JP6338872B2 - 視神経障害発症リスクの判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、視神経障害の発症リスクの判定方法又は判定用キットや、視神経障害発症の予防剤又は視神経障害の治療剤のスクリーニング方法に関する。
網膜は、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層及び網膜色素上皮層の10層から構成される、厚さ0.1〜0.5mmの組織であり、その中には視細胞、双極細胞、神経節細胞、水平細胞、アマクリン細胞等の網膜神経細胞が存在する。網膜神経細胞は、光刺激を電気信号に変換して、脳へ伝達するといった視覚情報の受容と伝達において重要な役割を果たしている。目から入った視覚情報は、視細胞により電気信号化されて、水平細胞や、双極細胞や、アマクリン細胞を経由した後に神経節細胞に伝達される。次いで、その電気信号は、神経節細胞の軸索を含む視神経線維の束(視神経)を経由して脳に伝達される。
視神経が何らかの原因により障害を受けると、視神経の恒常性が維持できなくなり、視覚情報の脳への伝達が妨げられて、失明、視野狭窄といった視野障害を生じる。視神経障害の主な原因として、眼内圧(単に「眼圧」ともいう)の上昇(高眼内圧[High intraocular pressure;IOP])、網膜血流循環障害・網膜虚血、興奮性アミノ酸上昇等が知られており、これら病態に伴い、グルタミン酸シグナルカスケードが活性化し、網膜神経節細胞(retinal ganglion cell;RGC)の軸索が障害を受け、RGCの細胞死(アポトーシス)が誘導され、視神経が障害を受けると考えられている。
視神経障害の代表例として、世界中で失明の主要な原因の1つである緑内障が知られている(非特許文献1)。緑内障は、自覚症状がないため早期発見が難しく、また失明につながる疾患であるため、早期に診断を行うことが非常に重要である。従来、緑内障の診断においては、眼底検査が中心に行われており、患者が検査の前に瞳孔を開くための散瞳薬をさした後に、眼底鏡や眼底カメラで医師が直接、網膜を観察している。しかしながら、散瞳薬によって瞳孔を広げると房水の流れが悪くなって眼圧が上がり、さらに病状を悪化させる可能性が全くないとは言えないのが現状である。また、医師による網膜の直接観察は、必ずしも客観的な検定方法とはいえず、一人一人の患者について医師が対応しなければならないために大勢の被験者を扱う集団検診などへの展開が難しい。
このように、既存の検査方法は少なからず問題を抱えており、早期診断のための、患者の病態の進行度合いや、治療中の経時変化をより客観的かつ定量的に示すことのできる、患者負担の少ないハイスループットな検定方法が望まれている。
バイオマーカーを用いた検定方法は、客観的でハイスループットな方法の一つである。これまでに、ミオシリン(MYOC)遺伝子の変異を指標として、緑内障が発症する前に診断する方法(特許文献1)や、オプティニューリン遺伝子(OPTN)の変異が緑内障の原因遺伝子であることに関連すること(非特許文献2)や、緑内障の進行に関連する遺伝子多型が存在すること(特許文献2、3)が報告されている。しかし、診断できる緑内障は、これら遺伝子を原因とするものに限られる。また、緑内障患者で特異的に発現が増減するタンパク質を同定し、かかるタンパク質の発現を指標として緑内障を検出する方法が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この文献では、緑内障を発症した患者由来の試料を用いており、緑内障発症リスクを判定できるものかどうかはわからない。また、視神経挫滅(optic nerve crush;ONC)による軸索損傷処理を行った視神経障害モデルラットを用いて、軸索損傷によりmRNAの発現が変動する遺伝子をマイクロアレイ法により網羅的に解析したことが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、マイクロアレイは、既知の転写産物のみしか測定できず、また、すべての遺伝子転写産物をカバーするものではない。
特開2002−306165号公報 特開2010−115194号公報 特開2013−150628号公報 特開2009−244125号公報
Kwon, Y.H. et al, New England Journal of Medicine 2009, 360(11):1113-1124. Rezaie, T. et al, Science 2002, 295(5557):1077-1079 Fischer, D. et al, The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience 2004, 24(40):8726-8740
本発明の課題は、精度よく視神経障害の発症リスクを判定できるバイオマーカーを用いた、視神経障害の発症リスクの判定方法、又は視神経障害の発症リスクの判定用キットや、精度よく視神経障害の予防又は治療剤をスクリーニングできるバイオマーカーを用いた、視神経障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法を提供することにある。
軸索障害(損傷)により、緑内障の病態の中心である網膜神経節細胞(retinal ganglion cell;RGC)死が誘導されるが、軸索障害後数日間は、RGC数は維持される。このRGC数が維持される時期は、RGC死に直接関与する遺伝子のmRNAの発現が変動することが予想され、注目されている。
本発明者らは、視神経挫滅(optic nerve crush;ONC)による軸索損傷処理を行った視神経障害モデルマウスから、ONC処理後2日目にRGCを含む網膜を単離し、かかる網膜試料中のmRNAの発現レベルを、次世代シーケンサー(Hiseq2000[Illumina社製])を用いて解析(RNA−Seq)した。その結果、視神経障害との関連が知られている遺伝子よりも、検出感度や特異度が高く、視神経障害発症リスクを判定できる遺伝子を見いだした。さらに、軸索障害によりmRNAの発現レベルの変動が認められた遺伝子群を基に、上流解析を行ったところ、それら遺伝子群の上流で転写制御し、且つ視神経障害発症リスクを判定できる遺伝子(転写因子)を見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、(1)以下の[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、
以下の[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、
以下の[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加、或いは
以下の[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少
を検出することを特徴とする視神経障害発症リスクの判定方法に関する。
[a−1グループ]
TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
[a−2グループ]
TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
[bグループ]
ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
[cグループ]
SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JUN
[d−1グループ]
CREB1、ATF2、HIF1A、EGR1、STAT3、RELA、EP300、RARA、MYOD1
[d−2グループ]
TBX2
また本発明は、(2)遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする上記(1)に記載の判定方法に関する。
上記本発明の判定方法は、医師による視神経障害発症リスクの診断を補助する方法であって、医師による診断行為を含まない。また上記判定方法のその他の態様としては、視神経障害発症リスクを診断するためのデータを収集する方法を挙げることができる。
また本発明は、(3)以下の[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAの発現を検出するためのプライマー対若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする視神経障害発症リスクの判定用キットに関する。
[a−1グループ]
TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
[a−2グループ]
TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
[bグループ]
ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
[cグループ]
SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JUN
また本発明は、(4)遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする上記(3)に記載のキットに関する。
このキット発明は、視神経障害発症リスクを判定(診断)するためのキットに関する用途発明であり、このキットには、通常、視神経障害発症リスクを判定するための説明書が含まれる。
また本発明は、(5)以下の[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質に特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする視神経障害発症リスクの判定用キットに関する。
[a−1グループ]
TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
[a−2グループ]
TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
[bグループ]
ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
[cグループ]
SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JUN
また本発明は、(6)遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする上記(5)に記載のキットに関する。
このキット発明は、視神経障害発症リスクを判定(診断)するためのキットに関する用途発明であり、このキットには、通常、視神経障害発症リスクを判定するための説明書が含まれる。
また本発明は、(7)以下の工程(a)及び(b)を備えたことを特徴とする視神経障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法に関する。
(a)視神経障害非ヒト動物に被検薬剤又は被検物質を投与する工程;
(b)前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[A−1グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、
前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[A−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、
前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[D−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少、或いは
前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[D−2グループ]の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加
を検出する工程;
[A−1グループ]
Tmc1、Adm2、Mat1a、Dnmt3I、Gmfg、Tnnc2、LOC101056098、
[A−2グループ]
Gm1332、Tlcd2、Scn4b、Gm3383、Acpt、Gm13547、Vmn2r83、Tnfaip8l3、Serpinc1
[Bグループ]
Atf5、Chac1、Egr1、Trib3
[Cグループ]
Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、Jun
[D−1グループ]
Creb1、Atf2、Hif1a、Egr1、Stat3、Rela、Ep300、Rara、Myod1
[D−2グループ]
Tbx2
さらに本発明は、(8)遺伝子が、[A−1グループ]及び[A−2グループ]から選択されることを特徴とする上記(7)に記載のスクリーニング方法に関する。
また本発明のスクリーニング方法のその他の態様としては、視神経障害の予防又は治療剤(薬)の有効性を判定する方法や、視神経障害の予防剤(薬)候補又は治療剤(薬)候補のスクリーニング方法を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、以下の工程(a’)〜工程(c’)を備えたことを特徴とする、視神経障害発症リスクを診断し、視神経症障害を予防又は治療する方法を挙げることができる。
(a’)被験者(提供者)から採取された判定(診断)用試料中の、上記[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現の増加、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、上記[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現の減少、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、上記[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加、或いは上記[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少を検出する工程;
(b’)被験者(提供者)から採取された判定(診断)用試料中の、上記[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現の増加、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、上記[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現の減少、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、上記[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加、或いは上記[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少が検出された場合、被験者(提供者)は視神経障害を発症するリスクが高いと診断する工程;
(c’)前記診断された被験者(提供者)に視神経症障害発症を予防又は視神経障害を治療するための処置を施す工程;
本発明の判定方法によると、視神経障害発症リスクを精度よく判定することができるため、緑内障等の視神経障害が発症する前や発症後初期段階で適切な治療を受けることができ、視神経障害発症を予防したり、視神経障害を早期治療することにつながる。また、本発明のスクリーニング方法は、視神経障害の予防(保護)又は治療剤(薬)の開発に資するものである。
図1Aは、ONC群とSham群間における各遺伝子の倍率変化(Fold change;FC)と発現量の群間比較(t検定)によるp値の関係を示す図である。縦軸は、−log10(p値)を示し、横軸は、log(FC値)を示す。図1A中の各点は、各遺伝子を示す。p値<0.05でかつ、FCの絶対値が1.5以上を示す遺伝子を有意な発現変動遺伝子(Differentially expressed genes;DEG)と定義した。DEGは四角で囲って示した。図1Bは、DEGの階層的クラスタリング解析した結果を示す図である。 DEGを用いてパスウェイ解析を行った結果を示す図である。 DEGを用いて上流解析を行った結果を示す図である。
本発明の判定方法としては、例えば、被験者(提供者)から採取された判定用試料中の、上記[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはその逆転写物(cDNA)の発現の増加、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の増加や、上記[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現の減少、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の減少や、上記[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加や、上記[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少を検出したり、必要に応じて定量することにより、視神経障害発症リスクを判定(評価)する方法(以下、「本件判定方法」という)であれば特に制限されず、また、本発明の判定用キットとしては、上記[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAの発現を検出するためのプライマー対若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えるキット(以下、「本件判定キット1」という)や、[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質に特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えるキット(以下、「本件判定キット2」という)であれば特に制限されず、ここで、本件キット1や本件キット2は、視神経障害発症リスクの判定(診断)用キットとしての用途に限定されるものである。そして、これらキットには、一般にこの種の判定(診断)キットに用いられる成分、例えば担体、pH緩衝剤、安定剤の他、取扱説明書等の添付文書が通常含まれる。
本件判定方法や本件判定キット1や2における遺伝子としては、上記[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択される遺伝子を好適に例示することができる。
なお、上記[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]に含まれる遺伝子を総称して、以下「本件バイオマーカー遺伝子a〜c」ということや、上記[d−1グループ]及び[d−2グループ]に含まれる遺伝子を総称して、以下「本件バイオマーカー遺伝子d」ということがある。
本発明のスクリーニング方法としては、視神経障害非ヒト動物に被検薬剤又は被検物質を投与する工程(a);及び前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−1グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現の減少、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現の増加、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[D−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの減少、或いは、前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[D−2グループ]の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルの増加を検出したり、必要に応じて定量する工程(b);を順次備えた方法(以下、「本件スクリーニング方法」という)であれば特に制限されず、本件スクリーニング方法における遺伝子としては、上記[A−1グループ]及び[A−2グループ]から選択される遺伝子を好適に例示することができる。
なお、上記[A−1グループ]、[A−2グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]に含まれる遺伝子を総称して、以下「本件バイオマーカー遺伝子A〜C」ということや、上記[D−1グループ]及び[D−2グループ]に含まれる遺伝子を総称して、以下「本件バイオマーカー遺伝子D」ということがある。
本件スクリーニング方法における視神経障害非ヒト動物としては、視神経障害を自然に発症した非ヒト動物であってもよいし、本願明細書の実施例の[視神経障害モデルマウスの調製]の項目に記載の方法に従って、視神経障害発症を誘導した非ヒト動物であってもよい。上記非ヒト動物としては、マウスの他、ラット、ハムスター、モルモット、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等の非ヒト哺乳動物を例示することができる。
本発明において、「視神経障害」とは、網膜神経節細胞(retinal ganglion cell;RGC)の軸索が何らかの原因で損傷(変性)し、RGCの細胞死(アポトーシス)が誘発されることにより生じる、視野狭窄、失明等の視神経機能障害のことを意味する。本発明の視神経障害としては、具体的に、緑内障、緑内障性視神経症、緑内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮、血流循環不全に起因する視神経障害、虚血性視神経障害、網膜血管閉塞症(網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症等)、網膜色素変性症、レーベル病、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、黄斑変性、糖尿病網膜症などの視神経障害を挙げることができる。なお、本発明の「視神経障害」には、遺伝性の視神経障害や非遺伝性(孤発性)の視神経障害が含まれる。
本件判定方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法において、被験者から採取された判定用試料中の、上記[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現量、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して増加している場合、被験者が視神経障害を発症するリスクが高いと判定することができ、また、被験者から採取された判定用試料中の、上記[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現量、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[d−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して増加していない場合、被験者が視神経障害を発症するリスクが低いと判定することができる。
本件判定方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法において、被験者から採取された判定用試料中の、上記[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現量、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して減少している場合、被験者が視神経障害を発症するリスクが高いと判定することができ、また、被験者から採取された判定用試料中の、上記[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現量、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[d−2グループ]の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して減少していない場合、被験者が視神経障害を発症するリスクが低いと判定することができる。
本件スクリーニング方法において、視神経障害非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−1グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現量、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[D−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して減少している場合、被検薬剤又は被検物質は、視神経障害発症の予防又は視神経障害の治療に有効であると判定することができ、また、視神経障害非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−1グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現量、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[D−1グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して減少していない場合、被検薬剤又は被検物質は、視神経障害発症の予防又は視神経障害の治療に有効でないと判定することができる。
本件スクリーニング方法において、視神経障害非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現量、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[D−2グループ]の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して増加している場合、被検薬剤又は被検物質は、視神経障害発症の予防又は視神経障害の治療に有効であると判定することができ、また、視神経障害非ヒト動物から採取された判定用試料中の、上記[A−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現量、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現量や、上記[D−2グループ]の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルが、対照試料における上記発現量や活性化レベルと比較して増加していない場合、被検薬剤又は被検物質は、視神経障害発症の予防又は視神経障害の治療に有効でないと判定することができる。
本件判定方法又は本件スクリーニング方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法における判定用試料や対照試料としては、RGCを含む網膜、目ヤニ、硝子体等の非液性試料や、涙、血液、前房水、硝子体液等の液性試料を例示することができる。また、対照試料は、判定用試料と同様の処理が施された、由来が同じ試料が好ましい。
本件判定方法又は本件スクリーニング方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法において、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAの発現量を検出・定量する方法としては、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAの一部或いは全部を特異的に検出できる方法であればどのような方法であってもよく、具体的には、判定用試料中の細胞における全RNAを抽出・精製し、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNAに相補的な塩基配列からなるプローブを用いたノーザンブロッティング法で検出する方法や、判定用試料中の細胞における全RNAを抽出・精製し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した後、Hiseq2000(Illumina社製)、Genome Analyzer IIx(GAIIx) (Illumina社製)、Genome Sequencer-FLX(GS-FLX)(Roche社製)等の次世代シーケンサーを用いてcDNAの塩基配列をシーケンシングする方法(RNA−Seq)や、合成したcDNAを鋳型(テンプレート)とし、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのcDNAを特異的に増幅するプライマー対を用いた競合的PCR法、リアルタイムPCR法等の定量PCR法で検出する方法や、判定用試料中の細胞における全RNAを精製し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成した後、ビオチン(biotin)やジゴキシゲニン(digoxigenin)などでcDNAをラベルし、蛍光物質が標識されたビオチンに対する親和性の高いアビジン(avidin)やジゴキシゲニンを認識する抗体などで間接的にcDNAを標識した後、ガラス、シリコン、プラスチックなどのハイブリダイゼーションに使用可能な支持体上に固定化された、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのcDNAに相補的な塩基配列からなるプローブを用いたマイクロアレイで検出する方法等を挙げることができる。
本件判定方法又は本件スクリーニング方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法において、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現量を検出・定量する方法としては、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の一部或いは全部を特異的に検出できる方法であればどのような方法であってもよく、具体的には、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質を構成するペプチドを検出する質量分析法や、本件バイオマーカー遺伝子a〜c又は本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質を特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法を挙げることができる。免疫学的測定法としては、免疫組織化学染色法、ELISA法、EIA法、RIA法、ウェスタンブロッティング法等を挙げることができ、これらの中でもウェスタンブロッティング法を好適に例示することができる。上記質量分析法とは、ペプチド試料を、イオン源を用いて気体状のイオンとし(イオン化)、分析部において、真空中で運動させ電磁気力を用いて、あるいは飛行時間差によりイオン化したペプチド試料を質量電荷比に応じて分離し、検出できる質量分析計を用いた測定方法のことをいい、イオン源を用いてイオン化する方法としては、EI法、CI法、FD法、FAB法、MALDI法、ESI法などの方法を適宜選択することができ、また、分析部において、イオン化したペプチド試料を分離する方法としては、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型などの分離方法を適宜選択することができる。また2以上の質量分析法を組み合わせたタンデム型質量分析(MS/MS)を使用することも、質量分析計へ導入前にペプチド試料を液体クロマトグラフ(LC)やHPLCで分離することもでき、また、検出部やデータ処理方法も適宜選択することができる。
なお、本件バイオマーカー遺伝子a〜cのmRNA又はcDNAの塩基配列情報や、本件バイオマーカー遺伝子a〜cのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列情報は、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)のデータベースにリンクし、以下の本件バイオマーカー遺伝子a〜cのNCBIリファレンス配列を基に得ることができる。
[a−1グループ]
TMC1(NCBIリファレンス配列NM_138691)
ADM2(NCBIリファレンス配列NM_001253845、又はNM_024866)
MAT1A(NCBIリファレンス配列NM_000429)
DNMT3L(NCBIリファレンス配列NM_013369、又はNM_175867)
GMFG(NCBIリファレンス配列NM_004877)
TNNC2(NCBIリファレンス配列NM_003279)
[a−2グループ]
TLDC2(NCBIリファレンス配列NM_080628)
TLCD2(NCBIリファレンス配列NM_001164407)
SCN4B(NCBIリファレンス配列NM_001142348、NM_001142349、又はNM_174934)
ACPT(NCBIリファレンス配列NM_033068)
TNFAIP8L3(NCBIリファレンス配列NM_207381)
SERPINC1(NCBIリファレンス配列NM_000488)
[bグループ]
ATF5(NCBIリファレンス配列NM_001193646、又はNM_012068)
CHAC1(NCBIリファレンス配列NM_001142776、又はNM_024111)
EGR1(NCBIリファレンス配列NM_001964)
TRIB3(NCBIリファレンス配列NM_021158)
[cグループ]
SOX11(NCBIリファレンス配列NM_003108)
TNFRSF12A(NCBIリファレンス配列NM_016639)
HMOX1(NCBIリファレンス配列NM_002133)
PLAT(NCBIリファレンス配列NM_000930)
JUN(NCBIリファレンス配列NM_002228)
また、本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA又はcDNAの塩基配列情報や、本件バイオマーカー遺伝子A〜CのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列情報は、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)のデータベースにリンクし、以下の本件バイオマーカー遺伝子A〜CのNCBIリファレンス配列を基に得ることができる。なお、本件バイオマーカー遺伝子A〜Cは、マウス由来の遺伝子であり、本件バイオマーカー遺伝子A〜Cのオーソログは、チンパンジー、ラット、ウシ等において知られている。
[A−1グループ]
Tmc1(NCBIリファレンス配列NM_028953)
Adm2(NCBIリファレンス配列NM_182928)
Mat1a(NCBIリファレンス配列NM_133653)
Dnmt3I(NCBIリファレンス配列NM_019448)
Gmfg(NCBIリファレンス配列NM_022024)
Tnnc2(NCBIリファレンス配列NM_009394)
LOC101056098(NCBIリファレンス配列XM_003945483)
[A−2グループ]
Gm1332(NCBIリファレンス配列NM_001177439)
Tlcd2(NCBIリファレンス配列NM_027249)
Scn4b(NCBIリファレンス配列NM_001013390)
Gm3383(NCBIリファレンス配列NM_001205306)
Acpt(NCBIリファレンス配列NM_001195034)
Gm13547(NCBIリファレンス配列NM_001177392)
Vmn2r83(NCBIリファレンス配列NM_001104537)
Tnfaip8l3(NCBIリファレンス配列NM_00103353)
Serpinc1(NCBIリファレンス配列NM_080844)
[Bグループ]
Atf5(NCBIリファレンス配列NM_030693)
Chac1(NCBIリファレンス配列NM_026929)
Egr1(NCBIリファレンス配列NM_007913)
Trib3(NCBIリファレンス配列NM_175093)
[Cグループ]
Sox11(NCBIリファレンス配列NM_009234)
Tnfrsf12a(NCBIリファレンス配列NM_001161746)
Hmox1(NCBIリファレンス配列NM_010442)
Plat(NCBIリファレンス配列NM_008872)
Jun(NCBIリファレンス配列NM_010591)
本件判定方法又は本件スクリーニング方法や、上記本発明の実施の他の形態の予防又は治療する方法において、本件バイオマーカー遺伝子d,本件バイオマーカー遺伝子D,又は該遺伝子DのオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の活性化レベルを検出・定量する方法としては、本件バイオマーカー遺伝子d,本件バイオマーカー遺伝子D,又は該遺伝子DのオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質(転写因子)が転写調節する遺伝子の転写活性を特異的検出できる方法であればどのような方法であってもよく、具体的には、本件バイオマーカー遺伝子d,本件バイオマーカー遺伝子D,又は該遺伝子DのオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質により発現調節される遺伝子のプロモーターの下流に、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)等のレポーター遺伝子が挿入されたプラスミドを用いたレポーターアッセイ法で検出する方法を挙げることができる。なお、本件バイオマーカー遺伝子d,本件バイオマーカー遺伝子D,又は該遺伝子DのオーソログのmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質により発現調節される遺伝子は、本願明細書の表5の「データセットにおけるターゲット分子[DEG]」に示されるヒト由来の遺伝子を参照して選択することができる。
本件キット1におけるプライマーとしては、本件バイオマーカー遺伝子a〜cのcDNAの上流又は下流の配列と一部とアニーリングしうる相補的なプライマー(対)であれば、プライマー配列の長さ、かかるcDNAとアニーリングする部位、増幅するcDNAの長さ等は、DNAの増幅効率や特異性を考慮して適宜選択することができる。例えば、プライマー配列の長さとしては、15〜30塩基を選択することができ、また、増幅するcDNAの長さとしては、100〜300塩基を選択することができる。なお、上記プライマー(対)は、上述のNCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)のデータベースに登録されている塩基配列情報を参考にして、適宜選択することができる。
本件キット1におけるプローブとしては、本件バイオマーカー遺伝子a〜cのmRNA又はcDNAの一部若しくは全部がハイブリダイゼーションするプローブであれば、プローブの長さ、かかるスプライシングバリアントとハイブリダイズする部位等は、ハイブリダイゼーションの効率や特異性を考慮して適宜選択することができる。
なお、本件キット1におけるプライマーやプローブは、上述のNCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)のデータベースに登録されている塩基配列情報を参考にして、適宜選択することができる。
本件キット2における抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体等の抗体であってもよく、また、この中には、F(ab’)、Fab、diabody、Fv、ScFv、Sc(Fv)等の抗体の一部からなる抗体断片も含まれる。また、上記本件キット2には、本件バイオマーカー遺伝子a〜cのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質に特異的に結合する抗体を検出するための、蛍光物質、酵素等の標識物質をコンジュゲートした2次抗体を含めることや、本件キット2における抗体とは異なるエピトープと反応する少なくとも1種類の抗体を含めることができる。また、本件キット2には、必要と目的に応じた緩衝液、pH調整剤、反応容器等をさらに備えたものであってもよい。
本件キット1又は本件キット2の標識物における標識物質としては、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescence Protein;GFP)、シアン蛍光タンパク質(Cyan Fluorescence Protein;CFP)、青色蛍光タンパク質(Blue Fluorescence Protein;BFP)、黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescence Protein;YFP)、赤色蛍光タンパク質(Red Fluorescence Protein;RFP)、ルシフェラーゼ(luciferase)等の蛍光タンパク質、H 、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[モデル動物]
本実施例のモデル動物として、C57BL/6マウス(雄、12週齢;日本SLC社製)を用いた。マウスの外科的処置は、ケタミン(100mg/kg)とキシラジン(9mg/kg)の混合液を筋肉内投与し、深麻酔下で行った。C57BL/6マウスは、眼科と視覚研究における動物の使用のためのARVO宣言の指針や、ヘルシンキ宣言の指針や、動物の使用と管理についての指導原則に従って維持し、取り扱った。すべての実験手順は、東北大学医学部における動物実験のための倫理委員会により承諾を受けたものであり、また、実験動物の管理と使用に関するアメリカ国立衛生研究所の指針に従って行った。
[視神経障害モデルマウスの調製]
C57BL/6マウスにおいて、視神経挫滅(optic nerve crush;ONC)による軸索損傷を、文献(Ryu, M. et al. J Neurosci Res 2012, 90(4):802-815.)に記載の方法に従って行い、視神経障害モデルマウスを調製した。すなわち、C57BL/6マウスの視神経を露出させ、球後2mmの部位の視神経を鑷子で10秒間挫滅した(ONC群:n=18)。眼底検査により血流が正常であることを確認し、抗生物質軟膏を塗った。また、コントロールとして視神経を挫滅しないで処理を行ったC57BL/6マウスを用いた(Sham群:n=18)。
[網膜神経節細胞(RGC)における全RNAの単離・シーケンシング]
ONC処理後2日目にマウスの網膜を単離し、すばやくRNA stabilization reagent(Qiagen社製)中に浸し、Qiazol(Qiagen社製)を加え、ホモジナイザーを用いて破砕処理し、miRNeasy mini kit (Qiagen社製)を用いて全RNAを精製し、その後RNAの濃度をNanoDrop 2000c(Thermo Scientific社製)を用いて測定した。RNAの定量を行った際の個体差による影響を最小限に抑えるために、ONC群及びSham群のそれぞれにおいて、任意の6種類のRNAサンプルを1つにまとめ、計3種類のRNAサンプルを調製した。全RNAの定量は、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies社製)を用いて行った。また、RNA integrity number (RIN)が7.8を超えるRNAサンプルを用いた。Illumina Tru-Seq RNA Sample Prep Kits(Illumina社製)を用い、使用説明書に従って100bp末端読み込み用のcDNAライブラリーを調製した。cDNAのシーケンシングは、Hiseq2000(Illumina社製)を用いて行った。データは、FASTQフォーマットで記録し、解析ソフトウェア(CLC Genomics Workbench[CLC Bio社製])へインポートした。シーケンシングしたすべての配列は、リファレンスゲノム(NCBI37/mm9)上にマッピングした。
[ONC群とSham群間でmRNAの発現が変動する遺伝子(Differentially expressed genes;DEG)の同定と、DEGの階層的クラスタリング解析]
RPKM(reads per kilobase of exon per million mapped sequence reads)を指標として用い(文献[Mortazavi, A. et al. Nat Methods 2008, 5(7):621-628.]参照)、mRNAの発現レベルを解析し、ONC群とSham群間でmRNAの発現が変動する遺伝子(DEG)を同定した。なお、DEGは、FC>1.5でかつ、p<0.05を示す遺伝子と、FC<−1.5でかつ、p<0.05を示す遺伝子を選択した。また、DEGの階層的クラスタリング解析は、完全連結法を用いて行い、オープンソースソフトウェアクラスタ3.0を用いて相関関係に重点を置いた。結果を、Java(登録商標)Treeviewを用いて可視化した(文献[Saldanha, A.J. Bioinformatics 2004, 20(17):3246-3248.]参照)。
[定量RT−PCR法]
ONC群(n=6)及びSham群(n=6)のマウス網膜から、miRNeasy mini kit (Qiagen社製)を用いて全RNA(200ng/サンプル)を単離し、SuperScript III(Invitrogen Life Technologies社製)を用いて逆転写によりcDNAを調製した。細胞死や細胞生存に関連する7種類の遺伝子(Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、Egr1、Atf5、及びJun)のmRNAの発現を定量するために、以下の1)〜4)からなる溶液を調製し、7500 Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems社製)を用い、文献(Shanab, A.Y. et al, Neurobiology of disease 2012, 48(3):556-567.)に記載の方法に従って定量PCRを行った。なお、内部標準としてGAPDH遺伝子のmRNAの発現を定量した。
1)TaqMan Fast Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製);10μL
2)TaqMan Probe(Applied Biosystems社製);1μL
3)cDNA溶液(テンプレートDNA);1μL
4)DEPC water(Rnase-free water);8μL
上記3)の溶液(TaqMan Probe)のAssay IDは、以下のとおりである。
Sox11(Assay ID:Mm01281943_s1)
Tnfrsf12a(Assay ID:Mm01302476_g1)
Hmox1(Assay ID:Mm00516007_m1)
Plat(Assay ID:Mm00476931_m1)
Egr1(Assay ID:Mm00656724_m1)
Atf5(Assay ID:Mm04179654_m1)
Jun(Assay ID:Mm00495062_s1)
Gapdh(Assay ID:Mm99999915_g1)
Baselineソフトウェア(Applied Biosystems社製)を用いてPCR産物が一定量になるPCRのサイクル数(threshold cycle;Ct値)を測定し、比較Ct法(デルタデルタCt法)によりGAPDH遺伝子(内部標準)のcDNA増幅産物のCt値を基準とした上記7種類の遺伝子のcDNA増幅産物のCt値の相対値を求め、かかるCt値の相対値から、上記7種類の遺伝子のcDNAの相対量、すなわち上記7種類の遺伝子のmRNAの相対量を算出した。
[パスウェイ解析及び上流解析]
DEGのパスウェイ解析と上流解析は、IPA(Ingenuity Pathways Analysis)ソフトウェアを用い、文献(Ramayo-Caldas, Y. et al., BMC Genomics 2012, 13(1):1-1.)に記載の方法に従って行った。DEGデータセットを、IPAのアプリケーションにアップロードし、IPKB(Ingenuity Pathways Knowledge Base)にマッピングした。各遺伝子の識別子は、その対応IPKBにマップした。これらの遺伝子のネットワークは、それらの連結性(connectivity)に基づいて作成した。DEGデータセットと生体機能との関連の有意性は、その経路における遺伝子の総数で割った経路にマッピングするデータセットからの遺伝子の数の比を用いて測定した。
また、上流解析は、データセットのDEGと、上流で転写調節因子により制御されることが知られているDEGとを比較して行った。それらの間の一致分析に基づいて、活性化スコア(activation score)は、可能性のある転写調節因子が「活性化した(Activated)」(Zスコア>2)状態か、「抑制された(inhibited)」(Zスコア<−2)状態か、あるいは「不確実な」状態であるかを示すために、割り当てた。
[統計解析]
RNA−seqデータを、CLC Genomics Workbenchを用い対応のないt検定で解析した。RT−PCRデータを、R(バージョン3.0.1)を用い対応のないt検定で解析した。パスウェイ解析の有意性は、IPAアプリケーション中でFisherの正確確率検定(Fisher’s exact test)を行い、p値が0.05未満の場合、統計的に有意差があると評価した。
[結果1:RNA−seq解析とグローバルな遺伝子発現プロファイル]
視神経障害を初期の段階で判定できるバイオマーカー遺伝子を探索するために、上記[網膜神経節細胞(RGC)における全RNAの単離・シーケンシング]の項目に記載の方法に従って、視神経障害モデルを用いたトランスクリプトーム(transcriptome)プロファイル解析を行った。
まず、遺伝子発現値の全体の分布を調べるために、RPKM発現値のボックスプロットを作成し、全体のRPKM発現値は、サンプル間でほとんど差がないことを確認した。
次に、各遺伝子について、ONC群とSham群間における倍率変化(FC)を算出し、DEG、すなわち、ONC群とSham群間でmRNAの発現が変動する遺伝子を314種類同定した(図1A及び図1に関する図面の簡単な説明参照)。かかる314種類の遺伝子のうち、239種類の遺伝子は、Sham群に対してONC群でmRNAの発現が増加し、また、75種類の遺伝子は、Sham群に対してONC群でmRNAの発現が減少することが示された。さらに、上記314種類の遺伝子(DEG)の階層的クラスタリング解析したところ、各グループにおいて似たような発現パターンを示すことが確認された(図1B参照)。
同定した314種類の遺伝子(DEG)のうち、視神経障害との関連性が報告されていないDEGを選択し、このうち、mRNAの増加レベルや減少レベルが高いものに着目し、16種類のDEG(mRNAの発現が増加する7種類のDEG[Tmc1、Adm2、Mat1a、Dnmt3I、Gmfg、Tnnc2、及びLOC101056098;本件バイオマーカー[A−1グループ]]、及びmRNAの発現が減少する9種類のDEG[Gm1332、Tlcd2、Scn4b、Gm3383、Acpt、Gm13547、Vmn2r83、Tnfaip8l3、及びSerpinc1;本件バイオマーカー[A−2グループ]])(表1参照)を、視神経障害発症リスク判定用バイオマーカー遺伝子として選択した。また、細胞死(アポトーシス)や神経変性疾患との関連性が指摘されている小胞体ストレス関連因子に着目し、4種類のDEG(Atf5、Chac1、Egr1、及びTrib3;本件バイオマーカー[Bグループ])(表2の「小胞体ストレス関連因子」参照)を、視神経障害発症リスク判定用バイオマーカー遺伝子として選択した。なお、本件バイオマーカー[A−1グループ]のうち、6種類のDEG(Tmc1、Adm2、Mat1a、Dnmt3I、Gmfg、及びTnnc2)のヒトオーソログは、それぞれ6種類の遺伝子(TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、及びTNNC2;本件バイオマーカー[a−1グループ])であり、また、本件バイオマーカー[A−2グループ]のうち、6種類のDEG(Gm1332、Tlcd2、Scn4b、Acpt、Tnfaip8l3、及びSerpinc1)のヒトオーソログは、それぞれ6種類の遺伝子(TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、及びSERPINC1;本件バイオマーカー[a−2グループ])である。また、本件バイオマーカー[Bグループ](Atf5、Chac1、Egr1、及びTrib3)のヒトオーソログは、それぞれ4種類の遺伝子(ATF5、CHAC1、EGR1、及びTRIB3;本件バイオマーカー[cグループ])である。
さらに、視神経障害との関連が知られているRGC関連因子(Nefh、Pou4f1、Pou4f2、Pou4f3、Rbpms、Sncg、Thy1等)や軸索調節因子(GAP43等)についても、視神経軸索損傷によりmRNAの発現量の増加や減少が認められたが(表2の「RGC関連因子」や「軸索調節因子」参照)、mRNAの発現量の増加や減少幅は、本件バイオマーカー[A−1グループ]や[A−2グループ]や[Bグループ]、特に本件バイオマーカー[A−1グループ]や[A−2グループ]の方が大きかった。この結果は、本件バイオマーカー[A−1グループ]、[A−2グループ]、及び[Bグループ]、並びに[a−1グループ]、[a−2グループ]、及び[cグループ]を用いると、検出感度や特異度が高く視神経障害発症リスクを判定できることを示している。
[結果2:パスウェイ解析]
視神経軸索損傷に関与するシグナル経路を調べるために、上記[パスウェイ解析]の項目に記載の方法に従って、DEGのパスウェイ解析を行った。その結果、視神経軸索損傷に関与する2種類のネットワーク(ネットワーク1及び2)を同定した(図2参照)。このうち、ネットワーク1は、発達障害、遺伝性疾患、及び免疫疾患に関連するものであり(図2A参照)、ネットワーク2は、腎及び泌尿器疾患、細胞死及び生存、並びに神経系の発達及び機能に関連するものである(図2B参照)。また、DEGを5種類の分子機能や細胞機能(細胞死及び生存[Cell Death and Survival]、細胞運動[Cellular Movement]、細胞間シグナリング及び相互作用[Cell-To-Cell Signaling and Interaction]、分子輸送[Molecular Transport]、並びに低分子生化学[Small Molecule Biochemistry])のパスウェイに分類することができた(表3参照)。このうち、IPAによると、103のDEGが関与する「細胞死及び生存」パスウェイが視神経軸索損傷に関与する最も重要な経路であることが明らかとなった。
[結果3:RNA−seq解析データのRT−PCRによるバリデーション]
RNA−seq解析のバリデーションを行うために、RT−PCR解析を行った。具体的には、RNA−seq解析により同定した314種類のDEGの中から、視神経障害との関連性が報告されていないDEGを選択し、細胞死や細胞生存に関連する7種類の遺伝子(Atf5、Egr1、Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、及びJun)を選択し、上記[定量RT−PCR法]の項目に記載の方法に従って、mRNAの発現レベルを定量した。その結果、RNA−seq解析で同定したDEGのmRNAの発現レベルを、RT−PCR解析で検出した場合においても同様に、検出感度や特異度が高く視神経障害発症リスクを判定できることが明らかとなった(表4参照)。
RT−PCR解析を行った上記7種類の遺伝子のうち、新たに同定された5種類の遺伝子(Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、及びJun;本件バイオマーカー[Cグループ])を、視神経障害発症リスク判定用バイオマーカー遺伝子として選択した。なお、本件バイオマーカー[Cグループ](Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、及びJun)のヒトオーソログは、それぞれ5種類の遺伝子(SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、及びJUN;本件バイオマーカー[cグループ])である。
[結果4:上流解析]
DEGのmRNAの発現を変化させる原因因子を特定するために、RNA−seq解析により同定したDEGを用いて、上記[パスウェイ解析及び上流解析]の項目に記載の方法に従って、上流解析を行った。その結果、10種類の転写因子(活性化レベルが増加する9種類の転写因子[Creb1、Atf2、Hif1a、Egr1、Stat3、Rela、Ep300、Rara、及びMyod1;本件バイオマーカー[D−1グループ]]、及び活性化レベルが減少する1種類の転写因子[Tbx2;本件バイオマーカー[D−2グループ]])が同定され(表5及び図3参照)、これら10種類の転写因子を視神経障害発症リスク判定用バイオマーカー遺伝子として選択した。なお、上記9種類の転写因子(Creb1、Atf2、Hif1a、Egr1、Stat3、Rela、Ep300、Rara、及びMyod1)のヒトオーソログは、それぞれ9種類の転写因子(CREB1、ATF2、HIF1A、EGR1、STAT3、RELA、EP300、RARA、及びMYOD1;本件バイオマーカー[d−1グループ])であり、また、上記1種類の転写因子(Tbx2)のヒトオーソログは、1種類の転写因子(TBX2;本件バイオマーカー[d−2グループ])である(表5及び図3参照)。
これらの結果は、本件バイオマーカー[D−1グループ]や[d−1グループ]の活性化レベルの増加や、本件バイオマーカー[D−2グループ]や[d−2グループ]の活性化レベルの減少を指標として、視神経障害発症リスクを判定できることを示唆している。
本発明の判定方法によると、視神経障害発症リスクを精度よく判定することが可能となるため、視神経障害が発症する前や発症後初期段階で適切な治療を受けることができ、視神経障害による失明者数を減少できることが期待される。また、本発明のスクリーニング方法は、視神経障害の予防(保護)又は治療剤(薬)の開発に資するものである。

Claims (8)

  1. 以下の[a−1グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の増加、或いは
    以下の[a−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA若しくはcDNAの発現、又は該遺伝子のmRNA若しくはcDNAがコードするタンパク質の発現の減
    検出することを特徴とする視神経障害発症リスクの判定方法。
    [a−1グループ]
    TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
    [a−2グループ]
    TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
    [bグループ]
    ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
    [cグループ]
    SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JU
  2. 遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする請求項1に記載の判定方法。
  3. 以下の[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAの発現を検出するためのプライマー対若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする視神経障害発症リスクの判定用キット。
    [a−1グループ]
    TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
    [a−2グループ]
    TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
    [bグループ]
    ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
    [cグループ]
    SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JUN
  4. 遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする請求項3に記載のキット。
  5. 以下の[a−1グループ]、[a−2グループ]、[bグループ]、及び[cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のmRNA又はcDNAがコードするタンパク質に特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする視神経障害発症リスクの判定用キット。
    [a−1グループ]
    TMC1、ADM2、MAT1A、DNMT3L、GMFG、TNNC2
    [a−2グループ]
    TLDC2、TLCD2、SCN4B、ACPT、TNFAIP8L3、SERPINC1
    [bグループ]
    ATF5、CHAC1、EGR1、TRIB3
    [cグループ]
    SOX11、TNFRSF12A、HMOX1、PLAT、JUN
  6. 遺伝子が、[a−1グループ]及び[a−2グループ]から選択されることを特徴とする請求項5に記載のキット。
  7. 以下の工程(a)及び(b)を備えたことを特徴とする視神経障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法。
    (a)視神経障害非ヒト動物に被検薬剤又は被検物質を投与する工程;
    (b)前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[A−1グループ]、[Bグループ]、及び[Cグループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の減少、或いは
    前記非ヒト動物から採取された判定用試料中の、以下の[A−2グループ]から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAの発現、或いは該遺伝子若しくは該遺伝子のオーソログのmRNA又はcDNAがコードするタンパク質の発現の増
    検出する工程;
    [A−1グループ]
    Tmc1、Adm2、Mat1a、Dnmt3I、Gmfg、Tnnc2、LOC101056098、
    [A−2グループ]
    Gm1332、Tlcd2、Scn4b、Gm3383、Acpt、Gm13547、Vmn2r83、Tnfaip8l3、Serpinc1
    [Bグループ]
    Atf5、Chac1、Egr1、Trib3
    [Cグループ]
    Sox11、Tnfrsf12a、Hmox1、Plat、Ju
  8. 遺伝子が、[A−1グループ]及び[A−2グループ]から選択されることを特徴とする請求項7に記載のスクリーニング方法。
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