリン濃度を高めることができる。従って、ホエイタンパク質加水分解物はインスリン分泌促進用組成物及びインスリン分泌促進剤の有効成分として用いることができ、特に食後の血中インスリン濃度を高めるために用いることができる。ここで、「インスリン分泌促進」とは対照群と比較して血中におけるインスリン濃度を高くすることを意味する。
本発明の組成物及び用剤は糖負荷後において血中のインスリン濃度を上昇させることができることから、インスリン分泌量を高める必要がある者(特に、2型糖尿病患者や糖尿病予備軍)へ摂取させるか、投与することができる。2型糖尿病患者のうちインスリン分泌不全の患者はインスリン分泌量が低下することから、本発明の組成物及び用剤は特にその効果を発揮できるといえる。ここで、血中インスリン濃度は化学発光酵素免疫測定法(CLEIA:Chemiluminescent immunoassay)に従って測定することができる。
本発明の別の面によれば、ホエイタンパク質加水分解物をヒト又は非ヒト動物に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、インスリン分泌促進方法が提供される。本発明のインスリン分泌促進方法は本発明の組成物及び用剤についての記載内容に従って実施することができる。
ここで、本発明のインスリン分泌促進方法においては、ヒト及び非ヒト動物並びにこれらに由来する試料における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。ここで、「非治療的」とはヒトを手術、治療又は診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師又は医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療又は診断を行う方法を含まないことを意味する。
本発明のホエイタンパク質加水分解物は、インスリン分泌促進効果を発揮できれば、その他の食品原料及び/又は食品添加物原料を添加することができる。例えば、本発明の組成物及び用剤の嗜好性の付与を目的に、甘味料(砂糖類、液糖類、果糖、麦芽糖、三温糖など)、糖アルコール(エリスリトールなど)、高感度甘味料(ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム)、酸味料、増粘多糖類、香料、果汁、乳化剤、野菜汁などを添加することができる。また、本発明の組成物及び用剤の追加の機能付与を目的に、ミネラル類(カルシウム、鉄、マンガン、マグネシウム、亜鉛など)、ビタミン類、機能性素材、プロバイオティクス乳酸菌などを添加して、本発明の組成物及び用剤とすることができる。
本発明の組成物及び用剤は、市場での提供を目的として、容器入りの粉末の形態にすることができる。容器は、紙、袋、箱、缶、ビンなど、公知のものを使用することができる。容器の容量は、特に制限はなく、例えば、1〜5000g、2〜4000g、3〜3000g、4〜2000g、4〜1000g、4〜500g、4〜250g、4〜200g、4〜100g、4〜50g、4〜30gである。中でも、ファミリーサイズ(複数服用)の場合には、例えば、300〜5000g、300〜4000g、300〜3000g、300〜2000g、300〜1500g、300〜1400g、300〜1300g、300〜1200g、300〜1100gであり、パーソナルサイズ(個別服用)の場合、1〜500g、2〜250g、3〜200g、4〜100g、4〜50g、4〜40g、4〜30g、5〜30g、10〜30g、15〜30gである。
本発明の組成物及び用剤は、市場での提供を目的として、容器入り飲料(粉末を分散溶解した飲料)の形態にすることができる。容器は、紙容器、ソフトバック、ペットボトル、缶、ビンなど、公知のものを使用することができる。容器の容量は、特に制限はなく、例えば、1〜5000g、2〜4000g、3〜3000g、4〜2000g、5〜1000g、6〜800g、7〜1300g、80〜1200g、90〜1100gである。中でも、ファミリーサイズ(複数飲用)の場合には、例えば、300〜5000g、300〜4000g、300〜3000g、300〜2000g、300〜1500g、300〜1400g、300〜1300g、300〜1200g、300〜1100gであり、パーソナルサイズ(個別飲用)の場合、10〜500g、20〜500g、30〜500g、40〜500g、50〜500g、60〜500g、70〜500g、80〜500g、90〜500gである。
本発明の一つの実施態様によれば、例えば、本発明の組成物及び用剤では、ホエイタンパク質加水分解物のタンパク質含量が一食あたり、0.05g以上/kg体重(好ましくは0.1g以上/kg体重)となるように摂取(投与)させてもよく、好ましくは0.05〜5.0g/kg体重であり、より好ましくは0.05〜1.0g/kg体重、さらに好ましくは0.1〜5.0g/kg体重、特に好ましくは0.1〜1.0g/kg体重となるように摂取(投与)させることができる。ここで、対象の代表的な体重は、約60kgと見積もっている。
「一食」とは、インスリン分泌促進を必要とする状態の一回ごとを意味し、例えば、本発明の組成物及び用剤では、一食で一息に(一度に)摂取せず、数度に分けて摂取してもよい。
本発明の組成物及び用剤をインスリン分泌促進を必要とする対象に摂取させる(投与する)時期は、通常の食品摂取後のインスリン分泌を促進する観点から、通常の食品摂取前(摂食前)に摂取させることができ、好ましくは通常の食品摂取前15分〜240分、より好ましくは通常の食品摂取前30分〜180分、さらに好ましくは食品摂取前45分〜135分に摂取させることができる。本発明の組成物及び用剤をインスリン分泌促進を必要とする対象に摂取させる(投与する)時期は上記に限定されず、本発明の組成物及ぶ用剤を通常の食品を摂取中に併せて摂取したり、通常の食品中に混ぜて摂取したり、通常の食品を摂取後に摂取したり、通常の食事と通常の食事の合間に摂取してもよい。
本発明の組成物及び用剤をインスリン分泌促進を必要とする対象に摂取させる(投与する)方法は、経口摂取(経口投与)、経腸投与、胃ろうなどから、その対象及び用途により、適宜選択することができるが、好ましくは経口摂取である。
本発明の別の実施態様によれば、例えば、本発明の組成物及び用剤は、一食あたりの単位包装形態で提供してもよく、該単位中に、前記ホエイタンパク質加水分解物を、一食摂取量として総タンパク質含量換算で3g以上(好ましくは6g以上)に調製したものが望ましく、また、一食摂取量として総タンパク質含量換算で300g以下(好ましくは60g以下)に調製したものが望ましい。単位包装当たりの本発明のホエイタンパク質加水分解物の含有量は、一食摂取量として総タンパク質含量換算で、例えば、3〜300g、好ましくは3〜60、より好ましくは、6〜300g、さらに好ましくは6〜60gとすることができる。ここで、「一食あたりの単位包装形態」からなるとは、一食あたりの摂取量があらかじめ定められた形態のものであり、例えば、特定量を経口摂取し得る飲食品として、一般食品のみならず、飲料(ドリンク剤など)、健康補助食品、保健機能食品、サプリメントなどの形態を意味する。「一食あたりの単位包装形態」では、例えば、液状の飲料、ゲル状・糊状・ペースト状のゼリー、粉末状・顆粒状・カプセル状・ブロック状の固体状の食品などの場合には、金属缶、ガラスビン(ボトルなど)、プラスチック容器(ペットボトルなど)、パック、パウチ、フィルム容器、紙箱などの包装容器で特定量(用量)を規定できる形態、あるいは、一食あたりの摂取量(用法、用量)を包装容器やホームページなどに表示することで特定量を規定できる形態が挙げられる。本発明の組成物及び用剤は、ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として用いるため、ホエイタンパク質と比較して、加熱によるゲル化が少なく、従って、飲料、ゼリーなどの製造工程において適した物性を維持することができる。また、本発明の組成物及び用剤は、少量の摂取であっても本発明の効果を奏するため、一口サイズのブロック状や、一飲みで摂取できるミニ缶飲料など、どのような形態であっても、摂取・嚥下が容易であり、子供や高齢者にとっての利便性を向上することができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の組成物及び用剤において、ホエイタンパク質加水分解物が、ジペプチドとして少なくとも、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileを含むものが提供される。
本発明の好ましい態様によればまた、本発明の組成物及び用剤において、ホエイタンパク質加水分解物が、ジペプチドとして少なくとも、Ile−Leu、Leu−Ala、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileを含むものが提供される。
本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の組成物及び用剤において、ホエイタンパク質加水分解物が、ジペプチドとして少なくとも、Ile−Val、Leu−Val、Val−Leu、Ile−Ile、Leu−Ile、Ile−Leu及びLeu−Leuを含むものが提供される。
本発明の特に好ましい態様によれば、本発明の組成物及び用剤において、ホエイタンパク質加水分解物が、ジペプチドとして少なくとも、Ile−Val、Leu−Val、Val−Leu、Ile−Ile、Leu−Ile、Ile−Leu及びLeu−Leuを含み、ホエイタンパク質加水分解物当たりの各ジペプチド含有量が以下の通りである組成物及び用剤が提供される。
Ile−Val:0.5mg/g加水分解物以上(好ましくは0.7〜4mg/g加水分解物、より好ましくは0.9〜1.1mg/g加水分解物)
Leu−Val:0.4mg/g加水分解物以上(好ましくは0.6〜3mg/g加水分解物、より好ましくは0.8〜1.0mg/g加水分解物)
Val−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.0〜20mg/g加水分解物、より好ましくは5.0〜7.0mg/g加水分解物)
Ile−Ile:0.2mg/g加水分解物以上(好ましくは0.3〜2mg/g加水分解物、より好ましくは0.4〜0.6mg/g加水分解物)
Leu−Ile:0.02mg/g加水分解物以上(好ましくは0.03〜1mg/g加水分解物、より好ましくは0.05〜0.20mg/g加水分解物)
Ile−Leu:1.5mg/g加水分解物以上(好ましくは2.0〜15mg/g加水分解物、より好ましくは3.0〜5.0mg/g加水分解物)
Leu−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.5〜22mg/g加水分解物、より好ましくは5.5〜7.5mg/g加水分解物)
Ile−Val:0.5mg/g加水分解物以上(好ましくは0.7〜4mg/g加水分解物、より好ましくは0.9〜1.1mg/g加水分解物)
Leu−Val:0.4mg/g加水分解物以上(好ましくは0.6〜3mg/g加水分解物、より好ましくは0.8〜1.0mg/g加水分解物)
Val−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.0〜20mg/g加水分解物、より好ましくは5.0〜7.0mg/g加水分解物)
Ile−Ile:0.2mg/g加水分解物以上(好ましくは0.3〜2mg/g加水分解物、より好ましくは0.4〜0.6mg/g加水分解物)
Leu−Ile:0.02mg/g加水分解物以上(好ましくは0.03〜1mg/g加水分解物、より好ましくは0.05〜0.20mg/g加水分解物)
Ile−Leu:1.5mg/g加水分解物以上(好ましくは2.0〜15mg/g加水分解物、より好ましくは3.0〜5.0mg/g加水分解物)
Leu−Leu:2.0mg/g加水分解物以上(好ましくは3.5〜22mg/g加水分解物、より好ましくは5.5〜7.5mg/g加水分解物)
本発明の組成物は、複数の成分が配合された組成物の形態で提供することができる。本発明の組成物の形態は、インスリン分泌促進効果を奏する限り特に限定されるものではないが、例えば、固体状(粉末状、顆粒状、カプセル状、ブロック状など)、液状、ゲル状、糊状、ペースト状などの形態をとることができ、好ましくは粉末状である。組成物には、食品組成物及び医薬組成物が包含される。
本発明の組成物及び用剤に有効成分として含まれるホエイタンパク質加水分解物は、長年食品の原料として用いられていきた乳タンパク質を利用するものであることから、本発明の組成物及び用剤は、長期間にわたって継続的に服用しても副作用の懸念がなく、安全性が高い。このため本発明の組成物及び用剤を既存のインスリン分泌促進剤などの薬剤と組み合わせて用いると、既存薬剤の用量を低減することができ、ひいては既存薬剤の副作用を軽減あるいは解消することができる点で有利である。他の薬剤との併用に当たっては、他の薬剤と本発明の組成物及び用剤を別個に調製しても、他の薬剤と本発明の組成物及び用剤を同一の組成物に配合してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含む、インスリン分泌促進用食品が提供される。本発明において、食品の形態は、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末、固体成形物など、経口摂取可能な形態であればよく特に限定されない。具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品などが挙げられる。好ましくは、飲食品は、乳製品であり、より好ましくは乳飲料、乳酸菌飲料である。
また、飲食品には、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品、乳幼児用調整粉乳、妊産婦もしくは授乳婦用粉乳、又はインスリン分泌促進のために用いられる物である旨の表示を付した飲食品のような分類のものも包含される。
本発明の食品にはインスリン分泌促進作用を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の食品には、例えば、以下の一部又は全部の表示が付されてもよい。
・血糖値の上昇を抑える食品
・血糖値が気になる方に適した食品
・血糖値の上昇を穏やかにする食品
・血糖値の上昇を抑える食品
・血糖値が気になる方に適した食品
・血糖値の上昇を穏やかにする食品
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、後述する「mg/gタンパク質」及び「gタンパク質/kg体重」における「タンパク質」は、タンパク質含量を意味する。
[製造例1]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mg及びアスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)500mgを組み合わせて溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものをホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mg及びアスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)500mgを組み合わせて溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものをホエイタンパク質加水分解物とした。
[分析例1]
製造例1のホエイタンパク質加水分解物の粉末を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に1000倍(体積比)に希釈し、以下の条件によりLC/MSを用い、Ile−Leu、Ile−Trp、Ala−Leu、Val−Leu、Asp−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Ala及びLeu−Gluを定量(単位はmg/gタンパク質)した。
製造例1のホエイタンパク質加水分解物の粉末を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に1000倍(体積比)に希釈し、以下の条件によりLC/MSを用い、Ile−Leu、Ile−Trp、Ala−Leu、Val−Leu、Asp−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Ala及びLeu−Gluを定量(単位はmg/gタンパク質)した。
なお、LC/MS/MSの条件は以下の通りである。
分析条件
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×50mm Column
移動相:A液:0.1%トリフルオロ酢酸含有水溶液
B液:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル溶液
分析条件
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×50mm Column
移動相:A液:0.1%トリフルオロ酢酸含有水溶液
B液:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル溶液
移動相の通液開始から0分に0体積%B液、9分後に40体積%B液(いずれもA液及びB液の合計に対する割合)となるように、グラジエントをかけた。その後、1分間80体積%B液で保持し、さらに1分間0体積%B液で保持した。
カラム温度:40℃
流速:0.3mL/分
MS/MS条件
ESIポジティブモード
キャピラリー電圧:3000V
ソース温度:120℃
脱溶媒温度:400℃
脱溶媒ガス流速:850L/時間
コーンガス流速:50L/時間
コーン電圧:25V
コリジョン電圧:15mV
カラム温度:40℃
流速:0.3mL/分
MS/MS条件
ESIポジティブモード
キャピラリー電圧:3000V
ソース温度:120℃
脱溶媒温度:400℃
脱溶媒ガス流速:850L/時間
コーンガス流速:50L/時間
コーン電圧:25V
コリジョン電圧:15mV
製造例1のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは3.82mg/gタンパク質、Ala−Leuは1.53mg/gタンパク質、Val−Leuは4.70mg/gタンパク質、Lys−Ileは4.82mg/gタンパク質、Leu−Leuは1.56mg/gタンパク質、Ile−Asnは3.98mg/gタンパク質、Leu−Alaは0.75mg/gタンパク質、Leu−Gluは4.35mg/gタンパク質であった。
[製造例2]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例2のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例2のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例2のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例2のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは2.39mg/gタンパク質、Ala−Leuは0.64mg/gタンパク質、Val−Leuは2.35mg/gタンパク質、Lys−Ileは1.97mg/gタンパク質、Leu−Leuは0.67mg/gタンパク質、Ile−Asnは2.73mg/gタンパク質、Leu−Alaは1.22mg/gタンパク質、Leu−Gluは1.90mg/gタンパク質であった。
[製造例3]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例3のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で8時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例3のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例3のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例3のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは3.74mg/gタンパク質、Ala−Leuは1.98mg/gタンパク質、Val−Leuは2.13mg/gタンパク質、Lys−Ileは1.07mg/gタンパク質、Leu−Leuは8.20mg/gタンパク質、Ile−Asnは2.40mg/gタンパク質、Leu−Alaは1.77mg/gタンパク質、Leu−Gluは1.08mg/gタンパク質であった。
[製造例4]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、トリプシン(ノボ社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例4のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、トリプシン(ノボ社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例4のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例4のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例4のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは3.16mg/gタンパク質、Ala−Leuは4.77mg/gタンパク質、Val−Leuは5.33mg/gタンパク質、Lys−Ileは4.84mg/gタンパク質、Leu−Leuは1.07mg/gタンパク質、Ile−Asnは1.65mg/gタンパク質、Leu−Alaは0.83mg/gタンパク質、Leu−Gluは4.82mg/gタンパク質であった。
[製造例5]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、トリプシン(ノボ社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例5のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、トリプシン(ノボ社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例5のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例5のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例5のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは3.57mg/gタンパク質、Ala−Leuは2.04mg/gタンパク質、Val−Leuは2.60mg/gタンパク質、Lys−Ileは0.74mg/gタンパク質、Leu−Leuは4.89mg/gタンパク質、Ile−Asnは1.61mg/gタンパク質、Leu−Alaは1.96mg/gタンパク質、Leu−Gluは0.71mg/gタンパク質であった。
[製造例6]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、ペプシン(和光純薬社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例6のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、ペプシン(和光純薬社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、バシラス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼMアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例6のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例6のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例6のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは1.47mg/gタンパク質、Ala−Leuは0.75mg/gタンパク質、Val−Leuは4.92mg/gタンパク質、Lys−Ileは0.54mg/gタンパク質、Leu−Leuは2.21mg/gタンパク質、Ile−Asnは1.59mg/gタンパク質、Leu−Alaは2.80mg/gタンパク質、Leu−Gluは0.62mg/gタンパク質であった。
[製造例7]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、ペプシン(和光純薬社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例7のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、ペプシン(和光純薬社)500mgを溶液に加え、37℃で4時間反応後、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼNアマノ、アマノエンザイム社)、50℃で4時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例7のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例7のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例7のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは2.86mg/gタンパク質、Ala−Leuは2.28mg/gタンパク質、Val−Leuは3.90mg/gタンパク質、Lys−Ileは0.81mg/gタンパク質、Leu−Leuは13.37mg/gタンパク質、Ile−Asnは2.82mg/gタンパク質、Leu−Alaは3.08mg/gタンパク質、Leu−Gluは0.97mg/gタンパク質であった。
[製造例8]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、フレーバザイム(ノボ社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例8のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、フレーバザイム(ノボ社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例8のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例8のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例8のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは0.62mg/gタンパク質、Ala−Leuは0.35mg/gタンパク質、Val−Leuは1.58mg/gタンパク質、Lys−Ileは1.54mg/gタンパク質、Leu−Leuは0.20mg/gタンパク質、Ile−Asnは1.64mg/gタンパク質、Leu−Alaは1.05mg/gタンパク質、Leu−Gluは1.40mg/gタンパク質であった。
[製造例9]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(ウマミザイム、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例9のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(ウマミザイム、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例9のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例9のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例9のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは2.78mg/gタンパク質、Ala−Leuは1.09mg/gタンパク質、Val−Leuは6.25mg/gタンパク質、Lys−Ileは6.45mg/gタンパク質、Leu−Leuは1.85mg/gタンパク質、Ile−Asnは4.93mg/gタンパク質、Leu−Alaは3.93mg/gタンパク質、Leu−Gluは5.87mg/gタンパク質であった。
[製造例10]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼAアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例10のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼAアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例10のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例10のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例10のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは2.17mg/gタンパク質、Ala−Leuは0.64mg/gタンパク質、Val−Leuは4.23mg/gタンパク質、Lys−Ileは2.72mg/gタンパク質、Leu−Leuは2.22mg/gタンパク質、Ile−Asnは3.23mg/gタンパク質、Leu−Alaは2.97mg/gタンパク質、Leu−Gluは2.48mg/gタンパク質であった。
[製造例11]
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼPアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例11のホエイタンパク質加水分解物とした。
ホエイタンパク質50gを水1Lに溶解させた。溶解したホエイタンパク質溶液をpH調整剤でpH7に調整し、アスペルギルス属由来のプロテアーゼ(プロテアーゼPアマノ、アマノエンザイム社)500mgを溶液に加え、50℃で6時間、ホエイタンパク質を加水分解した。プロテアーゼを加熱失活後、得られた溶液を凍結乾燥により粉末にしたものを製造例11のホエイタンパク質加水分解物とした。
分析例1に基づき、製造例11のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量を測定した。製造例11のホエイタンパク質加水分解物のIle−Leuは1.85mg/gタンパク質、Ala−Leuは0.66mg/gタンパク質、Val−Leuは5.19mg/gタンパク質、Lys−Ileは3.83mg/gタンパク質、Leu−Leuは1.74mg/gタンパク質、Ile−Asnは3.70mg/gタンパク質、Leu−Alaは3.54mg/gタンパク質、Leu−Gluは3.56mg/gタンパク質であった。
[試験例1]
本試験例ではホエイタンパク質加水分解物が血中インスリン濃度に与える影響について試験を実施した。
(1)被験者のスクリーニング
被験者のスクリーニングには、事前アンケート、問診・理学検査及び採血を行い、被験者を選定し割付けを行った。具体的には、40歳以上60歳未満の日本人男性であり次の2条件:(i)空腹時血糖値が100mg/dL以上126mg/dL未満である、(ii)ヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」という)が5.6%以上6.5%未満(NGSP値)である、のうち1つ以上を満たすという基準によりスクリーニングを行い、6名の被験者が選定された。
本試験例ではホエイタンパク質加水分解物が血中インスリン濃度に与える影響について試験を実施した。
(1)被験者のスクリーニング
被験者のスクリーニングには、事前アンケート、問診・理学検査及び採血を行い、被験者を選定し割付けを行った。具体的には、40歳以上60歳未満の日本人男性であり次の2条件:(i)空腹時血糖値が100mg/dL以上126mg/dL未満である、(ii)ヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」という)が5.6%以上6.5%未満(NGSP値)である、のうち1つ以上を満たすという基準によりスクリーニングを行い、6名の被験者が選定された。
(2)試験方法
試験は2回行い、各試験は6日以上空けて別の試験日(試験日1及び2)に行った。上記(1)で選定された6名の被験者を無作為に試験群3名と対照群3名の2群に割付けた。試験日1において試験群であった被験者を試験日2においては対照群とし、試験日1において対照群であった被験者を試験日2においては試験群として単盲検クロスオーバー試験を実施した。被験者は、試験食又は対照食(以下、本試験例では合わせて「食品」という)摂取時から12時間以上前に規定食を摂取し、食品摂取前にメディカルチェックを受けた。試験群には試験食として18.9gのホエイ加水分解物を200mLの水に溶解した溶液を摂取させ、対照群には対照食として200mLの水を摂取させた。
試験は2回行い、各試験は6日以上空けて別の試験日(試験日1及び2)に行った。上記(1)で選定された6名の被験者を無作為に試験群3名と対照群3名の2群に割付けた。試験日1において試験群であった被験者を試験日2においては対照群とし、試験日1において対照群であった被験者を試験日2においては試験群として単盲検クロスオーバー試験を実施した。被験者は、試験食又は対照食(以下、本試験例では合わせて「食品」という)摂取時から12時間以上前に規定食を摂取し、食品摂取前にメディカルチェックを受けた。試験群には試験食として18.9gのホエイ加水分解物を200mLの水に溶解した溶液を摂取させ、対照群には対照食として200mLの水を摂取させた。
食品摂取と同時に採血を行い(0分)、食品摂取時から15分後に75gの糖溶液(トレーラン(商標)G液、エイワイファーマ社製)を摂取させるとともに採血を行い、食品摂取時から30分、45分、60分、75分、105分、135分、195分経過時に採血を行った。血液中のインスリン濃度は化学発光酵素免疫測定法(CLEIA: Chemiluminescent immunoassay)に基づき、唐澤美佳他:医療と検査機器・試薬29(5):479〜484頁(2006)に記載された測定方法に従って、ルミパルスプレストインシュリン(富士レビオ社)を用いて測定した。試験群と対照群について、各群6名の被験者の血中インスリン濃度の平均値を算出した。
(3)試験食
試験食にはホエイタンパク質をプロテアーゼにより加水分解して得られたホエイタンパク質加水分解物を用いた。該加水分解物中には固形分当たり約79質量%のタンパク質が含まれていた。
試験食にはホエイタンパク質をプロテアーゼにより加水分解して得られたホエイタンパク質加水分解物を用いた。該加水分解物中には固形分当たり約79質量%のタンパク質が含まれていた。
このホエイタンパク質加水分解物の粉末を0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に1000倍(体積比)に希釈し、分析例1に記載された手順に従って加水分解物のジペプチド含量の測定を行った。測定では主なジペプチドとしてIle−Val,Leu−Val、Val−Leu、Ile−Ile、Leu−Ile、Ile−Leu及びLeu−Leuを定量(単位はmg/g加水分解物)した。
測定の結果、試験食のホエイタンパク質加水分解物のジペプチド含量は、Ile−Valは0.985mg/g加水分解物、Leu−Valは0.896mg/g加水分解物、Val−Leuは6.11mg/g加水分解物、Ile−Ileは0.524mg/g加水分解物、Leu−Ileは0.145mg/g加水分解物、Ile−Leuは4.27mg/g加水分解物、Leu−Leuは6.55mg/g加水分解物であった。
表1及び図1の結果より、糖質のみを摂取した場合(対照群)と比べ、糖質とともにホエイタンパク質加水分解物を摂取することにより、糖負荷後の血中インスリン濃度が上昇することが確認された(試験群)。
Claims (7)
- ホエイタンパク質加水分解物を有効成分として含んでなるインスリン分泌促進用組成物であって、ホエイタンパク質加水分解物がジペプチドを含み、前記ジペプチドが、Ile−Leu、Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される1種又は2種以上である組成物。
- ジペプチドが、
(1)Ile−Leuと、
(2)Leu−Ala、Ala−Leu、Val−Leu、Lys−Ile、Leu−Leu、Ile−Asn、Leu−Glu、Leu−Val、Ile−Val、Ile−Ile及びLeu−Ileからなる群から選択される少なくとも1種のジペプチドと
を少なくとも含む、請求項1に記載の組成物。 - 食後の血中インスリン濃度を高めるための、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記組成物を摂食前に摂取させるか、又は投与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記組成物を2型糖尿病患者又は糖尿病予備軍へ摂取させるか、又は投与する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 一食あたりの単位包装形態からなり、該単位包装形態中に、ホエイタンパク質加水分解物を一食摂取量として総タンパク質含量換算で1〜40g含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- 食品組成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
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