以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では本発明の実施形態にかかる衛星電波腕時計1について説明する。本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、時刻情報を含んだ衛星電波を受信し、当該受信された衛星電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正や測位を行う。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示される衛星電波腕時計1のII−II切断線における断面図である。これらの図に示されるように、衛星電波腕時計1は、風防ガラス31と、風防ガラス31を保持するベゼル32と、円筒状の胴38と、胴38の下に設けられる裏蓋39とを含む。これらは衛星電波腕時計1の外形を構成している。胴38およびベゼル32は、風防ガラス31および裏蓋39に挟まれている。胴38、ベゼル32、裏蓋39は、衛星電波腕時計1の外装ケースを構成している。以下では、衛星電波腕時計1の中心から風防ガラス31へ向かう向きを上、裏蓋39へ向かう向きを下と表記する。
胴38は金属からなり、上下方向に貫かれる穴を有する。ベゼル32は胴38の穴の上部の形状に応じたリング状の部材である。ベゼル32は、金属またはセラミックスからなる。ベゼル32はその胴38の穴の上部にはめ込まれることで胴38に接続されている。また裏蓋39は金属からなり胴38の穴の下部の形状に応じた平面を有し、裏蓋39はその穴の下部にはめ込まれている。風防ガラス31は、ベゼル32の開口の上部の形状に応じた平面形状を有し、ベゼル32のその開口にはめ込まれている。風防ガラス31とベゼル32とはパッキン33を介して接しており、パッキン33により風防ガラス31が固定されている。またベゼル32と胴38とはパッキン37を介して接しており、パッキン37によりベゼル32が固定されている。また、耐衝撃性と防水性が劣るものの、パッキン33の代わりにカシメや接着などでベゼル32に風防ガラス31を固定してもよい。
また、衛星電波腕時計1は、目隠し領域61、アンテナ10a,10b、リング状の見返しリング34、高誘電部材36、文字板51、時針52a、分針52b及び秒針52c、ソーラーセル53、ムーブメント59、バラン回路21を含む。これらは、風防ガラス31、ベゼル32、胴38、裏蓋39に囲まれた空間に配置されている。ムーブメント59は、外装ケース内に配置されており、日板55や、地板54、回路基板、駆動回路などを含む。
アンテナ10a,10bは、風防ガラス31の下側(裏側)に、風防ガラス31の周縁に沿って延びるように配置されている。図1の例では、アンテナ10a,10bのそれぞれは円弧状である。アンテナ10a,10bは衛星から送信される衛星信号を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10a,10bはいわゆるダイポールアンテナであり、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信する。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。また、アンテナ10a,10bは準天頂衛星システムを構成する衛星やGLONASSから送信される電波を受信してもよく、Bluetooth(登録商標)規格等に従った約2.4GHzの電波を送受信してもよい。
アンテナ10a,10bと風防ガラス31との間には、平面視でリング状の目隠し領域61が設けられている。目隠し領域61の下側の面の上にアンテナ10a,10bが接着あるいは蒸着されている。目隠し領域61は、例えば印刷により形成され、目隠し領域61により、アンテナ10a,10bが表側から視認されないようになっている。なお、目隠し領域61は設けられていなくてもよく、アンテナ10a,10bは風防ガラス31に直接的に接着あるいは蒸着されていてもよい。見返しリング34および高誘電部材36は、ムーブメント59と風防ガラス31との間にあるリング状の部材であり、ベゼル32または胴38の内周面に沿って設けられている。なお、高誘電部材36は、円弧状の部材であってもよい。
高誘電部材36は、上面36aと、傾斜面36kと、下面36cと、傾斜面36kおよび下面36cをつなぐ面と、外周面36dとを有する。傾斜面36kは、上面36aより径方向内側にあり文字板51に向かう面である。傾斜面36kの周縁側の端は、径方向内側の端よりも文字板51から離れている。図2の例では、バラン回路21は高誘電部材36の上面36aの上に設けられており、見返しリング34は高誘電部材36およびバラン回路21を覆っている。また、バラン回路21は、文字板51より風防ガラス31に近い位置に配置されている。
見返しリング34は、高誘電部材36の上面36aに対向する第1の部分と、高誘電部材36の傾斜面36kに対向する第2の部分とを有する。見返しリング34の第1の部分は、下側にある裏側上面34aと、上側にある表側上面34cと、を含み、第2の部分は、下側にある裏側傾斜面34kと、上側にある表側傾斜面34dと、を含む。
ここで、見返しリング34は高誘電材料が混ぜられた樹脂でできており、誘電率は4〜15程度である。高誘電部材36は、誘電率が20以上のセラミックスである。バラン回路21は、高誘電部材36と見返し34との間、言い換えれば2つの誘電体の間に配置されている。
ここで、高誘電部材36は、アンテナ10a,10bの下に配置されている。これにより、アンテナ10a,10bが受信する電波の波長を短縮し、小さいアンテナ10a,10bで必要な電波を受信できるようになる。図2の例では高誘電部材36は環状であるが、例えばアンテナ10a,10bの下だけに存在するように弧状になっていてもよい。
文字板51はムーブメント59と風防ガラス31との間に設けられており、特に図2の例では見返しリング34および高誘電部材36とムーブメント59との間に設けられている。ソーラーセル53は文字板51の下側(裏側)に設けられている。図2の例では、地板54は文字板51の直下にも設けられている。
図3は、アンテナ10a,10b、バラン回路21、受信回路22の構成の一例を示すブロック図である。アンテナ10a,10bは、それぞれ導電ピン41および接続配線20を介してバラン回路21に電気的に接続されている。またバラン回路21は、接続配線44を介して受信回路22に接続されている。バラン回路21は、アンテナ10a,10bからの平衡な受信信号を不平衡な信号に変換する。バラン回路21は、アンテナ10a,10b側のコイル21aと、受信回路22側のコイル21bとを含む。アンテナ10aは、コイル21aの一端に電気的に接続され、アンテナ10bは、コイル21bの他端に電気的に接続されている。コイル21bの一端は接続配線44に接続されており、コイル21bの他端は回路の接地電位GNDを供給する配線に接続されている。コイル21a,21bにより、平衡な受信信号が不平衡な信号に変換される。
受信回路22はアンテナ10a,10bが受信した信号を復号し、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。より具体的には、受信回路22は高周波回路(RF回路)及びデコード回路を含んでいる。高周波回路は、高周波数で動作し、アンテナ10a,10bが受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路は、高周波回路が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し出力する。
GPSの受信信号などの高周波を扱う回路は、周囲の金属などの影響により受信感度が低下しやすい。特に、アンテナ10a,10b、導電ピン41、接続配線20、バラン回路21は、周囲の金属などの影響をより受けやすく、受信感度が低下しやすい。一方、受信信号を扱う配線や回路と金属などの物体との間に誘電体を配置すると、その金属などの受信感度への影響を軽減することができる。本実施形態では、図2に示されるようにバラン回路21を誘電体で挟むことにより、受信感度を向上させることができる。また、バラン回路21をムーブメント59より上側に配置することにより、アンテナ10a,10bからバラン回路21への配線を短くすることができ、外部の物体に起因するノイズを減少させ、受信感度を向上させることができる。
ここで、ムーブメント59は、図示しない制御回路と駆動機構とを含む。制御回路は、受信回路22から取得されたビット列を取得し、衛星電波腕時計1に含まれる各種回路や駆動機構を制御する。駆動機構は、ステップモータであるモーターと、輪列と、を含んで構成される。モーターの回転を輪列が伝達することによって、例えば時針52a、分針52b、及び秒針52cのうちいずれかを回転させる。これにより現在時刻が表示される。
図4は、バラン回路21の配置の一例を概略的に示す斜視図である。図4では、高誘電部材36の上面に、バラン回路21と、接続電極42と、接続配線20とが配置されている。接続電極42の上には導電ピン41が配置されており、接続電極42と導電ピン41とは導通している。接続電極42とバラン回路21とは、接続配線20により電気的に接続されている。またバラン回路21の配線は、接続配線44により図示しない受信回路22と電気的に接続されている。また、接続配線20のそれぞれの中間部24には、インピーダンスマッチングのためにマッチング素子が配置されてもよい。
図4によると、アンテナ10aに向かう接続配線20と、アンテナ10bに向かう接続配線20の長さが異なっている。これにより、平面視で、バラン回路21と、アンテナ10a,10bへの接続電極42とが衛星電波腕時計1の中心からみた回転方向に並んで配置されている。このため高誘電部材36の上面36aの幅が狭くても、これらを配置することが可能である。
導電ピン41はいわゆるプローブピンである。2本の導電ピン41はアンテナ10a,10bと1対1で対応しており、アンテナ10a,10bのそれぞれは、対応する導電ピン41によりバラン回路21と電気的に接続されている。導電ピン41の少なくとも一方の端はスプリングにより伸縮し、2本の導電ピン41の上端はアンテナ10a,10bに接触し、その下端はそれぞれ接続電極42に接触している。導電ピン41は、見返しリング34等により、平面視における位置を固定されており、また2本の導電ピン41は互いに平行に配置されている。図2の例では、導電ピン41は見返しリング34を上下方向に貫通する穴の中に固定されている。アンテナ10a,10bからみて、導電ピン41は、風防ガラス31から遠ざかる方向に延びている。
ここで、導電ピン41を用いずに、突起を有する接続電極42をアンテナ10a,10bに接触させることでアンテナ10a,10bとバラン回路21とを電気的に接続してもよい。また、導電ピン41の代わりにばね材を用いてアンテナ10a,10bとバラン回路21とを電気的に接続してもよい。導電ピン41の代わりに突起を有する接続電極42やばね材を用いることで、アンテナ10a,10bと接続電極42との間隔がより小さくても接続することが可能になる。
ここで、バラン回路21は、必ずしも高誘電部材36の上面36aに配置されていなくてもよい。図5は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図である。図5の例では、ベゼル32や胴38、文字板51等の記載は省略している。図5の例では、図2の例とは異なり、バラン回路21は高誘電部材36の傾斜面36kの上に配置されており、高誘電部材36と見返しリング34との間に配置されている。
図6は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図5に対応する図である。図6の例では、バラン回路21は、見返しリング34の裏側上面34aに配置されており、高誘電部材36の上面36aに対向している。
図7は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図5に対応する図である。図7の例では、バラン回路21は、見返しリング34の裏側傾斜面34kに配置されており、高誘電部材36の傾斜面36kに対向している。
また、アンテナ10a,10bは必ずしも風防ガラス31の裏側の面に配置されなくてもよい。図8は、衛星電波腕時計1の他の一例を概略的に示す斜視図である。図8の例では、アンテナ10a,10bは高誘電部材36の上面36aに配置され、バラン回路21とアンテナ10a,10bとは、高誘電部材36の上面36a上の接続配線20により導通している。
また、バラン回路21は、必ずしも高誘電部材36と見返しリング34との間に配置されなくてもよい。図9は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図5に対応する図である。図9の例では、バラン回路21は上面36aに配置されているものの、見返しリング34はバラン回路21の上を覆っていない。しかしバラン回路21は、高誘電部材36と風防ガラス31との間に配置されている。ここで、風防ガラス31の誘電率は5〜10程度であり、誘電体ともいえる。図9の例においてもバラン回路21は誘電体に挟まれているので、他の例ほどではないがまわりの金属等の影響を低減し、受信感度が向上する効果を得ることができる。
図10は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図9に対応する図である。図10には、文字板51およびムーブメント59も記載されている。バラン回路21は、高誘電部材36の下面36cに配置されており、高誘電部材36と文字板51との間に配置されている。ここで、文字板51はたとえば高誘電体を含む樹脂でできており、誘電率は4〜15程度である。図10の例においても、バラン回路21は高誘電体に挟まれているので、受信感度が向上する効果を得ることができる。また、ムーブメント59のうちバラン回路21と対向する部分に誘電率の高い(誘電率は4〜15程度)樹脂でできた地板54が配置され、バラン回路21が地板54と高誘電部材36とに挟まれてもよい。
図11は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図10に対応する図である。バラン回路21は、高誘電部材36の外周面36dに配置されている。図10の例では、バラン回路21は、上下にある高誘電体である、見返しリング34と文字板51とに挟まれている。
図12は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図11に対応する図である。図12の例では、外装ケースの一部であるベゼル32が記載されている。図12の例ではベゼル32はセラミックスであり、誘電率は20以上である。図12の例でもバラン回路21は、高誘電部材36の外周面36dに配置されている。また、バラン回路21は、高誘電体であるベゼル32と高誘電部材36とに挟まれている。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる衛星電波腕時計1について説明する。第2の実施形態においては、高誘電部材36や見返しリング34等の誘電体は、バラン回路21がバラン回路21に対向する部材と接触することを防ぐための保護部を有している。保護部は例えば切欠きや突起部である。以下では、主に第1の実施形態と第2の実施形態との相違点を説明し、共通点については説明を省略する。
図13は、第2の実施形態にかかる衛星電波腕時計1の一例を示す部分断面図である。図13では、図5のように、外装ケースや文字板51、ムーブメント59は記載されていないが実際には存在する。
図13の例では、高誘電部材36の上面36aには切欠き71aが設けられており、バラン回路21は、切欠き71aの底に配置されている。また、バラン回路21の上面は、切欠き71aの側面の上端より低い。これにより、衝撃等により高誘電部材36と見返しリング34とが接触しても、バラン回路21に見返しリング34が接触することを防ぐことができる。なお、バラン回路21は、高誘電部材36と見返しリング34との間に配置され、高誘電体である切欠き71aの向かい合う側壁に挟まれている。
図14は、衛星電波腕時計1の他の一例を概略的に示す斜視図であり、特に高誘電部材36の構成を示す図である。本図の例では、図13の例と異なり、高誘電部材36の切欠き71bは、U字状であり、傾斜面36kおよび外周面36dの一部も切り欠かれている。図14の例では、アンテナ10a,10bと電気的に接続するための接続電極42は上面36aに設けられ、切欠き71bの底に配置されるバラン回路21と接続電極42とは、上面および切欠き71bの側壁とに設けられる接続配線20により電気的に接続されている。
図15は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図7に対応する図である。図15の例では、高誘電部材36の傾斜面36kに切欠き71kが設けられており、切欠き71kの底にバラン回路21が設けられている。図15の例でもバラン回路21の上面は傾斜面36kから外側には出ておらず、衝撃等によりバラン回路21と見返しリング34とが衝突することはない。なお、高誘電部材36の外周面36dに切欠きが設けられ、その切欠きの中にバラン回路21が設けられてもよい。
図16は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図9に対応する図である。図16では、文字板51およびムーブメント59も記載されている。図16の例では、高誘電部材36の下面36cに切欠き71cが設けられており、切欠き71cの上端にバラン回路21が設けられている。図16の例において、バラン回路21の下面は高誘電部材36の下面36cから外側には出ておらず、衝撃等によりバラン回路21と文字板51とが衝突することはない。
図17は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図13に対応する図である。図17の例は、図13の例と同じく高誘電部材36の上面36aに切欠き71aが設けられているが、バラン回路21は切欠き71aの底ではなく、切欠き71aに対向する見返しリング34の裏側上面34aに設けられている。図17の例においてはバラン回路21の寸法は切欠き71aより小さく、衝撃等によりバラン回路21と高誘電部材36とが衝突することはない。
図18は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図17に対応する図である。図18の例は図17の例と異なり、見返しリング34の裏側上面34aに切欠き72aが設けられ、バラン回路21は、高誘電部材36の上面36aのうち切欠き72aに対向する領域に設けられている。図18の例においてもバラン回路21の寸法は切欠き72aより小さく、衝撃等によりバラン回路21と見返しリング34とが衝突することはない。なお、図18の例において、バラン回路21が見返しリング34の切欠き72aの上面に設けられてもよい。
図19は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図10に対応する図である。図19の例では、文字板51は高誘電部材36の下面36cに対向している。高誘電部材36の下面36cにはバラン回路21が設けられており、文字板51のうちバラン回路21と対向する部分には、文字板51を貫通する切欠き73が設けられている。切欠き73により、バラン回路21と文字板51とが衝突する可能性を軽減することができる。
図20は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図19に対応する図である。図20の例では、図19の例とは異なり、文字板51が高誘電部材36の径方向内側に存在し、高誘電部材36の下面36cに対向していない。図20の例では、高誘電部材36の下面36cは、ムーブメント59に対向している。バラン回路21は、高誘電部材36の下面36cに設けられており、ムーブメント59のうちバラン回路21に対向する部分には、切欠き74が設けられている。バラン回路21の寸法は切欠き74より小さく、衝撃等によりバラン回路21とムーブメント59とが衝突することはない。また、ムーブメント59のうちバラン回路21と対向する部分には誘電率の高い樹脂(誘電率4〜15程度)でできた地板54が配置され、バラン回路21が地板54と高誘電部材36とに挟まれている。
次に、切欠きの代わりに突起部を用いた例について説明する。図21は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図13に対応する図である。図21の例では、高誘電部材36の上面36aにバラン回路21が配置されており、バラン回路21の周りにバラン回路21の上面より高い位置まで延びる複数の突起部76が配置されている。突起部76の数は例えば2から4である。これにより、衛星電波腕時計1に衝撃が加えられてもバラン回路21と見返しリング34とが衝突することを防ぐことができる。
図22は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図21に対応する図である。図22の例では、見返しリング34の裏側上面34aかつ平面視でバラン回路21の周りに突起部77が設けられており、突起部77の長さはバラン回路21の厚みより大きい。これにより、バラン回路21と見返しリング34との衝突を防ぐことができる。
図23は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図19に対応する図である。図23の例は図19の例と異なり、切欠き73の代わりに、文字板51上かつ平面視でバラン回路21のまわりに突起部78が設けられている。これにより、バラン回路21と文字板51との衝突を防ぐことができる。
図24は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図20に対応する図である。図24の例は、図20の例と異なり、切欠き74の代わりに、ムーブメント59上かつ平面視でバラン回路21のまわりに突起部78bが設けられている。これにより、バラン回路21とムーブメント59との衝突を防ぐことができる。
バラン回路21は、見返しリング34と風防ガラス31との間に配置されてもよい。図25は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図13に対応する図である。図25の例では、見返しリング34の表側上面34cに切欠き72bが設けられており、バラン回路21は風防ガラス31の裏側の面のうち切欠き72bに対向する領域に設けられている。バラン回路21の寸法は切欠き72bより小さく、衝撃等によりバラン回路21と見返しリング34とが衝突することはない。図25の例では、バラン回路21は、高誘電体である見返しリング34の側壁に挟まれている。
図26は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図25に対応する図である。図26の例では、図25の例と異なり、見返しリング34の表側上面34cに切欠き72cが設けられており、バラン回路21は、切欠き72cの底に設けられている。またバラン回路21に対向するようにアンテナ10aが設けられている。
高誘電部材36の断面形状がL字型であってもよい。図27は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す部分断面図であり、図13に対応する図である。図27の例では、高誘電部材36は、図示しないケースの内周面に沿って延び、その断面形状が上下方向に延びる矩形である立上部36iと、第1の部分の下端から径方向内側に延びるフランジ部36jとを有する。バラン回路21は、フランジ部36jの上面に設けられている。図27の例では、他の例に比べてバラン回路21を配置する箇所が下側になる。平面視で見返しリング34の上面の幅W1より、下端における見返しリング34の幅の方が大きい。このため、バラン回路21を配置するスペースをより広くすることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態にかかる衛星電波腕時計1について説明する。第3の実施形態においては、高誘電部材36は主に円弧状であり、バランブロック81またはバラン基板43が高誘電部材36の端部の間にはめ込まれている。以下では、主に第1の実施形態と第2の実施形態との相違点を説明し、共通点については説明を省略する。
図28は、第3の実施形態にかかる衛星電波腕時計1の一例を概略的に示す斜視図である。図29は、図28に示されるバランブロック81を概略的に示す斜視図である。図28は、第1の実施形態における図14に示される高誘電部材36に似ているが、図28の例ではバランブロック81と高誘電部材36とは分離されている。バランブロック81は、高誘電部材36の端部と端部との間にはめ込まれている。バランブロック81の上面には、バラン回路21と、導電ピン41に接続するための接続電極42と、接続電極42とバラン回路21とを接続する接続配線20と、バラン回路21と受信回路22とを電気的に接続ずるための接続配線44とが配置されている。接続配線44は、バランブロック81の径方向内側の側面を経て高誘電部材36の下面36cまで延びている。バランブロック81は高誘電部材36と同様にセラミックス等の高誘電率の素材により形成されている。
図28、図29の例では、バラン回路21等の回路を平面視でほぼ矩形のバランブロック81の上に形成すればよいので、製造が容易になる。
図30は、衛星電波腕時計1の他の一例を概略的に示す斜視図である。図30の例では、図28,29の例と異なり、導電ピン41がない代わりに、アンテナ10a,10bは高誘電部材36の上面36aの上に設けられている。バランブロック81の上面の接続配線20と、アンテナ10a,10bとは、ハンダ83により接続されている。
図31は、図30に示される高誘電部材36を概略的に示す斜視図であり、図32は、図30に示されるバランブロック81を概略的に示す斜視図である。高誘電部材36は円環のうち一部(切欠き79a)が切り欠かれており、弧状である。アンテナ10a,10bのそれぞれは、切欠き79aに隣接する端部から高誘電部材36の上面36aの上を弧状に延びている。また、アンテナ10a,10bは、端部の側面を上面36aから下面36cに向かって延びている。バランブロック81は、切欠き79aにあわせた形状をしており、上面は高誘電部材36の上面36aより低くなっている。また、傾斜面36kに応じた傾斜面を有する。バランブロック81の上面には、バラン回路21が配置され、接続配線20は、バラン回路21から上面を経て、高誘電部材36の端部の側面に対向する側面まで延びている。接続配線20とアンテナ10a,10bとは、側面で物理的に接触することで導通している。図31の例では、さらにハンダ83により接続配線20とアンテナ10a,10bとをより確実に導通させている。
高誘電部材36にバランブロック81を下から支える支持部36sを形成してもよい。図33は、高誘電部材36の他の一例を概略的に示す斜視図であり、図34は、バランブロック81の他の一例を概略的に示す斜視図である。また、図35は、高誘電部材36およびバランブロック81の他の一例を示す部分断面図である。
図33から35の例では、高誘電部材36は、円環のうち切欠き79bが切り欠かれており、弧状である。また、高誘電部材36の端部は、上面36aから下方向に延びる第1の側面と、その側面の下端から他の端部に向けて延びる支持部36sとを有する。支持部36sの上面は第1の側面と接続しており、支持部36sの下面は下面36cとつながっている。支持部36sの上面と下面は、第2の側面を介して接続している。アンテナ10a,10bは、高誘電部材36の上面36aの端から延びる弧状の配線を含み、またアンテナ10a,10bは、第1の側面を経て支持部36sの上面まで延びている。
図34に示されるバランブロック81は、図34の上側の面が支持部36sに接触する下面である。バランブロック81の下面のうち、支持部36sと接触しない中央の領域にはバラン回路21と、バラン回路21に接続される接続配線44とが設けられる。またバランブロック81の下面には、バラン回路21から支持部36s上のアンテナ10a,10bに対向する領域まで接続配線20が延びている。
図35に示されるように、図34に示されるバランブロック81は、上下反転されて高誘電部材36にはめ込まれる。また、バランブロック81と見返しリング34との間には弾性部材84が設けられ、見返しリング34からムーブメント59に向かう力により常にアンテナ10a,10bと接続配線20とが接触する。
図36は、高誘電部材36の他の一例を概略的に示す斜視図であり、図33に対応する図である。図36の例では、図33の例と異なり、切欠き79cは高誘電部材36の外周面36dから径方向内側に延びているが、平面視で切欠き79cは傾斜面36kまでは達していない。高誘電部材36は環状になっている。
また、高誘電部材36の径方向内側に切欠き71fを設け、切欠き71fの径方向内側の面に沿ってバラン回路21を配置してもよい。図37は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す平面図であり、高誘電部材36の下端より少し上の位置で衛星電波腕時計1を切断した形状を示す図である。図37には、高誘電部材36、見返しリング34、バラン基板43、バラン回路21が示されている。高誘電部材36の径方向内側には切欠き71fが設けられており、バラン基板43は、切欠き71fの径方向内側の面に対向している。バラン回路21は切欠き71fの径方向内側の面と見返しリング34との間に配置される。ここで、見返しリング34は高誘電体36を覆うように配置されてもよい。また、アンテナ電極10a,10bが風防ガラス31の裏側の面に配置される場合は、見返しリング34の一部分が切り欠かれてもよい。この切り欠かれる部分は、アンテナ電極10a,10bと接続電極42との間にあり、かつこれらの電気的接続に必要な部分のみであってよい。一方、アンテナ10a,10bが高誘電体36の表面にある場合は、見返しリング34は高誘電体36のうち外周側の面や文字板51側の面を除く全ての面を覆ってもよい。
図38は、バラン基板43の一例を示す斜視図である。バラン基板43の径方向内側の面(図38の上側の面)には、バラン回路21が配置されている。バラン回路21は、
また、径方向内側の面には、バラン回路21から下方向に延びる接続配線44と、上側に延びる接続配線20とが配置されている。接続配線20はアンテナ10a,10bに電気的に接続される。図37および図38に示される例では、バラン回路21の位置を容易にアンテナ10a,10bに近づけることができ、ノイズの影響を低減できる。
図39は、衛星電波腕時計1の他の一例を示す平面図であり、図37に対応する図である。図39の例では、図37の例とは異なり、高誘電部材36は円環のうち切欠き79dが切り欠かれた形状を有し、弧状である。図39の例では、バラン基板43は高誘電部材36と同様にセラミックス等の高誘電率の素材により形成されており、高誘電部材36の端部の間にはめ込まれている。バラン基板43は板状であり、ケースの内周面に対向している。バラン回路21は、バラン基板43の径方向内側の面に配置されている。図39の例においても、図37の例と同様に、見返しリング34は高誘電体36を覆うように配置されてよい。見返しリング34の一部分が切り欠かれてもよいし、見返しリング34は高誘電体36のうち外周側の面や文字板51側の面を除く全ての面を覆ってもよい。
なお、受信回路22をバラン基板43やバランブロック81に配置してもよい。図40は、バラン基板43の他の一例を示す斜視図である。図40の例では、バラン基板43の径方向内側の面(図40の上側の面)のうち風防ガラス31に近い側にバラン回路21が設けられ、ムーブメント59に近い側に受信回路22が設けられている。受信回路22とバラン回路21とは接続配線44により電気的に接続され、バラン回路21からバラン回路21の上側の面に向かって接続配線20が延びている。受信回路22には、さらに、制御回路と電気的に接続される信号線46と、電源電圧が供給される電源線47と、接地電位が供給される配線48とが接続されている。受信回路22をムーブメント59より上側に配置することが可能になり、衛星電波腕時計1をより小型化することが可能になる。ここで、受信回路22は、アンプ、フィルタ、データ処理部などで構成される。アンプはいわゆるLNA(ローノイズアンプ)などであり、バラン回路21からの接続配線44に接続されている。アンプから出力された信号は配線を介してフィルタに入力される。データ処理部は制御IC(集積回路)やTCXOやフラッシュメモリ等で構成されており、フィルタの出力と電気的に接続されている。なお、バラン基板43やバランブロック81には、受信回路22に含まれるアンプ、フィルタ、データ処理部などのうち全部が配置されてもよいし、それらのうち一部が配置されてもよい。例えば、アンプのみがバラン基板43やバランブロック81に配置されてもよい。また、これまでに説明したものと異なる回路がバラン基板43やバランブロック81に配置されてもよい。
これまでに、衛星電波腕時計1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は例えば腕時計と異なる携帯用の小型の時計にも適用できる。