JP2019025071A - 肌状態評価方法及び肌状態評価装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、顔の肌(皮膚)の状態を調べるために、皮膚の粘弾性、角層水分、経皮水分蒸散量、肌色などといった各種情報が測定される。このような情報は、顔の肌のエイジング評価やスキンケア評価に利用される他、スキンケア化粧料の有効性評価などにも利用される。
しかしながら、現状、顔の肌状態を示す各種情報は、専用の測定装置によりそれぞれ測定しなければならない。
図1は、第一実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)を示すフローチャートである。第一実施形態における評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
第一実施形態に係る評価方法は、取得工程(S11)と評価工程(S13)とを含む。
ここでの「血流情報」とは、顔の見た目の赤さといった単純な外見情報ではなく、顔面の皮膚組織内の体液(主に血液)の流れ(流速又は流量)に関連する情報である。例えば、「血流情報」は、レーザ光又は超音波を顔面皮膚に照射又は送波して得られる反射光又は反射波のドップラー効果に基づいて測定される情報である。
ここでの「血流指標」とは、顔面の皮膚組織内の体液(主に血液)の流れ(流速又は流量)に関して指標となり得る情報であればよく、例えば、血流量、血流速度、Skew(血流波形の偏り)、BOS(血流の定常流指標)、Rising rate(血流量の上昇速度)、FAI(血流加速度)、ATI(血流量のピーク位置)、などであり、血流量、血流速度が計測アルゴリズムの簡便さや精度の点で好ましい。具体的には、血流指標は、MBR(Mean Blur Rate)、並びにMBRを用いて算出される、Falling rate、CVR(Cutaneous Vascular Resistance)、RI(Resistivity Index)、Fluctuation、及びBOT(Blowout Time)の中のいずれか一つを含んでもよい。
「MBR」は、血流量及び血流速度の双方に関係するが、本明細書では、血流量及び血流速度と区別して用いる。但し、「MBR」は血流量又は血流速度と同意で用いられてもよい。
「血流量」は、例えば、相対血流量であり、また、上記特許文献1で記載される一次回帰式に平均MBR値を適用して得られる血流量である。
「血流速度」は、血流量を血管断面積で除算して得られる情報である。
「Falling rate」は、一心拍あたりのMBR値の時間波形における最大MBR値からの下降速度の時間変動を示す指標である。図2に示される(Sall)及び(S2)を用いて、Falling rateは次の式で表すことができる。以下の「C」は比例定数である。
(Falling rate)=C・(S2)/(Sall)
「CVR」は、皮膚血管抵抗を示す指標であり、CVR値は平均血圧値をMBR値で除算して得ることができる。
「RI」は、末梢血管抵抗を示す指標であり、RI値は最大MBR値(図2のMBRmax)と最小MBR値(図2のMBRmin)との差を最大MBR値で除算して得られる。
「Fluctuation」は、MBRの変動係数を示す指標であり、以下の式で表される。
(BOT)=C・(W)/(F)
これら血流指標は、「MBR」を「血流量」又は「血流速度」に置き換えて得られる情報であってもよいし、血流の指標となり得る他の情報であってもよい。
図3は、MBR画像の例を示す図である。
本発明者らは、顔面の皮膚組織内の血液の流れ(血流)に着目し、実施例の項で述べるように、その血流の状態が顔の肌状態と高い相関を有することを見出した。そして、本発明者らにより、被験者の顔面皮膚の血流情報を用いることで、被験者の顔の肌状態を評価可能であることが実証された。
ここで「肌状態指標」とは、肌状態に関して指標となり得る情報であればよい。上述のような血流指標と高い相関性を示す肌状態指標としては、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色(a*、b*)、及び角層細胞面積などがあることが本発明者らにより確認されている。このため、評価工程(S13)では、被験者の顔の肌に関して、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色、及び角層細胞面積のいずれか一つ以上を示す一種以上の肌指標値を算出することができる。
また、肌状態を測定する装置は、プローブなどを肌に当接させて測定する装置が一般的であるところ、本実施形態においては、非接触式の血流計を用いることで、非接触で被験者の肌指標値を得ることができる。このため、被験者にとっては、化粧落ちや衛生面を気にする必要がないため、気軽に本実施形態の評価方法を利用することができる。
但し、肌状態の具体的な評価の仕方はこのような例に限定されない。
以下、第二実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)について、第一実施形態と異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図4は、第二実施形態に係る評価方法を示すフローチャートである。第二実施形態に係る評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
工程(S31)は、被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得する工程である。この光強度画像は斑点模様(スペックル)を含んでおり、スペックル画像とも呼ばれる。
工程(S31)での光強度画像の取得とは、撮像素子が光強度画像を撮像することであってもよいし、撮像素子により撮像された光強度画像の画像フレームを撮像素子、撮像装置、可搬型記録媒体、又は他の機器から受信することであってもよい。スペックル画像の撮像方法については公知の手法が利用されればよい(例えば、上記特許文献1参照)。
工程(S33)で取得された血流指標値がMBR値である場合、MBR値と高い相関性が認められている複数種の肌状態指標に関する肌指標値が算出されればよい。また、工程(S33)において複数種の血流指標値が取得されている場合には、各血流指標と相関の高い複数種の肌状態指標に関する肌指標値が算出されてもよい。
以下、第三実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)について、第一実施形態及び第二実施形態と異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態及び第二実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図5は、第三実施形態に係る評価方法を示すフローチャートである。第三実施形態に係る評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
工程(S41)は、被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得する工程であり、図4の工程(S31)と同じである。但し、工程(S41)で取得される光強度画像には被験者の顔面皮膚の後述の複数部位が含まれていることが望ましい。このようにすれば、複数部位の血流指標値を一括で得ることができるからである。
ここでの「複数部位」は、被験者の顔面皮膚のうち肌状態を評価すべき部位であり、評価内容に応じて適宜選択されればよい。例えば、テカり状態を評価する場合には、額や鼻先といった皮脂腺が多いTゾーンと呼ばれる範囲から複数部位が選択されてもよいし、乾燥状態を評価する場合には、乾燥し易いUゾーンと呼ばれる範囲から複数部位が選択されてもよい。また、加齢状態を評価する場合には、目尻や口元などの加齢変化し易い複数部位が選択されればよい。
なお、光強度画像から血流指標値を取得する手法については第二実施形態で述べたとおりである。
工程(S45)では、血流指標値が取得された部位ごとに肌指標値が算出されてもよいし、その部位に限定することなく顔の或る肌状態指標の肌指標値が算出されてもよい。
前者の場合、血流指標と肌状態指標との相関式が部位ごとに設けられていてもよいし、部位に依存しない相関式が設けられていてもよい。
後者の場合、複数部位の血流指標と一種の肌状態指標との相関式が設けられていてもよいし、部位ごとの血流指標値の統計値(平均値など)から肌指標値が算出されてもよい。
また、工程(S45)では、複数種の肌状態指標の肌指標値を算出することもできる。
上述の第一から第三の実施形態に係る評価方法の少なくとも一部は、次のような肌状態評価装置(以降、評価装置と略称される場合もある)により実行され得る。
図6は、肌状態評価装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、評価装置10は、図6に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、そのハードウェア構成は制限されない。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、上述の光強度画像を撮像するカメラ(図示せず)が接続されてもよい。
また、評価装置10はカメラを内蔵する機器であってもよい。
評価装置10は、取得部21、算出部23、出力処理部25等を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納されるプログラムがCPU11により実行されることにより実現される。このプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
評価装置10は、取得部21、算出部23、及び出力処理部25の動作により上述の評価方法の一部又は全部を実現可能である。換言すれば、評価装置10は、インストールされたプログラムを実行することにより上述の評価方法を実行することができる。
入出力I/F13又は通信ユニット14にカメラが接続されている場合には、取得部21は、そのカメラから上述の光強度画像の画像フレームを取得することもできる。この場合、取得部21は、その光強度画像から被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得することができる。また、取得部21は、その光強度画像から被験者の顔の複数部位に関する皮膚の血流指標値を部位ごとに取得することもできる
光強度画像から血流指標値の取得手法については、第二実施形態などで述べたとおりである。
また、取得部21は、被験者の顔に関する図3に例示されるようなMBR画像(血流マップ)を取得し、そのMBR画像の各画素から、MBR値又はMBR値から算出される血流指標値を取得することもできる。
例えば、評価部は、評価の基準となる肌指標値の範囲又は閾値を保持しており、これと算出部23により算出された被験者の肌指標値とを比較することで、肌状態の評価情報を生成することができる。肌指標値の範囲又は閾値により肌状態の程度(良し悪しなど)が区別可能である場合には、評価部は、肌状態の程度を示す評価情報を生成することができる。また、評価部は、年齢層ごとの平均的な肌指標値の範囲を保持しておくことにより、被験者の肌年齢を示す評価情報を生成することもできる。また、評価部が生成する評価情報は、肌状態の程度が肌指標値の範囲又は閾値で区分けされて示されるグラフ上に被験者の肌指標値がプロットされた画像であってもよい。
このような評価部が設けられている場合、出力処理部25は、評価部が生成した評価情報を出力装置15に出力させればよい。
上述の第一から第三の実施形態に係る評価方法は、以下のように応用することができる。以下、他の実施形態としての肌美容カウンセリング方法とスキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法とについて上述の各実施形態と異なる内容を中心に説明し、上述の各実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図8は、肌美容カウンセリング方法を示すフローチャートである。
肌美容カウンセリング方法は、図8に示されるように、工程(S51)、工程(S53)、及び工程(S55)を含む。
図8には、第一実施形態に係る評価方法を含む場合のフローが例示されており、工程(S51)及び工程(S53)は、図1に示される工程(S11)又は工程(S13)と同様である。但し、本方法の工程(S53)では、血流情報としての血流指標値から被験者の顔の肌指標値が算出される。
ここで「スキンケア手法」とは、肌美容の手法であり、医療行為を除くものである。スキンケア手法には、食生活や運動メニュー、お風呂上り時や就寝前にすることなど生活習慣に関する手法、美容施術方法(美容マッサージや顔面パックなど)、スキンケア品の使い方など様々な手法があり得る。
「スキンケア品」とは、スキンケアのために利用され得るあらゆる物品であり、例えば、洗顔料、化粧水、美容液などのようなスキンケア化粧料、化粧落としに利用される物品(吸収性物品など)、スキンケアのための飲食品などがあり得る。スキンケアのための飲食品には、水に溶かして摂取するサプリメントと呼ばれる栄養補助食品なども含まれる。
なお、本実施形態において提案する「スキンケア手法」及び「スキンケア品」の具体的内容は何ら制限されない。
工程(S55)がコンピュータにより実行される場合には、当該提案情報が、表示装置に表示されてもよいし、印刷されてもよいし、音声で読み上げられてもよい。提案情報の生成手法については、肌状態評価装置10の説明中で述べることとする。
また、コンピュータが被験者の顔の肌指標値を出力し、その肌指標値に基づいて、評価者が当該提案情報を被験者に提示してもよい。この場合、例えば、肌指標値の範囲と提案すべきスキンケア品又はスキンケア手法の情報とが関連付けられた対応表が予め生成されており、評価者がその対応表と被験者の肌指標値とを見比べることで、被験者のためのスキンケア品又はスキンケア手法の提案情報を提示してもよい。
肌美容カウンセリング方法は、第二実施形態又は第三実施形態に係る評価方法を含んでもよい。いずれの場合にも、工程(S35)又は工程(S45)の後に、工程(S55)が実行されればよい。この場合、工程(S55)は、工程(S37)又は工程(S47)の前に実行されてもよいし、それらと並行に実行されてもよいし、それらの後に実行されてもよい。
この場合、当該複数部位は、ベースケアに対応する複数部位と、これら複数部位とは異なる局所ケアに対応する部位とを含むことが好ましい。
「ベースケア」とは、顔の肌全体に適用する基礎的なケアである。ベースケアに対応する複数部位としては、例えば、Tゾーン、Uゾーンといった比較的広い領域内の複数部位が選択される。
「局所ケア」とは、目尻や口周りなどのような局所的な特性を持つ部位専用に適用するケアである。
つまり、工程(S51)において、被験者の顔面皮膚に関してベースケアに対応する複数部位の血流指標値及び局所ケアに対応する部位の血流指標値が取得される。
このような肌美容カウンセリング方法によれば、部位ごとに肌状態を測定することなく、顔面皮膚の必要範囲の血流情報を得ることで、ベースケア及び局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示することができる。
この場合、評価装置10は、図7に示される処理構成に加えて、提案生成部を更に有していればよい。提案生成部についても他の処理モジュールと同様に実現されればよい。
図9は、スキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法を示すフローチャートである。
以降、効果を提示すべき対象となるスキンケア手法を対象手法と表記し、同対象となるスキンケア品を対象品と表記する。スキンケア手法及びスキンケア品については上述したとおりである。
本効果提示方法は、対象手法の実施前後の被験者又は対象品の使用前後の被験者に関して上述の肌状態評価方法を実行する工程(S61)及び工程(S63)、工程(S61)及び工程(S63)でそれぞれ算出された肌指標値を比較する工程(S65)、工程(S65)での比較結果に基づいて対象手法又は対象品の効果情報を提示する工程(S67)を含む。
工程(S65)では肌指標値同士が比較される。肌状態評価方法において複数種の肌指標値が算出されている場合には、同一種の肌指標値同士が比較されるか、又は、複数種の肌指標値の統計値同士が比較されればよい。
工程(S67)がコンピュータにより実行される場合には、当該効果情報が、表示装置に表示されてもよいし、印刷されてもよいし、音声で読み上げられてもよい。効果情報の生成手法については、肌状態評価装置10の説明中で述べることとする。
また、コンピュータが被験者の顔の肌指標値を出力し、工程(S65)及び工程(S67)は人によって実行されてもよい。
本方法によれば、被験者の肌状態を測定することなく、血流情報を用いることで、被験者にとっての対象手法又は対象品の効果を容易に知ることができる。
これにより、被験者は、対象手法又は対象品に関する自身への効果、言い換えれば、効果を得るために対象手法又は対象品が自身に合うかどうかを容易に確認することができる。一方で、対象手法の提案者又は対象品の製造元は、複数の被験者に関して本方法を適用することで、対象手法又は対象品の総合的な効き目を容易に把握することができる。
この場合、評価装置10は、図7に示される処理構成に加えて、比較部及び情報生成部を更に有していればよい。比較部及び情報生成部についても他の処理モジュールと同様に実現されればよい。
健常な30代の女性40名を母集団として、母集団の各被験者の顔面皮膚に関して図3に示すようなMBR画像をそれぞれ取得した。このように同年代の女性を母集団とすることで加齢変化の影響を排除した。
そして、当該取得されたMBR画像に基づいて被験者ごとに複数種の血流指標値を取得した。
一方で、当該母集団の各被験者に対して既存の手法で肌状態を測定し、その測定値としての肌指標値を取得した。
このように測定された血流指標値と肌指標値との関係を確認し、次のように高い相関を示す血流指標と肌状態指標との関係性が確認された。
Falling rateは、血流指標であり、上述したとおり、最大MBR値からの下降速度の時間変動を示す指標であり、血流量の下降速度の時間変動を示す指標と換言することもできる。
Ur/Ufは、肌の粘弾性を示す肌状態指標であり、具体的には、肌のクリープ回復の速さを示す指標である。
図10によれば、Falling rateとUr/Ufとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。これは、肌の弾力性が高い即ちハリが強いと、血管内に血液が長く維持され血流が緩やかに低下し、逆に肌の弾力性が低い即ちハリが弱いと、維持する時間が短くなり血流が急激に低下することを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
CVRは、上述したとおり、皮膚血管抵抗を示す血流指標である。
TEWLは、経表皮水分蒸散量を示す肌状態指標であり、不感蒸泄として1時間に1m2あたり何gの水分が蒸散しているかを示し、この指標は皮膚のバリア機能を示すともいえる。
図11によれば、CVRとTEWLとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。これは、皮膚血管抵抗が大きくなると、血液が流れ難くなり不感蒸泄も抑えられ、皮膚血管抵抗が小さくなると、血液が流れ易くなり不感蒸泄も活発化することを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
Fluctuationは、上述したとおり、MBRの変動を示す血流指標であり、血流量の変動を表す指標と換言できる。
Corneometerは、角層水分量を示す肌状態指標である。
図12によれば、FluctuationとCorneometerとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。
MBRは、上述したとおり、肌指標値であり、肌色a*は、肌の赤みを示す肌状態指標である。
図13によれば、MBRと肌色a*とは、0.1%水準で有意な正の相関を有することが確認される。これは、MBRが大きくなるとヘモグロビン成分が多くなり肌の赤みが強くなり、MBRが小さくなるとヘモグロビン成分が少なくなり肌の赤みが弱くなることを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
RIは、上述したとおり、末梢血管抵抗を示す血流指標であり、肌色b*は、肌の黄色みを示す肌状態指標である。
図14によれば、RIと肌色b*とは、0.1%水準で有意な正の相関を有することが確認される。これは、末梢血管抵抗が大きくなると、血液が流れ難くヘモグロビン成分が減り肌の黄色みが強くなり、末梢血管抵抗が小さくなると、血液が流れ易くヘモグロビン成分が増え肌の黄色みが弱くなることを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
BOTは、上述したとおり、高いMBR値(血流量)の持続性を表す血流指標であり、皮表角層水分量は、肌状態指標である。
図15によれば、BOTと角層水分量とは、0.5%水準で正の相関を有することが確認される。これは、BOTが高いと1回の心拍中に高い血流量が長く持続することを示している。これについても、実際の皮膚性状と合致しているといえる。
(1)血流量=MBR
(2)血管への血流の入り易さ=ATI、Rising rate
(3)組織血流量の保持力=BOT、Falling rate
(4)組織血流の定常性=Fluctuation、BOS、RI、Skew
そこで、このような分類に基づいて、肌指標値と血流指標値とを重回帰分析することで、血流指標値を用いて肌指標値を予測する重回帰式を算出することができた。算出された2つの重回帰式を以下に例示する。これら重回帰式は、0.1%水準で有意であった。
(重回帰式1)Ur/Uf=0.463+0.251×10−3×MBR+0.004×Rising rate−0.013×Falling rate−0.007×Fluctuation
(重回帰式2)Ur/Uf=0.525+0.007×Rising rate−0.018×Falling rate
重回帰式1では、分類された4項目の項目ごとに一つの血流指標がそれぞれ用いられ、重回帰式2では、血管への血流の入り易さと組織血流量の保持力との2項目について一つの血流指標がそれぞれ用いられた。
なお、肌状態指標としてのUr/Ufは、上述したとおり、肌の粘弾性を示す肌状態指標であり、肌粘弾性測定装置により測定された。
本実施例で例示されるように、複数種の血流指標と複数種の肌状態指標とにおいて高い相関性が確認されており、上述の各実施形態の実効性が実証されている。
前記取得された血流情報に基づいて前記被験者の顔の肌状態を評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。
前記評価工程では、前記血流指標と肌状態指標との相関性に基づいて、前記血流指標値から前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<1>に記載の肌状態評価方法。
<3>前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された血流指標値に基づいて、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
<2>に記載の肌状態評価方法。
<4>前記血流指標は、MBR(Mean Blur Rate)、並びに、MBRを用いて算出される、Falling rate、CVR(Cutaneous Vascular Resistance)、RI(Resistivity Index)、Fluctuation、及びBOT(Blowout Time)の中のいずれか一つを含み、
前記肌状態指標は、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色、及び角層細胞面積の中のいずれか一つを含む、
<2>又は<3>に記載の肌状態評価方法。
<5>前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の複数部位における或る血流指標の血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された前記複数部位の血流指標値に基づいて、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<2>から<4>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<6><2>から<5>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含む肌美容カウンセリング方法。
<7><5>に記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含み、
前記複数部位は、ベースケアに対応する複数部位と、該複数部位とは異なる局所ケアに対応する部位とを含み、
前記評価工程では、前記ベースケアに対応する前記複数部位の血流指標値に基づいて前記被験者の広域肌指標値を算出し、前記局所ケアに対する部位の血流指標値に基づいて前記被験者の局所肌指標値を算出し、
前記提示工程では、前記広域肌指標値及び前記局所肌指標値に基づいて、前記ベースケア及び前記局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する、
肌美容カウンセリング方法。
<8><2>から<5>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法を含み、
対象スキンケア手法の実施前後又は対象スキンケア品の使用前後の前記被験者に関して前記肌状態評価方法を実行することにより、該対象スキンケア手法の実施前後又は該対象スキンケア品の使用前後の肌指標値を比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて前記対象スキンケア手法又は前記対象スキンケア品の効果情報を提示する提示工程と、
を更に含むスキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法。
<9>被験者の顔面皮膚の血流指標値を取得する取得手段と、
前記取得された血流指標値を血流指標と肌状態指標との相関式に適用することにより、前記被験者の顔の肌状態を示す肌指標値を算出する算出手段と、
を備える肌状態評価装置。
<10>前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記評価手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
<9>に記載の肌状態評価装置。
<11>前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔の複数部位に関する皮膚の血流指標値を部位ごとに取得し、
前記算出手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された前記複数部位の血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<9>に記載の肌状態評価装置。
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 出力装置
16 入力装置
21 取得部
23 算出部
25 出力処理部
Claims (11)
- 被験者の顔面皮膚の血流情報を取得する取得工程と、
前記取得された血流情報に基づいて前記被験者の顔の肌状態を評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。 - 前記取得される血流情報は、或る血流指標に関する血流指標値を含み、
前記評価工程では、前記血流指標と肌状態指標との相関性に基づいて、前記血流指標値から前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
請求項1に記載の肌状態評価方法。 - 前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された血流指標値に基づいて、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
請求項2に記載の肌状態評価方法。 - 前記血流指標は、MBR(Mean Blur Rate)、並びに、MBRを用いて算出される、Falling rate、CVR(Cutaneous Vascular Resistance)、RI(Resistivity Index)、Fluctuation、及びBOT(Blowout Time)の中のいずれか一つを含み、
前記肌状態指標は、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色、及び角層細胞面積の中のいずれか一つを含む、
請求項2又は3に記載の肌状態評価方法。 - 前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の複数部位における或る血流指標の血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された前記複数部位の血流指標値に基づいて、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。 - 請求項2から5のいずれか一項に記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含む肌美容カウンセリング方法。 - 請求項5に記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含み、
前記複数部位は、ベースケアに対応する複数部位と、該複数部位とは異なる局所ケアに対応する部位とを含み、
前記評価工程では、前記ベースケアに対応する前記複数部位の血流指標値に基づいて前記被験者の広域肌指標値を算出し、前記局所ケアに対する部位の血流指標値に基づいて前記被験者の局所肌指標値を算出し、
前記提示工程では、前記広域肌指標値及び前記局所肌指標値に基づいて、前記ベースケア及び前記局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する、
肌美容カウンセリング方法。 - 請求項2から5のいずれか一項に記載の肌状態評価方法を含み、
対象スキンケア手法の実施前後又は対象スキンケア品の使用前後の前記被験者に関して前記肌状態評価方法を実行することにより、該対象スキンケア手法の実施前後又は該対象スキンケア品の使用前後の肌指標値を比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて前記対象スキンケア手法又は前記対象スキンケア品の効果情報を提示する提示工程と、
を更に含むスキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法。 - 被験者の顔面皮膚の血流指標値を取得する取得手段と、
前記取得された血流指標値を血流指標と肌状態指標との相関式に適用することにより、前記被験者の顔の肌状態を示す肌指標値を算出する算出手段と、
を備える肌状態評価装置。 - 前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記算出手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
請求項9に記載の肌状態評価装置。 - 前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔の複数部位に関する皮膚の血流指標値を部位ごとに取得し、
前記算出手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された前記複数部位の血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
請求項9に記載の肌状態評価装置。
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