JP2018108035A - 水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法 - Google Patents

水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで且つ維持管理が簡易でありながらも、植物の高葉酸化を図ると共に、水耕栽培用養水の腐敗を抑制することの出来る水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法を提供することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため、成分調整剤を収容する容器を有し、当該容器表面の少なくとも一部に分画分子量が15000以下の透析膜を備えたことを特徴とする水耕栽培用の養水成分調整器を採用する。また、この水耕栽培用の養水成分調整器を水耕栽培用養水に浸漬して用いて植物を生育することを特徴とする水耕栽培方法を採用する。
【選択図】図1

Description

本件発明は、水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法に関する。
近年、人体の健康維持や改善を図る上で必要な葉酸等の機能性を持った栄養素が注目されている。この葉酸には、胎児の二分脊椎症予防認知症の予防、造血作用、脳の機能回復等様々な効能があるとされている。そして、葉酸の摂取量が少ないと、口腔の炎症、肌荒れ、疲労感等の症状が起こり、悪性貧血や動脈硬化を引き起こす恐れもある。そのため、葉酸は日常的に摂取することが好ましいが、日常食で必要十分な量の葉酸を摂取するにはレバー、鰻、野菜等の葉酸を含む食品を多量に摂取しなければならず、継続することが困難である。
そこで、日常において、葉酸を必要十分な量摂取するに際して最も手軽で簡単な方法としてサプリメントの利用が挙げられるが、人工的に作られたサプリメントの葉酸は、体内への吸収量が大きく、発癌や喘息発症のリスクが高くなることが知られている。よって、葉酸を摂取するにあたっては、サプリメントに依存するよりも普段の食事で摂取することが安全面及び栄養面を考慮すると望ましい。また、野菜等の食材中には、葉酸以外にもビタミンやミネラル等の人体に有効とされる成分が豊富に含まれており、総合的な栄養素の摂取が可能である。以上のことから、近年、食用植物に葉酸を高濃度で含有させる試みがなされている。
食用植物に葉酸を高濃度で含有させる手段としては、「遺伝子組み換え」、「肥料に対する葉酸粉の添加」、「品種改良による新しい種の創造」があるが、これらは健康面やコスト面等で何らかの問題がある。これをふまえ、本発明者は、以前に、栽培する植物の葉酸含有量を高めると共に、これらの問題が生じない植物栽培方法を見出している(特許文献1)。この植物栽培方法では、特に水耕栽培用の養水に酵母を含ませることで、栽培する植物の葉酸含有量を効果的に高めることが出来る。水耕栽培によれば、養水に酵母を含めることで、根が当該養水の中を自由に伸びて当該養水中の酵母成分を十分に吸収することが出来る。
ただし、水耕栽培用の養水に酵母を含ませた場合、当該酵母が当該養水の腐敗を促進してしまい、栽培する植物の根がダメージを受けたり、不快臭を発生するという問題が生ずる。このような問題に対して、例えば、水耕栽培において栽培ベッドから戻る養水を加熱して当該養水中に含まれる病原菌等の菌を殺菌したり(特許文献2)、水耕栽培用の養水中に電極を設け、電気を通して水を電気分解する(特許文献3)等の方法が存在する。
特許第5763282号 特開平3−127918号公報 特開昭62−205723号公報
しかし、特許文献2及び特許文献3に開示の方法では、設備コストの著しい増大を招いてしまう。また、これら特許文献2及び特許文献3に開示の方法は、維持管理に高度な技術を要し、一般消費者が行うには困難が伴う。更に、水耕栽培の規模が大きいと、特許文献3に開示の方法では、大量の水を処理することができず対応が困難である。
そこで本件発明では、上記の課題に鑑み、低コストで且つ維持管理が簡易でありながらも、植物の高葉酸化を図ると共に、水耕栽培用養水の腐敗を抑制することの出来る水耕栽培用の養水成分調整器、及びそれを用いた水耕栽培方法を提供することを目的とする。
本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器: 本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器は、成分調整剤を収容する容器を有し、当該容器表面の少なくとも一部に分画分子量が15000以下の透析膜を備えたことを特徴とする。
本件発明に係る水耕栽培方法: 本件発明に係る水耕栽培方法は、上述した水耕栽培用の養水成分調整器を水耕栽培用養水に浸漬して用いて植物を生育することを特徴とする。
本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法によれば、低コストで且つ維持管理が簡易でありながらも、植物の高葉酸化を図ると共に、水耕栽培用養水の腐敗を抑制することが出来る。
本件発明の一実施形態としての水耕栽培用の養水成分調整器を示した図である。 本件発明の一実施形態における水耕栽培用の養水成分調整器を水耕栽培槽内に配置した状態を例示した図である。 酵母処理栽培及び酵母未処理栽培の葉酸平均含有量とレタス平均重量との関係を示したグラフである。
以下、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器、及びそれを用いた水耕栽培方法の一実施形態について説明する。
(水耕栽培槽)
本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器について説明する前に、まずはこの養水成分調整器を配置する水耕栽培槽に関して簡単に示しておく。図2は、本件発明の一実施形態における水耕栽培用の養水成分調整器を水耕栽培槽内に配置した状態を例示した図である。
図2に示すように、本実施形態における水耕栽培槽10は、植物20を栽培するにあたって、植物20に栄養成分を供給する養水12を収容する。また、水耕栽培槽10は、植物20の根のみが養水12に浸かるように植物20を固定配置する栽培ベッド11を備える。なお、図2には示されていないが、水耕栽培槽10は、給水回路や排水路を別途備え、養水12を循環させる構成としても良い。この給水回路は、給水タンク、ポンプ、フィルタユニット、開閉バルブ、及び給水源等を備えることが出来る。排水路は、水耕栽培槽10でオーバーフローした養水12を給水タンクへ戻すように形成することが出来る。
(水耕栽培用の養水成分調整器)
次に、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器1について説明する。図1は、本件発明の一実施形態としての水耕栽培用の養水成分調整器を示した図である。養水成分調整器1は、成分調整剤(不図示)を収容する容器2を構成に有する。以下に、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器1が構成として有する容器2、及びこの容器2に収容する成分調整剤に関して説明する。
<容器>
本件発明における容器2は、特定の物質を養水12中に透過させて用いるものである。この容器12内には、透過を目的とする物質が少なくとも含まれた成分調整剤を収容する。この容器12は、少なくとも表面の一部分に分画分子量が15000以下の透析膜を備えている。図1には、容器2の全表面に分画分子量が15000以下の透析膜を備えた養水成分調整器1を示す。容器2は、これらの条件を満たすことで、水耕栽培槽10に収容した養水12中に浸漬配置したときに、養水12を腐敗させる成分(多糖類、蛋白質等)を内部に留めておくことが出来る。すなわち、本件発明における容器2によれば、植物20に含有させたい成分以外を容器2内に留め、養水12の成分調整を可能にすると共に養水12の腐敗の進行を遅らせることが出来る。仮に、容器2に備わる透過膜の分画分子量が15000を超えて、容器2から腐敗を促進する成分が養水12中に放たれると、養水12の腐敗に起因した不快臭が発生すると共に、養水12の腐敗により植物20の根がダメージを受けるため好ましくない。
なお、容器2に備わる透過膜の分画分子量は、12000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、8000以下であることが更に好ましい。
以上に、本件発明における容器2に備わる透析膜の分画分子量について説明したが、栽培する植物20の葉酸含有量を高める上においては、当該分画分子量が少なくとも400以上あればよく、130以上あればより好ましい。これは、葉酸の分子量が約440であり、葉酸の前駆体であるパラアミノ安息香酸(PABA)の分子量が約137であることによる。
また、本件発明における容器2は、その形状に関して、特に限定されないが、袋体又は箱体であることが利便性、汎用性に優れ、低コストを実現できるため好ましい。ここで、袋体は、チューブ状を含む。容器2がチューブ状である場合には、その両端を紐やクリップ等の締結具3を用いて閉口させることが出来る。
<成分調整剤>
本件発明における成分調整剤は、植物20に含有させたい成分そのものや前駆物質を含むものであれば良く、特に制限されない。また、栽培する植物20に葉酸を高濃度で含有させるには、当該成分調整剤に酵母を含有させることがより好ましい。ここでいう、「酵母」は、清酒酵母やビール酵母等の醸造用酵母、パン酵母、ワイン酵母、味噌醤油酵母等の一般的に食品や食品の製造に用いられる酵母であれば良く、特に制限されない。また、酵母は、その形態として、酵母菌体自体(培養物、乾燥物を含む。)の他に、酵母エキス(液状、粉末状等)を含むものであっても良い。ここで、酵母エキスとは、酵母の有用な成分を種々の方法(酵素分解、熱水抽出、自己消化等)により抽出し濃縮したものを言う。
〔水耕栽培方法〕
本件発明に係る水耕栽培方法は、上述した養水成分調整器1を用いたものである。以下に、当該水耕栽培方法について簡単に説明する。
本件発明に係る水耕栽培方法は、養水成分調整器1を水耕栽培用養水12に浸漬して用いて植物20を生育することを特徴とする。養水成分調整器1を用いることで、植物20の状態に合わせて、容器2に収容する成分調整剤の量や当該成分調整剤に含める成分を適宜設定することが出来る。そのため、本件発明に係る水耕栽培方法によれば、植物20の栄養不足を招いたり、養水12中の栄養成分過多に伴うアオコの大量発生等の問題が生じるのを防ぐことが出来る。
また、養水成分調整器1は、当該成分調整剤として生物由来の資源を原料とする有機質肥料を用いた場合でも、水耕栽培用の養水12を腐敗させる成分(多糖類、蛋白質等)を内部に留めておくことが出来る。そのため、本件発明に係る水耕栽培方法によれば、当該成分調整剤として有機質肥料を用いた場合でも、養水12の腐敗に起因した不快臭の発生や、養水12の腐敗により植物20の根がダメージを受けるのを効果的に防ぐことが出来る。ここで、当該成分調整剤として有機質肥料を用いる場合には、当該有機質肥料を微生物(酵母や細菌)により、植物が吸収出来る形態にまで分解させる必要がある。そのため、当該有機質肥料には、微生物を含めたり、予め分解処理したものを用いる。従来の水耕栽培では、養水12の中に有機物が存在すると、腐敗して上述したような様々な問題が生じることから、人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされる化学肥料が主に用いられてきた。しかしながら、本件発明に係る水耕栽培方法では、上述した問題が生じないため、化学肥料を用いなくても良い。
また、本件発明に係る水耕栽培方法は、栽培する植物20に葉酸を高濃度で含有させる上において、上述した成分調整剤が酵母を含有し、植物の成熟期に養水成分調整器1を水耕栽培用養水12に浸漬することが好ましい。酵母を含有した成分調整剤を用いた養水成分調整器1は、水耕栽培用の養水12に浸漬する時期を栽培する植物20の成熟期とすることで、植物20の栽培効率を効果的に向上させることが可能となる。仮に、栽培する植物20を成長が未熟な段階で、この養水成分調整器1を養水12に浸けると、植物20の弱体化を招き、却って生育の妨げとなる場合がある。
また、本件発明に係る水耕栽培方法は、水耕栽培用養水12中の酵母濃度が0.05wt%以上10wt%以下となるように、容器2に収容する酵母の量及び透析膜の表面積を調整することが好ましい。本件発明に係る水耕栽培方法は、水耕栽培用の養水12における酵母の濃度が0.05wt%以上10wt%以下であることで、栽培する植物20の生育を阻害することなく、植物20に対して酵母に含まれる葉酸をはじめとする様々な栄養成分を与えることができる。ここで、酵母の濃度が0.05wt%未満の場合には、栽培する植物20の葉酸含有量を十分に高めることが出来ない。また、酵母の濃度が10wt%を超える場合には、栽培する植物20に過剰に栄養成分が供給されて、植物20の軟弱化を招いてしまう。
<植物>
本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器1を用いて生育する植物20としては、食用の野菜全般が主な対象となるが、特に限定されない。本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器1及びそれを用いた水耕栽培方法によれば、養水12の腐敗を防いで植物20の成長を促進させるため、観賞用として育てる植物にも好適に用いることが出来る。
以上のことから、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器1を用いれば、誰もが手軽で簡単に植物20の高葉酸化を図ることが出来る。また、本件発明に係る水耕栽培方法によれば、設備投資が不要で、ランニングコストを抑えつつ、安定した品質の植物20を育てることが出来る。
以上に、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器、及びそれを用いた水耕栽培方法について説明したが、以下に本件発明の実施例を示し、本件発明をより詳細に説明する。なお、本件発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
以下に、本件発明の実施例について述べる。それに先立ち、本実施例において用いるレタスの水耕栽培を行った場合における、所望の重量に至るまでの日数確認を行った結果について述べる。
〈レタスの販売に値すると想定される重量に至るまでに要する栽培日数の確認〉
以下に示す実施例及び比較例で、レタスの水耕栽培を行った場合における「葉酸平均含有量」、及び「不快臭」の確認を行うに際して、まずはこれらの確認を行うのに必要となる栽培日数の条件を確認した。
本確認では、水耕栽培する植物としてフリルレタスを用いた。そして、水耕栽培に用いる養水は、OATアグリオ株式会社製のOATハウス1号とOATハウス2号とをA処方にて混合して、EC値が2.0でpHが6.0となるように調整し、水温を18℃に設定した。また、レタスを水耕栽培する環境条件は、気温が21℃、湿度が60〜80%、照射光量(PPFD:光合成有効光量子束密度)が120μmol・m−s−(昭和電工株式会社製LED素子)、照明時間が16時間とした。
表1には、上述した条件で作成した養水に対し、酵母エキスを直接含有して当該養水中の酵母濃度を0.15wt%とした場合(酵母処理栽培)と、酵母を含有しない場合(酵母未処理栽培)における、レタスの栽培日数とレタス平均重量との関係を示す。このレタスの栽培日数に関しては、酵母処理栽培は7日間の酵母処理を含むものとし、具体的には栽培日数が27日の場合は播種から21日目以降より7日間、栽培日数が34日の場合は播種から28日目以降より7日間、栽培日数が40日の場合は播種から34日目以降より7日間の酵母処理を行った。また、表1には、レタスの栽培日数に応じた当該レタスの葉酸含有量も参考として示す。表1に示す結果は、栽培したレタス3固体の平均値であり、新鮮重量(FW)に基づく値である。ここで、当該レタスに含まれる葉酸量の測定は、微生物定量法を用いて行った。
図3は、表1で得られた結果をグラフ化したものである。この図3より、酵母エキスを直接含有して当該養水中の酵母濃度を0.15wt%とした場合(酵母処理栽培)には、酵母を含有しない場合(酵母未処理栽培)と異なり、レタスの重量が販売に値すると想定される重量(50g)付近において、葉酸値が高い状態を維持することが確認出来た。そして、図3より、上述した条件でレタスを栽培した場合には、レタスの重量が販売に値すると想定される重量(50g)となるのに、養水に酵母を含有するしないを問わず播種から40日程度要することが確認出来た。よって、播種からの栽培日数に関して40日を条件とする本件発明の実施例1及び実施例2について以下に述べる。
Figure 2018108035
上述した栽培日数の確認結果をふまえ、実施例1では、本件発明の養水成分調整器を用いてレタスの水耕栽培を行い、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。
実施例1では、水耕栽培する植物としてフリルレタスを用いた。また、実施例1では、養水成分調整器を用いる前の水耕栽培用養水、及びレタスを水耕栽培する環境条件は上述した栽培日数の確認で示した条件と同じである。そのため、これらに関する説明は省略する。
実施例1では、上述した条件でレタスの栽培を行い、播種から40日経過後の当該レタスの葉酸含有量を測定した。当該レタスに含まれる葉酸量の測定は、微生物定量法を用いて行った。また、実施例1では、本件発明の養水成分調整器を播種から33日目以降より8日間水耕栽培用の養水中に浸漬した。ここで、当該養水成分調整器は、容器の透析膜に分画分子量が14000の透析用セルロースチューブ(SEKISUI エーディア株式会社製 UC27−32−100)を用い、当該容器中に養水の酵母濃度が0.15wt%となる量の酵母エキスを収容した。
表2には、上述した条件で栽培したレタスの葉酸含有量と養水の不快臭の有無について確認を行った結果を示す。ここで、表2に示す葉酸平均含有量の結果は、レタス3固体の平均値であり、新鮮重量(FW)当たりの含量で示した。また、養水の不快臭の有無の確認は、5人のパネルによる官能評価を行い、不快な臭いがある場合を「×」とし、不快な臭いが無い場合を「○」として、5人のパネルによる評価を多数決で決定した。表2には、実施例1以外にも、比較例1,2の結果を併せて示す。
Figure 2018108035
実施例2では、実施例1と同様に、本件発明の養水成分調整器を用いてレタスの水耕栽培を行い、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。
実施例2では、水耕栽培する植物としてロメインレタスを用いた。また、実施例2では、実施例1と同じ養水成分調整器を用い、容器中に養水の酵母濃度が0.2wt%となる量の酵母エキスを収容した以外は、実施例1と同じ条件で水耕栽培を行った。そのため、水耕栽培を行う条件等に関する説明は省略する。
表3には、上述した条件で栽培したレタスの葉酸含有量と養水の不快臭の有無について確認を行った結果を示す。ここで、表3に示す葉酸平均含有量の結果は、表2と同様に、レタス3固体の平均値であり、新鮮重量(FW)当たりの含量で示した。また、養水の不快臭の有無の確認に関しても、表2と同様に、5人のパネルによる官能評価を行い、不快な臭いがある場合を「×」とし、不快な臭いが無い場合を「○」として、5人のパネルによる評価を多数決で決定した。表3には、実施例2以外にも、比較例3,4の結果を併せて示す。
Figure 2018108035
比較例
以下に、比較例1〜比較例4について述べる。
[比較例1]
比較例1では、実施例1との対比を行うため、本件発明の養水成分調整器を用いずにフリルレタスの水耕栽培を行ったときの、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。この確認を行った結果を表2に示す。
比較例1では、播種から33日目以降より8日間、水耕栽培用の養水に酵母エキスを直接含めて当該養水中の酵母濃度を0.15wt%とした以外は、実施例1と同じ条件で水耕栽培を行った。そのため、水耕栽培を行う条件等に関する説明は省略する。
[比較例2]
比較例2では、比較例1と同様に、本件発明の養水成分調整器を用いずにフリルレタスの水耕栽培を行ったときの、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。この確認を行った結果を表2に示す。
比較例2では、水耕栽培用の養水に酵母を含めないこととした以外は、実施例1と同じ条件で水耕栽培を行った。そのため、水耕栽培を行う条件等に関する説明は省略する。
[比較例3]
比較例3では、実施例2との対比を行うため、本件発明の養水成分調整器を用いずにロメインレタスの水耕栽培を行ったときの、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
比較例3では、播種から33日目以降より8日間、水耕栽培用の養水に酵母エキスを直接含めて当該養水中の酵母濃度を0.2wt%とした以外は、実施例2と同じ条件で水耕栽培を行った。そのため、水耕栽培を行う条件等に関する説明は省略する。
[比較例4]
比較例4では、比較例3と同様に、本件発明の養水成分調整器を用いずにロメインレタスの水耕栽培を行ったときの、播種から40日間経過後の当該レタスの葉酸含有量と水耕栽培用養水の不快臭の有無について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
比較例4では、水耕栽培用の養水に酵母を含めないこととした以外は、実施例2と同じ条件で水耕栽培を行った。そのため、水耕栽培を行う条件等に関する説明は省略する。
[まとめ]
表1,2より、水耕栽培を行った植物は、水耕栽培用の養水に酵母を含ませるに際して、本件発明の養水成分調整器を用いた場合と、この養水に酵母を直接含めた場合とで、葉酸含有量に大きな差が生じないことが確認出来た。また、本件発明の養水成分調整器を用いた場合には、水耕栽培用の養水に酵母を含めない場合と同様に不快臭が発生しないことから、水耕栽培用養水の腐敗を抑制出来ることが確認出来た。この結果より、本件発明の養水成分調整器を用いることで、植物の高葉酸化に寄与する成分以外を容器内に留め、水耕栽培用の養水の成分を調整出来ることが理解出来る。
本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法によれば、低コストで且つ維持管理が簡易でありながらも、植物の高葉酸化を図ると共に、水耕栽培用養水の腐敗を抑制することが出来るため、栽培の規模を問わず好適に採用することが出来る。また、本件発明に係る水耕栽培用の養水成分調整器及びそれを用いた水耕栽培方法を採用することで、植物工場で高品質の植物を安定して量産することが出来るようになるため、栄養価に富んだ植物を低価格で市場に提供することが可能となる。
1 養水成分調整器
2 容器
3 締結具(容器)
10 水耕栽培槽
11 栽培ベッド
12 養水
20 植物

Claims (6)

  1. 成分調整剤を収容する容器を有し、
    当該容器表面の少なくとも一部に分画分子量が15000以下の透析膜を備えたことを特徴とする水耕栽培用の養水成分調整器。
  2. 前記成分調整剤は、少なくとも酵母を含む請求項1に記載の水耕栽培用の養水成分調整器。
  3. 前記容器は、袋体又は箱体である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の水耕栽培用の養水成分調整器。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の養水成分調整器を水耕栽培用養水に浸漬して用いて植物を生育することを特徴とする水耕栽培方法。
  5. 前記成分調整剤が酵母を含有し、植物の成熟期に前記養水成分調整器を水耕栽培用養水に浸漬する請求項4に記載の水耕栽培方法。
  6. 水耕栽培用養水中の酵母濃度が0.05wt%以上10wt%以下となるように、前記容器に収容する酵母の量及び前記透析膜の表面積を調整する請求項5に記載の水耕栽培方法。
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