JP2018113884A - ビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 香りが豊かなビールテイスト飲料、特に、果実の爽やかな香りが豊かなビールテイスト飲料の提供。【解決手段】 原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、 糖液と前記種子とを混合して種子含有糖液を調製する工程、および前記種子含有糖液に酵母を添加して、27℃以下の発酵温度で発酵させる発酵工程、を含む、製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料およびビールテイスト飲料の製造方法に関する。具体的には、原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法および当該製造方法で得られたビールテイスト飲料に関する。
ビールテイスト飲料とは、一般にビールと同様の風味を有するアルコール飲料およびノンアルコール飲料であり、このような風味を実現するために、ビールと同様の原材料が用いられていた。具体的には、主な原材料として麦芽およびホップを用い、ホップを所定の温度範囲で、一定時間加熱処理することにより、麦芽とホップに由来する風味を有するビールテイスト飲料が提供されている(特許文献1)。
他方、ビールなどのビールテイスト飲料に求められる消費者の要求は多様化し、華やかな香りも求められている。
エステル含有量の華やかな香りを実現するために、発酵液のエキス含有量の低下速度が一定値以上になったときに発酵温度を1〜3℃の範囲内で低下させるビールの醸造方法が知られている(特許文献2)。
特開2015−92832号 特開平6−30756号
このような状況の下、原材料に種子を用いたビールテイスト飲料における豊かな香りを実現する方法は知られていない。そこで、香りが豊かなビールテイスト飲料、特に、果実の爽やかな香りが豊かなビールテイスト飲料が求められている。
本発明の発明者らは、ビールテイスト飲料の原材料に種子を用い、種子または種子含有成分を含む糖液を所定の温度範囲で発酵させることによって、本発明の課題を解決するに至った。
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
糖液と前記種子とを混合して種子含有糖液を調製する工程、および
前記種子含有糖液に酵母を添加して、27℃以下の発酵温度で発酵させる発酵工程、
を含む、製造方法。
[2]
前記発酵工程前に、前記種子含有糖液を加熱する加熱工程を有する[1]に記載の製造方法。
[3]
原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
前記種子から種子含有成分を抽出する工程、
糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、および
前記混合工程で得られた混合液に酵母を添加して、27℃以下の発酵温度で発酵させる発酵工程、
を含む、製造方法。
[4]
前記種子から前記種子含有成分を加熱して抽出する、[3]に記載の製造方法。
[5]
前記種子が乾燥してスパイスとして使用される種子である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g〜50gの種子が用いられる[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法で得られた、ビールテイスト飲料。
本発明の好ましい態様に係る発明は、香りの豊かなビールテイスト飲料を提供できる。また、本発明の好ましい態様に係る発明は、種子または種子含有成分を含む糖液を所定の温度範囲で発酵させることによって、果実が本来有する爽やかな香りを変質させずにビールテイスト飲料を提供できる。
1 ビールテイスト飲料
本発明のビールテイスト飲料は、原材料に種子を用い、種子または種子含有成分を含む糖液を所定の温度範囲で発酵させることによって製造される飲料である。
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつ飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、ビール風味を有するいずれの飲料をも包含する。本発明のビールテイスト飲料の種類としては、たとえば、日本の酒税法上の名称における発泡酒、ビール、リキュール類、その他醸造酒などが含まれ、また、低アルコールの発酵飲料(たとえばアルコール分1%未満の発酵飲料)、スピリッツ類、ノンアルコールのビールテイスト飲料、ビールテイストの清涼飲料なども含まれる。発酵、非発酵のいずれも含まれる。
本発明のビールテイスト飲料のアルコール分は特に限定されないが、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは1〜15重量%である。特にビールや、発泡酒といったビールテイスト飲料として消費者に好んで飲用されるアルコールと同程度の濃度、すなわち、1〜7重量%の範囲であることが望ましい。
本発明のビールテイスト飲料のアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール度が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
本発明にかかるビールテイスト飲料に、酒感を付与する観点から、脂肪族アルコールを添加してもよい。脂肪族アルコールとしては、公知のものであれば特に制限されないが、炭素数4〜5の脂肪族アルコールが好ましい。本発明において、好ましい脂肪族アルコールとしては、炭素数4のものとして、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール等が、炭素数5のものとして、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の組み合せで用いることができる。炭素数4〜5の脂肪族アルコールの含有量は好ましくは0.0002〜0.0007質量%であり、より好ましくは0.0003〜0.0006質量%である。本明細書において、脂肪族アルコールの含有量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法を用いて測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料の製造工程に発酵工程が含まれる場合、当該発酵工程で炭酸ガスが発生するため、当該炭酸ガスをそのまま用いることができ、さらに炭酸ガスを添加して調製することもできる。また、原材料に非発酵液を用いた場合、発酵工程で発生する炭酸ガスを利用できないため、非発酵液と炭酸水との混和、または非発酵液への炭酸ガスの添加によって、ビールテイスト飲料に炭酸ガスを溶解させることができる。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表され、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的には、ビールテイスト飲料の炭酸ガス圧の上限は4.0kg/cm、3.4kg/cm、または2.8kg/cmであり、下限は0kg/cm、0.2kg/cm、0.9kg/cm、または1.5kg/cmであり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。たとえば、ビールテイスト飲料の炭酸ガス圧は、0kg/cm以上4.0kg/cm以下、0.2kg/cm以上3.4kg/cm以下、0.9kg/cm以上2.8kg/cm以下、または1.5kg/cm以上2.8kg/cm以下であってよい。本明細書におけるガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。圧力の測定は、当業者によく知られた方法、たとえば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
2 ビールテイスト飲料の製造方法
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は原材料に種子を用いる製造方法であり、所定の温度範囲で種子または種子含有成分を含む糖液を所定の温度範囲で発酵させることによって、本発明の課題を解決するに至った。
以下、本発明の代表的な方法として、種子含有糖液を発酵させる方法(製造方法A)と、種子含有成分と糖液との混合液を発酵させる方法(製造方法B)を説明する。
2.1 製造方法A
(1)糖液の調製
本明細書において、「糖液」とは、単糖、二糖および三糖以上からなる群から選ばれる1以上の糖類を含む水溶液である。
糖液は、たとえば、水、穀物の他に、任意に糖類などの原料を仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加して、糊化、糖化を行ない、ろ過し、煮沸釜にて必要に応じてホップ、苦味料または着色料などを加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除くことによって調製される。
また、本発明に用いられる糖液として市販された糖液を用いてもよく、糊化や糖化の必要のない原料は直接煮沸釜に投入してもよい。
穀物としては、たとえば、麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、それらの麦芽など)、米(白米、玄米など)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆など)、そば、ソルガム、粟、ひえ、およびそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)などがあげられる。
用いられる穀物の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して穀物が好ましくは5g〜300g、さらに好ましくは10g〜250g、特に好ましくは20g〜200g用いられる。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。本発明においては、好ましくは大麦麦芽、小麦麦芽を用いる。特に大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
糖類としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素などで分解した市販の糖化液や、市販の水飴などがあげられる。このとき、糖類の形態は、溶液などの液状、または粉末などの固形物状など、どのような形態であってもよい。また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解などの処理条件についても特に制限はない。たとえば、酵素や酸による加水分解の条件を工夫することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルチュロース、トレハルロース、マルトトリオース、ラクトース、ガラクトースおよびこれらの溶液などを用いることができる。
また、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナンなどの水溶性食物繊維を用いることもできる。これらのうち、安定性や安全性などの汎用性の観点から、難消化性デキストリン、ポリデキストロースが好ましい。
用いられる水溶性食物繊維の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して水溶性食物繊維が好ましくは5g〜50g、さらに好ましくは10g〜40g、特に好ましくは15g〜30g用いられる。
ホップとは、ビールテイスト飲料などの製造に使用される通常のペレットホップ、ベールホップ、ホップエキス、ホップ加工品(イソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップ)などをいう。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0〜1重量%程度である。
(2)糖液と種子との混合
(1)で調製された糖液に種子を投入して両者を混合する。混合する時点の糖液および種子の温度は特に限定されない。
本明細書中、種子は、種子の一部を含めば特に限定されない。したがって、種子にそれを被覆する果実の果肉の一部が含まれてもよい。
種子は、乾燥してスパイスとして使用される種子が好ましい。本発明で用いることができる種子として、たとえば、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、花椒、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、エルダーベリー、グレインズ・オブ・パラダイス、アニス、スターアニスの種子などが挙げられる。これらの種子の中でも乾燥したコリアンダーの種子(コリアンダーシード)が特に好ましい。「乾燥してスパイスとして使用される種子」も果実の一部を含んでもよい。
種子は乾燥物、凍結物、凍結乾燥物などであってもよい。
種子は細かく粉砕してから投入してもよい。その際、種子の粉砕はミル等の公知の方法が用いられる。
糖液に投入される種子は粉砕してから12時間以上保管したものを用いる。種子の粉砕はミル、プレス機、剪断機等の公知の方法が用いられる。粉砕前の種子の状態は限定されず、常温の状態でも、冷凍の状態のものでもよい。
粉砕後の保管時間は、12時間〜30日が好ましく、18時間〜20日がさらに好ましく、24時間〜7日間が特に好ましい。保管時間が40日より長いと、香りの揮発量が大きくなりやすい。また、保管時間が6時間より短いと、種子に由来する不快臭の低減が不十分となりやすい。
粉砕後の保管温度は30℃以下が好ましく、20℃以下がさらに好ましく、10℃以下が最も好ましい。保管温度が30℃を超えると成分変化が進みやすくなるため好ましくない。なお、保管時の保管温度は昇降してもよい。
粉砕された種子の保管時の圧力は特に限定されず、たとえば、常圧で保管できる。
また真空状態で保管してもよい。
種子を含む糖液(種子含有糖液)における種子の含有量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して0.01g〜50g、好ましくは0.02g〜25g、さらに好ましくは0.04g〜10g含有するように種子が用いられる。
次に、種子含有糖液を一定時間放置して、種子含有成分が糖液に移るようにする。このとき、種子含有糖液を55℃〜99℃で加熱することが好ましい。このような温度範囲で加熱することによって、種子含有成分が抽出され糖液に移る。加熱温度が55℃以下であると、糖液に移る種子含有成分の量が不十分になる恐れがある。他方、加熱温度が99℃以上であると、加熱によって香りが蒸散してしまう、雑味の大きい成分の抽出量が大きくなる、または雑味の成分が生成してしまうなどの恐れがある。加熱温度は、58℃〜97℃がさらに好ましく、60℃〜97℃、60〜95℃、60〜93℃、60〜90℃が特に好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、1分〜180分が好ましく、10分〜180分がさらに好ましく、10分〜100分、10分〜80分が特に好ましい。
種子含有成分が効率的に抽出されるために、必要に応じて撹拌を行ってもよい。撹拌手段は、機械撹拌、不活性ガスや空気による撹拌などの公知の方法を用いることができる。
前記種子含有糖液の加熱後、種子等の固形分を除去してもよい。固形分の除去は、ろ過、遠心分離等の公知の方法が用いられる。また、オリを除去する際に、一緒に種子を除去してもよい。
(3)発酵
(2)で得られた糖液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させる。
発酵温度は27℃以下でが好ましいが、その範囲の中でも、0℃〜27℃が好ましく、5℃〜27℃がさらに好ましく、7℃〜27℃が特に好ましい。発酵の途中、当該温度範囲で発酵液の温度を昇降させてもよい。このような温度範囲で発酵させると、種子が有する爽やかな香りの変質を最小限に抑えることができる。これによって、種子が有する爽やかな香りが豊かなビールテイスト飲料を製造できる。
発酵時間は、2〜30日、3〜20日、5〜15日が好ましい。また、発酵時の圧力も特に限定されないが、常圧が好ましい。また、発酵の途中、圧力を変化させてもよい。
たとえばビールテイスト発酵飲料を製造する場合、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8〜25℃、3〜15日間の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温、または降温)、または圧力を変化させてもよい。
発酵後、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水、醸造用アルコールや添加剤などを加えてもよい。
発酵工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件などを考慮して選択することができ、上面発酵酵母あるいは下面発酵酵母のいずれも用いることができる。たとえばWeihenstephan−34株など、市販の酵母を用いることができる。酵母は、酵母懸濁液のまま添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを添加しても良い。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加しても良い。酵母の添加量は適宜設定できるが、たとえば、5×106cells/ml〜1×108cells/ml程度である。
(4)容器詰め等
貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
2.2 製造方法B
製造方法Bにおいて抽出される、「種子含有成分」は、抽出処理によって種子から得られる抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、これらの精製物等をいう。
種子含有成分の原料として使用される種子は製造方法Aで用いられる種子と同様である。種子含有成分を製造するための抽出処理の前に、種子はミル等の公知の方法で粉砕等の前処理が施されることが好ましい。
種子含有成分の抽出処理は、種子含有成分を抽出可能である限り特に限定されるものではない。抽出処理としては、固液抽出が好ましい。
種子含有成分の抽出処理は55℃〜99℃に加熱して行われることが好ましい。このような温度範囲で種子を加熱することによって、種子から好ましい風味を有する成分が効率的に抽出される。加熱温度は、58℃〜97℃がさらに好ましく、60℃〜97℃、60〜95℃、60〜93℃、60〜90℃が特に好ましい。抽出時間は特に限定されないが、1分〜180分が好ましく、10分〜180分がさらに好ましく、10分〜100分、10分〜80分が特に好ましい。
抽出に使用される抽出溶媒としては、種子含有成分を抽出できれば特に限定されないが、たとえば、水、極性有機溶媒(エタノール等)、水と極性有機溶媒との混合物、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。抽出溶媒の量は、特に限定されないが、たとえば水の場合、種子の容積に対して1〜100,000倍量程度、好ましくは10〜10,000倍量程度が好ましい。
種子含有成分の抽出に用いられる種子の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して0.01g〜50g、好ましくは0.02g〜25g、さらに好ましくは0.04g〜10g含有するように種子が用いられる。
(2)糖液の調製
糖液の調製は、製造方法Aと同様である。
(3)糖液と種子含有成分との混合
(2)で調製された糖液と(1)で得られた種子含有成分とを混合する。
(4)発酵
(3)で得られた混合液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させてもよい。発酵条件等は製造方法Aと同様である。
(5)容器詰め等
製造方法Aと同様、貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
3 添加物
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物が添加されてもよい。たとえば、着色料、泡形成剤、香料、発酵促進剤、甘味料、苦味料、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸などの酸化防止剤、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、ビール風味を有する香料を適量使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、たとえば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。甘味料は、天然甘味料および合成甘味料のいずれの高甘味度甘味料も使用することができ、ショ糖誘導体、たとえばスクラロース等;合成甘味料、たとえばアセスルファムK、サッカリン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合せて用いることができる。苦味料は、ホップ抽出物のほか、クワシン、ナリンギン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、ニガヨモギ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物などを用いることができる。
4 容器詰飲料
発明のビールテイスト飲料は、容器に充填・密閉して、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽、またはペットボトルが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
[実施例1]
麦芽20kgを粉砕し、52℃の温水80Lに投入した。よく撹拌しながら20分保持し、続いて65℃で40分、78℃で2分保持した後、濾過により麦芽粕を除去して清澄な麦汁を得た。続いて、原麦汁エキス濃度が10%となるように水を添加した。10%エキス濃度の麦汁に、ホップ0.7g/Lと、ミルで細かく粉砕したコリアンダーシードを0.19g/Lとなるように添加して、95℃で30分間加熱して種子含有成分を抽出した。
その後、当該麦汁を煮沸釜からオリ分離槽に移し、オリと種子を除去した。
このようにして得られた発酵前液を発酵タンクに送り、酵母を添加し、常圧下25℃で7日間、発酵を行った。発酵終了後、濾過によって酵母などを除去して官能サンプル(飲料)を得た。
[実施例2]
発酵温度を10℃、発酵期間を15日間に設定した以外は実施例1と同じ条件で官能サンプル(飲料)を得た。
[比較例1]
発酵温度を30℃、発酵期間を6日間に設定した以外は実施例1と同じ条件で官能サンプル(飲料)を得た。
このようにして得られた飲料について、パネラー4名による「香りの強度」と「爽やかな香りの強度」の官能評価を下記の基準で実施し、3.0点以上の評点で優れた品質と判定した。
香りの強度
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
爽やかな香りの強度
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
結果は表1のとおりであった。
これらの実施例と比較例から、ビールテイスト飲料の原材料に種子を用い、種子を含む糖液を所定の温度範囲で発酵させることで香りが豊かで、特に爽やかな香りも豊かで、良好な香味を有するビールテイスト飲料が製造できることがわかった。

Claims (7)

  1. 原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
    糖液と前記種子とを混合して種子含有糖液を調製する工程、および
    前記種子含有糖液に酵母を添加して、27℃以下の発酵温度で発酵させる発酵工程、
    を含む、製造方法。
  2. 前記発酵工程前に、前記種子含有糖液を加熱する加熱工程を有する請求項1に記載の製造方法。
  3. 原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
    前記種子から種子含有成分を抽出する工程、
    糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、および
    前記混合工程で得られた混合液に酵母を添加して、27℃以下の発酵温度で発酵させる発酵工程、
    を含む、製造方法。
  4. 前記種子から前記種子含有成分を加熱して抽出する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記種子が乾燥してスパイスとして使用される種子である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g〜50gの種子が用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた、ビールテイスト飲料。
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「BREWING SCREWY'S ORANGE SUNSHINE WITBIER」、THE SCREWY BREWER、[ONLINE]、2016年9月5日、[2020年6月2, JPN7020001831, ISSN: 0004295886 *
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