JP2018114246A - 肌状態評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、毛髪表面特性センサから得られる摺動信号からスティックスリップによる振動を検出し、その振動に基づいて毛髪の表面特性を評価する手法が提案されている。
非特許文献1では、医師の触診を模するために高分子圧電体を用いて皮膚の粗さや硬さを測定する試みが報告され、圧電体の出力波形を周波数空間で評価している。
非特許文献2では、心電図RR間隔のローレンツプロットから得られる値が副交感神経活動の新しい評価指標として用いることができることが報告されている。
しかしながら、現状、肌に関する波形情報を用いて肌の相対評価を定量的に行う手法については存在しない。
図1は、本発明の実施の形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る肌状態評価方法は、少なくとも、図1に示されるように工程(S11)、工程(S13)、及び工程(S15)を含む。
ここで「被験者の肌」とは、被験者の任意の部位の肌の任意の領域である。
ここで「肌波形情報」とは、肌に関する測定を行った結果得られた、測定値又は測定値に対する演算により得られる値の時間変化或いは空間変化を表す波形(肌波形)を構成するデータ列を意味し、肌波形を示す時系列データと表記することもできる。
「時間波形」とは、肌に関する物理量の時間変化を示す波形を意味する。その物理量の時間変化としては、検出部を肌に間接的又は直接的に接触させ摺動させることで検出される変位や摩擦抵抗力などの圧力の時間変化、そのような検出された値の時間変動から周波数解析などの演算により得られる値(パワー値など)の時間変化などがあり得る。
「空間波形」とは、肌の凹凸形状に関する空間変化を示す波形を意味する。その空間変化としては、肌表面の高さの空間変化、肌表面の高さの空間変動から周波数解析などの演算により得られる値(パワー値など)の空間変化などがあり得る。
また、当該コンピュータが、受信された検出値の時系列データに対してウェーブレット変換といった時間情報を残す周波数解析を適用することにより、周波数解析後の波形データを当該肌波形情報として取得することもできる。その周波数解析としては、フーリエ変換により元波形から特定の周波数成分のみを抽出した後に時間波形に戻す演算が用いられてよく、この場合には、当該コンピュータは、生データが時系列に並んだものではなく、特定の周波数成分からなる時間波形の情報を当該肌波形情報として取得することになる。
また、当該コンピュータは、他のコンピュータからそのような生データの時系列データあるいは周波数解析後の波形データを受信してもよい。更には、当該コンピュータは、当該生データの時系列データあるいは周波数解析後の波形データを可搬型記録媒体から読み出してもよい。
算出される複数種の特徴量は、肌波形情報で示される対象肌波形における時間変動の特徴を示す二以上の特徴種の値の集合、又は、当該対象肌波形における空間変動の特徴を示す二以上の特徴種の値の集合である。このような複数種の特徴量の具体例については、後述する。但し、工程(S13)で算出される特徴量の具体的な内容は、後述の例に限定されない。
比較対象肌は、被験者自身の肌であっても、他人の肌であってもよい。例えば、比較対象肌は、或る美容施術又は化粧料を施す前の被験者自身の肌である。この例によれば、美容施術又は化粧料を施す前後での被験者の肌を相対的に評価することができる。他の例として、被験者自身の或る年齢時の肌が比較対象肌とされてもよい。この例によれば、その年齢時から今までの被験者の肌の変化を相対評価することができる。他の例として、被験者自身の他の部位の肌が比較対象肌とされてもよい。この例によれば、被験者自身の肌を部位間で相対的に評価することができる。更に他の例として、理想とされる肌或いは被験者が憧れる人の肌が比較対象肌とされてもよい。また、肌波形情報に対応する被験者及び比較対象者の肌の部位は同一部位であってもよいし、異なる部位であってもよい。
例えば、工程(S15)では、被験者の肌に関する複数種の特徴量と比較対象肌に関する複数種の特徴量との類似度を算出し、その算出された類似度を提示してもよい。
この類似度は、複数種の特徴量間のユークリッド距離として算出されてもよいし、それぞれの特徴量を成分とするベクトル間の角度として算出されてもよい。後者の場合、被験者の肌に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルと比較対象肌に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルとの内積演算を行い求められるcosθの値を類似度として算出することができる。
類似度の提示は、ディスプレイのような表示装置への表示で実現されてもよいし、プリンタへの印刷で実現されてもよいし、音声出力で実現されてもよい。
この例では、コンピュータが、類似度の算出及び提示を行い、その類似度を参照した者(被験者や評価者など)が、その類似度を以て被験者の肌を評価してもよい。また、コンピュータが、類似度の提示と共に、その類似度に対応する評価結果(「似ています」、「あまり似ていません」など)を提示することもできる。
なお、比較グラフの具体例について後述する。
このように、本発明の実施の形態によれば、肌波形に関する複数種の特徴量を用いて、被験者の肌状態を比較対象肌との間で定量的に相対評価することができる。
[第一実施形態]
第一実施形態に係る肌状態評価方法は、上述の肌波形情報として肌の触感に関わる時間波形情報を用いて、被験者の肌状態を相対評価する。以下、第一実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
図2は、第一実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、図2に示されるように、工程(S21)から工程(S26)を含む。工程(S21)は、図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S22)から工程(S24)は、工程(S13)に対応し、工程(S25)及び工程(S26)は、工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
取得される時間波形情報は、上述したとおり肌の触感に関わる情報であり、検出部を被験者の肌に間接的又は直接的に接触させ摺動させることで検出された物理量又はこの検出された物理量から演算により得られる物理量の時間変化(時間変動)を示す情報である。
このようにして得られる波形データは、肌の触感に関与している。工程(S21)では、この波形データを時間波形情報として取得してもよい。以降、このように検出部で検出された物理量の時間変化を示す波形データをベース波形データと表記する場合もある。
このように、測定者の指に振動センサなどの検出部を装着して波形データを取得すると、人が触れることで感じる肌状態を検出することとなるので、相対評価において求められる肌状態評価により近づくので好ましい。
例えば、ベース波形データに対してウェーブレット変換といった時間情報を残す周波数解析を適用することにより、特定周波数成分の混合強度(パワー)の時間変化を示す変換波形データを得ることができる。また、ベース波形データに対してフーリエ変換を適用することで特定周波数成分に限定した変換波形データを得ることもできる。
また、工程(S21)において、コンピュータが、上述のように取得されたベース波形データに対して周波数解析などの演算を適用し、演算の結果得られる変換波形データを当該時間波形情報としてもよい。更に言えば、当該コンピュータは、他のコンピュータの演算により得られた変換波形データを当該他のコンピュータ又は可搬型記録媒体から取得してもよい。
即ち、ここでの直交座標系は、時間波形情報により示される対象時間波形における時間軸上で所定時間離れた振幅値ペアの一方を横軸(x軸)、他方を縦軸(y軸)にした直交平面座標系となる。このように時間波形情報を直交座標系の座標点群に変換することをローレンツプロットと表記する場合もある。
図3で示される振動パワー波形データは、ベース波形データである振動波形データに対してウェーブレット変換を適用して得られる変換波形データである。この変換波形データが時間波形情報として取得され、この変換波形データがローレンツプロットにより直交座標系の座標点群に変換される。ローレンツプロットでは、変換波形データの振幅値(パワー値)が横軸(x軸)に、所定時間Δtシフトされたシフト波形データの振幅値(パワー値)が縦軸(y軸)に取られる。つまり、当該直交座標系の一座標点のy軸要素である振幅値は、変換波形データにおいて、同座標点のx軸要素である振幅値から所定時間Δt後に現れる値である。
座標変換では、当該直交座標系の座標点群が「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影された座標に変換される。図3では、「y=x」軸が変換後の座標系においてX'軸と表記され、「y=−x」軸が変換後の座標系においてY'軸と表記されている。
例えば、工程(S24)では、当該変換座標点群における、「y=x」軸(図3のX'軸)における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸(図3のY'軸)における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、それら平均値若しくはそれら標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の二つ以上を当該複数種の指標値として算出することができる。
図3では、X'軸における原点からの距離の平均値が黒塗り星マークで示され、その距離の標準偏差がσxで示され、Y'軸における原点からの距離の平均値が白抜き星マークで示され、その距離の標準偏差がσyで示されている。
比率としては、X'軸における平均距離とY'軸における平均距離との比率、又は、X'軸における標準偏差σxとY'軸における標準偏差σyとの比率(σx/σy)が算出され得る。
分布面積は、標準偏差σx及び標準偏差σyを用いて、楕円面積として(π×σx×σy)で算出され得る。
但し、算出される複数種の指標値は、このような例に限定されず、変換座標点群の分布状態を示す他の指標値であってもよい。例えば、距離の分散値又は分散値の比率が指標値として用いられてもよいし、分布面積は、長方形面積として(2σx×2σy)で算出されてもよい。
図4は、直線波形のローレンツプロット及び座標変換を示す図である。図4に示されるように、直線波形は、ローレンツプロット及び座標変換により一座標点に変換される。直線波形の振幅を増加させると、座標変換後の座標点はX'軸上を移動する。このことから、X'軸における平均距離は時間波形情報の振幅値の平均情報を示すといえる。
また、三角波形に周期の乱れを含めると、座標変換後の複数座標点の分布がY'軸方向に延びる。更に、三角波形を不均一化すると、座標変換後の複数座標点の分布が散らばる。このことから、Y'軸における平均距離は時間波形情報の周期の乱れの平均情報を示し、Y'軸における標準偏差σyは時間波形情報の周期の乱れの大きさを示すといえる。
更に、分布面積は、標準偏差σx及びσyを用いるため、時間波形情報の振幅の幅及び周期の乱れの大きさを示すといえ、標準偏差の比率(σx/σy)は、時間波形情報の振幅の幅と周期の乱れの大きさとの比率を示すといえる。
なお、図5で示されるローレンツプロットでは所定時間Δtが1周期に設定されている。
これらにより、ローレンツプロットを用いて得られる複数種の指標値が、肌に関する時間波形情報の複数種の特徴量になり得ることが理論的に実証される。更に、本発明者らにより、これら指標値により人の肌の状態を定量評価できることは実証されている(実施例の項参照)。
図6は、工程(S24)における類似度の算出例を概念的に示す図である。図6の例では、被験者の肌(被験肌)に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルAと比較対象肌に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルBとの内積演算を行い求められるcosθの値が類似度として算出されている。特徴ベクトルA及びBの各成分数は、特徴量として採用する上述の指標値の数となる。cosθの値は、例えば、特徴ベクトルAと特徴ベクトルBとの内積値(A・B)を特徴ベクトルAの長さ(|A|)と特徴ベクトルBの長さ(|B|)との積で除算することで算出可能である。
第一実施形態では、被験者自ら又は評価者が、工程(S26)で提示された類似度を参照して、被験者の肌状態を比較対象肌との間で相対的に評価する。例えば、提示された類似度が高い程、被験者の肌状態は比較対象肌の状態により近いと評価でき、提示された類似度が低い程、被験者の肌状態は比較対象肌の状態からより乖離していると評価できる。
工程(S26)では、類似度と共に、肌状態が近いと評価するための閾値と肌状態が遠い(異なる)と評価するための閾値とを提示することもできるし、このような閾値は、予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
ところで、被験者の肌状態と比較対象肌の状態との類似度合又は乖離(相違)度合が、肌に関する時間波形情報から得られる複数種の特徴量間の類似度により定量的に評価できることは、本発明者らにより実証されている(実施例の項参照)。
当該複数種の特徴量は肌の触感に関わる肌状態を示すと考えることができるため、第一実施形態によれば、被験者の触感に関わる肌状態を比較対象肌との間で相対的に定量評価することができる。
第二実施形態に係る肌状態評価方法は、上述の肌波形情報として肌の凹凸形状に関わる空間波形情報を用いて、被験者の肌状態を相対評価する。以下、第二実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
図7は、第二実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、図7に示されるように、工程(S31)から工程(S36)を含む。工程(S31)は、図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S32)から工程(S34)は、工程(S13)に対応し、工程(S35)及び工程(S36)は、工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
人の肌の表面には、皮溝、皮丘、毛孔、汗孔、シワ(浅い・深い)などスケールの異なる複数の凹凸構造が混在している。工程(S31)で取得される空間波形情報は、このような肌表面の凹凸形状に関する空間変化を示す波形情報である。
この空間波形情報は、被験者の肌表面の凹凸形状をレプリカに転写しそのレプリカの表面をレーザ顕微鏡などの検出部を走査させて得られる空間波形データである。このような空間波形データは、被験者の肌表面にレーザ光を照射するなどの他の手法によっても測定可能である。この空間波形データは、高さの位置変化を示すデータであるということもできる。
また、工程(S31)において、コンピュータが、上述のように取得された空間波形データに対して周波数解析などの演算を適用し、演算の結果得られる変換空間波形データを当該空間波形情報としてもよい。更に言えば、当該コンピュータは、他のコンピュータの演算により得られた変換空間波形データを当該他のコンピュータ又は可搬型記録媒体から取得してもよい。
第二実施形態における直交座標系は、空間波形情報により示される対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアの一方を横軸(x軸)、他方を縦軸(y軸)にした直交平面座標系となる。第二実施形態で表記するローレンツプロットとは、このように空間波形情報を当該直交座標系の座標点群に変換することを意味する。
図8は、第二実施形態におけるローレンツプロット及び座標変換を概念的に示す図である。
図8で示される凹凸パワー波形データは、空間波形データに対してウェーブレット変換を適用して得られる変換空間波形データである。この変換空間波形データ空間波形情報として取得され、この変換空間波形データがローレンツプロットにより直交座標系の座標点群に変換される。ローレンツプロットでは、変換空間波形データの振幅値(パワー値)が横軸(x軸)に、所定距離Δxシフトされたシフト波形データの振幅値(パワー値)が縦軸(y軸)に取られる。つまり、当該直交座標系の一座標点のy軸要素である振幅値は、変換空間波形データにおいて、同座標点のx軸要素である振幅値から所定距離Δx離れた位置に現れる値である。
座標変換については、図3に示されるものと同様である。
本発明者らは、このようにローレンツプロットを用いて得られる複数種の指標値が、肌表面の凹凸形状に関する空間波形情報の各種特徴を示していることについても見出している。具体的には、X'軸における平均距離が空間波形情報の高さ(振幅値)の平均情報を示し、X'軸における標準偏差σxが空間波形情報の高さの幅を示す。また、Y'軸における平均距離が空間波形情報の周期の乱れの平均情報を示し、Y'軸における標準偏差σyが空間波形情報の周期の乱れの大きさを示す。
更に、分布面積は、標準偏差σx及びσyを用いるため、空間波形情報の振幅の幅及び周期の乱れの大きさを示すといえ、標準偏差の比率(σx/σy)は、空間波形情報の振幅の幅と周期の乱れの大きさとの比率を示す。
これら指標値により人の肌の状態を定量評価できることは実証されている(実施例の項参照)。
図9は、工程(S35)における類似度の算出例を概念的に示す図である。図9においても図6と同様に、被験者の肌(被験肌)に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルAと比較対象肌に関する複数種の特徴量を成分とする特徴ベクトルBとの内積演算を行い求められるcosθの値が類似度として算出されている。
比較対象肌に関する複数種の特徴量の取得手法についても第一実施形態と同様である。
工程(S36)は、図2に示される工程(S26)と同様である。
当該複数種の特徴量は肌表面の凹凸形状に関わる肌状態を示すと考えることができるため、第二実施形態によれば、被験者の肌表面の凹凸形状に関わる肌状態を比較対象肌との間で相対的に定量評価することができる。
上述の第一及び第二実施形態では、被験者の肌と比較対象肌との特徴量間の類似度が提示され、この類似度を用いて被験者の肌状態の相対評価が行われたが、図1の工程(S15)に関して説明したとおり、特徴量に基づく被験者の肌の相対評価の手法は、そのような手法に制限されない。
例えば、上述の各実施形態に係る肌状態評価方法は、工程(S25)及び工程(S35)における類似度の算出、並びに工程(S26)及び工程(S36)における類似度の提示を実行することなく、図10に示されるような比較グラフを提示してもよい。即ち、当該肌状態評価方法は、各特徴種を座標軸とする座標系に、被験者の肌に関する複数種の特徴量及び比較対象肌に関する複数種の特徴量に対応する点がプロットされた比較グラフを提示してもよい。
図11は、それぞれ異なる各所定時間Δtを用いたローレンツプロットの例を示す図である。図11に示されるように、各所定時間Δtを用いたローレンツプロットにより得られる座標点群はそれぞれ異なる分布を示している。即ち、所定時間Δtを変えることで、肌に関する時間波形において異なる成分の特徴を抽出できることが分かる。
このようにすれば、小さい変化や大きい変化など着目すべき周波数成分に特化して、被験者の肌と比較対象肌との相対評価を行うことができる。
図12は、それぞれ異なる周波数帯を選択したウェーブレット変換適用後の変換空間波形データの例を示す図である。図12に示されるように、それぞれ異なる4つの周波数帯が選択された各変換空間波形データからローレンツプロットにより変換された座標点群はそれぞれ異なる分布を示している。即ち、着目すべき周波数成分を選択した空間波形情報を用いることで、肌に関する空間波形において異なる成分の特徴を抽出できることが分かる。
同様に、第二実施形態では、肌表面の凹凸形状に関わる空間波形情報が用いられたが、検出部で位置の特定ができない場合には、肌表面の凹凸形状の時間変化を示す時間波形情報が用いられてもよい。
上述の各実施形態及び変形例に係る肌状態評価方法は、図13及び図14に例示される肌状態評価装置(以降、単に評価装置と略称する場合もある)により実行可能である。
図13は、肌状態評価装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、いわゆるコンピュータ(情報処理装置)であり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、評価装置10は、図13に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、そのハードウェア構成は制限されない。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、肌の触感に関わる物理量を検出可能な上述の検出部又は肌表面の凹凸形状を検出可能な上述の検出部が接続されてもよい。
評価装置10は、取得部21、算出部22、及び出力処理部23を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納される肌状態評価プログラム(コンピュータプログラム)18がCPU11により実行されることにより実現される。このコンピュータプログラム18は、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
それら各処理モジュールの動作により、評価装置10は、上述の各実施形態及び変形例に係る肌状態評価方法を実行することができる。即ち、評価装置10(CPU11)は、図1に示される各工程、図2に示される各工程、又は図7に示される各工程を順次実行することができる。各工程の処理内容はそれぞれ上述の通りであるが、以下に、各工程の処理内容が適宜補足される。
このとき、取得部21は、肌波形情報、時間波形情報、又は空間波形情報を外部のコンピュータ、機器(検出部など)、可搬型記録媒体などから入出力I/F13又は通信ユニット14を介して取得することができる。
また、取得部21は、検出部により検出された物理量の時間波形データ又は空間波形データを外部から取得し、これら波形データに対して周波数解析などの演算を適用し、変換波形データ又は変換空間波形データを取得してもよい。更に、取得部21は、そのような変換波形データ又は変換空間波形データを外部から取得することもできる。
更に、算出部22は、被験者の肌に関する複数種の特徴量と比較対象肌に関する複数種の特徴量との類似度を更に算出してもよい。即ち、算出部22は、上述の工程(S25)又は工程(S35)を実行してもよい。比較対象肌に関する複数種の特徴量のデータは、メモリ12に予め格納されていてもよいし、通信ユニット14を介して外部から通信により取得されてもよい。
また、算出部22は、変形例において述べたように、それぞれ異なる複数の所定時間又は複数の所定距離を用いてローレンツプロットをそれぞれ行い、所定時間ごと又は所定距離ごとに上述の複数種の指標値を当該複数種の特徴量としてそれぞれ算出するようにしてもよい。
前者の場合、例えば、相対評価情報は、被験者の肌状態が比較対象肌に近いか否か、乖離しているか否かなどを示す。
後者の場合、例えば、出力処理部23は、算出部22により算出された類似度を含む相対評価情報を出力する。また、出力処理部23は、各特徴種を座標軸とする座標系に、被験者の肌に関する複数種の特徴量及び比較対象肌に関する複数種の特徴量に対応する点がプロットされた比較グラフを含む相対評価情報を出力することもできる。
また、出力処理部23は、それぞれ異なる所定時間ごと又は所定距離ごとに当該複数種の特徴量が算出されている場合には、所定時間ごと又は所定距離ごとの、被験者の肌に関する複数種の特徴量と比較対象肌に関する複数種の特徴量に基づく相対評価情報を出力してもよい。
図15によれば、いずれの特徴量においても、50代と30代及び40代との間で特徴量の差が出ている。
これにより、ウェーブレット変換後の振動波形データから得られた複数種の特徴量においてもそれぞれ年齢の違いに伴う肌状態の違いを表していることが実証されている。
皮膚外用剤の適用により被験者の肌の触感は改善されたことが確認された。また、グラフG3で示される比較対象肌は、触感の良い肌である。つまり、被験者の実際の肌状態は、グラフG1で示される状態よりもグラフG2で示される状態のほうが、比較対象肌に近い状態であった。
一方、グラフG1、G2、及びG3で示される各肌に関して、第一実施形態の手法により、X'軸及びY'軸の平均距離、X'軸及びY'軸の標準偏差、並びに楕円面積の5種の特徴量がそれぞれ算出された。そして、各肌の特徴量間の類似度として各特徴ベクトルのなす角度cosθが算出された。
結果、グラフG2とグラフG3との特徴量間の類似度がグラフG1とグラフG3との間の類似度よりも高い値を示した。これは、実際の肌状態の類似性と一致しているため、第一実施形態の手法で算出された複数種の特徴量間の類似度により、実際の肌状態の近さが定量化できることを実証している。
図17は、皮膚外用剤適用前後の肌表面の凹凸形状に関する空間波形情報から算出された5種の特徴量を示す図である。図17には、X'軸及びY'軸の平均距離、X'軸及びY'軸の標準偏差、及び楕円面積(分布面積)の各グラフが示されている。各グラフには、皮膚外用剤適用前の被験者の肌に関する値と皮膚外用剤適用後の被験者の肌に関する値とが示されている。
図17によれば、いずれの特徴量においても、皮膚外用剤適用後の肌に関する特徴量が皮膚外用剤適用前のそれよりも小さくなっている。これは、肌表面の凹凸形状の高さ幅及び周期の乱れが低減していること、即ち、皮膚外用剤により肌表面の凹凸形状がなめらかになりいわゆるキメが整ったことを示しているといえる。
このように、被験者の肌表面の凹凸形状の空間波形データから得られた複数種の特徴量がそれぞれ肌状態を表していることが実証されている。
皮膚外用剤の適用により被験者の肌のキメ状態は改善されたことが確認された。また、グラフG12で示される比較対象肌は、キメが細かく整った肌である。つまり、被験者の実際の肌状態は、グラフG10で示される状態よりもグラフG11で示される状態のほうが、比較対象肌に近い状態であった。
一方、グラフG10、G11、及びG12で示される各肌表面の凹凸形状に関して、第二実施形態の手法により、X'軸及びY'軸の平均距離、X'軸及びY'軸の標準偏差、並びに楕円面積の5種の特徴量がそれぞれ算出された。そして、各肌の特徴量間の類似度として各特徴ベクトルのなす角度cosθが算出された。
結果、グラフG11とグラフG12との特徴量間の類似度がグラフG10とグラフG12との間の類似度よりも高い値を示した。これは、実際の肌のキメ状態の類似性と一致しているため、第二実施形態の手法で算出された複数種の特徴量間の類似度により、実際の肌状態の近さが定量化できることを実証している。
前記取得された肌波形情報から、対象肌波形における時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量を算出する算出工程と、
前記被験者の肌に関して前記算出された複数種の特徴量及び比較対象肌に関する肌波形の時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量に基づいて、前記被験者の肌状態を該比較対象肌との間で相対的に評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。
前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量と前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量との類似度を算出し、
前記算出された類似度を提示する、
<1>に記載の肌状態評価方法。
<3> 前記評価工程では、
各特徴種を座標軸とする座標系に、前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量及び前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量に対応する点がプロットされた比較グラフを提示する、
<1>又は<2>に記載の肌状態評価方法。
<4> 前記算出工程では、
前記取得された肌波形情報を、前記対象肌波形における時間軸上で所定時間離れた振幅値ペア又は空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の前記座標点群を、前記直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に更に変換し、
前記変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出する、
<1>から<3>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<5> 前記算出工程では、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の二つ以上を前記複数種の指標値として算出する、
<4>に記載の肌状態評価方法。
<6> 前記算出工程では、
それぞれ異なる複数の前記所定時間又は前記所定距離を用いて、所定時間ごと又は所定距離ごとに前記複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出し、
前記評価工程では、
前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量及び前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量を、前記所定時間ごと又は前記所定距離ごとに比較することにより、前記被験者の肌状態を前記比較対象肌との間で相対的に評価する、
<4>又は<5>に記載の肌状態評価方法。
<7> 被験者の肌に関する肌波形情報を取得する取得手段と、
前記取得された肌波形情報から、対象肌波形における時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量を算出する算出手段と、
前記被験者の肌に関して前記算出された複数種の特徴量及び比較対象肌に関する肌波形の時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量に基づく前記被験者の肌の該比較対象肌との相対評価情報を出力する出力処理手段と、
を備える肌状態評価装置。
<8> 前記算出手段は、前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量と前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量との類似度を更に算出し、
前記出力処理手段は、前記算出された類似度を含む前記相対評価情報を出力する、
<7>に記載の肌状態評価装置。
<9> 前記出力処理手段は、各特徴種を座標軸とする座標系に、前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量及び前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量に対応する点がプロットされた比較グラフを含む前記相対評価情報を出力する、
<7>又は<8>に記載の肌状態評価装置。
<10> 前記算出手段は、
前記取得された肌波形情報を、前記対象肌波形における時間軸上で所定時間離れた振幅値ペア又は空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の前記座標点群を、前記直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に更に変換し、
前記変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出する、
<7>から<9>のいずれか一つに記載の肌状態評価装置。
<11> 前記算出手段は、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の二つ以上を前記複数種の指標値として算出する、
<10>に記載の肌状態評価装置。
<12> 前記算出手段は、それぞれ異なる複数の前記所定時間又は前記所定距離を用いて、所定時間ごと又は所定距離ごとに前記複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出し、
前記出力処理手段は、前記所定時間ごと又は前記所定距離ごとの、前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量と前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量とに基づく前記相対評価情報を出力する、
<10>又は<11>に記載の肌状態評価装置。
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 出力装置
16 入力装置
18 肌状態評価プログラム
21 取得部
22 算出部
23 出力処理部
Claims (7)
- 被験者の肌に関する肌波形情報を取得する工程と、
前記取得された肌波形情報から、対象肌波形における時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量を算出する算出工程と、
前記被験者の肌に関して前記算出された複数種の特徴量及び比較対象肌に関する肌波形の時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量に基づいて、前記被験者の肌状態を該比較対象肌との間で相対的に評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。 - 前記評価工程では、
前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量と前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量との類似度を算出し、
前記算出された類似度を提示する、
請求項1に記載の肌状態評価方法。 - 前記評価工程では、
各特徴種を座標軸とする座標系に、前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量及び前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量に対応する点がプロットされた比較グラフを提示する、
請求項1又は2に記載の肌状態評価方法。 - 前記算出工程では、
前記取得された肌波形情報を、前記対象肌波形における時間軸上で所定時間離れた振幅値ペア又は空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の前記座標点群を、前記直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に更に変換し、
前記変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。 - 前記算出工程では、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の二つ以上を前記複数種の指標値として算出する、
請求項4に記載の肌状態評価方法。 - 前記算出工程では、
それぞれ異なる複数の前記所定時間又は前記所定距離を用いて、所定時間ごと又は所定距離ごとに前記複数種の指標値を前記複数種の特徴量として算出し、
前記評価工程では、
前記被験者の肌に関する前記複数種の特徴量及び前記比較対象肌に関する前記複数種の特徴量を、前記所定時間ごと又は前記所定距離ごとに比較することにより、前記被験者の肌状態を前記比較対象肌との間で相対的に評価する、
請求項4又は5に記載の肌状態評価方法。 - 被験者の肌に関する肌波形情報を取得する取得手段と、
前記取得された肌波形情報から、対象肌波形における時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量を算出する算出手段と、
前記被験者の肌に関して前記算出された複数種の特徴量及び比較対象肌に関する肌波形の時間変動又は空間変動の特徴を示す複数種の特徴量に基づく前記被験者の肌の該比較対象肌との相対評価情報を出力する出力処理手段と、
を備える肌状態評価装置。
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