JP2018114437A - 冷却塔設備、及びその水質管理方法 - Google Patents

冷却塔設備、及びその水質管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却塔設備内のバイオハウリング量の低減を図りつつ、冷却塔設備のランニングコストを抑える。【解決手段】冷却塔設備20は、冷却塔21と、薬液タンク32と、薬液タンク32内の薬液を冷却塔21が冷却する循環水に注入する薬液注入器33と、水中のATP量を検知するATP計52と、ATP量に応じて、薬液注入器33により薬液を循環水に注入させる薬液注入制御部61と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、水を冷却する冷却塔を備える冷却塔設備、及びその水質管理方法に関する。
冷却塔設備は、一般的に、水を冷却する冷却塔と、冷却塔で冷却された水と媒体とを熱交換させて媒体を冷却する熱交換器と、冷却塔と熱交換器との間で水を循環させる循環ラインと、を備える。このような冷却塔設備では、熱交換器の伝熱管に対するスケーリング、バイオハウリング、腐食の対策等が、熱交換器における熱交換効率の維持や熱交換器の高寿命化の観点から重要である。このため、多くの冷却塔設備では、設備内で循環する水の水質が管理されることが多い。
以下の特許文献1には、冷却塔設備における水質管理装置が記載されている。この水質管理装置は、各種センサと、処理薬品を水中に注入する薬品注入手段と、この薬品注入手段を制御する制御装置と、を備える。この特許文献1では、センサとして、水の電導率を検知する電導率計、水中の特定イオンの濃度を検知するイオン濃度計、補給水の流量を検知する補給水流量計等が例示されている。この水質管理装置では、センサで検知された各種値に応じて、薬品注入手段を駆動して、水中に処理薬品を注入する。
特開2004−283755号公報
上記特許文献1に記載されている冷却塔設備でも、この設備内を循環する水中に処理薬品の一種として殺菌剤を注入することで、冷却塔設備内のバイオハウリング量を低減できる。しかしながら、水中に殺菌剤をむやみに注入すると、この殺菌剤の購入コスト等がかさむ。このため、冷却塔設備内のバイオハウリング量の低減を図りつつも、冷却塔設備のランニングコストを抑えることが望まれている。
そこで、本発明は、バイオハウリング量の低減を図りつつも、ランニングコストを抑えることができる冷却塔設備、及びその水質管理方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための発明に係る一態様の冷却塔設備は、
流入してきた水を冷却する冷却塔と、前記水に含まれる微生物を除去するための薬剤を含む薬液が貯められる薬液タンクと、前記薬液タンク内の前記薬液を前記水に注入する薬液注入器と、前記水中のアデノシン三リン酸の量であるATP量を検知するATP計と、前記ATP計で検知された前記ATP量に応じて、前記薬液注入器により前記薬液を前記水に注入させる薬液注入制御部を有する制御装置と、を備える。なお、ここでの微生物には、細菌やカビの他、藻も含まれる。
発明者は、試験の結果、水中に多数種類の微生物が存在する場合でも、水中のATP量と、この水中の微生物量とに相関関係があること見出した。当該冷却塔設備では、冷却塔が冷却する水中の微生物量と相関性を有するATP量に基づいて、薬液を水に注入するので、水中の微生物量を抑えつつも、水中にむやみに薬液を注入することを避けることができる。このため、当該冷却塔設備では、水中に微生物が存在することに起因して生じるバイオファウリングの量を低減しつつも、ランニングコストを抑えることができる。
ここで、前記冷却塔設備において、前記薬液注入制御部は、前記ATP計で検知された前記ATP量が予め定められた値以上になったことを条件として、前記薬液注入器により前記薬液を前記水に注入させてもよい。
また、以上のいずれかの前記冷却塔設備において、前記水中の前記薬剤の濃度を検知する薬剤濃度計を備え、前記薬液注入制御部は、前記薬剤濃度計が検知した前記薬剤の濃度が予め定められた値以上になると、前記薬液注入器による前記水への前記薬液の注入を停止させてもよい。
当該冷却塔設備では、薬液による機器の腐食等の抑え得る範囲内で、水中に注入する薬液量を管理することができる。
以上のいずれの前記冷却塔設備において、前記制御装置は、前記水中の前記ATP量と前記水中の微生物量との予め求められた相関関係を用いて、前記ATP計で検知された前記ATP量に対する微生物量を求める微生物量演算部と、前記微生物量演算部が求めた前記微生物量を表示する表示部と、を有してもよい。
当該冷却塔設備では、この設備の運転員等が冷却塔設備内の水中に含まれる微生物量を認識することができる。
以上のいずれかの前記冷却塔設備において、前記水中の不純物総溶解度を検知する不純物総溶解度計と、前記水を設備外に排出する排出器と、を備え、前記制御装置は、前記不純物総溶解度計で検知された前記不純物総溶解度に応じて、前記排出器を駆動させる排出制御部を有してもよい。
当該冷却塔設備では、冷却塔設備内で水が流れる経路中に存在する灰分量の増加を抑えることができる。
以上のいずれかの前記冷却塔設備において、前記冷却塔内の前記水の量に応じて、補給水を前記水中に供給する補給水供給器を備えてもよい。
前記目的を達成するための発明に係る一態様の冷却塔設備の水質管理方法は、
冷却塔が冷却する水中のアデノシン三リン酸の量であるATP量を検知するATP量検知工程と、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量に応じて、前記水に含まれる微生物を除去するための薬剤を含む薬液を前記水に注入する薬液注入工程と、を実行する。
ここで、前記冷却塔設備の水質管理方法において、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量が予め定められた値以上であるか否かを判断するATP量判断工程を実行し、前記薬液注入工程では、前記ATP量判断工程で、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量が予め定められた値以上であると判断されると、前記薬液を前記水に注入してもよい。
また、以上のいずれかの前記冷却塔設備の水質管理方法において、前記水中の前記薬剤の濃度を検知する薬剤濃度検知工程と、前記薬剤濃度検知工程で検知された前記薬剤の濃度が予め定められた値以上であるか否かを判断する薬剤濃度判断工程と、を実行し、前記薬液注入工程では、前記薬剤濃度判断工程で、前記薬剤濃度検知工程で検知された前記薬剤の濃度が予め定められた値以上であると判断されると、前記薬液の注入を停止してもよい。
以上のいずれかの前記冷却塔設備の水質管理方法において、前記水中の前記ATP量と前記水中の微生物量との予め求められた相関関係を用いて、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量に対する微生物量を求める微生物量演算工程と、前記微生物量演算工程で求められた前記微生物量を表示する表示工程と、を実行してもよい。
以上のいずれかの前記冷却塔設備の水質管理方法において、前記水中の不純物総溶解度を検知する不純物総溶解度検知工程と、前記不純物総溶解度検知工程で検知された前記不純物総溶解度に応じて、前記水を設備外に排出する排出工程と、を実行してもよい。
以上のいずれかの前記冷却塔設備の水質管理方法において、前記冷却塔内の前記水の量に応じて、補給水を前記水中に供給する補給水供給工程を実行してもよい。
本発明の一態様によれば、冷却塔設備内のバイオハウリング量の低減を図りつつ、冷却塔設備のランニングコストを抑えることができる。
本発明に係る第一実施形態におけるプラントの系統図である。 ATP量を示す相対発光強度(RFU)と微生物量を示すコロニー形成単位の数(CFU)との関係を示すグラフである。 本発明に係る第一実施形態における薬液注入制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る第一実施形態における循環水入替制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る第二実施形態におけるプラントの系統図である。 本発明に係る第二実施形態における薬液注入制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る第二実施形態における循環水入替制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る第一変形例における薬液注入制御ルーチンを示すフローチャートである。 本発明に係る第二変形例における薬液注入制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明に係る冷却塔設備を備えるプラントの各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
「第一実施形態」
本発明に係る冷却塔設備を備えるプラントの第一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態のプラントは、図1に示すように、蒸気タービン設備10と、冷却塔設備20と、排液処理設備70と、を備える。
蒸気タービン設備10は、蒸気を発生するボイラー11と、蒸気で駆動する蒸気タービン12と、蒸気タービン12の駆動で発電する発電機13と、蒸気タービン12から排気された蒸気を水に戻す復水器14と、復水器14からの水をボイラー11に送る給水ポンプ15と、を備える。
復水器14は、冷却塔設備20で冷却された循環水が流れる伝熱管群14aと、この伝熱管群14aを覆う胴14bと、を有する。胴14b内には、蒸気タービン12から排気された蒸気が流入する。この蒸気は、伝熱管群14a内を流れる循環水との熱交換により、冷却されて凝縮し、水になる。よって、この復水器14は、熱交換器の一種である。
ボイラー11と蒸気タービン12の蒸気入口とは、主蒸気ライン16で接続されている。蒸気タービン12の蒸気排気口と復水器14の蒸気流入口とは、接続されている。復水器14の胴14bとボイラー11とは、給水ライン17で接続されている。給水ライン17には、給水ポンプ15が設けられている。蒸気タービン設備10では、以上の各種ライン16,17等により、水(気体又は液体)が循環する循環系統が構成されている。ボイラー11には、ボイラー11内に流出した水の一部を排出するための排水ライン18が接続されている。この排水ライン18には、排出弁19が設けられている。なお、この排水ライン18は、給水ライン17中で給水ポンプ15とボイラー11との間の位置に接続されてもよい。
冷却塔設備20は、循環水を冷却する冷却塔21と、循環水と蒸気とを熱交換させる復水器14と、冷却塔21と復水器14との間で循環水を循環させる循環ポンプ31と、循環水中の微生物を除去するための薬剤を含む薬液が貯められる薬液タンク32と、薬液を循環水中に注入する薬液ポンプ(薬液注入器)33と、循環水中に補給水を供給する補給水ポンプ(補給水供給器)35と、循環水を冷却塔設備20外に排出する排出弁(排出器)36と、ATP計52と、薬剤濃度計53と、制御装置60と、を備える。なお、ここでの微生物には、細菌やカビの他、藻も含まれる。
冷却塔21は、循環水を外気(空気)と接触させて、循環水と外気とを熱交換させて、循環水を冷却する。冷却塔21では、循環水と外気との熱交換の過程で、循環水の一部を蒸発させる。残りの循環水は、循環水の一部の蒸発による気化熱により、冷却される。この冷却塔21は、ケーシング22と、ファン24と、散水器25と、ルーパー26と、を有する。ケーシング22の下部は、冷却された循環水が溜まる水槽23を形成する。ケーシング22の側部には、ケーシング22内に外気を取り込むためのルーパー26が設けられている。ケーシング22の頂部には、ファン24が設けられている。ファン24は、ルーパー26を経てケーシング22内に外気を流入させると共に、この外気と気化した循環水とを外部へ排気する役目を担う。散水器25は、ケーシング22内であって、ファン24よりも下方で水槽23よりも上方の位置に配置されている。散水器25は、ケーシング22内に循環水を散布する。水槽23の側部には、水槽23内に溜まった循環水の液面レベルを検知するレベル計51が設けられている。
復水器14は、冷却塔設備20と蒸気タービン設備10との共有機器である。冷却塔21の水槽23と復水器14の伝熱管群14aとは、冷却循環水ライン41で接続されている。この冷却循環水ライン41には、冷却塔21で冷却された循環水が流れる。循環ポンプ31は、この冷却循環水ライン41に設けられている。復水器14の伝熱管群14aと冷却塔21の散水器25とは、加熱循環水ライン42で接続されている。この加熱循環水ライン42には、復水器14で加熱された循環水が流れる。これら冷却循環水ライン41と加熱循環水ライン42とで、冷却塔21と復水器14との間で循環水を循環させる循環系統を構成する。
薬液タンク32に貯められる薬液中の薬剤は、微生物を殺す殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムと、管内面等の界面に付着した微生物(死んだ微生物を含む)を界面から剥がすための界面活性剤と、を含む。なお、本願において、「微生物を除去する」の意味は、基本的に、微生物を殺すことである。但し、本願において、「微生物を除去する」の意味に、界面に付着した微生物(死んだ微生物を含む)を界面から剥がすことを含めてもよい。また、微生物には、細胞外に多糖類他から構成される物質で、殺菌剤が細胞内に浸透する(殺菌効果が出る)ことを防ぐ等の特質を持ったものも存在する。そこで、殺菌剤には、細胞内に殺菌薬剤を浸透させる役割をもつ薬剤(助剤的薬品、エリスリトールやイソプロピルフェノール)を使うこともある。また、ここで例示した薬剤は、一例であり、他の薬剤を用いてもよい。
薬液タンク32と冷却塔21の水槽23とは、薬液ライン43で接続されている。薬液ポンプ33は、この薬液ライン43に設けられている。なお、ここでは、薬液タンク32から延びる薬液ライン43を冷却塔21の水槽23に接続しているが、薬液を循環水に注入できれば、この薬液ライン43を他の箇所に接続してもよい。例えば、薬液タンク32から延びる薬液ライン43を冷却塔21のケーシング22の上部や、冷却循環水ライン41等に接続してもよい。
補給水源34と冷却塔21の水槽23とは、補給水ライン44で接続されている。補給水ポンプ35は、この補給水ライン44に設けられている。なお、ここでは、補給水源34から延びる補給水ライン44を冷却塔21の水槽23に接続しているが、補給水を循環水に注入できれば、この補給水ライン44を他の箇所に接続してもよい。例えば、補給水源34から延びる補給水ライン44を冷却塔21のケーシング22の上部等に接続してもよい。
冷却循環水ライン41には、排水ライン46が接続されている。この排水ライン46には、排出弁36が設けられている。
冷却塔21の水槽23には、水質検知ライン45が設けられている。この水質検知ライン45の第一端、及び、この第一端の反対側の第二端は、いずれも、水槽23に接続されている。この水質検知ライン45には、ATP計52と、薬剤濃度計53とが設けられている。ATP計52は、循環水中のアデノシン三リン酸(ATP:Adenosine TriPhosphate)の量であるATP量を検知する。ATPは、あらゆる生物が持つエネルギーの代謝に必要な物質である。このため、ある箇所にATPが存在するということは、その箇所に、生物が存在する、又は生物の痕跡があることになる。本実施形態で、ATP量は、酵素等を含む発光薬でATPを発光させたときの相対発光量(RLU:Relative Light Unit)で表される。よって、本実施形態のATP計52は、このRLUを検知する。薬剤濃度計53は、循環水中の薬剤の濃度を検知する。本実施形態では、循環水中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を検知する。なお、ここでは、ATP計52及び薬剤濃度計53を水質検知ライン45に設けているが、循環水の水質を検知できれば、他の箇所に設けてもよい。例えば、ATP計52及び薬剤濃度計53を冷却塔21の水槽23に直接設けてもよいし、冷却循環水ライン41や加熱循環水ライン42に設けてもよい。
制御装置60は、薬液ポンプ33の駆動を制御する薬液注入制御部61と、排出弁36の開閉駆動を制御する排出制御部62と、補給水ポンプ35の駆動を制御する補給水供給制御部63と、を有する。薬液注入制御部61には、ATP量、言い換えるとRLUに関する閾値Saが格納されている。薬液注入制御部61は、ATP計52で検知されたRLUが閾値Sa以上になると、薬液ポンプ33を駆動させ、この薬液ポンプ33により循環水中に薬液タンク32内の薬液を注入させる。
排液処理設備70は、蒸気タービン設備10から排出された水や、冷却塔設備20から排出された循環水を処理して、これらの水中の有害物質等の濃度を環境基準値未満にして、プラント外に排出する設備である。この排液処理設備70には、蒸気タービン設備10の排水ライン18、及び冷却塔設備20の排水ライン46が接続されている。
循環水は、冷却塔設備20内で循環するために、この循環過程で、循環水内の微生物が次第に増殖する。この結果、冷却塔設備20で循環水が接する機器にバイオファウリングが生じる。特に、冷却塔設備20に用いられる循環水には、水質が管理されている工業用水のみならず、河川水や湖水等、水質が管理させていない水も用いられることがある。このため、このような循環水中には、多数種類の微生物が存在する。そこで、発明者は、水中に多数種類の微生物が存在する場合、水中のATP量であるRLUと、この水中の微生物量とに相関関係があるか否かの試験を行った。
この試験では、キッコーマンバイオケミファ株式会社製のATP検査キットを用いた。このATP検査キットには、ATP計52として、同社製のルミテスターPD−30が含まれている。また、この試験では、屋外を含む複数箇所の水をサンプル水として用いた。このため、各サンプル水は、多数種類の微生物が存在すると推定される。さらに、各サンプル水相互には、互いに異なる微生物が存在すると推定される。
この試験結果を図2に示す。図2中、横軸は、試料1ml中に存在するコロニーの数であるコロニー形成単位(CFU:Colony Forming Unit)である。すなわち、横軸は、単位試料量当たりの微生物量である。図2中、縦軸は、ATP量、つまりRLUである。図2中の白丸は、各サンプル水の値を示す。この試験の結果、RLUとCFUとの相関係数rが、0.692になった。よって、RLUとCFUとには、相関性があることになる。また、この相関性は正の相関性である。RFUをyとし、1ml中に存在するCFUをxとした場合、RLUとCFUとの相関性は、以下の式(1)のように表すことができる。なお、図2中の破線は、式(1)が示す関係を表した相関特性線である。
y=0.0428x0.6142 ・・・・・・・・(1)
以上のように、この試験により、発明者は、水中に多数種類の微生物が存在する場合でも、水中のRLUとこの水中の微生物量とに正の相関関係があることが分かった。また、この相関性は、上記式(1)で表せることも分かった。
発明者は、以上の試験で得られた知見に基づき、薬液注入制御部61に格納されているRLUに関する閾値Saを定めた。具体的には、まず、対象とする冷却塔設備20の性能が目標性能を確保できるなくなるおそれがあるCFUを試験等で定める。ここでの冷却塔設備20の性能は、例えば、復水器14における熱交換率である。そして、試験等で定めたCFUを上記式(1)に代入して、このCFUに対応するRFUを求める。薬液注入制御部61に格納されているRLUに関する閾値Saは、このように求めたRFUである。よって、ATP計52で検知されたRLUが閾値Saになると、バイオファウリングの原因より、対象とする冷却塔設備20の性能が目標性能を確保できなくなる可能性が高いことになる。
次に、以上で説明したプラントの動作について説明する。まず、蒸気タービン設備10の動作について説明する。
ボイラー11で発生した蒸気は、主蒸気ライン16を介して、蒸気タービン12に送られる。蒸気が蒸気タービン12に供給されると、この蒸気タービン12は駆動する。発電機13は、この蒸気タービン12の駆動により発電する。蒸気タービン12を駆動させた蒸気は、復水器14の胴14b内に流入する。この蒸気は、復水器14の伝熱管群14a内を流れる循環水との熱交換により、冷却されて水になる。この水は、給水ライン17に流入し、給水ポンプ15で昇圧される。給水ポンプ15で昇圧された水は、給水ライン17を介して、ボイラー11に送られる。
次に、冷却塔設備20の動作について説明する。
冷却塔21の水槽23内の循環水は、冷却循環水ライン41に流入し、循環ポンプ31で昇圧される。循環ポンプ31で昇圧された水は、冷却循環水ライン41を介して、復水器14の伝熱管群14a内に送られる。伝熱管群14a内に流入した循環水は、復水器14の胴14b内に流入した蒸気との熱交換により加熱される。加熱された循環水は、加熱循環水ライン42を介して、冷却塔21の散水器25から冷却塔21のケーシング22内に散布される。ケーシング22内に散布された循環水は、ルーパー26を経てケーシング22内に流入した外気と熱交換する。この結果、循環水の一部が気化して蒸気になる。残りの循環水は、一部の循環水の気化による気化熱により冷却される。循環水と熱交換した外気は、ファン24により、蒸気と共にケーシング22外に排気される。一方、冷却された循環水は、水槽23内に一時的に溜まる。この循環水は、前述したように、冷却循環水ライン41に流入する。
次に、冷却塔設備20の制御動作について、図3及び図4にフローチャートに従って説明する。
冷却塔設備20では、図3のフローチャートに示す薬液注入制御ルーチンが繰り返し実行される。この薬液注入制御ルーチンでは、まず、ATP計52が循環水中のATP量であるRLUを検知する(S11:ATP量検知工程)。制御装置60の薬液注入制御部61は、このRLUを受け付け、このRLUが閾値Sa以上であるか否かを判断する(S14:ATP量判断工程)。
薬液注入制御部61は、ATP計52で検知されたRLUが閾値Sa以上ではないと判断すると、ATP計52からの新たなRLUを受け付ける。一方、薬液注入制御部61は、ATP計52で検知されたRLUが閾値Sa以上であると判断すると、薬液ポンプ33に対してON指令を出力し、薬液ポンプ33を駆動させる(S15:薬液注入開始工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の駆動により、薬液タンク32内の薬液が薬液ライン43を介して、冷却塔21の循環水中へ注入される。
薬剤濃度計53は、循環水中の薬剤の濃度を検知する(S16:薬剤濃度検知工程)。薬液注入制御部61は、薬液ポンプ33に対してON指令を出力した後に、薬剤濃度計53から薬液濃度を受け付ける。この薬液注入制御部61には、薬液濃度に関する閾値Smcが格納されている。この閾値Smcは、冷却塔設備20中で循環水に接する部品が薬液により腐食することを抑制できる循環水中の許容最高薬液濃度である。なお、薬液中に次亜塩素酸ナトリウムが含まれる場合、薬剤濃度計53は、循環水中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を検知する。また、この場合の閾値Smcは、例えば、5ppmである。薬液注入制御部61は、薬剤濃度計53で検知された薬液濃度が閾値Smc以上であるか否かを判断する(S17:薬剤濃度判断工程)。
薬液注入制御部61は、薬剤濃度計53で検知された薬剤濃度が閾値Smc以上ではないと判断すると、薬剤濃度計53からの新たな薬剤濃度を受け付ける。一方、薬液注入制御部61は、薬剤濃度計53で検知された薬剤濃度が閾値Smc以上であると判断すると、薬液ポンプ33に対してOFF指令を出力し、薬液ポンプ33を停止させる(S18:薬液注入停止工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の停止により、冷却塔21の循環水中への薬液の注入が停止される。
以上で、本実施形態における薬液注入制御ルーチンの一連の処理が終了する。
冷却塔設備20では、さらに、図4のフローチャートに示す循環水入替制御ルーチンが繰り返し実行される。冷却塔21では、循環水の一部が蒸発して、外部に排気されるため、冷却塔設備20内の循環水の量が次第に少なくなる。そこで、この循環水要入替ルーチンは、循環水に補給水を補給する補給水供給制御ルーチンを含んでいる。この補給水供給制御ルーチンの実行で循環水に補給水が補給される毎に、循環水中の灰分が増加する。なお、灰分とは、CaやMg等の金属元素に代表される無機質やその化合物である。この灰分は、冷却塔設備20で循環水が接する機器に付着し、スケーリングとなる。熱交換器の一種である復水器14の伝熱管群14aに対するスケーリング量が多くなると、復水器14での熱交換性能が低下する。このため、灰分を多く含む循環水を排出することが好ましい。そこで、この循環水要入替ルーチンは、灰分を多く含む循環水を排出する排出制御ルーチンも含んでいる。
この補給水供給制御ルーチンでは、まず、補給水供給制御部63が、冷却塔21のレベル計51で検知された水槽23内の循環水量が許容最少量であるか否かを判断する(S20:循環水量判断工程)。補給水供給制御部63は、レベル計51で検知された循環水量が許容最少量ではないと判断すると、レベル計51からの新たな循環水量を受け付ける。一方、補給水供給制御部63は、レベル計51で検知された循環水量が許容最少量であると判断すると、補給水ポンプ35に対してON指令を出力し、補給水ポンプ35を駆動させる(S21:補給水供給開始工程(補給水供給工程))。この補給水ポンプ35の駆動により、補給水源34からの補給水が補給水ライン44を介して、冷却塔21の循環水中に供給される。
補給水供給制御部63は、補給水ポンプ35に対してON指令を出力した後、レベル計51で検知された循環水量が許容最大量であるか否かを判断する(S22:循環水量判断工程)。補給水供給制御部63は、レベル計51で検知された循環水量が許容最大量であると判断すると、補給水ポンプ35に対してOFF指令を出力し、補給水ポンプ35を停止させる(S23:補給水供給停止工程(補給水供給工程))。この補給水の停止により、冷却塔21の循環水中への補給水の供給が停止される。
以上で補給水供給制御ルーチンでの一連の処理が終了する。この補給水供給制御ルーチンは、前述したように、繰り返し実行される。
排出制御ルーチンでは、まず、排出制御部62が、循環水の排出時期であるか否かを判断する(S25:排出時期判断工程)。前述したように、循環水中の灰分は、循環水に補給水が補給される毎に増加する。このため、前回の排出時点から次に排出するまでの期間が予め定められている。排出制御部62は、前回の排出時点から予め定められた期間を経過したか否かにより、排出時期か否かを判断する。
排出制御部62は、排出時期であると判断するまで、この判断を繰り返して実行する。排出制御部62は、排出時期であると判断すると、排出弁36に開指令を出力し、排出弁36に開動作させる(S26:排出開始工程(排出工程))。排出弁36が開くと、冷却循環水ライン41を流れている循環水の一部が、排水ライン46を介して、排液処理設備70に流出する。
排出制御部62は、排出弁36に開指令を出力した後、冷却塔21のレベル計51で検知された循環水量が許容最少量になったか否かを判断する(S27:循環水量判断工程)。排出制御部62は、レベル計51で検知された循環水量が許容最少量になったと判断すると、排出弁36に対して閉指令を出力して、排出弁36に閉動作させる(S28:排出停止工程(排出工程))。排出弁36が閉じると、循環水の排出が停止される。
以上で排出制御ルーチンでの一連の処理が終了する。この排出制御ルーチンも、前述したように、繰り返し実行される。なお、排出制御ルーチンの実行で、冷却塔21内の循環水量が許容最少量になると、補給水供給制御ルーチンの実行で、循環水中に補給水が補給される。
排液処理設備70は、前述したように、蒸気タービン設備10から排出された水や、冷却塔設備20から排出された循環水を処理して、これらの水中の有害物質等の濃度を環境基準値未満にして、プラント外に排出する。具体的に、排液処理設備70は、蒸気タービン設備10から排出された水や冷却塔設備20から排出された循環水中に含まれる灰分の除去処理を実行する。さらに、排液処理設備70は、流入する水中に次亜塩素酸ナトリウムが含まれる場合、プラント外に排出する水中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を例えば0.1ppm以下してから、この水をプラント外に排出する。
以上のように、本実施形態では、循環水中の微生物量と相関性を有するATP量に基づいて、薬液を循環水に注入するので、循環水中の微生物量を抑えつつも、循環水中にむやみに薬液を注入することを避けることができる。このため、本実施形態では、冷却塔設備20内のバイオファウリング量を低減しつつも、冷却塔設備20のランニングコストを抑えることができる。
循環水中の微生物量は、循環水を頻繁に入れ替えることでも低減できる。しかしながら、本実施形態では、循環水中のATP量に基づいて、循環水中に薬液を注入することで、微生物量の低減を図るので、循環水に補給する補給水量の増加を抑えることができる。このため、本実施形態では、この観点からも、冷却塔設備20のランニングコストを抑えることができる。
「第二実施形態」
本発明に係る冷却塔設備を備えるプラントの第二実施形態について、図5〜図7を参照して説明する。
本実施形態のプラントも、第一実施形態のプラントと同様、図5に示すように、蒸気タービン設備10と、冷却塔設備20aと、排液処理設備70と、を備える。本実施形態の蒸気タービン設備10及び排液処理設備70は、第一実施形態の蒸気タービン設備10及び排液処理設備70と同一である。一方、本実施形態の冷却塔設備20aは、第一実施形態の冷却塔設備20と異なる。
本実施形態の冷却塔設備20aは、第一実施形態の構成に加えて、不純物総溶解度計54を備えている。なお、以下では、不純物総溶解度をTDS(Total Dissolved Solid)とする。TDS計54は、循環水中のTDSを検知する。このTDS計54は、水質検知ライン45に設けられている。TDS計54としては、例えば、循環水の電気伝導度を検知する電気伝導度計を用いることができる。なお、ここでは、TDS計54を水質検知ライン45に設けているが、循環水のTDSを検知できれば、他の箇所に設けてもよい。例えば、TDS計54を冷却塔21の水槽23に直接設けてもよいし、冷却循環水ライン41又は加熱循環水ライン42に設けてもよい。
本実施形態の制御装置60aは、第一実施形態の制御装置60の構成に加えて、微生物量演算部64と、表示部65と、を有する。微生物量演算部64は、ATP計52で検知されたATP量に応じた微生物量を求める。表示部65は、この微生物量を表示する。
本実施形態の冷却塔設備20aでも、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンと基本的に同様の薬液注入制御ルーチンが繰り返し実行される。但し、本実施形態の薬物注入制御ルーチンでは、微生物量を表示部65が表示する点で、第一実施形態の薬物注入制御ルーチンと異なる。
図6のフローチャートに示すように、本実施形態の薬液注入制御ルーチンでも、まず、ATP計52が循環水中のATP量であるRLUを検知する(S11:ATP量検知工程)。制御装置60aの微生物量演算部64及び薬液注入制御部61は、このRLUを受け付ける。
微生物量演算部64は、ATP計52からRLUを受け付けると、上記式(1)を用いて、このRLUに対応する微生物量であるCFUを求める(S12:微生物量演算工程)。表示部65は、このCFUを表示する(S13:表示工程)。
薬液注入制御部61は、ATP計52からRLUを受け付けると、第一実施形態と同様に、このRLUが閾値Sa以上であるか否かを判断する(S14:ATP量判断工程)。
以下、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンと同様に、S15〜S18の処理が実行される。すなわち、本実施形態の薬液注入制御ルーチンは、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンに、微生物量演算工程(S12)及び表示工程(S13)を追加したものである。
以上のように、本実施形態では、循環水中の微生物量が表示部65に表示されるため、プラントの運転員が循環水中の微生物量を認識することができる。このため、例えば、何らかのトラブルにより、薬液投入工程(S15〜S18)を実行したにも関わらず、微生物量が減少しない場合でも、運転員は、このトラブルを早期に察知することができる。トラブルとしては、例えば、補給水源34の水質が変化し、現状の薬剤では微生物を十分に除去できなくなるトラブルや、薬液タンク32内に薬剤が投入されていないトラブル等が考えられる。
本実施形態の冷却塔設備20aでも、第一実施形態の循環水入替制御ルーチンと基本的に同様の循環水入替制御ルーチンが繰り返し実行される。図7のフローチャートに示すように、本実施形態の循環水入替制御ルーチンにおける補給水供給制御ルーチン(S20〜S23)は、第一実施形態の循環水入替制御ルーチンにおける補給水供給制御ルーチン(S20〜S23)と同様である。一方、本実施形態の本実施形態の循環水入替制御ルーチンにおける排出制御ルーチンは、排出弁36を開ける条件が第一実施形態と異なる。
本実施形態の排出制御ルーチンでは、まず、TDS計54が循環水中のTDSを検知する(S24:TDS検知工程)。制御装置60aの排出制御部62aは、このTDSを受け付け、このTDSが予め定められた閾値Sc以上であるか否かを判断する(S25a:TDS判断工程)。
排出制御部62は、TDSが閾値Sc以上であると判断するまで、この判断を繰り返し実行する。排出制御部62aは、TDSが閾値Sc以上であると判断すると、排出弁36に開指令を出力し、排出弁36に開動作させる(S26:排出開始工程(排出工程))。排出弁36が開くと、冷却循環水ライン41を流れている循環水の一部が、排水ライン46を介して、排液処理設備70に流入する。
以下、第一実施形態の排出制御ルーチンと同様に、S27,S28の処理が実行される。
以上のように、本実施形態では、循環水中の循環水中のTDSに応じて、循環水を排出するため、第一実施形態よりも循環水中の灰分量を適正に管理することができる。このため、本実施形態では、冷却塔設備20a内のスケーリング量の増加を抑えつつ、循環水に補給される補給水の量を抑えることができる。
「変形例」
以下、上記実施形態の各種変形例について説明する。
まず、図8を参照して、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンの第一変形例について説明する。
本変形例の薬液注入制御ルーチンでも、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンと同様、ATP計52が循環水中のATP量であるRLUを検知する(S11:ATP量検知工程)。制御装置60の薬液注入制御部61は、このRLUを受け付け、このRLUが閾値Sa以上であるか否かを判断する(S14:ATP量判断工程)。
薬液注入制御部61は、ATP計52で検知されたRLUが閾値Sa以上ではないと判断すると、ATP計52からの新たなRLUを受け付ける。一方、薬液注入制御部61は、ATP計52で検知されたRLUが閾値Sa以上であると判断すると、薬液ポンプ33に対してON指令を出力し、薬液ポンプ33を駆動させる(S15:薬液注入開始工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の駆動により、薬液タンク32内の薬液が薬液ライン43を介して、冷却塔21の循環水中に注入される。
以上の処理(S11,S14,S15)までは、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンと同様である。
薬液注入制御部61は、薬液ポンプ33に対してON指令を出力した後に、注入薬液量が予め定めた閾値Smvになったか否かを判断する(S17a:注入薬液量判断工程)。薬液注入制御部61には、薬液量に関するこの閾値Smvが格納されている。この閾値Smvは、例えば、循環水中に薬液を注入した場合に、薬液濃度が前述の許容最高薬液濃度を超えないと想定される薬液の量である。薬液タンク32に貯まっている薬液の液面レベルを検知するレベル計が薬液タンク32に設けられている場合、薬液注入制御部61は、このレベル計で検知された薬液の液面から注入薬液量を得る。また、薬液ライン43中に流量計が設けられている場合、薬液注入制御部61は、この流量計で検知された薬液の流量から注入薬液量を得る。また、薬液ポンプ33が定量ポンプである場合には、この薬液ポンプ33の駆動時間等から注入薬液量を得る。
薬液注入制御部61は、注入薬液量が閾値Smvになったと判断すると、薬液ポンプ33に対してOFF指令を出力し、薬液ポンプ33を停止させる(S18:薬液注入停止工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の停止により、冷却塔21の循環水中への薬液の注入が停止される。
以上で、本変形例における薬液注入制御ルーチンの一連の処理が終了する。
以上のように、本変形例では、薬剤濃度計53を設けなくても、薬液の注入量を管理することができる。なお、本変形例でも、薬剤濃度計53を設けてもよい。この場合、本変形例における薬液注入制御ルーチンの実行過程で、何らかの原因より、薬剤濃度が前述の許容最高薬液濃度以上になった場合には、その時点で薬液ポンプ33を停止させるとよい。
次に、図9を参照して、第一実施形態の薬液注入制御ルーチンの第二変形例について説明する。
本変形例の薬液注入制御ルーチンでは、まず、薬液注入制御部61が、ATP量の検知時刻になったか否かを判断する(S10:ATP検知時刻判断工程)。薬液注入制御部61は、前回のATP量の検知時刻から、予め定められた時間経過したか否かで、ATP量の検知時刻になったか否かを判断する。
ATP量の検知時刻になると、薬液注入制御部61は、ATP計52からATP量であるRLUを受け付ける(S11:ATP量検知工程)。薬液注入制御部61は、このRLUに応じた注入薬液量を求める(S14b:薬液量演算工程)。循環水中のATP量であるRLUが分かれば、上記式(1)を用いて、循環水中の微生物量を求めることができる。循環水中の微生物量が分かれば、予め定められた式を用いて、この微生物量に合う薬液量を求めることができる。そこで、本変形の薬液注入制御部61は、循環水中のATP量であるRLUと注入薬液量との関係を定めた式を用いて、ATP計52からのRLUに応じた注入薬液量を求める。
薬液注入制御部61は、注入薬液量を求めると、薬液ポンプ33に対してON指令を出力し、薬液ポンプ33を駆動させる(S15:薬液注入開始工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の駆動により、薬液タンク32内の薬液が薬液ライン43を介して、冷却塔21の循環水中に注入される。
薬液注入制御部61は、薬液ポンプ33に対してON指令を出力した後に、注入薬液量が先の演算で求めた注入薬液量になったか否かを判断する(S17b:注入薬液量判断工程)。なお、薬液注入制御部61は、第一変形例で前述した方法で注入薬液量を得る。
薬液注入制御部61は、注入薬液量が先の演算で求めた注入薬液量になったと判断すると、薬液ポンプ33に対してOFF指令を出力し、薬液ポンプ33を停止させる(S18:薬液注入停止工程(薬液注入工程))。この薬液ポンプ33の停止により、冷却塔21の循環水中への薬液の注入が停止される。
以上で、本変形例における薬液注入制御ルーチンの一連の処理が終了する。
以上のように、本変形例では、薬剤濃度計53を設けなくても、さらに、上記各実施形態及び上記第一変形例のよう、ATP量に関する閾値Saを設定しなくても、薬液の注入量を管理することができる。よって、第一実施形態、第一変形例及び本変形例から理解できるように、本発明では、ATP計52で検知されたATP量に応じて、薬液の注入を制御するのであれば、如何なる方法で、薬液の注入を制御してもよい。
なお、本変形例でも、薬剤濃度計53を設けてもよい。この場合、本変形例における薬液注入制御ルーチンの実行過程で、何らかの原因より、薬剤濃度が前述の許容最高薬液濃度以上になった場合には、その時点で薬液ポンプ33を停止させるとよい。また、本変形例及び第一変形例においても、第二実施形態のように、微生物量を表示部65に表示させるようにしてもよい。
以上の各実施形態及び各変形例の補給水供給器は、補給水ポンプ35、レベル計51、及び補給水供給制御部63を有して構成されている。しかしながら、補給水供給器は、例えば、水槽23内の液面レベルの変化に応じて上下動するフロートと、このフロートの上下動に応じて開閉動作する弁と、を有するフロート弁で、補給水供給器を構成してもよい。
以上の各実施形態及び各変形例の薬液注入器は、薬液ポンプ33を有して構成されている。しかしながら、薬液注入器は、薬液ライン43に設けられた弁で、構成してもよい。
以上の各実施形態及び各変形例の排出器は、排出弁36を有して構成されている。しかしながら、排出器は、排水ライン46に設けられたポンプで、構成してもよい。
以上の各実施形態及び各変形例の冷却塔設備は、いずれも、復水器14で加熱された循環水を冷却する設備である。しかしながら、本発明の冷却塔設備は、復水器で加熱された循環水を冷却する設備に限定されない。本発明の冷却塔設備は、例えば、冷凍機の凝縮器で冷媒との熱交換で加熱された循環水を冷却する設備であってもよい。
10:蒸気タービン設備
11:ボイラー
12:蒸気タービン
13:発電機
14:復水器
14a:伝熱管群
14b:胴
15:給水ポンプ
16:主蒸気ライン
17:給水ライン
18:排水ライン
19:排出弁
20,20a:冷却塔設備
21:冷却塔
22:ケーシング
23:水槽
24:ファン
25:散水器
26:ルーパー
31:循環ポンプ
32:薬液タンク
33:薬液ポンプ(薬液注入器)
34:補給水源
35:補給水ポンプ(補給水供給器)
36:排出弁(排出器)
41:冷却循環水ライン
42:加熱循環水ライン
43:薬液ライン
44:補給水ライン
45:水質検知ライン
46:排水ライン
51:レベル計
52:ATP計
53:薬剤濃度計
54:不純物総溶解度計(TDS計)
60,60a:制御装置
61:薬液注入制御部
62,62a:排出制御部
63:補給水供給制御部
64:微生物量演算部
65:表示部
70:排液処理設備

Claims (12)

  1. 流入してきた水を冷却する冷却塔と、
    前記水に含まれる微生物を除去するための薬剤を含む薬液が貯められる薬液タンクと、
    前記薬液タンク内の前記薬液を前記水に注入する薬液注入器と、
    前記水中のアデノシン三リン酸の量であるATP量を検知するATP計と、
    前記ATP計で検知された前記ATP量に応じて、前記薬液注入器により前記薬液を前記水に注入させる薬液注入制御部を有する制御装置と、
    を備える冷却塔設備。
  2. 請求項1に記載の冷却塔設備において、
    前記薬液注入制御部は、前記ATP計で検知された前記ATP量が予め定められた値以上になったことを条件として、前記薬液注入器により前記薬液を前記水に注入させる、
    冷却塔設備。
  3. 請求項1又は2に記載の冷却塔設備において、
    前記水中の前記薬剤の濃度を検知する薬剤濃度計を備え、
    前記薬液注入制御部は、前記薬剤濃度計が検知した前記薬剤の濃度が予め定められた値以上になると、前記薬液注入器による前記水への前記薬液の注入を停止させる、
    冷却塔設備。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却塔設備において、
    前記制御装置は、
    前記水中の前記ATP量と前記水中の微生物量との予め求められた相関関係を用いて、前記ATP計で検知された前記ATP量に対する微生物量を求める微生物量演算部と、
    前記微生物量演算部が求めた前記微生物量を表示する表示部と、
    を有する、
    冷却塔設備。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却塔設備において、
    前記水中の不純物総溶解度を検知する不純物総溶解度計と、
    前記水を設備外に排出する排出器と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記不純物総溶解度計で検知された前記不純物総溶解度に応じて、前記排出器を駆動させる排出制御部を有する、
    冷却塔設備。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却塔設備において、
    前記冷却塔内の前記水の量に応じて、補給水を前記水中に供給する補給水供給器を備える、
    冷却塔設備。
  7. 冷却塔が冷却する水中のアデノシン三リン酸の量であるATP量を検知するATP量検知工程と、
    前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量に応じて、前記水に含まれる微生物を除去するための薬剤を含む薬液を前記水に注入する薬液注入工程と、
    を実行する冷却塔設備の水質管理方法。
  8. 請求項7に記載の冷却塔設備の水質管理方法において、
    前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量が予め定められた値以上であるか否かを判断するATP量判断工程を実行し、
    前記薬液注入工程では、前記ATP量判断工程で、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量が予め定められた値以上であると判断されると、前記薬液を前記水に注入する、
    冷却塔設備の水質管理方法。
  9. 請求項7又は8に記載の冷却塔設備の水質管理方法において、
    前記水中の前記薬剤の濃度を検知する薬剤濃度検知工程と、
    前記薬剤濃度検知工程で検知された前記薬剤の濃度が予め定められた値以上であるか否かを判断する薬剤濃度判断工程と、
    を実行し、
    前記薬液注入工程では、前記薬剤濃度判断工程で、前記薬剤濃度検知工程で検知された前記薬剤の濃度が予め定められた値以上であると判断されると、前記薬液の注入を停止する、
    冷却塔設備の水質管理方法。
  10. 請求項7から9のいずれか一項に記載の冷却塔設備の水質管理方法において、
    前記水中の前記ATP量と前記水中の微生物量との予め求められた相関関係を用いて、前記ATP量検知工程で検知された前記ATP量に対する微生物量を求める微生物量演算工程と、
    前記微生物量演算工程で求められた前記微生物量を表示する表示工程と、
    を実行する冷却塔設備の水質管理方法。
  11. 請求項7から10のいずれか一項に記載の冷却塔設備の水質管理方法において、
    前記水中の不純物総溶解度を検知する不純物総溶解度検知工程と、
    前記不純物総溶解度検知工程で検知された前記不純物総溶解度に応じて、前記水を設備外に排出する排出工程と、
    を実行する冷却塔設備の水質管理方法。
  12. 請求項7から11のいずれか一項に記載の冷却塔設備の水質管理方法において、
    前記冷却塔内の前記水の量に応じて、補給水を前記水中に供給する補給水供給工程を実行する、
    冷却塔設備の水質管理方法。
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