以下、本実施形態の冷蔵庫10について図面に基づいて説明する。
実施形態1
実施形態1の冷蔵庫について図1〜図5に基づいて説明する。
冷蔵庫10の構造について図1、図2、図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態の冷蔵庫10の縦断面図であり、図2は冷蔵庫10の正面図であり、図3は扉を除いた状態のキャビネット12の上半分の正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫10のキャビネット12は、外箱と内箱とより構成され、その間に断熱材を有した断熱構造である。キャビネット12には、上部から順番に冷蔵室14、野菜室16、小型の冷凍室18、大型の冷凍室20からなる貯蔵室が設けられ、小型の冷凍室18の横には不図示の製氷室が設けられている。冷蔵室14と野菜室16との間には仕切り体15が水平に設けられ、野菜室16と小型の冷凍室18との間には、断熱仕切り体17が水平に設けられている。
冷蔵室14下部の右側には、肉や魚などを収納するチルド室22が設けられ、下部の左側には製氷用の水タンク21が配置されている。チルド室22内部には、透明な合成樹脂により形成されたチルド容器23が引き出し自在に収納されている。冷蔵室14の天井面には、庫内灯24が設けられている。冷蔵室14の背面上部には、冷蔵庫10の制御基板26が取り付けられている。冷凍室20の背面下部、すなわちキャビネット12の底部には機械室28が設けられ、機械室28には、圧縮機38が設けられている。
冷蔵室14の前面には、観音開き式の扉14a、14aが設けられ、野菜室16、小型の冷凍室18、製氷室、冷凍室20の前面には引出し式の扉16a,18a,20aが設けられている。冷蔵室14の観音開き式の扉14aの前面には、ユーザが冷蔵庫10を操作するための操作盤42が設けられている。また、冷蔵室14の観音開き式の扉14aの裏面には、食品を収納するための棚52が複数設けられている。
冷蔵室14の背面には、冷蔵室14の庫内温度を検出する冷蔵用庫内温度センサ(以下、「Rセンサ」という)44が設けられている。大型の冷凍室20の背面には、冷凍室20の庫内温度を検出する冷凍用庫内温度センサ(以下、「Fセンサ」という)46が設けられている。
野菜室16内部には、野菜を収納するための引き出し式の野菜容器54が設けられている。また、野菜室16の上部には、減酸素室56が吊り下げられている。この減酸素室56は、直方体のケース状であり、内部に減酸素容器58が引き出し式に設けられ、この減酸素容器58の前扉が、減酸素室56の前面を兼ねている。減酸素室56の後部には、減酸素装置60が固定されている。この減酸素装置60としては、例えば、高分子電解質膜方法を用いた減酸素機能を有し、アノードで水を電気分解して水素イオンを作り、その水素イオンが高分子電解質膜内を移動してカソードに到達し、減酸素室56内の酸素と反応して水を生成することで、酸素を消費する。
冷蔵室14と野菜室16の背面には、冷蔵用蒸発器(以下、「Rエバ」という)30が設けられ、Rエバ30の上方には、冷蔵用庫内ファン(以下、「Rファン」という)32が設けられている。冷凍室20の背面には、冷凍用蒸発器(以下、「Fエバ」という)34が設けられ、Fエバ34の上方には冷凍用庫内ファン(以下、「Fファン」という)36が設けられている。
Rエバ30とRファン32とを囲むように、冷却空間62が設けられ、この冷却空間62の下部、すなわちRファン32の下部に吸い込み口64が設けられ、冷蔵室14と野菜室16を循環して戻ってきた冷気がこの吸い込み口64から吸い込まれ、Rファン32によってRエバ30に送風される。Rエバ30によって所定温度まで冷却された冷気は、送風ダクト48を上昇して、複数の吹き出し口50から冷蔵室14に吹き出される。送風ダクト48は、Rエバ30が設けられている冷却空間62から上方に突出している部分は、細く形成され、その後に冷蔵室14の背面側で幅広に広がり、冷蔵室14の背面全体に冷気が行き渡るようになっている。この細く形成された送風ダクト48(以下、「下部送風ダクト66」という)には、冷気の除菌や脱臭を行うための除菌脱臭装置68が設けられ、この除菌脱臭装置68の上方には、報知装置70が設けられている。この除菌脱臭装置68と報知装置70については後から詳しく説明する。
次に、報知部である報知装置70について、図4に基づいて説明する。
報知装置70は、チルド室22の背面にある下部送風ダクト66の上部に設けられている。この報知装置70は、照明カバー72内部に制御基板74が設けられ、この制御基板74の前面側に照明用のLED76が取り付けられている。この照明カバー72は、前面が開口しており、下部送風ダクト66の前板78に取り付けられている。この照明カバー72が取り付けられている前板78の部分は、透明板80より形成され、チルド室22に収納されている透明なチルド容器23の前方から、LED76の点灯をユーザが確認できる。なお、制御部40は、除菌脱臭装置68が動作し、かつ、扉14aが開けられたときに、報知装置70のLED76を点灯させる。この扉14aの開閉は、不図示の扉スイッチで制御部40は検出する。
次に、特定機能部である除菌脱臭装置68について、図4に基づいて説明する。
除菌脱臭装置68は、下部送風ダクト66の内部にあって、報知装置70の下方に取り付けられている。この除菌脱臭装置68は、ほぼ直方体の合成樹脂よりなるケース82を有し、このケース82の上面と下面にそれぞれ通気口84と通気口86が開口している。ケース82によって、狭い空間である下部送風ダクト66が上下に分離されている。
ケース82の内部の下部には、制御基板88が水平に設けられ、この制御基板88の上面には、複数のLED90が取り付けられ、また、制御基板88には、複数の通気孔92が貫通している。
ケース82の内部の上部には、制御基板94が水平に設けられ、この制御基板94の下面には、複数のLED96が取り付けられ、また、制御基板94には、複数の通気孔98が貫通している。
上下にあるLED90とLED96の間には、2層の光触媒フィルター100と光触媒フィルター102が水平に取り付けられている。光触媒フィルター100,102は、例えば、ガラス繊維を編み込んで面状に形成された編物体の表面に、光触媒微粒子をシリカ系のバインダーによって被着させて光触媒層を形成している。光触媒層は、一次粒径が20〜30μmのルチン型酸化チタン微粒子の表面に粒径5nmの白金を5〜20質量%を担持させてなる光触媒微粒子にシリカ系のバインダーを混入して膜厚約0.5〜5.0μmで製膜したものである。
LED90とLED96は、制御基板88と制御基板94に透明樹脂でモールドして一体化されている。LED90とLED96は、除菌、脱臭という特定の機能を発揮するために、波長360〜410nmの範囲内の紫外線を含む光を照射する。また、光触媒フィルター100,102は、除菌脱臭機能に加えて、エチレン分解機能も有している。そのため、冷気中の水分からヒドロキシラジカルを生成し、菌の働きを抑制して、野菜の老化を促進するエチレンガスの分解、脱臭を行う。なお、報知装置70のLED76は、ユーザが冷蔵室14の前面から視認し易いようにするために、LED90,LED96よりも波長が長い可視光を放射する。
このように形成された除菌脱臭装置68が、下部送風ダクト66内部に取り付けられているため、Rエバ30から送風された冷気が通気口84、制御基板88の通気孔92を通って光触媒フィルター100に至る。そして、LED90からの光によって除菌、脱臭、エチレン分解もされる。さらに、光触媒フィルター102を冷気が通るときに、LED96からの光によってさらに除菌、脱臭、エチレン分解も行われ、その後に制御基板94の通気孔98を通り、ケース82の上面にある通気口86を経て下部送風ダクト66の上部に至る。この冷気は、報知装置70の後方を通って冷蔵室14の背面にある送風ダクト48に至り、吹き出し口50から吹き出される。
次に、冷蔵庫10の電気的構成について、図5のブロック図に基づいて説明する。
制御基板26には、マイクロコンピュータよりなる制御部40が設けられ、Rセンサ44、Fセンサ46、圧縮機38のモータ、操作盤42、庫内灯24、Rファン32、Fファン36、減酸素装置60が接続されると共に、報知装置70の制御基板74、除菌脱臭装置68の制御基板88,94が接続されている。
次に、除菌脱臭装置68と報知装置70の動作状態について説明する。
制御部40は、冷蔵庫10が動作している間、又は、Rファン32が回転して、Rエバ30から冷気が下部送風ダクト66に送風されている間は、除菌脱臭装置68のLED90とLED96を点灯させ、光触媒フィルター100と光触媒フィルター102を通過する冷気の除菌、脱臭、エチレン分解を行う。
また、制御部40は、除菌脱臭装置68が動作し、かつ、扉14aを開けられたときに、報知装置70のLED76を点灯させる。これによって、ユーザは冷蔵室14の扉14aを開けて、チルド室22を見ると、チルド室22の奥にあるLED76の点灯を把握でき、除菌脱臭装置68が動作していることがわかる。
上記実施形態の冷蔵庫10によれば、除菌脱臭装置68が動作していると、ユーザは冷蔵室14の扉14aを開けると、そのLED76の点灯を簡単に視認でき、除菌脱臭装置68が動作していることがわかる。
また、除菌脱臭装置68のLED90,LED96の制御基板88,94と、報知装置70のLED76の制御基板74とが独立しているため、制御部40は、各LED76,90,96を個別に制御し易く、また、チルド室22の食品を取り出すときに報知装置70の制御基板74に水が掛かっても、除菌脱臭装置68の制御基板88,94に水が掛からないため、除菌脱臭装置68が故障することがない。
実施形態2
次に、実施形態2の冷蔵庫10について図6に基づいて説明する。
本実施形態と実施形態1の異なる点は、本実施形態では下部送風ダクト66における除菌脱臭装置68と報知装置70に加えて、減酸素室56内部にも、図6に示すように特定機能装置104と報知装置70が設けられている点にある。
図6に示すように、減酸素室56の天井面に、特定機能装置104と報知装置70とが並んで設けられ、制御基板108と制御基板74とがそれぞれ独立して設けられている。本実施形態の特定機能装置104は、実施形態1の特定機能装置68とは異なり、光触媒フィルター100,102を有さず、制御基板106の下面にLED108が下向きに取り付けられた構造であって、光触媒フィルター100,102を有していない。LED108は、野菜の光合成に対して効果があると考えられる457〜660nmの範囲の波長を発光するものであり、例えば、520〜620nmの範囲の波長(オレンジ色)を発光する。これにより、野菜内部のビタミンCが増加する。
報知装置70は、実施形態1と同様に制御基板74の下面に照明用のLED76が取り付けられたものである。そして、制御部40は、特定機能装置104が動作し、かつ、扉16aを開けたときにのみLED76を点灯させることにより、ユーザに対し特定機能装置104を動作していることを伝えることができる。また、制御基板74,108が独立しているため、制御部40は容易に制御を行うことができる。
実施形態3
次に、実施形態3の冷蔵庫10について図7に基づいて説明する。
本実施形態と実施形態1の異なる点は、本実施形態では冷蔵室14の扉14aの裏面にCCDの撮像素子を有するカメラ110を設けたものである。このカメラ110は、光が入射するとその光をトリガーとして、静止画像を撮影する。カメラ110は、扉14aが閉じた状態でのみ撮影可能なように設定されている。
ユーザは、冷蔵庫10の外部、例えば外出先から冷蔵室14内の食材などを確認したい場合には、スマートホンなどを操作して、制御部40が報知装置70の報知用のLED76を点灯させる。すると、カメラ110が、LED76からの光をトリガにして庫内を撮影する。このときに、LED76の光がフラッシュの役割もして庫内を照らすため、冷蔵室14内部を撮影できる。撮影された静止画像は、制御部40から不図示の通信回線を介してスマートホンに送信され、ユーザはその静止画像を見て庫内の食材を確認できる。
また、冷蔵庫10の制御部40は、定期的(例えば、1日毎)に冷蔵室14の内部を撮影するようにしてもよく、この場合には24時間に1回の間隔でLED76を点灯させカメラ110で静止画像を撮影し、制御部40に設けられたメモリに静止画像を記憶しておく。ユーザは、この静止画像によって、1日毎の食材の変化を把握できる。
なお、冷蔵室14の扉14aを開けた場合にはカメラ110は動作しないため、LED76が点灯しても問題はない。
本実施形態の冷蔵庫10であると、LED76を報知用の役割以外に、カメラ110の撮影のために使用できる。
変更例
各実施形態における報知装置70の照明手段はLED76に限らず、蛍光灯や電球などの他の照明手段でもよい。
実施形態2では、下部送風ダクト66における除菌脱臭装置68と報知装置70に加えて、減酸素室56の特定機能装置104と報知装置70を設けたが、これに限らず、減酸素室56にのみ特定機能装置104と報知装置70を設けてもよい。
実施形態3では、カメラ110に関して、LED76の発光をトリガーとしたが、これに限らず制御部40が、カメラ110を直接制御して撮影を行うようにしてもよい。この場合に、庫内は真暗であるため、LED76をフラッシュとして強制的に発光させる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。