JP2018111122A - 半田付け装置及び半田付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な半田付けを効率よく行うことができ、ランニングコストが比較的安価でメンテナンスも容易な半田付け装置及び半田付け方法を提供する。【解決手段】プリント配線板1に回路部品2が搭載されたワーク3の下面に噴霧ノズル14aからフラックスFを塗布するフラックス塗布装置14を備える。ワーク3の下面が半田釜部16a内の溶融半田Hに浸漬されることによって、回路部品2の端子2aをプリント配線板1の下面側に半田付けするディップ半田槽16を備える。ワーク移送機構18は、フラックスFが塗布されたワーク3をほぼ水平に支持して半田釜部16aの上方に移送し、ワーク3を下降させてワーク3の下面を溶融半田Hに浸漬させるとともに、浸漬させた状態でワーク3を水平方向に往復移動させ、溶融半田Hによって回路部品2の端子2aが半田付けされた後、ワーク3を上昇させて溶融半田Hから離間させる。【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板に搭載された回路部品の端子をプリント配線板の裏面側で半田付けするための半田付け装置及び半田付け方法に関する。
従来、この種の半田付け装置として、例えば特許文献1に開示されているように、フラックス工程、プリヒート工程、及びハンダ付け工程を全自動で行う後付け部品の多点式噴流ハンダ付け装置があった。この多点式噴流ハンダ付け装置は、電子基板及び該電子基板に後付けする部品を載置するための基板載置手段と、基板載置手段に載置された電子基板にフラックスを塗布するためのフラックス塗布手段と、フラックスが塗布された電子基板を予備加熱するための予備加熱手段と、予備加熱された電子基板に後付けする部品をフロー半田付けするための半田付け手段と、基板載置手段を昇降又はスライドさせて上記の各手段に移送するリフト手段及びスライド手段とで構成されている。
その他、ディップ半田付けを行うタイプの半田付け装置も広く使用されている。ディップ半田付けは、ほぼ静止した溶融半田の液面に電子基板を浸漬して部品の半田付けを行うものである。
特開2002−50859号公報
特許文献1の多点式噴流ハンダ付け装置の場合、半田付け手段がフロー式であり、溶融半田内部のきれいな部分が次々と噴き上げられて空気に触れるので、溶融半田の酸化が進行しやすく、半田の消費量が多くなってしまうという問題がある。また、噴流用のモータやポンプを連続して駆動するため、電気料等の光熱費の負担も少なくない。さらに、溶融半田が通過する噴流用のダクトやノズルにドロスが溜まりやすく、これを取り除く作業を頻繁に行わなければならないので、清掃やメンテナンスに手間が掛かるという問題がある。
さらに、特許文献1の多点式噴流ハンダ付け装置は、フラックスのガス抜きのため、半田付けの前に予備加熱手段を用いてプリヒート工程を行う構成になっている。フラックスのガスとは、ロジン等の主剤を希釈するための溶剤(例えば、IPA等)のことで、半田付け時にガスが多く発生すると、部品の端子に付着してガス溜まりができ、端子に半田が供給されなくなって接続不良が発生しやすくなる。そこで、半田付けの前に余分なガスを取り除くため、プリヒート工程が行われる。プリヒート工程は、通常、電子基板に熱風をあてたり赤外線を照射したりすることによって行われ、非常に時間が掛かる(例えば数十秒)ため、タクトタイム短縮の障害になっている。
ディップ半田付けを行うタイプの半田付け装置の場合、溶融半田の酸化が比較的進行しにくいので半田の消費量が少なく抑えられるという利点がある。また、噴流用のモータやポンプが不要なので電気料等の光熱費が抑えられ、清掃やメンテナンスも容易である。しかしながら、半田釜部内の溶融半田が流動せずにほぼ静止しているため、溶融半田の内部に温度差が発生しやすく、半田付け温度の管理が難しいという問題がある。例えば、半田付け時に電子基板が浸漬されると、浸漬された液面部分の温度が局部的に低下してしまい、加熱不足の半田付け不良が発生する可能性がある。
また、溶融半田がほぼ静止しているので、半田付け時にフラックスのガスが部品の端子に残留しやすく、多点式噴流ハンダ付け装置以上にフラックスのガスによる半田付け不良が発生しやすい。したがって、半田付け前のプリヒート工程をより入念に行わなければならず、半田付け作業のタクトタイムが一層長くなってしまう。
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、良好な半田付けを効率よく行うことができ、ランニングコストが比較的安価で設備のメンテナンスも容易な半田付け装置及び半田付け方法を提供することを目的とする。
本発明は、プリント配線板に回路部品が搭載されたワークの下面に噴霧ノズルを通じて液状のフラックスを塗布するフラックス塗布装置と、半田釜部を有し、前記ワークの下面が前記半田釜部内の溶融半田に浸漬されることによって、前記回路部品の端子を前記プリント配線板の下面側に半田付けするディップ半田槽と、前記ワークを水平に支持し、前記ワークを上下方向及び水平方向の適宜の位置に移送するワーク移送機構とを備え、
前記ワーク移送機構は、前記フラックスが塗布された前記ワークを前記半田釜部の上方に移送し、前記ワークを下降させて前記ワークの下面を前記溶融半田に浸漬させるとともに、浸漬させた状態で前記ワークを水平方向に往復移動させ、前記溶融半田によって前記回路部品の端子を半田付けし、前記ワークを上昇させて前記溶融半田から離間させる半田付け装置である。
前記ワーク移送機構は、前記ワークを水平に支持するワーク支持部材と、前記ワーク支持部材を移送するアクチュエータとで構成され、前記ワーク支持部材には、上面で前記プリント配線板の下面を支持する板状の部材であって、その内側に前記回路部品の端子を露出させる半田付け孔が形成されたマスク板が設けられ、前記フラックス塗布装置は、前記ワークが前記マスク板の上面に載置された状態で前記フラックスを塗布し、前記ディップ半田槽は、前記ワークが前記マスク板の上面に載置された状態で半田付けを行う構成にしてもよい。
この場合、前記マスク板の厚みは、前記マスク板の上面に前記ワークが載置された状態で、前記回路部品の端子が前記マスク板の下面から突出せず、前記半田付け孔の内側に収まるように設定され、前記ワーク移送機構は、前記ワーク支持部材を前記フラックス塗布装置の位置から前記半田釜部の上方に移送し、前記ワーク支持部材を、前記ワークの下面が前記溶融半田に接触しない高さまで下降させて前記マスク板の下面を前記溶融半田に浸漬させ、再び前記ワーク支持部材を上昇させて前記マスク板を前記溶融半田から離間させる、という上下方向の往復動作が可能であるとともに、前記ワーク支持部材を下降させて前記ワークの下面を前記溶融半田に浸漬可能な構成することが好ましい。
前記フラックス塗布装置には、前記噴霧ノズルを水平方向に移送する噴霧ノズル移送機構が設けられ、前記噴霧ノズル及び前記ワークが、水平な面内を互いに交差する方向に移動することによって、前記ワーク下面の所定領域に前記フラックスが塗布される構成にすることが好ましい。
前記ディップ半田槽には、細長い板状のスクレーパと、前記スクレ―パを水平に支持して上下方向及び水平方向に移送するスクレーパ移送機構とが設けられ、前記スクレーパ移送機構が前記スクレーパを前記溶融半田内に配して水平方向に移送することによって、前記溶融半田が撹拌され、前記スクレーパ移送機構が前記スクレーパを前記溶融半田の液面の高さに配置して水平方向に移送することによって、前記溶融半田の液面に発生した酸化膜が除去される構成にすることが好ましい。
また、本発明は、プリント配線板に回路部品が搭載されたワークの下面に、噴霧ノズルを通じて液状のフラックスを塗布するフラックス塗布工程を行い、前記フラックス塗布工程の後、前記ワークを水平にして、前記ワークの下面をディップ式の半田釜部内の溶融半田に浸漬させるとともに、浸漬させた状態で前記ワークを水平方向に往復移動させ、前記溶融半田によって前記回路部品の端子を前記プリント配線板の下面に半田付けするワーク浸漬工程を行う半田付け方法である。
上面で前記プリント配線板の下面を支持する板状の部材であって、内側に前記回路部品の端子を露出させる半田付け孔が形成されたマスク板を用意し、前記フラックス塗布工程及び前記ワーク浸漬工程を、前記ワークを前記マスク板の上面に載置した状態で行う構成にしてもよい。
この場合、前記マスク板の厚みは、前記マスク板の上面に前記ワークを載置した状態で、前記回路部品の端子が前記マスク板の下面から突出せず、前記半田付け孔の内側に収まるように設定し、前記フラックス塗布工程の後、前記マスク板及び前記ワークを水平にして、前記ワークの下面が前記溶融半田に接触しない高さまで下降させて前記マスク板の下面を前記溶融半田に浸漬させ、再び前記溶融半田から離間させるマスク板浸漬工程を行い、前記マスク板浸漬工程の後、前記ワーク浸漬工程を行う構成にすることが好ましい。
本発明の半田付け装置によれば、半田付け対象のワークにフラックスを塗布し、溶融半田に浸漬してディップ半田付けを行う、という一連の作業を全自動で行うことができる。また、ディップ式の装置なので、フロー式の装置よりもランニングコストが安価であり、清掃やメンテナンスも容易である。
本発明の半田付け装置及び半田付け方法によれば、ワークを溶融半田の液面に浸漬し、この状態でワークを水平方向に往復移動させることにより、ワークが浸漬されて液面の温度が局所的に低下しても、温度の低下していない部分にワークが速やかに移送されるので、ワークを適切な温度で半田付けすることができる。
また、ワークの下面に液状のフラックスを噴霧する構成なので、必要十分な量のフラックスをムラなく均等に塗布することができる。また、ワークを溶融半田に浸漬して往復移動させることで、フラックスのガスが回路部品の端子の部分に残留しにくくなるので、フラックスのガス抜きのためのプリヒートの時間を短くことができる。
また、マスク板にワークを載置した状態でフラックスを塗布した後、マスク板の下面を溶融半田の液面に浸漬して再び液面から離間させるという独特な工程を行うことによって、マスク板等に塗布されたフラックス(半田付けの品質に寄与しない余分なフラックス)のガス抜きを短時間で効果的に行うことができる。その結果、フラックスのガスによる半田付け不良がより発生しにくくなるので、プリヒートの時間を大幅に短くしたり、あるいはプリヒート自体を省略したりすることが可能になり、一連の半田付け作業のタクトタイムを格段に短縮することができる。
本発明の半田付け装置の一実施形態の、筐体内部の構造を示す正面図(a)、A−A断面図(b)である。 ワークがセットされたキャリアを示す平面図(a)、正面図(b)、B−B断面図(c)である。 ワーク支持部材を示す平面図(a)、正面図(b)である。 ワーク支持部材の詳細な構造を示すC−C断面図(a)、キャリアに搭載されたワークがワーク支持部材にセットされた状態を示す断面図(b)である。 この実施形態の半田付け装置の動作を示す図(a)、(b)である。 この実施形態の半田付け装置の動作を示す図(a)、ディップ半田槽の部分を拡大した図(b)である。 この実施形態の半田付け装置の動作を示す図(a)、(b)である。 図7(b)のワーク及びワーク支持部材の部分を拡大した図であって、マスク板の下面が溶融半田に浸漬された状態を示す図(a)、その後、マスク板が溶融半田から離間した状態を示す図(b)である。 この実施形態の半田付け装置の動作を示す図(a)、(b)である。 図9(b)のワーク及びワーク支持部材の部分を拡大した図であって、ワークの下面が溶融半田に浸漬された状態を示す図(a)、その後、ワークが水平方向に移動した状態を示す図(b)である。 この実施形態の半田付け装置の動作を示す図(a)、ディップ半田槽の部分を拡大した図(b)である。
以下、本発明の半田付け装置及び半田付け方法の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の半田付け装置10は、プリント配線板1に回路部品2が実装されたワーク3が搬入され、回路部品2の端子2aをプリント配線板1の下面に半田付けして搬出する、という一連の作業を全自動で行う装置である。この実施形態の半田付け方法は、半田付け装置10により実施される。
半田付け装置10は、図1(a)、(b)に示すように、装置全体を覆う筐体12を有し、筐体12の側面の開口している部分がワーク搬入出口12aになっている。搬入口と搬出口を共通化することにより、セル生産方式のラインに設置するのに適したコンパクトな外形にすることができる。
半田付け装置10内部の構成を説明する前に、半田付け装置10に搬入されるワーク3について、図2に基づいて説明する。プリント配線板1は、例えばガラスエポキシ材やガラスコンポジット材等を基材とする略長方形の銅張積層板であり、下面に回路配線用の銅パターンがレイアウトされ、適宜の位置にランド1a及びスルーホール1bが設けられている。半田付けの対象となる回路部品2は、ここではリード状の端子2aを有した半導体やコンデンサ等である。回路部品2は、プリント配線板1のスルーホール1cに端子2aを挿入することにより、プリント配線板1の上面側に実装されている。
ワーク3(プリント配線板1に回路部品2が実装されたもの)は、キャリア4に1個又は複数個ずつ搭載されて取り扱われる。キャリア4は、熱容量が小さい耐熱樹脂等で形成された板材で、プリント配線板1より僅かに小さい透孔4aがワーク3の数だけ形成され、透孔4aの周縁部に、プリント配線板1の端部を位置決めして支持する段部4bが設けられている。また、作業者がワーク3及びキャリア4を持ち運ぶ際に使用する取っ手4cが一対に設けられている。
次に、半田付け装置10内部の構成について説明する。図1に示すように、筐体12内部は、ワーク搬入出口12aの下方にフラックス塗布装置14が設置され、フラックス塗布装置14の側方にディップ半田槽16が設置され、ディップ半田槽16の側方にワーク移送機構18が設けられている。以下、図1(a)における左右方向をX軸方向(水平方向)、奥行き方向をY軸方向(水平方向)、上下方向をZ軸方向と称して説明する。
フラックス噴霧装置14は、ワーク3の下面に、噴霧ノズル14aを通じて液状のフラックスFを塗布する装置である。噴霧ノズル14aは、噴霧ノズル移送装置14bによってY軸方向の適宜の位置に移送される。
ディップ半田槽16は、半田釜部16aを有し、ワーク3の下面が半田釜部16a内の溶融半田Hの液面Haに浸漬されることにより、回路部品2の端子2aをプリント配線板1の下面側(ランド1a)に半田付けする装置である。また、ディップ半田槽16には、細長い板状のスクレーパ16bが設けられ、スクレ―パ16bは、図示しないスクレーパ移送機構によりほぼ水平に支持される。そして、スクレーパ移送機構は、スクレーパ16bを溶融半田H内に配し、X軸方向に移送して溶融半田Hを撹拌する動作と、スクレーパ16bを溶融半田Hの液面Haの高さに配し、X軸方向に移送して液面Haに発生した酸化膜Sを除去する動作を行う。
ワーク移送機構18は、ワーク3を支持してZ軸方向及びX軸方向の適宜の位置に移送する装置であり、具体的には、ワーク3をほぼ水平に支持するワーク支持部材20と、ワーク支持部材20を移送するアクチュエータ22とを備えている。
ワーク支持部材20は、図3(a)、(b)に示すように、内側にプリント配線板1とほぼ同じ大きさの透孔24aが形成された設けた底板24と、底板24の周縁部を囲むように立設された側板26と、側板26から延設されてアクチュエータ22に取り付けられる取り付け部28とを有し、これらが、熱容量が小さい耐熱樹脂や金属材を組み合わせて一体に形成されている。そして、底板24の透孔24aを塞ぐように一対のマスク板30が取り付けられている。
マスク板30は、図4(a)、(b)に示すように、上面でプリント配線板1の下面を支持する板状の部材で、その内側に回路部品2の端子2aを露出させる半田付け孔30aが形成されている。マスク板30は、プリント配線板1の下面を支持するとともに、溶融半田に接触させたくない領域(例えば、面実装部品が実装された領域等)を覆う働きをする。マスク板30の素材は、半田耐食性に優れた金属又は耐熱性樹脂等が適しており、マスク板30の厚みは、上面にワーク3が載置された状態で、回路部品2の端子2aがマスク板30の下面から突出せず、半田付け孔30aの内側に収まるように設定されている。なお、ワーク3は、キャリア4に搭載された状態でワーク支持部材20に載置されるため、底板24及びマスク板30の上面に、キャリア4を位置決めして支持するための段部24bが設けられている。
アクチュエータ22は、図3(a)、(b)に仮想線で示すように、Z軸スライダ22a及びX軸スライダ22bで構成されている。Z軸スライダ22aは、可動部にワーク支持部材20の取り付け部28が取り付けられ、底板24及びマスク板30をほぼ水平にした状態でワーク支持部材20をZ軸方向に移送する。X軸スライダは、可動部にZ軸スライダ22aのレール部が取り付けられ、Z軸スライダ22aをX軸方向に移送する。これにより、ワーク支持部材20に搬入されたワーク3を水平に支持し、ワーク3をZ軸方向及びX軸方向の適宜の位置に移送することができる。
その他、ワーク移送機構18は、図示しない液面検出装置を備えている。液面検出装置は、センサ等を使用して溶融半田Hの液面Haの高さを検出する装置であり、ワーク3を移送するときのZ軸方向の位置は、液面検出装置が検出した液面Haの高さを基準に決定される。液面Haの高さがほぼ一定になるように管理されている場合、液面検出装置は省略することができる。
次に、半田付け装置10によって実行される半田付け方法を、図5〜図11に基づいて説明する。まず、ワーク支持部材20がワーク搬入出口12aに移送され、図5(a)に示すように、作業者がワーク3(及びキャリア4)をワーク支持部材20にセットする。ワーク3がワーク支持部材20にセットされた状態は、図4(b)に示す通りである。
なお、図4(b)では省略してあるが、ワーク3が移送される時の振動等で回路部品2がプリント配線板1から脱落しないように、回路部品2を軽く押さえる仮固定治具を取り付けるようにしてもよい。さらに、半田付け装置10に、仮固定治具が正常にセットされていないことを検出し、アラーム信号を出力するヒューマンエラー検出装置を付設してもよい。
その後、図5(b)に示すように、Z軸及びX軸スライダ22a,22bで、ワーク3及びワーク支持部材20をフラックス噴霧装置14の噴霧ノズル14aの上方に移送する。そして、フラックス塗布装置14が、噴霧ノズル14aから所定量のフラックスFを霧状に噴出させて、フラックス塗布工程を行う。
フラックス塗布工程では、図6(a)に示すように、X軸スライダ22bで、ワーク3及びワーク支持部材20を支持するZ軸スライダ22aを、所定の速度でX軸方向(左方向)に移送する。同時に、噴霧ノズル移送機構14bで、噴霧ノズル14aを所定の速度でY軸方向に移送する。この動作により、ワーク3及びワーク支持部材20の下面の所定領域に適量のフラックスFをムラなく塗布することができる。
なお、ワーク3及びワーク支持部材20の下面の所定領域とは、少なくとも、ワーク3の下面の、マスク板30の半田付け孔30aから露出している部分と、マスク板の下面の、半田付け孔30aの周縁部である。その他の領域(ワーク支持部材20の底板24の下面等)にもフラックスFが塗布されてもよいが、半田付け時に余分なガスが発生する原因になるので、最小限にすることが好ましい。
また、フラックス塗布工程を行っている時間を利用して、スクレーパ16bも動作する。つまり、図6(a)、(b)に示すように、スクレーパ移送機構がスクレーパ16bを溶融半田H内に配してX軸方向(左方向)に移送することによって、溶融半田Hを撹拌して内部温度を均等化する。さらに、スクレーパ16bを溶融半田Hの液面Haの高さに配して反対方向(右方向)に移送することによって、液面Haに発生した酸化膜Sを半田釜部16aの端部に寄せ、液面Haをきれいにする。なお、溶融半田を撹拌する動作と酸化膜を除去する動作は、フラックス塗布工程を行っている時以外のタイミングで行ってもよい。
フラックス塗布工程が終了すると、図7(a)に示すように、X軸スライダ22bで、ワーク3及びワーク支持部材20を半田釜部16aの上方に移送し、マスク板浸漬工程を行う。
マスク板浸漬工程では、図7(b)に示すように、Z軸スライダ22aで、ワーク3を及びワーク支持部材20を下降させ、その後、再び上昇させる。この工程を詳しく説明すると、まず、図8(a)に示すように、ワーク3の下面が溶融半田Hに接触しない高さまで下降させ、マスク板30の下面を溶融半田Hに浸漬させた後、図8(b)に示すように、再び溶融半田Hから離間させる。この動作により、マスク板30の下面に塗布されたフラックスF(半田付けの品質に寄与しない余分なフラックスF)のガス抜きが行なわれる。マスク板浸漬工程は、十分なガス抜きを行うため、複数回繰り返してもよい。
マスク板浸漬工程が終了すると、次はワーク浸漬工程を行う。ワーク浸漬工程では、図9(a)に示すように、Z軸スライダ22aで、半田釜部16aの上方にあるワーク3及びワーク支持部材20を下降させ、その後、図9(b)に示すように、X軸スライダ22bで、ワーク3及びワーク支持部材20を支持するZ軸スライダ22aをX軸方向(右方向及び左方向)に移送し、その後、Z軸スライダ22aで、ワーク3及びワーク支持部材20を上昇させる。
図9に示す工程を詳しく説明すると、まず、図10(a)に示すように、ワーク3及びワーク支持部材20を下降させ、ワーク3の下面まで溶融半田Hに浸漬させる。そして、図10(b)に示すように、浸漬させた状態でワーク3をX軸方向(右方向及び左方向)に往復移動させ、溶融半田Hによって、回路部品2の端子2aをプリント配線板1の下面に半田付けする。ワーク3を往復移動させる回数は1回でもよいし複数回でもよい。そして、ワーク3及びワーク支持部材20を上昇させ、ワーク3を溶融半田Hから離間させる。この動作により、ワーク3等が浸漬されて液面Haの温度が局所的に低下しても、温度の低下していない部分にワーク3が速やかに移送されるので、ワーク3を適切な温度で半田付けすることができる。
また、先のマスク板浸漬工程で、半田付けの品質に寄与しない余分なフラックスFのガス抜きが行われているので、ワーク浸漬工程で発生するガスは非常に少なく、ほぼワークの下面(マスク板30の半田付け孔30aから露出して部分)に塗布されたフラックスFのガスだけになる。しかも、このガスは、ワーク3がX軸方向に往復移動したとき、回路部品2aの端子2aの部分に付着せず抜けやすいので、半田付け不良が発生しにくい。
ワーク浸漬工程が終了すると、図11(a)に示すように、Z軸及びX軸スライダ22a,22bで、ワーク3及びワーク支持部材20をワーク搬入出口12aに移送する。そして、作業者が、半田付けが終了したワーク3をワーク支持部材20から取り出し、新しいワーク3をセットする。
また、半田付けが終了したワーク3の取り出し等を行っている時間を利用して、再びスクレーパ16bが動作する。ここでは、図11(b)に示すように、先に半田釜部16aの端部に寄せた酸化膜Sを廃棄するため、酸化膜Sを半田釜部16aの外に掻き出し、回収箱16cに送り込む動作を行う。この酸化膜Sを掻き出す動作は、半田付けが1回終了する度に毎回行うのではなく、複数回に1回行うようにしてもよい。また、ワーク3の取り出し等を行っている時以外のタイミングで行ってもよい。
以上説明したように、半田付け装置10によれば、ワーク搬入出口12aに搬入されたワーク3にフラックスFを塗布し、溶融半田Hに浸漬してディップ半田付けを行い、ワーク搬入出口12aに移送する、という一連の作業を全自動で行うことができる。また、ディップ式の装置なので、フロー式の装置よりもランニングコストが安価であり、清掃やメンテナンスも容易である。
半田付け装置10及び半田付け方法によれば、溶融半田Hの温度が不均一になりやすいディップ式の構成でありながら、ワーク3を溶融半田Hの液面Haに浸漬し、この状態でワーク3を水平方向に往復移動させるという独特の動作を行うことによって、ワーク3を適切な温度で半田付けすることができる。
また、液状のフラックスFが噴霧ノズル14aを通じて噴霧される構成なので、単位時間当たりの噴出量等の条件を容易に管理することができる。さらに、フラックスを塗布する時、ワーク3と噴霧ノズル14aとの相対的な位置関係は、ワーク移送機構18及び噴霧ノズル移送機構14bの各移送速度を制御することよって容易に管理することができる。したがって、ワーク3の下面に対し、必要十分な量のフラックスFをムラなく均等に、常に一定の条件で塗布することができる。
また、ワーク3等にフラックスFが塗布された後、マスク板30等に塗布されたフラックスF(半田付けの品質に寄与しない余分なフラックス)のガス抜きを行ってから、回路部品2の半田付けを行うので、フラックスFのガスによる半田付け不良が発生しにくい。したがって、プリヒートの時間を大幅に短くしたり、あるいはプリヒート自体を省略したりすることが可能になり、一連の半田付け作業のタクトタイムを格段に短縮することができる。
なお、本発明の半田付け装置及び半田付け方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記半田付け装置10の場合、ワーク支持部材20及びマスク板30でワーク3を支持し、プリント配線板1の溶融半田に接触させたくない領域(例えば、面実装部品等が実装された領域等)をマスク板30で覆う構成になっているが、プリント配線板1の下面に溶融半田に接触させたくない領域がないときは、マスク板30を省略し、他の方法でワーク3を支持するようにしてもよい。この場合、マスク板浸漬工程も省略することができる。
上記フラックス塗布装置14は、1つの噴霧ノズル14aを噴霧ノズル移送機構14bで移動させる構成なので、異なるワーク3が搬入されたとき、ワーク3の大きさや形状に合わせ、フラックスFの塗布領域を容易に変更することができるという特徴があるが例えば、搬入されるワークの大きさ等がほぼ一定の場合等は、噴霧ノズル移送機構14bを省略し、複数の噴霧ノズルを所定の位置に並べて設置する構成にしてもよい。
上記ディップ半田槽16のスクレーパ移送機構は、スクレーパ16bをZ軸方向及びX軸方向に移動させることができるので、溶融半田の内部の撹拌と液面の酸化膜の除去の2つの動作を1つのスクレーパ16bで行うことができるという特徴があるが、スクレーパ移送機構の構成をシンプルにするため、2つのスクレーパ(撹拌用の部材及び酸化膜除去用の部材)を別々に設けてもよい。また、スクレーパ及びスクレーパ移送機構は、必要に応じて省略してもよい。
上記半田付け装置10内部のレイアウト、すなわちフラックス塗布装置14、ディップ半田槽16、及び搬入出口12a(搬入口及び搬出口)のレイアウトは一例であり、半田付け装置が使用されるラインの構成等に合わせて適宜変更することができる。また、ワーク移送機構に使用されるアクチュエータやワーク支持部材の構成についても、半田付け装置内部のレイアウトやワークの形態に合わせ、適宜変更することができる。
上記実施形態の説明では、上下方向及び水平方向について、互いに直交するX,Y,Z軸方向に当てはめて説明したが、上述した作用効果が得られるものであれば、厳密に直交している必要はない。同様に、ワーク移送機構にワークが支持されたとき、ワークは厳密に水平である必要はなく、上述した動作によりワーク下面の半田付けが可能であれば、多少傾いていてもよい。
1 プリント配線板
2 回路部品
2a 端子
3 ワーク
10 半田付け装置
14 フラックス塗布装置
14a 噴霧ノズル
14b 噴霧ノズル移送機構
16 ディップ半田槽
16a 半田釜部
16b スクレーパ
18 ワーク移送機構
20 ワーク支持部材
22 アクチェータ
30 マスク板
30a 半田付け孔
H 溶融半田
Ha 液面
S 酸化膜

Claims (8)

  1. プリント配線板に回路部品が搭載されたワークの下面に噴霧ノズルを通じて液状のフラックスを塗布するフラックス塗布装置と、半田釜部を有し、前記ワークの下面が前記半田釜部内の溶融半田に浸漬されることによって、前記回路部品の端子を前記プリント配線板の下面側に半田付けするディップ半田槽と、前記ワークを水平に支持し、前記ワークを上下方向及び水平方向の適宜の位置に移送するワーク移送機構とを備え、
    前記ワーク移送機構は、前記フラックスが塗布された前記ワークを前記半田釜部の上方に移送し、前記ワークを下降させて前記ワークの下面を前記溶融半田に浸漬させるとともに、浸漬させた状態で前記ワークを水平方向に往復移動させ、前記溶融半田によって前記回路部品の端子を半田付けし、前記ワークを上昇させて前記溶融半田から離間させることを特徴とする半田付け装置。
  2. 前記ワーク移送機構は、前記ワークを水平に支持するワーク支持部材と、前記ワーク支持部材を移送するアクチュエータとで構成され、前記ワーク支持部材には、上面で前記プリント配線板の下面を支持する板状の部材であって、その内側に前記回路部品の端子を露出させる半田付け孔が形成されたマスク板が設けられ、
    前記フラックス塗布装置は、前記ワークが前記マスク板の上面に載置された状態で前記フラックスを塗布し、前記ディップ半田槽は、前記ワークが前記マスク板の上面に載置された状態で半田付けを行う請求項1記載の半田付け装置。
  3. 前記マスク板の厚みは、前記マスク板の上面に前記ワークが載置された状態で、前記回路部品の端子が前記マスク板の下面から突出せず、前記半田付け孔の内側に収まるように設定され、
    前記ワーク移送機構は、前記ワーク支持部材を前記フラックス塗布装置の位置から前記半田釜部の上方に移送し、前記ワーク支持部材を、前記ワークの下面が前記溶融半田に接触しない高さまで下降させて前記マスク板の下面を前記溶融半田に浸漬させ、再び前記ワーク支持部材を上昇させて前記マスク板を前記溶融半田から離間させる、という上下方向の往復動作が可能であるとともに、前記ワーク支持部材を下降させて前記ワークの下面を前記溶融半田に浸漬可能である請求項2記載の半田付け装置。
  4. 前記フラックス塗布装置には、前記噴霧ノズルを水平方向に移送する噴霧ノズル移送機構が設けられ、前記噴霧ノズル及び前記ワークが、水平な面内を互いに交差する方向に移動することによって、前記ワーク下面の所定領域に前記フラックスが塗布される請求項1乃至3のいずれか記載の半田付け装置。
  5. 前記ディップ半田槽には、細長い板状のスクレーパと、前記スクレ―パを水平に支持して上下方向及び水平方向に移送するスクレーパ移送機構とが設けられ、
    前記スクレーパ移送機構が前記スクレーパを前記溶融半田内に配して水平方向に移送することによって、前記溶融半田が撹拌され、前記スクレーパ移送機構が前記スクレーパを前記溶融半田の液面の高さに配置して水平方向に移送することによって、前記溶融半田の液面に発生した酸化膜が除去される請求項1乃至4のいずれか記載の半田付け装置。
  6. プリント配線板に回路部品が搭載されたワークの下面に、噴霧ノズルを通じて液状のフラックスを塗布するフラックス塗布工程を行い、
    前記フラックス塗布工程の後、前記ワークを水平にして、前記ワークの下面をディップ式の半田釜部内の溶融半田に浸漬させるとともに、浸漬させた状態で前記ワークを水平方向に往復移動させ、前記溶融半田によって前記回路部品の端子を前記プリント配線板の下面に半田付けするワーク浸漬工程を行うことを特徴とする半田付け方法。
  7. 上面で前記プリント配線板の下面を支持する板状の部材であって、内側に前記回路部品の端子を露出させる半田付け孔が形成されたマスク板を用意し、前記フラックス塗布工程及び前記ワーク浸漬工程を、前記ワークを前記マスク板の上面に載置した状態で行う請求項6記載の半田付け方法。
  8. 前記マスク板の厚みは、前記マスク板の上面に前記ワークを載置した状態で、前記回路部品の端子が前記マスク板の下面から突出せず、前記半田付け孔の内側に収まるように設定し、
    前記フラックス塗布工程の後、前記マスク板及び前記ワークを水平にして、前記ワークの下面が前記溶融半田に接触しない高さまで下降させて前記マスク板の下面を前記溶融半田に浸漬させ、再び前記溶融半田から離間させるマスク板浸漬工程を行い、前記マスク板浸漬工程の後、前記ワーク浸漬工程を行う請求項7記載の半田付け方法。
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