JP2018110656A - 超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法 - Google Patents

超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低流速の血流検出時にも、クラッター成分を低減して血流信号を正確に検出することができる超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法を提供する。
【解決手段】超音波探触子が受信した反射超音波に基づいて生成した受信信号を取得し、受信信号に基づいて生成したドップラー信号を用いて超音波画像を生成する超音波画像生成部を有し、超音波画像生成部は、ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを生成し、周波数スペクトルにおける正負の周波数に関する対称性に基づいて、周波数スペクトルからクラッター成分を低減させるクラッター成分低減部を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、超音波を利用した超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法に関する。
超音波診断装置は、超音波を被検体に送信し、その反射エコーに含まれる情報を解析することにより、被検体内の画像を作成する。超音波診断装置では、カラーフローマッピング(Color Flow Mapping、以下CFMと略す場合がある)と呼ばれる手法によって被検体内の血流を画像化することが可能であり、医療分野全般において、血流状態を表示することのできる超音波診断装置が広く利用されている。
カラーフローマッピングはドップラー効果を利用する手法である。超音波が血流を照射すると、ドップラー効果により血流速度や反射強度に応じたドップラー偏移が反射エコーに生じる。このドップラー偏移の情報を直交検波によって検出し、MTI(Moving Target Indicator)フィルターと呼ばれるハイパスフィルター処理、自己相関処理およびノイズカット処理を施すことによって、血流速度、パワー(反射強度)、分散等に関する情報が得られる。
カラーフローマッピングにより血流を検出する際、低流速の血流にクラッター成分(血流検出に不要な血管壁や組織等の情報)が現れることがある。血流信号にクラッター成分が混入すると、血流を正確に検出することが困難となる。このため、低流速の血流信号からクラッター成分を低減することが要望されている。血流信号からクラッター成分を低減する技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
特開2000−342585号公報
超音波診断装置を用いた血流検出においては、クラッターを低減する手段の一つとして、MTIフィルターのようなハイパスフィルターが用いられる。フィルターの周波数特性を調整することで、クラッターを低減することができる一方、低流速血流の検出性能が落ち、本来血流が存在する領域に血流を検出できなくなる場合がある。反対に、低流速血流を検出できるようにフィルターの周波数特性を調整すると、クラッターによるノイズが画像上に大きく現れてしまったり、やはり本来血流が存在する領域に血流が存在しないかのような画像となったりする場合がある。
特許文献1に開示された技術では、クラッター成分の低減と、低流速血流の検出性能とを両立させるため、クラッター低減において、正規分布モデルを計算して元のスペクトルから減ずるという処理を行っている。
静止している組織からのクラッターは、正規分布に近いスペクトルとなるため、特許文献1に開示された技術を用いて低減できる。しかしながら、例えば心臓付近において心臓の拍動により組織が動くことで発生するクラッターは、正規分布とはかけ離れたスペクトルとなるため、特許文献1に開示された技術では低減できず、減算後のスペクトルにもクラッター成分が残ってしまうことがある。また、特許文献1に開示された技術では、血流とクラッターのパワーが近い場合には、クラッター成分だけでなく、血流信号も低減してしまうことがある。このような場合、正確に血流を検出することが困難となる。
本発明は、低流速の血流検出時にも、クラッター成分を低減して血流信号を正確に検出することができる超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法を提供することを目的とする。
本発明の制御装置は、超音波診断装置の制御装置であって、被検体内で反射した反射超音波に基づく受信信号から、ドップラー信号を検波する検波部と、前記ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを取得し、取得した周波数スペクトルにおいて血流成分の非対称性と区別されるクラッター成分の対称性に基づいて、取得した周波数スペクトルからクラッター成分を低減させるクラッター成分低減部と、を有する。
本発明の超音波診断装置は、上記した制御装置と、前記クラッター成分を低減させた前記周波数スペクトルに基づいて超音波画像を表示装置に表示させる表示処理部と、を有する。
本発明のクラッター成分低減方法は、超音波を送信し、送信された超音波が被検体の反射面で反射された反射超音波を受信する超音波探触子と接続可能な超音波診断装置のクラッター成分低減方法であって、前記超音波探触子から超音波を送信させるための送信信号を生成し、前記超音波探触子の受信した反射超音波に基づいて受信信号を生成し、前記受信信号に基づいてドップラー信号を生成し、前記ドップラー信号に基づいて超音波画像を生成し、前記ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを生成し、前記周波数スペクトルにおける正負の周波数に関する対称性に基づいて、前記周波数スペクトルからクラッター成分を低減させる。
本発明によれば、低流速の血流検出時にも、クラッター成分を低減して血流信号を正確に検出することができる超音波診断装置の制御装置、超音波診断装置およびクラッター成分低減方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る超音波診断装置の構成を例示した図 超音波画像診断装置のハードウエアの主要な構成を示す図 Cモード画像生成部の内部構成を示すブロック図 直交検波回路の内部構成を示すブロック図 複素平面表示の複素ドップラー信号を示す図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図 クラッター成分低減部におけるクラッター成分低減処理の過程を説明するための図 クラッター成分低減部におけるクラッター成分低減処理の過程の他の例を説明するための図 周波数スペクトルC(ω)に基づいて血流速度VおよびパワーPを算出する他の方法について説明するための図 クラッター追従処理の考え方について説明するための図 クラッター追従処理の考え方について説明するための図 クラッター追従処理の考え方について説明するための図 クラッター追従処理の考え方について説明するための図 本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図 本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図 本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図 本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図 本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図
以下、本発明の実施の形態に係る超音波診断装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示した例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能および構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
<超音波診断装置100の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波診断装置100の構成を例示した図である。図1に示すように、超音波診断装置100は、制御器1および操作部2を備える。制御器1は、本発明の制御装置の一例である。制御器1は、送信部3、受信部4、Bモード画像生成部5、ROI設定部6、Cモード画像生成部7、表示処理部8および制御部9を含んでいる。
図2は、超音波診断装置100のハードウエアの主要な構成を示す図である。ハードウエアの観点では、超音波診断装置100は、例えば、パルサー52、増幅器53、ADコンバータ54、送信ビームフォーマー55、受信ビームフォーマー56、Bモード画像処理器58、Cモード画像処理器59、メモリ60および演算処理器61を有する。
超音波探触子101は、超音波を送受信する複数の圧電変換素子51を含み、ケーブルとコネクタまたは無線通信手段等を介して超音波診断装置100に接続される。パルサー52、ADコンバータ54および増幅器53は、圧電変換素子51の数に対応して複数用意される。メモリ60には、図1に示す各構成要素の機能を実現するための手順を規定したプログラム、および、各構成要素を所定の手順で動作させることにより、超音波診断装置100、超音波探触子101および表示器102を制御し、以下のBモード画像およびCモード画像の生成および表示するための手順を規定したプログラムが記憶されている。これらのプログラムがメモリ60から逐次読み出され、演算処理器61により実行される。
図1に示す各構成要素は、図2に示すハードウエアによって構成される。
送信部3は、図2に示すパルサー52および送信ビームフォーマー55に対応する。受信部4は、図2に示す増幅器53、ADコンバータ54および受信ビームフォーマー56に対応する。Bモード画像生成部5は図2に示すBモード画像処理器58に、Cモード画像生成部7は図2に示すCモード画像処理器59に、表示処理部8はBモード画像処理器58およびCモード画像処理器59に、それぞれ対応する。
一方、ROI設定部6の機能は、ソフトウエアによって実現される。具体的には、メモリ60に記憶されたプログラムを演算処理器61が実行することにより、ROI設定部6の機能が実現される。つまり、ROI設定部6は、プログラムによって構成されているともいえる。
上述したハードウエアの構成は一例であって種々の改変が可能である。例えば、Bモード画像生成部5やCモード画像生成部7の機能は、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、送信ビームフォーマー55および受信ビームフォーマー56の機能は、ソフトウエアにより実現されてもよい。演算処理器61およびメモリ60を含むパソコンを、図2に示すハードウエアの代わりに用いてもよい。
また、制御器1の各機能ブロックについて、各々の機能ブロックの一部または全部の機能を、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現することもできる。各機能ブロックを実現するLSIは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムできるFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサー(ReConfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。
上述したように、超音波探触子101は、一次元方向に配列された複数の圧電変換素子51を有し、この圧電変換素子51それぞれが後述する送信部3からの送信電気信号を超音波へと変換し、超音波ビームを生成する。従って、操作者は、被計測物である被検体表面に超音波探触子101を接触させることで、被検体内部に超音波ビームを照射することができる。そして、超音波探触子101は、被検体内部からの反射超音波を受信し、複数の圧電変換素子51でその反射超音波を受信電気信号へと変換して後述する受信部4に供給する。
なお、本発明の実施の形態においては、超音波探触子101は、一例として、複数の圧電変換素子51が一次元方向に配列された超音波探触子101を説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の圧電変換素子が2次元的に配列された超音波探触子や、一次元方向に配列された複数の圧電変換素子が揺動する超音波探触子等を用いるようにしてもよい。また、制御部9の制御に基づいて、送信部3が、複数の圧電変換素子51のうち、使用する素子を選択し、選択した素子に電圧を与えるタイミングや電圧の値を素子毎に変化させることによって、超音波探触子101が送信する超音波ビームの照射位置や照射方向を制御することができる。
また、超音波探触子101は、後述する送信部3や受信部4の一部の機能を含んでいてもよい。具体的には、例えば、超音波探触子101は、送信部3から出力された送信電気信号を生成するための制御信号(以下、「送信信号」とする。)に基づき、超音波探触子101内で送信電気信号を生成し、この送信信号を圧電変換素子51により超音波に変換するとともに、受信した反射超音波を受信電気信号に変換し、超音波探触子101内で受信電気信号に基づき後述する受信信号を生成するようにしてもよい。
超音波探触子101と超音波診断装置100とは、ケーブル等を介して電気的に接続されるように構成されてもよいし、送信信号や受信信号の送受信を無線通信により行うように構成されてもよい。ただし、無線通信を行う構成の場合は、超音波診断装置100および超音波探触子101が無線通信可能な通信部を有する必要がある。
表示器102は、超音波診断装置100(後述する表示処理部8)から出力された画像を表示する表示デバイスである。なお、本実施の形態においては、表示器102と超音波診断装置100とが別体であって、表示器102と超音波診断装置100とが接続された構成を例示しているが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば、表示器102と後述の操作部2とが一体化され、タッチパネルとなっていてもよい。
操作部2は、操作者から入力を受け付け、操作者の入力に基づく指令を超音波診断装置100、具体的には制御器1の制御部9に出力する操作デバイスである。操作部2は、例えば、Bモード画像のみを表示器102に表示させるモード(以下、「Bモード」とする。)か、Bモード画像上にCモード画像を表示器102に重畳表示させるモード(以下、「Cモード」か、を選択する操作者の操作を受け付ける。
Bモード画像は、反射超音波の振幅強度を輝度で表示することで被検体の内部組織を画像化した画像である。一方、Cモード画像は、Bモード画像中に指定した関心領域(ROI:Region Of Interest)内において、血流情報をカラー表示した画像である。Cモード画像は、ROI内の血流情報を、例えば、超音波探触子に近づく方向の血流を赤色成分で、遠ざかる方向の血流を青色成分に割り当てて表示した画像であって、Bモード画像上に重畳表示される。操作部2は、Cモードが選択された場合に、操作者がROIの位置を指定する操作を受け付ける。
また、操作部2は、Cモードが選択された場合に、血流の状態を示す血流信号としての血流速度Vにより血流の流速および方向をカラー表示するVモード、血流信号としての血流のパワーPにより血流のパワーをカラー表示するPモード、方向を含めて血流のパワーをカラー表示するdP(方向付パワー)モード等、複数の表示モードからいずれかを選択する操作を受け付ける。
送信部3は、圧電変換素子51を有する超音波探触子101から超音波ビームを送信させるための送信信号を生成する。そして、送信部3は、生成した送信信号に基づいて所定のタイミングで高圧の送信電気信号を図示しない電源から超音波探触子101に対して供給させ、超音波探触子101の圧電変換素子51を駆動させる。これにより、超音波探触子101が、送信電気信号を超音波へと変換し、被検体に対して超音波ビームを照射する。以下では、送信部3が行う送信信号の生成処理と、超音波探触子101への送信電気信号の供給処理とを合わせて送信処理と称する。
送信部3は、Cモード画像を表示させる場合には、Bモード画像を表示させるための送信処理に加え、Cモード画像を表示させるための送信処理を行う。具体的には、例えば、Bモード画像を表示させるための電気的な送信信号を供給した後に、ROI設定部6で設定されたROIの全方向(全ライン)に対して、Cモード画像を表示させるためのQSP(Quad Signal Processing:4列並列受信)用の電気的な送信信号を同一方向(同一ライン)にn(nは例えば6〜12)回繰り返し供給する。また、送信部3は、送信処理時にBモード画像用の送信処理あるいはCモード画像用の送信処理の付加情報を指定しておき、この付加情報を受信部4に供給する。
受信部4は、QSPに対応する反射超音波に基づく電気的なRF(Radio Frequency)信号としての受信信号を生成する受信処理を行う。受信部4は、例えば、QSPにより超音波探触子101で反射超音波を受信し、その反射超音波に基づき変換された受信電気信号に対し、受信電気信号を増幅してA/D変換を行うことで受信信号を生成する。そして、送信部3による送信処理と受信部4による受信処理とが複数回繰り返されることで、受信部4は複数枚の画像フレームに対応する複数の受信信号を取得する。
受信部4は、上述したように、送信部3から付加情報を取得する。受信部4は、取得した付加情報がBモード画像用の付加情報であれば、受信信号をBモード画像生成部5に供給し、取得した付加情報がCモード画像用の付加情報であれば受信信号をCモード画像生成部7に供給する。以下、Bモード画像生成用の受信信号を「Bモード受信信号」、Cモード画像生成用の受信信号を「Cモード受信信号」と称する。
なお、本発明の実施の形態においては、生成した画像フレームに対応する受信信号を、受信部4が、Bモード画像用かCモード画像用かを選別して各ブロックに供給する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、受信部4が生成した画像フレームに対応する受信信号を、Bモード画像生成部5とCモード画像生成部7とが各々選別するようにしてもよい。
また、上述した例では、Cモード画像を表示させるための送信部3および受信部4の処理は、においてQSPを使用する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば6並列受信等、他の複数並列受信に対応する送信処理・受信処理としてもよい。
Bモード画像生成部5は、主にBモード受信信号の振幅を解析して、被検体の内部構造が画像化されたデータ(「Bモード画像データ」)を生成する。Bモード画像データは、主に受信信号の信号強度に応じて輝度信号へと変換され、その輝度信号を直交座標系に対応するように座標変換が施された画像信号を含む。Bモード画像生成部5で生成されたBモード画像データは、表示処理部8に供給される。
ROI設定部6は、操作者の操作部2に対する操作により指定されたBモード画像上の所望の位置にROIを設定する。そして、ROI設定部6は、Bモード画像上の所望の位置に設定されたROIに関する情報を送信部3および表示処理部8に供給する。送信部3は、このROIに係る情報を用いて、ROIが指定された範囲内の被検体に対してCモードに対応した送信処理を行う。
Cモード画像生成部7は、受信部4で取得したCモードでの受信信号に基づいて、Cモード画像を生成する。図3は、Cモード画像生成部7の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、具体的には、Cモード画像生成部7は、直交検波回路71と、コーナーターン制御部72と、クラッター成分低減部73と、ノイズカットフィルター部74と、フレーム間フィルター75と、Cモード画像変換部76と、を有し、それぞれ以下の機能を実行する。
直交検波回路71は、受信部4で取得したCモードでの受信信号を直交検波することにより、取得したCモードでの受信信号と、参照信号との位相差を算出し、複素ドップラー信号を取得する。図4Aは、直交検波回路71の内部構成を示すブロック図である。図4Bは、複素平面表示の複素ドップラー信号を示す図である。
図4Aに示すように、直交検波回路71は、乗算部711、712と、LPF(Low Pass Filter)713、714と、を有する。以下、Cモードでの受信信号(正弦波)をa・sin(ω+ω)tで表す。ωは、参照波の角振動数である。乗算部711は、Cモードでの受信信号と参照波(sinωt)との乗算を行う。乗算部712は、Cモードでの受信信号と参照波(cosωt)との乗算を行う。
LPF713は、乗算部711の乗算結果の信号の高周波成分をフィルタリングして、複素ドップラー信号の実成分であるドップラー信号Iとして出力する。LPF714は、乗算部712の乗算結果の信号の高周波成分をフィルタリングして、複素ドップラー信号の虚成分であるドップラー信号Qとして出力する。すると、図4Bに示すように、ドップラー信号(I,Q)は、複素平面上では、複素ドップラー信号z=I+iQ=Aeiθ(i:虚数単位)として表される。
振幅A、位相θは、参照波の角振動数ωに対応する周波数fを中心とする帯域の信号成分の振幅、位相である。このようにして、直交検波回路71は、振幅A、位相θを検出する。
コーナーターン制御部72は、直交検波回路71から出力されたドップラー信号I,Qに対して、同一音響線(ライン)毎に、超音波探触子101から被検体への深さ方向と、超音波の送受信の繰り返し回数n(アンサンブル数)のアンサンブル方向と、に配列してメモリ(図示略)に格納する。アンサンブル方向の番号毎のドップラー信号I,Qのデータは、ヘッダ部と実データ部と、を含み、コーナーターン制御部72は、メモリに格納されたドップラー信号I,Qの実データ部を、深さ毎に読み出して出力する。
ここで、ドップラー信号(I,Q)には、Cモード画像生成に必要な血流の信号成分に加えて、不要な情報であるクラッター成分が混在している。クラッター成分低減部73は、ドップラー信号(I,Q)からクラッター成分を抽出して低減し、クラッター成分を低減した血流速度VおよびパワーPを出力するクラッター成分低減処理を行う。クラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理についての詳細は後述する。
ノイズカットフィルター部74は、例えばモフォロジー処理や、キーホールフィルター、空間フィルター等を用いたフィルタリング処理等により、クラッター成分低減部73が出力した血流速度VおよびパワーPに対してノイズカット処理を行う。
フレーム間フィルター75は、ノイズカットフィルター部74によりフィルタリングされた血流速度VおよびパワーPのうち、操作者が操作部2により選択した表示モードに対応して、Cモード画像を構成する各フレームの血流成分に対してフレーム間の変化を滑らかにし、かつ残像を残すようにフィルタリングを行う。
Cモード画像変換部76は、フレーム間フィルター75によりフィルタリングされた血流速度V、パワーPを、Cモード画像に変換する。
表示処理部8は、Bモード画像生成部5が出力したBモード画像データと、ROI設定部6が出力したROIに関する情報と、Cモード画像生成部7が生成したCモード画像データと、に基づいて、表示器102に表示させる表示画像データを構築し、表示器102にその表示画像データを表示させる処理を行う。具体的には、Bモードが選択されている場合は、Bモード画像生成部5で生成したBモード画像を表示器102に表示させる。また、Cモードが選択されている場合は、Bモード画像上のROIの位置に、Cモード画像を重畳させた合成画像データを生成して、表示器102に表示させる。
<クラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理>
以下では、クラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理について詳細に説明する。
図5A〜図5Fは、クラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理の考え方について説明するための図である。
クラッター成分低減部73は、最初に、コーナーターン制御部72から入力されたドップラー信号(I,Q)に対してFFT(高速フーリエ変換)等を行い、周波数スペクトルA(ω)を取得する(図5A)。この周波数スペクトルA(ω)は、血流成分とクラッター成分とを含んでいる。なお、図5A〜図5Fにおいて、縦軸は血流パワー(対数表示)、横軸は周波数ωである。
本発明の実施の形態において、クラッター成分低減部73がドップラー信号(I,Q)から周波数スペクトルA(ω)を取得するための変換として、FFTを例示したが、本発明はこれに限定されない。クラッター成分低減部73は、他の周波数変換方法を用いて周波数スペクトルを取得してもよい。
次に、クラッター成分低減部73は、生成した周波数スペクトルA(ω)を左右反転(正負反転)する(図5B)。そして元の周波数スペクトルA(ω)と、左右反転した周波数スペクトルとを重ねる(図5C)。さらに、元の周波数スペクトルA(ω)と反転した周波数スペクトルとが重なっている状態において、ω毎に、パワーが大きくない方を抽出し、抽出した結果に基づいて新たな周波数スペクトルB(ω)を生成する(図5D)。図5Dに示すように、周波数スペクトルB(ω)は必ず正負で対称となる。
図5A〜図5Dの処理において、クラッター成分低減部73は、周波数スペクトルA(ωの正負対称性に着目して、A(+ω)とA(−ω)を比較し、そのうちの大きくない方を抽出して新たな周波数スペクトルB(ω)を生成している。この新たな正負対称の周波数スペクトルB(ω)は、ドップラー信号(I,Q)に基づいて取得された周波数スペクトルA(ω)に含まれるクラッター成分に対応する周波数スペクトルであると考えられる。その理由は、以下の通りである。
クラッター成分はランダム性が高いため、クラッター成分に対応する周波数スペクトルの平均値は、正負対称となると考えられる。従って、A(+ω)とA(−ω)のうちの大きくない方を抽出することで、周波数スペクトルA(ω)のうち、正負対称な成分を抽出することができ、当該成分がクラッターに相当する成分であると考えることができる。
上記した理由により、図5Dにおいてクラッター成分に相当する周波数スペクトルB(ω)を抽出することができる。従って、図5Eに示すように、元の周波数スペクトルA(ω)から、クラッター成分に対応する周波数スペクトルB(ω)を減算(図5A〜図5Fの縦軸は対数表示であるため、より正確には除算)することにより、クラッター成分を低減した、ほぼ血流成分のみに対応する周波数スペクトルC(ω)を生成する(図5F)ことができる。
図6は、クラッター成分低減部73におけるクラッター成分低減処理の過程を説明するための図である。
クラッター成分低減部73は、コーナーターン制御部72からドップラー信号(I,Q)が入力されると、ドップラー信号(I,Q)を数点ずつのデータ列に区切り(プロセスP1)、区切ったデータ列に基づいて高速フーリエ変換(FFT)により(プロセスP2)、周波数スペクトルへと変換する(プロセスP3)。
なお、プロセスP1において、クラッター成分低減部73がドップラー信号(I,Q)をデータ列に区切る際に、あるデータ列の末尾数点のデータとその次のデータ列の先頭数点のデータとを重複させるようにしてもよい。具体的には、例えば、複素ドップラー信号z1,z2,z3,…,zMを128点ずつのデータ列に区切る場合、各データ列を、以下のデータ列のように120点ずつ重複するように区切ってもよい。
(1)z1,z2,z3,…,z128
(2)z9,z10,z11,…,z136
(3)z17,z18,z19,…,z144
(4)・・・
このような処理により、データ列毎に周波数スペクトルA(ω)が得られる(プロセスP3)。
このように、あるデータ列の末尾数点のデータとその次のデータ列の先頭数点のデータとを重複させることによって、より詳細に各データ列から得られる周波数スペクトルA(ω)の時間的な変化を捉えることができるようになる。ただし、重複させるデータを増やすと、同じ時間分のデータを処理するのに時間がかかるようになるため、重複させるデータの数については、例えば操作者の操作によって好適な数に設定されればよい。
次に、各ωについて、A(+ω)の値とA(−ω)の値とを比較して、大きくない方のみを抽出し(プロセスP4)、抽出した値に基づいて周波数スペクトルB(ω)を生成する(プロセスP5)。プロセスP5において生成された周波数スペクトルB(ω)は、上述したように、クラッター成分に対応する周波数スペクトルと考えられる。
そして、元の周波数スペクトルA(ω)から新たに生成した周波数スペクトルB(ω)を除算し(プロセスP6)、クラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)を生成する(プロセスP7)。そして、クラッター成分が低減され、ほぼ血流成分のみとなった周波数スペクトルC(ω)を用いて、血流速度VとパワーPとを算出する(プロセスP8、P9)。
なお、周波数スペクトルC(ω)から血流速度Vを算出するには、以下の式(1)を用いる。
Figure 2018110656
また、周波数スペクトルC(ω)からパワーPを算出するには、以下の式(2)を用いる。
Figure 2018110656
ただし、Mは入力されたドップラー信号のデータ点の個数である。
以上のようにして、クラッター成分低減部73はクラッター成分を低減した血流速度VとパワーPとを算出し、出力することができる。
<クラッター成分低減処理の変形例>
上記説明した本発明の実施の形態に係るクラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理は一例であって、本発明はこれに限定されない。以下では、クラッター成分低減部73によるクラッター成分低減処理の変形例について説明する。
[変形例1]
図5に説明した方法では、周波数スペクトルA(ω)を左右(正負)反転し、A(+ω)とA(−ω)のうち大きくない方を抽出して、クラッター成分に相当する周波数スペクトルB(ω)を生成していた。変形例1では、周波数スペクトルB(ω)を生成する他の方法について説明する。
図7は、クラッター成分低減部73におけるクラッター成分低減処理の過程の他の例を説明するための図である。図7に示すように、プロセスP1〜P3、プロセスP7〜9は、図6に関連づけて説明したクラッター成分低減処理と同様であり、図6に示すプロセスP4〜6の代わりにプロセスP11が行われる点が図6に関連づけて説明したクラッター成分低減処理と異なっている。
プロセス11において、クラッター成分低減部73は、あるωの値について、比較値d=A(ω)−A(−ω)を算出する。そして、比較値dの値に応じて、以下の表1のようにクラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)を生成する。
Figure 2018110656
このようにして生成した周波数スペクトルC(ω)は、図5Fに示す周波数スペクトルC(ω)と同じものである。
従って、このような方法により、クラッター成分低減部73はクラッター成分を低減した血流速度VとパワーPとを算出し、出力することができる。変形例1にて説明したクラッター成分低減処理は、上記図6に関連づけて説明したクラッター成分低減処理と比較して、プロセス数が少ないため高速に処理を行うことができ、より好適である。
[変形例2]
上記図6および図7に関連づけて説明したクラッター成分低減処理では、クラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)に基づいて、式(1)および式(2)を用いて血流速度VおよびパワーPを算出している。
変形例2では、周波数スペクトルC(ω)に基づいて血流速度VおよびパワーPを算出する他の方法について説明する。
図8は、周波数スペクトルC(ω)に基づいて血流速度VおよびパワーPを算出する他の方法について説明するための図である。プロセスP7において周波数スペクトルC(ω)を生成するところまでは、図6または図7に関連づけて説明したクラッター成分低減処理と同様であるため、説明を省略する。
プロセスP12において、クラッター成分低減部73は、生成された周波数スペクトルC(ω)に対してIFFT(逆高速フーリエ変換)等を行い、クラッター成分が低減されたドップラー信号(I,Q)を生成する。なお、クラッター成分低減部73は、周波数変換としてFFT以外の方法を用いている場合は、周波数変換方法の逆変換を行ってドップラー信号を生成すればよい。
プロセスP13において、クラッター成分低減部73は、クラッター成分が低減されたドップラー信号(I,Q)(複素ドップラー信号z)に対して、以下の式(3)を用いて相関演算処理を行い、ドップラー信号の自己相関演算の平均値S(位相差ベクトルの平均値)の実部Dおよび虚部Nを算出する。
Figure 2018110656
次に、プロセスP14において、クラッター成分低減部73は、ドップラー信号の自己相関演算の平均値Sの実部Dおよび虚部Nから、以下の式(4)および式(5)を用いて血流速度VおよびパワーPを算出する。
Figure 2018110656
Figure 2018110656
このようにして算出した血流速度VおよびパワーPは、計算方法が異なるため、式(1)および式(2)を用いて算出した値とは異なる。しかしながら、どちらの方法を用いて算出した血流速度VおよびパワーPを用いても、Cモード画像変換部76はCモード画像を生成することができる。
[変形例3]
次に、以下説明する変形例3では、上記説明したクラッター成分低減部73のクラッター成分低減処理において、より正確にクラッター成分の低減を行うために、以下説明するようなクラッター追従処理を追加して行う例について説明する。
図9A〜図9Dは、クラッター追従処理の考え方について説明するための図である。図9Aは、図6に関連づけて説明したクラッター成分低減処理のプロセスP3において生成された周波数スペクトルA(ω)を示すグラフの一例である。図9Aに示す例では、周波数スペクトルA(ω)のピーク部位がグラフの中心からずれている。
そこで、クラッター成分低減部73は、図9Bに示すように、全てのωに対してA(ω)の平均をとり、+側と−側の合計値がほぼ等しくなるように全体をシフトして周波数スペクトルA’(ω)を生成する。図9Bの場合は、全体が左側にシフトされている。
そして、クラッター成分低減部73は、図9Cに示すように、周波数スペクトルA’(ω)を用いて、上述した方法によりクラッター成分が低減された周波数スペクトルC’(ω)を生成する。
さらに、クラッター成分低減部73は、図9Dに示すように、周波数スペクトルC’(ω)を図9Bとは反対側に同じ量だけシフトする。図9Dの場合は、図9Bとは反対に、全体が右側にシフトされている。これにより、正負の対称性を利用して、より好適にクラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)を生成することができるようになる。
[変形例4]
以下説明する変形例4では、上記説明したクラッター成分低減部73のクラッター成分低減処理において、クラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)に対して平滑化処理を行う例について説明する。
クラッター成分が低減された周波数スペクトルC(ω)に対して平滑化処理を行うことにより、算出される血流速度VおよびパワーPの分散を低減することができるようになる。
なお、クラッター成分低減部73による平滑化処理の方法については、本発明では限定しない。例えば、クラッター成分低減部73は、周波数スペクトルC(ω)の移動平均をとる等によって平滑化を行うようにすればよい。
<作用・効果>
以上説明したように、本発明の超音波診断装置の制御装置は、被検体内で反射した反射超音波に基づく受信信号から、ドップラー信号を検波する検波部と、ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを取得し、取得した周波数スペクトルにおいて血流成分の非対称性と区別されるクラッター成分の対称性に基づいて、取得した周波数スペクトルからクラッター成分を低減させるクラッター成分低減部と、を有する。
より詳細には、クラッター成分低減部は、生成した周波数スペクトルに含まれるクラッター成分が有する周波数の正負に対する対称性に基づいて、周波数スペクトルからクラッター成分を低減させる。
より具体的には、クラッター成分低減部は、生成した周波数スペクトルA(ω)を正負反転させた周波数スペクトルA(−ω)の強度と、元の周波数スペクトルA(ω)の強度とを周波数ω毎に比較し、大きくない方の強度を選択してクラッター成分の周波数スペクトルB(ω)を生成し、元の周波数スペクトルA(ω)からクラッター成分の周波数スペクトルB(ω)を減算してクラッター成分を低減させた周波数スペクトルを生成する。
あるいは、クラッター成分低減部は、周波数スペクトルA(ω)の周波数ω毎に、正の周波数ωに対する周波数スペクトルA(ω)の強度と、逆符号の周波数−ωに対する周波数スペクトルA(−ω)の強度と、を算出して差分d=A(ω)−A(−ω)をとり、d≧0の場合はC(ω)=d、d<0の場合はC(ω)=0となるような新たな周波数スペクトルC(ω)を生成し、新たな周波数スペクトルC(ω)を周波数スペクトルA(ω)からクラッター成分を低減した周波数スペクトルとする。
このような構成を有する本発明の超音波診断装置によれば、例えば拍動等、組織が動くことによってクラッター成分が発生している場合でも、クラッターによる周波数スペクトル成分を正確に抽出し、低減することができる。
図10A〜図10Eは、本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理の効果を説明するための図である。図10Aは、例えば心臓の拍動等により、一部の周波数領域においてクラッター成分が大きくなっている場合の、血流成分とクラッター成分とを含む周波数スペクトルを例示したグラフである。図10Aにおいては、領域Rが拍動によるクラッター成分に対応しているとする。
例えば、特許文献1に開示された技術のように、周波数スペクトルの正規分布をクラッター成分とした場合、図10Bに示すように、周波数スペクトルの正規分布は元の周波数スペクトルから大きく離れた値をとり、クラッター成分を正確に抽出できていない。このため、図10Bに示す周波数スペクトルの正規分布を元の周波数スペクトルから低減すると、図10Cに示すように、拍動によるクラッター成分が低減しきれていない周波数スペクトルが生成される。
一方、本発明を適用した超音波診断装置によるクラッター成分低減処理では、図10Dに示すように、クラッター成分の正負の対称性に基づいてクラッター成分を抽出するので、図10Eに示すように、クラッター成分を正確に低減し、ほぼ血流成分のみとなった周波数スペクトルを生成することができる。
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。特許請求の範囲の記載範囲内において、当業者が想到できる各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本発明は、超音波を利用した超音波診断装置の超音波探触子に好適である。
100 超音波診断装置
101 超音波探触子
102 表示器
1 制御器
2 操作部
3 送信部
4 受信部
5 Bモード画像生成部
6 ROI設定部
7 Cモード画像生成部
71 直交検波回路
711 乗算部
712 乗算部
713,714 LPF
72 コーナーターン制御部
73 クラッター成分低減部
74 ノイズカットフィルター部
75 フレーム間フィルター
76 Cモード画像変換部
8 表示処理部
9 制御部
51 圧電変換素子
52 パルサー
53 増幅器
54 ADコンバータ
55 送信ビームフォーマー
56 受信ビームフォーマー
58 Bモード画像処理器
59 Cモード画像処理器
60 メモリ
61 演算処理器

Claims (8)

  1. 超音波診断装置の制御装置であって、
    被検体内で反射した反射超音波に基づく受信信号から、ドップラー信号を検波する検波部と、
    前記ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを取得し、取得した周波数スペクトルにおいて血流成分の非対称性と区別されるクラッター成分の対称性に基づいて、取得した周波数スペクトルからクラッター成分を低減させるクラッター成分低減部と、
    を有する、
    制御装置。
  2. 前記クラッター成分低減部は、生成した前記周波数スペクトルに含まれる前記クラッター成分が有する周波数の正負に対する対称性に基づいて、前記周波数スペクトルから前記クラッター成分を低減させる、
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記クラッター成分低減部は、生成した前記周波数スペクトルA(ω)を正負反転させた周波数スペクトルA(−ω)の強度と、元の周波数スペクトルA(ω)の強度とを周波数ω毎に比較し、大きくない方の強度を選択して前記クラッター成分の周波数スペクトルB(ω)を生成し、元の周波数スペクトルA(ω)から前記クラッター成分の周波数スペクトルB(ω)を減算して前記クラッター成分を低減させた周波数スペクトルを生成する、
    請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記クラッター成分低減部は、前記周波数スペクトルA(ω)の周波数ω毎に、周波数ωに対する周波数スペクトルA(ω)の強度と、逆符号の周波数−ωに対する周波数スペクトルA(−ω)の強度と、を算出して差分d=A(ω)−A(−ω)をとり、d≧0の場合はC(ω)=d、d<0の場合はC(ω)=0となるような新たな周波数スペクトルC(ω)を生成し、前記新たな周波数スペクトルC(ω)を前記周波数スペクトルA(ω)から前記クラッター成分を低減した周波数スペクトルとする、
    請求項1または2に記載の制御装置。
  5. 前記クラッター成分低減部は、前記周波数スペクトルA(ω)における正の全周波数に対する強度の平均と、負の全周波数に対する強度の平均とが等しくなるように前記周波数スペクトルを正負いずれかにシフトした周波数スペクトルA’(ω)を生成し、周波数スペクトルA’(ω)から前記クラッター成分を低減させた後に前記シフトと反対方向に同じ量だけシフトして前記クラッター成分を低減させた前記周波数スペクトルを生成する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 前記クラッター成分低減部は、前記クラッター成分を低減させた周波数スペクトルに対して平滑化処理を行う、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置と、
    前記クラッター成分を低減させた前記周波数スペクトルに基づいて超音波画像を表示装置に表示させる表示処理部と、
    を有する超音波診断装置。
  8. 超音波を送信し、送信された超音波が被検体の反射面で反射された反射超音波を受信する超音波探触子と接続可能な超音波診断装置のクラッター成分低減方法であって、
    前記超音波探触子から超音波を送信させるための送信信号を生成し、
    前記超音波探触子の受信した反射超音波に基づいて受信信号を生成し、
    前記受信信号に基づいてドップラー信号を生成し、前記ドップラー信号に基づいて超音波画像を生成し、
    前記ドップラー信号に基づいて周波数スペクトルを生成し、前記周波数スペクトルにおける正負の周波数に関する対称性に基づいて、前記周波数スペクトルからクラッター成分を低減させる、
    クラッター成分低減方法。
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