JP2018105428A - 軸受ユニットおよびターボチャージャ - Google Patents

軸受ユニットおよびターボチャージャ Download PDF

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和範 中屋
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Abstract

【課題】軸側摺動部材の外径を小径化可能な軸受ユニットおよびターボチャージャを提供することを課題とする。【解決手段】軸受ユニット4は、回転軸50に固定され、一対の軸側摺動部400b、401を有する軸側摺動部材40と、一対の軸側摺動部400b、401の間の軸方向隙間Aに、互いに独立して配置される一対の中間摺動部材41a、41bと、一対の中間摺動部材41a、41bの間の軸方向隙間Bに配置される軸受側摺動部420を有し、回転軸50に作用する軸方向のスラスト荷重を支持するスラスト軸受42と、を備える。中間摺動部材41a、41bは、軸側摺動部400b、401および軸受側摺動部420に対して、摺動自在である。【選択図】図2

Description

本発明は、回転軸に作用する軸方向のスラスト荷重を支持する軸受ユニットおよびターボチャージャに関する。
図5に、特許文献1に記載のスラスト軸受機構の軸方向断面図を示す。図5に示すように、スラスト軸受機構100は、回転軸101と、スラストカラー102と、フルフロート軸受103と、スラスト軸受104と、を備えている。スラストカラー102は、回転軸101に固定されている。フルフロート軸受103は、スラスト軸受104とスラストカラー102との間に配置されている。フルフロート軸受103は、スラスト軸受104およびスラストカラー102に対して、摺動自在である。
特開2015−215019号公報
フルフロート軸受103は、円筒部103aと、前後一対のフランジ部103bと、を備えている。前後一対のフランジ部103bは、円筒部103aの前後両端に配置されている。スラスト軸受104は、前後一対のフランジ部103bに、前後方向から摺接している。ここで、スラスト軸受104は、円筒部103aの径方向外側に配置されている。このため、スラスト軸受104の内径が大きくなってしまう。スラスト軸受104の内径が大きいと、スラストカラー102の外径も大きくなってしまう。このため、回転軸101の回転バランスが悪くなってしまう。
そこで、本発明は、スラストカラーなどの軸側摺動部材の外径を小径化可能な軸受ユニットおよびターボチャージャを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の軸受ユニットは、回転軸に固定され、一対の軸側摺動部を有する軸側摺動部材と、一対の前記軸側摺動部の間の軸方向隙間に、互いに独立して配置される一対の中間摺動部材と、一対の前記中間摺動部材の間の軸方向隙間に配置される軸受側摺動部を有し、前記回転軸に作用する軸方向のスラスト荷重を支持するスラスト軸受と、を備え、前記中間摺動部材は、前記軸側摺動部および前記軸受側摺動部に対して、摺動自在であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明のターボチャージャは、上記軸受ユニットを備えるターボチャージャであって、前記回転軸は、コンプレッサインペラとタービンインペラとを連結し、前記軸側摺動部材は、前記回転軸の外周面に固定され、一対の前記軸側摺動部と、一対の前記軸側摺動部同士を軸方向に連結する筒部と、を有するスラストカラーであることを特徴とする。
図5に示すスラスト軸受機構100のフルフロート軸受103の場合、前後一対のフランジ部103bは、円筒部103aを介して、互いに連結されている。これに対して、本発明の軸受ユニットおよびターボチャージャの一対の中間摺動部材は、互いに独立して配置されている。このため、一対の中間摺動部材同士を軸方向に連結する部材(例えば、円筒部103a)は不要である。したがって、スラスト軸受の内径を小径化することができる。よって、軸側摺動部材の外径を小径化することができる。
第一実施形態のターボチャージャの軸方向断面図である。 図1の枠II内の拡大図である。 (a)は、第二実施形態の軸受ユニットの第一中間摺動部材の前面図である。(b)は、同第一中間摺動部材の後面図である。(c)は、同軸受ユニットの第二中間摺動部材の前面図である。(d)は、同第二中間摺動部材の後面図である。 図3(a)、(b)のIV−IV方向断面図である。 従来のスラスト軸受機構の軸方向断面図である。
以下、本発明の軸受ユニットおよびターボチャージャの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[ターボチャージャの構成]
まず、本実施形態のターボチャージャの構成について説明する。なお、以降の図において、前後方向は本発明の「軸方向」に対応している。図1に、本実施形態のターボチャージャの軸方向断面図を示す。図1に示すように、本実施形態のターボチャージャ1は、ジャーナル軸受3と、軸受ユニット4と、回転部5と、ベアリングハウジング90と、コンプレッサハウジング91と、タービンハウジング92と、を備えている。
ベアリングハウジング90の内部には、油路901a、901bと、軸受収容部902a、902bと、が形成されている。油路901a、901bには、潤滑油が流れている。前側または後側から見て、軸受収容部902aは、ベアリングハウジング90の径方向中心部に配置されている。軸受収容部902bは、軸受収容部902aの前側に配置されている。
ジャーナル軸受3は、円筒状を呈している。ジャーナル軸受3は、軸受収容部902aに収容されている。軸受ユニット4は、軸受収容部902bに収容されている。軸受ユニット4については、後で詳しく説明する。コンプレッサハウジング91は、ベアリングハウジング90の前側に配置されている。タービンハウジング92は、ベアリングハウジング90の後側に配置されている。
回転部5は、ベアリングハウジング90に対して、回転可能である。回転部5は、回転軸50と、コンプレッサインペラ51と、タービンインペラ52と、を備えている。回転軸50は、ベアリングハウジング90を前後方向に貫通している。回転軸50は、ジャーナル軸受3により、径方向外側から、回転可能に支持されている。回転軸50は、軸受ユニット4により、軸方向から、回転可能に支持されている。コンプレッサインペラ51は、回転軸50の前端に取り付けられている。タービンインペラ52は、回転軸50の後端に連なっている。すなわち、回転軸50は、コンプレッサインペラ51とタービンインペラ52とを連結している。
[軸受ユニットの構成]
次に、本実施形態の軸受ユニットの構成について説明する。図2に、図1の枠II内の拡大図を示す。図2に示すように、軸受ユニット4は、スラストカラー40と、第一中間摺動部材41aと、第二中間摺動部材41bと、スラスト軸受42と、を備えている。第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、本発明の「中間摺動部材」の概念に含まれる。
スラストカラー40は、回転軸50の外周面に固定されている。スラストカラー40は、回転軸50と共に、回転軸50の軸周りに回転可能である。スラストカラー40は、カラー本体400と、フランジ401と、を備えている。フランジ401は、本発明の「軸側摺動部」の概念に含まれる。カラー本体400は、筒部400aと、フランジ部400bと、を備えている。フランジ部400bは、本発明の「軸側摺動部」の概念に含まれる。筒部400aは、前後方向に延在する円筒状を呈している。フランジ部400bは、筒部400aの後端から径方向外側に張り出している。フランジ部400bは、円環状を呈している。フランジ401は、筒部400aの前端に当接している。フランジ401は、円環状を呈している。フランジ401は、筒部400aを挟んで、フランジ部400bと前後方向に対向している。フランジ401とフランジ部400bとの間には、軸方向隙間Aが区画されている。
第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、軸方向隙間Aに配置されている。第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、筒部400aの径方向外側に配置されている。第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、互いに独立して配置されている。第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、各々、円環状を呈している。第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとの間には、軸方向隙間Bが区画されている。第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとは同一物である。すなわち、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとは共用化されている。
スラスト軸受42は、回転軸50に作用するスラスト荷重を支持している。スラスト軸受42は、軸受収容部902bに収容されている。スラスト軸受42は、下側部分が除去された円板状を呈している。スラスト軸受42は、径方向中心部に、軸受側摺動部420を備えている。軸受側摺動部420は、軸方向隙間Bに配置されている。軸受側摺動部420は、筒部400aの径方向外側に配置されている。
第一中間摺動部材41aの前面とフランジ401の後面との間には、摺動界面Cが設定されている。第一中間摺動部材41aの後面と軸受側摺動部420の前面との間には、摺動界面Dが設定されている。第二中間摺動部材41bの前面と軸受側摺動部420の後面との間には、摺動界面Eが設定されている。第二中間摺動部材41bの後面とフランジ部400bの前面との間には、摺動界面Fが設定されている。摺動界面C〜Fには、各々、油膜が形成されている。このため、第一中間摺動部材41aは、フランジ401および軸受側摺動部420に対して、摺動自在である。並びに、第二中間摺動部材41bは、フランジ部400bおよび軸受側摺動部420に対して、摺動自在である。
[潤滑油の流れ]
次に、本実施形態の軸受ユニットにおける潤滑油の流れについて説明する。ターボチャージャ1駆動時において、図2に示すように、潤滑油Oは、油路901aを介して、摺動界面D、Eに流れ込む。摺動界面Dに流れ込んだ潤滑油Oは、摺動界面Dに油膜を形成する。また、摺動界面Dに流れ込んだ潤滑油Oは、第一中間摺動部材41aの内周面と、筒部400aの外周面と、の間の隙間Gを、後側から前側に向かって流動し、摺動界面Cに流れ込む。摺動界面Cに流れ込んだ潤滑油Oは、摺動界面Cに油膜を形成する。同様に、摺動界面Eに流れ込んだ潤滑油Oは、摺動界面Eに油膜を形成する。また、摺動界面Eに流れ込んだ潤滑油Oは、第二中間摺動部材41bの内周面と、筒部400aの外周面と、の間の隙間Hを、前側から後側に向かって流動し、摺動界面Fに流れ込む。摺動界面Fに流れ込んだ潤滑油Oは、摺動界面Fに油膜を形成する。このようにして、摺動界面C〜Fに、油膜が形成される。
回転軸50が回転すると、軸受ユニット4のうち、スラストカラー40が回転する。一方、スラスト軸受42は回転しない。摺動界面C、Dの油膜により、第一中間摺動部材41aは、回転するフランジ401および回転しない軸受側摺動部420に対して、摺動自在である。並びに、摺動界面E、Fの油膜により、第二中間摺動部材41bは、回転するフランジ部400bおよび回転しない軸受側摺動部420に対して、摺動自在である。このため、第一中間摺動部材41aは、油膜の粘性により、フランジ401に連れられて、回転する。並びに、第二中間摺動部材41bは、油膜の粘性により、フランジ部400bに連れられて、回転する。
[作用効果]
次に、本実施形態の軸受ユニットおよびターボチャージャの作用効果について説明する。仮に、図2に示す軸受ユニット4に第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bが配置されていない場合、スラスト軸受42が、直接、回転軸50つまりスラストカラー40のスラスト荷重を支持することになる。このため、スラストカラー40とスラスト軸受42との間の周速度の差が大きくなる。したがって、スラストカラー40、スラスト軸受42が摩耗しやすくなる。
この点、図2に示す軸受ユニット4には、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bが配置されている。スラスト軸受42は、フルフローティングタイプの第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bを介して、間接的に、回転軸50つまりスラストカラー40のスラスト荷重を支持している。このため、スラストカラー40と、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bと、の間の周速度の差を小さくすることができる。並びに、スラスト軸受42と、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bと、の間の周速度の差を小さくすることができる。したがって、スラストカラー40、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41b、スラスト軸受42が摩耗しにくくなる。
また、図5に示すスラスト軸受機構100のフルフロート軸受103の場合、前後一対のフランジ部103bは、円筒部103aを介して、互いに連結されている。これに対して、本実施形態の軸受ユニット4の第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bは、図2に示すように、互いに独立して配置されている。第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bを軸方向に連結する部材(例えば、円筒部103a)は不要である。このため、図5に示すスラスト軸受機構100と同じ摺動面積(図2に示す摺動界面C〜Fの総面積)を確保しながら、スラスト軸受42の内径φ1を小径化することができる。したがって、スラストカラー40の外径φ2を小径化することができる。並びに、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの外径φ2を小径化することができる。また、外径φ2の小径化に伴い、スラストカラー40、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの周速度を小さくすることができる。
また、図5に示すスラスト軸受機構100の場合、フランジ部103bを貫通する油孔103cを経由して、潤滑油O1が、スラストカラー102とフランジ部103bとの間の摺動界面に、流れ込んでいる。このため、フランジ部103bの前後両面に、所望の摺動面積を確保しにくい。これに対して、本実施形態の軸受ユニット4によると、図2に示すように、第一中間摺動部材41aの内周面と、筒部400aの外周面と、の間には、隙間Gが区画されている。潤滑油Oは、隙間Gを経由して、摺動界面Cに流れ込む。同様に、第二中間摺動部材41bの内周面と、筒部400aの外周面と、の間には、隙間Hが区画されている。潤滑油Oは、隙間Hを経由して、摺動界面Fに流れ込む。このため、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bに、敢えて油孔を開設する必要がない(勿論、油孔が開設された第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bも、本発明の権利範囲に含まれる)。したがって、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの前後両面に、所望の摺動面積を確保しやすい。
また、図5に示すスラスト軸受機構100の場合、フランジ部103bを貫通する油孔103cを経由して、潤滑油O1が、スラストカラー102とフランジ部103bとの間の摺動界面に、流れ込んでいる。この際、潤滑油O1は、フルフロート軸受103、スラストカラー102の回転に伴う遠心力に抗して、径方向外側から径方向内側に、流動する必要がある。このため、潤滑油O1が、スラストカラー102とフランジ部103bとの間の摺動界面に、行き渡りにくい。これに対して、本実施形態の軸受ユニット4によると、図2に示すように、潤滑油Oは、隙間G、Hを経由して、摺動界面C、Fに流れ込む。この際、潤滑油Oは、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41b、スラストカラー40の回転に伴う遠心力に助勢され、径方向内側から径方向外側に、流動する。このため、潤滑油Oが、摺動界面C、Fに、行き渡りやすい。
また、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとは共用化されている。このため、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとが共用化されていない場合と比較して、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの製造コストを削減することができる。
また、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの前後両面は、共に平面である。このため、ターボチャージャ1に第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bを組み付ける際、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの配置方向を気にする必要がない。したがって、ターボチャージャ1に対する第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの組付作業が簡単である。
<第二実施形態>
本実施形態の軸受ユニットおよびターボチャージャと、第一実施形態の軸受ユニットおよびターボチャージャとの相違点は、第一中間摺動部材の前後両面、および第二中間摺動部材の前後両面に、第一膜圧分布設定部、第二膜圧設定部が配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図3(a)に、本実施形態の軸受ユニットの第一中間摺動部材の前面図を示す。図3(b)に、同第一中間摺動部材の後面図を示す。図3(c)に、同軸受ユニットの第二中間摺動部材の前面図を示す。図3(d)に、同第二中間摺動部材の後面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
図3(a)に示す第一中間摺動部材41aの前面は、図2に示すフランジ401の後面に摺接している。第一中間摺動部材41aは、フランジ401よりも、周速度が遅い。図3(d)に示す第二中間摺動部材41bの後面は、図2に示すフランジ部400bの前面に摺接している。第二中間摺動部材41bは、フランジ部400bよりも、周速度が遅い。このように、第一中間摺動部材41aの前面、第二中間摺動部材41bの後面は、いずれも摺動相手面(フランジ401の後面、フランジ部400bの前面)よりも、周速度が遅い。以下、第一中間摺動部材41aの前面、第二中間摺動部材41bの後面を、遅延面αと称す。
図3(b)に示す第一中間摺動部材41aの後面は、図2に示す軸受側摺動部420の前面に摺接している。第一中間摺動部材41aは、軸受側摺動部420よりも、周速度が速い。図3(c)に示す第二中間摺動部材41bの前面は、軸受側摺動部420の後面に摺接している。第二中間摺動部材41bは、軸受側摺動部420よりも、周速度が速い。このように、第一中間摺動部材41aの後面、第二中間摺動部材41bの前面は、いずれも摺動相手面(軸受側摺動部420の前面、後面)よりも、周速度が速い。以下、第一中間摺動部材41aの後面、第二中間摺動部材41bの前面を、先行面βと称す。
図4に、図3(a)、図3(b)のIV−IV方向断面図を示す。すなわち、第一中間摺動部材41a(つまり遅延面α、先行面β)の周方向180°区間に亘る展開図を示す。図3(a)、図3(d)、図4に示すように、遅延面αには、膜圧分布設定部(テーパランド部)6が配置されている。第一膜圧分布設定部6は、複数のテーパ部60と、複数のランド部61と、を備えている。回転方向後側から回転方向前側に連なるテーパ部60およびランド部61は、本発明の「第一膜圧上昇区間」の概念に含まれる。複数のテーパ部60と複数のランド部61とは、遅延面αの周方向(回転方向)に沿って、交互に配置されている。テーパ部60は、回転方向後側から回転方向前側に向かって、軸方向(第一中間摺動部材41aの前面の場合は前側、第二中間摺動部材41bの後面の場合は後側)に上昇している。ランド部61は、テーパ部60の上端(軸方向の高度が最も高い位置)に連なっている。図4に長短の白抜き矢印で示すように、摺動相手面(第一中間摺動部材41aの前面の場合はフランジ401の後面、第二中間摺動部材41bの後面の場合はフランジ部400bの前面)は、遅延面αよりも、周速度が速い。このため、摺動相手面の回転に連れられて、摺動界面(第一中間摺動部材41aの前面の場合は摺動界面C、第二中間摺動部材41bの後面の場合は摺動界面F)の潤滑油Oは、回転方向後側から回転方向前側に向かって、テーパ部60を流動する。この際、遅延面αと摺動相手面との間の隙間幅は、徐々に小さくなる。このため、テーパ部60に連なるランド部61において、油膜の膜圧を高くすることができる。このように、第一膜圧分布設定部6によると、ランド部61の配置に対応して、遅延面αに、膜圧の高い部分を、設定することができる。
一方、図3(b)、図3(c)、図4に示すように、先行面βには、膜圧分布設定部(テーパランド部)7が配置されている。第二膜圧分布設定部7は、複数のテーパ部70と、複数のランド部71と、を備えている。回転方向前側から回転方向後側に連なるテーパ部70およびランド部71は、本発明の「第二膜圧上昇区間」の概念に含まれる。複数のテーパ部70と複数のランド部71とは、先行面βの周方向(回転方向)に沿って、交互に配置されている。テーパ部70は、回転方向前側から回転方向後側に向かって、軸方向(第一中間摺動部材41aの後面の場合は後側、第二中間摺動部材41bの前面の場合は前側)に上昇している。ランド部71は、テーパ部70の上端(軸方向の高度が最も高い位置)に連なっている。摺動相手面(第一中間摺動部材41aの後面の場合は軸受側摺動部420の前面、第二中間摺動部材41bの前面の場合は軸受側摺動部420の後面)は、停止している。このため、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの回転に伴って、摺動界面(第一中間摺動部材41aの後面の場合は摺動界面D、第二中間摺動部材41bの前面の場合は摺動界面E)の潤滑油Oは、回転方向前側から回転方向後側に向かって、相対的に、テーパ部70を流動する。この際、先行面βと摺動相手面との間の隙間幅は、徐々に小さくなる。このため、テーパ部70に連なるランド部71において、油膜の膜圧を高くすることができる。このように、第二膜圧分布設定部7によると、ランド部71の配置に対応して、先行面βに、膜圧の高い部分を、設定することができる。
本実施形態の軸受ユニットおよびターボチャージャと、第一実施形態の軸受ユニットおよびターボチャージャとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の軸受ユニットの第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bには、第一膜圧分布設定部6、第二膜圧分布設定部7が配置されている。このため、遅延面α、先行面βに、潤滑油の膜圧の低い部分と、膜圧の高い部分と、を周方向に沿って、交互に設定することができる。また、図4に示すように、テーパ部60においては、回転方向後側から回転方向前側に向かって、油膜の膜圧が上昇する。反対に、テーパ部70においては、回転方向前側から回転方向後側に向かって、油膜の膜圧が上昇する。ここで、前側または後側(軸方向)から見て、テーパ部60とテーパ部70とは、重複している。このため、摺動界面Cにおけるテーパ部60付近の膜圧分布と、摺動界面Dにおけるテーパ部70付近の膜圧分布と、を互いに相殺することができる。したがって、摺動界面C、Dにおけるテーパ部60、70付近の膜圧分布を均一化することができる。
また、図4に示すように、ランド部61、71においては、油膜の膜圧が最大になる。ここで、前側または後側から見て、ランド部61とランド部71とは、重複している。このため、摺動界面C、Dにおけるランド部61、71付近の膜圧をより大きくすることができる。
また、図4に示すように、遅延面α、先行面βに第一膜圧分布設定部6、第二膜圧分布設定部7を配置すると、摺動相手面に第一膜圧分布設定部6、第二膜圧分布設定部7を配置する必要がない。このため、摺動相手面を平滑にすることができる。したがって、スラストカラー40、スラスト軸受42の面形状を簡単にすることができる。
また、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとは同一物である。すなわち、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとは共用化されている。このため、第一中間摺動部材41aと第二中間摺動部材41bとが共用化されていない場合と比較して、第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41bの製造コストを削減することができる。なお、第一中間摺動部材41aの配置方向(前面が遅延面α、後面が先行面β)と、第二中間摺動部材41bの配置方向(前面が先行面β、後面が遅延面α)と、は前後反対である。
<その他>
以上、本発明の軸受ユニットおよびターボチャージャの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
軸側摺動部材の構成は特に限定しない。例えば、軸側摺動部材は、コンプレッサインペラ51と一体になっていてもよい。図4に示すテーパ部60、70の位置関係は特に限定しない。前側または後側から見て、テーパ部60、70が周方向(回転方向)にずれていてもよい。ランド部61、71についても同様である。
図4に示す第一膜圧分布設定部6、第二膜圧分布設定部7の構成は特に限定しない。例えば、油溝を配置することにより、遅延面α、先行面βの油膜の膜圧分布を設定してもよい。図3(a)、図3(d)に示す複数の遅延面αの面形状の異同は特に限定しない。同様に、図3(b)、図3(c)に示す複数の先行面βの面形状の異同も特に限定しない。また、遅延面αと先行面βの面形状の異同も特に限定しない。
フルフローティング軸受(第一中間摺動部材41a、第二中間摺動部材41b)は、軸受ユニット4から独立して実施することもできる。すなわち、図4に示すように、フルフローティング軸受は、遅延面αと、先行面βと、を備えている。遅延面αは、油膜を介して、遅延面αよりも周速度が速い摺動相手面に摺接している。先行面βは、油膜を介して、先行面βよりも周速度が遅い(周速度0を含む)摺動相手面に摺接している。遅延面αには、第一膜圧分布設定部6が配置されている。このため、フルフローティング軸受の回転方向後側から回転方向前側に向かって油膜の膜圧が上昇する第一膜圧上昇区間(テーパ部60→ランド部61)を、遅延面αに設定することができる。並びに、先行面βには、第二膜圧分布設定部7が配置されている。このため、フルフローティング軸受の回転方向前側から回転方向後側に向かって油膜の膜圧が上昇する第二膜圧上昇区間(テーパ部70→ランド部71)を、先行面βに設定することができる。
1:ターボチャージャ、3:ジャーナル軸受、4:軸受ユニット、5:回転部、6:第一膜圧分布設定部、7:第二膜圧分布設定部、40:スラストカラー、41a:第一中間摺動部材(中間摺動部材)、41b:第二中間摺動部材(中間摺動部材)、42:スラスト軸受、50:回転軸、51:コンプレッサインペラ、52:タービンインペラ、60:テーパ部(第一膜圧上昇区間)、61:ランド部(第一膜圧上昇区間)、70:テーパ部(第二膜圧上昇区間)、71:ランド部(第二膜圧上昇区間)、90:ベアリングハウジング、91:コンプレッサハウジング、92:タービンハウジング、400:カラー本体、400a:筒部、400b:フランジ部(軸側摺動部)、401:フランジ(軸側摺動部)、420:軸受側摺動部、901a:油路、901b:油路、902a:軸受収容部、902b:軸受収容部、A:軸方向隙間、B:軸方向隙間、C〜F:摺動界面、G:隙間、H:隙間、O:潤滑油、α:遅延面、β:先行面、φ1:内径、φ2:外径

Claims (5)

  1. 回転軸に固定され、一対の軸側摺動部を有する軸側摺動部材と、
    一対の前記軸側摺動部の間の軸方向隙間に、互いに独立して配置される一対の中間摺動部材と、
    一対の前記中間摺動部材の間の軸方向隙間に配置される軸受側摺動部を有し、前記回転軸に作用する軸方向のスラスト荷重を支持するスラスト軸受と、
    を備え、
    前記中間摺動部材は、前記軸側摺動部および前記軸受側摺動部に対して、摺動自在である軸受ユニット。
  2. 前記中間摺動部材は、自身よりも周速度が速い前記軸側摺動部に油膜を介して摺接する遅延面と、停止している前記軸受側摺動部に油膜を介して摺接する先行面と、を有し、
    前記遅延面には、第一膜圧分布設定部が配置され、
    前記先行面には、第二膜圧分布設定部が配置され、
    前記第一膜圧分布設定部は、回転方向後側から回転方向前側に向かって油膜の膜圧が上昇する第一膜圧上昇区間を、前記遅延面に設定し、
    前記第二膜圧分布設定部は、回転方向前側から回転方向後側に向かって油膜の膜圧が上昇する第二膜圧上昇区間を、前記先行面に設定する請求項1に記載の軸受ユニット。
  3. 一対の前記中間摺動部材は、同一物である請求項1または請求項2に記載の軸受ユニット。
  4. 一対の前記中間摺動部材のうち、一方の前記中間摺動部材の配置方向と、他方の前記中間摺動部材の配置方向と、は互いに軸方向に反対である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の軸受ユニット。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の軸受ユニットを備えるターボチャージャであって、
    前記回転軸は、コンプレッサインペラとタービンインペラとを連結し、
    前記軸側摺動部材は、前記回転軸の外周面に固定され、一対の前記軸側摺動部と、一対の前記軸側摺動部同士を軸方向に連結する筒部と、を有するスラストカラーであるターボチャージャ。
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