[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、モータM(動力供給部)の回転軸SF(移動部)の回転情報(位置情報)を検出する。回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。
エンコーダ装置ECは、いわゆる多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転数および角度位置を含む回転情報を検出する。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転数を検出する磁気式エンコーダ部1、及び回転軸SFの角度位置を検出する光学式エンコーダ部2を備える。
磁気式エンコーダ部1は、磁石3、発電ユニット4、及び信号処理部5を備える。磁石3は、回転軸SFに固定された円板6に設けられる。円板6は回転軸SFとともに回転するため、磁石3は回転軸SFの回転に伴って(回転軸SFに同伴して)回転する。発電ユニット4は、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって電力を発生する。信号処理部5は、検出部7、電力調整部8、及び記憶部9を備える。検出部7は、発電ユニット4から出力される電力の変化により、回転軸SFの回転情報を検出する。検出部7は、回転情報として回転軸SFの回転数を検出する。電力調整部8は、発電ユニット4から出力された電力を所定電圧の電力に調整する。記憶部9は、電力調整部8から出力される電力を使って、検出部7の検出結果を記憶する。磁気式エンコーダ部1の構成については、後に図2、図3などを参照しつつ詳しく説明する。
光学式エンコーダ部2は、パターンニングを行うことにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置を検出する角度検出部である。光学式エンコーダ部2は、磁気式エンコーダ部1の検出対象と同じ回転軸SFの回転情報を検出する。光学式エンコーダ部2は、発光素子11、スケールS、受光センサ12、及び信号処理部13を備える。
スケールSは、回転軸SFに固定された円板14に設けられている。スケールSは、インクリメンタルスケール及びアブソリュートスケールを含む。図1の円板14は円板6と別に描かれているが、円板6と同じ部材であってもよいし、円板6と一体化された部材であってもよい。例えば、スケールSは、円板6において磁石3と反対側の面に設けられていてもよい。スケールSは、磁石3の内側と外側の少なくとも一方に設けられていてもよい。
発光素子11は、スケールSに光を照射する。受光センサ12は、発光素子11から射出されスケールSを経由した光を検出する。図1において、光学式エンコーダ部2は透過型であり、受光センサ12は、スケールSを透過した光を検出する。光学式エンコーダ部2は反射型であってもよい。受光センサ12は、検出結果を示す信号を信号処理部13へ供給する。信号処理部13は、受光センサ12から供給された信号を処理する。
信号処理部13は、検出部15、合成部16、及び外部通信部17を含む。検出部15は、受光センサ12の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、検出部15は、アブソリュートスケールからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置を検出する。また、検出部15は、インクリメンタルスケールからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置を検出する。
合成部16は、検出部15が検出した第2分解能の角度位置を取得する。また、合成部16は、磁気式エンコーダ部1の記憶部9から回転軸SFの回転数を取得する。合成部16は、検出部15からの角度位置、及び磁気式エンコーダ部1からの回転数を合成し、回転情報を算出する。例えば、検出部15の検出結果がθ[rad]であり、磁気式エンコーダ部1の検出結果がn回転である場合に、合成部16は、回転情報として(2π×n+θ)を算出する。このような1回転以上の回転を表現可能な回転情報は、多回転情報と呼ばれることがある。
合成部16は、多回転情報を外部通信部17に供給する。外部通信部17は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。外部通信部17は、デジタル形式の多回転情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、光学式エンコーダ部2の外部通信部17からの多回転情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、多回転情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
次に、磁気式エンコーダ部1について、より詳しく説明する。図2(A)は、磁石3および発電ユニット4を示す斜視図である。図2(B)は、図2(A)における磁石3の形成する磁界を示す図である。
磁石3は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石3は、回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石3の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図2(B)に示すように、磁石3は、4極に着磁した永久磁石である。磁石3は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。磁石3において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
ここでは説明の便宜上、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの基端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
ここで、磁石3に固定した座標系おいて、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置3aで表し、位置3aから90°回転した角度位置を位置3bで表す。また、位置3bから90°回転した角度位置を位置3cで表し、位置3cから90°回転した位置を位置3dで表す。位置3cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。図2(B)には、各位置における磁界(磁力線)の径方向の向きを矢印で示し、この矢印の太さで磁界の強さを示した。
位置3aから反時計回りに180°の第1区間において、磁石3の外周側にN極が配置されており、磁石3の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね磁石3の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置3bにおいて最大となり、位置3aの近傍および位置3cの近傍で最小となる。
位置3cから反時計回りに180°の第2区間において、磁石3の内周側にN極が配置されており、磁石3の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、磁石3の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置3dにおいて最大となり、位置3aの近傍および位置3cの近傍で最小となる。
このように、磁石3が形成する磁界の径方向の向きは、位置3aにおいて反転し、位置3cにおいて反転する。磁石3は、磁石3の外部に固定された座標系に対し、磁石3の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。発電ユニット4は、磁石3の主面の法線方向から見て磁石3と重なる位置に配置されている。
図2(A)に示すように、発電ユニット4は、感磁性部20および発電部21を備える。発電ユニット4は、磁石3と非接触に設けられている。感磁性部20および発電部21は、磁石3の外部と固定されており、磁石3の回転に伴って磁石3上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、発電ユニット4の近傍に位置3dが配置されており、この状態から磁石3が順方向(反時計回り)に1回転すると、発電ユニット4の近傍を位置3c、位置3b、位置3aがこの順に通過して、発電ユニット4の近傍に位置3dが再度配置される。
感磁性部20は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤである。感磁性部20には、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。感磁性部20は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石3の径方向に設定されている。感磁性部20は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
発電部21は、感磁性部20に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。発電部21には、感磁性部20における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図2(B)に示した磁石3の位置3aまたは位置3cが発電ユニット4の近傍を通過する際に、発電部21にパルス状の電流が発生する。
発電部21に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石3の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石3の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。
ここで、図2(B)の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際の磁界の向きの変化に着目する。反時計回りに回転する磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際に、感磁性部20における磁界は、磁石3の外側から内側への向きから、磁石3の内側から外側への向きへ反転する。また、時計回りに回転する磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際に、感磁性部20における磁界は、磁石3の内側から外側への向きから、磁石3の外側から内側への向きへ反転する。そのため、順方向に回転する磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際に発電部21に発生する電流の向きは、逆方向に回転する磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際に発電部21に発生する電流の向きと逆向きになる。
このように、発電部21には、感磁性部20における磁界の変化によって電力が発生する。この電力は、磁気式エンコーダ部1で消費される電力の少なくとも一部に利用される。発電部21に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。また、磁気式エンコーダ部1で消費される電力のうち、発電ユニット4でまかなう発電量となるように高密度コイルの巻き数を設定することができる。
図2(A)の感磁性部20および発電部21は、ケース22に収納されている。ケース22には端子23aおよび端子23bが設けられている。発電部21の高密度コイルは、その一端が端子23aと電気的に接続され、その他端が端子23bと電気的に接続されている。発電部21で発生した電力は、端子23aおよび端子23bを介して、発電ユニット4の外部へ取り出し可能である。
図3は、磁気式エンコーダ部1の回路構成を示す図である。本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、回転軸SFの回転数を検出し、検出した回転数を記憶する検出系と、検出系で消費される電力の少なくとも一部を供給する(まかなう)電力供給系とを含む。ここでは、まず検出系を説明し、次いで電力供給系を説明する。
本実施形態において、エンコーダ装置ECにおける回転数の検出系は、検出部7および記憶部9を含む。図3に示すように、検出部7は、電流検出器25、電流検出器26、及び計数器27を含む。
電流検出器25の入力端子25aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。電流検出器25は、発電部21から流れる電流I1を検出する。電流I1は、発電ユニット4を端子23bから端子23aへ向かって流れる電流に相当する。電流検出器25の出力端子25bは、計数器27の第1入力端子27aに接続されている。電流検出器25は、入力端子25aから入力される電流が閾値以上である場合に、出力端子25bから電圧を出力する。例えば、電流検出器25は、パルス状の電流を検出した場合に、電流に応じた電圧(信号)を、計数器27の第1入力端子27aに供給する。
電流検出器26の入力端子26aは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。電流検出器26は、発電部21から、電流I1と逆向きに流れる電流I2を検出する。電流I2は、発電ユニット4を端子23aから端子23bへ向かって流れる電流に相当する。電流検出器26の出力端子26bは、計数器27の第2入力端子27bに接続されている。電流検出器26は、入力端子26aから入力される電流が閾値以上である場合に、出力端子26bから電圧を出力する。例えば、電流検出器26は、パルス状の電流を検出した場合に、電流に応じた電圧(信号)を、計数器27の第2入力端子27bに供給する。
計数器27は、例えばCMOS論理回路などを含み、第1入力端子27aを介して供給される電圧、及び第2入力端子27bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。例えば、計数器27は、電流検出器25から電圧が出力された場合にカウンタ値を増加し、電流検出器26から電圧が出力された場合にカウンタ値を減少する。計数器27は、電流検出器25がパルス状の電流を検出した回数と、電流検出器26がパルス状の電流を検出した回数とを計数する。
このような検出部7は、回転軸SFに同伴して回転する磁石3の回転数に応じたカウンタ値を取得可能である。検出部7は、発電部21から出力されるパルス状の電力を検出信号として利用し、回転軸SFの回転数を検出する。記憶部9は、計数器27が検出した回転数に関する情報を記憶する。記憶部9は、例えば不揮発性メモリ28を含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持できる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、回転数の検出系で消費される電力の少なくとも一部を発電によりまかなう。そのため、検出系の消費電力をまかなうためのバッテリーを省略すること、あるいはバッテリーを長寿命化することができる。その結果、例えば、メンテナンスの低頻度化や低コスト化を実現可能である。本実施形態においてバッテリーは有ってもなくてもよい。本実施形態においてバッテリーがある場合、常時バッテリーへの給電を省略することができ、バッテリーを長寿命化することができる。その結果、バッテリー交換の頻度を減らすことができる。本実施形態においてバッテリーが無い場合、バッテリー線や外部バッテリーを省略することができ、小型化、低コスト化を実現可能である。以下、エンコーダ装置ECの電力供給系について説明する。
エンコーダ装置ECの電力供給系は、発電ユニット4および電力調整部8を含む。電力調整部8は、整流スタック30、昇圧器31、及びレギュレータ32を含む。整流スタック30は、発電部21から流れる電流を整流する整流器である。昇圧器31は、整流スタック30から出力される電力の電圧を昇圧する。レギュレータ32は、整流スタック30から昇圧器31を介して出力される電圧を所定電圧に調整する。
整流スタック30の第1入力端子30aは、電流検出器25と接続されている。整流スタック30と電流検出器25とを接続する信号線は、電流検出器25と計数器27とを接続する信号線と別系統で設けられている。整流スタック30の第2入力端子30bは、電流検出器26と接続されている。整流スタック30と電流検出器26とを接続する信号線は、電流検出器26と計数器27とを接続する信号線と別系統で設けられている。整流スタック30の接地端子30gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。整流スタック30の出力端子30cは、昇圧器31の入力端子31aに接続されている。
整流スタック30の第1入力端子30aには、発電部21からの電流I1が電流検出器25を介して供給される。整流スタック30の第2入力端子30bには、発電部21からの電流I2が電流検出器26を介して供給される。整流スタック30は、これら電流出力を基に全波整流を行う。整流スタック30は、整流により調整された電力を、出力端子30cを介して昇圧器31に供給する。
昇圧器31は、例えば昇圧型のDC/DCコンバータを含む。昇圧器31の接地端子31gは、接地線GLに接続されている。昇圧器31の出力端子31bは、レギュレータ32の入力端子32aと接続されている。昇圧器31は、整流スタック30によって全波整流された第1直流電圧を、第1直流電圧よりも高い第2直流電圧に変換する。第1直流電圧の基準電位および第2直流電圧の基準電位は、接地線GLおよび接地端子31gを介して供給されるシグナルグランドSGの電位と同電位である。昇圧器31は、第2直流電圧として、計数器27の計数処理に必要とされる電圧、及び記憶部9の書き込み処理に必要とされる電圧のいずれよりも高い電圧を生成する。例えば、第2直流電圧は、計数器27がCMOSなどで構成される場合にCMOSのFETのスイッチング動作が正しく行われる電圧よりも高い電圧に設定される。
レギュレータ32は、例えば、低損失の3端子レギュレータを含む。レギュレータ32の接地端子32gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ32の出力端子32bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ32の入力端子32aには、昇圧器31で生成された第2直流電圧が供給される。レギュレータ32は、昇圧器31で生成された第2直流電圧を基に、ニプル(脈動)の少ない所定電圧を生成する。この所定電圧の基準電位は、接地線GLおよび接地端子32gを介して供給されるシグナルグランドSGの電位と同電位である。所定電圧は、計数器27がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部9の不揮発性メモリ28の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。電力調整部8は、少なくとも検出部7が回転数を検出してから記憶部9が回転数を書き込むまでの期間において、電源線PLの電位を接地線GLの電位に対して所定電圧にする。なお、ここで所定電圧とは、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値のことだけでなく、段階的に変化する電圧であってもよい。
計数器27の電源端子27pは、電源線PLに接続されている。計数器27の接地端子27gは、接地線GLに接続されている。発電部21から電流I1が流れると、電力調整部8が電源線PLに所定電圧を供給し、電源端子27pを介して計数器27に所定電圧が供給される。また、計数器27に所定電圧の電力が供給されるのとほぼ同時、あるいはその後に計数器27の第1入力端子27aに電流検出器25から検出信号が供給される。計数器27は、電源端子27pおよび接地端子27gを介して供給される電力を使って、計数処理を行う。回転数の検出系には、電流検出器25から計数器27に検出信号が供給される時点で、電力調整部8から計数器27に電力が供給されているように、適宜、遅延要素が設けられる。このようにして、計数器27は回転数を検出し、検出した回転数を、電力調整部8からの電力供給が継続している間に記憶部9に出力する。なお、磁気式エンコーダ部1は、発電部21から電流I2が流れた場合についても同様に動作する。
記憶部9の不揮発性メモリ28の電源端子28pは、電源線PLに接続されている。不揮発性メモリ28の接地端子28gは、接地線GLに接続されている。発電部21から電流I1が流れると、電力調整部8が電源線PLに所定電圧を供給し、電源端子28pを介して記憶部9に所定電圧が供給される。また、記憶部9に所定電圧が供給されるのとほぼ同時、あるいはその後に記憶部9に計数器27から回転数の情報が供給される。記憶部9は、電源端子28pおよび接地端子28gを介して供給される電力を使って、回転数の情報の書き込みを行う。回転数の検出系には、計数器27から記憶部9に回転数の情報が供給される時点で、電力調整部8から記憶部9に電力が供給されているように、適宜、遅延要素が設けられる。このようにして、記憶部9は、電力調整部8からの電力供給が継続している間に回転数の情報を書き込む。
このように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECの磁気式エンコーダ部1は、発電部21が電流を出力してから短時間のうちに、いわばダイナミック駆動(間欠駆動)する。回転数の検出および書き込みの終了後は、回転数の検出系への電源供給は絶たれるが、計数値は、不揮発性メモリ28に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石3上の所定位置が発電ユニット4の近傍を通過するたびに繰り返される。また、記憶部9に記憶されている回転数の情報は、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。
以上のような構成のエンコーダ装置ECは、回転数の検出系で消費される電力の少なくとも一部を発電によりまかなう。そのため、エンコーダ装置ECは、回転数の検出系の消費電力をまかなうためのバッテリーを省略すること、あるいは長寿命化することができる。結果として、エンコーダ装置ECは、バッテリー交換の必要性をなくすこと、あるいは減らすことができる。
ところで、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石3の回転が極めて低速であっても、発電ユニット4からパルス電流出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石3)の回転が極めて低速な場合にも、発電ユニット4の出力を検知信号として利用できる。
また、本実施形態において、電力調整部8は、計数器27および記憶部9の動作電圧よりも高い第2直流電圧を昇圧器によって生成し、第2直流電圧を基に所定電圧を生成する。そのため、計数器27および記憶部9が動作する上で十分な動作マージンを得られ、計数器27の動作不良が回避されるとともに、記憶部9の動作不良が回避される。
次に、変形例について説明する。本変形例において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図4は、本変形例に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成を示す図である。この磁気式エンコーダ部1は、検出部7は、フォトカプラ35およびフォトカプラ36を含む。フォトカプラ35およびフォトカプラ36は、それぞれ、その内部に発光素子と受光素子とを有する。
フォトカプラ35発光素子のアノード35aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。フォトカプラ35の発光素子のカソード35cは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。フォトカプラ35の受光素子の接地端子35gは、接地線GLに接続されている。フォトカプラ35の受光素子の電源端子35pは、電源線PLに接続されている。フォトカプラ35の受光素子の出力端子35bは、計数器27の第1入力端子27aに接続されている。
発電部21から順方向の電流I1が出力されると、フォトカプラ35の発光素子に電流が流れ、この発光素子から発せられた光によって受光素子の電源端子35gと出力端子35bとが、抵抗などを介して通電する。そのため、フォトカプラ35の出力端子35bから、電源線PLの電圧に応じた電圧が出力される。フォトカプラ35の出力端子35bから出力される電圧は、電源線PLの電圧未満の予め設定された値をとる。発電部21から逆方向の電流I2が出力される場合には、フォトカプラ35の発光素子に電流が流れないため、フォトカプラ35の出力端子35bの電位は、接地端子35gの電位と同電位になる。このように、フォトカプラ35は、順方向に流れる電流I1による電力を二値化する検出部である。
フォトカプラ36は、フォトカプラ35と同様の構成であるが、発光素子のアノードおよびカソードの接続関係がフォトカプラ35と異なる。フォトカプラ36の発光素子は、アノード36aが発電ユニット4の端子23bに接続され、カソード36cが端子23aに接続されている。フォトカプラ36の受光素子は、接地端子36gが接地線GLに接続され、電源端子36pが電源線PLに接続されている。フォトカプラ36の受光素子の出力端子36bは、計数器27の第2入力端子27bに接続されている。
発電部21から逆方向の電流I2が出力されると、フォトカプラ36の発光素子に電流が流れ、この発光素子から発せられた光によって受光素子の電源端子36gと出力端子26bとが、抵抗などを介して通電する。そのため、フォトカプラ36の出力端子36bから、電源線PLの電圧に応じた電圧が出力される。発電部21から順方向の電流I1が出力される場合には、フォトカプラ36の発光素子に電流が流れないため、フォトカプラ36の出力端子36bの電位は、接地端子36gの電位と同電位になる。このように、フォトカプラ36は、逆方向に流れる電流I2による電力を二値化する検出部である。
本変形例において、磁石3の所定位置が発電ユニット4の近傍を通過すると、発電部21から電流が出力され、回転数の検出系を駆動するための電力供給がなされる。また、フォトカプラ35の出力端子35bまたはフォトカプラ36の出力端子36bからは、計数器27による計数の有効、無効を判定するカウンタの制御信号として、予め設定された電圧が出力される。この電圧は、各フォトカプラにおいて発光素子と受光素子とが電気的にアイソレーションされていることから、発電部21から出力される電流と独立に制御可能である。そのため、各フォトカプラの出力端子から出力される電圧(信号)のレベルを、計数器27の動作電圧に合わることが容易になる。
ところで、発電部21から出力される電流のレベルを制限するには、ダイオードクリッパ等の過電圧防御回路を用いてもよいが、図4のようにフォトカプラを使用するとエネルギーの損失をおさえることができる。よって、回転数の検出系で消費される電力を、発電ユニット4の発電によってまかないやすくなる。
なお、図4において、整流スタック30とレギュレータ32との間には、コンデンサ37が設けられている。コンデンサ37の第1電極37aは、整流スタック30の出力端子30bとレギュレータ32の入力端子32aとを接続する信号線に接続されている。コンデンサ37の第2電極37bは、接地線GLに接続されている。このコンデンサ37は、いわゆる平滑コンデンサであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。コンデンサ37の定数は、例えば、検出部7により回転数を検出して記憶部9に回転数を書き込むまでの期間に、電力調整部8から検出部7および記憶部9への電力供給が維持されるように設定される。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図5は本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、発電ユニット4および発電ユニット40を備える。発電ユニット40は、図2などを参照して説明した発電ユニット4と同様の構成である。発電ユニット40は、信号処理部5と電気的に接続されている。
図6は、発電ユニット4および発電ユニット40の配置を示す平面図である。図6に示すように、発電ユニット40は、回転軸SFの周方向において発電ユニット4と異なる位置に配置されている。回転軸SFの周方向において、発電ユニット40の角度位置は、発電ユニット4の角度位置と位相差を持つように設定される。この位相差は、0°より大きく180°未満に設定される。発電ユニット4の角度位置と発電ユニット40の角度位置との位相差は、例えば45°以上135°以下に設定され、図6では約90°に設定されている。
図7は、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成図である。発電ユニット4は、感磁性部20および発電部21を備える。発電ユニット40は、感磁性部41および発電部42を備える。発電部42は、感磁性部41における磁界の変化によって電力が発生する。
本実施形態において、電力調整部8は、整流スタック30、整流スタック43、コンデンサ37、及びレギュレータ32を備える。電力調整部8において、整流スタック43以外の要素については図4と同様である。整流スタック43の第1入力端子43aは、発電ユニット40から順方向の電流が出力される端子40aと接続されている。整流スタック43の第2入力端子43bは、発電ユニット40から逆方向に電流が出力される端子40bと接続されている。整流スタック43の接地端子43gは、接地線GLに接続されている。整流スタック43の出力端子43cは、整流スタック30とレギュレータ32とを接続する信号線に接続されている。整流スタック43は、発電ユニット40からの電流出力を基に全波整流を行う。整流スタック43は、整流により調整された電力を、出力端子43cを介してレギュレータ32に供給する。
図7においてレギュレータ32は、整流スタック30からの出力を基に所定電圧を生成し、整流スタック43からの出力を基に所定電圧を生成する。レギュレータ32は、整流スタック30からの給電系統と整流スタック43からの給電系統とで共用される。
なお、整流スタック30からの出力を基に所定電圧を生成するレギュレータ32と、整流スタック43からの出力を基に所定電圧を生成する他のレギュレータとが設けられていてもよい。また、図7において、発電ユニット4からの電流を整流する整流スタック30と、発電ユニット40からの電流を整流する整流スタック43とが別に設けられているが、1つの整流スタックによって、発電ユニット4からの電流を整流し、発電ユニット40からの電流を整流してもよい。
本実施形態において、エンコーダ装置ECにおける回転数の検出系は、検出部7および記憶部9を含む。また、検出部7は、検出部45、検出部46、及び計数器27を含む。検出部45は、発電部21から流れる電流を検出する。検出部46は、発電部42から流れる電流を検出する。計数器27は、検出部45が電流を検出した回数と、検出部46が電流を検出した回数とを計数する。
検出部45は、電流電圧変換器48およびアナログコンパレータ49を含む。電流電圧変換器48は、発電部21から流れる電流を電圧に変換する変換器である。アナログコンパレータ49は、電流電圧変換器48から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。
電流電圧変換器48の負極48aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。電流電圧変換器48の正極48bは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。電流電圧変換器48の出力端子48cは、アナログコンパレータ49の入力端子49aに接続されている。
アナログコンパレータ49の電源端子49pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ49の接地端子49gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ49の出力端子49cは、計数器27の第1入力端子27aに接続されている。アナログコンパレータ49は、例えば、電流電圧変換器48の出力電圧を、所定電圧に対して定められた閾値(例えば、所定電圧の半分の電圧)と比較する。アナログコンパレータ49は、電流電圧変換器48の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子48cからHレベル(ハイレベル)の信号を出力し、電流電圧変換器48の出力電圧が閾値未満である場合に出力端子48cからLレベル(ローレベル)の信号を出力する。
検出部46は、検出部45と同様の構成である。検出部46は、電流電圧変換器50およびアナログコンパレータ51を含む。電流電圧変換器50は、発電部42から流れる電流を電圧に変換する変換器である。アナログコンパレータ51は、電流電圧変換器50から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。
電流電圧変換器50は、その負極50aが発電ユニット40の端子40aに接続され、その正極50bが発電ユニット40の端子40bに接続されている。電流電圧変換器50の出力端子50cは、アナログコンパレータ51の入力端子51aに接続されている。
アナログコンパレータ51は、その電源端子51pが電源線PLに接続され、その接地端子51gが接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ51の出力端子51cは、計数器27の第2入力端子27bに接続されている。アナログコンパレータ51は、電流電圧変換器50の出力電圧を、所定電圧に対して定められた閾値と比較する。アナログコンパレータ51は、電流電圧変換器50の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子50cからHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子50cからLレベルの信号を出力する。
このように、検出部45は発電部21から出力される電力を二値化し、検出部46は発電部42から出力される電力を二値化する。計数器27は、検出部45から出力されたHレベルの信号、及び検出部46から出力されたHレベルの信号を制御信号に使って、回転軸SFの回転数を計数する。計数器27は、計数した結果を記憶部9に供給する。記憶部9は、計数器27から供給された回転数の情報を記憶する。
図8は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。図9は、回転軸SFが反時計回りに回転(逆回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。
図8および図9の「角度位置」は、磁石3の位置3d(図6参照)上に発電ユニット4が配置される磁石3の角度位置を0°とし、反時計回りを正とした磁石3の角度位置を示す。図8および図9の「配置」は、各角度位置における磁石3、発電ユニット4、及び発電ユニット40の位置関係を示す。なお、角度位置が0°の場合の各要素の配置は、図6に示した配置に相当する。磁石3において、ハッチングが付された部分は図6のN極に相当し、ハッチが付されていない部分はS極に相当する。
図8および図9の「磁界」において、実線は発電ユニット4の位置での磁界を示し、破線は発電ユニット40の位置での磁界を示す。「磁界」において、磁石3の外側から内側に向かう磁界を正(+)とし、磁石3の内側から外側に向かう磁界を負(−)とした。
図8および図9の「発電ユニット1」は発電ユニット4の出力を示し、「発電ユニット2」は発電ユニット40の出力を示す。「発電ユニット1」および「発電ユニット2」において、各発電ユニットから1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。図8および図9の「レギュレータ」は、レギュレータ32の出力を示し、Hレベルを「H」で表し、Lレベルを「L」で表した。
図8および図9の「コンパレータ1」はアナログコンパレータ49の出力を示し、「コンパレータ2」はアナログコンパレータ51の出力を示す。各コンパレータの出力において、「RISE」は発電ユニットの出力が順方向の電流であることを示すRISE信号である。各コンパレータの出力において、「FALL」は、発電ユニットの出力が逆方向の電流であることを示すFALL信号である。「RISE」および「FALL」において、Hレベルを「H」で表し、Lレベルを「L」で表した。
図8および図9の「記憶部」において、「ステータス」は、記憶部9がセット状態にあるのか、リセット状態にあるのかを示す。「ステータス」において、セット状態にあることを「H」で表し、リセット状態にあることを「L」で表した。図8および図9の「記憶部」において、「書込動作」は、記憶部9が書き込み動作中であるか否かを示す。「書込動作」において、書き込み動作中にあることを「H」で表し、書き込み動作中でないことを「L」で表した。図8および図9の「カウンタ」は、記憶部9に記憶されている回転数を示す。
まず、図8を参照しつつ、回転軸SFが反時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置90°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置270°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。
発電ユニット40は、磁石3の周方向において、発電ユニット4と90°ずれた位置に配置されている。そのため、発電ユニット40が感じる磁界は、発電ユニット4が感じる磁界よりも位相が90°ずれる。発電ユニット40は、角度位置180°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置0°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。
角度位置90°および角度位置270°のそれぞれにおいて、発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。また、角度位置0°および角度位置180°のそれぞれにおいて、発電ユニット40から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。なお、各電流パルスは、例えば、電圧が20V程度の電力に相当し、電流が流れる時間は数マイクロ秒程度である。レギュレータ32は、各電流パルスによる電力の電圧を所定電圧(例えば3V)に落とすことで、電力供給の持続時間を長くする。また、レギュレータ32の出力がHレベルである期間は、各電流パルスの立ち上がりから立下りまでの期間よりも長い。
アナログコンパレータ49(「コンパレータ1」)の出力において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置270°での発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置90°での発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。図7に示した計数器27は、アナログコンパレータ49からのRISE信号がLレベルであり、かつFALL信号がHレベルであることを検出した場合に、カウンタ値(回転数)をアップ(+1)することを示すアップ信号を記憶部9に出力する。
アナログコンパレータ51(「コンパレータ2」)の出力において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置0°での発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置180°での発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。
記憶部9は、アナログコンパレータ51からRISE信号のHレベルが出力された際に、セット状態に設定される。記憶部9は、セット状態にある場合に計数器27からのアップ信号を受けると、記憶している回転数を1増加した値に更新する。例えば、計数器27は、カウントアップ動作において、記憶部9に記憶されている回転数を読み出し、この回転数を1増加させた回転数をアップ信号として記憶部9に出力する。記憶部9は、アナログコンパレータ51からFALL信号のHレベルが出力された際にリセット状態に設定される。
磁気式エンコーダ部1は、上述のような動作を、回転軸SFの回転に伴って発電ユニット4または発電ユニット40から電力が出力されるたびに実行する。図8には、回転軸SFが2回転する間の磁気式エンコーダ部1の動作が示されており、磁気式エンコーダ部1は、図8の最初の回転と次の回転とで同様の動作を行う。例えば、n回転目の角度位置0°において記憶部9に記憶されている回転数はnであり、角度位置90°において、計数器27はアップ信号を記憶部9に供給し、記憶部9は記憶しているカウンタ値をn+1に更新する。次の回転においても同様に、角度位置90°において、計数器27はアップ信号を記憶部9に供給し、記憶部9は記憶しているカウンタ値をn+2に更新する。
次に、図9を参照しつつ、回転軸SFが時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに90°回転した角度位置270°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに270°回転した角度位置90°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。
発電ユニット40は、角度位置0°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置180°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。
角度位置90°および角度位置270°のそれぞれにおいて、発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。また、角度位置0°および角度位置180°のそれぞれにおいて、発電ユニット40から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。
アナログコンパレータ49の出力において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置90°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置270°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。図7に示した計数器27は、アナログコンパレータ49からのRISE信号がHレベルであり、かつFALL信号がLレベルであることを検出した場合に、カウンタ値(回転数)をダウン(−1)することを示すダウン信号を記憶部9に出力する。
アナログコンパレータ51の出力において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置0°で発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置180°で発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。記憶部9は、アナログコンパレータ51からRISE信号のHレベルが出力された際に、セット状態に設定される。記憶部9は、セット状態にある場合に計数器27からのダウン信号を受けると、記憶している回転数を1減少した値に更新する。例えば、計数器27は、カウントダウン動作において、記憶部9に記憶されている回転数を読み出し、この回転数を1減少させた回転数をアップ信号として記憶部9に出力する。記憶部9は、アナログコンパレータ51からFALL信号のHレベルが出力された際にリセット状態に設定される。
磁気式エンコーダ部1は、上述のような動作を、回転軸SFの回転に伴って発電ユニット4または発電ユニット40から電力が出力されるたびに実行する。図9には、回転軸SFが2回転する間の磁気式エンコーダ部1の動作が示されており、磁気式エンコーダ部1は、図8の最初の回転と次の回転とで同様の動作を行う。例えば、n+2回転目の角度位置0°において記憶部9に記憶されている回転数はn+2であり、−270°回転した角度位置90°において、計数器27はダウン信号を記憶部9に供給し、記憶部9は記憶しているカウンタ値をn+1に更新する。次の回転においても同様に、角度位置90°において、計数器27はダウン信号を記憶部9に供給し、記憶部9は記憶しているカウンタ値をnに更新する。
上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、発電部21または発電部42から出力があったときに一連の動作を行う。また、磁気式エンコーダ部1は、発電部21および発電部42のいずれかからも出力がない期間に動作電流がゼロとなる状態を維持する。このように、磁気式エンコーダ部1は、磁石3の所定の位置が発電ユニット4または発電ユニット40の近傍を通過したことに応じてダイナミック駆動する。そのため、磁気式エンコーダ部1は、検出系で消費される電力をまかなうためのバッテリーを省くことや長寿命化できる。
ところで、記憶部9は、アナログコンパレータ51からのRISE信号によってセット状態となり、FALL信号によってリセット状態になる。つまり、記憶部9は、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にある場合に、書き込み可能な状態になる。アナログコンパレータ51を含む検出部46は、発電部42からの電流を検出した結果を、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にあるか否かを判定することに利用している。このように、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、磁石3の角度位置がいずれの区間にあるかを検出しながら、磁石3の回転数を検出できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図10は本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、発電ユニット4および磁気センサ55を備える。磁気センサ55は、信号処理部5と電気的に接続されている。磁気センサ55は、発電ユニット4が発生する電力を使って、磁石3の回転に伴う磁界の変化を検出する。
図11(A)は、磁気センサ55の配置を示す平面図である。磁気センサ55は、磁石3の周方向において発電ユニット4と異なる位置に配置されている。回転軸SFの周方向において、磁気センサ55の角度位置は、発電ユニット4の角度位置と位相差を持つように設定される。この位相差は、0°より大きく180°未満に設定される。発電ユニット4の角度位置と磁気センサ55の角度位置との位相差は、例えば45°以上135°以下に設定され、図11(A)では約90°に設定されている。
図11(B)は磁気センサ55の回路構成図である。磁気センサ55は、磁気抵抗素子56と、磁気抵抗素子56に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子56からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子56は、エレメント56a、エレメント56b、エレメント56c、及びエレメント56dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント56aとエレメント56cとの間の信号線は、電源端子55pに接続されている。エレメント56bとエレメント56dとの間の信号線は、接地端子55gに接続されている。エレメント56aとエレメント56bとの間の信号線は、第1出力端子55aに接続されている。エレメント56cとエレメント56dとの間の信号線は、第2出力端子55bに接続されている。
図12は、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成図である。エンコーダ装置ECにおける回転数の検出系は、検出部7および記憶部9を含む。また、磁気式エンコーダ部1は、検出部45および検出部57を備える。検出部45は、第2実施形態で説明したように、発電部21からの電流を検出することによって、磁石3の角度位置を検出する。検出部57は、磁気センサ55およびアナログコンパレータ58を備える。検出部57は、磁石3の回転に伴う磁界の変化を検出する。
磁気センサ55の電源端子55pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ55の接地端子55gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ55の出力端子は、アナログコンパレータ58に接続されている。本実施形態において、磁気センサ55の出力端子は、図11(b)に示した第2出力端子55bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。アナログコンパレータ58は、磁気センサ55の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ58の電源端子58pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ58の接地端子58gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ58の出力端子58bは、計数器27に接続されている。
図13は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。図14は、回転軸SFが反時計回りに回転(逆回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。「角度位置」、「配置」、「カウンタ」については、図8と同様である。「磁界」において、磁石3が磁気エンコーダに与える磁界を破線で示した。「発電ユニット」、「レギュレータ」、「コンパレータ1」については、それぞれ、発電ユニット4の出力、レギュレータ32の出力、アナログコンパレータ49の出力を示す。
図13において、「MRセンサ上の磁界」には、磁石3が形成する磁界を長破線で示し、バイアス磁石が形成する磁界を短破線で示し、これらの合成磁界を実線で示した。「MRセンサ」は、磁気センサを常時駆動したときの出力を示し、図11(B)の第1出力端子55aからの出力を破線で表し、第2出力端子55bからの出力を実線で表した。「コンパレータ2」は、アナログコンパレータ58からの出力を示す。本実施形態において、磁気センサ55は、いわゆるダイナミック駆動(間欠駆動)であり、発電ユニット4から電力が出力される期間に駆動され、発電ユニット4から電力が出力されない期間に駆動されない。図13には、磁気センサ55が常時駆動された場合のアナログコンパレータ58の出力を「常時駆動」に示し、磁気センサ55が間欠駆動された場合のアナログコンパレータ58の出力を「間欠駆動」に示した。
まず、図13を参照しつつ、回転軸SFが反時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置90°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置270°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット」の正)を出力する。角度位置90°および角度位置270°において発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。
「MRセンサ上の磁界」において、バイアス磁界(短破線)の向きは、磁石3の角度位置によらず一定であり、磁石3の中心から位置3d(図11(A)参照)へ向かう向きである。
磁石3が形成する磁界(長破線)の向きは、角度位置0°より大きく角度位置180°より小さい範囲において、バイアス磁界から反時計回りに90°回った向きである。合成磁界の向き(実線)は、角度位置0°より大きく角度位置180°より小さい範囲において、バイアス磁界から反時計回りに°0°より大きく90°より小さい角度だけ回った向きである。
「磁石3が形成する磁界(長破線)の向きは、角度位置180°より大きく角度位置360°(次の回転の0°)より小さい範囲において、バイアス磁界から時計回りに90°回った向きである。合成磁界の向き(実線)は、角度位置180°より大きく角度位置360°より小さい範囲において、バイアス磁界から時計回りに°0°より大きく90°より小さい角度だけ回った向きである。
磁気センサ55の第1出力端子55aからの出力(破線)は、角度位置0°から角度位置180の範囲において、負のサイン波状である。磁気センサ55の第2出力端子55bからの出力(実線)は、角度位置0°から角度位置180の範囲において、正のサイン波状である。常時駆動のアナログコンパレータ58の出力は、磁気センサ55の第2出力端子55bの出力が負である状態でLレベルに保持されており、角度位置0°から角度位置180°の範囲においてHレベルになる。実際には、磁気センサ55およびアナログコンパレータ58は、発電ユニット4から電力が出力される期間に選択的に駆動されるので、間欠駆動のアナログコンパレータ58の出力は、電力供給を受けていない状態でLレベルに保持されており、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、発電ユニット4から電力が出力される期間にHレベルになる。
図12に示した計数器27は、アナログコンパレータ49からのRISE信号がLレベル、かつFALL信号がHレベル、かつアナログコンパレータ58の出力信号がHレベルであることを検出した場合にカウンタを1増加させ、記憶部9は、記憶している回転数を1増加した値に更新する。
次に、図14を参照しつつ、回転軸SFが時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに90°回転した角度位置270°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに270°回転した角度位置90°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット」の正)を出力する。角度位置90°および角度位置270°のそれぞれにおいて、発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ32は、所定電圧の電力を出力する。
アナログコンパレータ49の出力において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置90°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、Lレベルに維持されており、角度位置270°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。図12に示した計数器27は、アナログコンパレータ49からのRISE信号がHレベル、かつFALL信号がLレベル、かつアナログコンパレータ58からの出力信号がHレベルであることを検出した場合に、カウンタを1減少させ、記憶部9は、記憶している回転数を1減少した値に更新する。
上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、発電部21から出力があったときに一連の動作を行う。また、磁気式エンコーダ部1は、発電部21から出力がない期間に動作電流がゼロとなる状態を維持する。このように、磁気式エンコーダ部1は、磁石3の所定の位置が発電ユニット4の近傍を通過したことに応じてダイナミック駆動する。そのため、磁気式エンコーダ部1は、検出系で消費される電力をまかなうためのバッテリーを省くことや長寿命化できる。
本実施形態において、磁気センサ55およびアナログコンパレータ58を含む検出部57の出力は、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にある場合に、Hレベルになる。つまり、検出部57は、磁気センサ55の検出結果を、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にあるか否かを判定することに利用している。このように、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、磁石3の角度位置がいずれの区間にあるかを検出しながら、磁石3の回転数を検出できる。
ところで、磁石3が磁気センサ55に形成する磁界が強いほど、磁気センサ55の出力が大きくなり、アナログコンパレータ58からの出力が安定するので、磁気式エンコーダ部1のロバスト性が高くなる。ここで、磁気センサ55は、発電ユニット4から電力が出力される期間に駆動されるので、この期間に磁石3が形成する磁界が強い位置に配置されるとよい。また、発電ユニット4は、磁石3の角度位置90°または角度位置270°が発電ユニット4の近傍を通過する際に発電するので、磁気センサ55は、磁石3の周方向における発電ユニット4との位相差が45°以上135°以下であると出力を確保することが容易であり、約90°であると出力が最大になる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図15は本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、発電ユニット4、発電ユニット40、磁気センサ55、及び磁気センサ60を備える。発電ユニット4および発電ユニット40、及び電力調整部8については、図5、図7などを参照して説明した第2実施形態と同様である。磁気センサ55および磁気センサ60は、それぞれ、信号処理部5と電気的に接続されている。磁気センサ55および磁気センサ60は、それぞれ、発電ユニット4および発電ユニット40が発生する電力を使って、磁石3の回転に伴う磁界の変化を検出する。磁気センサ60は、図11(B)などを参照して説明した磁気センサ55と同様の構成である。
図16は、磁気センサ55および磁気センサ60の配置を示す平面図である。発電ユニット40は、磁石3の周方向において発電ユニット4と90°ずれて配置されている。磁気センサ55は、磁石の周方向において発電ユニット40との位相差が、例えば45°以上135°以下の範囲に設定され、図16では約45°に設定されている。磁気センサ60は、磁気センサ60は、磁石の周方向において発電ユニット40との位相差が、例えば45°以上135°以下の範囲に設定され、図16では約135°に設定されている。また、図16において、磁気センサ60は、磁気センサ55と90°ずれた角度位置に配置されており、発電ユニット4から反時計回りを正として−135°ずれた角度位置に配置されている。
図17は、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成図である。本実施形態において、磁気式エンコーダ部1は、発電部21からの出力および発電部42からの出力を検出信号として回転数を検出する第1検出系と、磁気センサ55からの出力および磁気センサ60からの出力を検出信号として回転数を検出する第2検出系とを備える。第1検出系については、第2実施形態と同様である。第2検出系は、磁気センサ55、アナログコンパレータ58、磁気センサ60、アナログコンパレータ61、計数器62、及び記憶部63を備える。
磁気センサ55の電源端子55pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ55の接地端子55gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ55の出力端子は、アナログコンパレータ58の入力端子58aに接続されている。アナログコンパレータ58の電源端子58pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ58の接地端子58gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ58の出力端子58bは、計数器62の第1入力端子62aに接続されている。
磁気センサ60の電源端子60pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ60の接地端子60gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ60の出力端子は、アナログコンパレータ61の入力端子61aに接続されている。アナログコンパレータ61の電源端子61pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ61の接地端子61gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ61の出力端子61bは、計数器62の第2入力端子62bに接続されている。
計数器62は、例えばCMOS論理回路などを含み、第1入力端子62aを介して供給される電圧、及び第2入力端子62bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。計数器62の電源端子62pは、電源線PLに接続されている。計数器62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。計数器62は、電源端子62pおよび接地端子62qを介して供給される電力を使って、計数処理を行う。計数器62は、計数処理の結果を記憶部63に供給する。
記憶部63は、不揮発性メモリ64を含み、計数器62の計数結果に関する情報を記憶する。記憶部63は、磁気センサ55の検出結果および磁気センサ60の検出結果を使って計数される磁石3の回転数を記憶する。記憶部63の電源端子63pは、電源線PLに接続されている。記憶部63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。記憶部63は、電源端子63pおよび接地端子63gを介して供給される電力を使って、不揮発性メモリ64に情報を記憶する。
図18は、磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。図18において、「MRセンサ1上の磁界」は、磁気センサ55上に形成される磁界である。「MRセンサ1上の磁界」には、磁石3が形成する磁界を長破線で示し、バイアス磁石が形成する磁界を短破線で示し、これらの合成磁界を実線で示した。「MRセンサ1」は、磁気センサ55を常時駆動したときの出力を示し、第1出力端子55a(図11(B)参照)からの出力を破線で表し、第2出力端子55bからの出力を実線で表した。「コンパレータ3」は、アナログコンパレータ58からの出力を示す。本実施形態において、磁気センサ55は、いわゆるダイナミック駆動(間欠駆動)であり、発電ユニット4から電力が出力される期間に駆動され、発電ユニット4から電力が出力されない期間に駆動されない。図18には、磁気センサ55が常時駆動された場合のアナログコンパレータ58の出力を「常時駆動」に示し、磁気センサ55が間欠駆動された場合のアナログコンパレータ58の出力を「間欠駆動」に示した。
図18において、「MRセンサ2上の磁界」は、磁気センサ60上に形成される磁界である。「MRセンサ2上の磁界」には、磁石3が形成する磁界を長破線で示し、バイアス磁石が形成する磁界を短破線で示し、これらの合成磁界を実線で示した。「MRセンサ2」は、磁気センサ60を常時駆動したときの出力を示し、第1出力端子からの出力を破線で表し、第2出力端子からの出力を実線で表した。「コンパレータ4」は、アナログコンパレータ61からの出力を示す。図18には、磁気センサ60が常時駆動された場合のアナログコンパレータ61の出力を「常時駆動」に示し、磁気センサ60が間欠駆動された場合のアナログコンパレータ61の出力を「間欠駆動」に示した。
本実施形態において、発電部21からの電流出力および発電部42からの電流出力を検出信号として回転数を検出する第1検出系は、第2実施形態と同様に動作する。ここでは、磁気センサ55の出力および磁気センサ60の出力を検出信号として回転数を検出する第2検出系の動作を中心に説明する。磁気センサ60の出力と磁気センサ60の出力と90°の位相差を有しており、第2検出系は、この位相差を利用して回転数を検出する。
まず、回転軸SFが反時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。磁気センサ55(「MRセンサ1」)の出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、発電ユニット40は角度位置45°において電力を出力し、発電ユニット4は角度位置135°において電力を出力する。磁気センサ55およびアナログコンパレータ49は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ58から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、磁気センサ60(「MRセンサ2」)の出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、発電ユニット4は角度位置315°(−45°)において電力を出力し、発電ユニット40は角度位置45°において電力を出力する。磁気センサ60およびアナログコンパレータ61は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ61から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。B相信号は、A相信号と位相が90°ずれた信号である。
ここで、計数器62に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数器62に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図18では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数器62は、A相信号とB相信号の位相差を使って、回転方向を判別しつつ、回転数を計数する。例えば、計数器62は、検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部63に信号レベルの組を記憶させる。計数器62は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部63から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、今回の信号レベルの組が(H,L)であって、前回の信号レベルが(H,H)である場合には、今回の検出において角度位置135°であり、前回の検出において角度位置45°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。また、今回の信号レベルの組が(H,L)であって、前回の信号レベルが(L,H)である場合には、今回の検出において角度位置135°であり、前回の検出において角度位置315°(−45°)であるので、時計回り(逆回転)であることがわかる。
計数器62は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部63に供給する。記憶部63は、計数器62からのアップ信号を検出した場合に、記憶している回転数を1増加した値に更新する。計数器62は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(L,H)である場合に、カウンタをダウンすることを示すダウン信号を記憶部63に供給する。記憶部63は、計数器62からのダウン信号を検出した場合に、記憶している回転数を1減少した値に更新する。
上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、発電部21からの出力および発電部42からの出力を検出信号とする第1検出系と、磁気センサ55からの出力および磁気センサ60からの出力を検出信号とする第2検出系とが、それぞれ、回転数を検出する。第2検出系の検出結果は、例えば、第1検出系の検出結果との照合により、異常の検出などに利用できる。エンコーダ装置ECは、このような異常の検出を行う異常検出装置を備えていてもよいし、異常の検出結果を報知する報知装置を備えていてもよい。また、このような異常検出装置と報知装置の少なくとも一方は、エンコーダ装置ECの外部の装置であってもよい。また、第1検出系の故障などにより記憶部9から回転数を読み出せない場合に、第2検出系が検出した回転数を、記憶部63から読み出して、第1検出系の検出結果の代わりに利用することもできる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図19は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。上述の実施形態においてエンコーダ装置ECの磁気式エンコーダ部1は、外部からの電力の供給を受けずに一連の動作を行うスタンドアローン型の装置であるが、図15の磁気式エンコーダ部1には、回転軸SFの回転数を検出する検出系で消費される電力の少なくとも一部をまかなう電源装置80を接続可能である。
この電源装置80は、バッテリー81およびバッテリー82を含む。バッテリー81およびバッテリー82は、それぞれ、一次電池や二次電池などである。バッテリー81は、第1電圧(例、3.6V)の起電力を有し、バッテリー82は、第1電圧と異なる第2電圧(例、5.0V)の起電力を有する。バッテリー81の負極、及びバッテリー82の負極は、接地線GL2を介して接地端子63と接続されている。
バッテリー81の正極は、ヒューズ84を介して、第1電源端子85と接続されている。バッテリー82の正極は、スイッチ86およびヒューズ87を介して、第2電源端子88と接続されている。スイッチ86とヒューズ87との間のノード89a、及び接地線GL2のノード89bの間には、コンデンサ90が接続されている。
また、エンコーダ装置ECには、電源装置80からの電力を受ける回路91が組まれている。エンコーダ装置ECは、第1電源端子92、第2電源端子93、及び接地端子94を備える。エンコーダ装置ECの第1電源端子92は、電源装置80の第1電源端子85と接続される。エンコーダ装置ECの第2電源端子88は、電源装置80の第2電源端子93と接続される。エンコーダ装置ECの接地端子94は、電源装置80の接地端子94と接続される。
第1電源端子92は、ダイオード95を介して、磁気式エンコーダ部1の電源線PLに接続されている。第2電源端子88は、コイル96およびダイオード97を介して、磁気式エンコーダ部1の電源線PLに接続されている。このように、電源装置80は、磁気式エンコーダ部1に電力を供給可能である。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、発電部が発生する電力を使って回転数の検出系を駆動するので、電源装置80を長寿命にすることができる。その結果、例えば、電源装置80のメンテナンス頻度を下げることがき、エンコーダ装置ECのメンテナンス頻度を下げることができる。なお、電源装置80は、光学式エンコーダ部2に電力を供給する電力供給系の少なくとも一部を含んでいてもよく、光学式エンコーダ部2の駆動時に磁気式エンコーダ部1に電力を供給してもよい。この電力供給系は、例えば、エンコーダ装置ECが実装されるロボット装置などの各種装置の主電源であってもよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。本実施形態に係るエンコーダ装置ECにおいて、信号処理部5は、図10と同様に、検出部7、電力調整部8、及び記憶部9を備える。検出部7は、磁石3が形成する磁界の変化により、回転軸SFの回転情報を検出する。検出部7は、回転情報として回転軸SFの回転数を検出する。検出部7は、磁気センサ55を含む。磁気センサ55は、信号処理部5と電気的に接続されている。磁気センサ55は、発電ユニット4が発生する電力を使って、磁石3が形成する磁界を検出する。
電力調整部8は、発電ユニット4から出力された電力を所定電圧の電力に調整する。電力調整部8は、検出部7で消費される電力の少なくとも一部、及び記憶部9で消費される電力の少なくとも一部を供給する。記憶部9は、電力調整部8から出力される電力を使って、検出部7の検出結果を記憶する。
図20(A)は、磁石3、発電ユニット4、及び磁気センサ55を示す斜視図である。図20(B)は、磁石3の形成する磁界を示す図である。図20(C)は、磁気センサ55の回路構成図である。磁石3は、図2と同様の構成でよい。磁石3は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石3は棒磁石の構成であってもよい。発電ユニット4は、図2と同様の構成でよい。なお、発電部21から流れる電流の向きは、コイルの巻きを逆にすることで、逆に設定することもできる。磁気センサ55は、例えば、図11(A)および(B)と同様でよい。
図21は、磁気式エンコーダ部1の回路構成を示す図である。本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、回転軸SFの回転数を検出し、検出した回転数を記憶する検出系と、検出系で消費される電力の少なくとも一部をまかなう電力供給系とを含む。ここでは、まず検出系を説明し、次いで電力供給系を説明する。
磁気式エンコーダ部1の検出系は、検出部7および記憶部9を含む。検出部7は、検出部126、検出部127、及び計数器128を含む。検出部126は、磁石3が形成する磁界の変化を検出する磁界検出部である。検出部127は、発電部21から出力される電力の変化により回転軸SFの回転情報を検出する電力検出部である。計数器128は、検出部126の検出結果と検出部127の検出結果とを使って、回転軸SFの回転数を計数する。
検出部126は、磁気センサ55およびアナログコンパレータ129を備える。磁気センサ55の電源端子55pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ55の接地端子55gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。磁気センサ55の出力端子は、アナログコンパレータ129の入力端子129aに接続されている。磁気センサ55は、電源端子55pおよび接地端子55gを介して供給される電力を使って、磁石3が形成する磁界を検出し、その検出結果(検出信号)をアナログコンパレータ129に出力する。本実施形態において、磁気センサ55の出力端子は、図20(C)に示した第2出力端子55bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ129は、磁気センサ55から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ129の電源端子129pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ129の接地端子129gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ129は、電源端子129pおよび接地端子129gを介して供給される電力により、磁気センサ55から出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ129は、磁気センサ55の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベル(ハイレベル)の信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベル(ローレベル)の信号を出力する。アナログコンパレータ129の出力端子129bは、計数器128の第1入力端子128aに接続されている。アナログコンパレータ129は、出力端子129bを介して、計数器128の第1入力端子128aにHレベルまたはLレベルの信号を供給する。
検出部127は、電流電圧変換器130およびアナログコンパレータ131を含む。電流電圧変換器130は、発電部21から流れる電流を電圧に変換する変換器である。電流電圧変換器130の負極130aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。電流電圧変換器130の正極130bは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。電流電圧変換器130の出力端子133cは、アナログコンパレータ31の入力端子131aに接続されている。
アナログコンパレータ131は、電流電圧変換器130から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ131の電源端子131pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ131の接地端子131gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ131は、電源端子131pおよび接地端子131gを介して供給される電力により、電流電圧変換器130から出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ131は、電流電圧変換器130の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子131cからHレベル(ハイレベル)の信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子131cからLレベル(ローレベル)の信号を出力する。アナログコンパレータ131の出力端子131cは、計数器128の第2入力端子128bに接続されている。アナログコンパレータ131は、出力端子131cを介して、計数器128の第2入力端子128bにHレベルまたはLレベルの信号を供給する。
計数器128は、例えばCMOS論理回路などを含み、第1入力端子128aを介して供給される電圧、及び第2入力端子128bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。計数器128の電源端子128pは、電源線PLに接続されている。計数器128の接地端子128gは、接地線GLに接続されている。計数器128は、電源端子128pおよび接地端子128gを介して供給される電力を使って、計数処理を実行する。計数器128は、計数結果を記憶部9に供給する。
記憶部9は、計数器128が検出した回転数に関する情報を記憶する。記憶部9の電源端子9pは、電源線PLに接続されている。記憶部9の接地端子9gは、接地線GLに接続されている。記憶部9は、電源端子9pおよび接地端子9gを介して供給される電力を使って、情報の書き込みを行う。記憶部9は、不揮発性メモリ132を含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持できる。
一般的に、回転数の検出系は、バッテリーなどから電力の供給を受けて検出や情報の記憶を行う。このバッテリーは、定期的なメンテナンス時などに交換される。このような検出系を有するエンコーダ装置は、バッテリーの寿命が他の部品よりも短い場合などには、メンテナンスのサイクルをバッテリーの寿命に応じて設定する必要があり、メンテナンスの頻度、コストなどが高くなる可能性がある。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、回転数の検出系で消費される電力の少なくとも一部を発電によりまかなう。そのため、検出系の消費電力をまかなうためのバッテリーを省略すること、あるいはバッテリーを長寿命化することができる。その結果、例えば、メンテナンスの低頻度化や低コスト化を実現可能である。以下、エンコーダ装置ECの電力供給系について説明する。
エンコーダ装置ECの電力供給系は、発電ユニット4および電力調整部8を含む。電力調整部8は、整流スタック133、コンデンサ134、及びレギュレータ135を含む。
整流スタック133は、発電部21から流れる電流を整流する整流器である。整流スタック133の第1入力端子133aは、発電ユニット4の端子23aと接続されている。整流スタック133の第2入力端子133bは、発電ユニット4の端子23bと接続されている。整流スタック133の接地端子133gは、接地線GLに接続されている。整流スタック133の出力端子133cは、レギュレータ135の入力端子135aに接続されている。
整流スタック133の第1入力端子133aには、発電部21から順方向に流れる第1電流が供給される。整流スタック133の第2入力端子133bには、発電部21から逆方向(第1電流と逆向き)に流れる第2電流が供給される。整流スタック133は、これら電流出力を基に全波整流を行う。整流スタック133は、整流により調整された電力を、出力端子133cを介してレギュレータ135に供給する。
レギュレータ135は、例えば、低損失の3端子レギュレータを含む。レギュレータ135の接地端子135gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ135の出力端子135bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ135の入力端子135aには、整流スタック133により整流された直流電力が供給され、レギュレータ135は、この直流電圧を基に、リプル(脈動)の少ない所定電圧を生成する。この所定電圧の基準電位は、接地線GLおよび接地端子135gを介して供給されるシグナルグランドSGの電位と同電位である。所定電圧は、計数器128の動作電圧に設定され、計数器128がCMOSなどで構成される場合に、例えば3Vに設定される。アナログコンパレータ129、アナログコンパレータ131、及び記憶部9の不揮発性メモリ132のそれぞれの動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。電力調整部8は、少なくとも検出部7が回転数を検出してから記憶部9が回転数を書き込むまでの期間において、電源線PLの電位を接地線GLの電位に対して所定電圧にする。
コンデンサ134は、整流スタック133から出力される電力の脈動を低減する。コンデンサ134の第1電極134aは、整流スタック133の出力端子133bとレギュレータ135の入力端子135aとを接続する信号線に接続されている。コンデンサ134の第2電極134bは、接地線GLに接続されている。このコンデンサ134は、いわゆる平滑コンデンサであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。コンデンサ134の定数は、例えば、検出部7により回転数を検出して記憶部9に回転数を書き込むまでの期間に、電力調整部8から検出部7および記憶部9への電力供給が維持されるように設定される。
本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、例えば図14および図15を参照して説明したのと同様に動作する。上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、発電部21から出力があったときに一連の動作を行う。また、磁気式エンコーダ部1は、発電部21から出力がない期間に動作電流がゼロとなる状態を維持する。このように、磁気式エンコーダ部1は、磁石3の所定の位置が発電ユニット4の近傍を通過したことに応じてダイナミック駆動する。そのため、磁気式エンコーダ部1は、検出系で消費される電力をまかなうためのバッテリーを省くこと、あるいは長寿命にすることができる。
本実施形態において、磁気センサ55およびアナログコンパレータ129を含む検出部126の出力は、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にある場合に、Hレベルになる。つまり、検出部126は、磁気センサ55の検出結果を、磁石3の角度位置が0°から180°の区間にあるか否かを判定することに利用している。このように、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、磁石3の角度位置がいずれの区間にあるかを検出しながら、磁石3の回転数を検出できる。
なお、本実施形態において、検出部7は、発電部21から出力される電力の変化により回転情報を検出する検出部127を含んでいるが、検出部127を含んでいなくてもよい。この場合に、検出部7は、磁気センサ55の検出結果を使うことにより、一方向に回転する回転軸SFの回転数を検出できる。なお、検出部7は、発電部21からの電力を使ってセンサを駆動し、このセンサの検出結果により回転数を検出するものであればよい。例えば、このセンサは、磁気センサでなくてもよく、静電容量を検出するものでもよい。
ところで、磁石3が磁気センサ55上に形成する磁界が強いほど、磁気センサ55の出力が大きくなり、アナログコンパレータ129からの出力が安定するので、磁気式エンコーダ部1のロバスト性が高くなる。ここで、磁気センサ55は、発電ユニット4から電力が出力される期間に駆動されるので、この期間に磁石3が形成する磁界が強い位置に配置されるとよい。発電ユニット4は、磁石3の角度位置90°または角度位置270°が発電ユニット4の近傍を通過する際に発電するので、磁気センサ55は、磁石3の周方向における発電ユニット4との位相差が45°以上135°以下であると出力を確保することが容易であり、約90°であると出力が最大になる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、図15および図16と同様に、発電ユニット4、発電ユニット40、磁気センサ55、及び磁気センサ60を備える。磁気センサ55および磁気センサ60は、それぞれ、発電ユニット4および発電ユニット40が発生する電力を使って、磁石3の回転に伴う磁界の変化を検出する。
図22は、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成図である。発電ユニット40は、図2などを参照して説明した発電ユニット4と同様の構成である。発電ユニット40は、感磁性部41および発電部42を備える。発電部42は、感磁性部41における磁界の変化によって電力が発生する。
本実施形態において、電力調整部8は、整流スタック133、整流スタック144、コンデンサ134、及びレギュレータ135を備える。電力調整部8において、整流スタック144以外の要素については第6実施形態と同様である。整流スタック144の第1入力端子144aは、発電ユニット40から順方向の電流が出力される端子40aと接続されている。整流スタック144の第2入力端子144bは、発電ユニット40から逆方向に電流が出力される端子40bと接続されている。整流スタック144の接地端子144gは、接地線GLに接続されている。整流スタック144の出力端子144cは、整流スタック133とレギュレータ135とを接続する信号線に接続されている。整流スタック144は、発電ユニット40からの電流出力を基に全波整流を行う。整流スタック144は、整流により調整された電力を、出力端子144cを介してレギュレータ135に供給する。
図22においてレギュレータ135は、整流スタック133からの出力を基に所定電圧を生成し、整流スタック144からの出力を基に所定電圧を生成する。また、レギュレータ135は、整流スタック133からの給電系統と整流スタック144からの給電系統とで共用される。
なお、整流スタック133からの出力を基に所定電圧を生成するレギュレータ135と、整流スタック144からの出力を基に所定電圧を生成する他のレギュレータとが設けられていてもよい。また、図22おいて、発電ユニット4からの電流を整流する整流スタック133と、発電ユニット40からの電流を整流する整流スタック144とが別に設けられているが、1つの整流スタックによって、発電ユニット4からの電流を整流し、発電ユニット40からの電流を整流してもよい。
本実施形態において、検出部7は、検出部126、検出部145、及び計数器128を含む。検出部126は、第6実施形態と同様の構成である。検出部145は、検出部126と同様の構成であり、磁石3が形成する磁界の変化を検出する磁界検出部である。
検出部145は、磁気センサ60およびアナログコンパレータ146を備える。磁気センサ60の電源端子60pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ60の接地端子60gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ60の出力端子は、アナログコンパレータ146の入力端子146aに接続されている。磁気センサ60は、電源端子141pおよび接地端子141gを介して供給される電力を使って、磁石3が形成する磁界を検出し、その検出結果(検出信号)をアナログコンパレータ146に出力する。
アナログコンパレータ146は、磁気センサ60から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ146の電源端子146pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ146の接地端子146gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ146は、電源端子146pおよび接地端子146gを介して供給される電力により、磁気センサ60から出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ146は、磁気センサ55の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子146bからHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子146bからLレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ146の出力端子146bは、計数器128の第2入力端子128bに接続されている。アナログコンパレータ146は、出力端子146bを介して、計数器128の第2入力端子128bにHレベルまたはLレベルの信号を供給する。
図23は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。図24は、回転軸SFが反時計回りに回転(逆回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。
図23および図24の「磁界」において、実線は発電ユニット4の位置での磁界を示し、破線は発電ユニット40の位置での磁界を示す。「発電ユニット2」は発電ユニット40の出力を示し、発電ユニット40から1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。図23および図24の「レギュレータ」は、レギュレータ135の出力を示し、Hレベルを「H」で表し、Lレベルを「L」で表した。
図23および図24の「MRセンサ2上の磁界」は、磁気センサ60上に形成される磁界である。「MRセンサ2上の磁界」には、磁石3が形成する磁界を長破線で示し、バイアス磁石が形成する磁界を短破線で示し、これらの合成磁界を実線で示した。「MRセンサ2」は、磁気センサ60を常時駆動したときの出力を示し、第1出力端子からの出力を破線で表し、第2出力端子からの出力を実線で表した。「コンパレータ3」は、アナログコンパレータ146からの出力を示す。磁気センサ60が常時駆動された場合のアナログコンパレータ146の出力を「常時駆動」に示し、磁気センサ60が間欠駆動された場合のアナログコンパレータ146の出力を「間欠駆動」に示した。
まず、図23を参照しつつ、回転軸SFが反時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。発電ユニット40は、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。そのため、レギュレータ135は、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
本実施形態において、磁気センサ55の出力と磁気センサ60の出力は、90°の位相差を有しており、検出部7は、この位相差を利用して回転数を検出する。磁気センサ55の出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、発電ユニット40は角度位置45°において電力を出力し、発電ユニット4は角度位置135°において電力を出力する。磁気センサ55およびアナログコンパレータ129は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ129から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、磁気センサ55の出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、発電ユニット4は角度位置315°(−45°)において電力を出力し、発電ユニット40は角度位置45°において電力を出力する。磁気センサ55およびアナログコンパレータ146は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ146から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。
ここで、計数器128に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数器128に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図23では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数器128は、検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部9に信号レベルの組を記憶させる。計数器128は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部9から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、前回の検出において角度位置45°であり、今回の検出において角度位置135°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数器128は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部9に供給する。記憶部9は、計数器128からのアップ信号を検出した場合に、記憶している回転数を1増加した値に更新する。
次に、図24を参照しつつ、回転軸SFが時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置135°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置315°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。発電ユニット40は、角度位置45°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置225°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。このように、回転軸SFの回転方向が逆転すると、発電ユニット4から出力される電流の向き、発電ユニット40から出力される電流の向きが逆転する。
電力調整部8は、各発電ユニットから出力される電流を整流するので、レギュレータ135の出力は、各発電ユニットから出力される電流の向きに依存しない。そのため、レギュレータ135は、順回転と同様に、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
計数器28は、順回転について説明したのと同様に、回転方向を判定する。また、今回の信号レベルの組が(H,L)であって、前回の信号レベルが(L,H)である場合には、前回の検出において角度位置315°(−45°)であり、今回の検出において角度位置135°(−225°)であるので、時計回り(逆回転)であることがわかる。計数器128は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(L,H)である場合に、カウンタをダウンすることを示すダウン信号を記憶部9に供給する。記憶部9は、計数器128からのダウン信号を検出した場合に、記憶している回転数を1減少した値に更新する。このように、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、回転軸SFの回転方向を判定しながら、回転数を検出できる。
上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、発電部21または発電部42から出力があったときに一連の動作を行う。また、磁気式エンコーダ部1は、発電部21および発電部42のいずれかからも出力がない期間に動作電流がゼロとなる状態を維持する。このように、磁気式エンコーダ部1は、磁石3の所定の位置が発電ユニット4または発電ユニット40の近傍を通過したことに応じてダイナミック駆動する。そのため、磁気式エンコーダ部1は、検出系で消費される電力をまかなうためのバッテリーを省くことや長寿命化できる。
なお、本実施形態では、2つの発電ユニットを用いているが、発電ユニットの数は1つであってもよい。図25は、変形例に係る磁気式エンコーダ部1を示す図である。
図25(A)において、磁気センサ55は、発電ユニット4から反時計回りに約45°回転した角度位置に配置されている。磁気センサ60は、発電ユニット4から時計回りに約45°回転した角度位置に配置されている。また、磁気センサ60は、磁気センサ55と90°ずれた角度位置に配置されている。
このような構成の場合には、磁石3の位置3cが発電ユニット4の近傍を通過する際に、アナログコンパレータ129から出力されるA相信号はHレベルであり、アナログコンパレータ146から出力されるB相信号はLレベルである。また、磁石3の位置3cが発電ユニット4の近傍を通過する際に、A相信号はLレベルであり、B相信号はHレベルである。そのため、前回の信号レベルの組が(H,L)であって、今回の信号レベルが(L,H)である場合には、順方向または逆方向に1/2回転したことがわかる。また、前回の信号レベルの組が(L,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、順方向または逆方向に1/2回転したことがわかる。このように、前回と今回とで信号レベルの組が異なる場合には、回転位置の変化量の絶対値に関する情報が得られる。また、前回と今回とで信号レベルが同じである場合には、回転の向きに関する情報が得られる。例えば、前回の信号レベルの組と今回の信号レベルの組がいずれも(H,L)である場合には、磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過した後に、再度、磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過したことになる。この場合には、回転軸SFの回転の向きが反転したことがわかる。そのため、最初にA相信号およびB相信号が得られる際に、その回転の向き(回転の向きの初期値)を検出しておき、以降、前回と今回とで信号レベルの組が同じである場合には、カウントアップとカウントダウンを切り替え、前回と今回とで信号レベルの組が反転した関係にある場合には、カウンタ値を変化させることにより、回転の向きを加味して回転数を検出することができる。なお、回転の向きの初期値を検出するには、例えば、第6実施形態で説明したように発電ユニット4の出力を検出信号として利用してもよい。なお、第6実施形態と同様に、磁気センサ55の出力および発電ユニット4の出力を検出信号として利用して、回転の向きを加味して回転数を検出してもよい。この場合に、磁気センサ60は、磁気センサ55の異常検出、磁気センサ55が動作しない場合の予備(バックアップ)などに利用してもよい。
図25(B)において、磁気センサ55は、発電ユニット4から反時計回りに約135°回転した角度位置に配置されている。磁気センサ60は、発電ユニット4から時計回りに約135°回転した角度位置に配置されている。また、磁気センサ60は、磁気センサ55と90ずれた角度位置に配置されている。この場合にも、図25(A)の例と同様に、回転を検出することができる。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。本実施形態において、磁気式エンコーダ部は、第7実施形態と同様に、2つの発電ユニットおよび2つの磁気センサを備える。発電ユニットの配置および磁気センサの配置は、第2実施形態と同様である(図15および図16参照)。
図26は、本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1の回路構成図である。本実施形態において、磁気式エンコーダ部1は、磁気センサ55からの出力および磁気センサ60からの出力を検出信号として回転数を検出する第1検出系と、発電部21からの出力および発電部42からの出力を検出信号として回転数を検出する第2検出系とを備える。第1検出系については、第6実施形態と同様である。第2検出系は、第1検出系と独立して回転軸SFの回転数を検出する。第2検出系は、検出部150、検出部151、計数器152、及び記憶部153を備える。
検出部150は、発電部21から出力される電力の変化により回転軸SFの回転情報を検出する電力検出部である。検出部150は、電流電圧変換器155およびアナログコンパレータ156を含む。電流電圧変換器155は、発電部21から流れる電流を電圧に変換する変換器である。電流電圧変換器155の負極155aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。電流電圧変換器155の正極155bは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。電流電圧変換器155の出力端子は、アナログコンパレータ156の入力端子156aに接続されている。
アナログコンパレータ156は、電流電圧変換器155から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ156の電源端子156pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ156の接地端子156gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ156は、電源端子156pおよび接地端子156gを介して供給される電力により、電流電圧変換器155から出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ156は、電流電圧変換器155の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子156bからHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子156bからLレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ156の出力端子56bは、計数器152の第1入力端子152aに接続されている。アナログコンパレータ156は、出力端子156bを介して、計数器152の第1入力端子152aにHレベルまたはLレベルの信号を供給する。
検出部151は、発電部42から出力される電力の変化により回転軸SFの回転情報を検出する電力検出部である。検出部151は、検出部150と同様の構成である。検出部151は、電流電圧変換器157およびアナログコンパレータ158を含む。電流電圧変換器157は、発電部42から流れる電流を電圧に変換する変換器である。電流電圧変換器157の負極157aは、発電ユニット40の端子40aに接続されている。電流電圧変換器157の正極157bは、発電ユニット40の端子40bに接続されている。電流電圧変換器157の出力端子157cは、アナログコンパレータ158の入力端子158aに接続されている。
アナログコンパレータ158は、電流電圧変換器157から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ158の電源端子158pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ158の接地端子158gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ158は、電源端子158pおよび接地端子158gを介して供給される電力により、電流電圧変換器157から出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ158は、電流電圧変換器157の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子158bからHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子158bからLレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ158の出力端子158bは、計数器152の第2入力端子152bに接続されている。アナログコンパレータ158は、出力端子158bを介して、計数器152の第2入力端子152bにHレベルまたはLレベルの信号を供給する。
計数器152は、検出部150の検出結果と検出部151の検出結果とを使って、回転軸SFの回転数を計数する。計数器152は、アナログコンパレータ156から第1入力端子152aに出力された信号、及びアナログコンパレータ158から第2入力端子152bに出力された信号を制御信号に使って、回転軸SFの回転数を計数する。計数器152の電源端子152pは、電源線PLに接続されている。計数器152の接地端子152gは、接地線GLに接続されている。計数器152は、電源端子152pおよび接地端子152gを介して供給される電力を使って、計数を実行する。計数器152は、計数した結果を記憶部153に供給する。
記憶部153は、計数器152が検出した回転数に関する情報を記憶する。記憶部153の電源端子153pは、電源線PLに接続されている。記憶部153の接地端子153gは、接地線GLに接続されている。記憶部153は、電源端子153pおよび接地端子153gを介して供給される電力を使って、情報の書き込みを行う。記憶部153は、不揮発性メモリ159を含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持できる。
図27は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。図28は、回転軸SFが反時計回りに回転(逆回転)するときの磁気式エンコーダ部1の動作を示すタイミングチャートである。なお、磁気センサを用いた第1検出系による回転数の検出動作については、図22および図23と同様であり、図27および図28では省略した。また、図27および図28において、「角度位置」、「配置」、「磁界」、「発電ユニット1」、「発電ユニット2」、「レギュレータ」については、図22および図23と同様である。
図27および図28の「コンパレータ1」はアナログコンパレータ156の出力を示し、「コンパレータ2」はアナログコンパレータ158の出力を示す。各コンパレータの出力において、「RISE」は発電ユニットの出力が順方向の電流であることを示すRISE信号である。各コンパレータの出力において、「FALL」は、発電ユニットの出力が逆方向の電流であることを示すFALL信号である。「RISE」および「FALL」において、Hレベルを「H」で表し、Lレベルを「L」で表した。
図27および図28の「記憶部」において、「ステータス」は、記憶部153がセット状態にあるのか、リセット状態にあるのかを示す。「ステータス」において、セット状態にあることを「H」で表し、リセット状態にあることを「L」で表した。図27および図28の「記憶部」において、「書込動作」は、記憶部153が書き込み動作中であるか否かを示す。「書込動作」において、書き込み動作中にあることを「H」で表し、書き込み動作中でないことを「L」で表した。図27および図28の「カウンタ」は、記憶部53に記憶されている回転数を示す。
まず、図27を参照しつつ、回転軸SFが反時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。
発電ユニット40は、磁石3の周方向において、発電ユニット4と90°ずれた位置に配置されている。そのため、発電ユニット40が感じる磁界は、発電ユニット4が感じる磁界よりも位相が90°ずれる。発電ユニット40は、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。
角度位置135°および角度位置315°のそれぞれにおいて、発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ135は、所定電圧の電力を出力する。また、角度位置45°および角度位置225°のそれぞれにおいて、発電ユニット40から電流パルスが出力されると、レギュレータ135は、所定電圧の電力を出力する。
アナログコンパレータ156の出力(「コンパレータ1))において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°での発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置135°での発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。図26に示した計数器152は、アナログコンパレータ156からのRISE信号がLレベルであり、かつFALL信号がHレベルであることを検出した場合に、カウンタ値(回転数)をアップ(+1)することを示すアップ信号を記憶部53に出力する。
アナログコンパレータ158の出力(「コンパレータ2」)において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°での発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置225°での発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。
記憶部153は、アナログコンパレータ58からRISE信号のHレベルが出力された際(角度位置45°)に、セット状態に設定される。記憶部153は、セット状態にある場合に計数器152からのアップ信号を受けると(角度位置135°)、記憶している回転数を1増加した値に更新する。例えば、計数器152は、カウントアップ動作において、記憶部153に記憶されている回転数を読み出し、この回転数を1増加させた回転数をアップ信号として記憶部153に出力する。記憶部153は、アナログコンパレータ158からFALL信号のHレベルが出力された際(角度位置225°)にリセット状態に設定される。
磁気式エンコーダ部1は、上述のような動作を、回転軸SFの回転に伴って発電ユニット4または発電ユニット40から電力が出力されるたびに実行する。図27には、回転軸SFが2回転する間の磁気式エンコーダ部1の動作が示されており、磁気式エンコーダ部1は、図27の最初の回転と次の回転とで同様の動作を行う。例えば、n回転目の角度位置0°において記憶部153に記憶されている回転数はnであり、角度位置135°において、計数器152はアップ信号を記憶部153に供給し、記憶部153は記憶しているカウンタ値をn+1に更新する。次の回転においても同様に、角度位置135°において、計数器152はアップ信号を記憶部153に供給し、記憶部153は記憶しているカウンタ値をn+2に更新する。
次に、図28を参照しつつ、回転軸SFが時計回りに回転する際の磁気式エンコーダ部1の動作を説明する。発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに45°回転した角度位置315°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の負)を出力する。また、発電ユニット4は、角度位置0°から時計回りに225°回転した角度位置135°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット1」の正)を出力する。
発電ユニット40は、角度位置0°から時計回りに135°回転した角度位置225°において、順方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の正)を出力する。また、発電ユニット40は、角度位置0°から時計回りに315°回転した角度位置45°において、逆方向に流れる電流パルス(「発電ユニット2」の負)を出力する。
角度位置135°および角度位置315°のそれぞれにおいて、発電ユニット4から電流パルスが出力されると、レギュレータ135は、所定電圧の電力を出力する。また、角度位置45°および角度位置225°のそれぞれにおいて、発電ユニット40から電流パルスが出力されると、レギュレータ135は、所定電圧の電力を出力する。
アナログコンパレータ156の出力(「コンパレータ1」)において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置135°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°で発電ユニット4の出力を受けてHレベルになる。図26に示した計数器152は、アナログコンパレータ156からのRISE信号がHレベルであり、かつFALL信号がLレベルであることを検出した場合に、カウンタ値(回転数)をダウン(−1)することを示すダウン信号を記憶部153に出力する。
アナログコンパレータ158の出力(「コンパレータ2」)において、RISE信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置225°で発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。FALL信号は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°で発電ユニット40の出力を受けてHレベルになる。記憶部153は、アナログコンパレータ158からRISE信号のHレベルが出力された際(角度位置225°)に、セット状態に設定される。記憶部153は、セット状態にある場合に計数器152からのダウン信号を受ける(角度位置135°)と、記憶している回転数を1減少した値に更新する。例えば、計数器152は、カウントダウン動作において、記憶部153に記憶されている回転数を読み出し、この回転数を1減少させた回転数をアップ信号として記憶部153に出力する。記憶部153は、アナログコンパレータ158からFALL信号のHレベルが出力された際(角度位置45°)にリセット状態に設定される。
磁気式エンコーダ部1は、上述のような動作を、回転軸SFの回転に伴って発電ユニット4または発電ユニット40から電力が出力されるたびに実行する。図28には、回転軸SFが2回転する間の磁気式エンコーダ部1の動作が示されており、磁気式エンコーダ部1は、図28の最初の回転と次の回転とで同様の動作を行う。例えば、n+2回転目の角度位置0°において記憶部53に記憶されている回転数はn+2であり、−225°回転した角度位置135°において、計数器152はダウン信号を記憶部153に供給し、記憶部153は記憶しているカウンタ値をn+1に更新する。次の回転においても同様に、角度位置135°において、計数器152はダウン信号を記憶部153に供給し、記憶部153は記憶しているカウンタ値をnに更新する。
上述のような本実施形態に係る磁気式エンコーダ部1は、磁気センサ55からの出力および磁気センサ60からの出力を検出信号とする第1検出系と、発電部21からの出力および発電部42からの出力を検出信号とする第2検出系とが、それぞれ、回転数を検出する。第2検出系の検出結果は、例えば、第1検出系の検出結果との照合により、異常の検出などに利用できる。エンコーダ装置ECは、このような異常の検出を行う異常検出装置を備えていてもよいし、異常の検出結果を報知する報知装置を備えていてもよい。また、このような異常検出装置と報知装置の少なくとも一方は、エンコーダ装置ECの外部の装置であってもよい。また、第1検出系の故障などにより記憶部9から回転数を読み出せない場合に、第2検出系が検出した回転数を、記憶部53から読み出して、第1検出系の検出結果の代わりに利用することもできる。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と対応関係にある要素については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図29は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。上述の実施形態においてエンコーダ装置ECの磁気式エンコーダ部1は、外部からの電力の供給を受けずに一連の動作を行うスタンドアローン型の装置であるが、図29の磁気式エンコーダ部1には、回転軸SFの回転数を検出する検出系で消費される電力の少なくとも一部をまかなう電源装置80を接続可能である。この電源装置80は、例えば、図19と同様でよい。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、発電部が発生する電力を使って回転数の検出系を駆動するので、電源装置80を長寿命にすることができる。その結果、例えば、電源装置80のメンテナンス頻度を下げることができ、エンコーダ装置ECのメンテナンス頻度を下げることができる。なお、電源装置80は、光学式エンコーダ部2に電力を供給する電力供給系の少なくとも一部を含んでいてもよく、光学式エンコーダ部2の駆動時に磁気式エンコーダ部1に電力を供給してもよい。この電力供給系は、例えば、エンコーダ装置ECが実装されるロボット装置などの各種装置の主電源であってもよい。
次に、変形例について説明する。図30(A)は、磁気式エンコーダ部1の変形例を示す図である。上述の各実施形態において、磁石3は、リング状の磁石(図2参照)により交流磁場を発生するが、図30(A)の磁石3は棒磁石により交流磁場を発生する。本変形例において磁石3は、円盤状のプレート70上に設けられた棒磁石71a〜棒磁石71fを含む。
プレート70は、回転軸SFに固定されており、回転軸SFと一体的に回転する。棒磁石71a〜棒磁石71fは、プレート70と固定されており、プレート70および回転軸SFと一体的に回転する。棒磁石71a〜棒磁石71fは、それぞれ、プレート70の径方向とほぼ平行に配置されている。
棒磁石71a〜棒磁石71cは、プレート70の中心(回転軸SF)にS極を向けて、かつN極を回転軸SFに対する放射方向(プレート70の外側)を向けて、配置されている。棒磁石71aは、プレート70の位置3dの付近に配置されている。棒磁石71bは、プレート70の位置3aに配置されている。棒磁石71cは、プレート70の位置3bの付近に配置されている。
棒磁石71d〜棒磁石71fは、プレート70の中心(回転軸SF)にN極を向けて、かつS極を回転軸SFに対する放射方向(プレート70の外側)を向けて、配置されている。棒磁石71dは、プレート70の位置3bの付近に、棒磁石71cと隣接して配置されている。棒磁石71eは、プレート70の位置3cに配置されている。棒磁石71fは、プレート70の位置3dの付近に、棒磁石71aと隣接して配置されている。
このような磁石3によれば、プレート70の位置3bまたは位置3dが発電ユニット4の近傍を通過する際に、発電ユニット4における磁界の向きが反転し、発電ユニット4から電力が出力される。このとき、磁気センサ55の近傍を1つの棒磁石が通過し、磁気センサ55には、プレート70の径方向の磁界が形成される。磁気センサ55は、発電ユニット4から電力が出力される際に、磁界の向きを検出可能である。
図30(B)は、磁気式エンコーダ部1の変形例を示す平面図である。図30(B)において、磁気式エンコーダ部1は、発電ユニット4および発電ユニット40を備える。発電ユニット40は、磁石3の周方向において、発電ユニット4と180°の位相差で配置されている。この磁気式エンコーダ部1は、磁石3の位置3aが発電ユニット4の近傍を通過する際に、磁石3の位置3cが発電ユニット40の近傍を通過することになる。このように、発電ユニット4と発電ユニット40とがほぼ同時に電力を発生することになり、検出系などで消費される電力をまかないやすくなる。
図30(C)は、磁気式エンコーダ部1の変形例を示す側面図である。図30(C)において、磁気式エンコーダ部1は、発電ユニット4および発電ユニット40を備える。発電ユニット40は、磁石3に対して発電ユニット4の反対側に設けられている。発電ユニット40は、例えば、磁石3の周方向において発電ユニット4と同じ角度位置に設けられる。このエンコーダ装置ECは、発電ユニット4と発電ユニット40とがほぼ同時に電力を発生することになり、検出系などで消費される電力をまかないやすくなる。
図30(D)は、磁気式エンコーダ部1の変形例を示す側面図である。図30(D)において、磁気式エンコーダ部1は、磁石3、発電ユニット4、磁石66、及び発電ユニット40を備える。磁石3は、図1などに示した円板6の表面に配置されており、磁石66は裏面に配置されている。発電ユニット4は、磁石3の近傍に配置され、磁石3が形成する磁界の変化によって発電する。発電ユニット40は、磁石66の近傍に配置され、磁石66が形成する磁界の変化によって発電する。このように、磁気式エンコーダ部1は、複数の発電ユニットが設けられる場合に、発電ユニット4と対になる磁石3と、発電ユニット40と対になる磁石66とが異なる別の部材であってもよい。
なお、上述の変形例のように、複数の発電ユニットが設けられる場合に、発電ユニット40から出力される電力は、回転数を検出するための検出信号として利用されてもよいし、検出系などへの供給のみに利用されてもよい。また、エンコーダ装置ECに設けられる発電ユニットの数は、3つ以上であってもよい。また、発電ユニットは、磁石3の一面側と他面側のそれぞれに感磁性部および発電部が設けられており、これら感磁性部および発電部が1つの筐体に収容されている態様であってもよい。
なお、上述の各実施形態、各変形例において、磁石3は、周方向に2極と径方向に2極とを有する4極の磁石であるが、このような構成に限定されず適宜変更できる。例えば、磁石3は、周方向の極の数が4曲以上であってもよく、周方向に4極と径方向に2極とを有する8極の磁石であってもよい。
なお、上述の実施形態において、検出部7は、位置情報として回転軸SF(移動部)の回転情報を検出するが、位置情報として所定方向の位置、速度、加速度の少なくとも一つを検出してもよい。エンコーダ装置ECは、ロータリーエンコーダを含んでもよいし、リニアエンコーダを含んでもよい。また、エンコーダ装置ECは、発電部および検出部が回転軸SFに設けられ、磁石3が移動体(例、回転軸SF)の外部に設けられることで、磁石と検出部との相対位置が移動部の移動に伴って変化するものでもよい。検出部7は、発電部から出力される電力の変化による位置情報の検出を行わなくてもよく、例えば、磁気センサにより位置情報を検出してもよい。発電部21、発電部42の少なくとも一方は、大バルクハウゼンジャンプ以外の現象により電力が発生するものでもよく、例えば移動部(例、回転軸SF)の移動に伴う磁界の変化に伴う電磁誘導により、電力を発生するものでもよい。電力供給系は、検出部で消費される電力の少なくとも一部、及び検出部の検出結果を記憶する記憶部で消費される電力の少なくとも一部を供給するものでもよい。電力供給系は、検出部で消費される電力の少なくとも一部と、検出部の検出結果を記憶する記憶部で消費される電力の少なくとも一部とのうち、一方を供給し他方を供給しないものでもよい。検出部の検出結果を記憶する記憶部は、位置検出系の外部に設けられてもよく、エンコーダ装置ECの外部に設けられてもよい。
[駆動装置]
次に、駆動装置について説明する。図31は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、ステージ装置について説明する。図32は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図31に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、回転テーブル(移動物体)TBを取り付けた構成である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が回転テーブルTBに伝達される。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
このようにステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図33は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図33には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図33に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
このようにロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態あるいは変形例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
なお、上述の実施形態の態様に従えば、回転軸の回転に伴って回転する磁石と、磁石の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプを生じる感磁性部と、感磁性部における磁界の変化によって電力が発生する発電部と、発電部から出力される電力の変化により、回転軸の回転情報を検出する検出部と、発電部から出力された電力を所定電圧の電力に調整する電力調整部と、電力調整部から出力される電力を使って、検出部の検出結果を記憶する記憶部と、を備えるエンコーダ装置が提供される。
なお、上述の実施形態の態様に従えば、回転軸の回転に伴って回転する磁石と、磁石の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプを生じる感磁性部と、回転軸の回転情報を検出する検出部と、検出部の検出結果を記憶する記憶部と、感磁性部における磁界の変化によって電力が発生する発電部と、発電部から出力された電力を所定電圧の電力に調整し、検出部で消費される電力の少なくとも一部、及び記憶部で消費される電力の少なくとも一部を供給する電力調整部と、を備えるエンコーダ装置が提供される。
なお、上述の実施形態の態様に従えば、上記の態様のエンコーダ装置と、回転軸に動力を供給する動力供給部と、エンコーダ装置の検出部が検出した回転情報を使って動力供給部を制御する制御部と、を備える駆動装置が提供される。
なお、上述の実施形態の態様に従えば、移動物体と、移動物体を移動させる上記の態様の駆動装置と、を備えるステージ装置が提供される。
なお、上述の実施形態の態様に従えば、上記の態様の駆動装置と、駆動装置によって相対移動する第1アームおよび第2アームと、を備えるロボット装置が提供される。
上述の実施形態の態様は、例えば、エンコーダ装置に電力を供給するバッテリーの交換の必要性を減らす、あるいは無くすことを目的の一つとする。上述の実施形態の態様によれば、エンコーダ装置に電力を供給するバッテリーの交換の頻度を減らす、あるいはバッテリーの交換を省略することができる。