JP2018108792A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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敏幸 中野
Toshiyuki Nakano
敏幸 中野
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Abstract

【課題】旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成された空気入りタイヤ2の提供。【解決手段】このタイヤ2のトレッド4は、軟質な第一キャップ層42と硬質な第二キャップ層44とを備える。軸方向において、第一キャップ層42はトレッド4の第一端側に位置し、第二キャップ層44はこのトレッド4の第二端側に位置する。第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46は、このタイヤ2の赤道面と第二端との間に位置し、外面22から内向きに延在する。界面46は軸方向に対して傾斜しており、外側端PSにおけるこの界面46の傾斜角度は内側端PUにおけるこの界面46の傾斜角度よりも小さい。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、四輪自動車用の空気入りタイヤに関する。
軟質な架橋ゴムと硬質な架橋ゴムとを併用してトレッドを構成し、タイヤの性能向上を図ることがある。この軟質な架橋ゴムと硬質な架橋ゴムとの併用に関する検討例が、例えば、特開2016−60375公報に開示されている。
特開2016−60375公報
路面への追従性及び路面との密着性を考慮し、タイヤのトレッドに軟質な架橋ゴムを用いて、旋回性能の向上を図ることがある。トレッド全体を軟質な架橋ゴムで構成すると、「旋回の開始の時点においてタイヤの応答に遅れが生じる」、「濡れた路面の走行においてはタイヤと路面との間にある水をトレッドが十分に排除できない」等の弊害が生じる恐れがある。単一のゴムでトレッドを構成して性能の改善を図るには、限界がある。
性能のさらなる改善のために、剛性が異なる2種類の架橋ゴムでトレッドを構成した場合、軟質な架橋ゴムで構成された部分と硬質な架橋ゴムで構成された部分との境界(界面)には、剛性差に起因して歪みが集中する傾向にある。特に、サーキットでのスポーツ走行においては、大きな荷重がタイヤに作用するため、この界面に歪みが集中し、場合によっては剥離が生じる恐れがある。
軸方向(又は半径方向)に対して傾斜するように前述の界面を形成すれば、歪みの集中はある程度抑えられる。トレッドは走行により摩耗していくので、この場合、この摩耗により、接地面に含まれるそれぞれのゴムの割合が変化していく。この変化は、タイヤの性能に影響する。
剛性が異なる2種類の架橋ゴムでトレッドを構成し、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上を達成するには、界面での剥離を防止しつつ、摩耗の進行による性能の変化を抑えることができる技術の確立が不可欠である。
本発明の目的は、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、外面において路面と接するトレッドを備えている。上記トレッドは、軸方向に並列された第一キャップ層と第二キャップ層とを備えている。上記第一キャップ層は、上記第二キャップ層よりも軟質である。軸方向において、上記第一キャップ層は上記トレッドの第一端側に位置し、上記第二キャップ層はこのトレッドの第二端側に位置している。上記第一キャップ層と上記第二キャップ層との界面は、このタイヤの赤道面と上記第二端との間に位置しており、上記外面から内向きに延在している。軸方向において、上記界面の外側端はこの界面の内側端よりも外側に位置している。上記界面は軸方向に対して傾斜しており、上記外側端におけるこの界面の傾斜角度は上記内側端におけるこの界面の傾斜角度よりも小さい。上記外側端における上記界面の上記傾斜角度は30°以上70以下である。上記内側端における上記界面の上記傾斜角度は60°以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記外側端と上記内側端との間において、上記界面の上記傾斜角度は、上記赤道面側の傾斜角度が上記第二端側の傾斜角度と同じか、この第二端側の傾斜角度よりも大きくなるように推移する。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記内側端における上記界面の上記傾斜角度は80°以上90°以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第二キャップ層の硬さと上記第一キャップ層の硬さとの差は5以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第二キャップ層の硬さは65以上70以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記赤道面と上記第二端との間に上記トレッドは周方向に延在する溝を備えている。上記溝は、上記第二キャップ層に刻まれている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記外側端は上記溝と上記赤道面との間に位置している。上記トレッドの軸方向幅に対する上記溝の赤道面側の縁から上記外側端までの軸方向距離の比は、3%以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤは、四輪自動車用であり、上記トレッドの第一端がこの四輪自動車の外側に位置するようにこの四輪自動車に装着される。
本発明に係る空気入りタイヤでは、第一キャップ層と第二キャップ層との界面は軸方向に対して傾斜している。言い換えれば、半径方向において、第一キャップ層と第二キャップ層とは重複している。このタイヤでは、この重複部分においては、第一キャップ層が第二キャップ層の外側に位置している。
このタイヤでは、界面の外側端におけるこの界面の傾斜角度は小さい。このため、この界面の外側端の部分では、第一キャップ層と第二キャップ層との接触面積が十分に確保されるとともに、剛性の変化が小さく抑えられる。このタイヤでは、第一キャップ層と第二キャップ層との重複部分における摩耗及び剥離が効果的に防止される。これに対して、界面の内側端におけるこの界面の傾斜角度は大きい。このため、この界面の内側端の部分では、トレッドにおける第一キャップ層と第二キャップ層との構成比の変化が小さい。このタイヤでは、トレッドが摩耗しても、接地面に含まれる第一キャップ層(又は第二キャップ層)の割合が適切に維持される。このタイヤでは、トレッドの摩耗の進行による性能の変化は小さい。つまり、このタイヤでは、界面での剥離が防止されるとともに、トレッドの摩耗の進行による性能の変化が抑えられる。
このタイヤでは、トレッドの第一端側に軟質な第一キャップ層が設けられ、その第二端側に硬質な第二キャップ層が設けられる。この第一キャップ層と第二キャップ層との界面は、タイヤの赤道面とトレッドの第二端との間に位置している。このため、トレッドの第一端が四輪自動車の外側に位置するように、このタイヤをこの四輪自動車に装着することによって、界面による性能への影響を効果的に排除しつつ、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成される。本発明によれば、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成された空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2の断面の一部が示されている。詳細には、この図1には、このタイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面の一部が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。
本発明では、特に言及がない限り、タイヤ2及びタイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。このタイヤ2が乗用車用である場合、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
本明細書において正規荷重とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、インナーライナー18及び一対のチェーファー20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、四輪自動車に装着される。言い換えれば、このタイヤ2は四輪自動車用である。この四輪自動車としては、例えば、サーキットでのスポーツ走行のための車輌及び乗用車が挙げられる。
トレッド4は、架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。このタイヤ2は、このトレッド4の外面22において路面と接する。このトレッド4の外面22のうち、路面と接する部分は、トレッド面24とも称される。図1において、符号P1はこのトレッド4の一方の軸方向外側端(以下、第一端)であり、符号P2はその他方の軸方向外側端である。この第一端P1から第二端P2までの軸方向距離(図1において両矢印WTで示される長さ)がトレッド4の幅である。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端26の部分から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、半径方向においてトレッド4とクリンチ8との間に位置している。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、軸方向において、ビード10及びカーカス12よりも外側に位置している。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。図示されていないが、クリンチ8はリムのフランジと当接する。
それぞれのビード10は、クリンチ8の軸方向内側に位置している。ビード10は、コア28と、このコア28から半径方向外向きに延びるエイペックス30とを備えている。コア28はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス30は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス30は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス12は、カーカスプライ32を備えている。このタイヤ2では、カーカス12は1枚のカーカスプライ32からなる。このカーカス12が2枚以上のカーカスプライ32で構成されてもよい。
カーカスプライ32は、両側のビード10の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ32は、それぞれのコア28の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。図示されていないが、カーカスプライ32は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト14は、カーカス12と積層されている。ベルト14は、内側層34及び外側層36からなる。ベルト14が、3以上の層を備えてもよい。図示されていないが、内側層34及び外側層36のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。通常、内側層34のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層36のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト14の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。
バンド16は、ベルト14の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド16の幅はベルト14の幅よりも大きい。図示されていないが、このバンド16は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド16は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。このコードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー18は、カーカス12の内側に位置している。インナーライナー18は、カーカス12の内面に接合されている。インナーライナー18は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー20は、ビード10の近傍に位置している。図示されていないが、タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー20がリムと当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。このチェーファー20は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。
このタイヤ2では、トレッド4の半径方向内側には、ベース層38が設けられている。このタイヤ2は、ベース層38をさらに備えている。このベース層38はバンド16を覆う。このベース層38に、トレッド4は積層されている。ベース層38は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。本発明では、ベース層38は必要に応じて設けられる。ベース層38が設けられない場合は、トレッド4が直接バンド16を覆うようにこのタイヤ2は構成される。
このタイヤ2では、トレッド4及びベース層38からなる部分とサイドウォール6との間には、ウィング40が設けられている。このタイヤ2は、一対のウィング40をさらに備えている。それぞれのウィング40は、トレッド4及びベース層38からなる部分とサイドウォール6とを接合する。このウィング40は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。なお、このタイヤ2では、ウィング40を設けることなく、トレッド4及びベース層38からなる部分とサイドウォール6とが直接接合されてもよい。
このタイヤ2では、トレッド4は第一キャップ層42及び第二キャップ層44を備えている。このタイヤ2のトレッド4は、第一キャップ層42及び第二キャップ層44、すなわち2つの部材で構成されている。
このタイヤ2では、第一キャップ層42は第二キャップ層44よりも軟質である。言い換えれば、第二キャップ層44は第一キャップ層42よりも硬質である。
このタイヤ2では、第一キャップ層42及び第二キャップ層44のそれぞれは、架橋したゴム組成物(ゴム組成物の架橋体)である。詳述しないが、第一キャップ層42の硬さは、この第一キャップ層42のためのゴム組成物の組成を調製することによりコントロールされている。第二キャップ層44の硬さは、この第二キャップ層44のためのゴム組成物の組成を調製することによりコントロールされている。この組成の調製方法に特に制限はなく、トレッド4の硬さのコントロールのために用いられる一般的な方法によってこの組成は調製される。
このタイヤ2では、第一キャップ層42及び第二キャップ層44は軸方向に並列されている。軸方向において、第一キャップ層42はトレッド4の第一端P1の側に位置し、第二キャップ層44はこのトレッド4の第二端P2の側に位置している。
このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44とは、それぞれの端面において接合されている。このタイヤ2のトレッド4は、第一キャップ層42と第二キャップ層44との境界、すなわち、界面46を含んでいる。この界面46は、トレッド4の外面22から内向きに延在している。
このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46は、軸方向において、赤道面とトレッド4の第二端P2との間に位置している。第一キャップ層42は赤道面と交差しているが、第二キャップ層44は赤道面とは交差していない。
図2には、トレッド4の一部が示されている。この図2には、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46の部分が示されている。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図2において、符号PSは界面46の半径方向外側端(以下、外側端PS)である。符号PUは、この界面46の半径方向内側端(以下、内側端PU)である。このタイヤ2では、外側端PSはトレッド4の外面22に位置している。内側端PUは、このトレッド4の内面48に位置している。
このタイヤ2では、界面46の外側端PSは、軸方向において、この界面46の内側端PUよりも外側に位置している。界面46は、軸方向において、外側端PSと内側端PUとの間に位置している。この界面46は、軸方向に対して傾斜している。言い換えれば、このタイヤ2では、外側端PSと内側端PUとの間において、第一キャップ層42と第二キャップ層44とは、半径方向に重複している。この重複部分において、第一キャップ層42は第二キャップ層44の半径方向外側に位置している。
図2において、実線LSは外側端PSにおける界面46の接線である。角度θsは、この接線LSが軸方向に対してなす角度である。この角度θsは、外側端PSにおける界面46の傾斜角度である。実線LUは、内側端PUにおける界面46の接線である。角度θuは、この接線LUが軸方向に対してなす角度である。この角度θuは、内側端PUにおける界面46の傾斜角度である。
このタイヤ2では、外側端PSにおける界面46の傾斜角度θsは内側端PUにおけるこの界面46の傾斜角度θuよりも小さい。言い換えれば、外側端PSにおける界面46の傾斜角度θsは小さい。特に、この傾斜角度θsは30°以上70°以下である。このため、このタイヤ2では、界面46の外側端PSの部分において、第一キャップ層42と第二キャップ層44との接触面積が十分に確保されるとともに、剛性の変化が小さく抑えられる。このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分における摩耗及び剥離が効果的に防止される。この観点から、この傾斜角度θsは40°以上が好ましく、60°以下が好ましい。
このタイヤ2では、内側端PUにおけるこの界面46の傾斜角度θuは外側端PSにおける界面46の傾斜角度θsよりも大きい。言い換えれば、内側端PUにおける界面46の傾斜角度θuは大きい。特に、この傾斜角度θuは60°以上である。このため、このタイヤ2では、界面46の内側端PUの部分において、トレッド4における第一キャップ層42と第二キャップ層44との構成比の変化は小さい。このタイヤ2では、トレッド4が摩耗しても、接地面に含まれる第一キャップ層42(又は第二キャップ層44)の割合が適切に維持される。このタイヤ2では、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化は小さい。この観点から、この傾斜角度θuは80°以上が好ましい。前述したように、このタイヤ2では、界面46は軸方向において外側端PSと内側端PUとの間に位置し、軸方向に対して傾斜している。このため、この傾斜角度θuの上限は90°である。このタイヤ2では、この傾斜角度θuは80°以上が好ましく、90°以下が好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分における摩耗及び剥離が効果的に防止される。そして、このタイヤ2では、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化は小さい。つまり、このタイヤ2では、界面46での剥離が防止されるとともに、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化が抑えられる。
このタイヤ2では、トレッド4の第一端P1の側に軟質な第一キャップ層42が設けられ、その第二端P2の側に硬質な第二キャップ層44が設けられている。この第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46は、タイヤ2の赤道面とトレッド4の第二端P2との間に位置している。このため、トレッド4の第一端P1が四輪自動車の幅方向外側に位置するように、このタイヤ2をこの四輪自動車に装着することによって、軟質な第一キャップ層42が四輪自動車の外側に配置され、硬質な第二キャップ層44がこの四輪自動車の内側に配置される。軟質な第一キャップ層42は旋回性に寄与し、硬質な第二キャップ層44は操縦安定性及び濡れた路面での排水性に寄与する。このタイヤ2では、界面46による性能への影響を効果的に排除しつつ、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成される。この観点から、このタイヤ2は、トレッド4の第一端が四輪自動車の外側に位置するように、この四輪自動車に装着されるのが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明のタイヤ2では、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成される。本発明によれば、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性の向上が達成された空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、前述したように、外側端PSにおける界面46の傾斜角度θsは内側端PUにおけるこの界面46の傾斜角度θuよりも小さい。より詳細には、このタイヤ2では、外側端PSと内側端PUとの間において、界面46の傾斜角度は、赤道面側の傾斜角度が第二端P2の側の傾斜角度と同じか、この第二端P2の側の傾斜角度よりも大きくなるように推移している。このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分において、摩耗及び剥離がより効果的に防止される。そして、このタイヤ2では、トレッド4の摩耗が進行しても、この摩耗の進行による性能の変化はかなり小さい。このタイヤ2では、界面46での剥離が効果的に防止されるとともに、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化が十分に抑えられる。この観点から、このタイヤ2では、外側端PSと内側端PUとの間において、界面46の傾斜角度は、赤道面側の傾斜角度が第二端P2の側の傾斜角度と同じか、この第二端P2の側の傾斜角度よりも大きくなるように推移しているのが好ましい。
図2において、符号PMは界面46上の特定の位置を表している。本発明においては、この位置PMは中継点とも称される。この中継点PMは、軸方向において、外側端PSと内側端PUとの間に位置している。本明細書においては、外側端PSから中継点PMまでのゾーンは表面ゾーンと称される。中継点PMから内側端PUまでのゾーンは、深部ゾーンと称される。
このタイヤ2では、表面ゾーンにおいては、界面46の輪郭は直線で表される。この表面ゾーンでは、界面46の傾斜角度は一定である。この表面ゾーンの界面46は外側端PSを含んでいるので、この表面ゾーンにおける界面46の傾斜角度は外側端PSにおける界面46の傾斜角度θsで表される。
表面ゾーンでは、界面46の傾斜角度は一定の傾斜角度θsで推移する。傾斜角度θsが小さいので、第一キャップ層42と第二キャップ層44との接触面積が十分に確保されるとともに、剛性の変化が小さく抑えられる。このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分における摩耗及び剥離が効果的に防止される。この観点から、このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46は、その傾斜角度が一定に推移する定常部分50を含んでおり、この定常部分50が外側端PSを含んでいるのが好ましい。
このタイヤ2では、深部ゾーンにおいては、中継点PMから内側端PUに向かって傾斜角度が漸増するように界面46は構成される。この深部ゾーンの界面46は内側端PUを含むので、この深部ゾーンにおける界面46の傾斜角度の最大値はこの内側端PUにおける界面46の傾斜角度θuで表される。この深部ゾーンの界面46は、中継点PMを含んでいる。この中継点PMは、前述の表面ゾーンにも含まれている。この深部ゾーンにおける界面46の傾斜角度の最小値は、傾斜角度θsで表される。
前述したように、深部ゾーンにおいては、中継点PMから内側端PUに向かって界面46の傾斜角度は漸増していく。このため、この深部ゾーンでは、トレッド4における第一キャップ層42と第二キャップ層44との構成比の変化は小さく抑えられる。このタイヤ2では、トレッド4が摩耗し、このトレッド4の外面22がこの深部ゾーンに到達すると、接地面に含まれる第一キャップ層42(又は第二キャップ層44)の割合が適切に維持される。この深部ゾーンでは、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化は小さく抑えられる。この観点から、このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46は、前述の定常部分50に続いて、傾斜角度が漸増していく漸増部分52を含んでいるのが好ましい。界面46の輪郭による剛性への影響が効果的に抑えられるとの観点から、この漸増部分52の輪郭は円弧で表されるのがより好ましい。この場合、この漸増部分52の輪郭を表す円弧は定常部分50の輪郭を表す直線と中継点PMにおいて接しているのが好ましい。なお、このタイヤ2では、漸増部分52が内側端PUを含んでいてもよく、漸増部分52と内側端PUとの間に、円弧及び/又は直線で輪郭が表された接続部分がさらに設けられてもよい。
図2において、両矢印HAは内側端PUから外側端PSまでの半径方向距離である。この距離HAは、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分の厚さである。両矢印HSは、中継点PMから外側端PSまでの半径方向距離である。
このタイヤ2では、重複部分の厚さHAに対する距離HSの比は20%以上が好ましく、65%以下が好ましい。この比が20%以上に設定されることにより、第一キャップ層42と第二キャップ層44との接触面積が十分に確保されるとともに、剛性の変化が小さく抑えられる。このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との重複部分における摩耗及び剥離が効果的に防止される。この観点から、この比は30%以上がより好ましい。この比が65%以下に設定されることにより、第一キャップ層42と第二キャップ層44との構成比の変化が小さく抑えられるので、トレッド4の摩耗の進行による性能の変化が適切に維持される。この観点から、この比は60%以下がより好ましい。
濡れた路面を走行している車輌では、タイヤ2と路面との間には水が存在している。この水の存在は、タイヤ2の性能に影響する。
図1に示されているように、このタイヤ2では、トレッド4は溝54を備えている。この溝54は、周方向に連続して延在している。この溝54は、赤道面と第二端P2との間に位置している。図1及び2に示されているように、この溝54は第二キャップ層44に刻まれている。この溝54は、タイヤ2と路面との間に存在する水の排出に寄与する。特に、このタイヤ2では、第二キャップ層44が硬質であるから、硬質な第二キャップ層44とこの第二キャップ層44に刻まれた溝54とが相まって、タイヤ2と路面との間に存在する水が効果的に排出される。このタイヤ2では、水の排出が効果的に促されるので、このタイヤ2は路面と十分に接触する。このタイヤ2は、濡れた路面においても、十分な性能を発揮する。タイヤ2における排水性を向上させ、濡れた路面においてもタイヤ2が性能を十分に発揮できるとの観点から、このタイヤ2では、赤道面と上記第二端P2との間にトレッド4が周方向に延在する溝54を備えており、この溝54が第二キャップ層44に刻まれているのが好ましい。この溝54が排水性に効果的に寄与するとの観点から、このタイヤ2において、赤道面と上記第二端P2との間にトレッド4が周方向に延在する溝54を備え、この溝54が第二キャップ層44に刻まれており、このトレッド4の第一端P1が四輪自動車の外側に位置するように、このタイヤ2がこの四輪自動車に装着されるのがより好ましい。
図2において、符号GEは赤道面側に位置する、溝54の縁を表している。両矢印WEは、赤道面から溝54の縁GEまでの軸方向距離である。この距離WEは、赤道面に対する溝54の軸方向位置を表している。
このタイヤ2では、赤道面から第二端P2までの軸方向距離、すなわち、前述のトレッド4の幅WTの半分の長さに対する、距離WEの比は、15%以上が好ましく、30%以下が好ましい。これにより、溝54によるタイヤ2の性能への影響が効果的に抑えられる。このタイヤ2は、濡れた路面においても、乾いた路面においても、十分な性能を発揮する。
このタイヤ2では、トレッド4に設けられる周方向に延在する溝は、前述の溝54に限られない。このトレッド4には、この溝54に加えて、他の溝がさらに設けられてもよい。この場合、この他の溝は、赤道面から溝54の縁GEまでのゾーン以外の部分に、タイヤ2の仕様に応じて適宜設けられる。このトレッド4が第一キャップ層42に刻まれた他の溝を備えてもよいし、第二キャップ層44に、前述の溝54に加えてさらに他の溝が刻まれてもよい。
図2において、符号G2は第二端P2の側に位置する、溝54の縁である。両矢印WGは、溝54の幅である。この幅WGは、この溝54の一方の縁GEからその他方の縁G2までの長さにより表される。両矢印DGは、この溝54の深さである。この深さDGは、縁GEと縁G2とを結ぶ線分からこの溝54の底までの長さにより表される。
このタイヤ2では、排水性の観点から、溝54の幅WGはトレッド面24の幅の3.5%以上が好ましい。溝54による剛性への影響が抑えられるとの観点から、この溝54の幅WGは、このトレッド面24の幅の10.0%以下が好ましい。なお、本発明においては、トレッド面24の幅は、接地面の軸方向最大幅によって表される。この接地面の軸方向最大幅は、正規状態のタイヤ2に正規荷重を負荷して、キャンバー角を0°に設定してこのタイヤ2を平面(図示されず)に接触させることで得られる。また、この正規状態のタイヤ2とは、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填され、荷重がかけられていない状態にあるタイヤ2のことである。
このタイヤ2では、排水性の観点から、溝54の深さDGは5.0mm以上が好ましい。溝54による剛性への影響が抑えられるとの観点から、この溝54の深さDGは、12.0mm以下が好ましい。
第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46の外側端PSは、第一キャップ層42の端でもある。前述の溝54は硬質な第二キャップ層44に設けられているとはいえ、走行状態において、この溝54の部分はこの溝54のない部分に比して変形しやすい。第一キャップ層42は軟質であるから、この外側端PSが溝54に近づきすぎると、この溝54の部分の剛性が不足し、この溝54が排水に十分に貢献できない恐れがある。変形の程度が大きくなるため、界面46において剥離が生じる恐れもある。
このタイヤ2では、界面46の外側端PSは赤道面と溝54との間に位置している。この外側端PSは、軸方向において、溝54の縁GEから離間して配置されている。このため、このタイヤ2では、溝54の部分は十分な剛性を有している。このタイヤ2では、溝54が排水に十分に貢献するとともに、界面46での剥離が効果的に防止される。この観点から、このタイヤ2では、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46の外側端PSは、溝54と赤道面との間に位置しているのが好ましい。
図2において、両矢印BEは、溝54の赤道面側の縁GEから界面46の外側端PSまでの軸方向距離を表している。
このタイヤ2では、トレッド4の幅WTに対する距離BEの比は3%以上が好ましい。この比が3%以上に設定されることにより、外側端PSが、軸方向において、溝54の縁GEから適切な間隔をあけて配置される。このタイヤ2では、溝54の部分において、剛性が十分に確保される。このタイヤ2では、溝54が排水に十分に貢献するとともに、界面46での剥離が効果的に防止される。この観点から、この比は4%以上がより好ましい。なお、外側端PSが溝54の縁GEから離れれば離れるほど、この外側端PSの位置による、溝54の部分の剛性への影響は小さい。このため、トレッド4の第一端P1と赤道面との間に界面46が含まれない範囲で、この外側端PSの位置は調整されればよく、本発明においては、この比の好ましい上限は設定されない。
前述したように、このタイヤ2では、第一キャップ層42は第二キャップ層44よりも軟質である。言い換えれば、この第一キャップ層42の硬さは第二キャップ層44の硬さよりも小さい。第一キャップ層42と第一キャップ層42との剛性差が適切に確保され、第一キャップ層42及び第二キャップ層44のそれぞれがタイヤ2の性能に効果的に寄与するとの観点から、第二キャップ層44の硬さと第二キャップ層44の硬さとの差は3以上が好ましく、5以上がより好ましい。剛性差に基づく歪みの集中が抑えられ、界面46での剥離等が効果的に防止されるとの観点から、この差は12以下が好ましく、10以下がより好ましい。特に、トレッド4の第一端P1が四輪自動車の幅方向外側に位置するように、このタイヤ2がこの四輪自動車に装着された場合に、好ましくは、この差が3以上12以下に設定されることにより、より好ましくは、この差が3以上10以下、又は、5以上12以下に設定されることにより、さらに好ましくは、この差が5以上10以下に設定されることにより、このタイヤ2では、界面46による性能への影響を効果的に排除しつつ、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性のさらなる向上を図ることができる。
本発明において、硬さは、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられ、硬度が測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
このタイヤ2では、第二キャップ層44の硬さは、63以上が好ましく、72以下が好ましい。この硬さが63以上に設定されることにより、適度に硬い第二キャップ層44が得られる。第二キャップ層44の変形が抑えられるので、例えば、旋回の開始の時点においてタイヤ2に応答の遅れは生じにくい。濡れた路面の走行においてはタイヤ2と路面との間にある水が効果的に排出される。このタイヤ2は、操縦安定性及び濡れた路面での排水性に優れる。この観点から、この硬さは65以上がより好ましい。この硬さが72以下に設定されることにより、第二キャップ層44の硬さが適切に維持される。この第二キャップ層44は硬すぎないので、この第二キャップ層44によるタイヤ2のグリップ性能への影響が抑えられる。このタイヤ2では、良好な旋回性能が維持される。特に、トレッド4の第一端P1が四輪自動車の幅方向外側に位置するように、このタイヤ2がこの四輪自動車に装着された場合に、好ましくは、この第二キャップ層44の硬さが63以上72以下に設定されることにより、より好ましくは、この差が63以上70以下、又は、65以上72以下に設定されることにより、さらに好ましくは、この差が65以上70以下に設定されることにより、このタイヤ2では、旋回性能だけでなく、操縦安定性及び濡れた路面での排水性のさらなる向上を図ることができる。
このタイヤ2では、第一キャップ層42の硬さは、55以上が好ましく、65以下が好ましい。この硬さが55以上に設定されることにより、第一キャップ層42は適度な剛性を有する。このタイヤ2では、第一キャップ層42による耐摩耗性への影響が抑えられる。この観点から、この硬さは58以上がより好ましい。この硬さが65以下に設定されることにより、第一キャップ層42の柔軟性が適切に維持される。十分なグリップ性能が確保されるので、このタイヤ2は旋回性能に優れる。この観点から、この硬さは62以下がより好ましい。特に、トレッド4の第一端P1が四輪自動車の幅方向外側に位置するように、このタイヤ2がこの四輪自動車に装着された場合に、好ましくは、この第一キャップ層42の硬さが55以上65以下に設定されることにより、より好ましくは、この差が55以上62以下、又は、58以上65以下に設定されることにより、さらに好ましくは、この差が58以上62以下に設定されることにより、このタイヤ2では、良好な操縦安定性及び濡れた路面での排水性を維持しながら、旋回性能のさらなる向上を図ることができる。
前述したように、第一キャップ層42と第二キャップ層44との界面46に含まれる漸増部分52の輪郭が、界面46の輪郭による剛性への影響が効果的に抑えられるとの観点から、円弧で表されることがある。図2において、符号CAは、この漸増部分52の輪郭が円弧で表された場合における、この円弧の中心である。矢印Rは、この円弧の半径を表している。
このタイヤ2では、円弧の中心CAの位置は、界面46の輪郭による剛性への影響が考慮され、適宜決められる。特に、界面46の輪郭による剛性への影響が効果的に抑えられるとの観点から、図2に示されているように、この円弧の中心CAはトレッド4の内面48上に位置しているのが好ましい。
このタイヤ2では、円弧の半径Rについても、界面46の輪郭による剛性への影響が考慮され、適宜設定されるが、この場合、界面46の内側端PUが赤道面とトレッド4の第一端P1との間に含まれることがないよう、この半径Rは調整される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−2に示されたタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、205/55R16である。第一キャップ層の硬さH1は60に設定され、第二キャップ層の硬さH2は68に設定された。第一キャップ層と第二キャップ層との界面において、外側端PSにおけるこの界面の傾斜角度θsは50°(degrees)に設定され、内側端PUにおけるこの界面の傾斜角度θuは85°に設定された。重複部分の厚さHAに対する距離HSの比(HS/HA)は、43%であった。
この実施例1では、第二キャップ層に溝が刻まれている。このことが、表1の「溝」の欄に、「in」として表されている。外側端PSは溝と赤道面との間に配置され、トレッドの軸方向幅WTに対する溝の赤道面側の縁GEから外側端PSまでの軸方向距離BEの比(BE/WT)は、5%であった。なお、赤道面から第二端P2までの軸方向距離(トレッドの幅WTの半分の長さ)に対する、赤道面から溝の縁GEまでの軸方向距離WEの比(2WE/WT)は、18%であった。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。この比較例1では、トレッドは単一の架橋ゴムからなる。比較例1の溝の仕様は、実施例1のそれと同じである。
[実施例2]
溝を第一キャップ層に設けた他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。第一キャップ層に溝が刻まれていることが、表1の「溝」の欄に、「out」として表されている。赤道面から第一端P1までの軸方向距離(トレッドの幅WTの半分の長さ)に対する、赤道面から溝の赤道面側の縁までの軸方向距離の比は、18%であった。
[実施例3−4]
比(BE/WT)を下記の表1に示される通りにした他は実施例1と同様にして、実施例2−3のタイヤを得た。
[比較例2]
硬さH1、硬さH2及び硬さH2と硬さH1との差(H2−H1)を下記の表2に示される通りにした他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。
[比較例3−6]
角度θs、角度θu及び角度θuと角度θsとの差(θu−θs)を下記の表2に示される通りにした他は実施例1と同様にして、比較例3−6のタイヤを得た。比較例3−6のうち、比較例6では、界面全体が定常部分で構成された。したがって、この比較例6の比(HS/HA)は100%であった。
[実施例5−8及び比較例7]
角度θs及び差(θu−θs)を下記の表3に示される通りにした他は実施例1と同様にして、実施例5−8及び比較例7のタイヤを得た。
[実施例9−11]
角度θu及び差(θu−θs)を下記の表4に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−11のタイヤを得た。
[実施例12−15]
比(HS/HA)を下記の表5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例12−15のタイヤを得た。この比(HS/HA)のコントロールでは、界面の内側端PUの位置が適宜調整されている。
[実施例16−19]
硬さH2及び差(H2−H1)を下記の表6に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例16−19のタイヤを得た。
[実施例20−23]
硬さH1及び差(H2−H1)を下記の表7に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例20−23のタイヤを得た。
[評価1(新品(NEW))]
[排水性(WET性能)]
タイヤをリム(サイズ=16×7.0J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2000ccである乗用車に装着した。ドライバーに、約5mmの水膜を有するウエットアスファルト路面のテストコースで、この乗用車を運転させて、排水性を評価させた。この結果が、指数として下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど排水性に優れ好ましい。
[操縦安定性及び旋回性]
タイヤをリム(サイズ=16×7.0J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2000ccである乗用車に装着した。ドライバーに、ドライアスファルト路面のテストコースでこの乗用車を運転させて、操縦安定性及び旋回性を評価させた。この結果が、指数として下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど操縦安定性及び旋回性に優れ好ましい。
[耐摩耗性]
ドライアスファルト路面のテストコースで評価を行ったタイヤについて、界面部分における剥離の発生状況を確認した。剥離が確認された場合には、タイヤの周方向に等ピッチで12箇所、この剥離部分の幅及び深さを計測し、平均値を得た。この平均値に基づいて、剥離の程度を数値化した。この結果が、指数として下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど耐摩耗性が良好であり好ましい。なお、5.0点は、剥離の発生がなかったことを表している。
[評価2(摩耗品(OLD))]
[タイヤの準備]
タイヤをリム(16×7.0J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2000ccである乗用車に装着した。ドライバーに、タイヤの残溝が1/2になるまでこの乗用車を一般道で運転させた。これにより、評価2のためのタイヤが準備された。
[性能変化]
摩耗させたタイヤについて、前述の、[排水性(WET性能)]及び[操縦安定性及び旋回性]に記載の方法にしたがって、排水性及び操縦安定性の評価を行った。排水性の評点及び操縦安定性の評点の平均値を求め、この平均値を、走行による性能変化の尺度とした。この結果が、下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど性能変化が小さく好ましい。
[旋回性]
摩耗させたタイヤについて、前述の[操縦安定性及び旋回性]に記載の方法にしたがって、旋回性の評価を行った。この結果が、下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど旋回性に優れ好ましい。
Figure 2018108792
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表1−7に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された、複数の部材で構成されたトレッドに含まれる界面に関する技術は、種々のタイプのタイヤにも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
22・・・トレッド4の外面
32・・・カーカスプライ
42・・・第一キャップ層
44・・・第二キャップ層
46・・・界面
50・・・定常部分
52・・・漸増部分
54・・・溝

Claims (8)

  1. 外面において路面と接するトレッドを備えており、
    上記トレッドが軸方向に並列された第一キャップ層と第二キャップ層とを備えており、
    上記第一キャップ層が上記第二キャップ層よりも軟質であり、
    軸方向において、上記第一キャップ層が上記トレッドの第一端側に位置し、上記第二キャップ層がこのトレッドの第二端側に位置しており、
    上記第一キャップ層と上記第二キャップ層との界面が、このタイヤの赤道面と上記第二端との間に位置しており、上記外面から内向きに延在しており、
    軸方向において、上記界面の外側端がこの界面の内側端よりも外側に位置しており、
    上記界面が軸方向に対して傾斜しており、上記外側端におけるこの界面の傾斜角度が上記内側端におけるこの界面の傾斜角度よりも小さく、
    上記外側端における上記界面の上記傾斜角度が30°以上70以下であり、
    上記内側端における上記界面の上記傾斜角度が60°以上である、空気入りタイヤ。
  2. 上記外側端と上記内側端との間において、上記界面の上記傾斜角度が、上記赤道面側の傾斜角度が上記第二端側の傾斜角度と同じか、この第二端側の傾斜角度よりも大きくなるように推移する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記内側端における上記界面の上記傾斜角度が80°以上90°以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記第二キャップ層の硬さと上記第一キャップ層の硬さとの差が5以上である、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記第二キャップ層の硬さが65以上70以下である、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記赤道面と上記第二端との間に上記トレッドが周方向に延在する溝を備えており、
    上記溝が上記第二キャップ層に刻まれている、請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記外側端が上記溝と上記赤道面との間に位置しており、
    上記トレッドの軸方向幅に対する上記溝の赤道面側の縁から上記外側端までの軸方向距離の比が3%以上である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 四輪自動車用であり、上記トレッドの第一端がこの四輪自動車の外側に位置するようにこの四輪自動車に装着される、請求項1から7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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