JP2018102283A - 有機酸発酵甘酒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の甘酒製造においては、酵母の発酵のみにより製造されているため、奥行きのある味の発酵甘酒にはなっていなかった。そのため種々の有機酸と旨味を有する奥行きのある味の発酵甘酒が求められていた。
【解決手段】
これまで使用されなかった酵母を乳酸菌とともに併用することにより、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒が製造可能となった。また、原料に豆乳を配合することにより種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒の製造も可能となった。
甘酒の乳酸菌による乳酸発酵の前に種々の有機酸を産生する食品製造用又は/及び酒類製造用酵母で微発酵後に十分な熟成工程を取り、その後に乳酸発酵を行わせる。
【選択図】なし
【解決手段】
これまで使用されなかった酵母を乳酸菌とともに併用することにより、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒が製造可能となった。また、原料に豆乳を配合することにより種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒の製造も可能となった。
甘酒の乳酸菌による乳酸発酵の前に種々の有機酸を産生する食品製造用又は/及び酒類製造用酵母で微発酵後に十分な熟成工程を取り、その後に乳酸発酵を行わせる。
【選択図】なし
Description
本発明は、酵母発酵と乳酸菌発酵により種々の有機酸を含有する発酵甘酒に関する。
甘酒は、米麹と米を原料として、麹菌の働きにより米澱粉からブドウ糖を生成させて製造する、日本の伝統的な甘味飲料である。この甘酒は、麹菌酵素の最適温度付近である50度乃至60度で2時間乃至24時間保持することにより製造できることが広く知られている。
この甘酒の主成分であるブドウ糖は微生物の最適な栄養源であることから、発酵を組み合わせた甘酒の製造方法がいくつか考案されている。特許文献1では穀類の糖化工程の後工程において乳酸菌を添加する技術が提案され、また、甘酒を殺菌後にラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス(Lactococcus lactis ssp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcus lactis ssp. cremoris)、若しくはラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、又はこれらの組み合わせた乳酸菌による乳酸発酵甘酒の製造方法(特許文献2)が開発され、さらにまた、乳酸発酵甘酒の製造においてジュール加熱システムを用いる技術(特許文献3)なども提案されている。
さらに、発酵甘酒の製造において米麹と米以外の原料として豆乳を配合し乳酸菌による乳酸発酵を行わせる技術(特許文献4)や牛乳に麹を混合した後に発酵させる技術(特許文献5)などが知られている。
前述のように、従来技術で製造される甘酒はブドウ糖由来の甘味だけで酸味や旨味が殆ど無い単純な甘味飲料である。
これらを解決するため、奥行きのある味の甘酒として乳酸発酵させた発酵甘酒が開発されているが、この発酵甘酒の酸味は乳酸だけであり酸味としては単調である。
また、発酵甘酒製造において酵母を有効活用した技術は無かった。
こうしたことにより、より奥行きのある味の甘酒を目指し、乳酸菌と酵母を活用することにより種々の有機酸を発酵により含有し、また、隠し味濃度の旨味を含有する甘酒を開発することを課題とした。
そこで、本発明の第一の目的は、乳酸菌と酵母による発酵で種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒を提供することである。
本発明の第二の目的は、乳酸菌と酵母と豆乳を配合することにより種々の有機酸を含有し且つ旨味を有する奥行きのある味の発酵甘酒を提供することである。
本発明の第三の目的は、乳酸菌と酵母による発酵で種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒又は乳酸菌と酵母と豆乳を配合することにより種々の有機酸を含有し且つ旨味を有する奥行きのある味の発酵甘酒を配合した加工食品を提供することである。
本発明者らは、甘酒発酵において食品及び酒類用の酵母の一部が初期の旺盛な発酵後に酢酸やクエン酸やコハク酸等の種々の有機酸を著量産生し、このことにより乳酸菌単独の乳酸発酵甘酒よりより奥行きのある味の発酵甘酒となることを新規に見いだして本発明を完成するに至った。
また、この酵母発酵を組み入れた乳酸発酵甘酒の製造の際に豆乳を配合することにより、隠し味としての旨味成分が増加し、発酵甘酒の味が一層向上することを新規に見いだして本発明を完成するに至った。
さらに、これらの発酵甘酒を用いて種々の加工食品が製造可能であることを新規に見いだして本発明を完成するに至った。
本発明は以下の(1)、(2)、(3)を提供するものである。
(1)米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒を提供することである。
(2)米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒を提供することである。
(3)上記(1)又は(2)記載の発酵甘酒を配合した加工食品を提供することである。
(1)米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒を提供することである。
(2)米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒を提供することである。
(3)上記(1)又は(2)記載の発酵甘酒を配合した加工食品を提供することである。
本発明により、米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒と、米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒、さらに、これら甘酒を配合した加工食品の製造が可能となった。
前記したように本発明者らは、甘酒発酵において食品及び酒類用の酵母の一部が初期の旺盛な発酵後に酢酸やクエン酸やコハク酸等の種々の有機酸を著量産生し、このことにより乳酸菌単独の乳酸発酵甘酒よりより奥行きのある味の発酵甘酒となることを新規に見いだし、米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒と、米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒が製造出来ることを新規に見いだし、また、これら甘酒を配合した加工食品の製造が可能であることを新規に見いだして本発明を完成するに至った。
本発明の発酵甘酒は、米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味であることを特徴とするものである。
またさらに、本発明の豆乳入り発酵甘酒は、米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味であることを特徴とするものである。
本発明の加工食品は、米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒と、米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌し、この殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒を配合することを特徴とするものである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
酵母発酵液製造
米麹1kgと蒸し米1kgに水62リットルを加え、この混合液に製パン用酵母100gを添加して30℃で3日間発酵させ、その後6℃で10日間保持し、その後70℃達温まで加熟して殺菌酵母微発酵希釈甘酒を取得した。
取得した殺菌酵母微発酵希釈甘酒のエタノール濃度は0.94%vol/volであった。また、定性分析ではクエン酸・リンゴ酸・コハク酸・酢酸・ギ酸を含むことが確認された。さらに微生物検査の結果、この殺菌酵母微発酵希釈甘酒では酵母は検出されなかった。
乳酸発酵液製造
米麹10kgと蒸し米10kgに実施例1で取得した殺菌酵母微発酵希釈甘酒20kgを加え十分に混合後に、55℃で5時間糖化処理を行った。その後、ナイシンAを産生する食品用乳酸菌を10の7乗・細胞/gの濃度になるよう添加し、37℃で16時間乳酸発酵を行わせた後に、80℃達温まで加熱し殺菌して発酵甘酒を得た。
得られた発酵甘酒は、乳酸発酵だけの発酵甘酒と比べて奥行きのある複雑な酸味の良好なものであった。
豆乳入り酵母発酵液製造
米麹1kgと蒸し米1kgに固形分9%の豆乳10リットルと水52リットルを加え、この混合液に清酒用乾燥酵母10gを添加して20℃で10日間発酵させ、その後4℃で14日間保持し、その後70℃達温まで加熱して殺菌豆乳入り酵母微発酵希釈甘酒を取得した。
取得した殺菌豆乳入り酵母微発酵希釈甘酒のエタノール濃度は0.90%vol/volであった。また、定性分析ではクエン酸・リンゴ酸・コハク酸を含むことが確認された。この殺菌豆乳入り酵母微発酵希釈甘酒では酵母は未検出であった。
豆乳入り乳酸発酵液製造
米麹10kgと蒸し米10kgに実施例3で取得した殺菌豆乳入り酵母微発酵希釈甘酒20kgを加え十分に混合後に、55℃で5時間糖化処理を行った。その後、食品用乳酸菌を10の7乗・細胞/gの濃度になるよう添加し、37℃で24時間乳酸発酵を行わせた後に、80℃達温まで加熱し殺菌して豆乳入り発酵甘酒を得た。
得られた豆乳入り発酵甘酒は、奥行きのある複雑な酸味を有し、且つ大豆タンパク質由来のアミノ酸がもたらす良好な旨味を有していた。
パンの試作
小麦強力粉280gに砂糖14g、食塩4.2g、製パン用酵母8.4gに水176mlと実施例4で製造した豆乳入り発酵甘酒20gを混ぜ、ホームベーカリーでパンを試作した。
試作したパンは良好な形状であり、隠し味としての酸味と旨味が調和した小麦の味が引き立った良好な風味であった。
本発明により、種々の有機酸を含有する奥行きのある味の発酵甘酒と種々の有機酸と旨味成分を含有する奥行きのある味の豆乳入り発酵甘酒の製造が可能となり、甘味系の飲料としての利用だけではなく、甘味・酸味・旨味のバランスの良い調味料としての活用が大きく広がる。
Claims (3)
- 米麹に蒸し米と水を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌しこの殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた種々の有機酸を含有する発酵甘酒の製造方法
- 米麹に蒸し米と水と豆乳を加え、食品製造用又は/及び酒類製造用酵母でエタノール濃度1%まで発酵させた豆乳入り発酵甘酒を10℃以下の温度で7日間以上熟成させた後に加熱殺菌しこの殺菌発酵甘酒にさらに米麹と蒸し米を加えて糖化後に乳酸菌を添加して乳酸発酵させた種々の有機酸と旨味成分を含有する豆乳入り発酵甘酒の製造方法
- 請求項1及び2記載の発酵甘酒を配合した加工食品
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JP2016257984A JP2018102283A (ja) | 2016-12-26 | 2016-12-26 | 有機酸発酵甘酒の製造方法 |
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JP2020074705A (ja) * | 2018-11-07 | 2020-05-21 | サッポロホールディングス株式会社 | 豆乳甘酒の製造方法及び豆乳甘酒 |
JP2021159039A (ja) * | 2020-04-02 | 2021-10-11 | 青源味噌株式会社 | 乳酸菌発酵食品の製造方法 |
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2016
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