JP2018108142A - 超音波診断装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波プローブに動作電源を供給するスイッチング電源が発生するノイズに起因して超音波画像に表れるアーチファクトを抑制する技術の提供。【解決手段】超音波診断装置10Aは、所与のスイッチング周期でスイッチング動作を行うスイッチング電源100と、前記スイッチング電源100を動作電源とする超音波トランスデューサー24と、前記超音波トランスデューサー24を制御する制御部300Aと、を備え、前記制御部300Aは、前記超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御する。【選択図】図4
Description
本発明は、超音波診断装置等に関する。
医療分野では、被検体に超音波を送受信することで非接触に被検体に関する診断を行う超音波診断装置が知られている。超音波診断装置では、微少な超音波の受信信号を大きく増幅する必要があるため、僅かなノイズでも診断に与える影響が大きい。このようなノイズの影響を抑制するため、引用文献1には、被検体の血流速度を計測する超音波診断装置(生体情報測定装置)においてノイズの影響を最小限とする技術が開示されている。係る装置では、ドップラー信号の周波数分布情報からエラーが発生した測定点を判別し、計測した血流速度のデータからその測定点でのデータを削除・補完することで、正確な血流速度の計測を実現している。
近年、超音波診断装置では、装置の小型化に伴い、電源部の小型化・高効率化・低価格化を図るため、スイッチング電源が用いられることが多くなっている。スイッチング電源には高周波ノイズを発生するという弱点があり、このスイッチング電源が発生するノイズが超音波信号の受信信号に重畳することで、超音波診断画像で生成される超音波画像にアーチファクト(実際には存在しない虚像)が表れてしまうという問題があった。上述の特許文献1の技術は、被検体が意図せずに身体(指先など)を動かしてしまうために発生するノイズや、超音波プローブと被検体の皮膚面との間に生じる摩擦によるノイズといった、比較的発生頻度が少ないノイズを想定しており、エラー判定を行ってエラーが生じた場合にデータを補完する技術である。そのため、スイッチング電源のノイズのような高周波ノイズであり、且つ、定常的に発生し得るノイズに対しては上述の特許文献1の技術の適用は困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波診断装置において、超音波プローブに動作電源を供給するスイッチング電源が発生するノイズに起因して超音波画像に表れるアーチファクトを抑制し得る技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、所与のスイッチング周期でスイッチング動作を行うスイッチング電源と、前記スイッチング電源を動作電源とする超音波トランスデューサーと、前記超音波トランスデューサーを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御する、超音波診断装置である。
スイッチング電源に起因するノイズの発生タイミングは、受信信号においてほぼ一定周期で表れる。このため、第1の発明のように、超音波の送信周期をスイッチング周期の整数倍に制御することで、超音波の送信周期に対するスイッチング動作のタイミング(超音波の送信周期に対する位相とも言える)を一定とさせ、受信信号を処理した際の超音波画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。特に、超音波画像の一種であるドップラー画像に好適である。
第2の発明は、第1の発明の超音波診断装置であって、前記スイッチング電源を複数備え、前記制御部は、前記超音波の送信周期を前記スイッチング電源それぞれのスイッチング周期の公倍数に制御する、超音波診断装置である。
第2の発明によれば、スイッチング電源を複数備える場合にも、超音波画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。
第3の発明は、第1の発明の超音波診断装置であって、前記スイッチング電源を複数備え、前記スイッチング電源それぞれのスイッチング動作を、前記スイッチング周期が同じで且つ、異なる位相に制御する第1のスイッチング電源制御部、を備えた超音波診断装置である。
第3の発明によれば、受信信号に発生する複数のスイッチング電源それぞれに起因するノイズの発生タイミングが一致しないので、超音波画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。特に、超音波画像の一種であるBモード画像に好適である。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の超音波診断装置であって、前記スイッチング動作を、前記スイッチング周期に係る高調波が前記超音波トランスデューサーの受信信号に基づく画像表示用周波数帯域の外となる前記スイッチング周期で制御する第2のスイッチング電源制御部、を備えた超音波診断装置である。
第4の発明によれば、スイッチング周期に係る高調波が、超音波画像の表示に用いられる受信信号の周波数帯域外となるので、スイッチング周期に係る高調波のノイズの影響を受けることが無く、超音波画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。特に、超音波画像の一種であるBモード画像に好適である。
第5の発明は、第1〜第4の何れの発明の超音波診断装置であって、前記制御部は、前記超音波の送受信を制御してBモード画像を生成するBモード処理と、前記超音波の送受信を制御してドップラー画像を生成するドップラー処理と、を実行可能であり、少なくとも前記ドップラー処理において前記超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御する、超音波診断装置である。
第5の発明によれば、超音波画像の一種であるドップラー画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。
第6の発明は、所与のスイッチング周期でスイッチング動作を行うスイッチング電源と、前記スイッチング電源を動作電源とする超音波トランスデューサーと、を備えた超音波診断装置の制御方法であって、前記超音波トランスデューサーによる超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御することと、前記超音波トランスデューサーによる前記超音波の受信信号に基づいて画像を生成することと、を含む制御方法である。
第6の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる制御方法を実現できる。
[装置構成]
図1は、本実施形態の超音波診断装置10の構成例を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置10は、超音波プローブ20と、処理装置30とが、ケーブル32によって電気的に接続されて構成される。この超音波診断装置10は、被検体1に超音波を送受信して、被検体1の生体情報を表す超音波画像を生成・表示する装置である。図1では、超音波プローブ20を被検体1の胸部に貼り付けた超音波診断装置10の使用時の状態を示している。
図1は、本実施形態の超音波診断装置10の構成例を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置10は、超音波プローブ20と、処理装置30とが、ケーブル32によって電気的に接続されて構成される。この超音波診断装置10は、被検体1に超音波を送受信して、被検体1の生体情報を表す超音波画像を生成・表示する装置である。図1では、超音波プローブ20を被検体1の胸部に貼り付けた超音波診断装置10の使用時の状態を示している。
超音波プローブ20は、被検体1の皮膚に貼付される薄型のプローブであり、超音波を送受信する複数の超音波振動子をマトリクス状に配置した超音波アレイ部を有して構成される。超音波素子は、超音波と電気信号とを変換する超音波トランスデューサーを有して構成され、数MHz〜数十MHzの超音波パルスを送信するとともに、その反射波を受信する。診断に先立ち、超音波プローブ20は、超音波アレイ部の送受信面が被検体1の皮膚に密着するように、被検体1の診断対象部位に貼付・固定される。
処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー、IC(Integrated Circuit)メモリーやハードディスクといった記憶媒体、外部装置とのデータ通信を行う通信IC等を有している。また、処理装置30は、診断結果や操作情報を画像表示するための手段と操作入力のための手段とを兼ねるタッチパネルを備えて構成することができ、更に、操作入力のためのキーボードやマウス等の各種装置を備えた構成としてもよい。CPU等のプロセッサーは、主に制御部300(図4,図8,図12,図14参照)として機能するものであり、記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することにより、超音波診断装置10を統合的に制御して、超音波プローブ20を用いた診断の実行や診断結果の表示及び記憶といった各種機能を実現する。なお、後述の図4,図8,図12,図14では、送信回路26と受信回路28とが超音波プローブ20内に搭載される構成を図示したが、処理装置30(30A〜30D)に搭載されることとしても良い。
[診断の概要]
超音波診断装置10は、超音波プローブ20を用いた超音波の送受信を行って、被検体1の診断対象部位の超音波画像を生成・表示する。具体的には、超音波画像として、診断対象部位の断層画像であるBモード画像、及び、血流の平均流速や方向等の血流に係る情報や、心臓の弁等の動作部位に係る情報を示すドップラー画像を生成し、Bモード画像にドップラー画像を重ねて或いは並べて表示する。
超音波診断装置10は、超音波プローブ20を用いた超音波の送受信を行って、被検体1の診断対象部位の超音波画像を生成・表示する。具体的には、超音波画像として、診断対象部位の断層画像であるBモード画像、及び、血流の平均流速や方向等の血流に係る情報や、心臓の弁等の動作部位に係る情報を示すドップラー画像を生成し、Bモード画像にドップラー画像を重ねて或いは並べて表示する。
図2は、超音波プローブ20を被検体1の診断対象部位に貼付・固定して超音波測定している状態を簡略的に示している。図2は、被検体1の皮膚面からの深さ方向に沿った断面図である。図2に示すように、本実施形態では、入射角度を所定の角度ずつ変えながら、被検体1の体表面位置を起点とする複数の走査ラインに沿って超音波ビームを放射状に送受信して走査範囲3となる所定の角度範囲を扇形に走査する、いわゆるセクタースキャン方式で超音波測定を行う。
具体的には、走査ラインL1〜L7(図2では、理解を容易にするために走査ラインの間隔を広くして少ない本数で示しているが、実際には、走査ラインの間隔はもっと狭く設定され、走査ラインの本数は多数である)の順に、走査ラインL1〜L7に沿って超音波ビームを送受信する(走査する)ことで、走査範囲3である扇形状の範囲のBモード画像と、このBモード画像上に設定した関心領域5のドップラー画像とを生成する。
Bモード画像の生成用の受信信号(Bモード信号)を得るためには、1本の走査ラインについて1回の走査を行えば良いが、ドップラー画像の生成用の受信信号(ドップラー信号)を得るためには、1本の走査ラインについて連続的に複数回の走査を行って、それぞれの走査による複数のドップラー信号を取得する必要がある。図2では、走査ラインL1〜L7のそれぞれについて1回の走査を行うことで、Bモード信号を得るとともに、関心領域5を通る走査ラインL3,L4のそれぞれについて複数回の走査を行うことで、ドップラー信号を得ることになる。
図3は、図2に示した超音波測定における超音波ビームの送信タイミングを説明する図である。図3では、横軸を時刻として、超音波ビームを送信させるために超音波プローブに与える駆動パルスの発生タイミングを矩形波で示している。図3に示すように、走査ラインL1〜L7のそれぞれに順に駆動パルスを与えるが、Bモード用の走査のみを行う走査ラインについてはBモード用の駆動バルスのみを与え、Bモード用の走査及びドップラー用の走査の両方を行う走査ラインについてはBモード用の駆動パルスとドップラー用の駆動パルスを与える。より具体的には、Bモード用の走査については、各走査ラインに1回ずつ駆動パルスを発生させればよいため、駆動パルスの周期は周期Tbとなる。ドップラー用の走査については、対象となる走査ライン(すなわち、関心領域5を通る走査ライン)についてのみ、Bモード用の走査を行った後に、続けて、周期Tbより短い周期Tdでドップラー用の駆動パルスを複数回発生させる。ドップラー用の駆動パルスは、1本の走査ラインについて複数回走査する必要があるため、同じ走査ラインに対して複数回発生させる。
Bモード用、及び、ドップラー用それぞれの駆動パルスの送信周期(駆動周期)Tb,Tdは、少なくとも、次の条件を満たすように制御する必要がある。すなわち、ドップラー用の走査では、関心領域5からの反射波を受信できれば良いため、ドップラー用の駆動周期Tdは、超音波の送信時点から、関心領域5の最も深い位置からの反射波を受信できる時間長とすれば良い。一方、Bモード用の走査では、ドップラー用の走査よりも深い位置(長い距離)からの反射波を受信する必要があるとともに、Bモード用の走査の間に、同一の走査ラインに対するドップラー用の走査を連続して複数回行うため、Bモード用の駆動周期Tbは、ドップラー用の駆動周期Tdにドップラー用の走査回数を乗じた時間長以上とする必要がある。
これらの駆動周期Tb,Tdを如何に制御するかが本実施形態の大きな特徴の1つである。以下では、代表例として、駆動周期Tbの制御について説明する。詳細には、上述の必要条件を満たした上で、更に、超音波プローブ20の受信回路に動作電源を供給するスイッチング電源のスイッチング周期Tsに応じて、ドップラー用の駆動周期Tbを制御する超音波診断装置10(10A〜10D)の4つの実施例(第1〜第4実施例)を順に説明する。
[第1実施例]
<機能構成>
図4は、第1実施例における超音波診断装置10Aの機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、超音波診断装置10Aは、超音波プローブ20と、処理装置30Aとを備えて構成される。超音波プローブ20は、超音波アレイ部22と、送信回路26と、受信回路28とを有し、処理装置30Aは、受信回路用スイッチング電源100と、操作入力部202と、画像表示部204と、制御部300Aと、記憶部400と、を有して構成される。
<機能構成>
図4は、第1実施例における超音波診断装置10Aの機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、超音波診断装置10Aは、超音波プローブ20と、処理装置30Aとを備えて構成される。超音波プローブ20は、超音波アレイ部22と、送信回路26と、受信回路28とを有し、処理装置30Aは、受信回路用スイッチング電源100と、操作入力部202と、画像表示部204と、制御部300Aと、記憶部400と、を有して構成される。
超音波アレイ部22は、被検体1に超音波を送信し、被検体1内からの反射波を受信する複数の超音波トランスデューサー24(超音波振動子)をマトリクス状に配置して構成される。
送信回路26は、送信タイミング制御部302Aから入力される送信タイミング信号に従って、各超音波トランスデューサー24を駆動するパルス電圧(駆動パルス)を生成する。その際、任意の位置に超音波を収束させるよう、駆動パルスの出力タイミングを遅延させる送信遅延処理を行って各超音波トランスデューサー24へのパルス電圧の出力タイミングを調整する送信ビームフォーミング処理を行う。超音波の収束位置を走査ラインに沿って変化させることで、当該走査ラインに沿った超音波ビームの送信を実現することができる。
受信回路28は、受信タイミング制御部304から入力される受信タイミングに従って、各超音波トランスデューサー24で受信された反射波の信号を検出する。その際、受信信号に対する増幅処理やフィルター処理、A/D変換処理のほか、各超音波トランスデューサー24からの受信信号を整相処理して超音波トランスデューサー24毎に受信信号を加算する受信ビームフォーミング処理を行う。これにより、所望の走査ラインの方向からの反射波の信号を抽出することができる。
受信回路用スイッチング電源100は、受信回路28に動作電源を供給するスイッチング電源である。受信回路28は、この受信回路用スイッチング電源100からの供給電源を動作電源とするともいえる。すなわち、受信回路用スイッチング電源100は、入力された商用電源(交流電源)を平滑化した後、スイッチング電源制御部306Aからのクロック信号CLKに従ったスイッチング周期Tsでのスイッチング動作を行って一時的に高周波の交流に変換し、再び平滑化することで、受信回路28の動作電圧となる所定の直流電圧を出力する。
操作入力部202は、オペレーターによる操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作信号を制御部300Aに出力する。操作入力部202の機能は、例えば、ボタンやスイッチ、タッチパネル、トラックパッド、マウス、キーボード等によって実現することができる。
画像表示部204は、制御部300Aからの表示信号に応じた画像を表示する。画像表示部204の機能は、例えば、タッチパネルや液晶ディスプレイ等によって実現される。この画像表示部204によって、被検体1の診断対象部位の超音波画像(Bモード画像やドップラー画像)が表示される。
制御部300Aは、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサーや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ICメモリー等の電子部品によって実現される。制御部300Aは、各機能部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、操作入力部202からの操作入力信号等に基づき各種の演算処理を実行するとともに、超音波アレイ部22を制御し、被検体1の所定診断用の指標値を算出する。本実施形態では、制御部300Aは、送信タイミング制御部302Aと、受信タイミング制御部304と、スイッチング電源制御部306Aと、画像生成部310とを有する。なお、制御部300Aを構成する各部は、専用のモジュール回路等のハードウェアで実現することとしても良い。
送信タイミング制御部302Aは、送信回路26に対して、超音波ビームの送信タイミングを指示する送信タイミング信号を出力する。すなわち、図3に示したように、1本の走査ラインにつき1回のBモード用の走査を行うように、Bモード用の駆動周期Tbで超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。また、ドップラー用の走査の対象となる走査ライン(すなわち、関心領域5を通る走査ライン)については、所定回数のドップラー用の走査を行うように、Bモード用の送信タイミング信号の出力後に、ドップラー用の駆動周期Td1で複数回の超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。ドップラー用の駆動周期Td1は、上述した駆動周期Tdの一例であり、この駆動周期Td1の制御については後述する。
受信タイミング制御部304は、送信タイミング制御部302Aによる超音波ビームの送信タイミングに応じて、受信回路28による反射波の受信タイミングを指示する受信タイミング信号を出力する。
スイッチング電源制御部306Aは、受信回路用スイッチング電源100の供給電源が受信回路28に応じた所定の動作電圧となるように、受信回路用スイッチング電源100のスイッチング周期Tsを指示するクロック信号CLKを出力する。
画像生成部310は、Bモード処理部312と、ドップラー処理部314と、画像処理部316とを有し、受信回路28による受信信号に基づく超音波画像(Bモード画像やドップラー画像)を生成し、画像表示部204に表示させる。
Bモード処理部312は、受信回路28から入力される受信信号に対するBモード処理を行う。すなわち、走査ライン別に、走査ラインに沿った各サンプリング点の受信信号の強度(反射波の振幅)を輝度値に変換したBモードデータを生成する。
ドップラー処理部314は、受信回路28から入力される受信信号に対するドップラー処理を行う。すなわち、受信信号を、互いに位相が90度異なる基準信号それぞれと合成し、LPF(Low Pass Filter)で高周波成分(和の周波数成分)を除去することで直交位相検波し、得られた差の周波数成分の信号をA/D変換する。次いで、同一の走査ラインについての複数の受信信号から得られた差の周波数成分の信号から同一部位で経時的に変化する一連の信号を抽出し、MTI(Moving Target Indication)フィルターによって固定又は動きが遅い反射体の反射成分を除去することで、ドップラー信号を得る。その後、ドップラー信号に対するFFT(高速フーリエ変換)処理等を行ってドップラー周波数fdを算出し、更に、走査ライン別に、走査ラインに沿った各サンプリング点の血流の平均流速や、流速の分散、パワー等の血流に関する情報を、ドップラーデータとして算出する。
画像処理部316は、Bモード処理部312によってBモード処理されたBモードデータに基づき、超音波画像であるBモード画像を生成し、画像表示部204に表示させる。また、ドップラー処理部314によってドップラー処理されたドップラーデータに基づき、超音波画像であるドップラー画像を生成し、画像表示部204に表示させる。
記憶部400Aは、ICメモリーやハードディスク、光学ディスク等の記憶媒体により実現され、超音波診断装置10Aが備える種々の機能を実現するためのプログラムや、当該プログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶される、或いは、処理の都度一時的に記憶される。なお、制御部300Aと記憶部400Aとの接続は、装置内の内部バス回路による接続に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信で実現しても良い。その場合、記憶部400Aは、超音波診断装置10Aとは別の外部記憶装置により実現されるとしても良い。本実施形態では、記憶部400Aには、超音波診断プログラム402Aが記憶されるとともに、画像処理部316が超音波画像を生成する際に使用するフレームメモリー404を有する。
制御部300Aは、超音波診断プログラム402Aを読み出して実行することにより、ドップラー用の駆動周期Td1を制御して超音波画像を生成する第1実施例の機能を実現する。なお、制御部300A内の各機能部を電子回路等のハードウェアで実現する場合には、当該機能部を実現させるためのプログラムの一部を省略することができる。
<ドップラー用の駆動周期Td1の制御>
図5は、第1実施例におけるドップラー用の駆動周期Td1の制御を説明する図である。図5では、横軸を時刻として、送信回路26が超音波トランスデューサー24に出力する駆動パルスである送信駆動波形と、スイッチング電源ノイズの波形とを示している。スイッチング電源ノイズは、受信回路用スイッチング電源100のスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、主成分としてスイッチング周期Tsのノイズ成分を含むとともに、その高周波成分もノイズとして含んでいる。そして、第1実施例におけるドップラー用の駆動周期Td1は、式(1)に示すように、スイッチング周期Tsの整数倍となるように制御する。式(1)中のnは自然数である。
Td1=n×Ts ・・・(1)
図5は、第1実施例におけるドップラー用の駆動周期Td1の制御を説明する図である。図5では、横軸を時刻として、送信回路26が超音波トランスデューサー24に出力する駆動パルスである送信駆動波形と、スイッチング電源ノイズの波形とを示している。スイッチング電源ノイズは、受信回路用スイッチング電源100のスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、主成分としてスイッチング周期Tsのノイズ成分を含むとともに、その高周波成分もノイズとして含んでいる。そして、第1実施例におけるドップラー用の駆動周期Td1は、式(1)に示すように、スイッチング周期Tsの整数倍となるように制御する。式(1)中のnは自然数である。
Td1=n×Ts ・・・(1)
なお、図5では、理解を容易とするために、ドップラー用の駆動周期Td1がスイッチング周期Tsの2倍(n=2)の例を示しているが、実際には、ドップラー用の駆動周期Td1はスイッチング周期Tsの数十倍〜数百倍となる。
このように、ドップラー用の駆動周期Td1をスイッチング周期Tsの整数倍(n倍)とすることで、スイッチング電源ノイズに起因するドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。詳細に説明する。図6は、ドップラー用の駆動周期Td1´がスイッチング周期Tsの整数倍とならない場合の例である。図6では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、スイッチング電源ノイズの波形とを示している。
ドップラー処理は、連続する複数回の走査(超音波ビームの送信)によって得られた受信信号の経時変化から、何らかの移動体の移動速度(例えば、被検体1内の血流速度)を求めるものである。このため、図6に示すように、ドップラー用の駆動周期Td1´がスイッチング周期Tsの整数倍(n倍)とならない場合、スイッチング電源ノイズの波形においては、超音波ビームの送信タイミング(つまり、送信駆動波形における駆動パルスの送信タイミング)を基準としたノイズの発生タイミングが、時間経過に伴って、すなわち駆動周期Td1´が進むに従って、徐々に変化(図6では右方向に移動)することになる。換言すると、駆動周期Td1´に対するノイズの発生タイミング(位相とも言える)は一定ではない、ということもできる。
時間経過に伴って(駆動周期Td1´が進むに従って)スイッチング電源ノイズの発生タイミングが変化する信号に対するドップラー処理を行うと、そのノイズの発生タイミングの変化が速度として検出される結果、本来計測したい被検体1内における移動体の移動速度の検出に影響を与えてしまうことになる。図7は、ドップラー用の駆動周期Td1´をスイッチング周期Tsの整数倍(n倍)としない場合のスイッチング電源ノイズに起因して検出されるドップラー周波数のスペクトルの一例を示す図である。スイッチング電源ノイズに起因する何らかのドップラー周波数が検出されることが分かる。なお、スイッチング電源ノイズに起因して検出されるドップラー周波数は、時間経過(駆動周期Td1´の進行)に伴うノイズの発生タイミングの変化量(移動量とも言える)によって決まり、そのパワーは、ノイズの大きさによって決まる。
しかし、第1実施例のように、ドップラー用の駆動周期Td1をスイッチング周期Tsの整数倍(n倍)とすることで、スイッチング電源ノイズの発生タイミングは、超音波ビームの送信タイミング(つまり、送信駆動波形における駆動パルスの送信タイミング)に対して常に一定のタイミングとなる。このため、ドップラー処理において、スイッチング電源ノイズに起因する速度が検出されなくなり、ドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例を説明する。なお、第2実施例において、上述の第1実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
次に、第2実施例を説明する。なお、第2実施例において、上述の第1実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
<機能構成>
図8は、第2実施例における超音波診断装置10Bの機能構成図である。図8に示すように、超音波診断装置10Bは、超音波プローブ20と、処理装置30Bとを備える。
図8は、第2実施例における超音波診断装置10Bの機能構成図である。図8に示すように、超音波診断装置10Bは、超音波プローブ20と、処理装置30Bとを備える。
処理装置30Bは、操作入力部202と、画像表示部204と、制御部300Bと、記憶部400Bと、第1受信回路用スイッチング電源100aと、第2受信回路用スイッチング電源100bとを有して構成される。
第1受信回路用スイッチング電源100a、及び、第2受信回路用スイッチング電源100bは、ともに、受信回路28に動作電源を供給するスイッチング電源である。第1受信回路用スイッチング電源100aは、スイッチング電源制御部306Bからの第1クロック信号CLK1に従ったスイッチング周期Ts1でのスイッチング動作を行い、第2受信回路用スイッチング電源100bは、スイッチング電源制御部306Bからの第2クロック信号CLK2に従ったスイッチング周期Ts2でのスイッチング動作を行う。
制御部300Bは、送信タイミング制御部302Bと、受信タイミング制御部304と、スイッチング電源制御部306Bと、画像生成部310とを有する。
送信タイミング制御部302Bは、送信回路26に対して、図3に示したように、1本の走査ラインにつき1回のBモード用の走査を行うように、Bモード用の駆動周期Tbで超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。また、ドップラー用の走査の対象となる走査ライン(すなわち、関心領域5を通る走査ライン)については、所定回数のドップラー用の走査を行うように、Bモード用の送信タイミング信号の出力後に、ドップラー用の駆動周期Td2で複数回の超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。ドップラー用の駆動周期Td2は、上述した駆動周期Tdの一例であり、送信タイミング制御部302Bによる駆動周期Td2の制御については後述する。
スイッチング電源制御部306Bは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング周期Tsを指示する第1クロック信号CLK1を出力するとともに、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期Tsを指示するクロック信号CLK2を出力する。スイッチング電源制御部306Bは、第1クロック信号CLK1、及び、第2クロック信号CLK2を、周期及び位相が一致したクロック信号となるように制御して出力する。
記憶部400Bには、超音波診断プログラム402Bが記憶される。制御部300Bは、超音波診断プログラム402Bを読み出して実行することにより、ドップラー用の駆動周期Td2を制御して超音波画像を生成する第2実施例の機能を実現する。
<ドップラー用の駆動周期Td2の制御>
図9は、第2実施例におけるドップラー用の駆動周期Td2の制御を説明する図である。図9では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
図9は、第2実施例におけるドップラー用の駆動周期Td2の制御を説明する図である。図9では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
図9では、第1スイッチング電源ノイズ、及び、第2スイッチング電源ノイズが異なる性質のノイズである場合を示している。第1スイッチング電源ノイズは、高周波成分を比較的多く含むノイズであり、第2スイッチング電源は、全体的にスパイク状のノイズであり、高周波成分が比較的含まないノイズである。超音波の反射波の受信信号には、この2つの第1スイッチング電源ノイズ、及び、第2スイッチング電源ノイズが重畳する。
第2実施例では、第1受信回路用スイッチング電源100a、及び第2受信回路用スイッチング電源100bそれぞれのスイッチング周期Ts、及び、位相が一致しているとする。そして、第2実施例では、ドップラー用の駆動周期Td2は、次式(2)に示すように、スイッチング周期Tsの整数倍となるように制御する。式(2)中のnは自然数である。
Td2=n×Ts ・・・(2)
Td2=n×Ts ・・・(2)
なお、図9では、理解を容易とするために、ドップラー用の駆動周期Td2がスイッチング周期Tsの2倍(n=2)の例を示しているが、実際には、ドップラー用の駆動周期Td2はスイッチング周期Tsの数十倍〜数百倍となる。
以上のように、第2実施例では、スイッチング電源のスイッチング周期の整数数になるように超音波の駆動周期(送信周期)Td2を制御する。これにより、上述の第1実施例と同様に、スイッチング電源ノイズに起因するドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。
比較例を参照して作用効果を詳細に説明する。図10は、ドップラー用の駆動周期Td2´がスイッチング周期Ts1,Ts2の整数倍とならない場合の比較例である。図10では、図9と同様に、横軸を時刻として、駆動周期Td2´の送信駆動波形と、スイッチング周期Ts1の第1スイッチング電源ノイズの波形と、スイッチング周期Ts2の第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。
第1スイッチング電源ノイズのスイッチング周期Ts1と、第2スイッチング電源ノイズの周期Ts2とは一致せず、且つ、ドップラー用の駆動周期Td2´は、スイッチング周期Ts1,Ts2の何れの整数倍ともなっていない。従って、この2種類のスイッチング電源ノイズが重畳した受信信号に対するドップラー処理を行うと、それぞれのスイッチング周期Ts1,Ts2が異なることから、図11のスペクトラムに示すように、スイッチング電源ノイズに起因するドップラー周波数として、異なる2種類のドップラー周波数が検出されることになる。
しかし、第2実施例のように、スイッチング電源制御部306Bが第1クロック信号CLK1、及び、第2クロック信号CLK2を、周期及び位相が一致したクロック信号として出力する。そして、送信タイミング制御部302Bが、スイッチング電源のスイッチング周期の整数倍になるように超音波の駆動周期(送信周期)Td2を制御する。この結果、スイッチング電源ノイズの発生タイミングは、スイッチング電源が複数であっても、超音波ビームの送信タイミング(つまり、送信駆動波形における駆動パルスの送信タイミング)に対して常に一定のタイミングとなる。このため、ドップラー処理において、スイッチング電源ノイズに起因する速度が検出されなくなり、ドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。
なお、第2実施例では、スイッチング電源を2つとして説明したが、3つ以上であってもよい。その場合、各スイッチング電源のクロック信号の周期及び位相を一致させ、スイッチング電源のスイッチング周期の整数倍になるように超音波の駆動周期(送信周期)Td2を制御すればよい。
[第3実施例]
次に、第3実施例を説明する。なお、第3実施例において、上述の第1,第2実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
次に、第3実施例を説明する。なお、第3実施例において、上述の第1,第2実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
<機能構成>
図12は、第3実施例における超音波診断装置10Cの機能構成図である。図12に示すように、超音波診断装置10Cは、超音波プローブ20と、処理装置30Cとを備える。
図12は、第3実施例における超音波診断装置10Cの機能構成図である。図12に示すように、超音波診断装置10Cは、超音波プローブ20と、処理装置30Cとを備える。
処理装置30Cは、操作入力部202と、画像表示部204と、制御部300Cと、記憶部400Cと、第1受信回路用スイッチング電源100aと、第2受信回路用スイッチング電源100bとを有して構成される。
制御部300Cは、送信タイミング制御部302Cと、受信タイミング制御部304と、スイッチング電源制御部306Cと、画像生成部310とを有する。
送信タイミング制御部302Cは、送信回路26に対して、図3に示したように、1本の走査ラインにつき1回のBモード用の走査を行うように、Bモード用の駆動周期Tbで超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。また、ドップラー用の走査の対象となる走査ライン(すなわち、関心領域5を通る走査ライン)については、所定回数のドップラー用の走査を行うように、Bモード用の送信タイミング信号の出力後に、ドップラー用の駆動周期Td3で複数回の超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。ドップラー用の駆動周期Td3は、上述した駆動周期Tdの一例であり、送信タイミング制御部302Cによる駆動周期Td3の制御については後述する。
スイッチング電源制御部306Cは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング周期Tsを指示する第1クロック信号CLK1を出力するとともに、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期Tsを指示するクロック信号CLK2を出力する。スイッチング電源制御部306Cは、第1クロック信号CLK1、及び、第2クロック信号CLK2を、周期が異なるクロック信号となるように制御して出力する。
記憶部400Cには、超音波診断プログラム402Cが記憶される。制御部300Cは、超音波診断プログラム402Cを読み出して実行することにより、ドップラー用の駆動周期Td3を制御して超音波画像を生成する第3実施例の機能を実現する。
<ドップラー用の駆動周期Td3の制御>
図13は、第3実施例におけるドップラー用の駆動周期Td3の制御を説明する図である。図13では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
図13は、第3実施例におけるドップラー用の駆動周期Td3の制御を説明する図である。図13では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
第3実施例では、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング周期はTs1、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期はTs2であり、異なっている。そして、第3実施例では、ドップラー用の駆動周期Td3は、次式(3)に示すように、スイッチング周期Ts1,Ts2の公倍数となるように制御する。式(3)中のn,mは自然数である。
Td3=n×Ts1=m×Ts2 ・・・(3)
Td3=n×Ts1=m×Ts2 ・・・(3)
なお、図13では、理解を容易とするために、ドップラー用の駆動周期Td3がスイッチング周期Ts1の2倍(n=2)で且つ、スイッチング周期Ts2の3倍(m=3)の例を示しているが、実際には、ドップラー用の駆動周期Td3はスイッチング周期Ts1,Ts2の数十倍〜数百倍となる。
以上のように、第3実施例では、各スイッチング電源のスイッチング周期の公倍数になるように超音波の駆動周期(送信周期)Td3を制御する。これにより、上述の第1,第2実施例と同様に、スイッチング電源ノイズに起因するドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。すなわち、ドップラー処理において、何れのスイッチング電源のノイズに起因する速度も検出されなくなり、ドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。
なお、第3実施例では、スイッチング電源を2つとして説明したが、3つ以上であってもよい。その場合、各スイッチング電源のクロック信号の周期の公倍数となるように、超音波の駆動周期(送信周期)Td3を制御すればよい。
[第4実施例]
次に、第4実施例を説明する。なお、第4実施例において、上述の第1〜第3実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
次に、第4実施例を説明する。なお、第4実施例において、上述の第1〜第3実施例と同一の構成要素については同符号を付し、詳細な説明を省略或いは簡略する。
<機能構成>
図14は、第4実施例における超音波診断装置10Dの機能構成図である。図14に示すように、超音波診断装置10Dは、超音波プローブ20と、処理装置30Dとを備える。
図14は、第4実施例における超音波診断装置10Dの機能構成図である。図14に示すように、超音波診断装置10Dは、超音波プローブ20と、処理装置30Dとを備える。
処理装置30Dは、操作入力部202と、画像表示部204と、制御部300Dと、記憶部400Dと、第1受信回路用スイッチング電源100aと、第2受信回路用スイッチング電源100bとを有して構成される。
制御部300Dは、送信タイミング制御部302Dと、受信タイミング制御部304と、スイッチング電源制御部306Dと、画像生成部310とを有する。
送信タイミング制御部302Dは、送信回路26に対して、図5に示したように、1本の走査ラインにつき1回のBモード用の走査を行うように、Bモード用の駆動周期Tbで超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。また、ドップラー用の走査の対象となる走査ライン(すなわち、関心領域5を通る走査ライン)については、所定回数のドップラー用の走査を行うように、Bモード用の送信タイミング信号の出力後に、ドップラー用の駆動周期Td4で複数回の超音波ビームの送信を指示する送信タイミング信号を出力する。ドップラー用の駆動周期Td4は、上述した駆動周期Tdの一例であり、送信タイミング制御部302Dによる駆動周期Td4の制御については後述する。
スイッチング電源制御部306Dは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング周期Tsを指示する第1クロック信号CLK1を出力するとともに、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期Tsを指示するクロック信号CLK2を出力する。スイッチング電源制御部306Dは、第1クロック信号CLK1、及び、第2クロック信号CLK2を、周期が一致するが位相が異なるクロック信号となるように制御して出力する。スイッチング電源制御部306Dが、第1のスイッチング電源制御部、及び、第2のスイッチング電源制御部に相当する。
また、スイッチング電源制御部306Dは、図15に示すように、第1受信回路用スイッチング電源100a、及び、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期Tsを、そのスイッチング周期Tsに係る高調波が、超音波トランスデューサー24の受信信号に基づく画像表示用周波数帯域の外となるように制御する。第4実施例では、Bモード画像の画像表示帯域の外になるように制御することとする。
Bモード画像用の画像表示帯域とは、Bモード用の駆動パルスの送信周波数Fd(=1/駆動周期Td)を中心とする周波数帯域であって、Bモード処理において、送信した超音波の反射波として抽出する周波数帯域である。画像表示帯域外とする高調波としては、高調波成分の強さに応じて定めることができる。例えば、11次高調波までが含まれないようにすると好適である。これにより、受信回路用スイッチング電源100a,100bのスイッチング動作に起因するノイズ成分が、Bモード処理に用いる受信信号の画像表示用信号成分に含まれなくなるため、Bモード画像に表れるアーチファクトを抑制することができる。
記憶部400Dには、超音波診断プログラム402Dが記憶される。制御部300Dは、超音波診断プログラム402Dを読み出して実行することにより、ドップラー用の駆動周期Td4を制御して超音波画像を生成する第4実施例の機能を実現する。
<ドップラー用の駆動周期Tdの制御>
図16は、第4実施例におけるドップラー用の駆動周期Td4の制御を説明する図である。図16では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
図16は、第4実施例におけるドップラー用の駆動周期Td4の制御を説明する図である。図16では、図5と同様に、横軸を時刻として、送信駆動波形と、第1スイッチング電源ノイズの波形と、第2スイッチング電源ノイズの波形とを示している。第1スイッチング電源ノイズは、第1受信回路用スイッチング電源100aのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号であり、第2スイッチング電源ノイズは、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング動作に起因して電源電圧に重畳するノイズ信号である。
第4実施例では、第1受信回路用スイッチング電源100a、及び、第2受信回路用スイッチング電源100bのスイッチング周期Ts2は一致しているが、位相が互いに異なっている。そして、第4実施例では、ドップラー用の駆動周期Td4は、次式(4)に示すように、スイッチング周期Tsの整数倍となるように制御する。式(4)中のnは自然数である。
Td4=n×Ts ・・・(4)
Td4=n×Ts ・・・(4)
なお、図16では、理解を容易とするために、ドップラー用の駆動周期Td4がスイッチング周期Tsの2倍(n=2)の例を示しているが、実際には、ドップラー用の駆動周期Td3はスイッチング周期Tsの数十倍〜数百倍となる。
以上のように、第4実施例では、スイッチング電源それぞれのスイッチング動作を、スイッチング周期が同じで且つ、異なる位相に制御するとともに、スイッチング周期の整数倍になるように超音波の駆動周期(送信周期)Td4を制御する。これにより、上述の第1〜第3実施例と同様に、スイッチング電源ノイズに起因するドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。すなわち、ドップラー処理において、何れのスイッチング電源のノイズに起因する速度も検出されなくなり、ドップラー画像のアーチファクトを抑制することができる。
更に、第4実施例では、Bモード画像におけるアーチファクトも抑制することができる。第1〜第3実施例では、送信駆動波形における駆動パルスの発生タイミングを基準としたスイッチング電源ノイズの発生タイミングがずれないように制御していた。これにより、ドップラー画像におけるアーチファクトを抑制できるが、スイッチング電源ノイズそのものは抑制していなかった。このため、例えば、第2実施例のように、複数(2台)の受信回路用スイッチング電源100のスイッチング周期Ts及び位相が一致する場合には、それぞれのノイズの発生タイミングがほぼ一致することから、そのタイミングで受信信号に重畳するノイズのパワーが増加し、図17に示すように、扇形状のBモード画像に、弧状の周期的なアーチファクトが表れる場合があった。
第4の実施例では、複数(2台)の受信回路用スイッチング電源100それぞれのスイッチング周期Tsの位相を異ならせるように制御する。この結果、受信信号に重畳するノイズのタイミングをずらすことができるため、スイッチング周期Tsの位相を一致させる場合に比べて、Bモード画像に表れるアーチファクトを低減させることができる。
[作用効果]
上述したように、本実施形態によれば、超音波診断装置10において、超音波プローブ20の受信回路28に動作電源を供給する受信回路用スイッチング電源100のノイズに起因して超音波画像に表れるアーチファクトを抑制し得る技術を提供することができる。
上述したように、本実施形態によれば、超音波診断装置10において、超音波プローブ20の受信回路28に動作電源を供給する受信回路用スイッチング電源100のノイズに起因して超音波画像に表れるアーチファクトを抑制し得る技術を提供することができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
1…被検体、10(10A〜10D)…超音波診断装置、20…超音波プローブ、22…超音波アレイ部、24…超音波トランスデューサー、26…送信回路、28…受信回路、30(30A〜30D)…処理装置、100(100a,110b)…受信回路用スイッチング電源、202…操作入力部、204…画像表示部、300(300A〜300D)…制御部、302(302A〜302D)…送信タイミング制御部、304…受信タイミング制御部、306(306A〜306D)…スイッチング電源制御部、310…画像生成部、312…Bモード処理部、314…ドップラー処理部、316…画像処理部、400(400A〜400D)…記憶部、402(402A〜402D)…超音波診断プログラム、404…フレームメモリー
Claims (6)
- 所与のスイッチング周期でスイッチング動作を行うスイッチング電源と、
前記スイッチング電源を動作電源とする超音波トランスデューサーと、
前記超音波トランスデューサーを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御する、
超音波診断装置。 - 前記スイッチング電源を複数備え、
前記制御部は、前記超音波の送信周期を、前記スイッチング電源それぞれのスイッチング周期の公倍数に制御する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記スイッチング電源を複数備え、
前記スイッチング電源それぞれのスイッチング動作を、前記スイッチング周期が同じで且つ、異なる位相に制御する第1のスイッチング電源制御部、
を備えた請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記スイッチング動作を、前記スイッチング周期に係る高調波が前記超音波トランスデューサーの受信信号に基づく画像表示用周波数帯域の外となる前記スイッチング周期で制御する第2のスイッチング電源制御部、
を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波診断装置。 - 前記制御部は、
前記超音波の送受信を制御してBモード画像を生成するBモード処理と、前記超音波の送受信を制御してドップラー画像を生成するドップラー処理と、を実行可能であり、
少なくとも前記ドップラー処理において前記超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御する、
請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波診断装置。 - 所与のスイッチング周期でスイッチング動作を行うスイッチング電源と、前記スイッチング電源を動作電源とする超音波トランスデューサーと、を備えた超音波診断装置の制御方法であって、
前記超音波トランスデューサーによる超音波の送信周期を前記スイッチング周期の整数倍に制御することと、
前記超音波トランスデューサーによる前記超音波の受信信号に基づいて画像を生成することと、
を含む制御方法。
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US11536819B2 (en) | 2019-08-30 | 2022-12-27 | Everett Scientific LLC | Low-noise power sources for imaging systems |
-
2016
- 2016-12-28 JP JP2016256449A patent/JP2018108142A/ja active Pending
Cited By (2)
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