JP2018105726A - 心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置、スクリーニングプログラム、およびスクリーニング方法 - Google Patents
心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置、スクリーニングプログラム、およびスクリーニング方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このように、心筋梗塞、認知症、および腫瘍は、現代人の平均寿命に影響を及ぼす重大な疾患である。
本発明は、当該知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様を含む。
下記の演算手段を有する、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得手段、および
前記第1の測定値取得手段が取得した測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング装置。
項2.
被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第2の測定値取得手段、および
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較手段、
をさらに有し、
前記決定手段は、前記測定値比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、項1に記載のスクリーニング装置。
項3.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項1または2に記載のスクリーニング装置。
項4.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーニング装置。
項5.
コンピュータに実行させたときに、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質をスクリーニングするための下記の処理を当該コンピュータに実施させるスクリーニングプログラム:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得処理、および
前記第1の測定値取得処理で取得された測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニングプログラム。
項6.
さらに、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第2の測定値取得処理、および
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較処理、
を前記コンピュータに実施させ、
前記決定処理では、前記測定値比較処理の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、項4に記載のスクリーニングプログラム。
項7.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項5または6に記載のスクリーニングプログラム。
項8.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項5〜7のいずれか一項に記載のスクリーニングプログラム。
項9.
以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(I)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。
項10.
前記工程(I)と(II)の間に、前記工程(I)で取得された被験物質処理検体の測定値と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値とを比較する工程
をさらに含む、項9に記載のスクリーニング方法。
項11.
前記工程(I)の前に、
(i)被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞を、被験物質で処理する工程、
(ii)前記工程(i)において被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から検体を採取する工程、および
(iii)前記工程(ii)で得られた検体からタンパク質および/またはmRNAを回収する工程
を含む、項9または10に記載の方法。
項12.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項9〜11のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
項13.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項9〜12のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
項14.
以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(A)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質および/または前記タンパク質のmRNAを検出する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。
項15.
さらに、(B)前記工程(A)で得られた結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程を含む、項14に記載のスクリーニング方法。
項16.
前記工程(A)と工程(B)の間に、前記工程(A)で取得された被験物質処理検体の前記検出結果と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質および/または前記タンパク質のmRNAの検出結果とを比較する比較工程、
をさらに含む、項15に記載のスクリーニング方法。
項17.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項14〜16のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
項18.
下記の演算手段を有する、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得手段、および
前記第1の評価結果取得手段が取得した評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング装置。
項19.
被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第2の評価結果取得手段、および
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較手段、
をさらに有し、
前記決定手段は、前記評価結果比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、項18に記載のスクリーニング装置。
項20.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項18または19に記載のスクリーニング装置。
項21.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項18〜20のいずれか一項に記載のスクリーニング装置。
項22.
コンピュータに実行させたときに、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質をスクリーニングするための下記の処理を当該コンピュータに実施させるスクリーニングプログラム:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得処理、および
前記第1の評価結果取得処理で取得された評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニングプログラム。
項23.
さらに、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第2の評価結果取得処理、および
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較処理、
を前記コンピュータに実施させ、
前記決定処理では、前記評価結果比較処理の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、項22に記載のスクリーニングプログラム。
項24.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項22または23に記載のスクリーニングプログラム。
項25.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項22〜24のいずれか一項に記載のスクリーニングプログラム。
項26.
以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(I)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能を評価する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。
項27.
前記工程(I)と(II)の間に、前記工程(I)で取得された被験物質処理検体の前記評価結果と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質の機能の評価結果とを比較する工程
をさらに含む、項26に記載のスクリーニング方法。
項28.
前記工程(I)の前に、
(i)被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞を、被験物質で処理する工程、および(ii)前記工程(i)において被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から検体を採取する工程
を含む、項26または27に記載のスクリーニング方法。
項29.
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
項26〜28のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
項30.
前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、項26〜29のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
はじめに、本明細書、特許請求の範囲で使用する用語を説明する。
腫瘍が脳腫瘍である場合、バイオマーカータンパク質として好ましくは、図13に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である。
本明細書におけるバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも一種のタンパク質の測定値、およびバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも一種のmRNAの測定値の取得方法は、それぞれの測定値が取得できる限り制限されない。例えば、以下に述べる方法に従って取得することができる。
バイオマーカーからなる群から選択される少なくとも一種のタンパク質の測定値(以下、本明細書において「バイオマーカータンパク質の測定値」と略記することもある)を測定する場合、本工程では、当該測定値を取得するために、上記「1.用語の説明」で述べた抗バイオマーカー抗体を用いた測定方法を使用することができる。バイオマーカータンパク質の測定値を取得する測定方法としては、公知のELISA法等を使用して行うことができる。
バイオマーカータンパク質からなる群から選択される少なくとも一種のmRNAの測定値(以下、本明細書において「バイオマーカーmRNAの測定値」と略記することもある)を取得するために、マイクロアレイ法、RNA−seq解析法、定量的RT−PCR法等公知の測定方法を使用することができる。マイクロアレイ法に使用するプローブは、自ら選択したプローブまたは公知のプローブを合成して使用してもよく、また市販のマイクロアレイチップを使用してもよい。
検体からのtotal RNAおよびmRNAの抽出方法は特に制限されず、公知の抽出方法を使用することができる。
本発明において、バイオマーカータンパク質の機能を評価する方法としては、バイオマーカータンパク質の機能を評価できる限り特に制限されない。ここで「バイオマーカータンパク質の機能」とは、それぞれのバイオマーカータンパク質が有している本来の機能である。例えば、バイオマーカータンパク質が受容体である場合には、そのリガンドがバイオマーカータンパク質に結合した際に活性化し、当該タンパク質が属する情報伝達経路の下流に存在するタンパク質やケミカルメディエーターにその活性化の情報を伝達し、その受容体の支配下にある情報伝達経路を通じて細胞等に働きかける機能である。また、バイオマーカータンパク質がリガンドである場合には、例えば当該リガンドが結合する受容体を活性化する機能である。
また、バイオマーカーの機能を評価するために、各器官の代謝物質を測定してもよい。
例えば、GCMSで解析する場合には、細胞や組織からの代謝物質の抽出は、公知の方法によって行うことができ、特に制限されない。例えば、組織を、水、メタノール、エタノール、クロロホルム若しくはこれらの混合物等の溶媒に入れ、破砕し、さらに、当該溶媒に内部標準2−イソプロピルリンゴ酸等を加えた溶媒を添加し粗抽出物とする。当該粗抽出物を水およびクロロホルム等の疎水性溶媒を加えて、水相を精製する。精製された水相をさらに限外濾過等で精製したものを代謝物質の抽出液として解析に使用する。
心臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
脳_Split1:25_検出器電圧+0.2kV
腎臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
肝臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
膵臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
骨格筋_Split1:25_検出器電圧+0.2kV
脂肪組織_Split1:3_検出器電圧+0.2kV
血漿_Split1:10_検出器電圧+0.1kV
脾臓_Split1:25_検出器電圧+0.2kV
肺_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
精巣_Split1:10_検出器電圧+0.3kV
胸腺_Split1:25_検出器電圧+0.3kV。
CE−MSは、例えばAgilent CE−TOFMS system(Agilent Technologies 社)を、CE用のキャピラリーカラムには、Fused silica capillary i.d. 50 μm × 80 cmを用いることができる。CE−の泳動用バッファーには、カチオン用;Cation Buffer Solution (p/n : H3301−1001;HMT)、アニオン用Anion Buffer Solution (p/n : I3302−1023;HMT)等を用いることができる。
例えば、サンプル注入条件を Pressure injection 50 mbar, 10 sec、CEの泳動電圧を27kVで電気泳動を行う。電子イオン化のエネルギーを4,000Vとし、スキャンする範囲を50〜1000とすることができる。また、サンプルは、5nl程度をインジェクションすることができる。
CE voltage : Positive, 27 kV
MS ionization : ESI Positive
MS capillary voltage : 4,000 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid (p/n : H3301-1020)
例えばサンプル注入条件を Pressure injection 50 mbar, 25 sec、CEの泳動電圧を30kVで電気泳動を行う。電子イオン化のエネルギーを3,500Vとし、スキャンする範囲を50〜1000とすることができる。サンプルは、5nl程度をインジェクションすることができる。
CE voltage : Positive, 30 kV
MS ionization : ESI Negative
MS capillary voltage : 3,500 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid (p/n : H3301-1020)
本発明においては、上記「2.各測定値の取得方法」において取得された測定値を用いて、後述する「5.スクリーニング1」を行う。また、本発明においては、上記「3.バイオマーカータンパク質の機能の評価」において取得された評価結果を用いて、後述する「6.スクリーニング2」を行う。まず、これらの処理を行うためのシステム構成について説明する。
5−1.概要
本態様においては、上記「2.各測定値の取得方法」を実施することによって取得される、被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を用いて、当該被験物質が心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質であると決定する。より具体的には、本態様は、工程(I):被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する工程、および工程(II):前記工程(I)で得られた測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程を含む。この場合、被験物質処理検体中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値が、健常個体の対応するバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値に近づいていれば、当該被験物質が有効成分の候補物質であると決定することができる。
本発明は、第1の態様として、下記の演算手段を有する、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置を含む:
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得手段、および
前記第1の測定値取得手段が取得した測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段。
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較手段、
をさらに有し、
前記決定手段は、前記測定値比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する。決定方法は、後述する「5−4.スクリーニング方法」の記載に準ずる。
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得機能、および
前記第1の測定値取得機能が取得した測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定機能。
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較機能、
をCPU101により実行し、
前記決定機能は、前記測定値比較機能の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する。
本発明の第1の態様に係るスクリーニング装置1は、以下の図4で説明するステップS11〜S17の処理を行うために、本態様に係るスクリーニングプログラムを、例えば実行形式(例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される)で記録部103に予め記録しており、スクリーニング装置1は、記録部103に記録したスクリーニングプログラムを使用して処理を行う。
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得処理、および
前記第1の測定値取得処理で取得された測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理。
を前記コンピュータに実施させ、
本発明の第1の態様に係るスクリーニング装置1は、本発明の第1の態様に係るスクリーニング方法を実行する。本発明の第1の態様に係るスクリーニング方法は、以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法を含む:
(I)被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程。
ステップS12では、第2の測定値取得部12が、未処理検体中のタンパク質測定値M12および/またはmRNA測定値M22を取得する。
6−1.概要
本態様においては、上記「3.バイオマーカータンパク質の機能の評価」の方法を実施することによって取得される、被験物質処理検体中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を用いて、当該被験物質が心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質であると決定する。より具体的には、本態様は、工程(I):被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能を評価する工程、および工程(II):前記工程(I)で得られた評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程を含む。この場合、被験物質処理検体中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果が、健常個体の対応するバイオマーカータンパク質の機能の評価結果に近づいていれば、当該被験物質が有効成分の候補物質であると決定することができる。
6−2.スクリーニング装置
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得手段、および
前記第1の評価結果取得手段が取得した評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段。
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較手段、
をさらに有し、
前記決定機能は、前記評価結果比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する。決定方法は、後述する「6−4.スクリーニング方法」の記載に準ずる。
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得機能、および
前記第1の評価結果取得機能が取得した評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定機能。
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較機能、
をCPU101により実行し、
本発明の第2の態様に係るスクリーニング装置2は、以下の図8で説明するステップS21〜S27の処理を行うために、本態様に係るスクリーニングプログラムを、例えば実行形式(例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される)で記録部103に予め記録しており、スクリーニング装置2は、記録部103に記録したスクリーニングプログラムを使用して処理を行う。
被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得処理、および
前記第1の評価結果取得処理で取得された評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理。
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較処理、
を前記コンピュータに実施させ、
前記決定処理では、前記評価結果比較処理の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する。決定方法は、後述する「6−4.スクリーニング方法」の記載に準ずる。
本発明の第2の態様に係るスクリーニング装置2は、本発明の第2の態様に係るスクリーニング方法を実行する。本発明の第2の態様に係るスクリーニング方法は、以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法を含む:
(I)被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能を評価する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程。
好ましくは、上記スクリーニング方法は、前記工程(I)と(II)の間に、前記工程(I)で取得された被験物質処理検体の前記評価結果と、被験物質で処理されていない被験体、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質の機能の評価結果とを比較する工程
をさらに含む。
ステップS21では、第1の評価結果取得部21が、被験物質処理検体中のタンパク質の機能の評価結果M31を取得する。
ステップS22では、第2の評価結果取得部22が、未処理検体中のタンパク質の機能の評価結果M32を取得する。
さらに本発明は、第3のスクリーニング方法を含む。本態様は、被験物質処理検体中のバイオマーカータンパク質および/または前記タンパク質のmRNAを検出する検出工程(A)を含む心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法である。バイオマーカータンパク質の検出は、例えば上記「1.用語の説明」に記載の「抗バイオマーカー抗体」を用いて、ウエスタンブロッティング法、ELISA法、等のタンパク質の公知の検出方法によって行うことができる。バイオマーカータンパク質の検出は、例えば上記「1.用語の説明」に記載の「バイオマーカー mRNA検出核酸」を用いて、マイクロアレイ法、RT−PCR等の公知の方法によって行うことができる。
検出の結果は、目視で取得してもよく、吸光度、蛍光強度、発光強度として取得してもよい。
本発明は、バイオマーカータンパク質および/または、バイオマーカータンパク質のmRNAを、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種を予防、または治療するための有効成分の候補物質をスクリーニングするためのバイオマーカーとして使用する方法に関する。ここで、「バイオマーカー」の定義は、上記「1.用語の説明」の記載にしたがう。
これらのバイオマーカーは、各検体に含まれる。
1−1.心筋梗塞モデルマウスの作製および臓器摘出・血液採取
8〜12週齢のオスICRマウスを2〜2.5%のイソフルラン(Abbott Japan, Wako Japan)で麻酔し、20-gaugeの静脈用カテーテルで気管挿管した。人工呼吸はvolume-controlled respirator (Harvard Apparatus)で1サイクル200μLになるように設定し、1分間に110サイクルで行った。マウスの毛を脱毛剤で除いた後に開胸し、左心耳の1〜2mm下の左冠動脈を8-0ナイロン縫合糸で縛り、閉塞は左心室壁の色の変化(青白くなる)で確認した。切り開いた肋骨と肋骨の間は5-0シルク糸で縫合し、皮膚は9 mm Autoclipにて縫合した。手術後に37℃に設定したホットプレートに置き30分間覚醒を待った。Sham手術マウスは左冠動脈の下に縫合糸を通しただけで縛らず、その他はすべて同じ作業を行った。その後心機能は心エコー測定にてモニタリングし、心筋梗塞後1時間、6時間、1日、7日、8週間後に心臓、脳、腎臓、脂肪組織、脾臓、肝臓、肺、精巣、筋肉、膵臓、胸腺、骨髄、耳(軟骨部分を含まない皮膚、以下同じ)といった組織を摘出して液体窒素で速やかに凍結後-80℃にて保存した。また心筋梗塞後1日、7日、8週間に尾静脈よりヘパリンリチウム処理済み微量採血管(テルモ株式会社)で採血を行った。採取した血液はノボ・ヘパリン(持田製薬株式会社)でリンスした1.5 mLチューブに移して15,000 rpm 5分間遠心し、上澄み(血漿)を分離し-80℃にて保存した。臓器摘出用のマウスと血液採取用のマウスは別に用意した。
上記心筋梗塞モデルマウスが、適切に作製されていることを心エコーを用いて評価した。
心エコー測定はToshiba Diagnostic Ultrasound System Machin (Aplio MX SSA-780A)およびVevo2100 Imaging System(プライムテック株式会社)で心筋梗塞後1時間、6時間、1日、7日、2週間、4週間、6週間、8週間のマウスで測定した。マウスは2-2.5%のisofluraneにて麻酔後、心臓の動きをlong-axis 2D-mode viewとM-mode viewにて記録した。long-axis 2D-mode viewで拡張期と収縮期での空腔の直径を測定し、左心室の収縮機能は駆出率(%EF)で評価した。%EF =[(EDv - ESv)/EDv ] × 100
EDv:拡張期末期の直径
ESv:収縮期末期の直径
冠動脈を結紮後、%EF値が低下しなかったマウスは、結紮失敗と見なし実験から排除した。また、結紮後、%EF値が低下したにもかかわらず、後日当該値の再上昇が認められたマウスも、結紮が何らかの原因で解けたと判断し、実験から排除した。
(1)代謝産物の抽出および誘導化
脂肪、膵臓、精巣ではジルコニア(Zr)ビーズ(5 mm×2個、3 mm×5個、1.5 mm×50個)の入った破砕用チューブ(バイオメディカルサイエンス社)に組織とメタノール(組織100 mgに対して100 μL)を入れ、セルデストロイヤーPS1000(バイオメディカルサイエンス社)で破砕した(4,260 rpm、45秒間を2回)。その後50mg相当の組織に500μLのメタノール(内部標準である2-イソプロピルリンゴ酸を含む)を加え、セルデストロイヤーにて混ぜ、サンプルとして使用した(4,260 rpm、45秒間を1回)。脾臓、肺ではZrビーズ(5 mm×2個、3 mm×5個、1.5 mm×50個)の入った破砕用チューブに組織試料100mgと500μLのメタノール(2-イソプロピルリンゴ酸0.5mg/mL水溶液20μLを含む)を加え、セルデストロイヤーで破砕したものをサンプルとした(4,260 rpm、45秒間を2回)。心臓、脳、腎臓、肝臓、筋肉ではZrビーズ(5 mm×2個、3 mm×5個、1.5 mm×50個)の入った破砕用チューブに組織試料と500μLのメタノール(2-イソプロピルリンゴ酸を含む)を加え、セルデストロイヤーで破砕した(4260rpm、45秒間を2回)。その後15,000 rpmで15分間遠心して上澄みを別のチューブに移した。そのうち50 mg相当をさらに別の新しいチューブに移してそれをサンプルとして使用した。血漿サンプルでは血漿サンプル10μLに500μLのメタノール(2-イソプロピルリンゴ酸を含む)を加えてボルテックスで30秒間撹拌し、10分間室温においたものをサンプルとして使用した。これらのサンプルにMilli-Q水 200μLとクロロホルム500μLを加えて、ボルテックスで30秒間撹拌し、7,100 rpmで5分遠心して水層400μLを新しいチューブに回収した。そこにMilli-Q 200μLとクロロホルム 200μLを加えて、再度ボルテックスで30秒間撹拌し、7,100 rpmで5分間遠心した。その後水層400μLを限外濾過ユニットカップ(Hydrophlic PTFE membrane、0.2μm;ミリポア)に移し10,000 rpmで15分間遠心し、分析するまで-80℃にて保管した。サンプルは測定の前に10mgもしくは10μL相当分のサンプルを減圧乾燥し、20 mg/mL メトキシアミン塩酸塩を含むピリジン溶液50μLを添加し37℃で90分間シェイカーにて振盪した。その後さらにN-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(MSTFA)を50μLを添加し37℃で30分間シェイカーにて振盪し、トリメチルシリル化させた。
GCMSにはGCMS-TQ8030(島津製作所)を、GC用のキャピラリーカラムにはDB-5(30m x 内径0.25 mm x 膜厚1.00 μm) (Agilent Technologies)を用いた。GCの昇温条件は100℃から320℃までを4℃/分の速度で上昇させた。注入口温度は280℃とし、キャリアガスにはヘリウムを用い、39.0cm/秒の速度で流した。電子イオン化のエネルギーは150 eVとし、イオン源温度は200℃で、スキャンするm/zの範囲は45〜600とした。サンプルは1μLをインジェクションし、下記の条件で測定した。
心臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
脳_Split1;25_検出器電圧+0.2kV
腎臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
肝臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
膵臓_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
骨格筋_Split1:25_検出器電圧+0.2kV
脂肪組織_Split1:3_検出器電圧+0.2kV
血漿_Split1:10_検出器電圧+0.1kV
脾臓_Split1:25_検出器電圧+0.2kV
肺_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
精巣_Split1:10_検出器電圧+0.3kV
胸腺_Split1:25_検出器電圧+0.3kV
データ解析ソフトであるGCMS solution Ver. 4.2とGCMS代謝成分データベース(島津製作所)を用いて検索を行った。代謝物の同定のために、推測された保持時間と少なくとも2つの特異的ピーク(ターゲットイオン、確認イオン)のm/zの存在と比率を確認した。同定された代謝産物はターゲットイオンのピーク面積を計測し、内部標準(2-イソプロピルリンゴ酸)のピーク面積とサンプル量で補正した。
(1)各組織からのRNA抽出(RNAseq用)
凍結保存された各組織をTRIzol Reagent (Life technologies)中で、PT 10-35 6T Polytron homogenizer (KINEATICA) にて組織をホモジナイズした。その後タンパク質を分離するため室温にて5分インキュベート後、1 mL のTRIzolに対して0.2mLのクロロホルムを加え、チューブの蓋をした後に15秒間激しくボルテックスした。撹拌後3分室温でインキュベートし、4℃で15分間12,000 gで遠心し、RNAを含む水相を新しいチューブに回収した。回収した水相に等量の70%エタノールを加え撹拌後、RNeasy mini column (Qiagen)に700μLずつアプライしRNeasy mini kit(Qiagen) 標準プロトコルに従って精製RNAを回収した。回収したRNAは1%アガロース電気泳動およびNanodrop にて品質および濃度の確認を行った。
上記試料を使用してRNAseqのデータを以下の手順で取得した。
i.品質検査
下記項目にて、受入サンプルの品質検定を行った。
・Nanodrop(分光光度計)を用いた濃度測定
・Agilent 2100 Bioanalyzerによる濃度測定・品質の確認
ii.サンプル調製
品質検定に合格したTotal RNAについて、500~1000ng のTotal RNAをテンプレートとしてイルミナ社TruSeq RNA Sample Prep Kit を用いて標準プロトコルに従い下記の要領でシーケンス用ライブラリ調製を行った。
(a)Oligo-dT ビーズを用いたpoly(A)-RNAの精製
(b)poly(A)-RNA断片化
(c) 逆転写/2nd鎖cDNA合成
(d) 末端修復・3'A付加
(e) アダプターライゲーション
※アダプターには、各検体識別用のインデックスタグを含む。
(f) PCR増幅
(g) AMPure XP ビーズによる精製・低分子除去(<200bp)
iii.次世代シーケンサによるデータ取得
次世代シーケンサ「Illumina HiSeq」を使用し、Single-Read法 100塩基読み取りにより塩基配列データを取得した。
(3−1)次世代シーケンサ出力データの解析
上記出力データについて、下記に挙げる情報処理を実施した。
i.ベースコール:出力された解析生データ(画像データ)より、塩基配列のテキストデータを取得した。
ii.フィルタリング:所定のフィルタリングによるリードデータの選別を行った。
iii.Index配列による振り分け:Index情報による各サンプルデータの振り分けを行った。
Illumina Hiseqにて得られたデータファイル(Fastq形式)をローカルサーバーにダウンロードしたGalaxy (https://usegalaxy.org/) 上にアップロードした。その後マウスゲノムマップ情報mm9に各配列をマッピングするためにBowtie2(http://bowtie-bio.sourceforge.net/bowtie2/index.shtml) を用いて解析した。Bowtie2で得られたBAMファイルをCufflinks (http://cole-trapnell-lab.github.io/cufflinks/) にて解析することで遺伝子毎にFPKM(RPKM)を算出した。
心筋梗塞モデルマウスでのRNA発現量(FPKM値)をSham手術マウスの対応するRNAの発現量(FPKM値)で除した値(以下、[MI/Sham]ともいう)が5より大きいRNAおよび0.2より小さかったRNAについて、器官毎のRNA発現の経時的変化を図9に示した。
RNAの解析を行った中で、[MI/Sham]が、より大きい、またはより小さい遺伝子を選択し、リアルタイムPCRで発現を確認した(図10)。
各組織から得られたTotal RNA 1 μgをcDNA合成のテンプレートとしOligo dT20プライマーを用いてSuperscrtipt III First-Strand Synthesis Supermix (Life technologies) の標準プロトコルに従いcDNAを合成した。合成されたcDNAを10倍希釈したTEバッファー(10mM Tris-HCl pH8.0、0.1 mM EDTA)にて20倍希釈した後 、LightCycler 480 SYBR Green I Master (Roche) の標準プロトコルに従い、LightCycler480II (Roche) にてリアルタイムPCRを行いCp値を測定した。各遺伝子で得られたCp値はreference geneとしてβ2−ミクログロブリン(B2m)もしくはMaeaのCp値と比較することでreference geneに対する各遺伝子の相対的発現量を定量し、[MI/Sham]を求めた。リアルタイムPCRで使用したプライマーペアは表1−1〜表1−3の通りである。ただし、Hba-aのプライマーセットではHba-a1とHba-a2をPCRで区別することはできず、Hbb-bのプライマーセットではHbb-b1、Hbb-bsおよびHbb-btをPCRで区別することはできないため、サンプル中にHba-a1とHba-a2、またはHbb-b1、Hbb-bsおよびHbb-btが存在する場合には、発現量はその合計となる。
2−1.若年性認知症モデルマウス、および器官摘出・血液採取
若年性認知症モデルマウスとしてSAMP8/Ta Slc(以下、「SAMP8」ともいう;日本SLC株式会社)の雄を用い、コントロールマウスとしてSAMR1/Ta Slc(以下、「SAMR1」ともいう;日本SLC株式会社)の雄を使用した。SAM系マウスは、竹田俊男(Jpn. J. Hyp., 51, 569-578, 1996)で報告された老化促進モデルマウスである。
1日目に馴化および獲得試行を行い、2日目に再生試行を行った。各試行はシャトルボックス(室町機械)を用いて行った。シャトルボックスは片側が明室、もう片側が暗室の構造であり、2室の間に開閉式の仕切りがあり、暗室のみ通電を行った。
再生試行では、マウスを明室に入れて、その10秒後に仕切りを開けた。ここから潜時(暗室に移動するまでの時間)を最長300秒まで測定した。
それぞれの系統と週齢のマウスについて、ステップスルーテストの再生試行の潜時の平均値を求めた。この平均値に再生試行の潜時が近い順に、それぞれ同じ動物種と週齢のマウスを6匹ずつ(RNA抽出用に3匹、代謝物質抽出用に3匹)選抜した。同じ潜時の場合は、個体識別番号の小さいものを選抜した。
ステップスルーテストの結果を表2に示す。
代謝物質を抽出するために器官を採取するマウスについては、はじめに、イソフルラン麻酔下で開腹し、注射筒と注射針を用いて腹部大静脈より採血した。得られた血液は微量採血管(BD Microtainer Tubes with K2E(K2EDTA))に採取した。遠心分離まで氷中にて保管し、遠心分離後、血漿分離した。得られた血漿は、-80℃にて保存した。採血後、各器官を摘出するために、頸椎脱臼によりマウスを安楽死させ、14器官(心臓、脳、腎臓、脂肪組織(精巣上体周囲)、褐色脂肪、脾臓、肝臓、肺、精巣、筋肉、膵臓、胸腺、胃、大腸、を摘出した。摘出した器官は、湿重量を測定した後,液体窒素で速やかに凍結後-80℃にて保存した。
(1)代謝産物の抽出
脳、脂肪組織(精巣上体周囲)、褐色脂肪、脾臓、膵臓、精巣、胃、大腸、肝臓、腎臓、肺、心臓、骨格筋はジルコニア(Zr)ビーズ(5 mm×5個、10 mm×1個)の入った破砕用チューブ(バイオメディカルサイエンス社)に組織と内部標準物質(Solution ID: 304-1002;HMT)を含む50%アセトニトリル(組織50 mgに対して1500μLの割合)を入れ、シェイクマスターネオV.1.0(バイオメディカルサイエンス社)で破砕したものをサンプルとした(1,500 rpm、60秒間を3回)。
CE-MSには、Agilent CE-TOFMS system(Agilent Technologies 社)をCE用のキャピラリーカラムには、Fused silica capillary i.d. 50 μm × 80 cmを用いた。CE-の泳動用バッファーには、カチオン用;Cation Buffer Solution (p/n : H3301-1001;HMT)、アニオン用Anion Buffer Solution (p/n : I3302-1023;HMT)を用いた。
<カチオン側測定条件>
サンプル注入条件を Pressure injection 50 mbar, 10 sec、CEの泳動電圧を27kVで電気泳動を行った。電子イオン化のエネルギーを4,000Vとし、スキャンする範囲を50〜1000とした。サンプルは、5nLをインジェクションした。
CE voltage : Positive, 27 kV
MS ionization : ESI Positive
MS capillary voltage : 4,000 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid (p/n : H3301-1020)
<アニオン側測定条件>
サンプル注入条件を Pressure injection 50 mbar, 25 sec、CEの泳動電圧を30kVで電気泳動を行った。電子イオン化のエネルギーを3,500Vとし、スキャンする範囲を50〜1000とした。サンプルは、5nLをインジェクションした。
CE voltage : Positive, 30 kV
MS ionization : ESI Negative
MS capillary voltage : 3,500 V
MS scan range : m/z 50-1,000
Sheath liquid : HMT Sheath Liquid (p/n : H3301-1020)
検出されたピークは、自動積分ソフトウェアのMasterHands ver.2.16.0.15(慶應義塾大学開発)を用いて、シグナル/ノイズ (S/N) 比が3 以上のピークを自動抽出し、質量電荷比 (m/z)、ピーク面積値、泳動時間 (Migration time: MT)を用いて代謝物の同定を行った。対象項目は、HMT CE-MSアノテーションリストに記載の代謝物質とした。
同定された代謝産物はターゲットイオンのピーク面積を計測し、内部標準のピーク面積とサンプル量で補正した。
(1)各組織からのRNA抽出
凍結保存された各組織をTRIzol Reagent (Life technologies)中で、Cell Destroyer PS1000 (Pro Sense inc) あるいは、 PT 10-35 6T Polytron homogenizer (KINEATICA) にて組織をホモジナイズした。その後タンパク質を分離するため室温にて5分インキュベート後、1 mL のTRIzolに対して0.2mLのクロロホルムを加え、チューブの蓋をした後に15秒間激しくボルテックスした。撹拌後3分室温でインキュベートし、4℃で15分間12,000 gで遠心し、RNAを含む水相を新しいチューブに回収した。回収した水相に等量の70%エタノールを加え撹拌後、RNeasy mini column (Qiagen)に700μLずつアプライしRNeasy mini kit(Qiagen) 標準プロトコルに従って精製RNAを回収した。回収したRNAは1%アガロース電気泳動およびNanodrop にて品質および濃度の確認を行った。
(2)RNAseqデータの取得
上記試料を使用してRNAseqのデータを以下の手順で取得した。
i.品質検査
下記項目にて、受入サンプルの品質検定を行った。
・Agilent 2200 TapeStationSytemによる濃度測定・品質の確認
ii.サンプル調製
品質検定に合格したTotal RNAについて、500~1000ng のTotal RNAをテンプレートとしてイルミナ社TruSeq RNA Sample Prep Kit を用いて標準プロトコルに従い下記の要領でシーケンス用ライブラリ調製を行った。
(a)Oligo-dT ビーズを用いたpoly(A)-RNAの精製
(b)poly(A)-RNA断片化
(c) 逆転写/2nd鎖cDNA合成
(d) 末端修復・3'A付加
(e) アダプターライゲーション
※アダプターには、各検体識別用のインデックスタグを含む。
(f) PCR増幅
(g) AMPure XP ビーズによる精製・低分子除去(<200bp)
iii.次世代シーケンサによるデータ取得
次世代シーケンサ「Illumina HiSeq 4000」を使用し、Paired-End法 100塩基読み取りにより塩基配列データを取得した。
(3−1)次世代シーケンサ出力データの解析
上記出力データについて、下記に挙げる情報処理を実施した。
i.ベースコール:出力された解析生データ(画像データ)より、塩基配列のテキストデータを取得した。
ii.フィルタリング:所定のフィルタリングによるリードデータの選別を行った。
iii.Index配列による振り分け:Index情報による各サンプルデータの振り分けを行った。
Illumina Hiseqにて得られたデータファイル(Fastq形式)をローカルサーバーにダウンロードしたGalaxy (https://usegalaxy.org/) 上にアップロードした。その後マウスゲノムマップ情報mm10に各配列をマッピングするためにBowtie2(http://bowtie-bio.sourceforge.net/bowtie2/index.shtml) を用いて解析した。Bowtie2で得られたBAMファイルをCufflinks (http://cole-trapnell-lab.github.io/cufflinks/) にて解析することで遺伝子毎にFPKMを算出した。
SAMP8のRNA発現量(FPKM値)をSAMR1(コントロール)の対応するRNAの発現量(FPKM値)で除した値(以下、[SAMP8/Control]ともいう)が5より大きいか0.2より小さかったRNAの器官毎の経時的変化を図12に示した。
3−1.神経膠腫モデルマウス、および器官摘出・血液採取
7週齢の雄NOD/ShiJic-scid JCIマウスを、移植当日までに、バリカンを用いて頭部の毛刈りを無麻酔下で行った。三種混合麻酔液((i)塩酸メデトミジン、商品名:ドミトール、日本全薬工業株式会社、(ii)ミタゾラム、商品名:ドルミカム、アステラス、(iii)酒石酸ブトルファノール、商品名:ベトルファール Meiji Seikaファルマ株式会社)の腹腔内投与により、動物を深麻酔に誘導した。
各組織からのRNA抽出、RNAseqデータの取得、RNAseqデータの解析とheat map作成、出力されたデータの2次解析は、上記2−1.および2−3.にしたがった。
神経膠腫モデルマウスでのRNAの発現量(FPKM値)をコントロール群マウスの対応するRNAの発現量(FPKM値)で除した値(以下、[Glioma/Control]ともいう)が5より大きいか0.2より小さかったRNAの器官毎の経時的変化を図14に示した。
4−1.ヒト腫瘍患者、および健常人からの皮膚の採取・血液採取
ヒト検体の採取は、国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター倫理審査委員会の承認を得て実施された臨床研究「肺がんおよび乳がん患者から採取した組織・体液の遺伝子発現解析」の中で実施した。
(選択基準)
(1) 肺がんおよび乳がんと診断され手術を施行予定の患者
肺がんは非小細胞肺がん臨床病期StageI〜StageIIの患者
乳がんは臨床病期StageI〜StageIIの患者
(2) 本研究計画について十分理解し、本人による同意が可能な患者
(3) 同意取得時における年齢が満20歳以上の患者
(除外基準)
(1) 研究者が被験者として適当でないと判断した患者
(2) HBs抗原陽性者、HBc抗体陽性者、HCV抗体陽性者、HIV感染者、
HTLV-1感染者、Syphilis陽性者
(3) 過去にがんの既往のある患者
(4) 心筋梗塞の既往のある患者
(5) 糖尿病の既往のある患者
(6) 腎臓疾患の既往のある患者
また健常人の女性5名から採取した血液および健常人の女性から採取した胸部の皮膚は、BIOPREDIC international社から入手した。
皮膚は、使用時まで−80℃で保管した。
各組織からのRNA抽出、RNAseqデータの取得、RNAseqデータの解析とheat map作成、出力されたデータの2次解析は、上記2−1.および2−3.にしたがった。
但しヒトゲノムデータベースとして、hg19を使用した。
3 入力部
4 表示部
5a 装置
5b 装置
5c 装置
6,7 予測装置
11 第1の測定値取得部
12 第2の測定値取得部
13 測定値比較部
14 候補物質決定部
21 第1の評価結果取得部
22 第2の評価結果取得部
23 評価結果比較部
24 候補物質決定部
52 反応/泳動部
53 検出部
61 被験データ取得部
62 パターン類似度算出部
63 予測部
71 病期情報取得部
72 病期情報照合部
73 パターン抽出部
74 予測部
100,110,120,130 システム
101 CPU
102 メモリ
103 記録部
104 バス
105 インタフェース部
109 記録媒体
Claims (30)
- 下記の演算手段を有する、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得手段、および
前記第1の測定値取得手段が取得した測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング装置。 - 被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第2の測定値取得手段、および
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較手段、
をさらに有し、
前記決定手段は、前記測定値比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、請求項1に記載のスクリーニング装置。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項1または2に記載のスクリーニング装置。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーニング装置。
- コンピュータに実行させたときに、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質をスクリーニングするための下記の処理を当該コンピュータに実施させるスクリーニングプログラム:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第1の測定値取得処理、および
前記第1の測定値取得処理で取得された測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニングプログラム。 - さらに、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する第2の測定値取得処理、および
被験物質処理検体の前記測定値および未処理検体の前記測定値を比較する測定値比較処理、
を前記コンピュータに実施させ、
前記決定処理では、前記測定値比較処理の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、請求項4に記載のスクリーニングプログラム。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項5または6に記載のスクリーニングプログラム。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項5〜7のいずれか一項に記載のスクリーニングプログラム。
- 以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(I)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)中のバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値を取得する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた測定値に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。 - 前記工程(I)と(II)の間に、前記工程(I)で取得された被験物質処理検体の測定値と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質の測定値および/または前記タンパク質のmRNAの測定値とを比較する工程
をさらに含む、請求項9に記載のスクリーニング方法。 - 前記工程(I)の前に、
(i)被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞を、被験物質で処理する工程、
(ii)前記工程(i)において被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から検体を採取する工程、および
(iii)前記工程(ii)で得られた検体からタンパク質および/またはmRNAを回収する工程
を含む、請求項9または10に記載の方法。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項9〜11のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項9〜12のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
- 以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(A)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質および/または前記タンパク質のmRNAを検出する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。 - さらに、(B)前記工程(A)で得られた結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程を含む、請求項14に記載のスクリーニング方法。
- 前記工程(A)と工程(B)の間に、前記工程(A)で取得された被験物質処理検体の前記検出結果と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質および/または前記タンパク質のmRNAの検出結果とを比較する比較工程、
をさらに含む、請求項15に記載のスクリーニング方法。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項14〜16のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。 - 下記の演算手段を有する、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング装置:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得手段、および
前記第1の評価結果取得手段が取得した評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定手段、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング装置。 - 被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第2の評価結果取得手段、および
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較手段、
をさらに有し、
前記決定手段は、前記評価結果比較手段の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、請求項18に記載のスクリーニング装置。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項18または19に記載のスクリーニング装置。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項18〜20のいずれか一項に記載のスクリーニング装置。
- コンピュータに実行させたときに、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質をスクリーニングするための下記の処理を当該コンピュータに実施させるスクリーニングプログラム:
被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第1の評価結果取得処理、および
前記第1の評価結果取得処理で取得された評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する決定処理、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニングプログラム。 - さらに、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)中のバイオマーカータンパク質の機能の評価結果を取得する第2の評価結果取得処理、および
被験物質処理検体の前記評価結果および未処理検体の前記評価結果を比較する評価結果比較処理、
を前記コンピュータに実施させ、
前記決定処理では、前記評価結果比較処理の比較結果に基づいて前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する、請求項22に記載のスクリーニングプログラム。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項22または23に記載のスクリーニングプログラム。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項22〜24のいずれか一項に記載のスクリーニングプログラム。
- 以下の工程を含む、心筋梗塞、認知症、および腫瘍からなる群から選択される一種の疾患を予防、または治療するための有効成分の候補物質のスクリーニング方法:
(I)被験物質で処理された被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(被験物質処理検体)のバイオマーカータンパク質の機能を評価する工程、および
(II)前記工程(I)で得られた評価結果に基づいて、前記被験物質が有効成分の候補物質であると決定する工程、であって
前記疾患が、心筋梗塞であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図9に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、認知症であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図12に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が、腫瘍であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14〜18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
スクリーニング方法。 - 前記工程(I)と(II)の間に、前記工程(I)で取得された被験物質処理検体の前記評価結果と、被験物質で処理されていない被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞から採取された検体(未処理検体)の対応するバイオマーカータンパク質の機能の評価結果とを比較する工程
をさらに含む、請求項26に記載のスクリーニング方法。 - 前記工程(I)の前に、
(i)被験体(ヒトを除く)、被験組織または被験細胞を、被験物質で処理する工程、および(ii)前記工程(i)において被験物質で処理された被験体、被験組織または被験細胞から検体を採取する工程
を含む、請求項26または27に記載のスクリーニング方法。 - 前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が神経膠腫であるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図14に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が乳がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図15および17に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質であり、
前記疾患が腫瘍であり、当該腫瘍が肺がんであるとき、前記バイオマーカータンパク質は、図16および18に記載される遺伝子由来の少なくとも一種のタンパク質である、
請求項26〜28のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。 - 前記疾患が腫瘍であるとき、前記被験物質処理検体は、前記被験体の皮膚または血液試料である、請求項26〜29のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
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