以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、MFP(画像形成装置)10の外観を示す図であり、図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。ここでは、画像形成装置として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6、位置検出部7およびコントローラ(制御部)9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像処理装置などとも称される。
画像読取部2は、MFP10の所定の位置(自動原稿供給部(ADF:auto document feeder)あるいはガラス面等)に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャナ部であるとも称される。
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。また、通信部4は、各種のネットワーク通信(有線通信および無線通信)を行うことも可能である。
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。格納部5には、後述する各種のデータテーブル(たとえば、作業内容一覧リスト310(図5),作業属性テーブル320(図6),決定基準テーブル330(図7)等)等が予め格納されている。
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
また、このタッチパネル25は、マルチビューディスプレイを備えて構成されている。マルチビューディスプレイは、複数の視野角範囲(換言すれば、複数の方向)に対してそれぞれ異なる画面を表示することが可能な表示部である。ここでは、マルチビューディスプレイとして、2つの異なる視野角範囲に対してそれぞれ異なる画面(画像)を表示することが可能なデュアルビューディスプレイを採用する。具体的には、図9の上面図に示すように、このデュアルビューディスプレイは、MFPに向かって左方向(MFPからその前方に向かって右方向)の視野角範囲R1(たとえば、上面視において、表示部の表示面の垂線に対する角度で、+65度(degree)から+85度の範囲((75±10)度の範囲))に対して一の画面を表示することが可能である。また、当該デュアルビューディスプレイは、正面方向の視野角範囲R2(たとえば、上面視において、表示部の表示面の垂線に対する角度で、−20度から+20度の範囲((0±10)度の範囲))に対して他の画面を表示することが可能である(図9参照)。
位置検出部7は、たとえばカメラ7b(図1参照)等を備えて構成される。位置検出部7は、画像形成装置10の周辺(近傍)に存在する各人物(ユーザ)を検出するとともに、当該各人物の存在位置(水平位置)を検出することが可能である。
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体を介してMFP10にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、通信ネットワークを経由してダウンロードされ、MFP10にインストールされるようにしてもよい。
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と作業内容特定部15と決定部16とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部11は、他の装置(パーソナルコンピュータ等)との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。通信制御部11は、各種データの送信動作を制御する送信制御部と各種データの受信動作を制御する受信制御部とを有する。
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対する操作入力動作を制御する制御部である。たとえば、入力制御部12は、タッチパネル25に表示された操作画面に対する操作入力を受け付ける動作を制御する。
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)についての表示制御を行う処理部である。たとえば、表示制御部13は、MFP10を操作するための操作画面等をタッチパネル25に表示させる。特に、表示制御部13は、マルチビューディスプレイにおける複数の視野角範囲のそれぞれにおける表示動作を制御する。
作業内容特定部15は、MFP10内に設けられた各種のセンサ(状態検出センサ)の検出結果等に基づき、複数のユーザのそれぞれの作業内容を特定する処理部である。
決定部16は、タッチパネル25(マルチビューディスプレイ)の複数の視野角範囲のそれぞれに表示すべき各画面を複数のユーザの位置に基づいてそれぞれ決定する処理部である。決定部16は、各作業内容の作業種別を規定した情報等に基づき、優先ユーザ(後述)を決定し、当該優先ユーザ用の画面を優先して表示させるべき旨を決定する動作等をも実行する。表示制御部13は、決定部16による決定内容に基づいて、複数の視野角範囲のそれぞれに対応する各画面を表示する動作を制御する。
さらに、MFP10は、フィニッシャ部30(図1)を備えている。フィニッシャ部30は、印刷出力された用紙に関するフィニッシング処理(穴開け処理、ステープラーによる綴じ処理等)を実行するハードウエアである。フィニッシャ部30は、MFP10の左寄り(装置左側)に存在する。
<1−2.撮影画像に基づくユーザ位置取得>
上述のように、MFP10の位置検出部7は、カメラ7b等を備えて構成されており、画像形成装置10の周辺(近傍)に存在する人物(ユーザ)を検出するとともに、当該人物の存在位置(水平位置)を検出する。
より詳細には、カメラ(詳細には魚眼レンズカメラ)7b(図1参照)は、MFP10(詳細にはタッチパネル25)の前側正面に設けられており、MFP10よりも前側の全空間(半球状空間)内の全ての被写体を撮影する。そして、当該カメラ7bによる撮影画像に対して歪み補正処理を施し且つ視点変換処理を施すこと等によって、MFP10の配置空間を上から見た画像(上面視画像(図8参照))が生成される。このような変換後の画像に基づいて、MFP10は、当該画像内の人物の存在を検出するとともに、当該人物の存在位置(水平位置)Pを取得することが可能である。各ユーザの存在位置Pは、たとえば、鉛直方向に垂直な水平平面内に設けられたXY座標系の座標値(X,Y)で表現される。あるいは、各ユーザの存在位置は、当該水平平面内に設けられた極座標系の座標値(r,θ)で表現されてもよい。このような各種の座標系によって表された座標値によって、各ユーザの水平方向における位置(特に、操作パネル部6c(表示部)の横方向における位置等)が認識される。
このような各ユーザの位置測定動作は、たとえば、所定時間(たとえば、数百ミリ秒〜数秒程度)間隔で実行される。
<1−3.作業内容に基づくユーザ特定処理>
また、作業内容特定部15は、作業内容一覧リスト310(図5)に基づいて、複数のユーザのそれぞれの作業内容を特定する。換言すれば、作業内容特定部15は、MFP10内に設けられた各種の状態検出センサの検出結果等に基づいて各ユーザの作業内容を特定する。
図5に示されるように、作業内容一覧リスト310には、各種の作業内容のそれぞれに関する固有動作情報が規定されている。作業内容一覧リスト310(図5参照)は、実行中の作業内容を特定するための条件が記述された作業内容特定用情報である、とも表現される。
具体的には、フィニッシャジャム(フィニッシャ部30での紙詰まり)が発生したこととフィニッシャ扉が開けられたこととがMFP内部の状態検出センサ(ジャム検出センサおよびフィニッシャ扉開閉検出センサ等)によって検出されると、フィニッシャジャムの解消作業が開始されたことが検出される。換言すれば、フィニッシャジャムの解消作業が実行中であることが検出される。
また、手差しジャム(手差し部での紙詰まり)が発生したことと手差しジャム解消用の扉(手差し扉とも称する)が開けられたこととがMFP内部の状態検出センサ(ジャム検出センサおよび手差し扉開閉検出センサ等)によって検出されると、手差しジャムの解消作業が開始されたことが検出される。換言すれば、手差しジャムの解消作業が実行中であることが検出される。
また、給紙トレイジャム(給紙トレイ部での紙詰まり)が発生したことと給紙トレイ部が引き出されたこととがMFP内部の状態検出センサ(ジャム検出センサおよび給紙トレイ開閉検出センサ等)によって検出されると、給紙トレイジャムの解消作業が開始されたことが検出される。換言すれば、給紙トレイジャムの解消作業が実行中であることが検出される。
また、USBメモリが装置右側のUSB端子に差し込まれ且つスキャンボタンが押下されたこととがMFP内部の状態検出センサ(USB差し込み検出センサおよびスキャンボタン押下センサ等)によって検出されると、「スキャンtoUSB」(原稿のスキャン画像を生成し且つ当該スキャン画像をUSBメモリに格納するジョブ)の作業が開始されたことが検出される。換言すれば、「スキャンtoUSB」の作業が実行中であることが検出される。
また、ADFに原稿が載置されたこととスキャンボタンが押下されたこととがMFP内部の状態検出センサ(原稿載置検出センサおよびスキャンボタン押下センサ等)によって検出されると、「通常スキャン」(原稿のスキャン画像を生成し且つ当該スキャン画像を指定された保存場所(USBメモリ以外の格納部)(ネットワーク接続された他のコンピュータ内等)に格納するジョブ)の作業が開始されたことが検出される。換言すれば、「通常スキャン」の作業が実行中であることが検出される。
また、ADFに原稿が載置されたこととボックスボタンが押下されたこととがMFP内部の状態検出センサ(原稿載置検出センサおよびボックスボタン押下センサ等)によって検出されると、「スキャンtoBOX」(原稿のスキャン画像を生成し且つ当該スキャン画像を指定された保存場所(MFP10のHDD内の所定領域(BOX))に格納するジョブ)の作業が開始されたことが検出される。換言すれば、「スキャンtoBOX」の作業が実行中であることが検出される。
また、トナーボトル装着箇所に対応する正面扉(前扉)が開けられたこととトナーボトルが取り外されたこととがMFP内部の状態検出センサ(正面扉開閉検出センサおよびトナーボトル着脱検出センサ等)によって検出されると、トナーの交換作業が開始されたことが検出される。換言すれば、トナーの交換作業が実行中であることが検出される。
他の各作業についても同様であり、各作業の特定用条件の成否に基づいて各作業の開始(換言すれば、実行中)の旨が検出(判定)される。
<1−4.動作>
図3および図4は、MFP10の動作を示すフローチャートである。図3は、第1段階の動作(2人のユーザにそれぞれ対応する各視野角範囲に対して個別の画面を最初に表示する動作)(図9も参照)を主に示す図である。また、図4は、第2段階の動作(当該2人のユーザの移動に伴って各視野角範囲に対する表示画面が変更される動作)(図11も参照)を主に示す図である。
以下では、具体的な一の動作例(第1の動作例)を示しながら、MFP10の動作について説明する。
第1の動作例は、ジャム(フィニッシャジャムおよび給紙トレイジャム)の解消作業を行うユーザU1とスキャンジョブを実行するユーザU2とが同時並列的に1台のMFP10を利用する際の動作の一例である。
第1の動作例について、図9〜図12(MFP10を主に上方から見た図(上面図))をも参照しながら説明する。図9〜図11は、第1の動作例に係る動作を時系列で示す図である。図9は、ユーザU1,U2の移動前の位置を示す図であり、図10はユーザU1,U2が移動する様子を示す図であり、図11は、ユーザU1,U2の移動後の位置を示す図である。図9および図11においては、各視野角範囲R1,R2に関する表示内容等も併せて示されている。また、図12は、第1の動作例におけるユーザ移動前の状況(図の上半部分参照)とユーザ移動後の状況(図の下半部分参照)とを纏めて示す図である。
たとえば、ネットワークプリントジョブをMFP10に実行させていたユーザU1が、ネットワークプリントジョブ中におけるMFP10での紙詰まりに気付き、まずMFP10の近傍(具体的には、まずMFP10の左側のフィニッシャ付近)に移動する(図9参照)。
MFP10は、ステップS11(図3)において、自装置の周辺に移動してきたユーザU1を検出するとともに、当該ユーザU1の存在位置を検出する。
また、MFP10は、ステップS12において、ユーザU1の作業内容を特定する。
具体的には、フィニッシャジャム(フィニッシャでの紙詰まり)が発生したこととフィニッシャ扉が開けられたこととがMFP内部の状態検出センサによって検出されると、フィニッシャジャムの解消作業が開始されたこと(当該解消作業の実行中)が、図5の作業内容一覧リスト310等に基づき検出される。そして、装置左側のフィニッシャ部30の近傍に存在する人物(ユーザU1)がフィニッシャジャムの解消作業を行っている人物である旨をMFP10は判定する。換言すれば、ユーザU1の作業内容はフィニッシャジャムの解消作業である旨が判定される。
ステップS13においては、他のユーザがMFP10の周辺に存在するか否かが判定される。ステップS13の判定動作は、位置検出部7による検出結果(各人物の存否および存在位置に関する検出結果等)に基づいて実行される。
他のユーザ(ユーザU2)が存在しない場合には、ステップS18に進む。ステップS18では、ユーザU1の作業内容に関する画面(フィニッシャジャムの解消手順の説明画面等)が、タッチパネル25の全視野角範囲(たとえば、−178度から+178度までの範囲)に向けて表示される。なお、これに限定されず、全視野角範囲のうち視野角範囲R1のみに対して、ユーザU1用の画面210が表示されるようにしてもよい。
その後、ステップS19の判定処理が行われる。ユーザU1の作業が終了しユーザU1がMFP10から離れた旨がステップS19で判定されると、フローチャートの動作は終了する。ユーザU1の作業が終了していない旨が判定される場合は、ステップS11に戻り、同様の動作が繰り返される。
一方、他のユーザ(ユーザU2)が存在する場合には、ステップS13からステップS14に進む。ステップS14では、MFP10は、自装置の周辺に移動してきたユーザU2(スキャンジョブの実行のためにMFP10に近づいてきたユーザU2)を検出するとともに、当該ユーザU2の存在位置を検出する。
また、MFP10は、ステップS15において、ユーザU2の作業内容を特定する。
具体的には、ADF(自動原稿供給部)に原稿が載置され且つ「スキャン」ボタンが押下されたことがMFP内部の各種センサによって検出されると、通常スキャンの設定操作が開始されたこと(通常スキャン操作の実行中)が、図5の作業内容一覧リスト310等に基づき検出される。そして、ユーザU1以外の人物(詳細には装置中央の近傍に存在する他の1人の人物)(ユーザU2)が通常スキャンの設定操作を行っている人物である旨をMFP10は判定する。換言すれば、ユーザU2の作業内容は通常スキャンの設定操作(設定作業)である旨が判定される。
そして、ステップS16では、MFP10のタッチパネル25は、ユーザU1の作業内容に関する画面210(ここでは、フィニッシャジャムの解消手順の説明画面211)を第1の視野角範囲R1に対して表示する(図9)。
また、ステップS17では、MFP10のタッチパネル25は、ユーザU2の作業内容に関する画面220(ここでは、スキャンジョブの設定画面221)を第2の視野角範囲R2に対して表示する(図9)。
このように、ユーザU1が装置左側の位置でフィニッシャジャム解消作業を実行し且つユーザU2が装置右側(装置中央)の位置で通常スキャン設定作業を実行している場合、或る時点T1において、視野角範囲R1に対してユーザU1用の画面210が表示され且つ視野角範囲R2に対してユーザU2用の画面220が表示される(図9参照)。
このような状態において、各ユーザU1,U2は、自分用の画面を見ながら、自分の作業をそれぞれ進行させることが可能である。具体的には、ユーザU1は、自分用の画面210(211)を見ながら、自分の作業(フィニッシャージャム解消作業)を進行させることが可能である。また、ユーザU2は、自分用の画面220(221)を見ながら、自分の作業(スキャン設定作業)を進行させることが可能である。
ステップS17の次においては、ステップS31以降の処理が実行される。これについては後述する。
第1段階の動作(図9)の後、図10に示すように、ユーザU1は、装置左側でのフィニッシャージャムの解消作業を終了させると、今度は、装置右側(装置中央)へ移動して、給紙トレイジャム(給紙トレイにおける用紙詰まり)の解消作業を開始する。一方、ユーザU2は、ユーザU1と協議して、ユーザU1の邪魔にならないように装置左側に移動する。
これに対して、MFP10は、ステップS31において各ユーザU1,U2の存在位置を再び検出する。
ステップS33〜S35においては、各ユーザU1,U2による他ユーザ用の画面視認領域D2,D1(次述)への移動が検出されたか否かに応じた分岐処理が実行される。
具体的には、ステップS33においては、ユーザU1の移動動作(詳細には他のユーザU2用の画面視認領域D2(図10参照)への移動動作)が検出されたか否かが判定される。同様に、ステップS34,S35においては、それぞれ、ユーザU2の移動動作(詳細には他のユーザU1用の画面視認領域D1(図10参照)への移動動作)が検出されたか否かが判定される。なお、画面視認領域D1は、タッチパネル25の視野角範囲R1に対して表示された画面をユーザが視認することが可能な領域(MFP10の載置面に平行な平面内の一部領域)である(図10参照)。同様に、画面視認領域D2は、タッチパネル25の視野角範囲R2に対して表示された画面をユーザが視認することが可能な領域である。
また、ここでは、各ユーザが自分用の現在の画面視認領域Dから他ユーザ用の画面視認領域Dへの移動が完了したと判定されることを条件として、各ユーザの移動動作(詳細には他ユーザ用の画面視認領域への移動動作)が検出されるものとする。
ただし、これに限定されず、たとえば、各ユーザが自分用の現在の画面視認領域Dから離脱した時点で、各ユーザの移動動作(他ユーザ用の画面視認領域Dへの移動動作)が検出されてもよい。具体的には、ユーザU1が自分用の現在の画面視認領域D1から離脱した時点(他ユーザ用の画面視認領域D2へは未だ到達していない時点(画面視認領域D2への移動動作は実際には未だ完了していない時点))で、ユーザU1の移動動作(詳細には他ユーザU2用の画面視認領域D2への移動動作)が検出されてもよい。なお、この際には、ユーザU1が自分用の現在の画面視認領域D1から離脱し且つユーザU1の移動が他ユーザU2用の画面視認領域D2へ向かっていることをも条件として、当該ユーザU1の移動動作(他ユーザU2用の画面視認領域D2への移動動作)が検出されることが好ましい。ユーザU2の移動動作に関しても同様である。
そして、ステップS33〜S35の判定結果に応じて次のような(1)(2)(3)の動作が行われる。
(1)各ユーザU1,U2による他ユーザ用の画面視認領域への移動動作の何れもが検出されない場合(換言すれば、各ユーザU1,U2が移動していない場合)には、ステップS33からステップS35を経由して直ちにステップS39に進み、再びステップS31に戻る。
(2)また、ユーザU1,U2の双方の移動動作(詳細には他ユーザ用の画面視認領域への移動動作)が検出された場合には、次のような動作が実行される。たとえば、ユーザU1が装置左側から装置右側(装置中央)へと移動し且つユーザU2が装置右側(中央)から装置左側に移動する場合、換言すれば、両ユーザU1,U2の相対位置が左右方向において入れ替わった場合、次のような動作が実行される。
具体的には、ユーザU1の移動動作(他のユーザU2用の画面視認領域D2(図10参照)への移動動作)が検出され且つユーザU2の移動動作(他のユーザU1用の画面視認領域D1(図10参照)への移動動作)が検出された場合には、ステップS33,S34を経由してステップS36に進む。この場合、水平方向における複数のユーザU1,U2の位置関係(相対位置関係)が変更された旨(具体的には、タッチパネル25の左右方向における両ユーザU1,U2の位置(横方向位置)が入れ替わった旨)が判定され、ステップS36に進む。
ステップS36では、図11に示すように、変更後の位置関係に基づいて決定された各画面が複数の視野角範囲R1,R2のそれぞれに対して表示される。換言すれば、時点T1よりも後の時点T3において、図11のような表示状態が実現される。
詳細には、第1のユーザU1と第2のユーザU2との横方向(左右方向)における位置関係の入れ替わりが検出されると、各ユーザ用の画面の表示対象の視野角範囲が他ユーザ用の視野角範囲へと入れ替えられる(図12も参照)。詳細には、当該位置関係の入れ替わり前にて第1のユーザU1用の画面210が第1の視野角範囲R1に対して表示され且つ第2のユーザU2用の画面220が第2の視野角範囲R2に対して表示されていた場合(図9参照)には、当該入れ替わり後においては、図11のような表示状態に変更される。すなわち、第1のユーザU1用の画面210が第2の視野角範囲R2に対して表示され且つ第2のユーザU2用の画面220が第1の視野角範囲R1に対して表示される。換言すれば、ユーザU1,U2の位置関係の入れ替わり後においては、MFP10は、ユーザU1用の画面210を入替後のユーザU1の位置に向けて表示し且つユーザU2用の画面220を入替後のユーザU2の位置に向けて表示する。
なお、この動作例では、入れ替わり後においては、各ユーザの作業内容が更新され、更新後の作業内容に基づく新たな画面が各ユーザ用の画面として表示される。たとえば、第1のユーザU1の更新後の作業内容(給紙トレイジャムの解消作業)に関する画面212(給紙トレイジャム解消手順の説明画面)が、第1のユーザU1用の新たな画面210として表示される。第2のユーザU2の作業は変更されていないので、当該ユーザU2用の画面220は、引き続き同じ画面221である。
上述のように、ユーザU2が、ユーザU1の邪魔にならないように装置左側の位置に移動して、両ユーザU1,U2の入れ替わりが発生した場合には、このような動作(ステップS33,S34,S36)が実行される。
その後、ステップS39に進む。ステップS39では、(一方のユーザの作業が終了し)一方のユーザがMFP10から離れたか否かが判定される。いずれのユーザもMFP10から未だ離れていない旨(換言すれば、両ユーザの作業が継続中の旨)が判定される場合、ステップS31に戻り、同様の動作が繰り返される。これに対して、一方のユーザがMFP10から離れた旨が判定される場合、ステップS18(図3)に戻り、当該一方のユーザ向けの表示等が行われる。なお、ステップS18に戻った際には、他方のユーザ(作業継続中のユーザ)(U1,或いはU2)が新たなユーザU1であるとみなされて、処理が継続される。
(3)また、両ユーザU1,U2のうちの一方の移動動作(詳細には他ユーザ用の画面視認領域への移動動作)のみが検出された場合には、次のような動作(ステップS41等)が実行される。
具体的には、ユーザU1の移動動作(他のユーザU2用の画面視認領域D2(図10参照)への移動動作)が検出されるものの、ユーザU2の移動動作(他のユーザU1用の画面視認領域D1への移動動作)が検出されない場合には、ステップS33,S34を経由してステップS41に進む。また、ユーザU1の移動動作(他のユーザU2用の画面視認領域D2(図10参照)への移動動作)が検出されず、且つ、ユーザU2の移動動作(他のユーザU1用の画面視認領域D1への移動動作)が検出される場合には、ステップS33,S35を経由してステップS41に進む。
このように、両ユーザのうち一方のユーザのみの移動動作(他のユーザ用の画面視認領域への移動動作)が検出される場合には、2つの画面視認領域D1,D2のうちの一方の画面視認領域内に両ユーザU1,U2が存在する旨が位置検出部7等によって判定される。
たとえば、前者のケース(ステップS33,S34を経由してステップS41に進むケース)として、図10のユーザ移動に代えて図13のユーザ移動が行われる場合が想定される。具体的には、図13に示されるように、ユーザU1が右側に移動し且つユーザU2が少し後ろに下がる状況(ユーザU2が後ろに下がってユーザU1に場所を譲るような状況)が想定される。ただし、ユーザU2は、未だ装置左側への移動を開始していない。この場合、2つの画面視認領域D1,D2のうちの一方の画面視認領域D2内に両ユーザU1,U2が存在する(図14参照)旨が位置検出部7等によって判定される。換言すれば、ユーザU1が装置左側から装置右側(装置中央)へと移動する一方で、ユーザU2が(装置左側に未だ移動せず)装置右側(中央)に未だ留まっている場合(図13参照)には、一方の画面視認領域D2内に両ユーザU1,U2が存在する(図14参照)旨が判定される。そして、ステップS41に進む。
ステップS41では、複数のユーザU1,U2のうち、その作業実行が優先されるべきユーザ(優先ユーザとも称する)が決定されるとともに、当該優先ユーザ用の画面を優先して表示させるべき旨が決定される。優先ユーザは、複数のユーザのそれぞれの作業内容に基づいて決定される。
具体的には、図7のような決定基準テーブル330に基づいて、優先ユーザが決定される。当該決定基準テーブル330においては、各ユーザの作業の作業位置依存性および各ユーザの作業の作業種別が考慮される。各作業の作業位置依存性および各作業の作業種別は、図6の作業属性テーブル320に規定されている。
まず、図6の作業属性テーブル320について説明する。
作業属性テーブル320には、MFP10に関して実行される複数の作業が列挙されている。
当該複数の作業は、その緊急性等に鑑み、大きく3つの種別(「通常使用時」、「エラー時」、「非緊急調整時(特殊ケース)」)に分類されて列挙されている。
たとえば、「通常スキャン」、「スキャンtoUSB」、「スキャンtoBOX」、「手差し印刷」、「割り込みコピー」、「通常コピー」、「ファクシミリ送信」、「USBメモリからの直接印刷」等は、通常使用時の作業であることから、種別「通常使用時」に分類される。
また、「フィニッシャ紙詰まりの解消」、「右ドア部の紙詰まりの解消」、「給紙トレイの紙詰まりの解消」、「トナーの交換」、「用紙の補充」、「テスト印刷」、「トラブルメッセージ表示確認」等は、エラー発生時の作業(エラー解消のための作業)であることから、種別「エラー時」に分類される。
さらに、「サービスマンによるテストプリント」、「サービスマンによるセンサ動作チェック」、「サービスマンによる消耗品交換」等は、サービスマン等による非緊急調整時の作業であることから、種別「非緊急調整時」に分類される。
また、作業属性テーブル320においては、列挙される複数の作業のそれぞれに関して、「作業位置依存性」が規定されている。
「作業位置依存性」は、各作業が位置に依存するものであるか否かに関する性質である。
たとえば、フィニッシャ紙詰まりの解消作業は、装置左側のフィニッシャ扉を開けた状態で行われる作業であるため、「装置左側」で行われることを要する。したがって、「フィニッシャ紙詰まりの解消作業」は、「装置左側」に対する作業位置依存性を有している。
同様に、「スキャンtoUSB」(スキャン画像をUSBメモリに格納するジョブ)の実行作業は、装置右側のUSB端子にUSBメモリを装着する操作を伴って行われる作業であるため、「装置右側」で行われることを要する。したがって、「スキャンtoUSB」の実行作業は、「装置右側」に対する作業位置依存性を有している。
同様に、給紙トレイの紙詰まりの解消作業は、装置中央の給紙トレイを引き出した状態で行われる作業であるため、「装置中央」で行われることを要する。したがって、「給紙トレイの紙詰まりの解消作業」は、「装置中央」に対する作業位置依存性を有している。ただし、この実施形態では、マルチビューディスプレイとしてデュアルビューディスプレイを採用しており、2つの異なる視野角範囲に異なる画面を切替表示することを意図しているため、「作業位置」も2つの位置(具体的には、「左」(装置左側)および「右」(装置右側))に大別するものとする。詳細には、「装置中央」の位置依存性を「右」の位置依存性(換言すれば、2つの視野角範囲R1,R2のうち、MFPに向かって比較的右側の視野角範囲R2に対する位置依存性)に分類するものとする。
一方、「通常スキャン」(通常スキャンジョブの実行操作)は、タッチパネル25での操作を伴うものの、タッチパネル25の左側、正面、右側からのいずれからでも行うことが可能な作業である。そのため、「通常スキャン」は、作業位置依存性を有しない。
同様に、「スキャンtoBOX」、「通常コピー」、「ファクシミリ送信」、「テスト印刷(一般ユーザによるテスト印刷)」、「トラブルメッセージ表示確認」、「テスト印刷(サービスマンによるテスト印刷)」等も、作業位置依存性を有しない。
このように、図6の作業属性テーブル320には、各作業の作業位置依存性および各作業の作業種別が規定されている。
そして、図7の決定基準テーブル330に示されるような基準、すなわち、各ユーザの作業の作業位置依存性および作業種別に基づいて、優先ユーザが決定される。換言すれば、各ユーザの作業の作業位置依存性および作業種別に基づいて、各作業の優先度合いが判定される。
このステップS41の優先ユーザの決定に際しては、各ユーザの作業の作業位置依存性が最も重要視される。
具体的には、各作業内容の作業位置依存性を規定した情報(作業属性テーブル320)に基づき、一方のユーザの作業が作業位置依存性を有し且つ他方のユーザの作業が作業位置依存性を有しないと判定される場合、当該一方のユーザが優先ユーザとして決定される。
たとえば、第1のユーザU1の作業が作業位置依存性を有し且つ第2のユーザの作業が作業位置依存性を有しないと判定される場合(図7の極太線枠内参照)、第1のユーザU1が優先ユーザとして決定される。逆に、第2のユーザU2の作業が作業位置依存性を有し且つ第1のユーザの作業が作業位置依存性を有しないと判定される場合、第2のユーザU2が優先ユーザとして決定される。
ステップS41の優先ユーザの決定に際しては、各ユーザの作業の作業位置依存性の次に、作業種別に基づく優先順位が重要視される。
具体的には、両ユーザU1,U2の作業が作業位置依存性の有無で区別できない場合には、各作業内容の作業種別を規定した情報に基づき、比較的高い優先順位を有する作業種別に属する作業を実行しているユーザが優先ユーザとして決定される。詳細には、「エラー時」(エラー対応作業)、「通常使用時」(通常作業)、「非緊急調整時」(非緊急調整作業)の順に、高い優先順位が付与される。すなわち、作業種別「エラー時」の作業を実行しているユーザが、最優先で優先ユーザとして決定される。次に、作業種別「通常使用時」の作業を実行しているユーザが、次順位で優先ユーザとして決定される。そして、作業種別「非緊急調整時」の作業を実行しているユーザが、最後の順位で優先ユーザとして決定される。
たとえば、両ユーザU1,U2の作業が作業位置依存性の有無で区別できない場合において、ユーザU1の作業が「エラー時」に分類され、且つ、ユーザU2の作業が「通常使用時」あるいは「非緊急調整時」に分類されるときには、ユーザU1が優先ユーザとして決定される。同様の場合において、ユーザU2の作業が「エラー時」に分類され、且つ、ユーザU1の作業が「通常使用時」るいは「非緊急調整時」に分類されるときには、ユーザU2が優先ユーザとして決定される。なお、同様の場合において、ユーザU1,U2の作業がいずれも「エラー時」に分類されるときには、先に使用を開始したユーザが優先ユーザとして決定される。
また、ユーザU1の作業が「通常使用時」に分類され、且つ、ユーザU2の作業が「非緊急調整時」に分類されるときには、ユーザU1が優先ユーザとして決定される。また、ユーザU2の作業が「通常使用時」に分類され、且つ、ユーザU1の作業が「非緊急調整時」に分類されるときには、ユーザU2が優先ユーザとして決定される。なお、ユーザU1,U2の作業がいずれも「通常使用時」に分類されるときには、先に使用を開始したユーザが優先ユーザとして決定される。また、ユーザU1,U2の作業がいずれも「非緊急調整時」に分類されるときには、先に使用を開始したユーザが優先ユーザとして決定される。
たとえば、給紙トレイの紙詰まりの解消作業を開始したユーザU1と通常スキャンの操作を行っていたユーザU2との双方が同一の画面視認領域D2内に存在する(図14参照)場合には、ユーザU1が優先ユーザとして決定される。
具体的には、図6の作業属性テーブル320に基づいて、ユーザU1の作業「給紙トレイの紙詰まりの解消作業」は作業位置依存性を有している旨が判定されるとともに、ユーザU2の作業「通常スキャン」は作業位置依存性を有していない旨が判定される。そして、当該判定結果と図7の決定基準テーブル330とに基づいて、ユーザU1が優先ユーザとして決定される。
そして、ステップS42では、優先ユーザ用の画面を優先して表示するために表示入替が行われることを要するか否かが判定される。そして、表示入替が行われることを要する旨が判定されると、ステップS43に進む。なお、表示入替が行われることを要しない旨が判定されると、ステップS39に進む。
ステップS43では、注意喚起表示(後述)(図15参照)が行われる。その後、ステップS44に進む。
ステップS44では、入替表示が行われる。
たとえば、ユーザU1,U2の双方が同一の画面視認領域D2に存在する場合(図14も参照)には、ステップS41に進む。そして、ステップS41では、ユーザU1が優先ユーザとして決定され、ステップS42,S43を経てステップS44に進み、結果的には図11のような表示状態に変更される(ステップS44)。具体的には、優先されるべき旨が決定された画面(優先ユーザU1用の画面)210が、当該画面視認領域D2に対応する視野角範囲R2に対して表示される。また、両ユーザU1,U2のうち、優先ユーザ(U1)以外のユーザ(非優先ユーザとも称する)U2用の画面220(ユーザの作業に関する画面221)が、2つの視野角範囲R1,R2のうちの他方の視野角範囲R1に対して表示される。ステップS44においても、(ステップS36と同様に、)各ユーザの作業内容が更新され、更新後の作業内容に基づく新たな画面が各ユーザ用の画面として表示される。たとえば、第1のユーザU1の更新後の作業内容(給紙トレイジャムの解消作業)に関する画面212(給紙トレイジャム解消手順の説明画面)が、第1のユーザU1用の新たな画面210として表示される。
なお、表示状態の変更直前のステップS43においては、注意喚起表示が行われる。具体的には、図15のような注意喚起画面250が視野角範囲R2に対して表示される(図14も参照)。画面250には、今まで表示されていた画面220(ユーザU2用の画面)に代えて、隣の作業者(優先ユーザU1)用の画面が表示される旨(切替表示が行われる旨)が示されている。また、画面250には、今まで表示されていた画面(切替前画面)220は(MFPに向かって)左側の視野角範囲R1に表示される旨も示されている。さらに、左側に移動することによって当該切替前画面(スキャン設定画面)220を見ることができる旨も画面250に示されている。画面250を視認した非優先ユーザU2は、当該画面250内の移動指示に促されて、装置左側に移動する。
このように、一方の視野角範囲R2に対する表示対象画面が、非優先ユーザU2用の画面220から、優先ユーザU1用の画面210へと変更される場合には、当該表示対象画面の変更(ステップS44)に先立って、当該一方の視野角範囲R2に対して非優先ユーザU2向けの注意喚起用の画面250が表示される(ステップS43)。これによれば、非優先ユーザU2は、画面変更前の事前通知を受け取ることができるので、突然の画面変更に驚かずに済む。また、非優先ユーザU2は、自分用の画面を視認することができる新たな場所(画面視認領域)を知得できるので、当該新たな場所(画面視認領域)(ここでは装置左側)に向けて移動し易くなる。これにより、ユーザU2の移動を促し、ひいてはユーザU1,U2の位置関係の円滑な入れ替わりを実現することが可能である。
その後、ステップS39に進む。ステップS39では、上述のような動作が実行される。
以上のような動作によれば、複数のユーザの位置関係の変更が検出される場合、変更後の位置関係に基づいて決定された各画面が複数の視野角範囲のそれぞれに対して表示される。したがって、複数のユーザがMFPを同時並列的に使用する場合において、複数のユーザのそれぞれに対して適切な画像を表示することが可能である。
詳細には、ユーザU1とユーザU2との位置関係の入れ替わり(タッチパネル25の横方向における入れ替わり)が検出される場合において、当該入れ替わり前にて図9のような表示が行われていたときには、当該入れ替わり後においては図11のような表示が行われる。すなわち、当該入れ替わり後においては、ユーザU1用の画面210が視野角範囲R2に対して表示され且つユーザU2用の画面220が視野角範囲R1に対して表示される(図11)。したがって、ユーザU1は、入れ替わり後の位置(視野角範囲R2に対応する画面視認領域D2)からユーザU1用の画面210を適切に視認することが可能であり、ユーザU2は、入れ替わり後の位置(視野角範囲R1に対応する画面視認領域D1)からユーザU2用の画面220を適切に視認することが可能である。
また、一方のユーザの移動の結果、ユーザU1とユーザU2とが同一の画面視認領域D内に存在する旨が判定される場合、ユーザU1,U2のうちの優先ユーザが決定される。そして、当該優先ユーザ用U1の画面210が、当該画面視認領域D2に対応する視野角範囲R2に対する表示内容として優先的に表示される。したがって、両ユーザU1,U2の相互間の優先性が自動的に調整され、当該画面視認領域D2に対応する当該視野角範囲R2における表示内容が適切に決定される。さらに、非優先ユーザU2用の画面は、他方の画面視認領域D1に対応する視野角範囲(他方の視野角範囲)R1に対して表示される。したがって、同一の画面視認領域D内に複数のユーザが重複して存在する場合であっても、2つの視野角範囲R1,R2を適宜使い分けることによって、両ユーザに適切な画面を視認させることが可能である。
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態においては、図9に示されるように、最初は、2人のユーザU1,U2が互いに異なる画面視認領域D1,D2に存在している。そして、ユーザU1が画面視認領域D1に存在し且つユーザU1用の画面が視野角範囲R1に対して表示されている状態において、別のユーザU2が別の画面視認領域D2に存在し且つ視野角範囲R2に対してユーザU2用の画面が表示される(図3のステップS16,S17も参照)。その後、ユーザU1の移動に伴って、両ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D2に存在するに至った状況が想定されている。
一方、この第2実施形態では、最初から、両ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D2に存在する場合(両ユーザU1,U2がMFP10の近傍にて最初に検出された時点で両ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D2に存在する場合)を想定する。詳細には、ユーザU1が画面視認領域D2に存在し且つ視野角範囲R2に対してユーザU1用の画面が表示されている状態において、別のユーザU2も同じ画面視認領域D2に存在する場合を想定する。
この場合、視野角範囲R2に対していずれのユーザU1,U2向けの画面を表示すべきかが問題である。
たとえば、ユーザU2が画面視認領域D2に移動してきた後においても、最初に表示されていたユーザU1用の画面が視野角範囲R2に対して常に表示されるものとすると、画面視認領域D2に存在するユーザU2は、ユーザU2用の画面を視認することができない。
そこで、この第2実施形態では、ユーザU1が画面視認領域D2に存在し且つ視野角範囲R2に対してユーザU1用の画面が表示されている状態において、別のユーザU2も同じ画面視認領域D2に移動してきた場合には、上述の「優先ユーザ」(ステップS41参照)を各ユーザU1,U2の作業内容に基づいて決定する。そして、優先ユーザ用の画面を視野角範囲R2に表示するとともに、非優先ユーザ用の画面を他の視野角範囲R1に表示する。これによれば、画面視認領域D2に存在するユーザU2が、当該ユーザU2用の画面を適切に視認することが可能である。
第2実施形態では、このような態様について説明する。第2実施形態では、第2の動作例が行われる状況について説明する。第2の動作例は、スキャンジョブを実行するユーザU1とトナー交換作業を行うユーザU2とが同時並列的に1台のMFP10を利用する際の動作の一例である。
第2の動作例においては、画面視認領域D2に存在するユーザU1が通常スキャンを実行しており、当該通常スキャンの実行中にユーザU2がトナー交換作業を開始する。また、ユーザU2によるトナー交換作業は、ユーザU1の最初の存在位置である画面視認領域D2にて行われる。
図17〜図20(MFP10を主に上方から見た図(上面図))は、第2の動作例を示す図である。図17〜図20は、第2の動作例に係る動作を時系列で示す図である。図17は、ユーザU1の最初の存在位置(画面視認領域D2)を示す図である。図18は、ユーザU2がユーザU1の近傍位置(同じ画面視認領域D2)に向かって装置右側から移動してきた様子(且つユーザU1も未だ画面視認領域D2内に存在する様子)を示す図である。図19は、注意喚起画面が視野角範囲R2に対して表示される様子を示す図である。また、図20は、ユーザU1が他の画面視認領域D1に移動した後における、各ユーザU1,U2の位置を示す図である。
また、この第2実施形態においては、図3のフローチャートの動作に代えて図16のフローチャートの動作が実行される。以下、図16のフローチャートおよび図17〜図20等を参照しながら、第2実施形態の動作について説明する。
ステップS11〜S15,S18,S19の各処理は、第1実施形態と同様である。たとえば、最初の状態において、ユーザU1が装置中央付近(画面視認領域D2)にて通常スキャンに関する操作を行っている際には、ユーザU1用の画面210(215)が全視野角範囲(視野角範囲R2を含む)に対して表示される(ステップS18等)(図17も参照)。なお、これに限定されず、ステップS18において、全視野角範囲のうち視野角範囲R2のみに対して、ユーザU1用の画面210が表示されるようにしてもよい。
その後、たとえば、ユーザU1による通常スキャンの実行中に別のユーザU2がトナー交換作業を開始する。ユーザU2によるトナー交換作業は、ユーザU1の最初の存在位置である画面視認領域D2にて行われる。具体的には、図18に示すように、ユーザU1は若干後ろに下がり、画面視認領域D2に図の右側から移動してきたユーザU2がトナー交換作業を開始する。
MFP10は、ユーザU2を検出すると、ステップS13〜S15を実行した後に、ステップS21に進む。
ステップS21では、ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D内に存在するか否かが判定される。
ユーザU1,U2が、互いに異なる画面視認領域D(D1,D2)にそれぞれ存在する場合には、ステップS21からステップS16,S17に進む。ステップS16,S17では、第1実施形態と同様の動作が実行される。
一方、ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D内に存在する場合には、ステップS21からステップS22に進む。
ここでは、ユーザU1,U2が同一の画面視認領域D2内に存在する旨が判定され、ステップS22に進むものとする。
ステップS22においては、ステップS41(図4)と同様の動作が実行され、ステップS41と同様にして「優先ユーザ」が決定される。ステップS22においては、位置依存性を有するトナー交換作業をユーザU2が実行しており、位置依存性を有しない通常スキャン作業をユーザU1が実行していることが作業属性テーブル320(図6参照)に基づいて判定される。そして、当該判定結果と図7の決定基準テーブル330とにも基づき、ユーザU2が優先ユーザとして決定される。
その後、ステップS23では、現時点までの表示画面は非優先ユーザ用の画面であるか否か、が判定される。
現時点までの表示画面が非優先ユーザ用の画面である場合には、ステップS24に進み、ステップS24にて非優先ユーザに対して注意喚起画面を表示した後、ステップS25に進む。一方、現時点までの表示画面が優先ユーザ用の画面である場合には、ステップS24を経ずにステップS23からステップS25に進む。なお、ステップS24における動作は、ステップS43(図4)の動作と同様である。ステップS24においては、ステップS43における注意喚起画面(図15参照)と同様の注意喚起画面が表示される(図19も参照)。
ステップS25では、MFP10は、優先ユーザ用の表示画面を、当該優先ユーザの存在領域(優先ユーザが存在する画面視認領域D)に対応する視野角範囲Rに対して表示する。
たとえば、図20に示されるように、優先ユーザU2用の画面220(トナー交換作業用の画面225)を視野角範囲R2に対して表示するとともに、非優先ユーザU1用の画面210(スキャン設定画面215)を他の視野角範囲R1に対して表示する。
以上のような動作によれば、複数の視野角範囲R1,R2のそれぞれに表示すべき各画面が複数のユーザのそれぞれの位置と当該複数のユーザのそれぞれの作業内容とに基づいてそれぞれ決定される。
より具体的には、2つの画面視認領域D1,D2のうちの一方の画面視認領域(たとえばD2)内に第1のユーザU1と第2のユーザU2との両ユーザが存在する旨が判定される場合、優先ユーザが複数のユーザのそれぞれの作業内容に基づいて決定され、当該優先ユーザ用の画面を優先して表示させるべき旨が決定される。そして、優先されるべき旨が決定された画面が、2つの視野角範囲R1,R2のうち、当該一方の画面視認領域D(D2)に対応する一方の視野角範囲R(R2)に対して表示される。したがって、画面視認領域D2に存在するユーザU2がユーザU2用の画面を適切に視認することが可能である。
たとえば、ユーザU2が画面視認領域D2に移動してきた後においても、最初に表示されていたユーザU1用の画面が視野角範囲R2に対して常に表示されるものとすると、
画面視認領域D2に存在するユーザU2は、ユーザU2用の画面を視認することができない。
これに対して、この第2実施形態では、ユーザU1が画面視認領域D2に存在し且つ視野角範囲R2に対してユーザU1用の画面が表示されている状態において、別のユーザU2も同じ画面視認領域D2に移動してきた場合には、上述の「優先ユーザ」(ステップS41参照)を各ユーザU1,U2の作業内容に基づいて決定する。そして、MFP10は、優先ユーザ用の画面を視野角範囲R2に表示するとともに、非優先ユーザ用の画面を他の視野角範囲R1に表示する。これによれば、画面視認領域D2に存在する優先ユーザU2が、当該ユーザU2用の画面を適切に視認することが可能である。また、非優先ユーザU1は、画面視認領域D1に移動し、当該画面視認領域D1にて当該ユーザU1用の画面を適切に視認することが可能である。
なお、この第2実施形態では、ステップS23において、現時点までの表示画面が非優先ユーザ用の画面である場合にのみ、ステップS24にて非優先ユーザに対する注意喚起画面が表示されているが、これに限定されない。たとえば、ステップS22の次に(ステップS23を経ずに)常にステップS24に進み、非優先ユーザに対する注意喚起画面が表示されてもよい。換言すれば、一方の視野角範囲(たとえばR2)に対して優先ユーザ用の画面を表示する前に、当該一方の視野角範囲に対して非優先ユーザ向けの注意喚起用の画面が(常に)表示されるようにしてもよい。これによれば、非優先ユーザは、自分用の画面を視認できる場所をより確実に知得することが可能である。
<3.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記第1実施形態においては、ユーザU1のジャム解消作業中に別のユーザU2がスキャン処理を開始しているが、これに限定されない。たとえば、逆にユーザU1のスキャン作業中に別のユーザU2がジャム解消処理を開始するようにしてもよい。その後、ユーザU1,U2の移動動作、および各視野角範囲に対する表示画像の変更動作等が行われるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態においては、ユーザU1の通常スキャン作業中に別のユーザU2がトナー交換作業を開始しているが、これに限定されない。たとえば、逆にユーザU2のトナー交換作業中に別のユーザU1が通常スキャン作業を開始するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、MFP10の近傍に存在する或るユーザが別のユーザの存在領域(別の画面視認領域)へと移動したことが検出されること等によって、各ユーザの移動が検出される。このような各ユーザの移動検出に際して、各ユーザが誰であるかは特定されることを要しない(個体識別を要しない)。ただし、これに限定されず、各ユーザの画像に対する画像処理(たとえば、認証処理(顔認証処理)、あるいは、服装等による識別処理等)によって、各ユーザが互いに識別されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、マルチビューディスプレイとして、2つの視野角範囲に対してそれぞれ異なる画面を表示することが可能なデュアルビューディスプレイが採用されているが、これに限定されない。たとえば、3つの視野角範囲に対してそれぞれ異なる画面(画像)を表示することが可能なトリプルビューディスプレイが採用されてもよい。その場合には、3つの視野角範囲のそれぞれに対して表示すべき各画面が複数のユーザの位置等に基づいて決定されればよい。
また、上記各実施形態においては、カメラ7bを用いて各ユーザの位置が検出(測定)されているが、これに限定されない。
たとえば、感熱センサ72を用いて各ユーザの位置が測定されてもよい。図21は、MFP10の周辺の熱分布を示す上面図である。図21に示すように、MFP10は、当該MFP10に設けた複数の感熱センサ72(不図示)を用いてMFP10の周辺の熱分布を求める。そして、当該熱分布に基づいて各人物の位置を特定するようにしてもよい。換言すれば、各人物が発する熱を当該感熱センサ72を用いて検知し、各人物の位置Pを特定するようにしてもよい。
あるいは、光センサを用いて各ユーザの位置が測定されてもよい。図22は、複数の光センサユニット75がMFP10の前面部において左右方向に配列されている様子等を示す上面図である。また、図23は、各光センサユニット75の詳細構成を示す図である。なお、図22では、光センサユニット75の一部の構成が省略されている。
図23に示すように、各光センサユニット75は、投光部75aと受光部75bと投光レンズ75cと受光レンズ75dとを備えている。投光部(発光素子等)75aから出射された光は、投光レンズ75cを通過してその出射方向に進行し、出射方向に存在する物体に到達すると、当該物体で反射される。この反射光は、受光レンズ75dを通過して受光部(受光素子等)75bで受光される。
図22に示すように、投光部75aから出射された光の出射方向に物体が存在する場合、当該物体によって反射された光が受光部75bによって受光される。逆に、光の出射方向に物体が存在しない場合、受光部75bは反射光を受光しない。このような性質を利用して、投光部75aからの出射方向に物体(人物)が存在するか否かが判定される。複数の光センサユニット75は、各出射方向が互いに異なっており、互いに異なる方向(放射線状の各方向)における物体の存否を検出することができるように配置されている。そして、各方向における物体の存否に基づいて、各人物の位置P(特に、MFP10の前面部の左右方向における位置等)が測定される。
また、図23に示すように、各光センサユニット75は、物体までの距離をも測定することが可能である。物体で反射された光は、受光レンズ75dを通過した後、受光部(詳細には、受光素子(位置検出素子)等)75bで受光される。詳細には、光センサユニット75から比較的近い位置P31で反射された光は、受光部75b(位置検出素子)内の位置Q31に到達する。また、光センサユニット75から比較的遠い位置P32で反射された光は、受光部75b(位置検出素子)内の位置Q32に到達する。ここで、位置Q31は、出射光の光軸に垂直な方向において受光レンズ75dの中心から比較的遠い位置(図23では比較的右側の位置)である。逆に、位置Q32は、出射光の光軸に垂直な方向において受光レンズ75dの中心から比較的近い位置(図23では比較的左側の位置)である。
このように物体からの各反射光の到達位置は、物体までの距離(反射位置との距離)に応じて変化する。このような原理を利用することによって、物体までの距離を測定することが可能である。これにより、各人物の位置P(特にMFP10に対する奥行き方向(図22の上下方向)における位置)が測定される。なお、この光センサユニット75は、測距センサであるとも表現される。
このような構成を採用することによって、画像形成装置10の載置面に平行な平面(水平平面)内における各人物の位置P(図22の左右方向および上下方向の位置)が測定され得る。