JP2018112198A - ダンパ構造体 - Google Patents

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和弘 東
立己 ▲崎▼原
立己 ▲崎▼原
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Abstract

【課題】 簡便な手段により、ダイナミックダンパの内部空間に侵入した水の排出力を高め得るダンパ構造体を提供する。【解決手段】 車両に設けられたシャフト14にダイナミックダンパ42を外装し、シャフト14の外周面47とダイナミックダンパ42の内周面との間に内部空間49が形成されたダンパ構造体41であって、シャフト14の外周面47に、ダイナミックダンパ42の内部空間49および外部と連通する排出溝50を軸方向に対して傾斜させて形成し、ダイナミックダンパ42の内部空間49に位置する排出溝50の一方の端部51を、ダイナミックダンパ42の外部に位置する排出溝50の他方の端部52よりも車両の前進方向に対して前方に配置する。【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の動力伝達系、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトに組み込まれ、回転軸の振動を抑制するダンパ構造体に関する。
例えば、自動車の動力伝達系を構成するシャフトには、トランスミッションからデファレンシャルギアに動力を伝達するプロペラシャフトや、デファレンシャルギアから車輪に動力を伝達するドライブシャフトがある。この種のシャフトでは、回転に伴って曲げ振動や捩り振動などの有害振動が発生することがある。
自動車に要求される乗り心地や静粛性などを確保するためには、前述の有害振動を抑制する必要がある。この有害振動を抑制するため、シャフトにダイナミックダンパを取り付けたダンパ構造体を採用することにより、固有振動数を調整するようにしている。
このダンパ構造体では、シャフトに発生する有害振動の卓越振動数にダイナミックダンパの固有振動数を合わせる。これにより、シャフトの振動エネルギーをダイナミックダンパの共振により吸収することで、有害振動を抑制するようにしている。
本出願人は、ダンパ構造体として、例えば、特許文献1に開示された構造のものを先に提案している。この特許文献1で開示されたダンパ構造体は、シャフトの外周面とダイナミックダンパの内周面との間に内部空間が形成された構造を具備する。
このような構造の場合、長期の使用や熱影響による劣化で、シャフトに対するダイナミックダンパの固定力が低下する。ダイナミックダンパの固定力が低下すると、シャフトとダイナミックダンパとの間に微小な隙間が発生する。
このような微小隙間が発生すると、雨天での走行時や水溜り上の走行時にシャフトに水がかかり、シャフトの外周面とダイナミックダンパの内周面との間の内部空間に水分が侵入することがある。このようにして侵入した水分が内部空間に残留した状態が継続すると、シャフトの腐食を招くことになる。
このような問題を解消するため、特許文献1で開示されたダンパ構造体は、シャフトの外周面とダイナミックダンパの内周面との間の内部空間を外部と連通させる溝がシャフトの外周面に形成された構造を具備する(特許文献1の図5参照)。
このように、シャフトとダイナミックダンパとの内部空間を外部と連通させる溝が形成されていることにより、内部空間に入り込んだ水分がシャフトの溝を伝って外部へ排出されるようになる。これにより、水分が内部空間に残留し難くなって、水分によるシャフトの腐食を抑制するようにしている。
特開2016−160942号公報
ところで、シャフトの外周面とダイナミックダンパの内周面との間に内部空間が形成さえたダンパ構造体に対して、特許文献1では、シャフトとダイナミックダンパとの内部空間を外部と連通させる溝がシャフトの外周面に形成された構造を開示している。
しかしながら、この特許文献1で開示されたダンパ構造体では、ダイナミックダンパの内部空間に侵入した水は溝を通って外部へ排出されるが、近年、溝による水の排出力を高めることが要望されている。
そこで、本発明は前述の要望に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、簡便な手段により、内部空間に侵入した水の排出力を高め得るダンパ構造体を提供することにある。
本発明のダンパ構造体は、車両に設けられた回転軸にダイナミックダンパを外装し、回転軸の外周面とダイナミックダンパの内周面との間に内部空間が形成された構造を具備する。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、回転軸の外周面に、ダイナミックダンパの内部空間および外部と連通する排出溝を軸方向に対して傾斜させて形成し、ダイナミックダンパの内部空間に位置する排出溝の一方の端部を、ダイナミックダンパの外部に位置する排出溝の他方の端部よりも車両の前進方向に対して前方に配置したことを特徴とする。
本発明では、ダイナミックダンパの内部空間に位置する排出溝の一方の端部を、ダイナミックダンパの外部に位置する排出溝の他方の端部よりも車両の前進方向に対して前方に配置したことにより、回転軸の回転およびそれに伴う車両の前進により発生する遠心力でもって、排出溝により、内部空間に侵入した水を効率よく外部へ排出することができる。
このように、車両の前進方向に対する排出溝の配置(ダイナミックダンパの内外に位置する排出溝の両端部の位置関係)を規定することで、その排出溝による水の排出力を確実に高めることができる。
本発明における排出溝は、ダイナミックダンパの内部空間に位置する一方の端部が、ダイナミックダンパの外部に位置する他方の端部の地上高よりも高位置に配置されている構造が望ましい。
このような構造を採用すれば、内部空間に侵入した水をその自重により排出溝から外部へ速やかに排出することができる。
本発明における排出溝は、回転軸の周方向に沿って複数箇所に設けられている構造が望ましい。
このような構造を採用すれば、内部空間に侵入した水の排出箇所が増加することで、排出溝による水の排出力をより一層高めることができる。
本発明によれば、回転軸の回転およびそれに伴う車両の前進により発生する遠心力でもって、排出溝により、内部空間に侵入した水を効率よく外部へ排出することができる。このように、車両の前進方向に対する排出溝の配置を規定することで、その排出溝による水の排出力を確実に高めることができる。その結果、ダンパ構造体において、水分による回転軸の腐食を確実に防止することができる。
本発明の実施形態で、(A)は左側車輪用ダンパ構造体を示す断面図、(B)は(A)のP−P線に沿う部分断面図である。 本発明の実施形態で、(A)は右側車輪用ダンパ構造体を示す断面図、(B)は(A)のQ−Q線に沿う部分断面図である。 車輪側がデファレンシャルギア側よりも地上高が低い車両に用いた状態を示す模式図である。 車輪側がデファレンシャルギア側よりも地上高が高い車両に用いた状態を示す模式図である。 本発明のダイナミックダンパを装着したドライブシャフトを示す断面図である。
本発明に係るダンパ構造体の実施形態を図面に基づいて以下に詳述する。
例えば、自動車の動力伝達系を構成するシャフトには、トランスミッションからデファレンシャルギアに動力を伝達するプロペラシャフトや、デファレンシャルギアから車輪に動力を伝達するドライブシャフトがある。この種のシャフトでは、回転に伴って曲げ振動や捩り振動などの有害振動が発生することがある。
自動車に要求される乗り心地や静粛性などを確保するためには、前述の有害振動を抑制する必要がある。この有害振動を抑制するため、シャフトにダイナミックダンパを取り付けたダンパ構造体を採用することにより、固有振動数を調整するようにしている。
図5に示すドライブシャフト11は、一般的に、デファレンシャルギア側(インボード側)に摺動式等速自在継手12を、車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手13をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手12,13をシャフト14で連結した構造を具備する。
摺動式等速自在継手12にはトリポード型やダブルオフセット型がある。例えば、図示のトリポード型等速自在継手12は、外側継手部材15と、トリポード部材16と、3個のローラカセット17とで主要部が構成されている。この等速自在継手12は、トリポード部材16およびローラカセット17からなる内部部品18が外側継手部材15に対して角度変位および軸方向変位可能な構造を具備する。
外側継手部材15は、軸方向に延びる直線状トラック溝19が円筒状内周面20に形成されている。トラック溝19は、外側継手部材15の軸線方向に直線状に延びる断面円弧状(凹形状)のローラ案内面21を有する。トリポード部材16は、先端がトラック溝19の底部付近まで半径方向に延在した脚軸22を有する。
ローラカセット17は、内周面が断面円弧状(凸形状)の内輪と、外周面が断面円弧状(凸形状)の外輪と、複数の針状ころを主要部品に持つ軸受構造を有する。このローラカセット17は、トリポード部材16の脚軸22に対して傾斜と上下移動が可能で、外輪が回転しながら、外側継手部材15のトラック溝19のローラ案内面21上を転動する。
この等速自在継手12は、継手内部に封入された潤滑剤の漏洩を防ぐと共に継手外部からの異物侵入を防止するため、外側継手部材15とシャフト14との間に、外側継手部材15の開口部を閉塞するゴムまたは樹脂製の蛇腹状ブーツ23をブーツバンド24,25により締め付け固定したシール構造を具備する。
固定式等速自在継手13にはツェッパ型やアンダーカットフリー型がある。例えば、図示のツェッパ型等速自在継手13は、外側継手部材26と、内側継手部材27と、複数個のボール28と、ケージ29とで主要部が構成されている。この等速自在継手13は、内側継手部材27、ボール28およびケージ29からなる内部部品30が外側継手部材26に対して角度変位可能な構造を具備する。
外側継手部材26は、軸方向に延びる円弧状トラック溝31が球面状内周面32に形成されている。内側継手部材27は、外側継手部材26のトラック溝31と対をなして軸方向に延びる円弧状トラック溝33が球面状外周面34に形成されている。
ボール28は、外側継手部材26のトラック溝31と内側継手部材27のトラック溝33との間に介在して回転トルクを伝達する。ケージ29は、外側継手部材26の内周面32と内側継手部材27の外周面34との間に配されてボール28を保持する。
この等速自在継手13は、継手内部に封入された潤滑剤の漏洩を防止すると共に継手外部からの異物侵入を防止するため、外側継手部材26とシャフト14との間に、外側継手部材26の開口部を閉塞する樹脂またはゴム製の蛇腹状ブーツ35をブーツバンド36,37により締め付け固定したシール構造を具備する。
以上の構成からなる摺動式等速自在継手12と固定式等速自在継手13とをシャフト14で連結することによりドライブシャフト11を構成する。シャフト14の一端は、スプライン嵌合により摺動式等速自在継手12のトリポード部材16とトルク伝達可能に連結されている。シャフト14の他端は、スプライン嵌合により固定式等速自在継手13の内側継手部材27とトルク伝達可能に連結されている。
この実施形態のダンパ構造体41は、以上で説明したドライブシャフト11のシャフト14にダイナミックダンパ42を装着した構造を具備する。
図1(A)(B)は、左側車輪用ドライブシャフト11のダンパ構造体41を示す。図2(A)(B)は、右側車輪用ドライブシャフト11のダンパ構造体41を示す。
この実施形態におけるダンパ構造体41のダイナミックダンパ42は、図1(A)(B)および図2(A)(B)に示すように、筒状のダンパ部43と、そのダンパ部43が収容された筒状の本体部44と、回転軸であるシャフト14に外嵌固定された筒状の取付部45とからなる。
取付部45は、本体部44の軸方向両側に対をなして配置されている。それぞれの取付部45の外周面には環状の凹溝46が形成されている。取付部45を締め付け固定するためのバンド(図示せず)が両側または片側の凹溝46に嵌合される。このバンドによる締め付けで取付部45をシャフト14に密着させて軸方向に固定する。
本体部44は、その軸方向両側に一体的に形成された支持部48により一対の取付部45に対して弾性的に支持されている。この本体部44および支持部48の内周面とシャフト14の外周面との間に環状の内部空間49が形成されている。
ダンパ部43は、炭素鋼や鋳鉄などの金属からなる錘部材で構成されている。また、取付部45、支持部48および本体部44は、ゴム等の弾性部材からなる一体成形品である。これら取付部45、支持部48および本体部44は、ダンパ部43をインサート部材として金型を用いたインサート成形によって形成される。
このダイナミックダンパ42は、ダンパ部43が収容された本体部44を取付部45に対して弾性的に支持する支持部48のばね定数と本体部44の質量とによって固有振動数が決定される部品である。
以上の構成からなるダンパ構造体41では、シャフト14に発生する有害振動の卓越振動数にダイナミックダンパ42の固有振動数を合わせる。これにより、シャフト14の振動エネルギーをダイナミックダンパ42の共振により吸収することで、有害振動を抑制する。
次に、この実施形態のダンパ構造体41は、ダイナミックダンパ42の内部空間49に侵入した水分によりシャフト14の外周面が腐食することを防止するため、図1(A)および図2(A)に示すように、シャフト14の外周面47に、ダイナミックダンパ42の内部空間49および外部と連通する排出溝50を軸方向に対して傾斜させて形成した構造を具備する。なお、この排出溝50の傾斜角度θは、シャフト14の軸線に対して20°±10°程度が好ましい。
左側車輪用および右側車輪用のダンパ構造体41において、ダイナミックダンパ42の内部空間49に位置する排出溝50の一方の端部51を、ダイナミックダンパ42の外部に位置する排出溝50の他方の端部52よりも車両の前進方向〔図1(A)および図2(A)の白抜き矢印参照〕に対して前方に配置する。
このように、車両の前進方向に対する排出溝50の配置(ダイナミックダンパ42の内外に位置する排出溝50の両端部51,52の位置関係)を規定することにより、シャフト14の回転〔図1(A)および図2(A)の実線矢印参照〕およびそれに伴う車両の前進により発生する遠心力でもって、排出溝50により、ダイナミックダンパ42の内部空間49に侵入した水を効率よく外部へ排出することができる。つまり、この排出溝50による水の排出力を確実に高めることができる。
この実施形態では、左側車輪用および右側車輪用のダンパ構造体41について、ダイナミックダンパ42の内部空間49に侵入した水を外部に排出することから、図示のように、車輪側のみに排出溝50を設けているが、デファレンシャルギア側のみに設けてもよく、さらに、車輪側とデファレンシャルギア側の両方に設けてもよい。
また、この実施形態では、左側車輪用および右側車輪用のダンパ構造体41について、シャフト14の周方向1箇所に排出溝50を設けているが、シャフト14の周方向複数箇所に排出溝50を設けてもよい。
このように、シャフト14の周方向複数箇所に排出溝50を設ければ、内部空間49に侵入した水の排出箇所が増加することで、排出溝50による水の排出力をより一層高めることができる。
ところで、ドライブシャフト11には、図3に示すように、車輪側がデファレンシャルギア側よりも地上高が低い位置とされて、その車輪53とデファレンシャルギア54との間に配設されるものがある。
この場合、前述の排出溝50は、ダンパ構造体41の車輪側に設けられ、ダイナミックダンパ42の内部空間49〔図1(B)、図2(B)参照〕に位置する一方の端部51〔図1(A)、図2(A)参照〕が、ダイナミックダンパ42の外部に位置する他方の端部52〔図1(A)、図2(A)参照〕の地上高よりも高い位置に配置される。
また、ドライブシャフト11には、図4に示すように、車輪側がデファレンシャルギア側よりも地上高が高い位置とされて、その車輪53とデファレンシャルギア54との間に配設されるものがある。
この場合、前述の排出溝50は、ダンパ構造体41のデファレンシャルギア側に設けられ、ダイナミックダンパ42の内部空間49〔図1(B)、図2(B)参照〕に位置する一方の端部51〔図1(A)、図2(A)参照〕が、ダイナミックダンパ42の外部に位置する他方の端部52〔図1(A)、図2(A)参照〕の地上高よりも高い位置に配置される。
このような構造を採用することにより、内部空間49に侵入した水をその自重により排出溝50から外部へ速やかに排出することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
14 回転軸(シャフト)
41 ダンパ構造体
42 ダイナミックダンパ
47 外周面
49 内部空間
50 排出溝
51 一方の端部
52 他方の端部

Claims (3)

  1. 車両に設けられた回転軸にダイナミックダンパを外装し、前記回転軸の外周面と前記ダイナミックダンパの内周面との間に内部空間が形成されたダンパ構造体であって、
    前記回転軸の外周面に、前記ダイナミックダンパの内部空間および外部と連通する排出溝を軸方向に対して傾斜させて形成し、ダイナミックダンパの内部空間に位置する前記排出溝の一方の端部を、ダイナミックダンパの外部に位置する排出溝の他方の端部よりも車両の前進方向に対して前方に配置したことを特徴とするダンパ構造体。
  2. 前記排出溝は、前記ダイナミックダンパの内部空間に位置する一方の端部が、ダイナミックダンパの外部に位置する他方の端部の地上高よりも高い位置に配置されている請求項1に記載のダンパ構造体。
  3. 前記排出溝は、前記回転軸の周方向に沿って複数箇所に設けられている請求項1又は2に記載のダンパ構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021227369A1 (zh) * 2020-05-12 2021-11-18 艾默生环境优化技术(苏州)有限公司 轴、包括该轴的设备及用于该轴的加工方法
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