以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る省エネルギーシステム100を説明する構成模式図である。本実施形態の省エネルギーシステム100は、空調機器および換気機器の両方を制御する電力管理装置である。そして、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100は、店舗50で使用するホールコンピュータ装置55と、インバータモータ24を含む空調機器装置20に接続されたインバータ周波数調整システム30と、換気扇62を含む換気機器装置61に接続された換気量調整システム70とを備えている。
本実施形態の店舗50は、パチンコ店舗、ゲームセンター店舗、レストラン店舗、喫茶店店舗、ドラックストアー店舗、本屋店舗、レンタルビデオ店舗、カーディーラー店舗、ホームセンター店舗、コンビニエンスストアー店舗、老人ホーム、病院、映画館、劇場などである。本実施形態の説明例では、空調をきちんと効かせながら、タバコなどの煙をきっちり排気するという典型的な店舗として、店舗50がパチンコ店舗の場合をよく例にして説明するが、それ以外の店舗であっても構わない
そして、図示したホールコンピュータ装置55は、パチンコ店舗のホールコンピュータ(メインコンピュータ)であり、データを演算する中央演算装置(CPU)、および、記憶装置(ハードディスク、半導体メモリ、光記憶媒体など)から構成されている。当該ホールコンピュータ装置55は、さらに、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ、または、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど)、入力装置(例えば、キーボード、マウス、ペンタイプタブレット入力装置、タッチパネル装置など)なども含んでいる。なお、図1に示したホールコンピュータ装置55は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであるが、ノートパソコン型のコンピュータであってよいし、タブレット型のコンピュータであっても構わない。このホールコンピュータ装置55は、パチンコ店舗内の各遊戯装置の情報(例えば、稼働中/待機中、出玉、大当たり回数など)を表示できる他、店舗50内の空調装置・換気装置の情報(例えば、ON/OFF、設定温度、換気比率など)を表示または制御することができる。
本実施形態の構成において、インバータモータ24を含む空調機器装置20は、店舗50に事前に取り付けられたものであり、典型的には、店舗50の新築時に設置されたものである。本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、すでに設置されている空調機器装置20に後から取り付けることが可能である。もちろん、店舗50の新築時に、空調機器装置20とともにインバータ周波数調整システム30を設置することも可能である。
本実施形態の空調機器装置20は、店舗50内に配置された空調室内機60と、インバータモータ24を含む空調室外機29とから構成されている。空調室内機60は、店舗50内に空気調和された空気(所定温度の冷房または暖房の空気)を送り出すことができる。空調室内機60と空調室外機29とは、冷媒ガスが通過するパイプ60aによって接続されている。インバータモータ24は、パイプ60a内の冷媒ガスを移動させることができる。また、空調室外機29には、ファン21が取り付けられており、そのファン21によって、冷房の場合には温められた空気を空調室外機29から外部へ放出することができる。
本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、インバータモータ24を含む空調機器装置20のインバータモータ24の周波数を制御することができる。具体的には、インバータ周波数調整システム30は、インバータモータ24の周波数を制御することによって、実質的に同じ冷房(または暖房)の効果を与えながら、電気代を節約するような動作を行うように指令を行う。なお、空調機器装置20においても、空調室外機29内の回路基板にインバータモータ24の周波数を制御する回路が含まれているが、本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、それとは別に、電気代を節約するような動作としてインバータモータ24の周波数を制御するものである。
本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、制御周波数アダプタ22を介して、インバータモータ24に接続されている。したがって、インバータ周波数調整システム30からの制御周波数の信号は、制御周波数アダプタ22を経て、インバータモータ24に伝えることができる。インバータ周波数調整システム30は、配線38を介して、制御周波数アダプタ22に接続されている。本実施形態の制御周波数アダプタ22は、室外機29に取り付けられている。
本実施形態の換気機器装置61は、店舗50内に配置された換気扇62と、換気扇62の動作を制御する換気スイッチ63と、換気扇62に接続されたダクト66に配置されたダンパー68を備えている。換気扇62はモータで動作するファンであり、店舗50内の空気を外部に排出すことができる。ダクト66は、換気扇62から排出される空気を外部(店舗50の外)に出す通路(配管)である。ダンパー68は、当該ダンパー68の動作を制御するダンパー制御モータ69に接続されている。本実施形態の構成において、換気機器装置61は、店舗50に事前に取り付けられたものであり、典型的には、店舗50の新築時に設置されたものである。本実施形態の換気量調整システム70は、すでに設置されている換気機器装置61に後から取り付けることが可能である。もちろん、店舗50の新築時に、換気機器装置61とともに換気量調整システム70を設置することも可能である。
本実施形態の換気量調整システム70は、換気スイッチ63およびダンパー制御モータ69に接続されている。そして、本実施形態の換気量調整システム70は、換気スイッチ63のオン/オフを制御することで、換気扇62の動作を制御することができる。また、換気量調整システム70は、ダンパー制御モータ69に接続されている。この例の構成では、換気量調整システム70は、配線65aを介して換気スイッチ63に接続されている。換気スイッチ63は、配線65bを介して、換気扇62に接続されている。また、換気スイッチ63は、配線65cを介して、ブレーカ64に接続されている。そして、換気量調整システム70は、配線65dを介してダンパー制御モータ69に接続されている。
本実施形態の換気量調整システム70は、換気扇62及び/又はダンパー制御モータ69へ送信する制御信号に基づいて、換気扇62の動作、及び/又は、ダンパー制御モータ69の動作を制御することができる。具体的には、本実施形態の換気量調整システム70に換気比率(換気比率データ)を入力することができ、その換気比率に基づいて、換気扇62の動作、及び/又は、ダンパー制御モータ69の動作を制御することができる。
本実施形態における「換気比率」は、1時間あたりの必要換気回数(回/時間)のことを意味している。1時間あたりの必要換気回数(毎時必要換気回数(回/時間))は、毎時必要換気量(m3/時間)/部屋の容量(m3)で算出される。例えば、店舗50がパチンコホールの場合(部屋の種類:ホール)は、1時間あたりの必要換気回数(換気比率)は、典型的に、6回から8回(6〜8杯)である。飲食店の場合(部屋の種類:食堂、レストランなど)は、1時間あたりの必要換気回数(換気比率)は、典型的に6回程度である。病院の場合(部屋の種類:診察室、病院、事務室など)は、1時間あたりの必要換気回数(換気比率)は、典型的に6回程度である。劇場・映画館の場合(部屋の種類:映写室など)は、1時間あたりの必要換気回数(換気比率)は、典型的に20回程度である。ここで、店舗50が事務室の場合では、部屋の広さ:床面面積130m2、天井高さ2.5mのとき部屋の容積は325m3であり、必要換気回数(換気比率)が6回/時間であるならば、必要換気量は1950m3/時間となる。
本実施形態の構成では、ホールコンピュータ装置55によって換気機器装置61の換気比率を操作することができる。具体的には、ホールコンピュータ装置55に換気比率を入力(変更・調整)することによって、換気量調整システム70を介して、換気機器装置61の換気比率を調整することができる。また、本実施形態のホールコンピュータ装置55において、店舗50の稼働率データを記憶・表示させることができる。当該稼働率データは、店長またはスタッフがホールコンピュータ装置55に入力することによって、ホールコンピュータ装置55に記憶させるようにしてもよいし、ホールコンピュータ装置55が店舗50内に配置されたセンサなどによって稼働率データを収集(または集計)できる場合は自動で記憶・表示するようにしてもよい。
図示した構成例において、ホールコンピュータ装置55は、通信ネットワーク90に接続されている。図示した通信ネットワーク90は、インターネット(インターネット通信網)である。なお、現在、インターネット通信網(インターネット回線ネットワーク)は、最も普及している通信ネットワークであるが、将来これを超える通信ネットワークが発生すればそれを採用することができる。なお、本実施形態の通信ネットワーク90は、社内LAN、無線LAN(例えば、Wi-Fi)を含めた形でのインターネット通信網であって構わない。加えて、通信ネットワーク90としては、さらに、電話回線ネットワーク、携帯電話回線ネットワーク、無線接続ネットワーク(例えば衛星回線を含む)などを用いることができる。また、本実施形態の構成において、インターネット(通信ネットワーク)90を使用した場合であっても、インターネット90の構成要素(インフラストラクチャー)を所有することまで要求されるものではなく、本発明の構成要素としての「通信ネットワーク90(インターネット回線網)」は、通信利用できるような形態で使用できれば構わない。
図示したホールコンピュータ装置55は、第1ルータ(インターネット接続用ルータ)51、および、第2ルータ(ホール内ネットワーク用ルータ)52を経てインターネット90に接続している(インターネット90側からスタートして)。第1ルータ51と第2ルータ52の間には、タッチパネル54が配置されている。本実施形態のタッチパネル54は、店舗50内の各種機器(パチンコホール内の電気制御可能な機器)の操作を行うことができる。この例では、換気機器装置61(および/または換気量調整システム70)へ送信する換気比率をタッチパネル54で操作することができる。タッチパネル54の構成によっては、パチンコホール内の照明機器、空調機器(60)、自動ドアなどを制御できるようにしてもよい。
また本実施形態の構成においては、ホールコンピュータ装置55は、インターネット90を介して、管理会社10内の管理サーバ15に接続されている。管理会社10は、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置・電力管理方法)100を管理する会社(または、そのデータ運営・管理する会社)である。管理サーバ15は、インターネット90へのデータ送受信機能を備えた電子計算機(コンピュータ装置)であり、記憶装置および半導体集積回路(IC)を備えている。本実施形態の管理サーバ15は、ホールコンピュータ装置55に指示データを送信することができるとともに、インバータ周波数調整システム30、換気量調整システム70、および/または、ホールコンピュータ装置55のデータを受信して記憶することが可能である。そして、管理サーバ15は、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100におけるデータを管理するモニタリング装置として機能させることができる。管理サーバ15をモニタリング装置として使用する場合は、換気機器装置61の動作データ、および/または、空調機器装置20の動作データを、インターネット(通信ネットワーク)90を介して受信し表示させることができる。
本実施形態の管理サーバ15の記憶装置は、ハードディスク(HDD)から構成されており、そのハードディスクに、本実施形態のシステム100についてのデータを、データベースとして格納させておくことができる。なお、管理サーバ15内の当該データベースは、サーバ装置15の筐体から物理的に離れた位置にある記憶媒体(例えば、LANハードディスク)、または、クラウドコンピュータ上の記録媒体(ハードディスクなどの記録装置)であっても構わない。また、本実施形態における記憶装置(記録媒体)は、ハードディスク(HDD)のような磁気記録媒体に限らず、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体(ソリッドステートドライブ:SSD)などの他の記録媒体であっても構わない。なお、本実施形態の管理サーバ15(またはそのデータベース)は、本実施形態のシステム100を運営する会社の内に配置されている場合の他、セキュリティーをさらに高度にするために専門のデータ管理会社内で保管することも可能である。
本実施形態に係る省エネルギーシステム100の構成の関係を、よりわかりやすく理解しやすくしたものとして、図2において、省エネルギーシステム100のブロック図を示す。本実施形態の構成において、換気量調整システム70と、インバータ周波数調整システム30は、情報通信的に接続されており、図1及び図2では、配線37で表している。なお、換気量調整システム70とインバータ周波数調整システム30は、互いに無線で接続されていてもよいし、店舗50内の通信回路を通じて互いに接続されていてもよい。mた、本実施形態の構成では、ホールコンピュータ装置55は、換気量調整システム70およびインバータ周波数調整システム30に(情報通信的に)接続されている。
本実施形態のおける換気量調整システム70は、以下の機能、すなわち、(1a)ホールコンピュータ装置55から稼働率データを読み込む機能と;(1b)その稼働率データから換気比率を算出する機能と;(1c)換気比率に基づいて換気機器装置61を制御する機能と;を備えている。これらの機能(特に、換気比率を算出する機能(1b)、換気機器装置61を制御する機能(1c))は、換気量調整システム70が備えている電子回路(または、半導体集積回路)によって行うことができる。
なお、稼働率データから換気比率を算出する機能は、ホールコンピュータ装置55が実行するように構成しても構わない。その場合には、ホールコンピュータ装置55から換気比率(すなわち、稼働率データに基づいて調整された換気比率)を送信し、その調整された換気比率に基づいて、換気量調整システム70が換気機器装置61を制御することができる。それにより、換気機器装置61(換気扇62)は、稼働率データに基づいて調整された換気比率で、店舗50の換気を行う。
そして、本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、以下の機能、すなわち、(2a)換気量調整システム70から換気比率を読み込む機能と;(2b)読み込んだ換気比率から、空調機器装置20におけるインバータモータ24の制御周波数を算出する機能と;(2c)算出された制御周波数に基づいてインバータモータ24を制御する機能と;を備えている。これらの機能(特に、制御周波数を算出する機能(2b)、インバータモータ24を制御する機能(2c))は、インバータ周波数調整システム30が備えている電子回路(または、半導体集積回路)によって行うことができる。
なお、換気比率から制御周波数を算出する機能は、ホールコンピュータ装置55、または、換気量調整システム70が実行するように構成しても構わない。ホールコンピュータ装置55で換気比率から制御周波数を算出する場合は、ホールコンピュータ装置55から当該制御周波数(すなわち、稼働率データに基づいて調整された換気比率から算出された制御周波数)を送信し、その制御周波数に基づいてインバータ周波数調整システム30がインバータモータ24を制御することができる。一方、換気量調整システム70において換気比率から制御周波数を算出する場合は、換気量調整システム70から当該制御周波数(すなわち、稼働率データに基づいて調整された換気比率から算出された制御周波数)を送信し、その制御周波数に基づいてインバータ周波数調整システム30がインバータモータ24を制御することができる。それにより、換気量調整システム70(または、インバータモータ24)は、稼働率データに基づいて調整された換気比率から算出された制御周波数で、店舗50の空調動作(冷房、または、暖房)を行う。
また、本実施形態の構成では、空調機器(60)および換気機器(62)の両方を協働して制御する電力管理装置100を構築しているが、その協働の制御を、システム協働制御装置(ホールコンピュータ装置55、または、他のコンピュータ装置)に基づいて実行させることができる。
図2を参照しながら説明すると、本実施形態の電力管理装置(省エネルギーシステム、電気代節約システム)100は、インバータモータ24を含む空調機器装置20に接続されたインバータ周波数調整システム30と、換気扇62を含む換気機器装置61に接続された換気量調整システム70とを備えている。そして、電力管理装置100は、インバータ周波数調整システム30と換気量調整システム70とを協働して制御するシステム協働制御装置(55)を備えている。本実施形態のシステム協働制御装置は、店舗50内のホールコンピュータ装置55(または、ホールコンピュータ装置55以外のコンピュータ装置)であってもよいし、インターネット90を経由して接続されたコンピュータ装置(例えば、サーバ装置15)であってもよい。
なお、セキュリティーがしっかりしていれば、サーバ装置15でなくとも、インターネット(通信ネットワーク)90に接続できる情報端末(コンピューター装置)を、システム協働制御装置にしてもよい。そのような情報端末は、典型的には、パーソナルコンピュータ(PC)であり、インターネット(通信ネットワーク)90に接続可能な通信装置(例えば、光ファイバ接続端子、または、無線接続端子)と、ディスプレイ装置(例えば、液晶表示装置)、入力装置(例えば、キーボード、マウスなど)、演算装置(例えば、半導体集積回路装置(IC)または中央演算装置(CPU))、記憶装置(例えば、ハードディスク、半導体記憶装置など)から構成されている。また、情報端末は、パーソナルコンピュータ(PC)に限らず、上述した協働の制御を操作できるのであれば、他の装置であってもよく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話などであってもよい。また、情報端末は、インターネット90に接続されずに、他の通信回線、すなわち、社内LAN(有線LAN、または、無線LAN)などで情報通信的に接続してもよい。また、本実施形態において、情報端末(PC、スマートフォンなど)が接続されているとは、情報通信的に接続されていること(通信可能なこと)を意味し、有線ケーブルで物理的に接続されている場合の他、無線または光通信で接続されている場合も含む。
この例では、ホールコンピュータ装置(または、その位置に接続されるコンピュータ装置)55が、システム協働制御装置であるとして説明を続ける。システム協働制御装置55は、データを演算する中央演算装置(CPU)および記憶装置から構成されていることを前提とし、入力装置(キーボード、マウスなど)および表示装置(液晶ディスプレイなど)も設けられている。
本実施形態のシステム協働制御装置55には、店舗混雑レベルデータを入力可能である。店舗混雑レベルデータは、満室・満席のような最大混雑時のレベルを100%(または、10段階表示の場合の「10」)とし、1人も人がいない最小混雑時のレベルを0%(10段階表示の場合の「1」または「0」)とする。店舗混雑レベルデータは、スタッフが自らの手にて入力装置で入力してもよいし、遠隔入力可能な場合はスマートフォンのようなもので入力してもよい。または、パチンコ台に座っている客の情報から、店舗混雑レベルデータを自動集計できる場合は、その自動集計した店舗混雑レベルデータを用いることができる。
そして、本実施形態のシステム協働制御装置55は、以下の機能を実現することができる。(3a)店舗混雑レベルデータから換気比率を算出する機能、および(3b)店舗混雑レベルデータおよび換気比率の少なくとも一方から、インバータモータ24の制御周波数を算出する機能。
機能(3a)については、店舗混雑レベルの100%〜0%に対応した「換気比率」を経験的または処理データ(例えば、換算表データ)として決めていて、処理することができる。例えば、最大混雑時のレベル(100%)の換気比率(または、毎時必要換気回数)が8回(8杯)の場合において、混雑時レベル(50%)の換気比率(毎時必要換気回数)を4回(8杯)になるように店舗混雑時レベルデータを設定し、そして、混雑時レベル(20%)の換気比率(毎時必要換気回数)を1.6回(1.6杯)になるように店舗混雑時レベルデータを設定することができる。
機能(3b)については、機能(3a)で求めた換気比率から算出した冷媒ガスのスピード(すなわち、図1のパイプ60a内を通過する冷媒ガスのスピード)を算出し、その冷媒ガスのスピードに対応したインバータモータ24の制御周波数を算出する。機能(3b)では、店舗混雑レベルデータから、インバータモータ24の制御周波数を算出できるようなデータ処理(またはプログラミング)を実行する演算回路(または、換算テーブル処理)を構築しておいてもよい。
そして、システム協働制御装置55は、算出した制御周波数のデータを、インバータ周波数調整システム30に送信する。インバータ周波数調整システム30は、送信された制御周波数に基づいてインバータモータ24を制御することができる。それと並行して、システム協働制御装置55は、算出した制御周波数のデータを、インバータ周波数調整システム30に送信する。換気量調整システム70は、送信された換気比率に基づいて換気機器装置61を制御することができる。
ここで、店舗混雑レベルが低くて(例えば、50%)、換気比率を下げることができた場合(例えば、8回→4回)には、同じ空調設定温度(例えば、26℃)でも、冷えた空気(または、暖まった空気)を外部に排出しないので、インバータモータ24の制御周波数を落とすことができ(例えば、50%の動作になるようなインバータモータ制御周波数)、その結果、節電効果(または、電気代節約効果)を達成することができる。加えて、店舗混雑レベルがさらに低くて(例えば、20%)、換気比率をもっと下げることができた場合(例えば、8回→1.6回)には、同じ空調設定温度(例えば、26℃)でも、冷えた空気(または、暖まった空気)の大半を外部に排出せずにすむので、インバータモータ24の制御周波数をさらに落とすことができ(例えば、20%の動作になるようなインバータモータ制御周波数)、その結果、もっと大きな節電効果(または、電気代節約効果)を得ることができる。
いままでの技術では、インバータ機能やデマンド制御機能の高性能化によって空調機器における消費電力の削減を測っており、そして、その性能向上を競い合っているのが実情である。しかしながら、本実施形態に係る省エネシステム100を用いれば、現状で考えられる限りの高レベル技術のインバータ機能やデマンド制御を用いた省エネよりも、顕著に省エネ効果を達成することができ、それゆえに、店舗50の電気代を顕著に低下させることができる。
さらに説明すると、本実施形態の省エネシステム100では、換気機器装置61に接続された換気量調整システム70が、稼働率データから換気比率を算出する機能(1b)と、換気比率に基づいて換気機器装置を制御する機能(1c)とを含んでおり、そして、インバータモータ24を含む空調機器装置20に接続されたインバータ周波数調整システム30が、換気比率からインバータモータの制御周波数を算出する機能(2b)と、制御周波数に基づいてインバータモータを制御する機能(2c)とを有している。これにより、店舗50の稼働率にあわせて、換気比率とインバータモータの制御周波数とを連動して制御することができるので、その結果、パチンコ店などの店舗50における消費電力を節約することができる。加えて、本実施形態のシステム協働制御装置55は、店舗混雑レベルデータから換気比率を算出する機能(3a)と、インバータモータ24の制御周波数を算出する機能(3b)を有しているので、同様に、店舗50の稼働率にあわせて、換気比率とインバータモータの制御周波数とを連動して制御することができ、その結果、パチンコ店などの店舗50における消費電力を節約することができる。
次に、図3から図16も参照しながら、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100についてさらに詳細に説明する。
図3は、本実施形態のインバータ周波数調整システム30の構成を示している。本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、金属製の筐体31と、筐体31の正面開口部を塞ぐ扉部32と、筐体31内に配置された接続端子部34と制御回路盤35(タッチパネルモニター付)とブレーカ(遮断器)36とから構成されている。本実施形態の構成では、インバータ周波数調整システム30が屋外に設置されることを想定して、筐体31および扉部32は、耐候性のあるステンレスから構成されている。接続端子部34は、室外機29のインバータモータ24に接続する端子が配列されている部位である。接続端子部34で接続されたインバータモータ24に対して、制御回路盤35からの制御信号(例えば、オン/オフ信号、インバータ周波数信号)が送信される。本実施形態の接続端子部34は、最大36台の室外機29(インバータモータ24)に接続することができる。そして、ブレーカ(遮断器)36は、制御回路盤35またはインバータモータ24に、必要以上の大電流(過電流)が流れた場合に、制御回路盤35を保護するために電流が流れるのを遮断する装置である。
本実施形態の制御回路盤35は、空調設定温度・空量、デマンド値などのデータに基づいたインバータ周波数信号を出力することができ、そして、制御回路盤35によってインバータモータ24を制御することができる。加えて、本実施形態の構成では、制御回路盤35は、換気量調整システム70から換気比率を読み込む機能(2a);換気比率から制御周波数を算出する機能(2b);および、制御周波数に基づいてインバータモータ24を制御する機能(2c);を実行することができる。また、本実施形態のシステム協働制御装置55が、店舗混雑レベルデータおよび換気比率の少なくとも一方からインバータモータ24の制御周波数を算出して、インバータ周波数調整システム30に送信する構成の場合は、制御周波数を読み込む機能(2a−2)と、その制御周波数に基づいてインバータモータ24を制御する機能(2c−2)とを実行する構成を備えている。
本実施形態の構成では、ホールコンピュータ装置55(または、他のコンピュータ装置)からでなく、インバータ周波数調整システム30で直接操作できるように、制御回路盤35にタッチパネルが設けられている。図4は、本実施形態の制御回路盤のタッチパネル35を示している。本実施形態の構成のタッチパネル35は、現在時刻の表示画面とともに、管理運転ON/OFFの画面35a、デマンド有効時刻の画面35b、現在時刻設定の画面35c、デマンド運転モニタの画面35d、デマンドリミット設定の画面35e、メンテナンスの画面35fが含まれている。タッチパネルであるので、例えば、管理運転ON/OFFの画面35を押せば、管理運転ON/OFFの設定(制御)画面が表示され、そして、管理運転ONまたはOFFの設定を実行することができる。なお、制御回路盤のタッチパネル35の構成例(表示例・制御画面例)は図4に示したものに限らず、他の構成例を採用しても構わない。また、タッチパネル35を設けずに、ホールコンピュータ装置55(または、他の入力装置)で制御・指示・表示をするようにしても構わない。
図5は、本実施形態のインバータ周波数調整システム30の他の構成例を示している。図5に示したインバータ周波数調整システム30は、図3に示したものよりも、簡易版であって、小型版である。図5に示したインバータ周波数調整システム30も、図4で説明した機能を実行することができる。
図6は、本実施形態の換気量調整システム70を含む換気制御システムを示している。図6に示した換気制御システムは、ホールコンピュータ装置55、換気量調整システム70を操作するタッチパネル75、換気量調整システム70、および、換気扇62を含んでいる。図6に示した構成において、ホールコンピュータ装置55からの指令(信号)73は、タッチパネル75へと出力され、タッチパネル75からの指令(信号)79が換気量調整システム70へ出力される。そして、換気量調整システム70からの指令(制御信号)77は、換気扇62へ出力される。
図6に示した換気量調整システム70は、無線回線によってタッチパネル75と情報通信的に接続されている。図6に示したタッチパネル75は、図1に示したタッチパネル54と同じものであっても構わない。また、換気量調整システム70とタッチパネル75とを有線回路で情報通信的に接続してもよいし、タッチパネル75を設けずに、ホールコンピュータ装置55(または、他のコンピュータ装置、タッチパネル装置またはスマートフォン装置)によって制御してもよい。本実施形態の換気量調整システム70は、筐体(扉部を含む)と、筐体内に配置された制御回路盤とから構成されている。また、図6に示した換気量調整システム70は、タッチパネル75からの無線信号の受信部を備えている。換気量調整システム70と換気扇62との接続は、有線であっても無線であっても構わない。換気扇62が複数取り付けられている場合(例えば、62a〜62d)は、その換気扇62を個別に制御する指令(例えば、77a〜77d)を送信することができる。
本実施形態における換気量調整システム70の制御回路盤は、ホールコンピュータ装置55から稼働率データを読み込む機能(1a);稼働率データから換気比率を算出する機能(1b);換気比率に基づいて換気扇62(換気機器装置61)を制御する機能(1c)を実行することができる。稼働率データを読み込む機能(1a)は、タッチパネル75を経由して稼働率データを受信してもよい。また、本実施形態のシステム協働制御装置55が店舗混雑レベルデータから換気比率を算出する機能を備えている場合は、換気量調整システム70の制御回路盤は、ホールコンピュータ装置55から換気比率を読み込む機能(1a−2)、および、換気比率に基づいて換気扇62(換気機器装置61)を制御する機能(1c)を実行するような構成にすることができる。
図7および図8は、店舗50に複数の空調室内機60(60a〜60d)が設置された例を示している。店舗50は、複数の領域(またはルーム)50a〜50fに区分けされており、ここでは、領域50aは事務室で、領域50bはトイレ、領域50cは休憩室、領域50dは喫煙コーナー、領域50eは出入口領域、領域50fは景品コーナーであり、そして、中央領域はホールである。この例では、店舗50内を4つのゾーン(50A〜50D)にわけて各ゾーンに対して2個ずつの空調室内機60(60a〜60d)を設置している。それぞれの空調室内機60(60a〜60d)は、各ゾーン(50A〜50D)の空調(冷房または暖房)を主として行う。
図示した構成例では、それぞれの空調室内機60(60a〜60d)は、パイプ60aを介して、空調室外機29(29a〜29d)に接続されている。それぞれの空調室外機29(29a〜29d)には、ファン21およびインバータモータ24が備え付けられている。また、空調室外機29(29a〜29d)には、配線38を介して、インバータ周波数調整システム30が接続されている。本実施形態のインバータ周波数調整システム30は、各ゾーン50A〜50D内における空調室内機60(60a〜60d)の設定(インバータモータ24の動作周波数の設定)を行って、各ゾーン50A〜50Dの空調を個別に行うことができる。
図7は、本実施形態の省エネルギーシステム100においてゾーンコントロールを行っていない場合を示しており、各ゾーン50A〜50Bともに、最大出力が100%での70%の回転数制御(インバータモータ周波数制御)を行っている。この回転数制御(インバータモータ周波数制御)は、空調機器の設定温度(および/または、省エネのためのデマンドデータ)によって決定されているだけでなく、店舗の稼働率データ(または、店舗混雑レベルデータ)に基づいて決定されているものである。
図7に示した状態でも、稼働率データに基づいた適切な空調制御がなされているが、店舗50の内部は、温度変化が多いゾーン(例えば、50D)があるとともに、温度変化が少ないゾーン(例えば、50A)がある。温度変化が多いゾーン(例えば、50D)は、出入口の近く、直射日光が当たる場所、人が集まる場所などである。そして、温度変化が少ないゾーン(例えば、50A)は、出入口から遠い場所、日光が当たらない場所などである。
そして、図8は、本実施形態の省エネルギーシステム100においてゾーンコントロールを行った場合を示している。図8に示した例では、温度変化が多いゾーン(50D)において、80%の回転数制御(インバータモータ周波数制御)を行い、そのゾーン(50D)の空調を強めて、快適度を増すようにしている。一方で、温度変化が少ないゾーン(50A)において、60%の回転数制御(インバータモータ周波数制御)を行い、そのゾーン(50A)の空調を弱めて、空調消費エネルギーを節約するようにしている。
図7および図8では、インバータモータ周波数制御(回転数制御)は、60%、70%、80%のものを示したが、本実施形態の省エネルギーシステム100(インバータ周波数調整システム30)では1%ごとに周波数制御を設定することができる。また、タイマー設定によって、省エネルギーシステム100(インバータ周波数調整システム30)で制御する時間(時刻)を設定することも可能である。また、図7および図8では、インバータ周波数調整システム30による室内空調機60および室外空調機29(空調機器装置20)のゾーンコントロール50A〜50Dについて説明したが、同様に、換気量調整システム70による換気扇62(換気機器装置61)のゾーンコントロール50A〜50Dについても実施可能である。そして、勿論、インバータ周波数調整システム30および換気量調整システム70の両方の協働によるゾーンコントロール50A〜50Dについても実施可能である。
図9は、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100の使用方法(動作方法)の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、換気量調整システム70の動作を開始し(ステップS100)、次いで、ホールコンピュータ55から稼働率を読み込む(ステップS110)。ここで、稼働率は、例えば、0%〜100%(または、0%〜120%など)で表されている。次に、換気量調整システム70への稼働率の読み込みが成功したかを判定する(ステップS120)。そして、判定の結果、読み込み成功していたら(Yes)、換気量調整システム70の制御回路盤による換気制御にて換気比率を算出して、その換気比率(例えば、0%〜100%)で換気扇62および/またはダンパー68を制御する(ステップS130)。なお、判定の結果、読み込み失敗していたら(No)、再びステップS110に戻って、ホールコンピュータ55から稼働率の読み込みを実行する。
そして、換気量調整システム70の動作と並行して、インバータ周波数調整システム30の動作を開始し(ステップS200)、次いで、換気量調整システム70から換気比率を読み込む(ステップS210)。次に、換気比率の読み込みが成功したかを判定する(ステップS220)。そして、判定の結果、読み込み成功していたら(Yes)、換気比率から算出して、冷媒ガスのスピードの制御(モーター周波数制御)を行う(ステップS230)。なお、判定の結果、読み込み失敗していたら(No)、再びステップS210に戻って、換気比率の読み込みを実行する。
省エネルギーシステム100の動作を停止する場合は、動作中の換気量調整システム70の制御スイッチをオフにし(ステップS140)、オフになったら(Yes)、終了となる(ステップS150)。オフになっていなければ、読み込みのステップ(S110)に戻って、動作が停止するまでプロセスを繰り返す。同様に並行して、動作中のインバータ周波数調整システム30の制御スイッチをオフにし(ステップS240)、オフになったら(Yes)、終了となる(ステップS250)。オフになっていなければ、読み込みのステップ(S210)に戻って、動作が停止するまでプロセスを繰り返す。
本実施形態の手法では、店舗50の稼働率データ(または、店舗混雑レベルデータ)に基づいて、インバータ周波数調整システム30および換気量調整システム70の両方を協働して動作させて、空気調和した店舗内の空気(冷房または暖房した空気)を必要以上に外部に捨ててしまうことを良くしていながら、適切な空気調和を制御しながら実行する。これにより、従来の技術(高性能の空調技術)では超えることができなかった省エネ効果(電気代節約効果)を実現することができる。なお、図9に示したフローチャートでは、換気量調整システム70において換気比率を算出したが、上述したように、他の演算装置(例えば、ホールコンピュータ装置55、または、他のコンピュータ装置)で、換気比率の演算、および/または、調整されたインバータ周波数の演算を行った上で、換気量調整システム70およびインバータ周波数調整システム30を協働させて動作を行うようにしてもよい。
次に、図10から図12を参照しながら、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100による空調電気代の節約(低下)の効果について説明していく。
図10(a)は、空調室内機60および空調室外機29を含む空調機器装置20の構成を示している。図10(b)は、空調室外機29に備え付けられているコンプレッサ25内のインバータモータ24を示している。図10(c)は、空調機器装置20のスイッチON(98)から、空調の設定温度の到達(99)までの時刻を示したグラフである。
一方、図11(a)は、図10(a)に示した構成の空調室外機29に、本実施形態のインバータ周波数調整システム30をアダプタ(インバータモータ制御周波数アダプタ)22を介してインバータモータ24に接続した構成を示している。そして同様に、図11(b)は、空調室外機29に備え付けられているコンプレッサ25内のインバータモータ24を示している。図11(c)は、空調機器装置20のスイッチON(98)から、空調の設定温度の到達(99)までの時刻を示したグラフである。
ここでは、店舗50の空調の例として、真夏にできるだけ早く室温を設定温度(冷房温度)にする場合について説明する。エアコンが起動していない時の店舗内温度を30℃として、起動しているときの温度を26℃(エアコン設定温度)の場合を想定して説明する。なお、真冬に暖房する場合は、この逆の説明として理解することができる。
まず、図10(a)に示すように、店舗50内の空気を冷房(空調)する場合は、空調室内機60によって店舗内空気(室温)を吸い込み(矢印91)、そして、室温よりも5℃程度温度を下げた冷房空気を店舗内に排出する(矢印92)。そして、空調室内機60から店舗50外へ延びるパイプ60a内の冷媒は、奪った熱をコンプレッサ25の方に運ぶ(矢印93)。図10(b)に示すように、コンプレッサ25内のインバータモータ(圧縮機用インバータモータ)24の動作によって冷媒(94)は(下流へと)移動し、次いで、図10(a)に示すように、奪った熱はファン21を通じて外部に放出される(矢印95)。その後、熱を放出した冷媒(冷たい冷媒)は矢印96に示すようにパイプ60a内を進み、続いて、矢印97に示すように店舗50内に入る。そして、再び、空調室内機60の中を通って熱を奪い、その奪った熱を矢印93に示すように店舗50外に持ち出す。この動作の繰り返しによって、店舗50内は冷却される。
空調装置(エアコン)の電気代節約で一番重要なのはインバータモータ24の電力(エネルギー消費)であり、インバータモータ24がエアコン電力の90%を占めている。しかしながら、家庭用のエアコンであれば、真夏であっても我慢してエアコンを付けない(またはエアコンの設定温度を下げる)という手法が使えるが、お客さんが訪問する店舗(特に、パチンコ店舗)50において、真夏にもかかわらずエアコンの冷房を付けないこと(または、設定温度を快適温度よりも上げること)は、集客・売上・お客の評判にも影響するので、事実上、エアコンの設定温度を変更すること(すなわち、高めの設定温度にすること)はできない。そこで、節電効果の高い業務用エアコンを導入するのであるが、それでも節電効果はある程度は得られるものの、大幅な効果(電気代が1年間で何百万円も節約できる効果)は得られないのが実情であった。
図10(c)に示すように、午前8時にエアコンのスイッチをオンすると、エアコン設定温度に向けて、インバータモータ24はフル稼働して(100%回転)、2時間後の午前10時に設定温度に達する。午前10時がパチンコ店の開店時間であれば、そこからは設定温度で店舗50内の空気は調和されているので、お客さんは快適に遊戯することができる。
一方、本実施形態のインバータ周波数調整システム30をインバータモータ24に接続して制御した場合は、次の通りになる。図11(a)に示すように、空調室内機60によって店舗内空気(室温)を吸い込む(矢印91)。この時、図10(a)のときは外気よりも5℃程度低い温度の冷房空気92を排出していたが、図11(a)のときは、4.2℃程度低い温度の冷房空気92を排出する。すなわち、図10(a)のものと比較すると、0.8℃程度だけ高い冷房空気92を排出する。この僅かな差が、大きな節電効果をもたらす鍵となる。
あとは、図10(a)及び(b)と同様に、図11(a)及び(b)のときも、空調室内機60から店舗50外へ延びるパイプ60a内の冷媒は、奪った熱をコンプレッサ25の方に運ぶ(矢印93)。図11(b)に示すように、コンプレッサ25内のインバータモータ(圧縮機用インバータモータ)24の動作によって冷媒(94)は(下流へと)移動し、次いで、図11(a)に示すように、奪った熱はファン21を通じて外部に放出される(矢印95)。その後、熱を放出した冷媒(冷たい冷媒)は矢印96に示すようにパイプ60a内を進み、続いて、矢印97に示すように店舗50内に入る。そして、再び、空調室内機60の中を通って熱を奪い、その奪った熱を矢印93に示すように店舗50外に持ち出す。この動作の繰り返しによって、店舗50内は冷却される。
図11(a)および(b)のときは、図10(a)のときと比較して0.8℃程度だけ高い冷房空気92を排出する動作を行うので、インバータモータ24の回転数(制御周波数)は若干低くなる。それによって、図11(c)に示すように、午前8時にエアコンのスイッチをオンすると、エアコン設定温度に向けて、インバータモータ24は、少しセーブした回転数で(100%未満のセーブした回転)、2時間30分後の午前10時半に設定温度に達する。すなわち、図10(a)の動作と比較すると、30分だけ遅く設定温度に到達する。午前10時半がパチンコ店の開店時間であれば、そこからは設定温度で店舗50内の空気は調和されているので、お客さんは快適に遊戯することができる。また、午前10時が開店時間であれば、午前7時半にスイッチオンをしておく。ここで両者の違い車に例えると、図10(a)の動作は通常モードであって、スピード重視で早く目的地に到達する(エアコンに言い換えると、早く設定温度に到達する)。一方、図11(a)の動作はエコモード(省エネモード)であって、ゆっくりでも到達距離は変わらずに燃費重視(エアコンに言い換えると、設定温度には到達するが、通常モードよりも少しだけ時間がかかる)。そして、図11(a)のように動作させると、図10(a)の動作と比較して、最大デマンド値を抑制することができ、その結果、電気料金を大幅に下げることができる。この点の詳細は後述する。
図12(a)は、本実施形態の省エネルギーシステム100において、集客率(平均稼働率)が100%の時の換気・空調動作を示している。一方、図12(b)は、本実施形態の省エネルギーシステム100において、集客率(平均稼働率)が20%の時の換気・空調動作を示している。
図12(a)に示すように、集客率(平均稼働率)が100%の時(すなわち、稼働率データまたは店舗混雑レベルデータが100%)は、換気比率100%で換気扇62を動作させる。そして、その換気比率100%に対応して、室内空調機60を通る冷媒を動かすインバータモータ24の回転数(インバータ周波数)が調整される。
一方、図12(b)に示すように、集客率(平均稼働率)が20%の時(すなわち、稼働率データまたは店舗混雑レベルデータが20%)は、換気比率20%で換気扇62を動作させる。そして、その換気比率20%に対応して、室内空調機60を通る冷媒を動かすインバータモータ24の回転数(インバータ周波数)が調整される。なお、集客率(平均稼働率、稼働率データ、店舗混雑レベルデータ)と、換気比率とは必ずしも一致させる必要はなく、両者に関係性を持たせたものであればよい。そして、集客の割合だけでなく、喫煙の量、煙や臭いの量に基づいて、換気比率の値を決定することができる。
本実施形態の省エネルギーシステム100を用いれば、集客率(平均稼働率)に応じて適切な換気比率・インバータ周波数を設定することができ、その結果、電気代節約を達成することができる。ここで、図12(b)に示したような集客率(平均稼働率)が20%の時に、エアコンの設定温度だけを気にして、換気扇62の換気比率を100%のままで動作させてしまったら、エアコンで冷やした空気を大量に(一時間に何杯も)店舗50の外に捨てて、新たに外気(真夏の熱い空気)を取り込むので、エアコンをフル稼働させる必要がでてくる。その点、本実施形態の省エネルギーシステム100を用いれば、集客率(平均稼働率)に応じて適切な換気比率・インバータ周波数を設定するので、快適な空調環境で省エネ化(節電・電気代抑制)を実行することができる。
また逆に、電気代節約だけを気にして、図12(a)に示したような集客率(平均稼働率)が100%の時に、エアコンの設定温度を上げてしまうと、快適な空調環境からはほど遠いものとなり、集客・売上に悪影響をもたらしてしまう。加えて、図12(a)に示したような集客率(平均稼働率)が100%の時に、換気比率を20%のような状態にしてしまうと、タバコの煙などが充満したままで(料理を出すところであれば、料理の臭いが充満したままになってしまい)、快適な店舗環境からはほど遠いものとなり、これも、集客・売上に悪影響をもたらしてしまう。そして、本実施形態の省エネルギーシステム100を用いれば、集客率(平均稼働率)に応じて適切な換気比率・インバータ周波数を設定することができるので、快適な環境を実現しながら、大幅な節電効果を達成することができる。
次に、図13および図14も参照して、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100による空調電気代の節約の効果について引き続き説明する。図13は、1年の月を横軸にとり、最大デマンド値(kw)を縦軸にとったグラフである。そして、図14は、電気料金が、基本料金と電力量料金の和であることを示した式である。
店舗50の中で電気料金に一番影響を与えるのは、空調機器(エアコン)の電気代であり、そして、空調機器(エアコン)の電気代の90%は、インバータモータ24に関するものである。そして、店舗50の電気料金を抑えようとすると、通常は、空調機器(エアコン)の使用量を減らすか、設定温度を冷房であれば高めにする(暖房であれば低めにする)ことが行われる。ただ、電気料金に影響を与える重要な要素に最大デマンド値がある。高圧電力のメータは30分毎の電力の平均値を計算しており、これをデマンド値といい、1ヶ月の中で最大のデマンド値(最大デマンド値)が次の1年間の契約電力となる。
したがって、図13に示したグラフの使用状態においては、左側の8月の最大デマンド値が150kw(D1ポイント)であるので、契約電力は150kWとなる。しかし、右側の8月の最大デマンド値は160kw(D2ポイント)であるので、それから1年間の契約電力は160kWになる。すなわち、図14に示すように、基本料金は、契約電力(過去1年間の最大デマンド値)と料金単価の積で決まり、その基本料金に電力量料金(1か月に使用した電力)を加えた額が、その月の電気料金になる。
それゆえに、図13に示した使用状態において、基本料金(最大デマンド値に基づく契約電力)が160kWにしないことが重要であり(150kWに留めておくことが重要)、それに比べると、電力量料金(1か月に使用した電力)を抑えることに重点をおいてしまうのは電気料金削減の効果を限定的なものにしかねない。そして、最大デマンド値を無理矢理抑えるために、最大デマンド値が設定値(例えば、150kW)を超えようとするような電力上昇カーブが検出されたら、空調機器(または、他の電気機器(冷蔵庫など))を強制的にオフにしてしまうような動作をすると、真夏なのにエアコン(空調機器)がとまってしまい、不快な店舗50になってしまうか、他の電気機器の不具合(例えば、冷蔵庫の停止)などがもたらされてしまい好ましくない。
本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100では、この最大デマンド値のコントロールで以下のような手法を適用して、快適な空調空間でありながら、大幅な電気代節約を達成している。
すなわち、まず、図10(c)に示したように最短時間で設定温度(99)に達するように空調機器をフル稼働させる手法とは異なり、図11(c)に示すように少し時間がかかっても、インバータ周波数を少し落として設定温度(99)にあるようにインバータモータ24を制御する。これにより、最大デマンド値が大きくなることを抑制することができる。そして、最大デマンド値を抑制することで、基本契約を低い方に改定することができ、一例では、電気料金を30%削減することができる。
次に、集客率(平均稼働率、または、稼働率データ、店舗混雑レベルデータ)にあわせて、換気比率(換気機器の動作)を決定することで、集客率が低くて汚れていないきれいな空調空気が店舗50内にある時に、空調された空気を外部に捨てることを抑制することができる。それにより、最大デマンド値を抑制する効果、および、電力量料金(1ヶ月に使用した電力)の低下の効果を得ることができる。
さらに、集客率(平均稼働率、または、稼働率データ、店舗混雑レベルデータ)にあわせて、インバータ周波数を調整することで、換気比率が小さくて、店舗50内に空調された空気が多く残っている時に、強制的に、設定温度に応じたインバータ周波数でインバータモータ24を動作させることを抑制することができる。すなわち、換気比率が低い時に、それにあわせて、インバータモータ24の回転数を下げることで、最大デマンド値を抑制する効果、および、電力量料金(1ヶ月に使用した電力)の低下の効果を得ることができる。
加えて、図8に示すようにゾーンコントロールで空調・換気制御を行うことができる。これにより、店舗50全体の空調設定温度を変更せずに(または、店舗50全体の換気比率を変更せずに)、部分的な空調・換気制御を行うことで、最大デマンド値を抑制する効果、および、電力量料金(1ヶ月に使用した電力)の低下の効果を得ることができる。
以上説明した手法を用いると、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100を備えた店舗50では、1年間に、約百万円から数百万円の電気代節約の効果を達成することができる。
次に、図15および図16を参照しながら、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100において、ゾーンコントロールでの換気比率の制御について説明する。なお、ゾーンコントロールでの空調制御については図7及び図8で説明しているので、それとあわせて理解することができる。
図15に示した店舗50は、パチンコ店舗(パチンコホール)である。ここでは、店舗50は、エリア1からエリア4に別れており、それに対応してゾーン1〜ゾーン4の換気エリアが割り振られている。各ゾーン(ゾーン1〜4)の換気扇62は、ダクト66に接続されており、ダクト66の端部(外部との吸気口・排気口)で吸気71と排気72が行われる。また、換気扇62は、換気量調整システム70によって制御されており、そして、換気量調整システム70は、ホールコンピュータ装置55およびタッチパネル75からの指令によって動作する。
この例において、エリア1(1〜100番台)の稼働率は40%であり、それに対応したゾーン1(1〜100番台)の換気量は想定最大値の40%(換気比率40%)である。そして、エリア2(101〜200番台)の稼働率は70%で、それに対応したゾーン2の換気量は想定最大値の70%(換気比率70%)である。また、エリア3(201〜300番台)の稼働率は30%で、それに対応したゾーン3の換気量は想定最大値の30%(換気比率30%)である。エリア4(301〜400番台)の稼働率は60%で、それに対応したゾーン4の換気量は想定最大値の60%(換気比率60%)である。
パチンコ店舗50の場合、遊戯者(お客)は、時間とともに移動するので、各ゾーンに固定の換気比率を設定しておくよりも、リアルタイム(または、所定時間毎)に応じて、各ゾーンにあわせた換気比率を算出して、換気扇62による換気動作を制御することが好ましい。
図16は、ホールコンピュータ装置55のディスプレイ画面55aを示している。ホールコンピュータ装置55ではパチンコ稼働率ソフト80が動作しており、そして、ディスプレイ画面55aには稼働率のデータが表示されている。稼働は200台で、非稼働は200台で、平均稼働率は50%であるが、ここでは、各エリア(各ゾーン)の稼働率も集計されているので、その稼働率に応じた換気動作を実行するようにすると、効率的に換気・空調動作を実行することができる。すなわち、平均稼働率50%で換気・空調動作を実行することも可能であるが、それよりも、ゾーンコントロールで換気・空調の動作を行う方が、より無駄なく節電効果を得ることができる。そして、無駄なく節電することができるので、より確実に、最大デマンド値を抑制する効果、および、電力量料金(1ヶ月に使用した電力)の低下の効果を得ることができる。
上述の実施形態では、省エネルギーシステム(電力管理装置)100の構造または機能に基づく電気代の節約効果について説明したが、その電気代節約効果を得るにあたって、ヒューマンエラーを防止しておくことが好ましい。ヒューマンエラーの中で最も注意する点は、本実施形態に係る省エネ方法(電力管理方法)を無視して(マニュアルを無視して)、スタッフが勝手に空調設定温度を変更すること(冷房ならば設定温度を下げること)である。
図11(c)に示した例で説明すると、本実施形態の省エネルギーシステム100を使用した場合、午前10時30分にはきちんと設定温度に達するのであるが、真夏で熱いことを理由に、エアコンの設定温度を勝手にものすごく低い温度(例えば、17℃)に変更する人が出てくる可能性がある。本実施形態の省エネルギーシステム100は、設定温度(例えば26℃)にする上で顕著な電気代節約効果を発揮することを意図しているので、設定温度を17℃にしてしまうと、その設定温度にあわせたインバータ周波数制御が作動し、結果として、最大デマンド値が契約電力のものを上回ってしまう可能性がでてくる。すると、電気代を抑制する効果が得られなくなってしまう。
もちろん、スタッフは悪気がある訳ではなく、真夏の暑さを回避するために行うので、午前中の短時間ならばマニュアル無視・ルール無視をしても問題ないと思うことがあり、最大デマンド値が契約電力にリンクしていることまで気が回らないことがある。そして、そのスタッフ(または、その上司を含むチーム)は、管理者が来る時刻(例えば、午前10時)には設定温度をマニュアル・ルール通りに戻しておくことがあり、電気代抑制がなぜできないのかの原因追究に時間がかかることがある。
図17は、本実施形態の省エネルギーシステム100の改変例を説明するためのブロック図である。図17に示した省エネルギーシステム100は、基本的に、図2に示したものと同様である。ただし、インバータ周波数調整システム30から通信ネットワーク(インターネット)90へ情報を発信する信号発信装置39が設けられている。
本実施形態の信号発信装置39は、例えば、情報データ通信用の携帯電話(または、PHS)である。本実施形態では、信号発信装置39として、3G(第3世代)の携帯電話(通話はできずに、情報を配信する電話)を使用している。なお、信号発信装置39は、携帯電話に限らず、他のもの(例えば、コンピュータ装置、無線装置)であってもよく、インターネット90につなぐ配線105は、無線であっても有線であって構わない。
図示した構成例では、信号発信装置39は、ホールコンピュータ装置55に接続されている(配線103参照)。また、ホールコンピュータ装置55は、配線102によって換気量調整システム70に接続されている。加えて、ホールコンピュータ装置55は、インターネット接続用ルータ51および配線101を介してインターネット90に接続している。ここで、配線101、102、103は、有線であっても無線であっても構わない。
図17に示したシステム100では、信号発信装置39は、ホールコンピュータ装置55(または、インバータ周波数調整システム30)から、空調機器装置20(または室内空調機60)の設定温度を入手して、それを自動的にインターネット90に送信できる構成になっている。また、信号発信装置39は、空調設定温度とともに、例えば、リアルタイムのデマンド値、稼働率データ(または店舗混雑レベルデータ)、換気比率、店舗内温度などのデータ(空調データ)を送信することができる。これにより、スタッフが勝手にエアコン設定温度を変更してしまうことを知ることができ、その結果、最大デマンド値が上がってしまうこと(電気料金が上がってしまうこと)を防止することができる。
また、その設定温度変更のチェックは、ホールコンピュータ装置55で確認しなくても、インターネット90に接続された情報端末16によって行うことができる構成にしてもよい。図17に示した構成例では、インターネット90に、少なくとも1つの情報端末16(16A、16B)が接続された状態を示している。情報端末16は、インターネット90に接続可能なデスクトップコンピュータの他、移動型の情報通信端末(例えば、スマートフォン、タブレット、ノートPCなど)である。移動型の情報通信端末16であれば、どこでも、いつでも確認することができて便利である。そして、1台の特定された情報端末16でなくてもよいので、例えば、パチンコ店オーナー、パチンコ店店長、システム管理担当者などの複数人が同時に、その設定温度変更のチェック(または、デマンド値のチェック)を行うことができる。
本実施形態では、情報端末16は、図18に示したようなスマートフォン(例えば、アップル社製のiPhone(登録商標)、Android OSを搭載したスマートフォン(各種のAndroid スマホ))である。スマートフォンは、多機能の携帯電話であり、通話機能、インターネット通信機能を備えており、通話機能だけでなく、情報を管理・加工・送信などすることができる。ただし、設定温度変更のチェック(または、デマンド値のチェック)を行うことができるのであれば、スマートフォンに限らず、情報通信ができるものであれば、携帯電話(例えば、所謂フィーチャーフォン)であってもよいし、パソコン(例えば、デスクトップPC)、ゲーム機、テレビなどの端末であっても構わない。また、携帯できる形の携帯通信機器(情報通信端末)としては、スマートフォン、携帯電話の他、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、ウェアラブルコンピュータを用いることも可能である。
図18は、本実施形態に係る情報通信端末(スマートフォン)16(200)である。図示したスマートフォン200は、筐体210、画像表示部(ディスプレイ部)220、ボタン(メインボタン)230を備えている。筐体210の側面には、スイッチボタン211が設けられている。ディスプレイ部220は、タッチパネル式のディスプレイ(液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイ)である。
スマートフォン200は、特定のプログラム(アプリケーション)を動作させることができ、そのアプリケーション(「アプリ」と称する場合あり)の260が、ディスプレイ部220に表示されている。ディスプレイ部220のアイコン(260等)を触ることで、アプリケーションを動作させることができる。本実施形態における設定温度変更チェック用アプリケーション(スマートフォン用アプリケーションプログラム)は、インターネット回線を通じてダウンロードされてスマートフォン200に導入されており、そして、本実施形態のアプリケーションアイコン250となって表示されている。アプリケーションアイコン250を押すと、設定温度変更チェックのアプリケーションが立ち上がり、そこで、設定温度変更チェック(および/または、リアルタイム又は所定時刻のデマンド値のチェック)を行うことができる。当該アプリケーションの構成によっては、遠隔操作で、店舗50の空調機器装置20の設定温度を変更できるようにしても構わない。そのような遠隔操作機能を導入しておけば、チェック者(管理者)が遠方にいる場合で、空調温度の設定変更に時間がかかるときでも、最大デマンド値が上がってしまうこと(電気料金が上がってしまうこと)を防止または抑制することができる。なお、同様の処理は、管理会社10内の管理サーバ15で実行できるようにしてもよい。
本実施形態の省エネルギーシステム100では、主に、インバータ周波数調整システム30の制御回路盤(35)および換気量調整システム70の制御回路盤で、演算処理動作および/または制御動作を実行する例を説明したが、それに限らず、それらの演算処理動作および/または制御動作をプログラム的に(ソフトウエア的に)実行することも可能である。
一例を挙げると、空調機器および換気機器の両方を制御する電力管理装置100において、換気比率およびインバータ周波数調整を協働して制御するシステム協働制御装置が、ソフトウエア的に構築されている場合は、図19に示して構築することができる。図19に示したシステム協働制御装置150は、データを演算する中央演算装置160および記憶装置170から構成されている。このシステム協働制御装置150は、ホールコンピュータ装置55における中央演算装置(160)および記憶装置(170)を使用してもよいし、汎用のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ装置、サーバ装置、タブレットコンピュータ装置(またはスマートフォン装置))における中央演算装置(160)および記憶装置(170)を使用してもよい。
システム協働制御装置150は、配線(有線または無線)105に接続される入力部151と、配線(有線または無線)107に接続される出力部152とを備えている。入力部151と出力部152と共通したものであっても構わない。また、配線105、配線107も共通したものであっても構わないし、配線105、配線107が共に無線(例えば、WiFi、無線LAN、携帯電話用電波など)であっても構わない。システム協働制御装置150の記憶装置170には、電力管理プログラム(または、空調電気代節約プログラム、省エネルギー化プログラム)180が格納されている。この電力管理プログラム180は、配線105を通じてダウンロード可能な構成にしてもよい(または、図1のサーバ装置15からインターネット90を介してダウンロード可能なものにしてもよい)。
本実施形態の構成において、システム協働制御装置150の電力管理プログラム180を起動させると、中央演算装置160および記憶装置170が協働して動作することで、システム協働制御装置150において以下の機能が実現される:(4a)店舗混雑レベルデータを読み取る機能(161);(4b)店舗混雑レベルデータから換気比率を算出する機能(162);(4c)店舗混雑レベルデータおよび換気比率の少なくとも一方から、インバータモータ24の制御周波数を算出する機能(163);(4d)換気比率、および、インバータモータ24制御周波数の少なくとも一方を送信する機能(164)。
なお、電力管理プログラム180は、記憶装置170に格納されている場合に限らず、他の場所の記憶装置(例えば、インターネット上のクラウドメモリ)に格納された状態で、そこでプログラムを起動させて、システム協働制御装置150の機能(161〜164)を実現させるようにしても構わない。
そして、システム協働制御装置150の機能(161から164)の処理実行およびデータ記憶のために、記憶装置170には以下のデータ情報が格納される:(5a)店舗混雑レベルデータ(171)(5b)換気比率データ(172)(5c)インバータモータ24の制御周波数データ(173)(5d)空調設定データ(空調設定温度、空調設定時間、デマンド値情報、店舗ゾーン情報、個別の空調室内機情報、個別の空調室外機情報、個別の換気扇情報など)(174)。
なお、本実施形態では、システム協働制御装置150の記憶装置170に当該データ(171〜174)を格納したが、他の場所の記憶装置(例えば、インターネット上のクラウドメモリ)に格納しても構わない。
システム協働制御装置150で実現された機能(161〜164)で生成された換気比率、および、インバータモータ24の制御周波数を含むデータは、出力部152を通じて送信される。そして、換気量調整システム70は換気比率のデータを受信し、次いで、その換気比率による制御を実行することができる。一方、インバータ周波数調整システム30は、インバータモータ24の制御周波数を受信し、次いで、その制御周波数による制御を行うことができる。
この演算処理動作および/または制御動作をプログラム的に(ソフトウエア的に)実行することは、上記で説明した換気量調整システム70、および/または、インバータ周波数調整システム30でも行うことができる。
例えば、換気量調整システム70において、図19に示したような中央演算装置160および記憶装置170が含まれており、換気量調整プログラム(180)を起動させることで、中央演算装置160および記憶装置170が協働して動作することで、換気量調整システム70の機能を実現することができる。そのような機能は、例えば、(1a)ホールコンピュータ装置55から稼働率データを読み込む機能と;(1b)その稼働率データから換気比率を算出する機能と;(1c)換気比率に基づいて換気機器装置61を制御する機能と;を含むようなものである。なお、もちろん実際の適用においては、環境条件・設定条件にあわせて様々な改変を行うことができる。そして、それに伴う処理データ・演算結果データを記憶装置170に格納することができる。
そして、インバータ周波数調整システム30において、図19に示したような中央演算装置160および記憶装置170が含まれており、インバータ周波数調整プログラム(180)を起動させることで、中央演算装置160および記憶装置170が協働して動作することで、インバータ周波数調整システム30の機能を実現することができる。そのような機能は、例えば、(2a)換気量調整システム70から換気比率を読み込む機能と;(2b)読み込んだ換気比率から、空調機器装置20におけるインバータモータ24の制御周波数を算出する機能と;(2c)算出された制御周波数に基づいてインバータモータ24を制御する機能と;を含むようなものである。なお、もちろん実際の適用においては、環境条件・設定条件にあわせて様々な改変を行うことができる。そして、それに伴う処理データ・演算結果データを記憶装置170に格納することができる。
加えて、図17に示した省エネルギーシステム100において、電力管理プログラム(180)が、(6a)動作時の空調温度設定値と入力した空調設定温度とを対比する機能;(6b)対比した判定データを送信する機能;を実現するような構成を有していてもよい。このような機能は、店舗50内のコンピュータ装置など(例えば、55、39)で実現することができる。
次に、図20は、図17に示した構成を有する省エネルギーシステム(電力管理装置)100の使用方法(動作方法)の一例を示すフローチャートである。
まず、店舗50における店舗混雑レベルを設定する(ステップS300)。図16に示したようなホールコンピュータ装置55(または、システム協働制御装置が実現されているコンピュータ装置)では、稼働率を店舗混雑レベルに設定する。なお、店舗混雑レベルは、稼働率の値をそのまま使用する場合の他、禁煙、喫煙などの要素によって調整した値を使用するように設定してもよい。
次に、店舗混雑レベルの入力を行う(ステップS310)。図17に示した例では、稼働率(店舗混雑レベル)は、40%、70%、30、60%となっており、この値を入力する。店舗混雑レベルの入力は、コンピュータ装置(55)による自動入力でも、人による入力でも構わない。なお、店舗混雑レベルは、リアルタイムの数値・データを使用することが好ましいが、平均値、予測値のものを入力することもできる。
次に、システム協働制御装置55(150)によって、店舗混雑レベルから換気比率を算出する(ステップS320)。この換気比率の算出は、上述したように、換気量調整システム70で実行する構成もある。そして、システム協働制御装置55(150)によって、インバータモータ24の制御周波数を算出する(ステップS330)。この制御周波数の算出は、上述したように、インバータ周波数調整システム30で実行する構成もある。
その後、算出された制御周波数に基づいて、インバータ周波数調整システム30によってインバータモータ24の制御を行う(ステップS340)。一方、算出された換気比率に基づいて、換気量調整システム70によって換気機器装置61(換気扇62)の制御を行う。ここで、インバータモータ24の制御は、店舗混雑レベル(または換気比率)に基づいた省エネルギーのものであり、かつ、図11に示したように、最大デマンド値が大きくならないように、フル稼働でインバータモータ24を回すよりも、少しゆっくりインバータモータ24を回すような制御を行うものである。
続いて、各種システムデータを送信する工程を行う(ステップS360)。ここでのシステムデータは、例えば、マニュアルの(または設定初期値の)空調設定温度、動作時の空調設定温度、設定初期値と動作時の空調設定温度の間の一致・不一致の判定データ、リアルタイムデマンド値、店舗内温度、室温などの情報である。本実施形態の構成では、当該システムデータは、信号発信装置39によって常時インターネット90へ送信されている。なお、ホールコンピュータ装置55からインターネット90にシステムデータを送信するような構成にしてもよい。
ステップS360で送信されたデータは、インターネット90を経由して、情報端末16(例えば、スマートフォン200)で見ることができる。同様に、管理会社10の装置(例えば、サーバ装置15)で確認することもできる。システムデータを見ることによって、動作時の空調設定温度の異常、デマンド値の異常(予想外の数値)が発生した場合には、すぐにそれに対処することが可能となる。このようなエラー防止(特に、運用ミス、ヒューマンエラー)によっても、省エネ効果(電気代抑制の顕著な効果)の確保が保証される。
次に、図21は、本実施形態の省エネルギーシステム(電力管理装置)100の他の使用方法(動作方法)の一例を示すフローチャートである。図21に示した方法では、電気代抑制の最も重要なデマンド値、そして、空調設定温度の勝手な変更の防止に注目したフローチャートである。
まず、店舗50における空調温度設定を行う(ステップS400)。ここでの空調温度設定は、本実施形態の手法によって電気代が削減できることを見越して、より快適な空調設定温度にしてもよいし、電気代の削減を最大限にするために少し快適性を落とした対応での空調温度設定にしてもよい。また、複数の空調機器装置20が店舗50に設置されているときは、空調機器装置20ごとに個別に空調温度設定をしてもよい。
次に、インバータモータ24の制御回転数の算出を行う(ステップS410)。ここで、算出される制御回転数は、図11に示したように、最大デマンド値が大きくならないように、フル稼働でインバータモータ24を回すよりも、少しゆっくりインバータモータ24を回すような数値を算出する。これにより、最大デマンド値が大きくなりすぎてしまうことを抑制することができる。なお、算出する制御回転数は、固定値に限らず、時刻(または店内温度)に依存して可変するような数値であってもよい。
次に、算出した制御回転数に基づいて、インバータモータ24を制御する(ステップS420)。ここで、本実施形態の構成では、最大デマンド値が大きくならないようなインバータモータ24の制御を行っているので、契約電力が跳ね上がってしまうことを防止することができる。
そして、インバータモータ24の制御(動作実行)とともに、空調機器装置のデマンド値の測定(または、店舗50の全体のデマンド値の測定)を行う(ステップS430)。リアルタイム(実際の連続的なリアルタイムの他、1分毎、10分毎、15分毎、30分毎などの間隔を置いたリアルタイム)で、インバータモータ24または店舗50のデマンド値を測定することにより、最大デマンド値が大きくなってしまうことを抑制することができる。
また、デマンド値の測定とともに、空調温度設定値の取得を行う(ステップS440)。ここで、空調温度設定値の取得を行うのは、店舗50のスタッフが勝手に空調温度の設定値を変更してしまうことがあるからである。空調温度の設定値を変えられてしまうと、それに伴ったインバータモータ24の制御になるため、最大デマンド値が大きくなってしまう可能性を排除することができない。そのようなことがないように空調温度設定値の取得を適宜(または常時)行って、想定通りの空調スケジュールおよび電気代削減を達成するようにする。
次に、ステップS440で取得した空調温度設定値を、無線によってデータ送信する(ステップS450)。本実施形態の構成では、インターネット90へ情報を発信する信号発信装置39によってデータ送信を行う。なお、有線によるデータ送信も可能であるが、その場合、その情報(空調温度設定値)を持っているコンピュータ装置の電源オフ、インターネットへの接続不要などの故障によって、空調温度設定値のデータがアップされない可能性がある。ここでのデータ送信は主に空調温度設定値に基づくものであるのでデータ量も少ないことから、無線にて常時インターネット90に送信していても通信料も安い。したがって、常時の無線送信にしても負担が少なく、常時監視のメリットの方が大きい。
そして、ステップS460で送信されたデータをスマートフォン16(200)で受信して、スマートフォン16で表示させる(ステップS460)。リアルタイムで空調温度設定値のデータ(または、設定時と動作時の空調温度設定との不一致データ(または、判別データ)を表示させることによって、ヒューマンエラーによって最大デマンド値が大きくなってしまうことを防止することができ、その結果、想定通りの電気代削減を達成することができる。
なお、インバータモータ24を含む空調機器装置20の製品レベルの具体的な詳細な構造・動作、換気扇62を含む換気扇62の製品レベルの具体的な詳細な構造・動作、制御回路・サーバ装置またはインターネット技術におけるデータ送受信プログラム、入出力装置とのインターフェイスプログラム、エラーメッセージプログラムなどについては、本発明の実施形態の主要項目ではないので、技術内容の理解を簡明する目的で省略する。それらの技術については、空調・換気技術分野、制御回路技術分野または情報通信技術分野の技術常識に基づいて構成、実装/運用(実施)することができる。また、情報通信端末(例えば、スマートフォン)におけるデータ処理プログラム、データ送受信プログラム、通話・通信技術、インターネット関連技術、アプリケーション動作技術も同様に、技術内容の理解を簡明する目的で省略する。それらの技術については、情報通信端末(スマートフォン)の技術分野の技術常識に基づいて実装/運用(実施)することができる。また、上記で説明した機能は、主に、一方側の装置から見た機能名称であり、すなわち、「送信」と「受信」は対の用語であるので、他方の装置から見た機能では、用語の名称は変わる点を付言する。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。特に、上述の実施形態では、店舗50としてパチンコ店を主に説明してきたが、それ以外の店舗(カーディーラー、本屋、喫茶店、レストラン、カジノ店舗、レンタルビデオ、ドラッグストア)にも好適に適用できるものである。その場合のホールコンピュータ装置55は、その店舗に適したソフト・システムが導入されているものになる。加えて、本実施形態の省エネシステム(電力管理システム)100は、例えば、有効な特徴を複数含んでおり、それぞれ単独でも十分な技術的効果を奏するものが含まれており、そのような単独の特徴の積極利用も技術的価値が高いものである。そして、上述した特徴は、互いに矛盾しないかぎりにおいて、相互に適用可能であり、さらに、システム・装置上の特徴をプロセス(または、プログラム)の特徴に組み合わせることも可能あるし、逆に、プロセス(または、プログラム)上の特徴をシステム・装置に組み合わせること可能である。加えて、本実施形態のシステム100全体を説明してきたが、本実施形態に係るプログラム180単体(または、スマートフォン200に導入するアプリ250)を、具体的には、プログラム自体、または、プログラムを格納した記録媒体、ダウンロード可能なプログラム製品を知的財産として商品化することも可能である。
本実施形態の改変例の一つとして、図22に示したような構成をあげることができる。図22に示した省エネルギーシステム100は、基本的に図1に示したものと同じであるが、店舗50の電力メータ(電力計)81がインバータ周波数調整システム30に接続された構成を有している。この例では、電力メータ81は、配線83を介して周波数調整システム30に接続されている。配線83は、電話回線、有線(LAN回線)などであるが、無線回線であっても構わない。電力メータ51をインバータ周波数調整システム30に接続することで、目標の契約電力に近づいた時に、インバータ周波数調整システム30によってインバータモータ24の回転数(インバータ周波数)を制御して、契約電力が上がってしまわないようにする機能を付加することができる。この制御(すなわち、契約電力が上がらないようにする機能を実行する制御)は、遠隔地のモニタリング装置15(または、図17の情報端末16)で電力計の消費電力を見ながら手動または自動で行うことも可能である。
また、図22に示した省エネルギーシステム100には、エアコン温度設定用の温度計(または、室内機60に組み込まれている温度センサ)とは別に、店舗50内の空気の温度を計測する温度計(温度センサ)89が設けられている。この温度計81は、本実施形態の省エネルギーシステム100に有線(または無線)で接続され、室内機60(または空調機器装置20)の温度センサで検知する温度ではなく(または、それと併用して)、実際の店舗内の空気の温度にあわせて、より適切な空調を実行することができる。温度計81は、一つに限らず、複数配置することができ、例えば、図7に示した各領域(50a〜50f)に設けることができる。店舗50内の客またはスタッフは、空調機器装置20の温度センサが検知した温度ではなく、実際の店舗内の空気の温度で熱さ・寒さを感じるので、このような実際の空気の温度を検知する温度センサ89の情報を省エネルギーシステム100に取り入れることはより快適な空調の制御に繋がる。
なお、省エネルギーシステム100を利用するユーザ(例えば、店舗50のスタッフ、または、管理会社のスタッフ)が行う設定(ユーザ設定)としては、空調機器装置20の室内温度の設定、および、インバータモータ24の周波数の上限値の設定がある。空調機器装置20の室内温度の設定は、通常は、室内機60のリモコン(エアコンのリモコン)で行うが、本実施形態の省エネルギーシステム100で設定できるようにしてもよい。また、室内機60のリモコンの設定温度を、省エネルギーシステム100(またはインバータ周波数調整システム30)に取り込む機能を設けてもよい。インバータモータ24の周波数の上限値の設定は、インバータモータ24の回転しすぎを防止して節電する重要な設定の一つである。この上限値の設定が例えば70%にしていたのにも拘わらず、ユーザ(例えば、店舗50のスタッフ)が勝手に100%に設定を変えてしまうと、契約電力があがってしまう。このようなことがないように、図17に示した信号発信装置39によって、インバータ24の周波数の上限値の情報(またはその設定が変更されたことの信号)を送信することができ、契約電力があがってしまうことを防止することができる。この機能は、信号発信装置39による通信の他、省エネルギーシステム100におけるホールコンピュータ装置(システム協働制御装置)55からインターネット90への送信によって実行可能である。加えて、図21に示したフローチャートでは、空調温度設定値の取得をメインにして説明したが、空調温度設定値に代えて、インバータモータ24の周波数上限値の取得をメインに(あるいは、空調温度設定値とインバータモータ24の周波数上限値との両方で)フローチャートを実行するようにしてもよい。以上例示的に説明したが、このような改変を実行することができる。