JP2018104301A - バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法 - Google Patents

バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法 Download PDF

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雄也 前田
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Abstract

【課題】機能化剤を歯の隙間、皮膚の毛穴及び浴室床の溝等の微細な空間に到達させることにより、優れたバイオフィルム形成抑制効果が発現する顆粒を得るための、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法を提供すること。【解決手段】下記工程1及び2を有するバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。工程1:粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程工程2:工程1で得られた顆粒に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程【選択図】なし

Description

本発明は、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法に関する。
近年、衣料用洗浄剤、皮膚用洗浄剤、歯磨き剤、浴剤、住居用洗剤等の分野において、バイオフィルムを除去、又はその形成を抑制する効果を有する製品が知られている。
例えば、歯磨き剤の場合、バイオフィルムの1種であり、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を効率よく除去し、触知できるような顆粒を配合した製品が知られている。これらの顆粒は、歯の表面のエナメル質や歯肉等に傷を与えないようにするために、実質的に球状凝集粒子とされ、薬剤、酵素剤、研磨剤等の機能性材料を含有させたものや、その視覚的効果を狙ったものがある。
特許文献1には、顆粒の結合剤として水溶性の珪酸塩を用い、水不溶性の粉末材料と共に顆粒化することにより、安価な材料から適度な崩壊強度と維持された湿式崩壊強度を有する歯磨剤用顆粒を収率よく得ることができる製造方法が開示されている。
また、歯面コート剤や歯磨き剤として、歯面への光沢付与や、歯垢形成の予防を目的として、ろうやリン酸エステル、セラック、ポリビニルピロリドン、脂肪酸塩等を配合した組成物が知られている。
例えば、特許文献2では、脂肪酸塩を配合することで優れた歯面コート作用を発揮し、細菌によって産生される酸から歯面を守ることにより歯への菌や食べカスの付着を防止しうる歯面コート剤が開示されている。
特開2014−24837号公報 特開2000−103726号公報
しかしながら、特許文献1の製造方法において、既存の顆粒の原料に、バイオフィルム形成抑制剤を新たに加えて顆粒化した場合、他原料との組み合わせによっては顆粒化特性が変化してしまい、既存の顆粒が有していた崩壊強度などの性能を維持することが困難になる場合があることを見出した。
また、特許文献2のように、機能化剤を製剤に直接配合した場合、バイオフィルムが発生しやすい微細な空間に機能化剤を高濃度で到達させることが難しく、使用対象物の隅々にまで機能化剤を効果的に作用させることが難しいという課題があった。
本発明は、機能化剤を歯の隙間、皮膚の毛穴及び浴室床の溝等の微細な空間に到達させることにより、優れたバイオフィルム形成抑制効果が発現する顆粒を得るための、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法を提供する。
本発明者らは、粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、形成された顆粒(以下、「第一の顆粒」ともいう。)に、融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持することで、優れたバイオフィルム形成抑制効果を有する顆粒(以下、「第二の顆粒」ともいう。)を製造し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記工程1及び2を有するバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法を提供する。
工程1:粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程
工程2:工程1で得られた顆粒に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法によれば、優れたバイオフィルム形成抑制効果を有する顆粒を製造することができる。
経時による機能化剤の顆粒内部への浸透を示す図である。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法は、下記工程1及び2を有する。
工程1:粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程
工程2:工程1で得られた顆粒に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程
本発明の製造方法では、機能化剤の担体として顆粒を用いる。一般的に顆粒は単一粒子と比較して多孔質であることから、機能化剤の担体への担持量を増やしやすく、これによりバイオフィルム形成抑制効果を高めることができる。
また、顆粒化工程(工程1)と機能化剤の担持工程(工程2)とを分離することで、顆粒化工程の原料に機能化剤を加えた場合に懸念される顆粒化特性の変化を防止し、本来の顆粒が有する崩壊強度などの性能を維持しながら、機能化剤を担体へ担持することができる。
更に、機能化剤の担持工程(工程2)において、機能化剤の融点以上の温度で一定時間保持することによって、機能化剤が顆粒内部まで浸透する。これにより顆粒の構造が全体的に均一になり、本来の顆粒が有する崩壊特性を維持することができる。また、機能化剤の担持工程では、担体の顆粒と同等の粒度の顆粒を高収率で得ることができる。これは、本発明では、機能化剤を顆粒内部まで浸透させることにより、機能化剤が顆粒表面で結合剤として作用することによる粗大粒子の形成を抑制しているためと考えられる。
以下、本発明方法に用いられる各成分、製造方法について順次説明する。なお、上述したとおり、工程1で得られる顆粒を第一の顆粒ともいい、工程2で得られる顆粒を第二の顆粒ともいう。
[粉末材料]
本発明で用いられる粉末材料には、水溶性粉末材料及び水不溶性粉末材料を用いることができる。これらは単独で、又は混合して用いることができる。混合して用いる場合は、水不溶性粉末材料の含有量は、顆粒化した際の物性やコストの観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。具体的には水不溶性無機粉末材料が好ましい。ここで、「水不溶性」とは、水100g(20℃)に対する溶解量が1g以下であることを意味する。
<水溶性粉末材料>
水溶性粉末材料としては、水溶性有機粉末材料、水溶性無機粉末材料が挙げられる。
水溶性有機粉末材料としては、(i)ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、アクリル酸/マレイン酸共重合物のアルカリ塩等の合成高分子、(ii)メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、変性澱粉(ヒドロキシアルキル変性澱粉、リン酸エステル変性澱粉等)、ショ糖、乳糖、ブドウ糖等の糖類等の天然高分子が挙げられる。
また、水溶性無機粉末材料として、塩化ナトリウム(市販の食塩、高純度精製塩、天然塩等)、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が挙げられる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム等から選ばれる1種又は2種以上の水溶性無機粉末材料が好ましい。
<水不溶性粉末材料>
水不溶性粉末材料としては、水不溶性有機粉末材料、水不溶性無機粉末材料が挙げられる。
水不溶性有機粉末材料としては、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン及びそれらの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びそれらの架橋体、エチレンゴム、プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム類及びそれらの架橋体等の合成高分子、(ii)セルロース及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、コーンスターチ等の澱粉、果実の殻等の天然高分子及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム及びそれらの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びその架橋体、セルロース及びその誘導体、並びにコーンスターチ等の澱粉及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、セルロース、コーンスターチ等の澱粉及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
水不溶性無機粉末材料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、セピオライト、無水珪酸、ヒドロキシ・カルシウム・アパタイト、及び真珠質等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、顆粒化した際の物性やコストの観点から、水不溶性粉末材料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ゼオライト、及びシリカから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種を含むことがより好ましく、重質炭酸カルシウムを含むことが更に好ましい。
《酸化亜鉛》
本発明では、バイオフィルム形成抑制効果を付与する観点、及び結合剤に珪酸塩を使用した場合に珪酸塩のネットワーク構造を強化して湿式崩壊強度を高める観点から、工程1において、粉末材料の一部として酸化亜鉛を含有することが好ましい。通常、顆粒の崩壊強度、製剤中での安定性を高めるためには結合剤の配合量を増加させる必要があるが、驚くべきことに酸化亜鉛を配合することにより顆粒の湿式崩壊強度を向上させることができる。酸化亜鉛を用いる場合は、他の粉末材料と共に用いることが好ましく、他の粉末材料と珪酸塩と酸化亜鉛とを造粒機を用いて混合し、顆粒化するバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法であることが好ましく、該他の粉末材料と酸化亜鉛と(好ましくは該他の粉末材料と酸化亜鉛との混合物)に該珪酸塩を水溶液の液滴として供給する製造方法がより好ましい。酸化亜鉛と共に使用する他の粉末材料としては、水不溶性粉末材料が好ましく、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種を含むことがより好ましく、重質炭酸カルシウムを含むことが更に好ましい。
バイオフィルム形成抑制剤用顆粒(水分を除く)中の酸化亜鉛の含有量は、バイオフィルム形成抑制効果と湿式崩壊強度を向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.9質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上である。また、亜鉛による渋味や金属味を抑制する観点から、酸化亜鉛の含有量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下である。
バイオフィルム形成抑制剤用顆粒中の亜鉛の含有量は、[酸化亜鉛の含有量×65.38(亜鉛の原子量)]/(65.38+16)で求めることができる。
結合剤に珪酸塩を用いた場合の珪酸塩(固形分)に対する酸化亜鉛の質量比(酸化亜鉛/珪酸塩(固形分))は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、亜鉛による渋みや金属味抑制の観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下、更により好ましくは0.4以下である。
珪酸塩(固形分)に対する亜鉛の質量比(亜鉛/珪酸塩(固形分))は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは0.016以上、より好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.08以上であり、亜鉛による渋みや金属味抑制の観点から、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.64以下、更により好ましくは0.32以下である。
<粉末材料の形状及び粒径>
上記の水不溶性粉末材料及び水溶性粉末材料の形状は特に限定されず、真球状、略球状、平板状、棒状、及び粉砕等により異形の形状としたものでもよく、また、中空、多孔質の粒子等も用いることができる。また、上記の水不溶性粉末材料及び水溶性粉末材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粉末材料の平均粒子径は、顆粒崩壊後のバイオフィルム除去の観点から、それぞれ、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上であり、歯磨き剤や皮膚洗浄剤に使用した場合は異物感を減らす観点から、その上限は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下、より更に好ましくは15μm以下、より更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは6μm以下である。粉末材料の平均粒子径は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜50μm、更に好ましくは0.2〜15μm、より更に好ましくは0.2〜10μm、より更に好ましくは0.3〜7μm、より更に更に好ましくは0.3〜6μmである。
平均粒子径は、実施例記載の方法に準じて常法により測定することができる。
[結合剤]
本発明で用いられる結合剤としては、粉末材料と共に混合した場合に造粒が進行するものであれば特に限定されない。結合剤としては、有機結合剤及び無機結合剤が挙げられる。粒子強度を容易に高めることができる観点から無機結合剤が好ましい。
また、結合剤の融点が機能化剤の融点よりも高いことが好ましい。結合剤の融点は、機能化剤の融点よりも好ましくは20℃以上高く、より好ましくは30℃以上高く、更に好ましくは40℃以上高い。
<有機結合剤>
本発明で用いられる有機結合剤としては、油脂、ワックス、パラフィン、高級脂肪酸及びその塩、高分子、樹脂等が挙げられる。
高級脂肪酸及びその塩としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
高分子や樹脂としては、(i)キサンタンガム、デキストリン、ゼラチン等の多糖類、及びそれらの誘導体、(ii)ゴム系ラテックス等、(iii)アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ヒドロキシメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、マレイン酸エステル、メチルビニルエーテル、α−オレフィン等の単独重合体、及びそれらの共重合体等が挙げられる。
なお、結合剤は、機能化剤としての機能を有していてもよく、その場合であっても、本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法は、工程1で得られた顆粒(第一の顆粒)に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上で保持する工程(工程2)を有する。
<無機結合剤>
本発明で用いられる無機結合剤としては、具体的には、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、アルミナゾル、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
無機結合剤としては、水酸基を有する、ケイ素系化合物、アルミニウム系化合物、カルシウム系化合物、マグネシウム系化合物、及びそれらの誘導体等を好適に用いることができる。これらの中でも、無機結合剤としては、珪酸塩が好ましい。
《珪酸塩の種類》
本発明で用いられる無機結合剤は、顆粒に適度な湿式崩壊強度を付与するために珪酸塩を含むことが好ましい。この珪酸塩は、後述するように、必要に応じて顆粒を適宜乾燥することで、顆粒の湿式崩壊強度を適度に高める機能を有する。珪酸塩の種類と、その量を調整することにより、顆粒の崩壊強度を適宜調整することができる。珪酸塩は、水溶性であることが好ましい。
水溶性無機結合剤である珪酸塩とは、好ましくは水100gに対する溶解量(20℃)が好ましくは30g以上、より好ましくは50g以上である。
珪酸塩は、崩壊強度及び湿式崩壊強度の観点から、珪酸ナトリム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種を含むことが好ましく、珪酸ナトリウムを含むことがより好ましい。珪酸塩中、珪酸ナトリウムと珪酸カリウムとの合計含有量又は珪酸ナトリウムの含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上、より更に好ましくは実質100%である。
珪酸ナトリウムは、一般にNaO・nSiO・mHOの分子式で表される。係数n(NaOに対するSiOの分子比)はモル比と呼ばれ、下記式(1)で表すことができる。
モル比=質量比(SiO質量%/NaO質量%)×(NaOの分子量/SiOの分子量)(1)
珪酸ナトリウムの物性は前記モル比によって異なるが、医薬部外品原料規格への適合性、及び得られる顆粒のpHの観点から、前記モル比は、好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.4〜3.5、更に好ましくは2.8〜3.5、より更に好ましくは3.0〜3.3である。
珪酸ナトリウムとしては、メタ珪酸ナトリウム(NaSiO)、オルト珪酸ナトリウム(NaSiO)、二珪酸ナトリウム(NaSi)、四珪酸ナトリウム(NaSi)及びそれらの水和物が挙げられる。
珪酸ナトリウムとしては、通常、JISK1408に記載の珪酸ソーダ1号、2号、3号の他、種々のモル比の水ガラスを使用することができる。
《珪酸塩水溶液中の珪酸塩濃度》
本発明の製造方法において、珪酸塩は、珪酸塩の水溶液として供給することが好ましく、珪酸塩の水溶液を液滴として供給することがより好ましい。液滴として供給する珪酸塩水溶液中の珪酸塩濃度は、粉末材料を顆粒化させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、ハンドリング性及び液滴として噴霧し、粗大粒子を抑制する観点、並びに顆粒の湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは58質量%以下である。
なお、珪酸塩水溶液中の珪酸塩濃度は、固形分濃度として実施例記載の方法により求めることができる。
また、珪酸塩水溶液には、本発明を阻害しない限り、ポリマーや無機粒子等を含有させることもできるし、また、炭素数1〜3の低級アルコール等を含有させることもできる。
《珪酸塩/粉末材料》
粉末材料を顆粒化し、崩壊強度等を高める観点から、粉末材料に対する珪酸塩(固形分)の質量比〔珪酸塩(固形分)/粉末材料〕は、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、より更に好ましくは5/95以上であり、粗大粒子を減少させて、バイオフィルム除去効果を高める観点及び収率を向上させる観点から、該質量比は、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下、より更に好ましくは30/70以下、更により好ましくは20/80以下である。該質量比は、好ましくは2/98〜60/40、より好ましくは3/97〜50/50であり、更に好ましくは4/96〜40/60であり、より更に好ましくは5/95〜30/70、更により好ましくは5/95〜20/80である。
[機能化剤]
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒に担持される機能化剤とは、バイオフィルムの形成を抑制する機能を有する剤のことである。具体的には、対象物表面の親水性やpHをバイオフィルムの原因となる細菌の生育に不適な状態に処理する剤として、脂肪酸、脂肪酸誘導体(ワックス、高級アルコール、界面活性剤等)、油脂等が挙げられる。また、バイオフィルムの原因となる細菌に対する殺菌又は抗菌効果を有する殺菌剤等が挙げられる。
機能化剤の融点は50℃以上であり、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上である。また、取り扱い性の観点から、機能化剤の融点は、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、より更に好ましくは100℃以下、より更に好ましくは80℃以下である。
これらの中でも、バイオフィルム形成抑制効果の観点、及び比較的に低融点であることによるハンドリング性の観点から脂肪酸が好ましい。
脂肪酸としては、顆粒崩壊時の良好な溶解性を保持する観点から、炭素数は、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下であり、対象物へ防汚性を付与する観点から、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは15以上である。
また、炭化水素基としては、飽和炭化水素基、直鎖炭化水素基、分岐鎖を有する炭化水素基が挙げられ、飽和炭化水素基が好ましく、直鎖飽和炭化水素基がより好ましい。
かかる脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上組み合わせてもよい。なお、脂肪酸の水への溶解性の観点からはミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、より歯へ防汚性を付与する観点からはパルミチン酸が好ましい。なお、機能化剤として脂肪酸を含有する場合、該脂肪酸はその一部又は全部が塩を形成していてもよい。
これらの中でも、優れたバイオフィルム形成抑制効果を得る観点から、機能化剤が、炭素数16の脂肪酸を60質量%以上含有する脂肪酸であることが好ましい。より好ましくは、炭素数16の脂肪酸を80質量%以上含有する脂肪酸であり、更に好ましくは炭素数16の脂肪酸を90質量%以上含有する脂肪酸である。
高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール(融点67〜73℃)等が挙げられる。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ジステアリルケトン、密ろう、鯨ろう、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナバろう等が挙げられる。
油脂としては、硬化ナタネ油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。樹脂としては、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
殺菌剤としては、ジヒドロコレステロール、クロルヘキシジン、エピジヒドロコレステロール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、アラントイン、トラネキサム酸、プロポリス、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン等が挙げられる。
本発明において、後述する酸から塩への変換を容易にする観点から、脂肪酸のように酸解離定数(pKa)を有する機能化剤が好ましく、機能化剤のpKaは、好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4以上であり、同様の観点から、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。
また、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒は、酸の状態で添加した機能化剤を塩に中和した状態で顆粒内部に保持することが好ましい。これにより、酸性の機能化剤が塩になることで水溶性が向上し、水の存在下で顆粒を使用した際に対象物へ高濃度で作用させることができる。また、塩の状態で顆粒に添加する場合、融点が高いため、ハンドリングが困難になる場合がある。そのため、塩よりも融点の低い酸の状態で顆粒へ添加し、酸が顆粒に含有される成分と反応し塩となることがハンドリング性の観点から好ましい。
[他の配合成分]
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて、本発明方法で用いられる粉末材料、結合剤、及び機能化剤以外に、薬用成分、着色剤等を配合することができる。
<薬用成分>
薬用成分としては、虫歯予防剤、抗微生物剤、酵素、抗炎症剤等が挙げられ、具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化錫、モノフルオロリン酸ナトリウム、ビタミンE、ビタミンC、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、塩化ナトリウム等の抗炎症剤;乳酸アルミニウム、アズレン、グリチルレチン酸、β−グリチルレチン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、酢酸dl−トコフェロール、硝酸カリウム等の知覚過敏予防剤;トリポリリン酸ナトリウム、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等のタバコヤニ除去剤等が挙げられる。
<着色剤>
着色剤としては、群青等が挙げられ、これらの着色剤を添加することにより審美的効果を付加することができる。
上記の他の配合成分は、単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
[バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法]
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法は、下記工程1及び2を有する。
工程1:粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程
工程2:工程1で得られた顆粒に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程
<工程1>
《工程1で得られる顆粒》
工程1は、粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程である。
工程1で製造する第一の顆粒は、バイオフィルム除去効果の観点、及び製剤に配合した際の安定性の観点から、適度な崩壊強度及び優れた湿式崩壊強度を有することが好ましい。また、工程2において機能化剤を担持させる観点から、低圧密、高空隙であることが好ましい。
第一の顆粒中、実施例記載の方法で求められる直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1ml/g以上であることが好ましい。
《造粒機》
本発明の工程1で用いられる造粒機としては、噴霧乾燥機、内部撹拌型造粒機、容器回転型造粒機等が挙げられる。この中でも顆粒製造時に、顆粒に強い剪断を与えて圧密することのないようにするために、容器回転型造粒機を用いることが好ましい。
(容器回転型造粒機)
容器回転型造粒機としては、ドラム型造粒機及びパン型造粒機が好ましい。ドラム型造粒機としては、ドラム状の円筒が回転して処理を行うものであれば特に限定されない。水平又はわずかに傾斜させたドラム型造粒機も使用可能である。これらの装置は、バッチ式、連続式いずれの方式でもよい。
なお、粉末材料と容器回転型造粒機の内壁との間の壁面摩擦係数が小さく、粉末材料に十分な上昇運動力を加えることが困難な場合は、容器内壁に混合を補助するための複数個の邪魔板(バッフル)を設けることが好ましい。邪魔板を設けることにより、粉末材料に上昇運動を付与することが可能となり、粉末混合性及び固液混合性が向上する。
(容器回転型造粒機の回転条件)
容器回転型造粒機の回転条件としては、造粒機内の粉末材料をできるだけ均一に流動させ、撹拌できる条件であれば特に制限されない。良好な崩壊強度等を有する顆粒を得る観点から、下記式(2)で定義されるフルード数を0.005以上とすることが好ましく、0.01以上とすることがより好ましく、0.05以上とすることが更に好ましく、非圧密の顆粒を得る観点から、その上限は、1.0以下とすることが好ましく、0.6以下とすることがより好ましく、0.4以下とすることが更に好ましい。
フルード数:Fr=V/{(R×g)1/2} (2)
V:周速[m/s]
R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s
なお、本体胴部の回転によって顆粒化が進行するドラム型造粒機又はパン型造粒機においては、V及びRは本体胴部の値を用い、主翼や解砕翼を備えた横型又は竪型造粒機においては、V及びRは主軸の値を用い、解砕翼を備えたパン型造粒機においては、V及びRは解砕翼の値を用いることとする。
《多流体ノズル》
本発明においては、内部撹拌型造粒機、容器回転型造粒機等を用いて結合剤を供給しながら造粒する場合は、結合剤を多流体ノズルを用いて供給することが好ましい。多流体ノズルを用いることにより、その液滴を微細化して分散させることができる。
多流体ノズルとは、液体と微粒化用気体(エアー、窒素等)を独立の流路を通してノズル先端部近傍まで流通させて混合・微粒化するノズルであり、二流体ノズル、三流体ノズル、四流体ノズル等を挙げることができる。また、珪酸塩水溶液と微粒化用気体の混合部は、ノズル先端部内で混合する内部混合型、又はノズル先端部外で混合する外部混合型のいずれであってもよい。
このような多流体ノズルとしては、スプレーイングシステムスジャパン(株)製、(株)共立合金製作所製、(株)いけうち製等の内部混合型二流体ノズル、スプレーイングシステムスジャパン(株)製、(株)共立合金製作所製、(株)アトマックス製等の外部混合型二流体ノズル、藤崎電機(株)製の外部混合型四流体ノズル等が挙げられる。
《噴霧条件》
また、結合剤の液滴径は、結合剤の流量と微粒化用気体の流量のバランスを調整することにより、所望の範囲に調整することができる。すなわち、液滴径を小さくする場合は、一定流量の結合剤に対して、微粒化用気体の流量を増加させればよく、また、一定流量の微粒化気体に対して結合剤の流量を低下させればよい。
例えば、二流体ノズルを用いる場合、微粒化用気体の流量の調整は、微粒化用気体の噴霧圧の調整により行うのが容易である。微粒化用気体噴霧圧としては、液分散の観点から0.1MPa以上が好ましく、設備負荷の観点から1.0MPa以下が好ましい。また、結合剤の噴霧圧としては特に制限はないが、設備負荷の観点から、例えば1.0MPa以下が好ましい。
《結合剤の液滴径》
結合剤の液滴径の違いが、得られる顆粒の収率や粗粒率に与える影響を検討した結果、平均湿式崩壊強度を高めると共に、バイオフィルム除去に好適な粒度の顆粒を収率よく得る観点から、結合剤の液滴径の平均粒径は、好ましくは210μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下であり、生産性の観点から、その下限は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上である。
滴径を小さくするほど結合剤の流量が低下し生産性が低下するが、例えば多流体ノズルを複数個使用しノズル一本当たりの流量を低下させることで、液滴の微細化を維持しつつ添加速度を上げることができる。多流体ノズルは1本以上であればよいが、2〜20本用いることもできる。
なお、当該結合剤の液滴径の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、スプレーテック)を用いて測定される値である。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
《珪酸塩水溶液の温度、添加速度》
無機結合剤である珪酸塩の水溶液(珪酸塩水溶液)を多流体ノズルを用いて供給する際の珪酸塩水溶液の温度は、噴霧の安定性の観点から、5〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
珪酸塩水溶液の添加速度は、粗大粒子の形成を抑制し、適度な崩壊強度、優れた湿式崩壊強度を付与する観点から、当該水不溶性粉末材料100質量部に対して好ましくは35質量部/分以下、より好ましくは20質量部/分以下、更に好ましくは10質量部/分以下であり、その下限は好ましくは0.2質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは1.5質量部/分以上、より更に好ましくは2質量部/分以上である。上記の範囲は、JISK1408に記載の珪酸ソーダ1号、2号又は3号を用いる場合に好適である。
また、珪酸塩(固形分)の添加速度は、上記と同様の観点から、当該水不溶性粉末材料100質量部に対して好ましくは19質量部/分以下、より好ましくは11質量部/分以下、更に好ましくは5.5質量部/分以下であり、その下限は好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.3質量部/分以上、更に好ましくは0.6質量部/分以上、より更に好ましくは0.8質量部/分以上、更により好ましくは1.1質量部/分以上である。
《乾燥》
本発明においては、湿式崩壊強度を向上させる観点から、得られた顆粒を更に乾燥することが好ましい。特に結合剤に珪酸塩を用いた場合、驚くべきことに、水溶性結合剤を用いていながら、乾燥操作を行うことにより顆粒の湿式崩壊強度の向上も確認され、製剤中での安定性を向上させ得ることを見出した。詳細な理由は定かではないが、乾燥に伴い珪酸塩の脱水縮合が進行し珪酸塩のネットワーク構造が発達して強度が向上したと考えられる。
《乾燥方法》
乾燥方法については、棚乾燥、流動層乾燥、減圧乾燥、マイクロ波乾燥等が挙げられる。中でも、設備的な観点から、棚乾燥、流動層乾燥が好ましい。
乾燥中の顆粒の崩壊を抑制する観点から、強いせん断力をできるだけ与えない乾燥方式が好ましい。例えば、バッチ式では、電気式棚乾燥機や熱風乾燥機で乾燥させる方法、バッチ式流動層で乾燥させる方法等が挙げられ、連続式では、流動層やロータリー乾燥機、スチームチューブドライヤー等が挙げられる。
乾燥温度は、乾燥速度を考慮して適宜決定することができるが、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、より更に好ましくは100℃以上である。また、熱負荷の観点から、その上限は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下、より更に好ましくは140℃以下である。
乾燥時間は、製造に用いた原料の揮発分の量により異なるが、湿式崩壊強度が本発明の好ましい範囲となるように適宜調整を行う。乾燥時間は、好ましくは10分間以上、より好ましくは20分間以上、更に好ましくは30分間以上であり、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは12時間以下である。電気式棚乾燥の場合は、乾燥時間は、好ましくは20分間以上、より好ましくは30分間以上であり、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下であり、流動層乾燥の場合は、乾燥時間は、好ましくは10分間以上、より好ましくは20分間以上であり、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である。
得られる顆粒中の水分量は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下であり、より更に好ましくは1質量%以下であり、生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上である。顆粒中の水分量は、実施例記載の方法により求めることができる。湿式崩壊強度は、粉末材料の種類に依存するが、同じ種類では、水分量が少ない方が、湿式崩壊強度は高くなる。なお、第一の顆粒中の水分量は、第二の顆粒中の水分量と同程度であり、第一の顆粒中の水分量は、第二の顆粒中の水分量で近似される。
<工程2>
《工程2で得られる顆粒(第二の顆粒)》
工程2は、工程1で得られた顆粒に前記機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程である。
発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒は、粉末材料、結合剤を含有する顆粒であって、該顆粒中、直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1ml/g以上であり、該顆粒の内部に、機能化剤が担持されていることが好ましい。
顆粒に機能化剤を供給する際には、顆粒毎の機能化剤の含有量に偏りが少ないことが好ましく、顆粒の崩壊挙動の観点から顆粒内部にまで機能化剤が浸透していることが好ましい。
《混合装置の種類》
機能化剤を含有させるのに用いる好ましい装置としては、以下の混合装置が挙げられる。(イ)ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)、ハイスピードミキサー((株)アーステクニカ製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)等、(ロ)Uトラフ型リボンブレンダ(ホソカワミクロン(株)製、型式:R−17W)等、(ハ)ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。顆粒を壊さない観点からは(ロ)、(ハ)が好ましく、凝集を防ぐ観点からは(イ)が好ましい。ただし、上記の混合装置は、連続型の装置を用いてもよい。また、上記以外の混合装置の連続型の装置としては、フレキソミックス型((株)パウレック製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。更には、上記の混合装置に限らず、流動層乾燥機を用いることもできる。
《混合温度》
装置内の温度は、顆粒内部まで機能化剤を浸透させる観点から、機能化剤の融点以上であり、機能化剤の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、30℃以上高いことがより更に好ましい。温度の調整はジャケット等により行うことができ、混合装置はジャケットを備えたものが好ましい。また、原料の温度調整により行うこともできる。
なお、工程2において、複数の機能化剤を供給する場合、少なくとも1つの機能化剤の融点以上の温度で保持すればよく、全ての機能化剤の融点以上に保持する必要はない。顆粒内部まで機能化剤を浸透させる観点から、保持する温度以下の融点を有する機能化剤が、機能化剤全体の好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上である。
《混合装置の回転条件》
混合装置を用いる場合、回転数は、顆粒が実質的に崩壊しない程度の回転数を選択すればよい。例えば、撹拌翼を具備した混合装置では、顆粒が崩壊しない観点からフルード数は2.1以下が好ましく、顆粒及び機能化剤を均一に混合する観点から0.01以上とすることが好ましく、0.1以上とすることがより好ましく、0.4以上とすることが更に好ましい。
本発明で定義するフルード数は、下式(3)にて算出する。
フルード数(Fr)=V/{(R×g)1/2} (3)
ここで、
V:撹拌翼の先端の周速[m/s]
R:撹拌翼の回転半径[m]
g:重力加速度[m/s
《保持時間》
機能化剤の融点以上の温度で保持する時間を保持時間という。保持時間は、顆粒内部まで機能化剤を浸透させる観点から、好ましくは10分間以上、より好ましくは15分間以上、更に好ましくは25分間以上であり、生産性の観点から好ましくは60分間以下、より好ましくは45分間以下である。なお、保持時間中は混合していても静置していてもよいが、均一な顆粒を製造する観点から混合していた方が好ましい。
《機能化剤の供給方法》
機能化剤は、顆粒内部まで機能化剤を浸透させる観点から粉末、或いは融点以上の液体として装置内に添加することが好ましく、液体で添加する場合はノズルにて噴霧し、できるだけ均一に添加することがより好ましい。
《機能化剤の添加速度》
機能化剤の添加速度は、顆粒との混合が良好に進行する配合割合及び混合条件であれば特に限定されず、一括で添加してもよいが、粗大粒子の形成を抑制すると共に、顆粒毎の機能化剤の含有量に偏りを生じさせない観点から、当該第一の顆粒100質量部に対して好ましくは100質量部/分以下、より好ましくは80質量部/分以下、更に好ましくは50質量部/分以下、より更に好ましくは20質量部/分以下であり、生産性の観点から、その下限は、好ましくは0.2質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは1.5質量部/分以上、より更に好ましくは2質量部/分以上、より更に好ましくは5質量部/分以上である。
《機能化剤の中和》
本発明では、第一の顆粒がアルカリ性であり、機能化剤が脂肪酸である場合、脂肪酸は顆粒内部で脂肪酸塩として存在していると推察される。脂肪酸塩の状態で顆粒に供給する場合、融点が高いため、ハンドリングが困難になる場合がある。本発明では、脂肪酸塩よりも融点の低い脂肪酸の状態で顆粒へ供給し、脂肪酸が顆粒に含有される成分と反応し脂肪酸塩となることが好ましい。
[バイオフィルム形成抑制剤用顆粒]
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒は、結合剤と粉末材料と機能化剤を含有するバイオフィルム形成抑制剤用顆粒であって、粉末材料の含有量が40〜97質量%であり、結合剤(固形分)の含有量が2〜60質量%であり、機能化剤の含有量が0.1〜30質量%であり、前記の製造方法で得られるものが好ましい。
<粉末材料の含有量>
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒(水分を除く)中、粉末材料の含有量は、崩壊強度等と研磨力を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、更により好ましくは80質量%以上であり、使用対象物に対する損傷を抑制する観点から、その上限は、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。バイオフィルム形成抑制剤用顆粒中、粉末材料の含有量は、好ましくは40〜97質量%であり、より好ましくは50〜96質量%、更に好ましくは60〜95質量%、より更に好ましくは70〜90質量%である。
本発明において、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒中の各成分の含有量や質量比は、顆粒製造時の配合量から求めた計算値を用いることができる。また、結合剤量は、実施例記載の方法に準じて常法により求めた固形分量である。
<結合剤固形分の含有量>
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒(水分を除く)中、結合剤(固形分)の含有量は、崩壊強度等を高める観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、収率を高める観点から、その上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下である。バイオフィルム形成抑制剤用顆粒中、結合剤(固形分)の含有量は、好ましくは2〜60質量%、より好ましくは3〜50質量%、更に好ましくは4〜40質量%、より更に好ましくは5〜30質量%、より更に好ましくは5〜20質量%である。
粉末材料に対する結合剤(固形分)の質量比〔結合剤(固形分)/粉末材料〕は、崩壊強度や湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、より更に好ましくは5/95以上であり、粗大粒子を減少させて、バイオフィルム除去効果を高める観点から、該質量比は、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下であり、より更に好ましくは30/70以下、より更に好ましくは20/80以下である。
<機能化剤の含有量>
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒に含有される機能化剤の含有量は、顆粒に均一に担持され、使用時に顆粒が崩壊して機能化剤が対象物に吸着する観点から、第二の顆粒100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒(第二の顆粒)が機能化剤を担持する場合、担持量の増加に伴い顆粒の崩壊強度が増大する。従って、使用時の顆粒の崩壊性の観点から機能化剤の含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
<任意成分の含有量>
任意成分である薬用成分、着色剤の含有量は、崩壊感触の観点から、粉末材料及び結合剤の固形分の合計量100質量%に対して、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0〜1質量%、より更に好ましくは0質量%である。
<バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の特性>
《平均崩壊強度》
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の平均崩壊強度は、バイオフィルム除去効果の観点、及び歯磨剤や皮膚洗浄剤に配合して使用したときに顆粒を触知することによる使用感の観点から、好ましくは3g重以上/個(顆粒1個あたり3gの荷重で崩壊)、より好ましくは4g重以上/個、更に好ましくは5g重以上/個であり、異物感をほとんど感ずることなく、また使用対象物に対する損傷を抑制する観点から、好ましくは30g重以下/個、より好ましくは25g重以下/個、更に好ましくは20g重以下/個、より更に好ましくは15g重以下/個である。平均崩壊強度は、結合剤(固形分)の含有量を調整したり、粉末材料の種類を適宜選択したりすることにより、高めることができる。
《平均湿式崩壊強度》
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の平均湿式崩壊強度は、バイオフィルム除去効果の観点、及び歯磨剤や皮膚洗浄剤に配合して使用した場合に顆粒を触知することによる使用感の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上、より更に好ましくは31%以上であり、また異物感をほとんど感じさせない観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の平均湿式崩壊強度は、好ましくは10〜90%、より好ましくは15〜90%、更に好ましくは20〜80%、より更に好ましくは31〜80%である。平均湿式崩壊強度は、結合剤(固形分)の含有量を増加させたり、顆粒中の水分量を減らしたり、粉末材料の種類を適宜選択したりすることにより、高めることができる。
《細孔容積》
第一の顆粒の細孔容積は、機能化剤の担持能を向上させる観点から、直径0.1〜1μmの細孔の容積が好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.2ml/g以上、更に好ましくは0.3ml/g以上であり、生産性の観点から、好ましくは0.7ml/g以下、より好ましくは0.6ml/g以下、更に好ましくは0.5ml/g以下である。直径0.1〜1μmの細孔の容積は、造粒機へ供給する結合剤の液滴径を小さくしたり、造粒機のフルード数を小さくしたりすることにより高めることができる。
第二の顆粒の細孔容積は、平均湿式崩壊強度を高める観点から、直径0.1〜1μmの細孔の容積が好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.15ml/g以上、更に好ましくは0.2ml/g以上であり、生産性の観点から、好ましくは0.7ml/g以下、より好ましくは0.6ml/g以下、更に好ましくは0.5ml/g以下である。直径0.1〜1μmの細孔の容積は、機能化剤の担持量を低下させたり、混合機のフルード数を小さくしたりすることにより高めることができる。
なお、平均崩壊強度、細孔容積は、実施例に記載の方法により測定される。
(平均粒子径)
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の平均粒子径は、十分な研磨力を有する観点から好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上、更に好ましくは100μm以上であって、歯磨き剤や皮膚洗浄剤に配合して使用した場合の異物感を抑制する観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは350μm以下、更に好ましくは300μm以下である。バイオフィルム形成抑制剤用顆粒の平均粒子径は、好ましくは50〜500μm、より好ましくは75〜350μm、更に好ましくは100〜300μmである。
なお、平均粒子径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
[バイオフィルム形成抑制剤の製造方法]
本発明のバイオフィルム形成抑制剤の製造方法は、本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒を配合する工程を有する。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤は、機能化剤を歯の隙間、皮膚の毛穴及び浴室床の溝等の微細な空間に到達させることにより、優れたバイオフィルム形成抑制効果を発現する。
バイオフィルム形成抑制剤中のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の含有量は、使用するバイオフィルム形成抑制剤の用途にも依存するが、顆粒の崩壊挙動を充分に発揮させて、バイオフィルム形成抑制効果を高めると共に、使用感を向上させる観点から、バイオフィルム形成抑制剤中に、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%、更に好ましくは5質量%以上であり、顆粒による対象物の傷付けを抑制する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
本発明において、バイオフィルム形成抑制剤は、本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒に加え、その用途に応じて、界面活性剤、粘結剤、湿潤剤、水、研磨剤、賦形剤、甘味剤、防腐剤、香料、薬用成分、着色剤、漂白剤、酵素、増泡剤、中和剤、増粘剤等を添加し、公知の方法により適宜調製すればよい。
以下の実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。なお、各物性値の測定は、以下の方法により行った。
(1)結合剤の固形分濃度
試料2.5gをスポイトを用いてアルミ製の直径11.5cmの容器上に1滴が直径5〜10mm程度の液滴となるよう(液滴同士が極力重ならないよう)に滴下散布し、その後、赤外線水分計((株)ケット科学研究所製、FD240)を用い、湿量基準水分測定モードにて温度105℃、Autoの条件(測定値の変化量が、30秒間で0.05%以内になったときを最終測定値とみなして測定を終了)で測定した揮発自由水分を除くことで算出した。
(2)顆粒の水分量
試料2gをアルミ製の直径11.5cmの容器上に均一に散布し、その後、上記(1)結合剤の固形分濃度の測定と同じ条件で揮発自由水分量を測定し、顆粒の水分量とした。
(3)結合剤の平均液滴径
結合剤の平均液滴径(体積平均粒径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、スプレーテック)を用いて測定した。具体的には、レーザーから30cm離れた場所にスプレーノズル先端を設置し、レーザーに対して垂直かつ噴霧液滴群の中心をレーザーが貫通するように結合剤を噴霧し30秒間噴霧を継続して測定を行った。
(4)粉末材料の平均粒子径
粉末材料の平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)にて、溶媒:イオン交換水、屈折率:1.2、循環速度4、循環3minの条件で測定した。
(5)顆粒の平均粒子径
JISZ8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの篩を用いて5分間振動させた後、篩分け法による篩下質量分布について50%平均径を算出し、これを平均粒子径とした。具体的には、JISZ8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの篩を用いて受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機((株)平工製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した当該顆粒の質量を測定し、各篩上の当該顆粒の質量割合(%)を算出した。受け皿から順に目開きの小さな篩上の当該顆粒の質量割合を積算していき合計が50%となる粒子径を平均粒子径とした。
(6)顆粒の平均崩壊強度
微小圧縮試験機((株)島津製作所製、商品名:MCTM−500)を用いて平均粒子径付近の乾燥状態の顆粒を10個測定し、数平均値で表した。
(7)0.1〜1μm細孔容積
水銀圧入式ポロシメーター(micromeritics社製、AutoPore IV 9500)にて、サンプル質量:0.16g、低圧時:Evacuation Pressure 50mmHg、Evacuation Time 1min、Mercury Filling Pressure 0.49psia(3.38kPa)、Equilibration Time 5sec、高圧時Equilibration Time 5sec、の条件で測定を行った。
(8)バイオフィルム形成抑制率
HAp(ハイドロキシアパタイト)基板(APP−100、PEN、HOYA(株)製)を基板とし、砥石サイズ40μm、12μm、3μmのサンドペーパーで鏡面研磨処理した後に1N HCl溶液にて室温で1分脱灰させた。この基板の表面(面積:1cm)に、試料(1g)を載せて1分間指でこすり、次に基板をイオン交換水で10秒間洗浄した。
次いで、洗浄後の基板を唾液上清(室温条件下において3000rpm、10分遠心分離処理)の5%スクロース液に浸漬させ、37℃の嫌気性条件下において24時間静置させた。その後、イオン交換水で5分間振とう洗浄し、歯垢染色液に5分浸漬させた後、イオン交換水による5分間振とう洗浄を2回行った。乾燥後の基板に1N NaOH 500μlを添加して色素を抽出し、λ=540nmの吸光度を測定した。コントロール基板の吸光度を100とした場合の各基板における色素抽出率を算出し、下記式(4)に従って、バイオフィルム形成抑制率を算出した。
結果を図1及び表1に示す。
バイオフィルム形成抑制率(%)
={1−(基板の吸光度)/(コントロール基板の吸光度)}×100 (4)
[実施例1〜5]
<バイオフィルム形成抑制効果(第二の顆粒+グリセリン系で評価)>
《工程1》
表1に示す配合割合及び条件で、重質炭酸カルシウム(カルファイン(株)製、商品名:クリストンSS、平均粒子径約5μm)と酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、商品名:微細酸化亜鉛、平均粒子径0.3μm)を邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、ドラム回転数30r/min、フルード数0.2、ドラム角度12.6°の条件で10分間混合後、混合を続けながら珪酸ナトリウム水溶液(富士化学工業(株)製、商品名:珪酸ソーダ3号:NaO・3.2SiO水溶液、モル比:3.2、固形分:55.1%)を外部混合型二流体ノズル1本((株)アトマックス製)を用いて、表1に示す時間噴霧添加し造粒した。珪酸ナトリウム水溶液の噴霧時の平均液滴径(メジアン径)は約60μm、バッチサイズは10kg、珪酸ナトリウム水溶液の添加速度は200g/minであった。珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から工程1を経た顆粒(第一の顆粒)を排出し、電気式棚乾燥機を用いて120℃で4時間乾燥した。
《工程2》
工程1で作製した顆粒(第一の顆粒)を電気式棚乾燥機で120℃に加熱し、Uトラフ型リボンブレンダ(ホソカワミクロン(株)製、型式:R−17W)に投入した。表1に示す配合割合及び条件でパルミチン酸(ルナックP−95、花王(株)製)を投入、混合しながら保持し、第二の顆粒を得た。この顆粒について、上記のとおり物性評価を行った。なお、バイオフィルム形成抑制効果を評価する際は、試料として顆粒13質量部に対し、グリセリン分散溶液87質量部を混合したものを用い、コントロール基板として何も作用させなかった未処理の基板を用いた。結果を表1に示す。
[実施例6]
<バイオフィルム形成抑制効果(第二の顆粒+歯磨き剤系で評価)>
《工程1》
表3に示す配合割合及び条件で、実施例1の工程1と同様の方法で第一の顆粒を得た。得られた顆粒の直径0.1〜1μmの細孔容積は0.49ml/gであった。
《工程2》
表3に示す配合割合及び添加条件等に変更した以外は、実施例1の工程2と同様の方法で第二の顆粒を得た。この第二の顆粒について、上記のとおり物性評価を行った。なお、バイオフィルム形成抑制効果を評価する際は、試料として第二の顆粒13質量部に対し表2に示す組成の歯磨き剤組成物87質量部を混合したものを用い、コントロール基板として表2に示す組成の歯磨き剤組成物を作用させた基板を用いた。結果を表3に示す。
[比較例1]
<工程1のみ>
表1に示す配合割合及び条件で、工程2を行わない以外は、実施例1と同様の方法で顆粒を得た。この顆粒について、上記のとおり物性評価を行った。結果を表1に示す。
表2において使用した成分は以下の通りである。
*1 無水ケイ酸:サイロピュア25、富士シリシア化学(株)製
表1に示す結果より、実施例1〜5の顆粒は、バイオフィルム形成抑制剤用顆粒として好適な平均崩壊強度を有している。また、比較例1と比較すると、バイオフィルム形成抑制効果も高いことがわかる。更に、機能化剤担持による粗粒化も抑制されているため収率が高く、コストの観点からも優れている。
実施例6の顆粒は、歯磨き剤組成物と混合した場合もバイオフィルム形成抑制効果を有していることがわかる。
[実施例7]
<染色実験>
(工程1)
実施例1の工程1と同様の配合割合及び条件で第一の顆粒を得た。
(工程2)
工程1で作製した顆粒を電気式棚乾燥機で80℃に調整した。次にパルミチン酸(ルナックP−95、花王(株)製)を80℃に加熱し、オイルレッドにて染色した後、総量に対して20質量%の濃度で顆粒へ滴下し、80℃にて1分間混合した。得られた顆粒は電気式棚乾燥機を用いて120℃で保持し、経時で顆粒の一部を採取した。採取した顆粒は割断し、断面積のうち染色されている割合を算出した。結果を図1に示す。
図1に示す結果より、機能化剤を担持する工程の熱処理時間が長い程、機能化剤が顆粒内部に浸透することがわかる。このように、本発明の製造方法では、機能化剤を担持する工程の操作条件によって、顆粒の構造を制御することにより、所望の構造及び性能を有する顆粒を選択的に製造することができる。
本発明のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法により得られた顆粒は、該顆粒を配合することにより優れたバイオフィルム形成抑制効果を発揮する。本発明により得られたバイオフィルム形成抑制剤用顆粒は、歯磨、洗顔料、風呂場用洗剤、台所用洗剤等、バイオフィルム形成抑制機能が求められる種々の製品に好適に使用される。

Claims (10)

  1. 下記工程1及び2を有するバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
    工程1:粉末材料及び結合剤を造粒機を用いて混合し、顆粒を形成する工程
    工程2:工程1で得られた顆粒に融点が50℃以上の機能化剤を供給し、機能化剤の融点以上の温度で保持する工程
  2. 機能化剤が炭素数12〜22の脂肪酸である、請求項1に記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  3. 機能化剤が炭素数16の脂肪酸を60質量%以上含有する脂肪酸である、請求項1又は2に記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  4. 結合剤が無機結合剤である、請求項1〜3のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  5. 粉末材料が水不溶性粉末材料を30質量%以上含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  6. 粉末材料が水不溶性粉末材料を含有し、該水不溶性粉末材料が、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ゼオライト、及びシリカから選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  7. 結合剤として珪酸塩の水溶液を供給する、請求項1〜6のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  8. バイオフィルム形成抑制剤用顆粒中の機能化剤の含有量が0.1〜30質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  9. 機能化剤のpKaが3以上7以下であり、酸の状態で添加した機能化剤を塩に中和した状態で顆粒内部に保持する、請求項1〜8のいずれかに記載のバイオフィルム形成抑制剤用顆粒の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られたバイオフィルム形成抑制剤用顆粒を配合する工程を有する、バイオフィルム形成抑制剤の製造方法。
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