JP2018104204A - 光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置 - Google Patents

光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子、光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モールドプレス成形に適した光学ガラス、これを用いた光学素子、光学装置の提供。【解決手段】質量%で、P2O5成分:30%以上42%未満、B2O3成分:0%以上15%以下、Li2O成分:1%より多く5%未満、Na2O成分:0%以上2%未満、CaO成分:10%より多く28%未満、BaO成分:10%より多く30%未満、ZnO成分:0%以上15%未満、Y2O3成分:1%より多く10%以下、であり、かつ、R2O成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、(Y2O3成分−Li2O成分):0%より多く5%未満、(MgO成分+CaO成分)/(R2O成分の総量):2以上6未満である、光学ガラス。【選択図】図1

Description

本発明は、モールドプレス成形に適した光学ガラス、これを用いた光学素子、光学装置に関する。
例えば、特許文献1には、カメラ等のレンズとして使用可能な光学ガラスが開示されている。このような光学ガラスは、比重(Sg)が低いことが好ましい。
特開2005−53749号公報
本発明の第一の態様は、質量%で、P成分:30%以上42%未満、B成分:0%以上15%以下、LiO成分:1%より多く以上5%未満、NaO成分:0%以上2%未満、CaO成分:10%より多く28%未満、BaO成分:10%より多く30%未満、ZnO成分:0%以上15%未満、Y成分:1%より多く10%以下、であり、かつ、RO成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、(Y成分−LiO成分):0%より多く5%未満、(MgO成分+CaO成分)/(RO成分の総量):2以上6未満である、光学ガラスである。
本発明の第二の態様は、第一の態様の光学ガラスを用いた、光学素子である。
本発明の第三の態様は、第二の態様の光学素子を備える、光学装置である。
本発明の一実施形態に係る撮像装置の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る多光子顕微鏡の構成の例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本明細書中において、特に断りがない場合は、各成分の含有量は全て酸化物換算組成のガラス全重量に対する質量%であるものとする。なお、ここでいう酸化物換算組成とは、ガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩等が溶融時に全て分解されて酸化物に変化すると仮定し、当該酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
本実施形態における光学ガラスは、質量%で、P成分:30%以上42%未満、B成分:0%以上15%以下、LiO成分:1%より多く以上5%未満、NaO成分:0%以上2%未満、CaO成分:10%より多く28%未満、BaO成分:10%より多く30%未満、ZnO成分:0%以上15%未満、Y成分:1%より多く10%以下、であり、かつ、RO成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、(Y成分−LiO成分):0%より多く5%未満、(MgO成分+CaO成分)/(RO成分の総量):2以上6未満である、光学ガラスである。本実施形態に係る光学ガラスは、高い屈折率を有していながら、ガラス転移点(Tg)と比重(Sg)が低い光学ガラスである。
は、ガラス骨格を形成し、失透安定性を向上させ、化学的耐久性を低下させる成分である。Pの含有量が少なすぎると、失透が生じ易くなる傾向にある。また、Pの含有量が多すぎると、屈折率と化学的耐久性が低下する傾向にある。このような観点から、Pの含有量は、30%以上42%未満であり、好ましくは35%以上42%未満であり、より好ましくは35%以上40%以下である。Pの含有量をかかる範囲とすることで、失透安定性を高め、化学的耐久性を良好にしながら高屈折率化を図ることができる。
は、ガラス骨格を形成し、失透安定性を向上させ、屈折率と化学的耐久性を低下させる成分である。Bの含有量が少なすぎると、溶融性が悪化するとともに、失透が生じ易くなる傾向にある。また、Bの含有量が多すぎると、屈折率が低下する傾向にある。このような観点から、Bの含有量は、0%以上15%以下であり、好ましくは0%以上10%以下であり、より好ましくは3%以上8%以下である。Bの含有量をかかる範囲とすることで、失透安定性を高め、化学的耐久性を良好にしながら高屈折率化を図ることができる。
LiOは、溶融性を向上させ、屈折率とガラス転移点(Tg)を下げる成分である。LiOの含有量が少なすぎると、溶融性が低下し、失透が生じやすい傾向にある。また、LiOの含有量が多すぎると、屈折率が低下する傾向にある。このような観点から、LiOの含有量は、1%より多く5%未満であり、好ましくは2%以上4%以下である。LiOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに低いガラス転移点(Tg)を実現することができる。なお、ガラスの溶融性の評価方法としては、例えば、白金ルツボにバッチを約50g入れて1280℃で10分間加熱した時に、バッチに溶け残りがあるかないかを目視判定する方法が挙げられる。
NaOとKOは、LiOと同様に、溶融性を向上させ、屈折率とガラス転移点(Tg)を下げる成分である。NaOの含有量は、0%以上2%未満であり、好ましくは0%以上1%以下である。KOの含有量は、好ましくは0%以上4%未満であり、より好ましくは0%以上3%以下である。NaOやKOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに低いガラス転移点(Tg)を実現することができる。なお、NaOの含有量とKOの含有量のいずれもが、上記した範囲にあることが更に好ましい。
O成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量(以下、ΣROと略記する場合がある。)は、1%より多く5%未満であり、好ましくは1.5%以上4%以下である。RO成分の含有量の総和をかかる範囲とすることで、高い屈折率を維持しつつ、低いガラス転移点(Tg)を実現することができる。
MgOは、化学的耐久性を向上させ、屈折率を下げる成分である。MgOの含有量が少なすぎると化学的耐久性が低下する傾向がある。また、MgOの含有量が多すぎると屈折率が低くなる傾向がある。このような観点から、MgOの含有量は、好ましくは0%以上30%以下であり、より好ましくは0%以上20%以下であり、更に好ましくは0%以上10%以下である。MgOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに高い化学的耐久性を実現することができる。
CaOは、比重を小さくし屈折率を下げる成分である。CaOの含有量が少なすぎると比重が大きくなる傾向がある。また、CaOの含有量が多すぎると屈折率が低くなる傾向がある。このような観点から、CaOの含有量は、10%より多く28%未満であり、好ましくは12%以上25%以下であり、より好ましくは12%以上20%以下である。CaOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに低比重を実現することができる。
SrOは、屈折率を上げ、比重を大きくする成分である。SrOの含有量が少なすぎると屈折率が低くなる傾向がある。また、SrOの含有量が多すぎると比重が大きくなる傾向がある。このような観点から、SrOの含有量は、好ましくは0%以上30%以下であり、より好ましくは0%以上20%以下であり、更に好ましくは0%以上10%以下である。SrOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに低比重を実現することができる。
BaOは、屈折率を上げ、比重を大きくする成分である。BaOの含有量が少なすぎると屈折率が低くなる傾向がある。また、BaOの含有量が多すぎると比重が大きくなる傾向がある。このような観点から、BaOの含有量は、10%より多く30%未満であり、好ましくは15%以上25%以下である。BaOの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を低下させずに低比重を実現することができる。
ZnOは、ガラス転移点(Tg)を下げ、比重を大きくする成分である。ZnOの含有量が少なすぎるとTgが高くなる傾向がある。また、ZnOの含有量が多すぎると比重が大きくなる傾向がある。このような観点から、ZnOの含有量は、0%以上15%未満であり、好ましくは0%以上10%以下である。ZnOの含有量をかかる範囲とすることで、ガラス転移点(Tg)を上げずに低比重を実現することができる。
は、屈折率を上げ、比重を大きくする成分である。Yの含有量が少なすぎると屈折率が低くなる傾向がある。また、Yの含有量が多すぎると比重が大きくなる傾向がある。このような観点から、Yの含有量は、1%より多く10%以下であり、好ましくは2%以上8%以下である。Yの含有量をかかる範囲とすることで、屈折率を下げずに低比重を実現することができる。
の含有量とLiOの含有量との差(Y−LiO)は、0%より多く5%未満であり、好ましくは0%より多く3%以下である。Y−LiOをかかる範囲とすることで、屈折率を上げながら、比重を低くすることができる。
ΣROに対するMgOとCaOの和(MgO+CaO)の比((MgO+CaO)/ΣRO)は、2以上6未満であり、好ましくは3以上6未満である。(MgO+CaO)/ΣROをかかる範囲とすることで、ガラス転移点(Tg)を下げながら、比重を低くすることができる。
さらに、KO成分:0%以上4%以下、MgO成分:0%以上30%以下、及びSrO成分:0%以上30%以下、という組み合わせを満たすことが好ましい。
また、本実施形態に係る光学ガラスは、SiO、Al、La、Gd、及びYbからなる群より選ばれる一種以上を更に含有してもよい。
SiOの含有量は、溶融性の観点から、好ましくは0%以上10%以下であり、より好ましくは0%以上5%以下であり、更に好ましくは0%以上3%以下である。
Alの含有量は、溶融性の観点から、好ましくは0%以上15%以下であり、より好ましくは0%以上10%以下であり、更に好ましくは0%以上7%以下である。
Laの含有量は、比重低減の観点から、好ましくは0%以上20%以下であり、より好ましくは0%以上15%以下であり、更に好ましくは0%以上10%以下である。
Gdの含有量は、比重低減の観点から、好ましくは0%以上20%以下であり、より好ましくは0%以上15%以下であり、更に好ましくは0%以上10%以下である。
Ybの含有量は、比重低減の観点から、好ましくは0%以上20%以下であり、より好ましくは0%以上15%以下であり、更に好ましくは0%以上10%以下である。
これらの含有量の好適な組み合わせとしては、SiO成分:0%以上10%以下、Al成分:0%以上15%以下、La成分:0%以上20%以下、Gd成分:0%以上20%以下、及びYb成分:0%以上20%以下である。
また、本実施形態に係る光学ガラスは、P、B、Al、RO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y、Gd、La、Ybが次の関係を満たすことが好ましい。
とGdとLaとYbの総量に対するPとBとAlの総量の比((P+B+Al)/(Y+Gd+La+Yb))は、好ましくは4.8以上30以下であり、より好ましくは6以上20以下であり、更に好ましくは10以上20以下である。(P+B+Al)/(Y+Gd+La+Yb)をかかる範囲とすることで、比重を低くすることができる。
SrOとBaOの総量に対するΣROの総量の比(ΣRO/(SrO+BaO))は、好ましくは0.05以上0.5以下であり、より好ましくは0.05以上0.3以下であり、更に好ましくは0.05以上0.2以下である。ΣRO/(SrO+BaO)をかかる範囲とすることで、ガラス転移点(Tg)と比重を低くすることができる。
SrOとBaOの総量に対するMgOとCaOの総量の比((MgO+CaO)/(SrO+BaO))は、好ましくは0.2以上1.5以下であり、より好ましくは0.3以上1以下であり、更に好ましくは0.3以上0.8以下である。(MgO+CaO)/(SrO+BaO)をかかる範囲とすることで、比重を低くすることができる。
とBとAlの総量に対するYの比(Y/(P+B+Al))は、好ましくは0.02以上0.2以下であり、より好ましくは0.04以上0.15以下であり、更に好ましくは0.04以上0.12以下である。Y/(P+B+Al)をかかる範囲とすることで、屈折率を上げながら比重を低くすることができる。
とBとAlの総量に対するΣROの比(ΣRO/(P+B+Al))は、好ましくは0.5以上1.5以下であり、より好ましくは0.6以上1.2以下であり、更に好ましくは0.7以上1.1以下である。ΣRO/(P+B+Al)をかかる範囲とすることで、ガラス転移点(Tg)と比重を低くすることができる。
上記の中で好適な組み合わせとしては、(P成分+B成分+Al成分)/(Y成分+Gd成分+La成分+Yb成分):4.8以上30以下、(RO成分の総量)/(SrO成分+BaO成分):0.05以上0.5以下、(MgO成分+CaO成分)/(SrO成分+BaO成分):0.2以上1.5以下、Y成分/(P成分+B成分+Al成分):0.02以上0.2以下、(RO成分の総量)/(P成分+B成分+Al成分):0.5以上1.5以下、である。
その他、必要に応じて清澄、着色、消色や光学恒数値の微調整等の目的で、上記以外の成分で、公知の清澄剤や着色剤、脱泡剤、フッ素化合物、リン酸等の成分を、本実施形態の効果が得られる範囲で、ガラス組成に適量添加することができる。また、上記成分に限らず、本実施形態の効果が得られる範囲で、その他の成分を添加することもできる。
本実施形態に係る光学ガラスの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。また、製造条件は、適宜好適な条件を選択することができる。例えば、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の原料を目標組成となるように調合し、好ましくは1100〜1500℃、より好ましくは1200〜1400℃にて溶融し、攪拌することで均一化し、泡切れを行った後、金型に流し成形する製造方法等を採用できる。このようにして得られた光学ガラスは、必要に応じてリヒートプレス等を行って所望の形状に加工し、研磨等を施すことで、所望の光学素子とすることができる。
次に、本実施形態に係る光学ガラスの物性について説明する。
レンズの薄型化の観点からは、本実施形態に係る光学ガラスは、高い屈折率を有している(屈折率(n)が大きい)ことが望ましい。しかしながら、一般的に、屈折率(n)が高いほど比重が増大する傾向にある。かかる実情を踏まえれば、本実施形態に係る光学ガラスの屈折率(n)は、1.5〜1.7の範囲であることが好ましく、1.6〜1.7の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る光学ガラスのアッベ数(ν)は、60〜66の範囲であることが好ましく、60〜65の範囲であることがより好ましい。
そして、本実施形態に係る光学ガラスについて、屈折率(n)とアッベ数(ν)の好ましい組み合わせは、屈折率(n)が1.50〜1.70であり、かつ、アッベ数(ν)が60〜66である。かかる性質を有する本実施形態に係る光学ガラスは、例えば、他の光学ガラスと組み合わせることで、色収差や他の収差が良好に補正された光学系を設計可能である。
レンズの軽量化の観点からは、本実施形態に係る光学ガラスは、低い比重を有していることが望ましい。しかしながら、一般的に、比重が大きいほど屈折率が低下する傾向にある。かかる観点から、本実施形態に係る光学ガラスの好適な比重(Sg)は、3.0を下限、3.7を上限とした、3.0〜3.7の範囲であり、好ましくは3.0〜3.6であり、より好ましくは、3.0〜3.5の範囲である。
プレス成形の観点から、本実施形態に係る光学ガラスとしては、ガラス転移点(Tg)は低いことが望ましい。Tgが高いと、成形時に高温にしなければならないので、高温でも成形物に影響を与えないモールド部材の選択が必要となる傾向にあり、そのようなモールド部材は取扱いの難易度が増す。また、一旦高温にすると、温度を徐々に下げる工程が必要になり、製造工程が煩雑になる。かかる観点から、本実施形態に係る光学ガラスの好適なガラス転移点(Tg)は、好ましくは570℃以下であり、より好ましくは550℃以下である。
上述した観点から、本実施形態に係る光学ガラスは、例えば、光学機器が備えるレンズ等の光学素子として好適に用いることができる。光学装置としては、とりわけ撮像装置や多光子顕微鏡として特に好適である。
<撮像装置>
図1に、本実施形態に係る光学ガラスを母材とするレンズ4(光学素子)を備えた撮像装置1(光学機器)を示す。撮像装置1はいわゆるデジタル一眼レフカメラであり、カメラボディ101のレンズマウント(不図示)にレンズ鏡筒102が着脱自在に取り付けられる。そして該レンズ鏡筒102のレンズ103を通した光がカメラボディ101の背面側に配置されたマルチチップモジュール106のセンサチップ(固体撮像素子)104上に結像される。このセンサチップ104は、いわゆるCMOSイメージセンサー等のベアチップであり、マルチチップモジュール106は、例えばセンサチップ104がガラス基板105上にベアチップ実装されたCOG(Chip On Glass)タイプのモジュールである。
デジタルカメラ等に用いられる光学系にはより高い解像度、軽量化、小型化が求められる。これらを実現するには光学系に高屈折率なガラスを用いることが有効である。特に、高屈折率でありながらより低い比重(Sg)を有し、高いプレス成形性を有するガラスの需要は高い。かかる観点から、本実施形態に係る光学ガラスは、かかる光学機器の部材として好適である。なお、本実施形態において適用可能な光学機器としては、上述した撮像装置に限らず、例えばプロジェクタ等も挙げられる。光学素子についても、レンズに限らず、例えばプリズム等も挙げられる。
<多光子顕微鏡>
図1は、本実施形態に係る多光子顕微鏡2の構成の例を示すブロック図である。多光子顕微鏡2は、光学素子として、対物レンズ206、集光レンズ208、結像レンズ210を備える。以下、多光子顕微鏡2の光学系を中心に説明する。
パルスレーザ装置201は、例えば、近赤外波長(約1000nm)であって、パルス幅がフェムト秒単位の(例えば、100フェムト秒の)超短パルス光を射出する。パルスレーザ装置201から射出された直後の超短パルス光は、一般に所定の方向に偏光された直線偏光となっている。
パルス分割装置202は、超短パルス光を分割し、超短パルス光の繰り返し周波数を高くして射出する。
ビーム調整部203は、パルス分割装置202から入射される超短パルス光のビーム径を、対物レンズ206の瞳径に合わせて調整する機能、試料Sから発せられる多光子励起光の波長と超短パルス光の波長との軸上の色収差(ピント差)を補正するために超短パルス光の集光及び発散角度を調整する機能、超短パルス光のパルス幅が光学系を通過する間に群速度分散により広がってしまうのを補正するために、逆の群速度分散を超短パルス光に与えるプリチャープ機能(群速度分散補償機能)等を有する。
パルスレーザ装置201から射出された超短パルス光は、パルス分割装置202によりその繰り返し周波数が大きくされ、ビーム調整部203により上記した調整が行われる。そして、ビーム調整部203から射出された超短パルス光は、ダイクロイックミラー204によりダイクロイックミラー205の方向に反射され、ダイクロイックミラー205を通過し、対物レンズ206により集光されて試料Sに照射される。このとき、走査手段(不図示)を用いることにより、超短パルス光を試料Sの観察面上に走査させてもよい。
例えば、試料Sを蛍光観察する場合には、試料Sの超短パルス光の被照射領域及びその近傍では、試料Sが染色されている蛍光色素が多光子励起され、赤外波長である超短パルス光より波長が短い蛍光(以下、「観察光」という。)が発せられる。
試料Sから対物レンズ206の方向に発せられた観察光は、対物レンズ206によりコリメートされ、その波長に応じて、ダイクロイックミラー205により反射されたり、あるいは、ダイクロイックミラー205を透過したりする。
ダイクロイックミラー205により反射された観察光は、蛍光検出部207に入射する。蛍光検出部207は、例えば、バリアフィルタ、PMT(photo multiplier tube:光電子増倍管)等により構成され、ダイクロイックミラー205により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部207は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
一方、ダイクロイックミラー205を透過した観察光は、走査手段(不図示)によりデスキャンされ、ダイクロイックミラー204を透過し、集光レンズ208により集光され、対物レンズ206の焦点位置とほぼ共役な位置に設けられているピンホール209を通過し、結像レンズ210を透過して、蛍光検出部211に入射する。
蛍光検出部211は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、結像レンズ210により蛍光検出部211の受光面において結像した観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部211は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
なお、ダイクロイックミラー205を光路から外すことにより、試料Sから対物レンズ205の方向に発せられた全ての観察光を蛍光検出部211で検出するようにしてもよい。
また、試料Sから対物レンズ206と逆の方向に発せられた観察光は、ダイクロイックミラー212により反射され、蛍光検出部213に入射する。蛍光検出部113は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、ダイクロイックミラー212により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部213は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
蛍光検出部207、211、213からそれぞれ出力された電気信号は、例えば、コンピュータ(不図示)に入力され、そのコンピュータは、入力された電気信号に基づいて、観察画像を生成し、生成した観察画像を表示したり、観察画像のデータを記憶したりすることができる。
本発明の実施例及び比較例について説明する。各表は、本実施例において作製した光学ガラスについて、各成分の酸化物基準の質量%による組成と各物性の評価結果を示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
<光学ガラスの作製>
各実施例及び比較例に係る光学ガラスは、以下の手順で作製した。まず、各表に記載の組成(質量%)となるよう、酸化物、水酸化物、リン酸化合物(リン酸塩、正リン酸等)、炭酸塩、及び硝酸塩等から選ばれるガラス原料を秤量した。次に、秤量した原料を混合して白金ルツボに投入し、1100〜1300℃の温度で溶融させて攪拌均一化した。泡切れを行った後、適当な温度に下げてから金型に鋳込んで徐冷し、成形することで各サンプルを得た。
1.屈折率(n)とアッベ数(ν
各サンプルの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、屈折率測定器(株式会社島津デバイス製造製:KPR−2000)を用いて測定及び算出した。nは、587.562nmの光に対するガラスの屈折率を示す。νは、以下の式(1)より求めた。nC、nFは、それぞれ波長656.273nm、486.133nmの光に対するガラスの屈折率を示す。
ν=(n−1)/(nF−nC)・・・(1)
2.比重(Sg)
各サンプルの比重(Sg)は、4℃における同体積の純水に対する質量比から求めた。
3.ガラス転移点(Tg)
各サンプルのガラス転移点(Tg)は、4℃/分の昇温速度で測定したDTA曲線から決定した。
Figure 2018104204
Figure 2018104204
Figure 2018104204
Figure 2018104204
Figure 2018104204
本実施例の光学ガラスは、低い比重を有していることが確認された。また、本実施例の光学ガラスは低いガラス転移点(Tg)を示し、モールドプレス成形において極めて好適であることが確認された。
1・・・撮像装置、101・・・カメラボディ、102・・・レンズ鏡筒、103・・・レンズ、104・・・センサチップ、105・・・ガラス基板、106・・・マルチチップモジュール、2・・・多光子顕微鏡、201・・・パルスレーザ装置、202・・・パルス分割装置、203・・・ビーム調整部、204,205,212・・・ダイクロイックミラー、206・・・対物レンズ、207,211,213・・・蛍光検出部、208・・・集光レンズ、209・・・ピンホール、210・・・結像レンズ、S・・・試料
本発明の第一の態様は、質量%で、P成分:30%以上42%未満、B成分:0%以上15%以下、LiO成分:1%より多く5%未満、NaO成分:0%以上2%未満、CaO成分:10%より多く28%未満、BaO成分:10%より多く30%未満、ZnO成分:0%以上15%未満、Y成分:1%より多く10%以下、であり、かつ、RO成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、(Y成分−LiO成分):0%より多く5%未満、(MgO成分+CaO成分)/(RO成分の総量):2以上6未満である、光学ガラスである。
本実施形態における光学ガラスは、質量%で、P成分:30%以上42%未満、B成分:0%以上15%以下、LiO成分:1%より多く5%未満、NaO成分:0%以上2%未満、CaO成分:10%より多く28%未満、BaO成分:10%より多く30%未満、ZnO成分:0%以上15%未満、Y成分:1%より多く10%以下、であり、かつ、RO成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、(Y成分−LiO成分):0%より多く5%未満、(MgO成分+CaO成分)/(RO成分の総量):2以上6未満である、光学ガラスである。本実施形態に係る光学ガラスは、高い屈折率を有していながら、ガラス転移点(Tg)と比重(Sg)が低い光学ガラスである。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    成分:30%以上42%未満、
    成分:0%以上15%以下、
    LiO成分:1%より多く以上5%未満、
    NaO成分:0%以上2%未満、
    CaO成分:10%より多く28%未満、
    BaO成分:10%より多く30%未満、
    ZnO成分:0%以上15%未満、
    成分:1%より多く10%以下、
    であり、かつ、
    O成分(但し、Rは、Li、Na、及びKからなる群より選ばれる一種以上)の総量が、1%より多く5%未満、
    (Y成分−LiO成分):0%より多く5%未満、
    (MgO成分+CaO成分)/(RO成分の総量):2以上6未満であることを特徴とする、光学ガラス。
  2. 質量%で、
    O成分:0%以上4%以下、
    MgO成分:0%以上30%以下、
    SrO成分:0%以上30%以下、
    であることを特徴とする、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 質量%で、
    (P成分+B成分+Al成分)/(Y成分+Gd成分+La成分+Yb成分):4.8以上30以下、
    (RO成分の総量)/(SrO成分+BaO成分):0.05以上0.5以下、
    (MgO成分+CaO成分)/(SrO成分+BaO成分):0.2以上1.5以下、
    成分/(P成分+B成分+Al成分):0.02以上0.2以下、
    (RO成分の総量)/(P成分+B成分+Al成分):0.5以上1.5以下、であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学ガラス。
  4. 質量%で、
    SiO成分:0%以上10%以下、
    Al成分:0%以上15%以下、
    La成分:0%以上20%以下、
    Gd成分:0%以上20%以下、
    Yb成分:0%以上20%以下、
    であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  5. 屈折率(n)が1.5〜1.7の範囲、かつ、アッベ数(ν)が60〜66の範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  6. 比重(Sg)が3.0〜3.7であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  7. ガラス転移点(Tg)が、570℃以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学ガラスを用いた、光学素子。
  9. 請求項8に記載の光学素子を備える、光学装置。
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