JP2018106839A - 酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物超電導層への水分の浸入を防止するための構造を、酸化物超電導積層体の製造工程中で形成することが可能な酸化物超電導線材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】テープ状の基材11の一方の面11aに第1中間層12が積層され、第1中間層12の上に第2中間層14が積層され、第2中間層14の上に酸化物超電導層15が積層され、酸化物超電導層15の側面に、基材11および第1中間層12の材料から構成される被覆層13が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材およびその製造方法に関する。
テープ状の金属基材上に中間層および酸化物超電導層を形成した酸化物超電導積層体から構成される酸化物超電導線材が知られている。酸化物超電導線材から構成されるコイルは、超電導磁石や超電導モータ等の応用が期待されている。酸化物超電導線材は、酸化物超電導層に水分が浸入すると劣化しやすい。このため、酸化物超電導層への水分の浸入を防止するために、例えば次のような構造が報告されている。
特許文献1には、酸化物超電導積層体の周囲に低融点金属層を介して金属テープが被覆された酸化物超電導線材が記載されている。酸化物超電導層が金属テープの内側に位置することにより、金属テープの外部から酸化物超電導層への水分の浸入が防止される。
特許文献2には、酸化物超電導積層体の幅方向端部に、レーザ照射により溶融凝固層が形成された酸化物超電導線材が記載されている。溶融凝固層が酸化物超電導層の側面を覆うことにより、酸化物超電導層への水分の浸入が防止される。
特開2015−146318号公報 特開2012−181933号公報
特許文献1に記載の構造によれば、酸化物超電導積層体の周囲に低融点金属層および金属テープを設ける工程が追加されるため、製造工程および材料コストが増大するというデメリットがある。また、酸化物超電導積層体の周囲に均一に金属テープを設ける必要があるため、製造工程が複雑となる。
特許文献2に記載の構造によれば、酸化物超電導積層体を作製した後にレーザを照射して溶融凝固層を形成する工程が追加されるため、製造工程のコストが増大するというデメリットがある。また、酸化物超電導層の側面および近傍に対してレーザを照射する加工の制御が困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸化物超電導層への水分の浸入を防止するための構造を、酸化物超電導積層体の製造工程中で形成することが可能な酸化物超電導線材およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、テープ状の基材の一方の面に第1中間層が積層され、前記第1中間層の上に第2中間層が積層され、前記第2中間層の上に酸化物超電導層が積層され、前記酸化物超電導層の側面に、前記基材および前記第1中間層の材料から構成される被覆層が形成されていることを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
前記酸化物超電導線材において、前記第1中間層の表面から前記被覆層の上端までの高さが、前記第2中間層および前記酸化物超電導層の合計厚さより大きい構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材において、少なくとも前記酸化物超電導層の上に保護層が積層されている構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材において、前記基材の長手方向に沿って前記一方の面に溝が形成され、前記溝の幅方向の両側に前記被覆層が形成されている構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材において、前記溝が保護層により充填されている構成を採用することも可能である。
前記課題を解決するため、本発明は、テープ状の基材の一方の面に第1中間層を積層する工程と、前記第1中間層の上に、前記基材および前記第1中間層の材料から構成される被覆層を幅方向の一部に形成する工程と、前記第1中間層の上に第2中間層を積層する工程と、前記第2中間層の上に酸化物超電導層を積層する工程と、を有し、前記酸化物超電導層の側面を、前記被覆層により覆うことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
前記酸化物超電導線材の製造方法において、前記第1中間層の表面から前記被覆層の上端までの高さが、前記第2中間層および前記酸化物超電導層の合計厚さより大きい構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材の製造方法において、少なくとも前記酸化物超電導層の上に保護層を積層する工程を有する構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材の製造方法において、前記基材の一方の面に前記第1中間層を積層した後に、レーザ照射により前記基材の長手方向に沿って前記一方の面に溝を形成し、前記レーザ照射により前記溝の幅方向の両側に前記被覆層を形成する構成を採用することも可能である。
前記酸化物超電導線材の製造方法において、前記溝を保護層により充填する工程を有する構成を採用することも可能である。
本発明によれば、酸化物超電導層への水分の浸入を防止するための構造を、酸化物超電導積層体の製造工程中で形成することが可能である。
第1実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 酸化物超電導線材の側部を例示する拡大断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材の製造工程を(a)〜(f)の順に例示する断面図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、第1実施形態の酸化物超電導線材の断面図を示す。この断面図は、酸化物超電導線材の長手方向に垂直な断面の構造を模式的に示している。本実施形態の酸化物超電導線材においては、テープ状の基材11の一方の面11aに中間層12,14が積層され、中間層12,14の上に酸化物超電導層15が積層されている。酸化物超電導層15の側面には、被覆層13が形成されている。
本明細書において、長手方向は、酸化物超電導線材またはその基材11の長さ方向である。厚さ方向は、基材11、中間層12,14、酸化物超電導層15等の各層が積層される方向である。また、幅方向は、長手方向及び厚さ方向に垂直な方向である。
基材11は、テープ状の金属基材であり、厚さ方向の両側に、それぞれ主面を有する。基材11の一方の面11aは、主面の一つである。基材11を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。
中間層12,14は、厚さ方向における基材11と酸化物超電導層15との間に設けられる。中間層12は、多層構成であり、例えば基材11側から酸化物超電導層15側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。
拡散防止層は、基材11の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層15側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
ベッド層は、基材11と酸化物超電導層15との界面における反応を低減し、ベッド層の上に形成される層の配向性を向上するために用いられる。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
中間層12,14は、基材11側に積層される第1中間層12と、酸化物超電導層15側に積層される第2中間層14と、を含む。第1中間層12が1層または2層から構成されてもよく、第2中間層14が1層または2層から構成されてもよい。
被覆層13は、基材11および第1中間層12の材料から構成されている。第1中間層12が薄い場合、被覆層13が殆ど基材11の材料から構成されていることもあり得る。第1中間層12の表面31上において、第2中間層14の幅方向両側の側面が、被覆層13で覆われてもよい。被覆層13の一部は、第1中間層12の側面または基材11の側面を覆っていてもよい。被覆層13は、第2中間層14の材料を実質的に含まない構成とすることができる。被覆層13は、基材11および第1中間層12にレーザ照射をした際に生じるレーザ加工屑の堆積物から構成されてもよい。被覆層13は、基材11および第1中間層12とは異なるミクロ構造(非晶質、非配向性など)を有してもよい。
酸化物超電導層15は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種または2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、またはこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。一般に、yは、7−x(酸素欠損量x:約0〜1程度)である。酸化物超電導層15の厚さは、例えば0.5〜10μm程度である。この厚さは、少なくとも第2中間層14上においては、長手方向に均一であることが好ましい。
保護層16は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層15と保護層16の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層16の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。
保護層16は、少なくとも酸化物超電導層15の表面(厚さ方向で、基材11側に対する反対側の面)を覆っている。保護層16が、基材11の側面または裏面(一方の面11aと反対側の主面)の少なくとも一部を覆ってもよい。酸化物超電導層15の熱処理の際に酸化物超電導層15の上を覆う保護層16として、銀層または銀合金層が好ましい。保護層16の厚さは、例えば1〜30μm程度であり、保護層16を薄くする場合は、10μm以下でもよい。
被覆層13は、酸化物超電導層15の幅方向両側の側面を覆っている。また、酸化物超電導層15の表面は、保護層16により覆われている。これにより、酸化物超電導層15への水分の浸入が防止される。
また、被覆層13は、酸化物超電導層15および保護層16の材料を実質的に含まない構成とすることができる。被覆層13が酸化物超電導層15の材料を実質的に含まないことにより、酸化物超電導層15の材料の損失を回避することができる。
酸化物超電導層15の側面が、長手方向の全長にわたって被覆層13または保護層16の一方または両方で覆われることが好ましい。そのためには、第1中間層12の表面31からの被覆層13の高さは、少なくとも第2中間層14の厚さと酸化物超電導層15の厚さとの合計(合計厚さ)と同程度を有することが好ましい。
さらに第1中間層12の表面31から被覆層13の上端までの高さが、第2中間層14および酸化物超電導層15の合計厚さより大きい場合、保護層16の少なくとも一部の側面が被覆層13により覆われる。言い換えれば、被覆層13の幅方向内側の側面が保護層16と結合可能となる。その場合、被覆層13と保護層16との境界部に隙間が生じにくくなり、酸化物超電導層15への水分の浸入を防止する効果が向上する。
図2に示すように、保護層16の一部(側部16a)が、被覆層13の上端を超えて、超電導積層体の側面を覆っていてもよい。被覆層13の形状は特に限定されず、例えばバリ状(線状の突起状)であってもよい。被覆層13の側面(幅方向の内側または外側のそれぞれ)は、第1中間層12の表面31に対する垂直面に限らず、傾斜面、湾曲面などであってもよい。保護層16の側部16aが第2中間層14の側面、基材11の側面または基材11の裏面を覆っていてもよい。
図3に、第2実施形態の酸化物超電導線材の断面図を示す。図3に示す酸化物超電導線材20では、基材11の長手方向(紙面に垂直な方向)に沿って一方の面11aに溝32が形成されている。溝32は基材11の幅方向の1箇所でもよい。溝32の間に間隔をあけて2箇所以上に溝32が形成されてもよい。酸化物超電導層15が溝32により幅方向に分断されると、酸化物超電導線材20の各酸化物超電導層15が細線化(マルチフィラメント化)されるため、遮蔽電流及び磁化損失を低減することができる。
溝32の幅方向の両側にそれぞれ酸化物超電導層15が配置されている。溝32の幅方向の両側に形成された被覆層13が、各酸化物超電導層15の側面を覆うことにより、溝32から酸化物超電導層15への水分の浸入を防止することができる。さらに、溝32が保護層16により充填されている場合、酸化物超電導層15への水分の浸入を防止する効果が向上する。
保護層16は、1種類の金属層から構成されてもよく、または2種類以上の金属層から構成されていてもよい。各金属層は、1種類の金属元素から構成されてもよく、または2種類以上の金属元素(合金、混合物等)から構成されてもよい。
保護層16の少なくとも一部において、2種類以上の金属層が重なるように積層されていてもよい。異なる種類の金属層が、異なる箇所にそれぞれ形成されていてもよい。例えば、少なくとも酸化物超電導層15の表面を覆う第1保護層とともに、被覆層13の外側の側面、溝32の内部などを覆う第2保護層が設けられてもよい。第2保護層は、第1保護層の上に積層されてもよく、第1保護層の形成されていない箇所に設けられてもよい。保護層16の少なくとも一部(例えば第2保護層)が、安定化層として機能してもよい。安定化層の厚みは、例えば15〜300μm程度である。第2保護層としては、Agよりも安価なCu,Sn等の金属またはその合金を用いることもできる。
図4に、酸化物超電導線材20の製造工程を(a)〜(f)の順に例示する。
図4(a)は、テープ状の基材11の断面図である。基材11の一方の面11a上に第1中間層12を積層した段階を、図4(b)に示す。次に、図4(c)に示すように、レーザ照射30により基材11の長手方向に沿って溝32を形成し、レーザ照射30により溝32の幅方向の両側に被覆層13を形成する。これにより、第1中間層12の表面31上にレーザ加工屑が堆積し、基材11および第1中間層12の材料から構成される被覆層13が形成される。本実施形態により形成される被覆層13は、第2中間層14および酸化物超電導層15の材料を実質的に含んでいない。
次に、図4(d)に示すように、第1中間層12の上に第2中間層14が積層され、さらに、図4(e)に示すように、第2中間層14の上に酸化物超電導層15が積層される。第2中間層14および酸化物超電導層15の側面が被覆層13により覆われる。
第2中間層14または酸化物超電導層15を構成する材料の一部は、被覆層13の上端を超えて、積層体の側面等に積層されても構わない。酸化物超電導層15が優れた超電導性を示すには、酸化物超電導層15の配向性が必要である。このため、幅方向に間隔をあけて配置された被覆層13の間において、平坦な第1中間層12の表面31上に第2中間層14および酸化物超電導層15が積層されることが好ましい。
さらに、図4(f)に示すように、少なくとも酸化物超電導層15の上に保護層16が積層される。上述したように、酸化物超電導層15の表面を覆う第1保護層を形成したのち、第1保護層の上、被覆層13の外側の側面、溝32の内部などを覆う第2保護層を形成する等、保護層16が2段階以上にわたって形成されてもよい。
図4(c)に示すようにレーザ照射30を行う際、厚さ方向に基材11を切断して、幅方向に基材11を分断しても構わない。第1中間層12の表面31上の幅方向両側に被覆層13を形成した後、第2中間層14、酸化物超電導層15、保護層16を順に積層することにより、第1実施形態の酸化物超電導線材10を作製することができる。
本実施形態によれば、基材11に溝32を形成する際、または基材11を切断する際に、同時に被覆層13を形成することができる。このため、新たな製造工程を追加することなく、酸化物超電導層15の側面が被覆層13で覆われた酸化物超電導線材10,20を作製することができる。酸化物超電導層15の側面が被覆層13で覆われているため、酸化物超電導層15に対して外部からの水分の浸入を防止することができる。被覆層13の幅方向外側が保護層16で覆われていると、酸化物超電導層15に対する外部からの水分の浸入を二重に防止することができる。
例えば特許文献1に記載の構造と比較すると、本実施形態によれば、酸化物超電導積層体の周囲に低融点金属層および金属テープを設ける工程が不要であり、得られた酸化物超電導積層体を酸化物超電導線材として利用することができる。
特許文献1に記載の構造の場合は、低融点金属層および金属テープを設けるため、製造工程および材料のコストが増大するというデメリットがある。また、酸化物超電導積層体の周囲に均一に金属テープを設ける必要があり、生産性が低下する。
特許文献2に記載の構造と比較すると、本実施形態によれば、酸化物超電導積層体を作製した後に溶融凝固層を形成する工程が不要であり、得られた酸化物超電導積層体を酸化物超電導線材として利用することができる。
特許文献2に記載の構造の場合は、水分の浸入を防止する層が溶融凝固層のみであるため、溶融凝固層が薄いと水分が浸入するおそれがある。また、溶融凝固層を厚くすると、その厚みの増加に応じて酸化物超電導層の幅が減少し、無駄が生じる。また、酸化物超電導積層体を作製した後に、溶融凝固層を形成する工程が必要となるため、製造工程が増加してしまう。
本実施形態の酸化物超電導線材は、超電導コイルに好適に利用することができる。テープ状の超電導線材を使用して超電導コイルを作製するには、超電導線材を巻き枠の外周面に沿って必要な層数巻き付けてコイル形状(多層巻きコイル)とした後、巻き付けた超電導線材を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂(絶縁性樹脂)を含浸させて、超電導線材を固定することができる。本実施形態の酸化物超電導線材を用いた超電導コイルは、超電導磁石や超電導モータ等に応用することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
超電導線材は、外部端子を有することができる。外部端子を有する箇所では、他の箇所と異なる断面構造を有してもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ100μm、幅12mmのハステロイ(登録商標)からなるテープ基材の表面に、第1中間層として、IBAD法により厚さ1μmのGdZr層を成膜した。その後、テープ基材の幅方向の両端および各端から4mm(反対端から8mm)の位置において基材表面に対し、波長1065nm、出力80Wのファイバーレーザを照射して、基材上の幅方向4箇所に溝を加工した。その結果、第1中間層の表面上で、各溝の幅方向両端に、幅5μm、高さ5μmのレーザ加工屑がバリ状に堆積した。
次に、第2中間層として、PLD法により、厚さ0.5μmのCeO層を成膜した。次に、第2中間層の上に、酸化物超電導層として、PLD法により、厚さ2μmのGdBaCu7−x層を成膜した。次に、酸化物超電導層の上に、保護層として、スパッタ法により厚さ7μmのAg層を成膜した。
以上により、レーザ加工屑の堆積物により酸化物超電導層の側面を覆う被覆層が構成されている実施例1の酸化物超電導線材を作製した。
(比較例1)
第1中間層が成膜された基材の表面に溝を加工する際、波長1065nm、出力20Wのファイバーレーザを用いた。この場合、第1中間層の表面上には、実施例1のようなバリ状の堆積物が形成されなかった。それ以外は、実施例1と同様に各層を成膜することにより、超電導積層体の側面に酸化物超電導層が露出されている比較例1の酸化物超電導線材を作製した。
(比較例2)
比較例1の酸化物超電導線材の幅方向両端から20μmの位置に、保護層の側から波長1065nm、出力200Wのファイバーレーザを照射して酸化物超電導線材の幅方向両端付近を溶融し、その後、溶融物を凝固させることにより、超電導積層体の側面を覆う溶融凝固層(厚さ10μm)を有する比較例2の酸化物超電導線材を作製した。
(試験およびその結果)
作製された酸化物超電導線材の臨界電流値Ic0を測定した。その後、酸化物超電導線材を、温度121℃、湿度100%、2気圧(約0.2MPa)の雰囲気中で100時間保持した後に、液体窒素温度(77K)における酸化物超電導線材の臨界電流値Iを測定した。
試験後の臨界電流値Iと試験前の臨界電流値Ic0との割合I/Ic0を求めたところ、実施例1の酸化物超電導線材では、I/Ic0=0.98であり、超電導特性は劣化せずに保持されていた。比較例1の酸化物超電導線材では、I/Ic0=0.00であり、水分の浸入によって超電導特性が劣化した。比較例2の酸化物超電導線材では、I/Ic0=0.85であり、水分の浸入によって若干超電導特性が劣化した。
以上の結果から、実施例1の酸化物超電導線材は、比較例1および比較例2の酸化物超電導線材と比較して、高温・高湿度の環境に強く、水分の浸入をより確実に防止できる構造を備えているといえる。
10,20…酸化物超電導線材、11…基材、11a…一方の面、12…第1中間層、13…被覆層、14…第2中間層、15…酸化物超電導層、16…保護層、16a…側部、30…レーザ照射、31…第1中間層の表面、32…溝。

Claims (10)

  1. テープ状の基材の一方の面に第1中間層が積層され、前記第1中間層の上に第2中間層が積層され、前記第2中間層の上に酸化物超電導層が積層され、前記酸化物超電導層の側面に、前記基材および前記第1中間層の材料から構成される被覆層が形成されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記第1中間層の表面から前記被覆層の上端までの高さが、前記第2中間層および前記酸化物超電導層の合計厚さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 少なくとも前記酸化物超電導層の上に保護層が積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記基材の長手方向に沿って前記一方の面に溝が形成され、前記溝の幅方向の両側に前記被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記溝が保護層により充填されていることを特徴とする請求項4に記載の酸化物超電導線材。
  6. テープ状の基材の一方の面に第1中間層を積層する工程と、
    前記第1中間層の上に、前記基材および前記第1中間層の材料から構成される被覆層を幅方向の一部に形成する工程と、
    前記第1中間層の上に第2中間層を積層する工程と、
    前記第2中間層の上に酸化物超電導層を積層する工程と、を有し、
    前記酸化物超電導層の側面を、前記被覆層により覆うことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記第1中間層の表面から前記被覆層の上端までの高さが、前記第2中間層および前記酸化物超電導層の合計厚さより大きいことを特徴とする請求項6に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 少なくとも前記酸化物超電導層の上に保護層を積層する工程を有することを特徴とする請求項6または7に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  9. 前記基材の一方の面に前記第1中間層を積層した後に、レーザ照射により前記基材の長手方向に沿って前記一方の面に溝を形成し、前記レーザ照射により前記溝の幅方向の両側に前記被覆層を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  10. 前記溝を保護層により充填する工程を有することを特徴とする請求項9に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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