本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(実施形態1)
1.振動異常検知装置およびエレベータ制御システムについて
実施形態1に係る振動異常検知装置およびエレベータ制御システムについて、以下説明する。
1−1.構成
実施形態1に係る振動異常検知装置およびエレベータ制御システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る振動異常検知装置を備えたエレベータの構成を示す図である。
本実施形態に係るエレベータ制御システムは、例えばロープ式のエレベータ1を制御するシステムである。図1に示すように、エレベータ1は、エレベータかご10と、制御盤3と、ロープ4の巻上機40と、釣合い重り41とを備える。エレベータかご10は、例えば複数の階床を有する建物等における昇降路5に設置される。制御盤3及び巻上機40は、例えば建物の屋上等で昇降路5の端部に設けられた機械室50に設置される。
エレベータかご10は、図1に示すように、かご室11と、振動異常検知装置12とを備える。エレベータかご10は、昇降路5に設けられたレールに係合するローラガイド等を有し、昇降路5において階床間を昇降するように走行する。以下、昇降路5においてエレベータかご10が昇降する方向(例えば鉛直方向)を「Z方向」とする。
かご室11は、ドアパネル、カーパネル及び床板などを備え、エレベータ1の乗客が乗り込む部屋を形成する。かご室11は、例えば床面が水平面となるように設置される。以下、水平面におけるドアの開閉方向を「X方向」とし、X,Z方向と直交する方向を「Y方向」とする(図3参照)。
振動異常検知装置12は、エレベータかご10のかご室11で生じた振動からエレベータ1の異常状態を検知する検知装置の一例である。本実施形態では、振動異常検知装置12により、エレベータ1の乗客が暴れている異常状態を検知する。振動異常検知装置12の構成の詳細については後述する。振動異常検知装置12と、制御盤3とは、本実施形態に係るエレベータ制御システムを構成する。
制御盤3は、例えばCPUを備え、エレベータ1の全体動作を制御する。例えば、制御盤3は、巻上機40を駆動して、昇降路5におけるエレベータかご10の走行を制御する。また、制御盤3は、振動異常検知装置12の検知結果に基づいて、例えばエレベータかご10の走行制御を管制運転に切り替えたり、エレベータかご10内のスピーカ(不図示)から所定のアナウンス又はブザー音等を出力したりする。制御盤3は、本システムにおいてエレベータ1を制御する制御装置の一例である。
また、制御盤3は、所定のインタフェース回路を介して、外部の管理端末等と無線又は有線通信を行ってもよい。また、本システムにおける制御部は、エレベータ1の種々の安全装置(不図示)に関する制御を行ってもよい。
巻上機40は、モータ等を備える電動駆動機である。巻上機40は、ロープ4を巻き上げるように回転駆動する。ロープ4の一端は、昇降路5においてエレベータかご10を吊すように、エレベータかご10のかご室11を支持するかご枠等に接続される。ロープ4の他端は、釣合い重り41に接続される。エレベータかご10は、巻上機40によるロープ4の巻き上げ駆動により、昇降路5において走行する。
1−1−1.振動異常検知装置の構成
本実施形態に係る振動異常検知装置12の構成の詳細について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るエレベータ制御システムにおける振動異常検知装置12の構成を示すブロック図である。
本システムにおいて、振動異常検知装置12は、図2に示すように、振動センサ2と、演算器20とを備える。
振動センサ2は、例えば3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサで構成される。振動センサ2を構成する加速度センサは、例えば静電容量型、圧電型及びピエゾ抵抗型などの種々の方式の加速度センサであってもよい。振動センサ2は、本実施形態に係る振動異常検知装置12の振動検出部の一例である。
振動センサ2は、図1に示すように、エレベータかご10においてかご室11の近傍に設置される。エレベータかご10において、振動センサ2は、検出対象の3軸方向が、それぞれX,Y,Z方向となるように配置される。振動センサ2は、X方向の振動(例えば、加速度)の検出結果を示す検出信号Ax,Y方向の振動の検出結果を示す検出信号Ay及びZ方向の振動の検出結果を示す検出信号Azを生成する。
図2において、振動センサ2は、演算器20のアナログ入力端子に接続されている。振動センサ2は、例えばアナログ値においてX,Y,Z方向の振動の検出信号Ax,Ay,Azを演算器20に出力する。
演算器20は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPUを備えた演算処理装置である。演算器20は、例えばフラッシュメモリなどの内部メモリを備え、内部メモリに種々のデータ及びプログラムを格納する。演算器20は、内部メモリに格納したデータ及びプログラムを読み出して種々の演算処理を行い、各種の機能を実現する。
例えば、演算器20は、後述するフィルタ処理部、包絡線処理部および判定処理部としての機能を実現する(図5参照)。これにより、演算器20は、振動センサ2からの検出信号Ax,Ay,Azに基づき、エレベータかご10が異常な振動をしている場合に異常信号Sabを制御盤3に出力する。演算器20は、本実施形態に係る振動異常検知装置12の演算処理部の一例である。
演算器20は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路であってもよい。演算器20は、CPU,MPU,マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。演算器20は、A/D(アナログ/デジタル)変換器及びフィルタ回路などを備えてもよい。
1−2.動作
以下、本実施形態に係るエレベータ制御システムおよび振動異常検知装置12の動作について説明する。
1−2−1.動作の概要
本システムの動作の概要について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、エレベータの乗客による暴れ行動を説明するための図である。図4は、エレベータにおける乗客の行動と振動との関係を説明するための図である。「暴れ行動」は、エレベータ1のかご室11内部で乗客が暴れる行動をいうこととする。
本システムにおいて、振動異常検知装置12は、図3に示すように、エレベータかご10において乗客が暴れている異常状態を検知するために、エレベータかご10の振動を検出する。本システムは、振動異常検知装置12によってエレベータ1の異常状態が検知された場合には、例えば制御盤3の制御により注意アナウンスや防犯管制運転、警備会社への発報等を行う。
暴れ行動には、乗客による種々の行動が想定される。本発明者は、鋭意検討の結果、様々な暴れ行動の種類に応じて、エレベータかご10の振動の仕方が異なることに着目した。図4(a),(b)を用いて、暴れ行動と振動との関係について説明する。
図4(a)は、エレベータかご10のZ方向(鉛直方向)の振動の仕方と、暴れ行動との関係を示している。図4(b)は、エレベータかご10のXY方向(水平方向)の振動の仕方と、暴れ行動との関係を示している。図4(a),(b)において、横軸は振動の周波数を示し、縦軸は振動の大きさ(加速度)を示している。
図4(a),(b)に示すように、足踏みやパネル111(図3)を叩く、蹴るなどの暴れ行動は、かご室11に衝撃を与えることにより、屈伸などの体操やシャドウボクシング等の暴れ行動よりも高い周波数の振動を生じる。また、故意にエレベータかご10を揺らす暴れ行動は、エレベータかご10の共振周波数を含む振動を生じる。また、ジャンプしたり、パネル111に体当たりしたりする暴れ行動は、暴れる者の重心移動を伴うことから、衝撃による高い周波数だけでなく、より低い周波数(上記の共振周波数近傍など)も含んだ振動を生じる。これらの暴れ行動は、通常の乗車時よりも大きい加速度の振動を生じる。
以上のような暴れ行動において、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動は、乗客への暴力やかご室11の破損のおそれがあり、被害を最小限に抑える観点からエレベータ1が異常状態であることの判定基準を設定することが望ましい。一方、重心移動を伴い故意又は不意にエレベータかご10を揺らすような暴れ行動は、落下事故対策等の安全装置の誤作動を招く可能性があり、誤作動による乗客の閉じ込めを回避する観点から異常状態の判定基準を設定することが望ましい。
そこで、本実施形態に係る振動異常検知装置12では、振動センサ2による振動の検出信号Ax,Ay,Azから、エレベータかご10を揺らし得る低周波成分と、衝撃に伴う高周波成分(衝撃波成分)とをそれぞれ抽出し、それぞれの成分に基づく異常状態の判定を行う。低周波成分に基づく判定では、エレベータかご10を揺らすような暴れ行動によって安全装置の誤作動を招き得る状態(第1の異常状態)であるか否かを判定する。衝撃波成分に基づく判定では、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動により、乗客等への危害が懸念される状態(第2の異常状態)であるか否かを判定する。以上の判定により、種々の暴れ行動の周波数帯に応じてエレベータ1の異常状態を精度良く検知することができる。
1−2−2.動作の詳細
本実施形態に係るエレベータ制御システム及び振動異常検知装置12の動作の詳細について、図5〜図9を参照して説明する。
図5は、振動異常検知装置12における演算器20の機能を示す機能ブロック図である。図6は、Z方向振動の検出信号Azに対するフィルタリング特性を示す図である。図7は、X,Y方向振動の検出信号Ax,Ayに対するフィルタリング特性を示す図である。図8は、低周波信号及び衝撃波信号の信号波形を例示する波形図である。図9は、低周波信号及び衝撃波信号に基づく包絡線データを例示する波形図である。
演算器20は、図5に示すように、演算処理機能としてフィルタ処理部21,22,23と、包絡線処理部241〜246と、判定処理部25とを含む。
演算器20は、振動センサ2から3軸方向それぞれの振動の検出信号Az,Ax,Ayを受信すると、適宜、A/D変換等を行い、例えばデジタル値の各検出信号Az,Ax,Ayをそれぞれフィルタ処理部21,22,23に入力する。フィルタ処理部21,22,23は、それぞれ低周波通過フィルタ部21a,22a,23a及び衝撃波通過フィルタ部21b,22b,23bを含む。
Z方向振動の検出信号Azに対して、フィルタ処理部21は、低周波通過フィルタ部21a及び衝撃波通過フィルタ部21bにより、検出信号Azに含まれる2つの周波数成分(低周波成分及び衝撃波成分)を別々に抽出する。図6(a),(b)に、Z方向の低周波通過フィルタ部21a及び衝撃波通過フィルタ部21bのそれぞれのフィルタリング特性を示す。
低周波通過フィルタ部21aは、図6(a)に示すように2つのカットオフ周波数f0,f1(f0<f1)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f0は、エレベータかご10(図1)の走行による加速度の変動を遮断するように、0Hzよりも大きい周波数に設定される(例えば0.1Hz以上)。カットオフ周波数f1は、例えばロープ4の伸縮等によるエレベータかご10の共振周波数よりも大きく、且つ足踏み等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(図4(a)参照)。
低周波通過フィルタ部21aは、図6(a)に示すフィルタリング特性に基づき、検出信号Azにおいてカットオフ周波数f0,f1間の周波数成分を示す低周波信号Azaを出力する。低周波信号Azaが示す周波数成分は、Z方向振動の検出信号Azの周波数成分において、ロープ4の伸縮等によるエレベータかご10の縦揺れの共振周波数近傍を含む低周波成分である。上記のフィルタリング特性(図6(a))により、低周波信号Azaでは、足踏み等の重心移動を伴わない衝撃、及びエレベータかご10の走行による影響が除去されている。
衝撃波通過フィルタ部21bは、図6(b)に示すように、2つのカットオフ周波数f2,f3(f2<f3)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f2は、低周波通過フィルタ部21aのカットオフ周波数f1以上であって、且つ足踏み等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(例えばf2=f1)。カットオフ周波数f3は、上記の衝撃による振動の周波数よりも大きい周波数に設定される。カットオフ周波数f3は、枠部材及び梁部材等のエレベータかご10を構成する部材の(ビビリの)固有振動数よりも小さくなるように設定されてもよい。
衝撃波通過フィルタ部21bは、図6(b)に示すフィルタリング特性に基づき、検出信号Azにおいてカットオフ周波数f2,f3間の周波数成分を示す衝撃波信号Azbを出力する。衝撃波信号Azbが示す周波数成分は、暴力行為等の暴れ行動によって生じる衝撃に伴う振動を含む衝撃波成分であり、本実施形態における検出信号Azの高周波成分の一例である。
図5に戻り、演算器20において、Z方向振動の検出信号Azからフィルタ処理部21によって抽出された低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbは、それぞれ包絡線処理部241,242に出力される。図8(a),(b)に、低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbの信号波形の例を示す。
図8(a),(b)において、横軸は時間(秒単位)であり、縦軸は加速度(Gal単位)である。図8(a),(b)に示すように、低周波信号Aza及び衝撃波信号Azbの信号波形は、それぞれ特定の周波数帯において振動しながら、各信号波形の振幅が変動する。図8(a),(b)の例では、低周波信号Azaの振幅には2回の起伏があり、衝撃波信号Azbの振幅には5回の起伏がある。このことから、図8(a),(b)の例において、暴れ行動は5回、起きており、その内の2回は重心移動を伴う暴れ行動であると考えられる。
上述のように、エレベータかご10の振動の検出信号Azから抽出した各信号Aza,Azbの振幅の変動における起伏の数が、暴れ行動の回数に対応していると考えられる。そこで、本実施形態では、包絡線処理部241,242により、抽出した各信号Aza,Azbの信号波形のピークに接する曲線であって信号波形の起伏に応じた包絡線を解析する。
包絡線処理部241は、例えばフィルタ処理部21から随時、低周波信号Azaを受信し、内部メモリ等に過去10秒などの所定期間分の低周波信号Azaの信号波形を保持する(図8(a))。包絡線処理部241は、包絡線解析のための所定の演算処理等によって低周波信号Azaの信号波形に基づく包絡線を演算し、演算結果の包絡線を示す包絡線データEzaを生成する。図9(a)に、図8(a)の低周波信号Azaに基づく包絡線データEzaの波形例を示す。
また、包絡線処理部242は、フィルタ処理部21からの衝撃波信号Azbに対して、包絡線処理部241と同様に包絡線の解析を行い、包絡線データEzbを生成する。図9(b)に、図8(b)の衝撃波信号Azbに基づく包絡線データEzbの波形例を示す。
図8(a),(b)に示すように、図8(a)の低周波信号Azaに基づく包絡線データEzaの包絡線は2回の起伏を有し、図8(b)の衝撃波信号Azbに基づく包絡線データEzbの包絡線は5回の起伏を有する。このように、検出信号Azから抽出した各周波数成分の信号波形(Aza,Azb)に対する包絡線を解析することにより、暴れ行動の回数を適切に計測可能なデータ(Eza,Ezb)が得られ、暴れ行動の検出精度を向上することができる。
図5に戻り、演算器20における判定処理部25は、生成された包絡線データEza,Ezbに基づき、暴れ行動によるエレベータ1の異常状態を判定する。本実施形態において、判定処理部25は、しきい値判定処理部251〜256とORゲート257とを含む。
しきい値判定処理部251は、Z方向振動の低周波成分の包絡線データEzaとしきい値Gzaとを比較し、比較結果に基づき(第1の)異常状態を判定する判定処理を行う。本判定処理の詳細については後述する。しきい値判定処理部251は、低周波成分の包絡線データEzaに基づき第1の異常状態を判定する。第1の異常状態とは、エレベータかご10を揺らすような暴れ行動によって安全装置の誤作動を招き得る状態である。包絡線データEzaに対するしきい値Gzaは、エレベータ1の調速機などの安全装置が誤作動し得る加速度の大きさを考慮して、例えば調速機が作動しない加速度の上限値の1/2などに設定される。
しきい値判定処理部252は、Z方向振動の衝撃波成分の包絡線データEzbとしきい値Gzbとを比較し、しきい値判定処理部251と同様の判定処理を行って、第2の異常状態を判定する。第2の異常状態とは、かご室11に衝撃を与えるような暴れ行動により、乗客等への危害が懸念される状態である。衝撃波成分の包絡線データEzbに対するしきい値Gzbは、例えば乗客が危険だと想定される暴れ行動によりかご室11の床に加わる衝撃を予め計測し、計測結果に基づいて設定される。
しきい値判定処理部251,252の少なくとも一方により異常状態と判定されると、判定処理部25は、ORゲート257による論理和に基づき、エレベータ1が異常状態であることを示す異常信号Sabを制御盤3(図2)に出力する。
また、本実施形態では、X,Y方向の振動の検出信号Ax,Ayに対しても、フィルタ処理部22,23,包絡線処理部243〜246及びしきい値判定処理部253〜256により、上記のZ方向振動の検出信号Azに対する処理と同様の処理を行う。図7(a),(b)は、X,Y方向のフィルタ処理部22,23の低周波通過フィルタ部22a,23aと衝撃波通過フィルタ部22b,23bとのフィルタリング特性を示す。
X,Y方向の低周波通過フィルタ部22a,23aは、図7(a)に示すように1つのカットオフ周波数f11を有し(例えばf11=f1)、ローパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f11は、エレベータかご10のローラガイドのバネの伸縮等による共振周波数よりも大きく、且つパネル111(図3)を叩く等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(図4(b)参照)。これにより、X,Y方向振動の検出信号Ax,Ayから、エレベータかご10の横揺れを起こし得る低周波成分を示す低周波信号Axa,Ayaが抽出される。
また、X,Y方向の衝撃波通過フィルタ部22b,23bは、図7(b)に示すように、2つのカットオフ周波数f12,f13(f12<f13)による通過帯域を有し、バンドパスフィルタとして機能する。カットオフ周波数f12は、低周波通過フィルタ部22a,23aのカットオフ周波数f11以上であって、且つパネル111を叩く等の衝撃による振動の周波数よりも小さい周波数に設定される(例えばf12=f11)。カットオフ周波数f13は、上記の衝撃による振動の周波数よりも大きい周波数に設定される(例えばf13=f3)。これにより、検出信号Ax,Ayから、エレベータかご10の水平方向の衝撃に基づく衝撃波成分を示す衝撃波信号Axb,Aybが抽出される。カットオフ周波数f13は、エレベータかご10を構成する部材の(ビビリの)固有振動数よりも小さくなるように設定されてもよい。
抽出された各信号Axa,Axb,Aya,Aybに基づき、包絡線処理部243〜246は、各信号波形に対する包絡線を示す包絡線データExa,Exb,Eya,Eybを生成する。しきい値判定処理部253〜256は、それぞれに設定されたしきい値と、包絡線データExa,Exb,Eya,Eybとを比較し、しきい値判定処理部251,252と同様の判定処理を行う。
本実施形態において、各しきい値判定処理部253〜256のしきい値は、Z方向振動に対するしきい値Gza,Gzbとは別途、設定される。X,Y方向振動の低周波成分に対するしきい値判定処理部253,255のしきい値は、例えばエレベータかご10の横揺れにより昇降路5内の種々の機器との接触が起こり得る加速度の大きさを考慮して設定される。X,Y方向振動の衝撃波成分に対するしきい値判定処理部254,256のしきい値は、例えば危険だと想定される暴れ行動によるパネル111への衝撃を考慮して設定される。
本実施形態において判定処理部25は、X,Y,Z方向の各しきい値判定処理部251〜256の少なくともいずれか1つにより異常状態と判定されると、異常信号Sabを出力する。これにより、しきい値判定処理部251〜256のそれぞれに設定されたしきい値を用いて、種々の暴れ行動に対する異常状態の判定を適切に行うことができる。
以上の処理により、振動センサ2からの3軸方向の振動の検出信号Az,Ax,Ayに基づき、種々の暴れ行動に対する異常状態を精度良く検出することができる。
以上の処理において、X,Y方向振動の低周波成分に対するしきい値判定処理部253,255のしきい値は、同一に設定されてもよいし、別個に設定されてもよい。また、X,Y方向振動の衝撃波成分に対するしきい値判定処理部254,256のしきい値についても、同一に設定されてもよいし、別個に設定されてもよい。例えば、ドア側から進入した乗客による暴れ行動のパターンや、エレベータかご10を構成する部材の固有振動の方向に基づき、X,Y方向間でしきい値を異ならせてもよい。
また、以上の説明では、Z,X,Y方向の各包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybに基づくしきい値判定処理部251〜256の判定結果のいずれかで異常状態と判定されると、異常信号Sabが出力された。異常状態の判定方法はこれに限らず、例えば包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybを組み合わせて異常状態の判定を行ってもよい。また、各包絡線データEza,Ezb,Exa,Exb,Eya,Eybの判定結果を別々に示す信号が制御盤3に出力されてもよい。
1−2−2−1.判定処理について
本実施形態に係る振動異常検知装置12の演算器20による判定処理の詳細について、図10を参照して説明する。図10は、振動異常検知装置12の演算器20による判定処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、演算器20が、判定処理部25のしきい値判定処理部251〜256の内の1つとして、所定の制御周期(例えば1秒)において実行する。以下では、演算器20がしきい値判定処理部251として、Z方向振動の低周波成分の包絡線データEzaに対する判定処理を行う例について説明する。
まず、演算器20はしきい値判定処理部251として、過去10秒間等の所定期間分の包絡線データEza(図9(a))において、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがあるか否かを判断する(S1)。演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがないと判断した場合(S1でNO)、本処理を終了する。
一方、演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを越えたときがあると判断した場合(S1でYES)、包絡線データEza中で包絡線がしきい値Gzaを超えた回数を算出する(S2)。例えば、図9(a)の例では、演算器20は、包絡線がしきい値Gzaを超えた回数として、「2回」を算出する。
次に、演算器20は、計算した回数が、所定の設定回数(例えば5回)以上であるか否かを判断する(S3)。演算器20は、算出した回数が設定回数以上であると判断した場合(S3でYES)、異常信号Sabを生成する(S6)。設定回数は、例えばしきい値Gzaを越える暴れ行動が繰り返されることによる危険性を考慮して、予め設定される。これにより、エレベータかご10内で暴れ行動が繰り返される異常状態を検知することができる。
一方、演算器20は、算出した回数が設定回数以上でないと判断した場合(S3でNO)、包絡線がしきい値Gzaを越え続けた期間を算出する(S4)。包絡線データEza上で複数回、包絡線がしきい値Gzaを越えている場合、演算器20は、各回においてしきい値Gzaを越え続けた期間を計算し、計算した期間の内の最長の期間を算出する。
次に、演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が所定の設定期間(例えば5秒)以上か否かを判断する(S5)。設定期間は、例えばしきい値Gzaを越える暴れ行動が継続されることによる危険性を考慮して、予め設定される。
演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が設定期間以上でないと判断した場合(S5でNO)、異常信号Sabを出力することなく、本処理を終了する。
一方、演算器20は、しきい値Gzaを越え続けた期間が設定期間以上であると判断した場合(S5でYES)、異常信号Sabを出力して(S6)、本処理を終了する。これにより、包絡線データEza(図9(a))において振動の起伏1回当たりの継続期間が長いような暴れ行動であっても、異常状態として検知することができる。
以上の処理により、包絡線データの包絡線がしきい値を超えた回数及び期間に基づき、エレベータの異常状態を判定することができる。
以上の説明では、1つの包絡線データEzaに対して1つのしきい値Gzaを設定したが、1つの包絡線データEzaに対して、複数のしきい値を設定してもよい。例えば、演算器20は、しきい値Gzaよりも大きいしきい値と包絡線データEzaの包絡線とを比較し、包絡線が当該しきい値を超えたときがある場合には回数及び期間に関わらず異常信号Sabを生成してもよい。これにより、暴れ行動における振動の大きさに応じて、過度に強い暴れ行動があれば即時、異常状態と判定することができる。
また、以上の説明では、演算器20は、例えば1秒間毎などの各制御周期において、取得した過去10秒間などの包絡線データEzaにおいて包絡線がしきい値Gzaを越えた回数を計算し(S2)、計算した回数と設定回数とを比較した(S3)。ステップS3の処理では、過去の制御周期の計算結果を用いてもよい。例えば、演算器20は、内部メモリ等にステップS2で計算した回数を保持し、所定サイクル分の計算した回数を加算して、ステップS3の判断に用いてもよい。ステップS5の処理についても同様に、過去の制御周期のステップS4の計算結果を用いてもよい。
以上の説明では、エレベータ制御システムの制御対象は、機械室50を有するロープ式のエレベータ1であった。本実施形態に係るエレベータ制御システムは特にこれに限定されず、例えば機械室50が省略されたロープ式のエレベータであってもよい。この場合、制御盤(制御装置)は昇降路内等に設けられる。
2.しきい値決定方法について
以上のエレベータ制御システムにおいて、異常状態を判定するための振動のしきい値Gza,Gzb(図9)のしきい値決定方法について説明する。
2−1.しきい値決定方法の概要
本実施形態に係るしきい値決定方法(及び装置)の概要を、図11を用いて説明する。
図11では、仕様が異なる複数のエレベータ1A,1Bにおいて、振動異常検知装置12が振動検出を行う様子を示している。別々のエレベータ1A,1Bにおいて同様の暴れ行動が起きた場合、エレベータかご10の質量、昇降の行程などのエレベータの仕様の違いに応じて、異なった振動が生じる。この際、暴れ行動の酷さは、暴れ行動の結果として生じる振動よりも、暴れ行動においてエレベータかご10に作用する力、即ち作用力に、より高い関連性を有すると考えられる。
以上のことから、上記のしきい値の設定は、エレベータかご10への作用力を基準とすることが望ましいと考えられる。しかし、エレベータ1Aが設置される現場でエレベータかご10への作用力を直接計測することは困難である。このため、振動異常検知装置12を用いて異常状態を精度良く検知するために、複数の現場のエレベータ1Aのそれぞれで、同じ作用力によるエレベータかご10の振動を実測し、実測結果からしきい値を決定するよう現場で調整を行う必要があった。
そこで、本実施形態では、異常状態に応じた振動の計測を基準とする所定の仕様(基準仕様)のエレベータ1Bで行い、図11に示すようにしきい値決定装置6を用いて、基準仕様のエレベータ1Bにおいて振動の計測時に作用した作用力の推定を行う。さらに、しきい値決定装置6において、推定された作用力が、現場における所望の仕様のエレベータかご10に作用した場合の振動のシミュレーションを行って、現場の仕様のエレベータ1Aにおける振動異常検知装置12のためのしきい値を決定する。このようなしきい値決定方法によると、しきい値を決定するための現場調整を省略できると共に、エレベータ1Aの振動に基づく異常状態の検知の精度を良くすることができる。
2−2.しきい値決定装置の構成
本実施形態に係るしきい値決定装置6の構成について、図11を用いて説明する。
しきい値決定装置6は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置で構成される。しきい値決定装置6は、図11に示すように、制御部61と、記憶部62と、取得部63とを備える。
制御部61は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU又はMPUで構成され、しきい値決定装置6の全体動作を制御する。制御部61は、記憶部62に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行い、各種の機能を実現する。例えば、制御部61は、所定のプログラムの実行により、しきい値決定方法を実行するためのしきい値決定処理を行う(図12参照)。
なお、制御部61は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路であってもよい。制御部61は、CPU、MPU、マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。
記憶部62は、しきい値決定装置6の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。記憶部62は、例えばハードディスク(HDD)又は半導体記憶装置(SSD)などで構成される。記憶部62は、例えば計測データ(a1,a2,r)、推定の作用力を示す情報、及びしきい値決定処理を制御部61に実行させるためのプログラム等を格納する。
記憶部62は、例えばDRAM又はSRAM等のRAMを含んでもよく、データを一時的に記憶したり、制御部61の作業エリアとして機能したりしてもよい。また、記憶部62は、例えば制御部61が実行するプログラム及び固定パラメータなどを格納するROMを含んでもよい。
取得部63は、例えばユーザが操作を行うユーザインタフェースであり、例えば、キーボード、タッチパッド、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びこれらの組み合わせで構成される。
取得部63は、しきい値決定装置6を他の機器に接続する機器インタフェースや、通信ネットワークに接続するネットワークインタフェースで構成されてもよい。また、取得部63は、可搬性を有する記録媒体や記憶部62に格納された諸情報を制御部61の作業エリアに読み出すことによって諸情報の取得を行うものであってもよい。
2−3.しきい値決定処理
以上のように構成されるしきい値決定装置6によって、本実施形態に係るしきい値決定方法を実行するためのしきい値決定処理について、図11,12を用いて説明する。
図12は、本実施形態におけるしきい値決定処理を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、しきい値決定装置6の制御部61によって実行される。以下では、一例として、しきい値決定処理においてZ方向の振動のしきい値を決定する場合について説明する。
図12のフローチャートにおいて、まず、しきい値決定装置6の制御部61は、例えばユーザからの入力により、基準仕様のエレベータ1B(図11)における振動の計測結果を示す計測データを取得する(S11)。計測データは、基準仕様のエレベータ1Bにおける異常状態に応じた振動の計測を行うことにより、生成される。
例えば、ユーザは、事前検討において振動異常検知装置12に異常状態として検知させる最小の振動に対応する外力を定め、基準仕様のエレベータ1Bにおいて、定めた外力をエレベータかご10内部から加えた際のエレベータかご10の振動を計測する。例えば、ユーザは、エレベータかご10において、作用力が最も小さいと考えられる暴れ行動が行われた際の振動を実測する。このような振動の計測は、例えば基準仕様のエレベータ1Bのかご枠等に設置された振動異常検知装置12を用いて、加速度単位で行われる。
基準仕様のエレベータ1Bにおける振動異常検知装置12は、Z方向の振動の計測結果から、上述のように低周波成分と、高周波成分(衝撃波成分)とを抽出することにより(図8参照)、計測データを生成する。本実施形態において、計測データは、Z方向の振動における低周波成分の最大振幅a1と、高周波成分の最大振幅a2と、各成分の最大振幅a1,a2間の比率r(=a2/a1)とを含む。ステップS11において、ユーザは、しきい値決定装置6の取得部63に計測データ(a1,a2,r)を入力する。
次に、制御部61は、取得した計測データ(a1,a2,r)に基づいて、作用力の推定処理を行う(S12)。作用力の推定処理は、エレベータにおける振動の解析モデルを用いて、計測データの計測時に基準仕様のエレベータかご10に作用したことが推定される推定の作用力を算出する処理である。
解析モデルは、エレベータの振動解析のためのシミュレーションモデルであり、例えばマス−バネ−ダンパ系で構成される(図13,14参照)。解析モデルによると、エレベータかご等の質量、慣性モーメント、バネ定数および減衰係数などの各種パラメータを変更することにより、種々の仕様のエレベータにおける振動を解析できる。解析モデル、及び作用力の推定処理(S12)の詳細については後述する。
次に、制御部61は、取得部63を介して、しきい値の設定対象のエレベータ1A(図11)の仕様を示す仕様情報を取得する(S13)。仕様情報は、解析モデルにおける各種パラメータに対応して、エレベータかご等の質量及びサイズ、並びにロープや防振ゴム等の周辺部材の材質及びサイズなどを含む。仕様情報は、例えばユーザによって取得部63に入力される。仕様情報は、予め記憶部62に記憶されていてもよい。
次に、制御部61は、算出した推定の作用力と取得した仕様情報とに基づいて、推定の作用力が、仕様情報が示す仕様のエレベータに作用した場合の振動のシミュレーション(数値解析)を行う(S14)。ステップS14のシミュレーションは、上述の解析モデルにおいて、エレベータの仕様を設定対象のエレベータの仕様に変更して行われる。
ステップS14において、例えば、制御部61は、取得した仕様情報に基づいて、設定対象のエレベータの仕様に応じた各種パラメータの値を算出し、算出結果に基づき解析モデルをパラメータ調整する。制御部61は、パラメータ調整によって仕様変更した解析モデルに推定の作用力を入力して振動のシミュレーションを実行し、シミュレーション結果の振動を示す情報を出力する。
次に、制御部61は、シミュレーション結果に基づいて、設定対象の仕様のエレベータ1Aにおける振動異常検知装置12に設定する振動のしきい値を、周波数成分毎に算出する(S15)。例えば、制御部61は、シミュレーション結果の振動を示す情報から、低周波成分と高周波成分とを抽出し、抽出した各周波数成分における最大振幅をそれぞれのしきい値として算出する。
制御部61は、しきい値を算出することにより(S15)、本フローチャートによる処理を終了する。算出したしきい値は、例えばしきい値決定装置6の記憶部62に格納される。
以上の処理によると、種々の仕様のエレベータ1Aに対して、基準仕様のエレベータ1Bにおける実測結果に基づき推定される作用力を基準として(S11,S12)、異常状態を判定するための振動のしきい値を決定することができる(S15)。この際、現場の仕様のエレベータ1Aにおける推定の作用力の振動のシミュレーションにより(S14)、しきい値の設定対象のエレベータ1Aにおける現場調整を行うことなく、事前検討でしきい値を決定することができる。
2−3−1.解析モデルについて
しきい値決定処理(図12)のステップS12,S14で用いる解析モデルの詳細について、図13,14を用いて説明する。図13は、エレベータにおける振動のシミュレーションの解析モデル7を説明するための図である。図14は、解析モデル7によるシミュレーションの計算式を例示する図である。
図13は、Z方向(垂直方向)の振動を解析するためにモデル化されたエレベータの解析モデル7の一例を示している。図13の例の解析モデル7は、キャブ71と、カーフレーム72と、カーシーブビーム73と、複数のシーブ74〜81と、オモリ82と、複数のオーバヘッド(OH)部83,85と、マシン部84と、ロープRpと、複数の防振ゴムB1〜B5とを含む。
図13の例では、ロープRpが、外部固定された両端間で8個のシーブ74〜81を介して第1〜第9部分Rp1〜Rp9に分割されるというロープRpの引き回しを例示している。各OH部83,85は、解析モデル7において、昇降路の上端を渡してロープRpを通すための梁部材に対応する。マシン部84は、ロープRpの巻上げ機に対応する。ロープRpの引き回しは、各種仕様に応じて適宜、設定されてもよい。
図13の例の解析モデル7による振動のシミュレーションは、しきい値決定装置6の制御部61が、図14に示す計算式(1)〜(15)の連立方程式を数値計算することにより、実行される。なお、図14では、計算式(1)〜(15)において各種状態変数xの時間tによる一階微分及び二階微分をそれぞれ式(16),(17)のように表記している。
シミュレーションの計算式(1)〜(15)は、それぞれ解析モデル7の各部71〜85の状態変数x1〜x15に対する運動方程式である。図14に示すように、それぞれの計算式(1)〜(15)は、各種パラメータm1〜m15,k1〜k9,kb1〜kb5、c1〜c9,cb1〜cb5によって規定され、上記各パラメータは解析対象とするエレベータの仕様に応じて設定される。なお、ロープRp及び防振ゴムB1〜B5について、図13ではバネ要素として図示しているが、運動方程式(1)〜(15)においてはバネ−ダンパ要素として扱うこととする(図13中左下欄参照)。
解析モデル7において、エレベータかごを構成するキャブ71は、状態変数としての垂直方向変位x1と、仕様に応じたパラメータの質量m1とを有する。同様に、キャブ71を支持するカーフレーム72は、垂直方向変位x2と、質量m2とを有する。また、カーシーブビーム73は、垂直方向変位x3と、質量m3とを有する。
カーシーブビーム73の一端のカーシーブ74は、ロープ送り量x4と、慣性質量m4とを有する。ロープ送り量x4は、カーシーブ74の回転によってロープRpを移動させる送り量を表す状態変数である(以下同様)。慣性質量m4は、カーシーブ74の慣性モーメントを質量換算したパラメータであり、カーシーブ74の質量及びサイズ等から設定される(以下同様)。
また、カーシーブビーム73の他端のカーシーブ75は、(状態変数の)ロープ送り量x5と、(パラメータの)慣性質量m5とを有する。キャブ71側のOH部83の両端のシーブ76,77はそれぞれ、ロープ送り量x6,x7と、慣性質量m6,m7とを有する。マシン部84のシーブ78は、ロープ送り量x8と、慣性質量m8とを有する。オモリ82側のOH部85の両端のシーブ79,80はそれぞれ、ロープ送り量x9,x10と、慣性質量m9,m10とを有する。オモリ82のシーブ81は、ロープRpの送り量x11と、慣性質量m11とを有する。
オモリ82は、(状態変数の)垂直方向変位x12と、(パラメータの)質量m12とを有する。キャブ71側のOH部83は、垂直方向変位x13と、質量m13とを有する。マシン部84は、垂直方向変位x14と、質量m14とを有する。オモリ82側のOH部85は、垂直方向変位x15と、質量m15とを有する。
ロープRpにおいて、第1〜第9部分Rp1〜Rp9はそれぞれ、(パラメータの)バネ定数k1〜k9と減衰係数c1〜c9とを有する。ロープRpのバネ定数k1〜k9及び減衰係数c1〜c9は、ロープRpの種類、本数、太さ、長さ等の仕様によって設定される。
キャブ71とカーフレーム72間の床下防振ゴムB1は、バネ定数kb1と、減衰係数cb1とを有する。カーフレーム72とカーシーブビーム73間のヒッチ防振ゴムB2は、バネ定数kb2と、減衰係数cb2とを有する。キャブ71側のOH部83の防振ゴムB3は、バネ定数kb3と、減衰係数cb3とを有する。マシン部84の防振ゴムB4は、バネ定数kb4と、減衰係数cb4とを有する。オモリ82側のOH部85の防振ゴムB5は、バネ定数kb5と、減衰係数cb5とを有する。各種防振ゴムB1〜B5のバネ定数kb1〜kb5及び減衰係数cb1〜cb5は、それぞれの防振ゴムの種類、個数、負荷等の仕様によって設定される。
以上のような解析モデル7において、図13に示すように作用力Fをキャブ71の床面に作用させる場合、図14に示すように、作用力Fが計算式(1)、即ちキャブ71の垂直方向変位x1の運動方程式(1)の右辺に入力される。この際、しきい値決定装置6の制御部61が計算式(1)〜(15)の数値計算を行うことにより、各種状態変数x1〜x15の振動を解析することができる。例えば、振動異常検知装置12をカーフレーム72に設置する場合、制御部61は、Z方向振動のシミュレーション結果としてカーフレーム72の垂直方向変位x2の二階微分(即ち加速度)を出力する。
以上の説明では、Z方向(垂直方向)の振動解析のための解析モデル7について説明したが、Z方向と同様にX,Y方向の振動解析を行ってもよい。この場合、しきい値決定装置6の制御部61は、Z方向の変位に関する運動方程式(1)〜(15)と同様にX,Y方向の変位に関する運動方程式の数値計算を行うことにより、X,Y方向の振動解析を行うことができる。
2−3−2.作用力の推定処理について
図12のステップS12における作用力の推定処理の詳細について、図15,16を用いて説明する。図15は、しきい値決定処理(図12)における作用力の推定処理(S12)を示すフローチャートである。
図15のフローチャートは、図12のステップS11で取得された計測データが示す低周波成分の最大振幅a1と、高周波成分の最大振幅a2と、比率r=a2/a1とが、記憶部62に格納された状態で開始される。また、解析モデル7(図13)には、計測データ(a1,a2,r)の計測が行われたエレベータ1Aの基準仕様が設定されていることとする(図11参照)。
まず、しきい値決定装置6の制御部61は、基準仕様の解析モデル7において、作用力を仮定して振動のシミュレーションを行う(S21)。図16を用いて、本実施形態に係る作用力の推定処理における作用力F(t)の仮定について説明する。
図16は、作用力の推定処理における作用力F(t)の時間波形を示す図である。本実施形態に係る作用力の推定処理では、図16に示すように、作用力F(t)の時間波形が正規分布形であることを仮定する。この仮定によると、作用力F(t)は、図16に示すように、最大値Fmaxと、標準偏差に対応する時間幅Δtとで規定されることとなる。ステップS21において、制御部61は、例えば予め記憶部62に記憶された初期値の最大値Fmax及び時間幅Δtを有する仮の作用力F(t)を基準仕様の解析モデル7に入力し、振動のシミュレーション結果を出力する。
図15に戻り、制御部61は、シミュレーション結果の振動から、上記の振動異常検知装置12のフィルタ処理部21(図5)と同様に低周波成分を抽出し、低周波成分の最大振幅A1を算出する(S22)。また、制御部61は、低周波成分と同様にシミュレーション結果の振動から高周波成分を抽出し、高周波成分の最大振幅A2を算出する。さらに、制御部61は、低周波成分の最大振幅A1に対する高周波成分の最大振幅A2の比率R=A2/A1を算出する。
ステップS22で算出される比率R(=R(Δt))は、ステップS21で仮定された仮の作用力F(t)の時間幅Δtに応じて変動する。具体的に、時間幅Δtを延長すると、仮の作用力F(t)の時間波形(図16)が緩やかになることから、低周波数成分の振動を生じ易くなり、比率R(Δt)は小さくなる。同様に、時間幅Δtを短縮すると、高周波数成分の振動を生じ易くなり、比率R(Δt)は大きくなる。
制御部61は、仮の作用力F(t)に基づく比率R(Δt)と、基準仕様の計測データ(a1,a2,r)における比率rとの間の差分の絶対値|R(Δt)−r|が、収束因子εよりも小さいか否かを判断する(S23)。収束因子εは、推定の作用力Fの許容誤差などの観点から適宜、正の所定値に設定される。
差分の絶対値|R(Δt)−r|が収束因子εよりも小さくなっていない場合(S23でNO)、制御部61は、二分法等により時間幅Δtを調整して(S24)、ステップS21以降の処理を再度、実行する。具体的に、差分(R(Δt)−r)が正の場合に、制御部61は時間幅Δtを延長する(S24)。これにより、次のステップS22では比率R(Δt)が小さくなる。また、差分(R(Δt)−r)が負の場合に、制御部61は時間幅Δtを短縮して(S24)、比率R(Δt)を大きくする(S22)。ステップS21〜S24の処理を繰り返すことにより、仮の作用力F(t)に基づく比率R(Δt)は、計測データ(a1,a2,r)における比率rに収束する。
差分の絶対値|R(Δt)−r|が収束因子εよりも小さくなった場合(S23でYES)、制御部61は、調整した時間幅Δtを推定の作用力Fの時間幅として決定し、推定の作用力Fの最大値Fmaxを算出する(S25)。
ステップS25において、制御部61は、例えば計測データ(a1,a2,r)における高周波成分の最大振幅a2に基づいて、条件A2=a2を満たすように、作用力F(t)の最大値Fmaxを算出する。本実施形態では、上述のとおり解析モデル7がマス−バネ−ダンパ系であることから、時間幅Δtを固定した場合には作用力F(t)の最大値Fmaxと振動の最大振幅A2との間に比例関係が成立する。このような比例関係を用いて、上記の条件を満たす最大値Fmaxが求められる。
制御部61は、ステップS25で算出した最大値Fmaxを推定の作用力Fの最大値として決定し、決定した最大値Fmax及び時間幅Δtを推定結果として記憶部62に記録する。これにより、制御部61は、図12のステップS12の処理を終了して、ステップS13に進む。
以上の処理によると、基準仕様のエレベータ1Bの異常状態に応じた振動の計測データに基づいて、計測時(或いは異常状態)において基準仕様のエレベータ1Bに作用したことが推定される推定の作用力Fを算出できる(S25)。
また、シミュレーション結果の振動における複数の周波数成分(A1,A2)に基づいて、基準仕様のエレベータ1Bにおける振動のシミュレーションの繰り返し(S21〜S24)を、容易に収束させることができる。
以上の処理において、作用力F(t)の時間波形を正規分布形に仮定したが(図16)、これに限らず、種々の関数形を用いてもよい。例えば、正規分布形に準じるような関数形が、作用力F(t)の時間波形として仮定されてもよい。
また、上記のステップS25では、高周波成分の最大振幅a2に基づく条件A2=a2を満たすように、作用力F(t)の最大値Fmaxを算出する例を説明した。これに限らず、例えば条件A2=a2の代わりに低周波成分の最大振幅a1に基づく条件A1=a1を満たすように、作用力F(t)の最大値Fmaxが算出されてもよい。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係るしきい値決定方法は、エレベータ1Aにおける振動に基づいてエレベータの異常状態を検知する振動異常検知装置12において使用される、異常状態を検知するための振動のしきい値を決定する方法である。本方法は、基準仕様のエレベータ1Bにおいて異常状態に応じた振動を計測するステップを含む(S11)。本方法は、振動の計測結果に基づいて、基準仕様のエレベータ1Bに作用したことが推定される推定の作用力Fを算出するステップを含む(S12)。本方法は、推定の作用力Fに基づいて、設定対象の仕様のエレベータ1Aにおける振動のシミュレーションを行うステップを含む(S14)。本方法は、振動のシミュレーション結果に基づいて、しきい値を算出するステップを含む(S15)。
以上のしきい値決定方法によると、基準仕様のエレベータ1Bにおける振動の計測結果に基づく推定の作用力Fを基準とする振動のしきい値が、所望の仕様のエレベータ1Aに対して事前検討等で決定できる。これにより、種々の仕様のエレベータにわたって、振動検知装置12による異常状態の検知の精度を良くすることができる。また、設定対象のエレベータ1Aにおけるしきい値の現場調整などが省略でき、振動異常検知装置12に対するしきい値の設定を行い易くすることができる。
本実施形態において、振動異常検知装置12は、エレベータ1Aの振動に含まれる低周波成分及び低周波成分を含む複数の周波数成分に基づいて異常状態を検知する。しきい値を算出するステップ(S15)は、周波数成分毎の複数のしきい値を算出する。これにより、振動異常検知装置12により、複数の周波数成分に基づき種々の異常状態を検知する際のしきい値の設定を行い易くすることができる。
また、本実施形態において、推定の作用力Fを算出するステップ(S12)は、振動の計測結果(S11)に基づいて、基準仕様のエレベータ1Bにおける振動のシミュレーションを行って、推定の作用力Fを算出する。これにより、基準仕様のエレベータ1Bの異常状態において基準仕様のエレベータ1Bに作用したことがシミュレーションから推定される推定の作用力Fを、しきい値の設定の基準として算出できる。
また、本実施形態において、推定の作用力Fを算出するステップ(S12)は、基準仕様のエレベータ1Bにおけるシミュレーション結果の振動に含まれる複数の周波数成分に基づいて、作用力を算出する。これにより、推定の作用力Fの算出を容易に行うことができる。
また、本実施形態に係るしきい値決定装置6は、振動異常検知装置12において使用される、異常状態を検知するための振動のしきい値を決定する。しきい値決定装置6は、取得部63と、制御部61とを備える。取得部63は、設定対象のエレベータ1Aの仕様を示す情報を取得する(S13)。制御部61は、所定の作用力に基づいて設定対象の仕様のエレベータ1Aにおける振動のシミュレーションを行い(S14)、振動のシミュレーション結果に基づいてしきい値を算出する(S15)。所定の作用力は、基準仕様のエレベータ1Bの異常状態における振動に基づいて、異常状態において基準仕様のエレベータ1Bに作用した力として算出される推定の作用力Fである(S12)。
以上のしきい値決定装置6によると、種々の仕様のエレベータ1Aにわたり、同じ作用力Fに応じた振動のしきい値を設定でき、振動異常検知装置12による異常状態の検知を行い易くすることができる。
本実施形態において、しきい値決定装置6の制御部61は、しきい値決定処理(図12)において、基準仕様のエレベータ1Bにおける振動の計測データに基づいて、基準仕様のエレベータ1Bに作用したことが推定される推定の作用力Fを算出する(S12)。本実施形態におけるしきい値決定装置6を備えたエレベータ制御システムが提供されてもよい。また、本実施形態におけるしきい値決定装置6にしきい値決定処理を実行させるためのプログラムが提供されてもよい。
(実施形態2)
実施形態2では、エレベータ制御システムに組み込まれたしきい値決定装置において、エレベータの仕様を入力することにより、しきい値を自動設定する例について説明する。以下、実施形態2に係るしきい値決定装置及びエレベータ制御システムについて、図17,18を参照して説明する。
図17は、実施形態2に係るエレベータ制御システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係るエレベータ制御システムは、実施形態1と同様の構成において、演算器20Aにしきい値決定部6Aを備える。演算器20Aのしきい値決定部6Aは、エレベータ制御システムに組み込まれたしきい値決定装置の一例である。
図18は、本実施形態におけるしきい値決定処理を示すフローチャートである。本実施形態におけるしきい値決定処理では、図12のステップS11,S12の処理を予め行っておき、図18に示すようにステップS13以降の処理を演算器20Aのしきい値決定部6Aを実行する。
例えば演算器20A(図17)は、本実施形態におけるしきい値決定処理(図18)を実行するためのプログラムを実行することによりしきい値決定部6Aとして機能する。しきい値決定部6Aとしての演算器20Aは、実施形態1に係るしきい値決定装置6の取得部63(図11)と同様に、各種インタフェースとして入力される情報を取得する取得部を備える。演算器20Aの内部メモリ(記憶部)には、実施形態1の作用力の推定処理(図12のS12)等によって算出された推定の作用力を示す情報が、予め記録されている。推定の作用力を示す情報は、しきい値決定処理のためのプログラムに組み込まれていてもよい。
図18のフローチャートは、しきい値決定部6Aとして機能する演算器20Aによって実行され、ユーザが設定対象のエレベータの仕様情報をしきい値決定部6A(取得部)に入力したときに開始される。
しきい値決定部6Aは、入力された仕様情報を取得すると(S13)、予め記録された推定の作用力を示す情報に基づき、実施形態1と同様に設定対象の仕様のエレベータにおける振動解析(シミュレーション)を行って(S14)、周波数成分毎のしきい値を算出する(S15)。しきい値決定部6Aは、それぞれのしきい値を演算器20Aのしきい値判定処理部251〜256(図5参照)に設定して、本フローチャートによる処理を終了する。
以上の処理によると、エレベータ制御システムにおいて、ユーザはしきい値決定部6Aに所望のエレベータの仕様を入力することにより、異常判定のための適切なしきい値が自動設定され、振動異常検知装置12による異常検知の設定を簡略化できる。
以上のように、本実施形態に係るしきい値決定装置6Aは、演算器20Aの内部メモリ(記憶部)に予め記憶された情報が示す推定の作用力Fに基づいて、振動のシミュレーションを行う(図18のS13)。
本実施形態に係るしきい値決定装置6Aが実行するプログラムは、設定対象のエレベータ1Aの仕様を示す情報を取得するステップ(S13)と、所定の作用力に基づいて設定対象の仕様のエレベータにおける振動のシミュレーションを行い、振動のシミュレーション結果に基づいてしきい値を算出するステップ(S14,S15)とを含む。所定の作用力は、基準の仕様のエレベータの異常状態における振動に基づいて、異常状態において基準の仕様のエレベータに作用した推定の作用力として算出される。
また、本実施形態に係るエレベータ制御システムは、しきい値決定装置6Aと、振動異常検知装置12と、制御盤3とを備える。振動異常検知装置12は、しきい値決定装置6Aによって決定されたしきい値を用いて、エレベータ1Aにおける振動に基づきエレベータ1Aの異常状態を検知する。制御盤3は、振動異常検知装置12の検知結果に基づいて、エレベータ1Aを制御する。
以上のしきい値決定装置6A及びエレベータ制御システムによると、ユーザ所望の仕様のエレベータ1Aに対して、予め定められた作用力に応じた振動のしきい値を振動異常検知装置12に設定でき、振動異常検知装置12による異常状態の検知を行い易くできる。
(他の実施形態)
上記の各実施形態において、演算器20,20Aが行った各処理は、制御盤3によって行われてもよい。例えば、実施形態2における演算器20Aのしきい値決定部6Aが制御盤3に組み込まれて、図18のしきい値決定処理が制御盤3によって実行されてもよい。
また、実施形態2では、図18のしきい値決定処理は、エレベータ制御システムの演算器20Aに組み込まれたしきい値決定部6Aによって実行されたが、これに限らず、実施形態1のしきい値決定装置6のように別体の情報処理装置で実行されてもよい。
また、上記の各実施形態では、振動センサ2は3軸方向の振動を検出可能であった。本実施形態における振動検出部は、3軸方向の振動を検出可能でなくてもよく、例えば1軸方向又は2軸方向のみの振動を検出可能であってもよい。この場合、振動検出部は、1軸方向又は2軸方向の加速度を検出可能な加速度センサなどで構成される。また、検出対象の1軸方向又は2軸方向は、X,Y,Z方向のいずれか一つ又は二つの方向であってもよいし、X,Y,Z方向から適宜、傾斜した方向であってもよい。
また、上記の各実施形態では、振動センサ2が加速度センサで構成される例について説明したが、本システム及び振動異常検知装置における振動検出部は加速度センサに限らず、例えば速度センサまたは変位センサで構成されてもよい。このような場合においても、本実施形態に係るしきい値決定方法及び装置を適用することができる。
演算器20は、速度センサまたは変位センサによる速度又は変位の検出結果を示す検出信号に対して、フィルタ処理部21,22,23、包絡線処理部241〜246及び判定処理部25(図5〜図9)と同様の各種演算処理を行ってもよい。また、演算器20は、速度センサまたは変位センサによる検出信号に対して、一階又は二階微分を演算する演算処理を行って加速度を算出してから、図5〜図9に示す各種演算処理を行ってもよい。
上記各実施形態において、衝撃波通過フィルタ部21b,22b,23bはバンドパスフィルタであったが、これに代えて、例えばカットオフ周波数f2,f12に基づくハイパスフィルタを用いてもよい。これによっても、振動センサ2の検出信号Ax,Ay,Azから、衝撃を伴う暴れ行動による振動の高周波成分を抽出することができる。
また、上記の各実施形態における振動異常検知装置の振動センサ2と演算器20,20Aとは別体で構成されたが、振動検出部と演算処理部とは一体的に構成されてもよい。
また、本システムは、振動異常検知装置12と共に、例えばエレベータ1のかご室11内を撮像する監視カメラなどの撮像部を備えてもよい。この場合、本システムは、例えば振動異常検知装置12を用いて特定の暴れ行動に応じた振動を検出し、監視カメラの撮像動作を開始させてもよい。
また、上記の各実施形態において、エレベータ制御システムの制御対象はロープ式のエレベータであった。本実施形態におけるエレベータ制御システムは、特にロープ式のエレベータに限らず、例えば油圧式、水圧式、リニアモータ式のエレベータを制御してもよい。
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、各実施形態において種々の変形が適宜、行われてもよい。また、個々の実施形態で説明した種々の特徴を組み合わせて、更なる実施の形態とすることも可能である。上述した実施形態は例示であり、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変形を適宜、行うことができる。