JP6864318B2 - 振動吸収装置 - Google Patents
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Description
特に、本発明は、磁歪トランスデューサのコイルに流れる電流の向きを反転させることで、この磁歪トランスデューサに蓄積されるエネルギーを増大させ、これにより構造体等の振動を吸収することができる前記振動吸収装置に関する。
図1は、磁歪トランスデューサを用いた典型的な振動吸収装置の説明図である。
図1において、振動吸収装置8は、磁歪トランスデューサ81と、負荷回路84と、構造体85とからなる。
磁歪トランスデューサ81は、コイル811と磁歪材812とからなる。
構造体85は、振動マス851と構造剛性体852で表されている。振動マス851はバネとして機能する構造剛性体852により支えられており、加振外力EFが加えられることで振動マス851は振動し、この振動は磁歪材812に伝えられる。なお、加振外力EFがなくとも、構造体85が取り付けられている床面が振動したり変形したりすることでも、振動マス851は振動し、この振動は磁歪材812に伝えられる。
しかし、図2のように磁歪トランスデューサ81に負荷回路84を接続しただけでは電力(エネルギー)の収集は極めてわずかであり、振動吸収効率は極めて低い。
この振動吸収装置9は、図3に示すように、磁歪トランスデューサ91とコイル電流反転回路92と制御装置93とからなる。
図3では、振動源となる構造体95を振動マス951と構造剛性体952とで示してある。
磁歪トランスデューサ91は、電圧源vmとインダクタLmと抵抗Rmとの直列接続回路で表される。
電流反転回路92は、単極双投型(SPDT型)のスイッチSWと反転用キャパシタCrvとから構成されている。
後述するように、スイッチSWは、磁歪トランスデューサ91の出力電圧vt、コイル電流icおよび振動マス951の振動を検知するセンサ情報に応じて、コイル電流icの向きを反転させるように、制御装置93により制御される。
スイッチSWは、制御装置93からの制御信号DSに応じて接点cを接点aまたは接点bに接続することができる。
図3の振動吸収装置9では、制御装置93は、磁歪トランスデューサ91の出力電圧vt、コイル電流ic、振動情報(変位量と時間の関数)を検出しており、これらの検出結果に基づき、PD制御等の制御手法によりスイッチSWの制御を行っている。
図3において、磁歪材912に繰り返しの応力または歪が与えられると、磁歪材912の変位dに応じてコイル911には誘導起電力vmが生じる。
図4(A)は、コイル911に生じる誘導起電力vmを示し、図4(B)は、磁歪材912の変位dおよびコイル電流icを示し、図4(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示している。図4(C)においては、α1およびα2部分の拡大図を併記する。
これにより、コイル911に蓄積されるエネルギー(ic2・Lm/2ジュール)を増大させることができ、構造体95の振動を効率良く吸収することができる。
コイル電流icの反転が適性にできないと、磁歪トランスデューサ91に蓄積されるエネルギーを増大することができなくなる。
このため、図3の振動吸収装置9では、コイル電流icの反転が終了する時点を予測し、次の反転が生じる前に(または生じたとしても速やかに)、反転用キャパシタCrvを磁歪トランスデューサ91から切り離す必要がある。
本発明の目的は、磁歪トランスデューサに対する反転用キャパシタの接続および切り離しを所定タイミングで繰り返し行う振動吸収制御において、前記磁歪トランスデューサに対する前記反転用キャパシタの切り離しを自動で行うことで、磁歪トランスデューサに蓄積される電流を効率良く増大させること、すなわち構造体等に生じた振動エネルギーを効率良く電気エネルギーに変換することである。
(1)
繰り返しの応力または歪が生じる磁歪材と、前記磁歪材に設けられたコイルとからなる磁歪トランスデューサ、および、
前記コイルの両端子間に接続され、所定のタイミングで前記コイルに流れる電流の向きを反転させるコイル電流反転回路、
を備えて構成され、
前記コイル電流反転回路は、前記トランスデューサとの間でエネルギーの受け渡しを行うエネルギー蓄積部と、当該受け渡しを制御するスイッチ回路とを備え、
前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサに接続することで、前記磁歪トランスデューサに蓄えられているエネルギーを前記エネルギー蓄積部に送出するとともに、
前記エネルギー蓄積部に送出されて蓄積されたエネルギーを前記コイルに流れる電流の向きを反転させて前記磁歪トランスデューサに送り返し、
前記送り返しが終了したときに、前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサから切り離すことで、前記磁歪トランスデューサに流れる電流の反転状態を補償する、
振動吸収装置であって、
前記スイッチ回路は、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサへの接続を前記スイッチ回路のスイッチングにより行い、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサからの切り離しを、前記送り返しの完了により自律動作する切り離し回路により行う、
振動吸収装置。
構造体から発生する振動エネルギーは、電気エネルギーに変換されることで、当該構造体の振動は振動吸収装置により吸収される。本発明の振動吸収では、抵抗等の負荷は必須の構成要件ではない。
(1)に記載の振動吸収装置において、
前記エネルギー蓄積部は、前記磁歪トランスデューサに並列に接続されているキャパシタからなる、
振動吸収装置。
(2)に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
振動吸収装置。
(1)に記載の振動吸収装置において、
前記エネルギー蓄積部は、前記2つの一方向導通回路にそれぞれ並列に接続された2つのキャパシタからなる、
振動吸収装置。
(4)に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
振動吸収装置。
図5は振動吸収装置1Aの概略を示す図である。
図5に示すように、振動吸収装置1Aは、磁歪トランスデューサ11とコイル電流反転回路12と制御装置13とからなる。
図5では、振動源となる構造体15を振動マス151と構造剛性体152とで示してある。
磁歪トランスデューサ11は、電圧源vmとインダクタLmと抵抗Rmとの直列接続回路で表される。
電流反転回路12は、単極双投型(SPDT型)のスイッチSWと、反転用キャパシタCrvと、ダイオードD1,D2とから構成されている。
反転用キャパシタCrvが本発明におけるエネルギー蓄積部に相当し、スイッチSWとダイオードD1,D2が本発明におけるスイッチ回路を構成している。
スイッチSWは、半導体スイッチであってもよいし、リレー等から構成した機械スイッチであってもよい。
スイッチSWは、可動接点cと固定接点a,bを備えており、制御装置13からの制御信号DSに応じて接点cを接点aまたは接点bに接続することができる。
図7(A)は、コイル111に生じる誘導起電力vmを示す図である。
図7(B)は、磁歪材112の変位dおよびコイル電流icを示す図である。図7(B)においては、β1およびβ2部分の拡大図を併記する。
図7(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図8は、図7(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。
図7(A)はコイル111に生じる誘導起電力vmを示している。
これにより、コイル111に蓄積されるエネルギー(ic2・Lm/2ジュール)を増大させることができる。
この後、反転用キャパシタCrvの充電電荷が全て放出されると、コイル電流Icは図8(A)に示すように流れるようになる。
コイル電流icの反転制御が容易に行われる。これにより、制御装置13の構成(または制御装置13を動作させるプログラムの構成)が簡素化される。
図9は振動吸収装置1Bの概略を示す図である。
図9に示すように、振動吸収装置1Bは、磁歪トランスデューサ11とコイル電流反転回路12と制御装置13とからなる。
図9では、振動源となる構造体15を振動マス151と構造剛性体152とで示してある。
磁歪トランスデューサ11の構成は、図5に示した磁歪トランスデューサ11の構成と同じである。
スイッチSWのc接点端子は磁歪トランスデューサ11の一方の端子(グランドGNDと反対側の端子)に接続されている。
図11(C)は、スイッチSWの接続状態(c−aまたはc−b)の変化を示す図である。
図12は、図11(A)の時刻t1−t6におけるコイル電流反転回路12の動作を示す説明図である。
図11(A)はコイル111に生じる誘導起電力vmを示している。
これにより、コイル111に蓄積されるエネルギー(ic2・Lm/2ジュール)を増大させることができる。
この後、反転用キャパシタCrv1の充電電荷が全て放出されると、コイル電流Icは図8(A)に示すように流れるようになる。
11 磁歪トランスデューサ
111 コイル
112 磁歪材
12 コイル電流反転回路
13 制御装置
Rm 抵抗
Lm インダクタ
vm 電圧源
Crv 反転用キャパシタ
SW スイッチ
ic コイル電流
Claims (5)
- 繰り返しの応力または歪が生じる磁歪材と、前記磁歪材に設けられたコイルとからなる磁歪トランスデューサ、および、
前記コイルの両端子間に接続され、所定のタイミングで前記コイルに流れる電流の向きを反転させるコイル電流反転回路、
を備えて構成され、
前記コイル電流反転回路は、前記トランスデューサとの間でエネルギーの受け渡しを行うエネルギー蓄積部と、当該受け渡しを制御するスイッチ回路とを備え、
前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサに接続することで、前記磁歪トランスデューサに蓄えられているエネルギーを前記エネルギー蓄積部に送出するとともに、
前記エネルギー蓄積部に送出されて蓄積されたエネルギーを前記コイルに流れる電流の向きを反転させて前記磁歪トランスデューサに送り返し、
前記送り返しが終了したときに、前記エネルギー蓄積部を前記磁歪トランスデューサから切り離すことで、前記磁歪トランスデューサに流れる電流の反転状態を補償する、
振動吸収装置であって、
前記スイッチ回路は、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサへの接続を前記スイッチ回路のスイッチングにより行い、
前記エネルギー蓄積部の前記磁歪トランスデューサからの切り離しを、前記送り返しの完了により自律動作する切り離し回路により行う、
振動吸収装置。 - 請求項1に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路(半導体スイッチ回路,機械スイッチ)は、単極双投型スイッチと、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
前記エネルギー蓄積部は、前記磁歪トランスデューサに並列に接続されているキャパシタからなる、
振動吸収装置。 - 請求項2に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
振動吸収装置。 - 請求項1に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路は、単極双投型スイッチ(a接点またはb接点の何れかにc接点が接続されるスイッチ)と、二つの一方向導通回路からなり、前記単極双投型スイッチの単極端子は前記磁歪トランスデューサの一方端に接続され、前記単極双投型スイッチの双投端子は相互に逆極性に配向した前記2つの一方向導通回路を介して前記磁歪トランスデューサの他方端に接続され、
前記エネルギー蓄積部は、前記2つの一方向導通回路にそれぞれ並列に接続された2つのキャパシタからなる、
振動吸収装置。 - 請求項4に記載の振動吸収装置において、
前記スイッチ回路の前記二つの一方向導通回路はダイオードにより構成されている、
振動吸収装置。
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