JP2018111067A - 高剪断型分散機 - Google Patents

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Abstract

【課題】攪拌槽内で攪拌ブレードを回転させて固体/液体系処理材料を混練・分散する高剪断型分散機において、回転軸のベアリングや軸封部材に固体(粉体)が侵入しにくくし、かつメンテナンス間隔を延長できるようにした高剪断型分散機を提供する。【解決手段】攪拌槽6の上部に、回転軸5aを回転自在に保持するベアリング15と、軸封部材16を収納した本体ケース11が有る。本体ケース11の攪拌槽側には、外面に段状突起21を有するラビリンスケース23と、内面に舌状突起24を有するラビリンスキャップで構成されたラビリンスシール20がある。ラビリンスキャップは半円弧状に2分割され、組み合わせたとき舌状突起24は段状突起21間の外周空間22に対向する。【選択図】図2

Description

本発明は、化学、電気・電子、医療、食品、飼料、その他の各種分野で湿式分散処理装置として使用されている高剪断型分散機に関するものである。
固体/液体系処理材料中の固体粒子(粉体)を微粒子化し、液体中に分散するようにした高剪断型分散機が広く使用されており、例えば、単軸ミキサー、多軸ミキサー、プラネタリーミキサーその他の種々の回分式高剪断型分散機が知られている。これらのミキサーは、回転軸の下端に攪拌ブレードを設けて攪拌槽(タンク)内で自転させたり、攪拌ブレードを自転、公転させて攪拌槽内で遊星運動させるようにしたり、これらの複数の攪拌ブレードを組み合わせて多軸にしたり、種々に構成されている。上記高剪断型分散機、特に攪拌ブレードが遊星運動する多軸ミキサーにおいて、固体/液体系処理材料を混練・分散する際、タンクの開口部をフードで閉鎖して行う密閉型のミキサーでは、高速側の回転軸の軸支承部に問題を生じることがある。
図5は、従来の一例を示し、攪拌槽内に延びる回転軸50の上部にベアリングケース51を設けてローラーベアリング52を装着し該回転軸50を回転自在に支持するとともに、高圧側(攪拌槽側)にオイルシール等のシール部(軸封部材)53を設けてある。このように、攪拌槽の上方にシール部がある分散機では、混練・分散処理するとき攪拌槽に供給した固体(粉体)が飛散して舞い上がり、その粉塵がシール部に侵入したり、分散処理されたスラリーを希釈する工程で希釈材を加えて攪拌する際に、スラリーが飛散してシール部に侵入し、摩擦・摩耗を招来することがある。さらに、混練・分散する際に生じる発熱によって体積膨張したり、粉体を仕込む際に攪拌槽の内部が外部よりも高圧になることにより、シール部を通過してベアリング部分まで粉塵の影響を及ぼすことがあり、軸支承部に設けたシール部等を早期に交換しなければならないことがあった。
軸封部材(シール部)に微粉末が浸入しないよう軸封部材より高圧側に、段階的に圧力降下を小さくしてもれ量を減少させる形式の非接触のシール装置であるラビリンスシールを設けた攪拌装置も知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、媒体分散法により分散媒体(ビーズ)を用いて微粉末を製造する縦型ビーズミルであるが、粉砕処理される懸濁液を収納する粉砕容器(攪拌槽)の上にサービス室を形成し、さらにその上に回転軸の周面との間に軸封部材を介装したシールブロックを設け、このシールブロックの軸封部材と上記サービス室の間にラビリンスシールを設けた装置が記載されている。
しかし、一般的に、ラビリンスシールは、一体型のカートリッジとして提供されているから、ラビリンスシールを回転軸の上部に取り付けるためには、回転軸の下部に付設してある攪拌ブレードを取り外し、その箇所を洗浄して回転軸の下端からラビリンスシールを差し込み、滑らすように持ち上げ、軸封部材の下部に装着するという作業が必要となる。そのような作業は、攪拌槽が小さく移動可能な小型の分散機(ミキサー)の場合にはそれほど面倒でもないが、大きくて固定式の攪拌槽を有する大型の分散機の場合には、作業者が攪拌槽の内部に入って上記作業をしなければならないことになる。また、空気よりも比重の大きい溶剤臭がする液体等を用いた処理の場合には、周囲に溶剤臭が滞留して作業環境が好ましくない環境になり、新鮮な空気との置換を行いながら作業しなければならない。
特開2014−144410公報(請求項5、段落0037、図3)
本発明の解決課題は、軸封部材への微粉末の侵入を阻止してメンテナンス間隔を延長でき、着脱作業の環境を改善し、上記のような空気置換の前準備を不要とし、攪拌槽内に人が入って行う取り付け、交換作業を容易にしてメンテナンス時間を短縮し、攪拌槽外からの作業も可能とした高剪断型分散機を提供することである。
本発明によれば、下部に攪拌ブレードを有する回転軸を回転して攪拌槽内に収納した固体/液体系処理材料中の固体粒子を微粒子化し、液体中に分散するようにした高剪断型分散機において、攪拌槽の上部に設けた本体ケース内には回転軸を回転自在に保持するベアリングと、該ベアリングより攪拌槽側に軸封部材が設けられており、該軸封部材より攪拌槽側の本体ケースの端面側にはラビリンスシールが設けられ、該ラビリンスシールは、回転軸に固定され外周に突出する段状突起を設けて段状突起間に外周空間を形成したラビリンスケースと、内周に突出する舌片状突起を形成したラビリンスキャップを具備し、該ラビリンスキャップは半径方向から回転軸に着脱できるよう複数のキャップ部片に分割されていることを特徴とする高剪断型分散機が提供され、上記課題が解決される。
本発明において、上記ラビリンスキャップは半円弧状に2分割され、上記段状突起及び舌片状突起は、攪拌槽側に傾斜しており、上記本体ケースの端面には当接面が形成され、上記キャップ部片を連結して本体ケースに取り付けた際、各キャップ部片の舌片状突起が上記ラビリンスケースの外周空間に対向して位置するよう上記ラビンスキャップに上記本体ケースの当接面に当接する当接面を設け、ラビリンスシールの内面にはダイアモンドライクカーボン(DLC)等のコード層が設けられている上記高剪断型分散機が提供される。
本発明は上記のように構成され、高剪断型分散機において、攪拌槽の上部に設けた本体ケース内に、回転軸を回転自在に保持するベアリングと該ベアリングより攪拌槽側に軸封部材を設け、該軸封部材より攪拌槽側の本体ケースの端面に当接するようラビリンスシールを設け、該ラビリンスシールを、回転軸に固定され外周に突出する段状突起を設けて外周空間を形成したラビリンスケースと、内周に突出する舌片状突起を形成したラビリンスキャップで構成し、該ラビリンスキャップを、回転軸の半径方向から着脱できるよう複数のキャップ部片に分割したから、ラビリンスシールを回転軸の周囲に取付ける際、回転軸の半径方向からキャップ部片を連結してラビリンスキャップを構成し本体ケースに固定すれば、攪拌ブレード等を外さなくても軸封部材の攪拌槽側にラビリンスシールを設けることができ、取り付けが簡単である。この構成により、軸封部材やベアリング部分に微粉末が侵入しないようにできるので、摩擦・摩耗が防止され、長期にわたって分散機を運転することができる。また、ラビンスシールを掃除する際は、本体ケースから取り外してキャップ部片に分解すれば、ラビリンスケースが現れるから、簡単に掃除することができる。また、本体ケースの端面側に当接面を設け、上記キャップ部片を連結して本体ケースに取り付けた際、各キャップ部片の舌片状突起が上記ラビリンスケースの外周空間に対向して位置するよう上記ラビンスキャップに上記本体ケースの当接面に当接する当接面を設けると、ラビリンスシールと回転軸のセンタリングが自動的にセットされ、取付、調整作業が容易である。
また、上記ラビリンスケースの段状突起やラビリンスキャップの舌片状突起の先端を、攪拌槽側に少し下向きに傾斜して設けると、攪拌槽側(高圧側)から外周空間に流れ込む気流が攪拌槽側に向かい、微粉末が軸封部材方向に流れにくくなり、微粉末の侵入を一層阻止することができる。さらに、表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)等のコート層を設けておくと、表面が高硬度になって、低摩擦性、高潤滑性が得られ、微粉末が付着しにくく、コンタミも防止され、掃除も簡単になり、耐久性を増すことができる。
本発明の一実施例を示し、一部を断面した正面図。 回転軸の支承部分を示す説明図。 ラビリンスケースを示し、(A)は断面図、(B)は平面図。 ラビリンスリンスキャップを示し、(A)は半断面図、(B)は平面図。 従来の回転軸の支承部分の一例を示す説明図。
本発明による高剪断型分散機は、種々に構成されるが、図1にはその一実施例が示されている。図1を参照し、分散機は、本体1の上部に昇降シリンダー2で上下動する攪拌ヘッド3があり、該ヘッド3に設けたモーター4で駆動される回転軸5a、5bが攪拌槽6に向けて延びている。図に示す分散機は、3本の回転軸を有し、自転・公転する2本の低速用の回転軸5bに設けた捩れ枠型ブレード7(図1においては、煩瑣になるのを避けるため1本のみ図示)と、この自転・公転と同期しながら自転する高速用の回転軸5aに設けた高速タービンブレード8を有する3軸の遊星運動回転する分散機であり、攪拌槽6内をデッドスペースなく均一に攪拌・混練・分散することができる。図1に示す攪拌槽6は、周囲にジャケット9を有し、攪拌時に上部をフード10でカバーして内部を密閉した状態で処理できるようにしてあるが、フードを使用しない分散機や、攪拌ヘッド3の下部で攪拌槽6が昇降する形式の分散機、回転軸が1本若しくは2本以上の分散機、その他各種の分散機に適用することができる。
上記回転軸5aの上部には、図1、図2に示すように、該回転軸を支承する円筒状の本体ケース11が設けられている。図2において、本体ケース11は、駆動部側に支持されたベアリングケース12と、該ベアリングケース12よりも攪拌槽6側(高圧側)にボルト13で固定される軸封ケース14で構成されている。上記ベアリングケース12には回転軸5aを回転自在に支持するローラーベアリング等のベアリング15が設けられ、上記軸封ケース14にはオイルシール等の軸封部材16が収納され、該軸封ケース14の攪拌槽側は、ボルト17で該軸封ケース14に固定される保持キャップ18により覆われている。
上記本体ケース11の攪拌槽側の端面、図2に示す実施例では保持キャップ18の下面には当接面19が形成され、該当接面19に当接するようステンレス鋼等で形成されたラビリンスシール20が設けられている。該ラビリンスシール20は、回転軸5aに固定され外周に環状に突出する段状突起21を間隔を空けて設けて段状突起21間に外周空間22を形成したラビリンスケース23と、内周に環状に突出する舌片状突起24を間隔を空けて形成したラビリンスキャップ25を具備している。
図2、図3を参照し、上記ラビリンスケース23は、回転軸5aの外周にねじ26で固定されたスリーブ27に嵌着できる内径のラビンスケース本体28を有し、該ラビリンスケース本体28に設けたねじ孔29にねじ30をねじ込んで上記スリーブ27に固定される。上記ラビリンスケース本体28の外周方向に延びる段状突起21は、上平面31がほぼ水平方向に延び、下平面32は外周端が攪拌槽側に少し変位するように下向きに傾斜している。また、該下平面の外周端は、上記上平面の外周端よりも内方に位置し、それにより各外周端を結ぶ外周側面33は、攪拌槽側に面してゆるやかに傾斜する斜面に形成されている。この構成により、攪拌槽側から流れ込んだ気流は上記傾斜面に当たって攪拌槽側に向かっても流れ、上記軸封部材16側に流れにくくなる。
図2、図4を参照し、上記ラビリンスキャップ25は、上記ラビリンスケース本体28の外径よりも大きな内径の環状のラビリンスキャップ本体34を有し、該ラビリンスキャップ本体34の内周には、上記環状の舌片状突起24が間隔を空けて突出し、図において上下方向に隣接する舌片状突起24の間隔は、その間に上記ラビリンスケース23の段状突起21を受け入れることができる間隔に設けられている。ラビリンスキャップの中心方向に向かう舌片状突起24の内方端は、基端から攪拌槽方向に向かって下向きに傾斜しており、攪拌槽側から流れ込む気流が舌片状突起24に当って攪拌槽側に向かっても流れ、軸封部材16側に流れにくくしている。
上記該ラビリンスキャップ本体34は、回転軸5aの半径方向、即ち上記ラビリンスケース23に対して半径方向に着脱できるよう複数の、図に示す実施例では2つのキャップ部片35に分割されている。該キャップ部片35は半円弧状に形成され、対向する端面が分割面36となっており、該分割面36どうしを突き合わせ状態で、一方のキャップ部片の接線方向に設けた取付孔37にねじ38を挿入し、その先端を、他方のキャップ部片に形成したねじ孔39にねじ着することにより連結される。また、各キャップ部片にはラビリンスキャップ25の中心線に沿って延びる締着孔40が設けられ、側面には、本体ケースの当接面に当接する当接面41が形成されている。上記キャップ部片35を組み合わせて連結した後、軸封部材16の保持キャップ18の下面に形成した当接面19にラビリンスキャップ25の当接面41を密着し、締着孔40にねじ42を通して保持キャップ18に形成したねじ孔43にねじ着すると、上記舌片状突起24は、自動的に上記ラビリンスケース23の外周空間22に対向して位置する。
上記ラビリンスシール20の内側面は、好ましくはダイアモンドライクカーボン(DLK)等によるコート層を設けてある。このようなコート層を設けると、表面が高硬度になり耐摩耗性、耐摩擦性が向上し、塵埃が付着しにくく、コンタミの問題も解消され、掃除も簡単になる。
上記の構成により、ラビリンスシール自体を回転軸5aの半径方向に分割できるので、従来のように軸受や攪拌ブレード等の機械部品を分解することなく、30分程度で容易に取り付けることができる。また、当接面を密着してねじ絞めするだけでラビリンスシール20と回転軸5aのセンタリングが自動的にセットされる。その上、段状突起21と舌片状突起24の先端を攪拌槽側(高圧)側に傾斜させることにより、軸封部材16側への気流や粉塵の流入が減少し、漏れを極少に制限することにより環境・保全の問題が少なくなり、軸封部材の消費動力が単なるグランドパッキンと比べて少なくなり、省エネにも貢献し、撹拌機のランニングコストを大幅に削減することができる。さらに、上記のように迅速・簡単に取り付けできるから、メンテナンス時間を短縮し、高い信頼性によりメンテナンス間隔を延長することができる。
実際に、図1に示す構成の多軸ミキサーで攪拌槽の容量が1600リットルの高剪断型撹拌機を用いて固体/液体系処理材料の混練・分散作業を行ったところ、従来の図5に示す構成の支承構造によると、約2000時間毎にベアリング交換をしなければならなかったが、本発明による図2の構成の支承構造にすることにより6000時間経過してもベアリング交換は必要なく、大幅なメンテナンス間隔の延長を行うことができた。
5a、5b 回転軸
6 攪拌槽
11 本体ケース
12 ベアリングケース
14 軸封ケース
16 軸封部材
18 保持キャップ
19、41 当接面
20 ラビリンスシール
21 段状突起
22 外周空間
23 ラビリンスケース
24 舌片状突起
25 ラビリンスキャップ
27 スリーブ
34 ラビリンスキャップ本体
35 キャップ部片

Claims (6)

  1. 下部に攪拌ブレードを有する回転軸を回転して攪拌槽内に収納した固体/液体系処理材料中の固体粒子を微粒子化し、液体中に分散するようにした高剪断型分散機において、攪拌槽の上部に設けた本体ケース内には回転軸を回転自在に保持するベアリングと、該ベアリングより攪拌槽側に軸封部材が設けられており、該軸封部材より攪拌槽側の本体ケースの端面には当接面が形成され、該本体ケースの端面側にはラビリンスシールが設けられ、該ラビリンスシールは、回転軸に固定され外周に突出する段状突起を設けて段状突起間に外周空間を形成したラビリンスケースと、内周に突出する舌片状突起を形成したラビリンスキャップを具備し、該ラビリンスキャップは半径方向から回転軸に着脱できるよう複数のキャップ部片に分割されていることを特徴とする高剪断型分散機。
  2. 上記本体ケースの端面側には当接面が形成され、上記キャップ部片を連結して本体ケースに取り付けた際、各キャップ部片の舌片状突起が上記ラビリンスケースの外周空間に対向して位置するよう上記ラビンスキャップに上記本体ケースの当接面に当接する当接面を設けた請求項1に記載の高剪断型分散機。
  3. 上記ラビリンスキャップは半円弧状に2分割されている請求項1又は2に記載の高剪断型分散機。
  4. 上記段状突起及び舌片状突起は、攪拌槽側に傾斜している請求項1〜3のいずれかに記載の高剪断型分散機。
  5. 上記段状突起は、上平面が水平方向に延び、下平面は外周端が攪拌槽側に変位するよう下向きに傾斜し、かつ下平面の外周端は上平面の外周端よりも内方に位置し、各外周端を結ぶ外周側面は攪拌槽側に傾斜する斜面に形成されている請求項4に記載の高剪断型分散機。
  6. 上記ラビリンスシールの内面は、ダイアモンドライクカーボン(DLC)のコート層が設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の高剪断型分散機。
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