JP2018120184A - 画像校正色標及び画像校正色標製造方法 - Google Patents

画像校正色標及び画像校正色標製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色標と病理標本との撮像環境の変化を抑制し、かつ色標のデジタル画像の撮像の工程における効率を上げることが可能な画像校正色標を提供する。【解決手段】画像校正色標1は、検査試料(病理標本)200を載せる透明部材(スライドガラス)100表面に顕微鏡の一視野に全体が含まれる大きさで形成され、透明部材100上に載せる検査試料200の撮像画像の色を校正するために用いられる、少なくとも3つの異なる色の色標パッチ1−1〜1−6を含んで構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、撮像画像の色の校正に用いる画像校正色標及び画像校正色標製造方法に関する。
病理診断医学は、病気の原因や発生機序の解明や病気の診断(病理診断)を目的とし、特に細胞、組織及び臓器の病理標本を、肉眼あるいは顕微鏡によって観察して診断を行なう医学の一分野である。
近年、上記病理診断医学において、デジタルカメラなどの撮像装置により、顕微鏡の視野範囲におけるスライドガラス上の病理標本の画像をデジタルカラー画像(以下、単にデジタル画像)として撮像し、表示装置の表示画面にこのデジタル画像を表示して、病理医師が病理診断を行なっている。
厚生労働省は、デジタル画像を用いた病理診断の検査において、診断の正確性を期すために、一人の病理医師の診断結果を採用するのではなく、他の病理医師も診断を行なうダブルチェックの必要性を求めている。
しかし、病理医師の数が全国的に少なく、一つの医療施設に2人以上の病理医師が常駐する病院数は、日本全体の病院の5%にも満たない(2015年度の厚生労働省データ)。そのため、現状においては、異なる医療施設の病理医師の間において、ダブルチェックが行なわれている。
このダブルチェックにおいて、病理診断を行なった病理医師は、ダブルチェックを行なう他の病理医師に対し、病理標本のデジタル画像を送信する。このとき、顕微鏡、撮像装置及び表示装置の各々の特性が、病理医師間の保有する装置間で異なる場合、病理標本のデジタル画像における画質や色再現の特性が均一に保てない。
このため、現状としては、ダブルチェックを行なう病理医師に対して、病理標本の現物を送付し、ダブルチェックとしての病理診断が行なわれている。
上述した問題を解決するため、病理標本のデジタル画像の色を校正するため、校正用の色標が作成されている(例えば、非特許文献1)。
この校正用の色標は、デジタル画像の色の校正に用いられる。この結果、病理標本のデジタル画像から予測する三刺激値は、実際の測定した三刺激値に対して、色差ΔEabを5から8の範囲内に抑制される。これにより、病理医師間における病理診断のダブルチェックを、病理標本のデジタル画像を用いて行なうことが可能となる。
Yuri Murakami, Hikaru Gunji, Fumikazu Kimura, Masahiro Yamaguchi, Yoshiko Yamashita, Akira Saito, Tokiya Abe, Michiie Sakamoto, Pinky A. Bautista, Yukako Yagi. "Color correction in whole slide digital pathology." 20th Color and Imaging Conference: Color Science and Engineering Systems, Technologies, and Applications, CIC 2012 - Los Angeles, CA, United States, 2012, Color and Imaging Conference Final Program and Proceedings:253-258.
しかしながら、上述した非特許文献1における色標は、カラーフィルムを用いて作成されているため、サイズが14.8(mm)×14.8(mm)と大きく、病理標本と同一のスライドガラス上に配置されているわけでなく、異なるスライドガラスに形成されている。このため、色標のデジタル画像を撮像した後、色標の形成されたスライドガラスを外し、病理標本が取り付けられたスライドガラスを顕微鏡にセットする処理が必要となる。
これにより、色標及び病理標本の各々の撮像における撮像環境(光源環境)が変化し、色標を用いた病理標本のデジタル画像における色の校正を正確に行なうことができなくなる。
また、非特許文献1における色標は、サイズが大きく、顕微鏡の一視野に色標の全体が入らないため、色標を構成する色標パッチを一つずつ別々に撮像する必要がある。また、色標と病理標本における撮像倍率を変化させる必要もあり、色標のデジタル画像の撮像に手間がかかり、色標のデジタル画像の撮像の工程における効率が低下する。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、色標と病理標本との撮像環境の変化を抑制し、かつ色標のデジタル画像の撮像の工程における効率を上げることが可能な画像校正色標及び画像校正色標製造方法を提供する。
上述した課題を解決するために、本発明の画像校正色標は、検査試料を載せる透明部材表面に顕微鏡の一視野に全体が含まれる大きさで形成され、当該透明部材上に載せる前記検査試料の撮像画像の色を校正するために用いられる、少なくとも3つの異なる色の色標パッチを含んで構成されていることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記3つの異なる色が、光の3原色である色成分R、色成分G及び色成分Bであることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記顕微鏡の前記検査試料の観察の際の倍率に対応し、前記一視野に入る大きさで形成されていることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記色標パッチの色の各々が、前記検査試料の撮像画像における色度を包含する色度であることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記色標パッチの色の各々が、xy色度座標系における色度図の外周近傍の座標値となる色度を有することを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記3つの異なる色の色標パッチに加え、前記検査試料の色度に対応した色の他の色標パッチを、前記透明部材表面に設けることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記他の色標パッチの色が、少なくとも前記3つの異なる色の各々の補色のいずれか、あるいは組合わせであることを特徴とする。
本発明の画像校正色標は、前記色標パッチに加え、前記撮像画像のガンマ補正に用いる、グレースケールにおける複数の階調のガンマ補正用パッチを、前記透明部材表面に設けることを特徴とする。
本発明の画像校正色標製造方法は、検査試料が載せられる透明部材表面に顕微鏡の一視野に全体が含まれる大きさで形成される画像校正色標を形成する画像校正色標製造方法であり、透明部材表面に少なくとも3つの異なる色に対応するカラーレジストを順次塗布し、フォトリソグラフィ法により、前記画像校正色標における前記異なる色の各々の色標パッチを順次形成することにより、前記画像校正色標を形成することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、色標と病理標本との撮像環境の変化を抑制し、かつ色標のデジタル画像の撮像の工程における効率を上げることが可能な画像校正色標及び画像校正色標製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による画像校正色標の構成例を示す概念図である。 本実施形態による画像校正色標1における色標パッチ1−1から色標パッチ1−6の各々のCIExyY色度座標データを示すテーブルの図である。 本実施形態におけるガンマ補正用パッチの分光スペクトルデータを示す図である。 本実施形態の画像校正色標1の製造方法を説明する図である。 本実施形態による画像校正色標1とRosco社の校正用色標との予測精度について比較した結果を示すテーブルである。 本実施形態による画像校正色標1とRosco社の校正用色標との予測精度について比較した結果を示すテーブルである。 校正システムにおける撮像した標本画像の色の校正を説明する概念図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の画像校正色標は、病理診断を行なう際に、病理標本(検査試料)が取り付けられる、透明部材としてのスライドガラス上あるいはフィルム上に形成される。図1は、本発明の一実施形態による画像校正色標の構成例を示す概念図である。
本実施形態においては、一例として、顕微鏡で病理標本を観察する際に用いられるスライドガラス100上に形成された構成として、画像校正色標1を説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態においては、スライドガラス100表面に、画像校正色標1が形成されている。画像校正色標1が設けられたスライドガラス100に対し、病理標本200が取り付けられる。すなわち、本実施形態の場合、画像校正色標1と病理標本200との各々は、同一のスライドガラス100に配置された状態である。ここで、病理標本200はスライドガラス100に載せられて(乗せられて)配置され、画像校正色標1はスライドガラス100に形成されて配置されている。この画像校正色標1を撮像したデジタル画像(以下、色標デジタル画像と示す)撮像により、撮像された病理標本200のデジタル画像(以下、標本デジタル画像と示す)における色の校正を行なう(詳細は後述)。病理標本は、例えば、免疫組織化学染色法によって、染色されている。
画像校正色標1は、複数の色の色標1−1から色標パッチ1−6の各々から構成されている。本実施形態においては、色標パッチ1−1の色は、RGB表色系の3原色における色成分R(red:赤)である。色標パッチ1−2の色は、RGB表色系の3原色における色成分G(green:緑)である。色標パッチ1−3の色は、RGB表色系の3原色における色成分B(blue:緑)である。色標パッチ1−4の色は、色成分C(cyan:シアン)であり、色成分Rの補色である。色標パッチ1−5の色は、色成分M(magenta:マゼンタ)であり、色成分Gの補色である。色標パッチ1−6の色は、色成分Y(yellow:イエロー)であり、色成分Bの補色である。
本実施形態において、画像校正色標1としては、標本デジタル画像の色の校正に必須な色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の色標パッチ1−1、色標パッチ1−2、色標パッチ1−3それぞれの他に、補色としての色成分C、色成分M及び色成分Yの色標パッチ1−4、色標パッチ1−5、色標パッチ1−6のそれぞれが設けられている。
上記色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3は、XYZ表色系の刺激値X、刺激値Y、刺激値Zそれぞれを求めるために必ず必要となる。しかしながら、色標パッチ1−4、色標パッチ1−5及び色標パッチ1−6の各々は、刺激値X、刺激値Y、刺激値Zそれぞれを求める際に、予測の精度を向上させるために追加する構成である。したがって、本発明の画像校正色標の最小構成としては、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3の各々のみの構成である。
本実施形態においては、色標の最小の構成としては、光の3原色である色成分R、色成分G及び色成分Bの3つの異なる色の色票パッチから色票を構成するとして説明している。しかしながら、上述した光の3原色である色成分R、色成分G及び色成分Bに対して、色の3原色である色成分C、色成分M及び色成分Yとを含む6色から3色を選択して、この選択した3色を用いて、3つの異なる色の色票パッチを構成してもよい。
さらに、この光の3原色及び色の3原色の6色のみでなく、これらを混色して生成した色を、色標を構成する色標パッチの3つの異なる色として用いても良い。
また、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3に対して加える色標パッチとしては、病理標本が染色された色の色度(色度図における色度座標としての座標値)に対応していずれか一つを選択しても良い。
例えば、ヘトマキシリン-エオジン染色液で染色された病理標本の色は、色成分M(マゼンタ)系の(マゼンタに最も色度が近い)色である。このため、標本デジタル画像における色の校正を行なう際、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3に対し、色成分Mの色標パッチ1−5を加えることにより、校正の精度を向上させることができる。
例えば、撮像した標本デジタル画像の色成分R、色成分G及び色成分Bの数値から、測色値としての刺激値X、刺激値Y、刺激値Zそれぞれを、以下の(1)式により予測することを考える。(1)式において、変換行列Mは、標本デジタル画像の色成分R、色成分G及び色成分Bの数値から、刺激値X、刺激値Y、刺激値Zそれぞれを求める行列である。
Figure 2018120184
上記(1)式の変換行列M(3×4行列)を求める際、画像校正色標1に対して標準光源(例えば、CIE(国際照明委員会)やJIS(日本工業規格)などで定められている標準の光D65)を、校正色標の背面から照射した透過光を測定した刺激値X,刺激値Y及び刺激値Zの各々と、撮像された色標デジタル画像の色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の数値とを教師データとしている。教師データである刺激値X,刺激値Y及び刺激値Zの各々と、色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の数値とにより、重回帰分析などの手法を用いて、変換行列Mを求める。
このとき、病理標本の色がマゼンタ系であれば、色成分Mの色標パッチ1−5を加えることにより、マゼンタ系の色の予測の精度を向上させる変換行列Mを求めることができるため、標本デジタル画像の色の校正の精度をより高くすることができる。
上述したように、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3に加え、病理標本が染色された色の色度に対応させ、染色された色に近い色度の色標パッチを、色成分C、色成分M及び色成分Yの色標パッチ1−4、色標パッチ1−5、色標パッチ1−6のそれぞれから選択する。また、色成分M及び色成分Yの中間に、染色の色の色度が存在する場合、色成分M及び色成分Yの色標パッチ1−5、色標パッチ1−6のそれぞれを、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3に付け加えて、画像校正色標1とする。
本実施形態においては、スライドガラス100(もしくはフィルム)上に形成される色標パッチが、カラーレジストをフォトリソグラフィ法で形成している。このカラーレジストは、JIS規格のD65標準イルミナントを用いて計算されたCIE色度図のxy座標系において、色成分Rの色度がx:0.600以上、y:0.300〜0.360、ピークの立ち上がり半値波長:570nm〜620nmであり、色成分Gの色度がx:0.180〜0.240、y:0.600以上、ピーク波長:500nm〜550nmであり、色成分Bの色度がx:0.120〜0.160、y:0.100以下、ピーク波長:430nm〜480nmである。
また、組織診断、細胞診断、免疫組織化学診断等の病理学的検査における病理検体染色では、一般的にヘマトキシリン−エオジン染色液が用いられている。そして、ヘマトキシリン−エオジン染色液で染色された病理標本の色は、すでに述べたように、色成分M系の色である。このため、ヘマトキシリン−エオジン染色液で染色された標本デジタル画像の色の校正精度を高めるため、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3に対し、色成分Mの色標パッチ1−5を加える。本実施形態においては、色標パッチ1−5は、ピーク波長が400nm〜500nm および600nm〜700nmの2つの波長領域にピークを持つマゼンタ系のカラーレジストを用いて形成する。
図1(b)は、線分A−Aにおける線視断面図を示している。ブラックマトリクスを隔壁として、色標パッチ1−1、色標パッチ1−2及び色標パッチ1−3の各々が、スライドガラス100の表面に形成されている。
図1(c)は、スライドガラス100表面に形成される画像校正色標1の大きさを示す概念図である。視野250は、病理診断を行なう顕微鏡の視野を示している。本実施形態においては、全体が一視野(例えば、視野250)の範囲に包含(平面視で含まれる)されるように、画像校正色標1の大きさが設定されている。すなわち、一度の撮像により、画像校正色標1の全体が撮像された色標デジタル画像を得ることができる。
また、病理標本を撮像する倍率は、病理標本によって異なる場合がある。このため、本実施形態においては、倍率毎に対応した面積の画像校正色標1をスライドガラス100表面に形成する。すなわち、病理標本を観察する倍率に対応して、その倍率における視野250の枠内に包含される最大の大きさとなる外形で、画像校正色標1を形成する。
例えば、40倍の倍率で顕微鏡の一視野に入る画像校正色標1を形成するには、視野が500μm(φ)の視野に対応させるため、一つの色標パッチを20μmから50μm程度の正方形パターンとして加工する必要がある。
このとき、上述した各色成分に対応する色のカラーレジストをフォトリソグラフィによりパターニングして、画像校正色標1を形成する場合、アライメント精度は、±3μm程度であれば、ブラックマトリクス1−0は、パターン幅を5μmとして設けることにより、混色及び色抜けなどの発生を防止することができる。
後述する感光性着色組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によりスライドガラス100上に画像校正色標1における色標パッチの各々のパターンを形成した。すなわち、感光性着色組成物を塗布、乾燥後、露光機にてドット状の着色層を形成し、それらを必要とする色数(画像校正色標1における色標パッチの数)分繰り返した。そして、色標パッチそれぞれが重なり合わないように、ブラックマトリクスを介して隣接させて形成することにより、色成分R、色成分G、色成分B、色成分Y、色成分C、色成分Mの各々の6色からなる規則周期を持った色標パッチを形成することができた。色成分R、色成分G、色成分Bの各色標パッチは、液晶ディスプレイのAdobeRGB規格に準拠したカラーレジストを用いている。色成分Y及び色成分Cの各色標パッチには、多色カラーフィルタに用いられるカラーレジストを用いた。色成分Mの色標パッチは、山田化学工業株式会社の機能性色素染料「FDG−007」の所定量を、アクリル系透明樹脂に混入することで、専用のカラーレジストを調合して形成した。
図2は、本実施形態による画像校正色標1における色標パッチ1−1から色標パッチ1−6の各々のCIExyY色度座標データを示すテーブルの図である。図2のテーブルにおいて、形成した画像校正色標1における色標パッチ1−1から色標パッチ1−6の各々の色度座標が示されている。色度の測定には、大塚電子(株)製の分光光度計LCF−1100Mを使用した。このとき、色度の測定においては、画像校正色標1及び病理標本200が表面に配置されているスライドガラス100の後面から、画像校正色標1に対して測定のための光を照射した。この照射した光源は、標準光源のD65を用いた。図2のテーブルにおいては、色成分R(Red)、色成分G(Green)、色成分B(Blue)、色成分Y(Yellow)、色成分C(Cyan)及び色成分M(Magenta)の各々毎に、CIExyY色度座標データと、透過される光の強度が最大となる波長(λmax)とが示されている。
図1に戻り、画像校正色標1において、ガンマ補正用パッチ1−7、ガンマ補正用パッチ1−8及びガンマ補正用パッチ1−9の各々は、標本デジタル画像における各色標パッチの画像の色成分R、色成分G、色成分Bの階調度をγ(ガンマ)補正するγ補正チャートを生成するために用いる。すなわち、撮像装置の撮像したデジタル画像における画像の色成分R、色成分G、色成分Bの階調度の線形性(リニアリティ)の精度を上げるための中間のOD(optical density:光学濃度)の情報を提供するチャートを生成するために用いる。
本実施形態における画像校正色標1は、校正の精度を向上させるために、すでに述べた色標パッチに上記ガンマ補正用パッチを加えた構成として形成しても良い。
上述したγ補正を行なうためには、少なくとも2階調分のND(Neutral Density)フィルタとしてのガンマ補正用パッチが必要となる(OD=0を含めると3階調分)。本実施形態においては、ガンマ補正用パッチ1−7、ガンマ補正用パッチ1−8及びガンマ補正用パッチ1−9の各々を、OD=2.0、1.0、0.3それぞれのNDフィルタとして形成している。ここで、ガンマ補正用パッチとしては、少なくとも1個の光学濃度をOD≦0.5とし、もう一個の光学濃度をOD≧2.0とする。本実施形態においては、光学濃度がOD=0のガンマ補正用パッチは、特に形成していない。光学濃度がOD=0の階調は、スライドガラス100のクリア部分(画像校正色標1が形成されていない部分)の画像から取得する。すなわち、本実施形態におけるγ補正チャートは、OD=2.0、1.0、0.3、0.0の4階調(グレースケール)にて作成されている。
本実施形態においては、ガンマ補正用パッチ1−7、ガンマ補正用パッチ1−8及びガンマ補正用パッチ1−9の各々は、黒色レジストがフォトリソグラフィ法によりパターニングして形成されている。黒色レジストは、カーボンブラック樹脂を所定の濃度で、透明なアクリル樹脂に混合することで生成される。光学濃度の調整は、黒色レジストの膜厚及びカーボンブラック樹脂の混合比のいずれか、あるいは組合わせにより行なう。
図3は、本実施形態におけるガンマ補正用パッチの分光スペクトルデータを示す図である。縦軸はガンマ補正用パッチを光の透過率(transmittance)を示し、横軸は透過する光の波長(wavelength)を示している。
図3において、光学濃度がOD=2.0のガンマ補正用パッチの測定曲線は実線で示されている。また、光学濃度がOD=1.0のガンマ補正用パッチの測定曲線は破線で示されている。光学濃度がOD=0.3のガンマ補正用パッチの測定曲線が点線で示されている。光学濃度がOD=2.0のガンマ補正用パッチのCIExyY色度におけるY(明度)座標がY=0.6である。また、光学濃度がOD=1.0のガンマ補正用パッチのCIExyY色度におけるY座標がY=10である。光学濃度がOD=0.3のガンマ補正用パッチのCIExyY色度におけるY座標がY=50である。図3から判るように、低い光学濃度のNDフィルタとしてのガンマ補正用パッチが作成されている。
また、本実施形態においては、画像校正色標1における各々の色成分の色標パッチを、カラーレジストをフォトリソグラフィ法によりパターニングすることで形成している。しかしながら、スライドガラス上において、顕微鏡の一視野に包含される大きさで、画像校正色標1を形成することができれば、インクジェット法、印刷法、エッチング法、転写法、電着法など何れの方法、またはフォトリソグラフィ法を含めて、これらの手法を併用して作製してもかまわない。しかしながら、上述した各法において、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色組成物を透明基板上に塗布成膜して着色層を形成し、着色層をパターン露光、現像することで一色の画素を形成する工程を、各色毎に繰り返し行うフォトリソグラフィ法が好ましい。
図4は、本実施形態の画像校正色標1の製造方法を説明する図である。図4(a)から図4(h)の各々は、製造工程におけるそれぞれの段階における画像校正色標1の断面図を示している(図1(b)と同様の位置の断面図である)。
図4(a)の工程において、画像校正色標1を形成する前工程としてスライドガラス100の洗浄を行なう。以下、スライドガラス100の表面100Sに対し、画像校正色標1を形成する工程として説明する。したがって、顕微鏡による病理標本200の観察の際、裏面100Bから表面100Sに向かい、光源から光が照射される。
図4(b)の工程において、ブラックマトリクス1−0のパターンを形成するため、表面100Sに対して、樹脂BMレジスト(ネガ型のフォトレジスト)300を塗布する。
そして、所定の温度(例えば50℃から120℃)により、表面100S上の樹脂BMレジスト300のプリベーク(1分〜5分程度の加熱処理)を行う。
図4(c)の工程において、フォトマスク500を介して、高圧水銀灯などが発生する紫外線600を、樹脂BMレジスト300に照射することで、パターン501で遮蔽される領域以外の樹脂BMレジスト300の露光を行なう。
図4(d)の工程において、アルカリ性水溶液からなる現像液を用いて、露光された樹脂BMレジスト300の現像処理を行う。このアルカリ性水溶液からなる現像液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、さらに、この水溶液に適当な界面活性剤などを加えたものが用いられる。そして、現像により樹脂BMレジスト300のパターン301を、現像後、水洗及び乾燥させる。次に、パターン301のベークを行なって硬化させることにより、ブラックマトリクス1−0が、スライドガラス100の表面100Sに形成される。
図4(e)の工程において、色成分Rの色標パッチ1−1を形成するため、表面100S及びブラックマトリクス1−0の各々に対して、REDカラーレジスト(ネガ型のフォトレジスト)310を塗布する。
そして、所定の温度(例えば50℃から120℃)により、表面100S上及びブラックマトリクス1−0上のREDレジスト310のプリベーク(1分〜5分程度の加熱処理)を行う。
図4(f)の工程において、フォトマスク510を介して、上記紫外線600を、REDレジスト310に照射することで、パターン511で遮蔽される領域以外のREDレジスト310の露光を行なう。
図4(g)の工程において、図4(d)と同様の現像液を用いて、露光されたREDレジスト310の現像処理を行う。そして、現像によりREDレジスト310のパターン311を、現像後、水洗及び乾燥させる。次に、パターン311のベークを行なって硬化させることにより、色成分Rの色標パッチ1−1が、スライドガラス100の表面100Sの所定のブラックマトリクス1−0の枠内に形成される。
図4(h)の工程において、 色成分Gの色標パッチ1−2及び色成分Bの色標パッチ1−3 の各々は、図4(e)から図4(g)の工程を、GREENカラーレジスト、BLUEカラーレジストそれぞれで繰り返すことにより生成される。
また、必要であれば、色成分Yの色標パッチ1−6、色成分Cの色標パッチ1−4及び色成分Mの色標パッチ1−5も、それぞれのYELLOWカラーレジスト、CYANカラーレジスト、MAGENTAカラーレジストそれぞれで、図4(e)から図4(g)の工程を順次繰り返すことにより形成することができる。さらに、ガンマ補正用パッチ1−7からガンマ補正用パッチ1−9の各々も、階調に対応した黒色レジスト毎に、図4(e)から図4(g)の工程を順次繰り返すことにより形成できる。
次に、上述の画像校正色標1の製造方法で説明した各色成分のカラーレジスト(感光性着色組成物)の作製方法について説明する。
本実施形態において、画像校正色標1に用いられる色標パッチの各々は、感光性着色組成物を調製してフォトリソグラフィ法により形成している。このフォトリソグラフィ法により形成する場合は、例えば、以下に示す組成の感光性樹脂組成物を用いて形成することができる。この感光性樹脂組成物では、着色層(色標パッチ)の色成分となる顔料を透明な樹脂中に光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させる。分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり、特に限定されるものではない。以下、その材料について説明する。
・有機顔料、無機顔料、染料
本実施形態における感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す
色成分Rの色標パッチ1−1の赤色フィルタセグメント(画素)を形成するための赤色着色層組成物には、例えばC.I.Pigment Red1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、81:x、83、88、90、97、112、119、122、123、146、149、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、184、185、187、188、190、192、200、202、206、207、208、209.210、215、216、217、220、22
3、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。また、赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を併用することができる。
上記黄色顔料としてはC.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
上記榿色顔料としてはC.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73等が挙げられる。
色成分Gの色標パッチ1−2の緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 1、1:x、2、2:x、4、7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
色成分Bの色標パッチ1−3の青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 1、1:2、1:x、9:x、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、24、24:x、56、60、61、62、64、80等の着色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、1:x、3、3:3、3:x、5:1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I. Pigment Violet 23を併用することができる。
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III)、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。染料としてはポルフィリン系染料、フタロシアニン系染料等が挙げられる。
・分散剤
また、顔料を含有させる場合には、顔料を分散させるための分散剤を含有させる必要がある。分散剤としては、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、ソルスパース等が使用される。分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の配合量100質量%に対して、1〜10質量%とすることが好ましい。
・透明樹脂
着色組成物に用いることの透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が80%以上、好ましくは95%以上の樹脂である。この透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。また、透明樹脂には、必要に応じて、その前躯体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えばブチラール樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体−ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
着色組成物に用いて好適な感光性樹脂とは、ラジカル架橋性を有する樹脂のことを意味しており、少なくとも1個のエチレン不飽和二重結合を有する質量平均分子量5000〜10万の樹脂が好適に用いられる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子に、前記反応性官能基と反応可能なイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、及びスチリル基等のエチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン醸共重合物やα−オレイン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
・光重合性モノマー
光重合性モノマーとは、ラジカルにより重合が誘起されるモノマーのことであり、用いることのできる重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオルジグリシジルエテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロカラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等も用いられる。これらは単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
・重合開始剤
着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフオリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾエノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル)−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステ
ル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
・光増感剤
また、重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルレアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N’−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
・多官能チオール
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上存する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、ヂカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオブロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2(N、N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
・溶剤
着色組成物は、基板上への均一な塗布を可能とするために、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。用いて好適な有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
次に、本実施形態において作成した画像校正色標1の評価について説明する。
スライドガラス100上に形成した画像校正色標1を用いて撮影対象物の測色値の予測を行った。実験方法として、簡易的に市販のデジタルカメラとカラービューワを用いて、暗室条件下で撮影を実施した。実験条件は以下に示す。
・実験条件
撮影基材 :
デジタルカメラ : EOS-5D(キヤノン株式会社製)
撮影条件 : シャッタースピード 1/1000 秒、F2.0、ISO400
ビューワ光源 : ハロゲンランプ
撮像環境 : 暗室
また、撮影対象物は、引用文献1で用いられているRosco社の校正用色標(Color calibration slides)を対象物とし、この色標の測色値(刺激値XYZ)の推定を行なった。
すなわち、実際に、撮影対象物をデジタルカメラで撮像し、撮像された標本デジタル画像から抽出した色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の数値から、測色値である刺激値XYZがどの程度の精度で得られるかという実験を行なった。
上述した一般的なデジタルカメラにより、カラービューワにおいて、スライドガラス100の裏面100Bから表面100Sに向かい、表面100S上に配置された撮影対象物(病理標本200及び画像校正色標1)に対して光を照射し、透過した光の画像を撮像し、標本デジタル画像を得た。
すでに述べた(1)式は、得られた色成分R、色成分G及び色成分Bの各々の数値に対して、変換行列Mを乗算することにより、刺激値XYZが推定できるというのが(1)式である。
この(1)式の変換行列Mは、以下のように求める。この(1)式における右辺の行列の「1」の項は、正規化を行なうためのオフセット項である。
まず、画像校正色標1において、各色標パッチの分光透過率を測定し、光源であるビューワにより照射される光の分光分布を乗ずる。これにより、教師データとしての画像校正色標1における各色成分の色標パッチそれぞれの刺激値XYZを算出する。
次に、画像校正色標1を撮像し、デジタル画像から各色成分の色標パッチそれぞれのRGB値を抽出する。
そして、色成分の色標パッチ毎で得られたRGB値に対し、乗算することにより対応する色成分の色標パッチの教師データとしての刺激値XYZ値となる変換行列Mを、重回帰分析などの手法を用いて求める。ここで、変換行列Mを求める際、各色標パッチのRGB値は、すでに述べたγ補正チャートを用いて、線形化したRGB値を用いている。すなわち、(1)式に代入するRGB値は、全てγチャートによりガンマ補正した数値である。
図5は、本実施形態による画像校正色標1とRosco社の校正用色標(Rosco社色標)との予測精度について比較した結果を示すテーブルである。
Rosco社色標の評価結果を求めるため、Rosco社色標から変換行列M’を求める際、各色成分の色標パッチの刺激値XYZ値が予め判っている。このため、上記Rosco社色標の各色成分の色標パッチの刺激値XYZを教師データとし、Rosco社色標を撮像したデジタル画像における各色成分の色標パッチの画像から抽出したRGB値を用い、重回帰分析を行ない、Rosco社色標における変換行列M’を求めた。
そして、変換行列M及び変換行列M’の各々を、Rosco社の校正用色標のデジタル画像における各色成分の色標パッチの画像から抽出したRGB値それぞれに乗算し、測色値としての刺激値XYZ値を予測した。
色差は、教師データのXYZ値と、変換行列M(あるいは変換行列M’)から推定したXYZ値との各々をLab座標系に変換した際におけるΔEabである。
画像校正色標1から生成した変換行列Mによる色差ΔEabは、ガンマ補正の処理をした場合、Rosco社色標から生成した変換行列M’による色差ΔEabと遜色ない結果が得られた。また、Rosco社色標の各色成分の色標パッチの画像から抽出したRGB値それぞれをガンマ補正せずに、変換行列Mを乗算した際の色差ΔEabを、ガンマ補正なしとして示している。この結果、ガンマ補正をしない場合に比較し、ガンマ補正を行なった場合には、予測の精度が大幅に改善する効果が得られることが判る。
ここで、平均色差は、Rosco社色標の全ての色標パッチの色差ΔEabの平均値である。最大色差は、Rosco社色標の色標パッチにおける色差ΔEabの最大値である。
図6は、本実施形態による画像校正色標1とRosco社色標との予測精度について比較した結果を示すテーブルである。図6においては、撮影対象物を実際のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色検体を用いて染色した病理標本を用い検討を行った。サンプルとしての病理標本は、豚の食道管、肝臓、腎臓からなる病理標本を使用した。
図5と同様に、画像校正色標1から生成した変換行列Mと、Rosco社色標から生成した変換行列M’との各々を用いて色差ΔEabの評価を行なった。
ただし、生体の病理標本は、色味が均一な場所が無いため、測色値(XYZ値)の測定位置と、実際に撮像した標本デジタル画像からRGB値を抽出した位置と一致しているか否かの判定が困難である。
このため、今回は、比較結果の正確性を期すため、実際に病理標本の所定の部分の分光透過率を測定した。そして、得られた分光透過率と、撮像する際の光源の分光スペクトルと、撮像装置の分光感度(レンズあるいはCCDなどの特性により決まる)との各々が判れば、撮像装置にて撮像した画像から得られるRGB値を算出することができる。すなわち、撮像装置が有する分光感度により、スライドガラス100の裏面100Bから光が照射された際、透過する光の分光分布を求め、この分光分布の光を撮像装置で撮像するとRGB値がいくつになるかがシミュレーションできる。
上述して求めた病理標本の各箇所におけるRGB値の各々に対し、変換行列M、変換行列M’それぞれを乗算し、変換行列M(作成色標)における色差ΔEab、変換行列M’(Rosco社色標)における色差ΔEabを求めた。
上述した病理標本の各箇所とは、病理標本とした組織の場所として、豚の食道管、肝臓、腎臓の組織それぞれにおける9ポイントにおいて、各ポイントにおける細胞の核、核の周りの部分などの濃度の異なる3カ所、すなわち3×9×3=81である。
ここで、平均色差は、病理標本の1箇所の各々における色差ΔEabの平均値である。最大色差は、病理標本の81箇所における色差ΔEabの最大値である。図6のテーブルから判るように、本実施形態における画像校正色標1の変換行列Mは、Rosco社色標から生成した変換行列M’による色差ΔEabと遜色ない予測結果が得られることが判る。
上述したように、本実施形態によれば、病理標本が配置されるスライドガラスに、顕微鏡の一視野に包含されるサイズの画像校正色標を形成することができ、同一のスライドガラスに画像校正色標と病理標本との各々が配置され、倍率を変更せずとも、画像校正色標の色標デジタル画像と病理標本の標本デジタル画像との各々が撮像できるため、校正の精度を向上させ、かつデジタル画像の撮像の工程の効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、撮像装置(スキャナなどの画像読取装置も含む)や表示装置の違いによって生じる色の違いを校正し、いずれの医療施設においても、均一な画質のデジタル画像を提供することができ、遠隔病理診断における病理標本デジタル画像のダブルチェックを実現することができる。
また、本実施形態によれば、校正に用いる色数を極力抑えることが可能であり、比較的安価に校正システムを構築することができ、かつ従来の構成用色標と同等以上の精度を達成することができる。
上述した校正システムを簡単に説明する。図7は、校正システムにおける撮像した標本画像の色の校正を説明する概念図である。
ステップS1において、撮像装置により、同一のスライドガラス100上に配置された病理標本200の標本デジタル画像と、画像校正色標1の色標デジタル画像(RGB画像400)との各々を撮像する。
ステップS2において、撮像時における顕微鏡の光源の分光スペクトル(分光分布)と、画像校正色標1の色標パッチの各々の分光透過率とから測色値としての刺激値XYZを算出する。
ステップS3において、すでに述べたように、算出した刺激値XYZを教師データとして、色標デジタル画像における各色標パッチから抽出したRGB値を用いた重回帰分析により、変換行列Mを求める。
ステップS4において、標本デジタル画像における各ピクセルのRGB値に対し、順次変換行列Mを乗算する。
ステップS5において、標本デジタル画像(検体側)におけるそれぞれのピクセルの刺激値XYZが求められ、XYZ画像450が生成される。
ステップS6において、表示装置(モニタ)800に表示する場合、XYZ画像の各ピクセルを表示装置のモニタプロファイルに基づいて、RGB画像に変換し、表示装置800に表示する。
一方、ステップS6において、他の医療機関に標本デジタル画像を送信する際、XYZ画像450の各ピクセルの刺激値XYZを、標準のRGB空間(例えば、sRGB空間)にsRGBプロファイルにより変換し、変換したsRGBのRGB画像900を送信する。
また、他の医療機関における色再現の精度を上げたい場合、標本デジタル画像と求めた変換行列Mとを送信するか、あるいは標本デジタル画像と色標デジタル画像とを送信するようにしても良い。
また、本実施形態においては、スライドガラスに取り付ける検査対象として、病理標本を例として説明したが、病理標本のみに限らず、植物の種、花びら、葉などの、石、鉱石、金属などの無機物などを検査試料として用いて、再現色の校正の精度を上げることができる。
1…画像校正色標
1−0…ブラックマトリクス
1−1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6…色標パッチ
1−7,1−8,1−9…ガンマ補正用パッチ
100…スライドガラス
100S…表面
100B…裏面
200…病理標本
250…視野

Claims (9)

  1. 検査試料を載せる透明部材表面に顕微鏡の一視野に全体が含まれる大きさで形成され、当該透明部材上に載せる前記検査試料の撮像画像の色を校正するために用いられる、少なくとも3つの異なる色の色標パッチを含んで構成されている
    ことを特徴とする画像校正色標。
  2. 前記3つの異なる色が、光の3原色である色成分R、色成分G及び色成分Bである
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像校正色標。
  3. 前記顕微鏡の前記検査試料の観察の際の倍率に対応し、前記一視野に入る大きさで形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像校正色標。
  4. 前記色標パッチの色の各々が、前記検査試料の撮像画像における色度を包含する色度である
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像校正色標。
  5. 前記色標パッチの色の各々が、xy色度座標系における色度図の外周近傍の座標値となる色度を有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像校正色標。
  6. 前記3つの異なる色の色標パッチに加え、前記検査試料の色度に対応した色の他の色標パッチを、前記透明部材表面に設ける
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像校正色標。
  7. 前記他の色標パッチの色が、少なくとも前記3つの異なる色の各々の補色のいずれか、あるいは組合わせである
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像校正色標。
  8. 前記色標パッチに加え、前記撮像画像のガンマ補正に用いる、グレースケールにおける複数の階調のガンマ補正用パッチを、前記透明部材表面に設ける
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像校正色標。
  9. 検査試料が載せられる透明部材表面に顕微鏡の一視野に全体が含まれる大きさで形成される画像校正色標を形成する画像校正色標製造方法であり、
    透明部材表面に少なくとも3つの異なる色に対応するカラーレジストを順次塗布し、
    フォトリソグラフィ法により、前記画像校正色標における前記異なる色の各々の色標パッチを順次形成することにより、前記画像校正色標を形成する
    ことを特徴とする画像校正色標製造方法。
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