JP2018121509A - 振動エネルギー収集装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁歪トランスデューサに蓄積されるエネルギーを増大させる。【解決手段】コイル111と磁歪材112とからなる磁歪トランスデューサ11、およびコイル電流icの向きを反転させるコイル電流反転回路12を備える。コイル電流反転回路12は、トランスデューサ11との間でエネルギーの受け渡しを行うエネルギー蓄積部と、受け渡しを制御するスイッチ回路とを備え、エネルギー蓄積部を磁歪トランスデューサ11に接続することで、磁歪トランスデューサ11に蓄えられているエネルギーをエネルギー蓄積部に送る。そして、蓄積エネルギーを電流の向きを反転させて磁歪トランスデューサ11に送り返し、送り返しが終了したときに、エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサ11から切り離す。エネルギー蓄積部の磁歪トランスデューサからの切り離しを、前記送り返しの完了により自律動作する切り離し回路により行う、【選択図】 図5

Description

本発明は、機械的な振動エネルギーを、磁歪トランスデューサを介して電気エネルギーに変換する振動エネルギー収集装置に関する。
特に、本発明は、磁歪トランスデューサのコイルに流れる電流の向きを反転させることで、この磁歪トランスデューサに蓄積されるエネルギーを増大させ、これにより振動エネルギーを高い効率で収集できる前記振動エネルギー収集装置に関する。
近年、磁歪トランスデューサを用いた振動エネルギーの収集技術(環境発電技術:Energy−Harvesting Technology)が注目されている。
図1は、磁歪トランスデューサを用いた典型的な振動エネルギー収集システムの説明図である。
図1において、振動エネルギー収集システム8は、磁歪トランスデューサ81と、負荷回路84と、構造体85とからなる。
磁歪トランスデューサ81は、コイル811と磁歪材812とからなる。
コイル811および負荷回路84が電気系を構成し、磁歪材812および構造体85が機械系を構成し、電気系と機械系とは磁場を介して結合されている。
構造体85は、振動マス851と構造剛性体852で表されている。振動マス851はバネとして機能する構造剛性体852により支えられており、加振外力EFが加えられることで振動マス851は振動し、この振動は磁歪材812に伝えられる。なお、加振外力EFがなくとも、構造体85が取り付けられている床面が振動したり変形したりすることでも、振動マス851は振動し、この振動は磁歪材812に伝えられる。
磁歪材812が振動変位することにより磁場が発生し、コイル811には交流の誘導起電力(誘導電圧)が生じる。磁歪トランスデューサ81の端子間に表れる起電力は負荷回路84に与えられ負荷回路84は電力を受け取ることができる。
図1に示した磁歪トランスデューサ81はコイル811に磁歪材料812を巻回したものであり、等価回路は、図2に示すように電圧源vmとインダクタLmと抵抗Rmとの直列回路で表現される。負荷回路84はコイルの端子間(磁歪トランスデューサの端子間)に接続される。
しかし、図2のように磁歪トランスデューサ81に負荷回路84を接続しただけでは電力(エネルギー)の収集は極めてわずかである。
本発明者は、この不都合を回避するべく、磁歪トランスデューサにコイル電流反転回路を接続した振動エネルギー収集装置を提案している。
この振動エネルギー収集装置9は、図3に示すように、磁歪トランスデューサ91とコイル電流反転回路92と制御装置93とからなる。
磁歪トランスデューサ91は、電圧源vmとインダクタLmと抵抗Rmとの直列接続回路で表される。
磁歪トランスデューサ91の両端子には電流反転回路92が接続されるとともに、負荷回路94も接続されている。
電流反転回路92は、単極双投型(SPDT型)のスイッチSWと反転用キャパシタCrvとから構成されている。
後述するように、スイッチSWは、磁歪トランスデューサ91の出力電圧vt、コイル電流icおよび振動マス951の振動を検知するセンサ情報に応じて、コイル電流icの向きを反転させるように、制御装置93により制御される。
スイッチSWは、制御装置93からの制御信号DSに応じて接点cを接点aまたは接点bに接続することができる。
図3では、コイル911のインダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvは、コイル電流反転のためのRLC回路を構成する。このRLC回路の電気的な自由振動の周期をτとする。このRLC回路は自由振動の振幅が小さくならないように、インダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvの値が選ばれている。
図3の振動エネルギー収集装置9では、制御装置93は、磁歪トランスデューサ91の出力電圧vt、コイル電流ic、振動情報(変位量と時間の関数)を検出しており、これらの検出結果に基づき、PD制御等の制御手法によりスイッチSWの制御を行っている。
以下、図4を参照しながら、図3の振動エネルギー収集装置9の動作を説明する。
なお、以下の説明では、理解を容易にするために、磁歪トランスデューサ91から負荷回路94への電力供給を無視する。
図3において、磁歪材912に繰り返しの応力または歪が与えられると、磁歪材912の変位dに応じてコイル911には誘導起電力vmが生じる。
図4(A)は、コイル911に生じる誘導起電力vmを示し、図4(B)は、磁歪材912の変位dおよびコイル電流icを示し、図4(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示している。図4(C)においては、α1およびα2部分の拡大図を併記する。
図3の振動エネルギー収集装置9では、コイル911に蓄えられているエネルギーが反転用キャパシタCrvに一時的に収容され、この収容されたエネルギーがコイル911に戻される際に電流の向きが反転するように、制御装置93がスイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)を制御する。
これにより、コイル911に蓄積されるエネルギー(ic・Lm/2ジュール)を増大させることができる。
コイル電流icの反転が適性にできないと、磁歪トランスデューサ91に蓄積されるエネルギーを増大することができなくなる。
このため、図3の振動エネルギー収集装置9では、コイル電流icの反転が終了する時点を予測し、次の反転が生じる前に(または生じたとしても速やかに)、反転用キャパシタCrvを磁歪トランスデューサ91から切り離す必要がある。
しかし、図3の振動エネルギー収集装置9では、反転用キャパシタCrvを磁歪トランスデューサ91から切り離すタイミングを予測することが容易ではない。
本発明の目的は、磁歪トランスデューサに対する反転用キャパシタの接続および切り離しを所定タイミングで繰り返し行う振動エネルギー収集装置の制御において、前記磁歪トランスデューサに対する前記反転用キャパシタの切り離しを自動で行うことで、磁歪トランスデューサに蓄積される電流を効率良く増大させることである。
本発明は、以下を要旨とする。
(1)
繰り返しの応力または歪が生じる磁歪材と、前記磁歪材に設けられたコイルとからなる磁歪トランスデューサ、および、
前記コイルの両端子間に接続され、所定のタイミングで前記コイルに流れる電流の向きを反転させるコイル電流反転回路、
を備えて構成され、
前記コイル電流反転回路は、前記トランスデューサとの間でエネルギーの受け渡しを行うエネルギー蓄積部と、当該受け渡しを制御するスイッチ回路とを備え、
前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサに接続することで、前記磁歪トランスデューサに蓄えられているエネルギーを前記エネルギー蓄積部に送出するとともに、
前記エネルギー蓄積部に送出されて蓄積されたエネルギーを前記コイルに流れる電流の向きを反転させて前記磁歪トランスデューサに送り返し、
前記送り返しが終了したときに、前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサから切り離すことで、前記磁歪トランスデューサに流れる電流の反転状態を補償する、
エネルギー収集装置であって、
前記スイッチ回路は、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサへの接続を前記スイッチ回路のスイッチングにより行い、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサからの切り離しを、前記送り返しの完了により自律動作する切り離し回路により行う、
エネルギー収集装置。
本発明のエネルギー収集装置では、負荷回路は、コイル電流が流れる経路であれば、エネルギー収集装置の何れの箇所に設けることができる。
負荷回路は、典型的には前記磁歪トランスデューサに直列または並列に設けられる。
(2)
(1)に記載の振動エネルギー収集装置において、
前記スイッチ回路(半導体スイッチ回路,機械スイッチ)は、単極双投型スイッチと、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
前記エネルギー蓄積部は、前記磁歪トランスデューサに並列に接続されているキャパシタからなる、
振動エネルギー収集装置。
(3)
(2)に記載の振動エネルギー収集装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
振動エネルギー収集装置。
(4)
(1)に記載の振動エネルギー収集装置において、
前記スイッチ回路(半導体スイッチ回路,機械スイッチ)は、単極双投型スイッチ(a接点またはb接点の何れかにc接点が接続されるスイッチ)と、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
前記エネルギー蓄積部は、前記2つの一方向導通回路にそれぞれ並列に接続された2つのキャパシタからなる、
振動エネルギー収集装置。
(5)
(4)に記載の振動エネルギー収集装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている
振動エネルギー収集装置。
本発明により、振動エネルギー収集装置の制御における、前記磁歪トランスデューサに対する前記反転用キャパシタの切り離しを自動で行うことができ、これにより磁歪トランスデューサに蓄積される電流を効率良く増大させることができる。
図1は、磁歪トランスデューサを用いた典型的な振動エネルギー収集システムの説明図である。 図2は、図1に示した磁歪トランスデューサ81の等価回路を示す図である。 図3は、本出願人の出願に係る振動エネルギー収集装置9を示す図である。 図4(A)は、コイル911に生じる誘導起電力vmを示す図である。 図4(B)は、磁歪材912の変位dおよびコイル電流icを示す図である。 図4(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。 図5は、振動エネルギー収集装置1Aの概略を示す図である。 図6(A)は、磁歪材112の変位dとコイル111に流れる電流(コイル電流)icとの関係を示す波形図である。 図6(B)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。 図7(A)は、コイル111に生じる誘導起電力vmを示す図である。 図7(B)は、磁歪材112の変位dおよびコイル電流icを示す図である。 図7(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。 図8は、図7(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。 図9は、振動エネルギー収集装置1Bの概略を示す図である。 図10(A)は、磁歪材112の変位dとコイル111に流れる電流(コイル電流)icとの関係を示す波形図であr。 図10(B)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。 図11(A)は、コイル111に生じる誘導起電力vmを示す図である。 図11(B)は、磁歪材112の変位dおよびコイル電流icを示す図である。 図12は、図11(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。
以下、本発明の振動エネルギー収集装置の第1実施形態を説明する。
図5は振動エネルギー収集装置1Aの概略を示す図である。
図5に示すように、振動エネルギー収集装置1Aは、磁歪トランスデューサ11とコイル電流反転回路12と制御装置13とからなる。
図5では、振動源となる構造体15を振動マス151と構造剛性体152とで示してある。
磁歪トランスデューサ11は、電圧源vmとインダクタLmと抵抗Rmとの直列接続回路で表される。
インダクタLmは、磁歪トランスデューサ11のコイル111のインダクタンスなので、図5ではインダクタLmをコイル111としても示す。また、図5では、コイル111のコアが磁歪材112である。
磁歪トランスデューサ11の両端子にはコイル電流反転回路12が接続されるとともに、負荷回路14も接続されている。負荷回路14は、コイル電流が流れる経路であれば、エネルギー変換装置の何れの箇所に設けることができる。
電流反転回路12は、単極双投型(SPDT型)のスイッチSWと、反転用キャパシタCrvと、ダイオードD1,D2とから構成されている。
反転用キャパシタCrvが本発明におけるエネルギー蓄積部に相当し、スイッチSWとダイオードD1,D2が本発明におけるスイッチ回路を構成している。
スイッチSWは、半導体スイッチであってもよいし、リレー等から構成した機械スイッチであってもよい。
制御装置13は、たとえば磁歪トランスデューサ11の出力電圧vt、コイル電流ic、振動情報(変位量と時間の関数)に基づき、コイル電流icの向きを反転させるように、スイッチSWの制御信号を生成することができる。
また、制御装置13は、出力電圧vt、コイル電流icまたは振動情報とは異なるその他の情報(たとえば、電力情報)に基づき、スイッチSWの制御信号を生成することもできる。
振動情報(変位量と時間の関数)は、振動マス151の振動状態(変位・速度・加速度等)に係る情報であり、通常は、適宜の光学的手段、機械的手段または電磁気学的手段を用いて検出される。
なお、制御装置13は、出力電圧vt、コイル電流ic、振動情報、その他の情報のうち1つに基づいてスイッチSWを制御してもよいし、これらの2つ以上の組み合わせに基づいてスイッチSWを制御してもよい。
スイッチSWは、可動接点cと固定接点a,bを備えており、制御装置13からの制御信号DSに応じて接点cを接点aまたは接点bに接続することができる。
スイッチSWのc接点端子は磁歪トランスデューサ11の一方の端子(グランドGNDと反対側の端子)に接続されている。また、スイッチSWのc接点端子と磁歪トランスデューサ11の他方の端子(グランドGND側の端子)との間には反転用キャパシタCrvが接続されている。
スイッチSWのa接点端子と磁歪トランスデューサ11のグランGND側の端子にはカソードがa接点端子を向くようにダイオードD1が接続され、スイッチSWのb接点端子と磁歪トランスデューサ11のグランGND側の端子にはアノードがb接点端子を向くようにダイオードD2が接続されている。
図5の磁歪トランスデューサ11では、コイル111のインダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvは、コイル電流反転のためのRLC回路を構成する。このRLC回路の電気的な自由振動の周期をτとする。このRLC回路は自由振動の振幅が小さくならないように、インダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvの値が選ばれている。
図5の振動エネルギー収集装置1Aでは、制御装置13は、磁歪トランスデューサ11の出力電圧vtおよびコイル電流icおよび振動マス951の振動を検知するセンサ情報を検出しており、PD制御等の制御手法によりスイッチSWの制御を行っている。
以下、図6、図7および図8を参照しながら、図5の振動エネルギー収集装置1Aの動作を説明する。
なお、図5においては、グランドGNDから磁歪トランスデューサ11に流れるコイル電流icの向きを正、磁歪トランスデューサ11からグランドGNDに流れるコイル電流icの向きを負とする。
図6(A)は、磁歪材112の変位dとコイル111に流れる電流(コイル電流)icとの関係を示す波形図、図6(B)はスイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図7(A)は、コイル111に生じる誘導起電力vmを示す図である。
図7(B)は、磁歪材112の変位dおよびコイル電流icを示す図である。図7(B)においては、β1およびβ2部分の拡大図を併記する。
図7(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図8は、図7(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。
なお、以下の説明では、理解を容易にするために、磁歪トランスデューサ11から負荷回路14への電力供給を無視する。したがって、図8では負荷回路14は図示しない。
図5の振動エネルギー収集装置1Aにおいて、磁歪材112に繰り返しの応力または歪が与えられると、磁歪材112の変位dに応じてコイル111には誘導起電力vmが生じる。
図7(A)はコイル111に生じる誘導起電力vmを示している。
図5の振動エネルギー収集装置1Aでは、コイル111に蓄えられているエネルギーが反転用キャパシタCrvに一時的に収容され、この収容されたエネルギーがコイル111に戻される際に電流の向きが反転するように、制御装置13がスイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)を制御する。
これにより、コイル111に蓄積されるエネルギー(ic・Lm/2ジュール)を増大させることができる。
以下、図7(A)に示した時刻t1−t6における、コイル電流反転回路12の動作を詳細に説明する。
まず、コイル電流icが負でその振幅が大きい時刻t1においては、図8(A)に示すように、スイッチSWは接点cが接点aに接続されており、コイル電流icは、グランドGND、ダイオードD1、スイッチSWのa接点端子・c接点端子、磁歪トランスデューサ11、グランドGNDの順でループしている。なお、本実施形態では、このときには、反転用キャパシタCrvは充電されていない。
次に、制御装置13がスイッチSWの切り替えの命令を出す時刻t2において、スイッチSWの接点cは、接点aから接点bへの接続に切り替えられ、反転用キャパシタCrvが磁歪トランスデューサ11に接続される。時刻t2は、コイル電流icが負かつコイル電流icの時間微分が正から負になる時刻とすることもできる。
この切り替えにより、コイル電流icは、図8(B)に示すように、もとの電流の向きを維持しようとする。このとき、ダイオードD2は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icは、グランドGND、反転用キャパシタCrv、磁歪トランスデューサ11、グランドGNDの順でループする。
前述したように、インダクタLmと抵抗rmと反転用キャパシタCrvとは、RLC共振回路(共振周期をτとする)を構成している。
図5の振動エネルギー収集装置1Aでは、τ/4の時間で、磁歪トランスデューサ11に蓄えられていたエネルギー(ic・Lm/2ジュール)が反転用キャパシタCrvに転送され、つぎのτ/4の時間で反転用キャパシタCrvに蓄えられたエネルギーが、磁歪トランスデューサ11に戻される。
なお、理論上は、反転開始時と反転終了時においては反転用キャパシタCrvに蓄えられているエネルギーは0であり、コイル電流icが0となる時点で反転用キャパシタCrvに蓄えられているエネルギーは最大(磁歪トランスデューサ11に蓄えられていたエネルギーと等しい)とできる。ただし、反転開始時と反転終了時においては反転用キャパシタCrvに蓄えられているエネルギーは0でなくてもかまわない。
時刻t3は、コイル電流icが0となる時刻を過ぎた時刻(ただし、スイッチSWの接点cは接点bに接続されている)を示している。この時刻t3には、図8(C)に示すように、反転用キャパシタCrvの充電電荷は放出されつつあり、コイル電流icの向きは負から正に反転している。このとき、ダイオードD2は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icが、ダイオードD2を介して流れることはない。
時刻t4では、反転用キャパシタCrvの充電電荷が0になり、反転用キャパシタCrvが磁歪トランスデューサ11から切り離される。
時刻t4直前においては、コイル電流icは正の向きに流れているので、反転用キャパシタCrvの充電電荷が0になった時点で、コイル電流icは、図8(D)に示すように、グランドGND、磁歪トランスデューサ11、スイッチSWのc接点端子・a接点端子、ダイオードD2、グランドGNDを介してループする。
時刻t5では、スイッチSWの接点cは、接点bから接点aへの接続に切り替えられ、反転用キャパシタCrvが磁歪トランスデューサ11に接続される。時刻t2は、コイル電流icが負かつコイル電流icの時間微分が正から負になる時刻とすることもできる。この切り替えにより、図8(E)に示すように、コイル電流icはもとの電流の向きを維持しようとする。このとき、ダイオードD1は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icは、グランドGND、磁歪トランスデューサ11、反転用キャパシタCrv、グランドGNDの順でループする。
時刻t6は、コイル電流icが0となる時刻を過ぎた時刻(ただし、スイッチSWの接点cは接点aに接続されている)を示している。この時刻t6には、図8(F)に示すように、反転用キャパシタCrvの充電電荷は放出されつつあり、コイル電流icの向きは負から正に反転している。このとき、ダイオードD1は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icが、ダイオードD1を介して流れることはない。
この後、反転用キャパシタCrvの充電電荷が全て放出されると、コイル電流Icは図8(A)に示すように流れるようになる。
コイル電流icの反転制御が容易に行われる。これにより、制御装置13の構成(または制御装置13を動作させるプログラムの構成)が簡素化される。
以下、本発明の振動エネルギー収集装置の第2実施形態を説明する。
図9は振動エネルギー収集装置1Bの概略を示す図である。
図9に示すように、振動エネルギー収集装置1Bは、磁歪トランスデューサ11とコイル電流反転回路12と制御装置13とからなる。
図9では、振動源となる構造体15を振動マス151と構造剛性体152とで示してある。
磁歪トランスデューサ11の構成は、図5に示した磁歪トランスデューサ11の構成と同じである。
第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、振動エネルギー収集装置1Bでも、磁歪トランスデューサ11の両端子には電流反転回路12が接続されるとともに、負荷回路14も接続されている。負荷回路14は、コイル電流が流れる経路であれば、エネルギー変換装置1Aの何れの箇所に設けることができる。
電流反転回路12は、単極双投型(SPDT型)のスイッチSWと、反転用キャパシタCrv1,Crv2と、ダイオードD1,D2とから構成されている。
スイッチSWの構成は、第1実施形態において使用されているスイッチSWと同じであり、その機能も第1実施形態において使用されているスイッチSWと概ね同じである。
スイッチSWのc接点端子は磁歪トランスデューサ11の一方の端子(グランドGNDと反対側の端子)に接続されている。
スイッチSWのa接点端子と磁歪トランスデューサ11のグランGND側の端子には、カソードがa接点端子を向くダイオードD1と反転用キャパシタCrv1との並列接続回路が接続されている。また、スイッチSWのb接点端子と磁歪トランスデューサ11のグランGND側の端子には、アノードがb接点端子を向くダイオードD2と反転用キャパシタCrv1との並列接続回路が接続されている。
第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、図9の振動エネルギー収集装置1Bでも、コイル111のインダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvは、コイル電流反転のためのRLC回路を構成する。このRLC回路の電気的な自由振動の周期をτとする。また、第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、図9の振動エネルギー収集装置1Bでも、このRLC回路は自由振動の振幅が小さくならないように、インダクタLmと抵抗rm、および反転用キャパシタCrvの値が選ばれている。
第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、図9の振動エネルギー収集装置1Bでも、制御装置13は、磁歪トランスデューサ11の出力電圧vt、コイル電流icおよび振動マス151の振動を検知するセンサ情報を検出しており、PD制御等の制御手法によりスイッチSWの制御を行っている。
以下、図10、図11および図12を参照しながら、図9の振動エネルギー収集装置1Bの動作を説明する。
なお、第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、図9の振動エネルギー収集装置1Bでも、グランドGNDから磁歪トランスデューサ11に流れるコイル電流icの向きを正、磁歪トランスデューサ11からグランドGNDに流れるコイル電流icの向きを負とする。
図10(A)は、磁歪材112の変位dとコイル111に流れる電流(コイル電流)icとの関係を示す波形図、図10(B)はスイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図11(A)は、コイル111に生じる誘導起電力vmを示す図であり、図11(B)は、磁歪材112の変位dおよびコイル電流icを示す図である。図11(B)においては、β1およびβ2部分の拡大図を併記する。
図11(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図12は、図11(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。
なお、第1実施形態の振動エネルギー収集装置1Aと同様、振動エネルギー収集装置1Bでも、理解を容易にするために、磁歪トランスデューサ11から負荷回路14への電力供給を無視する。したがって、図12では負荷回路14は図示しない。
図9の振動エネルギー収集装置1Bにおいて、磁歪材112に繰り返しの応力または歪が与えられると、磁歪材112の変位dに応じてコイル111には誘導起電力vmが生じる。
図11(A)はコイル111に生じる誘導起電力vmを示している。
図9の振動エネルギー収集装置1Bでは、コイル111に蓄えられているエネルギーが反転用キャパシタCrv1またはCrv2に一時的に収容され、この収容されたエネルギーがコイル111に戻される際に電流の向きが反転するように、制御装置13がスイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)を制御する。
これにより、コイル111に蓄積されるエネルギー(ic・Lm/2ジュール)を増大させることができる。
以下、図11(A)に示した時刻t1−t6における、コイル電流反転回路12の動作を詳細に説明する。
まず、コイル電流icが負でその振幅が大きい時刻t1においては、図12(A)に示すように、スイッチSWは接点cが接点aに接続されており、コイル電流icは、グランドGND、ダイオードD1、スイッチSWのa接点端子・c接点端子、磁歪トランスデューサ11、グランドGNDの順でループしている。なお、このときには、反転用キャパシタCrvは充電されていない。
次に、制御装置13がスイッチSWの切り替えの命令を出す時刻t2において、スイッチSWの接点cは、接点aから接点bへの接続に切り替えられ、反転用キャパシタCrv2が磁歪トランスデューサ11に接続される。時刻t2は、コイル電流icが負かつコイル電流icの時間微分が正から負になる時刻とすることもできる。
この切り替えにより、コイル電流icは、図12(B)に示すように、もとの電流の向きを維持しようとする。このとき、ダイオードD2は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icは、グランドGND、反転用キャパシタCrv2、スイッチSWのb接点端子・c接点端子、磁歪トランスデューサ11、グランドGNDの順でループする。
前述したように、インダクタLmと抵抗rmと反転用キャパシタCrvとは、RLC共振回路(共振周期をτとする)を構成している。
図9の振動エネルギー収集装置1Bでは、τ/4の時間で、磁歪トランスデューサ11に蓄えられていたエネルギー(ic・Lm/2ジュール)が反転用キャパシタCrv2に転送され、つぎのτ/4の時間で反転用キャパシタCrv2に蓄えられたエネルギーが、磁歪トランスデューサ11に戻される。
なお、理論上は、反転開始時と反転終了時においては反転用キャパシタCrv2に蓄えられているエネルギーは0であり、コイル電流icが0となる時点で反転用キャパシタCrv2に蓄えられているエネルギーは最大(磁歪トランスデューサ11に蓄えられていたエネルギーと等しい)とできる。ただし、反転開始時と反転終了時においては反転用キャパシタCrvに蓄えられているエネルギーは0でなくてもかまわない。
時刻t3は、コイル電流icが0となる時刻を過ぎた時刻(ただし、スイッチSWの接点cは接点bに接続されている)を示している。この時刻t3には、図12(C)に示すように、反転用キャパシタCrv2の充電電荷は放出されつつあり、コイル電流icの向きは負から正に反転している。このとき、ダイオードD2は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆方向に配向されているので、コイル電流icが、ダイオードD2を介して流れることはない。
時刻t4では、反転用キャパシタCrv2の充電電荷が0になる。このとき、ダイオードD2は、コイル111の誘導起電力vmの向きに対して順方向に配向されることになるで、コイル電流icはダイオードD2を介して流れるようになる。すなわち、コイル電流icは、グランドGND、磁歪トランスデューサ11、スイッチSWのc接点端子・b接点端子、ダイオードD2、グランドGNDの順でループする。
なお、コイル電流icの反転特性は、図11(B)の自由振動波形FOに依存する。自由振動波形FOからわかるように、コイル電流icの反転開始からτ/2の時間が過ぎると、何らかの手段を講じない限り次の反転動作が開始してしまう。コイル電流icの反転が適性にできないと、磁歪トランスデューサ11に蓄積されるエネルギーを増大することができなくなる。
既に説明したように、図3の振動エネルギー収集装置9では、コイル電流icの反転が終了する時点を予測し、次の反転が生じる前(または生じたとしても速やかに)、反転用キャパシタCrvを磁歪トランスデューサ91から切り離す必要があり、制御が容易ではなかった。
これに対して、図9の振動エネルギー収集装置1Bでは、反転用キャパシタCrv2が電荷の放出を終了した時点、すなわち、コイル電流icの反転が終了した時点で、反転用キャパシタCrv2が磁歪トランスデューサ11から自動的に切り離されるので、コイル電流icの反転制御が容易に行われる。
時刻t5では、スイッチSWの接点cは、接点bから接点aへの接続に切り替えられ、反転用キャパシタCrv1が磁歪トランスデューサ11に接続される。この切り替えにより、図8(E)に示すように、コイル電流icはもとの電流の向きを維持しようとする。このとき、ダイオードD1は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆向きに配向されているので、コイル電流icは、グランドGND、磁歪トランスデューサ11、スイッチSWのc接点端子・a接点端子、反転用キャパシタCrv1、グランドGNDの順でループする。
時刻t6は、コイル電流icが0となる時刻を過ぎた時刻(ただし、スイッチSWの接点cは接点aに接続されている)を示している。この時刻t6には、図8(F)に示すように、反転用キャパシタCrv1の充電電荷は放出されつつあり、コイル電流icの向きは負から正に反転している。このとき、ダイオードD1は、コイル111の誘導起電力vmの向きとは逆向きに配向されているので、コイル電流icが、ダイオードD1を介して流れることはない。
この後、反転用キャパシタCrv1の充電電荷が全て放出されると、コイル電流Icは図8(A)に示すように流れるようになる。
以上述べたように、本発明では振動エネルギー収集装置1Aまたは1Bの制御における、磁歪トランスデューサ11に対する反転用キャパシタCrvの切り離しを自動で行うことができるので、磁歪トランスデューサに蓄積される電流を効率良く増大させることができる。
1A,1B エネルギー収集装置
11 磁歪トランスデューサ
111 コイル
112 磁歪材
12 コイル電流反転回路
13 制御装置
14 負荷回路
Rm 抵抗
Lm インダクタ
vm 電圧源
Crv 反転用キャパシタ
SW スイッチ
ic コイル電流

Claims (5)

  1. 繰り返しの応力または歪が生じる磁歪材と、前記磁歪材に設けられたコイルとからなる磁歪トランスデューサ、および、
    前記コイルの両端子間に接続され、所定のタイミングで前記コイルに流れる電流の向きを反転させるコイル電流反転回路、
    を備えて構成され、
    前記コイル電流反転回路は、前記トランスデューサとの間でエネルギーの受け渡しを行うエネルギー蓄積部と、当該受け渡しを制御するスイッチ回路とを備え、
    前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサに接続することで、前記磁歪トランスデューサに蓄えられているエネルギーを前記エネルギー蓄積部に送出するとともに、
    前記エネルギー蓄積部に送出されて蓄積されたエネルギーを前記コイルに流れる電流の向きを反転させて前記磁歪トランスデューサに送り返し、
    前記送り返しが終了したときに、前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサから切り離すことで、前記磁歪トランスデューサに流れる電流の反転状態を補償する、
    エネルギー収集装置であって、
    前記スイッチ回路は、
    前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサへの接続を前記スイッチ回路のスイッチングにより行い、
    前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサからの切り離しを、前記送り返しの完了により自律動作する切り離し回路により行う、
    エネルギー収集装置。
  2. 請求項1に記載の振動エネルギー収集装置において、
    前記スイッチ回路(半導体スイッチ回路,機械スイッチ)は、単極双投型スイッチと、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
    前記エネルギー蓄積部は、前記磁歪トランスデューサに並列に接続されているキャパシタからなる、
    振動エネルギー収集装置。
  3. 請求項2に記載の振動エネルギー収集装置において、
    前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
    振動エネルギー収集装置。
  4. 請求項1に記載の振動エネルギー収集装置において、
    前記スイッチ回路(半導体スイッチ回路,機械スイッチ)は、単極双投型スイッチ(a接点またはb接点の何れかにc接点が接続されるスイッチ)と、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
    前記エネルギー蓄積部は、前記2つの一方向導通回路にそれぞれ並列に接続された2つのキャパシタからなる、
    振動エネルギー収集装置。
  5. 請求項4に記載の振動エネルギー収集装置において、
    前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
    振動エネルギー収集装置。
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