JP2018101108A - 電子写真用部材、中間転写体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長期使用に亘っても、優れたトナー離型性を維持し、表面の帯電系列の変化が小さく、表面凹凸形状をもった記録媒体に対しても、良好なトナー転写効率を維持することのできる電子写真用部材を提供する。【解決手段】基層および表層を有する電子写真用部材であって、該表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含み、該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7であることを特徴とする電子写真用部材。【選択図】 なし
Description
本発明は、複写機やプリンタなどの電子写真画像形成装置において用いられる電子写真用部材、中間転写体及び電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置においては、下記の工程(i)および(ii)を有する中間転写方式が用いられているものがある。
工程(i):4色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を中間転写体の如き電子写真用部材の上に順次重ねる一次転写工程;
工程(ii):工程(i)を経て後、電子写真用部材上のトナー像を、記録媒体へ一括して転写する二次転写工程。
工程(i):4色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を中間転写体の如き電子写真用部材の上に順次重ねる一次転写工程;
工程(ii):工程(i)を経て後、電子写真用部材上のトナー像を、記録媒体へ一括して転写する二次転写工程。
かかる中間転写方式に用いられる中間転写体として、特許文献1では弾性層上に、トナー離型性に優れたフッ素樹脂粒子を含有した表層を配した構成が開示されている。フッ素樹脂粒子は低付着性成分として、汚れ防止などの低付着性が求められる場面で広く使用されており、中間転写部材の表層に適用した場合も、トナーと転写部材の表面との付着力が低下し、トナー離型性が向上する。このため、二次転写時のトナー転写効率が向上する。
一方、近年の電子写真方式においては負帯電トナーを使用する場合が多い。しかしながら、一般的にフッ素樹脂粒子は自身が強く負帯電しやすい性質がある。このため、中間転写方式における一次転写工程で、負帯電されたトナーが中間転写部材の表面に接触すると、トナー電荷が中間転写部材側に移行し、その結果トナー電荷が減衰する。
二次転写工程における中間転写部材からのトナー像の記録媒体への転写力は、一般式として、(トナー電荷q×転写電圧V)÷(転写部材の表面と記録媒体の表面との間の距離d)で決まる。そのため、トナー電荷が小さくなると、二次転写時の転写効率が低下することとなる。そのため、転写部材の表層に使用される材料は、帯電系列を考慮した材料設計が必要になる。ここでいう帯電系列とは、物質と物質を接触させたり、擦り合わせたりしたとき、それぞれが正負どちらに帯電するかを相対的に並べたものをいい、一般的にフッ素化合物は自身が強く負帯電しやすい傾向にある。
上記理由より、中間転写部材に用いる電子写真用部材に対しては、一次転写されたトナーの電荷を減衰させにくいことが求められる。
特許文献2では、中間転写ベルトの表面に、正帯電しやすい材質の球形微粒子と、離型性に優れる粒子の2種類の粒子を表面に存在させている。このようにすることで、トナー離型性の向上と、トナー電荷が過度に中間転写部材に移動することを防ぎ、トナー転写力が小さくなることを防止できるとされている。ここで使用されている、離型性に優れる粒子としてはシリコーンが使用されており、正帯電しやすい粒子とはアクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子の如き炭素骨格を有する有機物が使用されている。アクリル樹脂やメラミン樹脂は、フッ素樹脂に比べると正帯電しやすい傾向にあるため、トナー電荷の中間転写部材への移行が抑制できると記載されている。
特許文献2では、中間転写ベルトの表面に、正帯電しやすい材質の球形微粒子と、離型性に優れる粒子の2種類の粒子を表面に存在させている。このようにすることで、トナー離型性の向上と、トナー電荷が過度に中間転写部材に移動することを防ぎ、トナー転写力が小さくなることを防止できるとされている。ここで使用されている、離型性に優れる粒子としてはシリコーンが使用されており、正帯電しやすい粒子とはアクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子の如き炭素骨格を有する有機物が使用されている。アクリル樹脂やメラミン樹脂は、フッ素樹脂に比べると正帯電しやすい傾向にあるため、トナー電荷の中間転写部材への移行が抑制できると記載されている。
近年、電子写真画像形成装置に求められる印刷速度の高速化や、トナー転写効率のより一層の向上のために、中間転写部材上のトナー像を記録媒体に転写する際の印加電圧(以降、「二次転写電圧」ともいう)が高くなる傾向にある。
そして、二次転写電圧を高めた場合、中間転写部材の表面と像担持体との間に放電現象が生じること、当該放電現象によって中間転写部材中に含有されるアクリルや、シリコーンといった有機物成分は徐々に分解され、その特性が変化していくことが分かっている。以後、このような、放電に起因する中間転写部材(電子写真用部材)表面の特性が低下する現象を「放電劣化」と記載する。
そして、二次転写電圧を高めた場合、中間転写部材の表面と像担持体との間に放電現象が生じること、当該放電現象によって中間転写部材中に含有されるアクリルや、シリコーンといった有機物成分は徐々に分解され、その特性が変化していくことが分かっている。以後、このような、放電に起因する中間転写部材(電子写真用部材)表面の特性が低下する現象を「放電劣化」と記載する。
ここで、本発明者が特許文献2に係る転写部材について検討したところ、転写部材の表面に帯電トナーを接触させた後、トナーの単位質量当りの帯電量(以後、「トナートリボ」ともいう)を測定したとき、トナートリボの減少は確認されなかった。トナートリボの測定方法は後述する。
しかし、耐久後の転写部材は電子写真プロセス中に発生する放電現象に起因して転写部材の表面におけるアクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子の化学的な劣化が進み、トナー離型性の低下およびトナートリボの低下が確認された。
これらの事実より、転写部材には、耐放電劣化性を有し長期に亘って、トナー離型性と、安定的な帯電系列を維持することのできる電子写真用転写部材の開発が必要であることを本発明者は認識した。
そこで本発明の一態様は、長期使用に亘っても、優れたトナー離型性を維持し、表面の帯電系列の変化が小さく、表面に大きな凹凸形状をもった記録媒体に対しても、良好なトナー転写効率を維持することのできる電子写真用部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、上記電子写真用部材を用いた中間転写体、及び電子写真画像形成装置の提供に向けものである。
これらの事実より、転写部材には、耐放電劣化性を有し長期に亘って、トナー離型性と、安定的な帯電系列を維持することのできる電子写真用転写部材の開発が必要であることを本発明者は認識した。
そこで本発明の一態様は、長期使用に亘っても、優れたトナー離型性を維持し、表面の帯電系列の変化が小さく、表面に大きな凹凸形状をもった記録媒体に対しても、良好なトナー転写効率を維持することのできる電子写真用部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、上記電子写真用部材を用いた中間転写体、及び電子写真画像形成装置の提供に向けものである。
本発明の一態様によれば、
基層および表層を有する電子写真用部材であって、
該表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含み、
該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、
X:Yが、1:0.5〜1:5.7である電子写真用部材が提供される。
基層および表層を有する電子写真用部材であって、
該表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含み、
該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、
X:Yが、1:0.5〜1:5.7である電子写真用部材が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置に使用される中間転写体であって、
該中間転写体が、上記の電子写真用部材である中間転写体が提供される。
第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置に使用される中間転写体であって、
該中間転写体が、上記の電子写真用部材である中間転写体が提供される。
さらに、本発明の他の態様によれば、
第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置であって、
該中間転写体が、上記の電子写真用部材である電子写真画像形成装置が提供される。
第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置であって、
該中間転写体が、上記の電子写真用部材である電子写真画像形成装置が提供される。
本発明によれば、長期使用に亘っても、良好なトナー離型性、帯電系列の変化が小さい表面を有し、エンボス紙のような表面に大きな凹凸形状をもった記録媒体に対して、良好なトナー転写効率を維持することができる電子写真用部材を提供することができる。また、そのような電子写真用部材を用いた中間転写体、及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明に係る電子写真用部材は、基層および表層を有する。
表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含む。
表層の表面において観察されるシリカ粒子が、表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
表層の表面において観察されるフッ素樹脂粒子が、表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7である。
ここで「表層の表面」とは、表層の「基層と対向する側とは反対側」の表面を意味する。
表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含む。
表層の表面において観察されるシリカ粒子が、表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
表層の表面において観察されるフッ素樹脂粒子が、表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7である。
ここで「表層の表面」とは、表層の「基層と対向する側とは反対側」の表面を意味する。
ここで、フッ素樹脂粒子は表層の表面に低付着性成分として固定され、その一部が露出されている。しかし、上述のように、フッ素樹脂粒子は自身が強く負帯電する性質があるため、表面に接触した負帯電トナーの電荷量は転写部材側に移行することになり、相対的にトナートリボが低下する。トナートリボの低下は、二次転写時のトナー転写効率に不利に作用することは、上述のトナー転写力の一般式から理解できる。
一方で、フッ素樹脂粒子を表面に固着させた上で、さらに無機物であるシリカ粒子を表面に固定させ、その一部を露出させると、トナートリボが低下することはなかった。これは、無機物であるシリカ自身が強く正帯電する性質を持っているためと考えられる。また、シリカ粒子が表層内部にすべて埋まっている状態、つまり表面にシリカ粒子が露出していない状態においては、トナートリボが低下することを確認した。
このことから、負帯電しやすいフッ素樹脂粒子が表面に存在し露出していても、シリカ粒子が同時に表面に存在し露出することで、転写部材の表面は、低付着性を有しかつ、負帯電トナーが接触したときのトナー電荷が変化しないことが分かった。
ただし、シリカ粒子の表面存在量が少なすぎると、上述した表面の帯電系列の制御が難しく、フッ素樹脂粒子についても、少なすぎると低付着性を発現することが難しい。よって、両粒子を特定の割合で表面に共存させる必要がある。
ただし、シリカ粒子の表面存在量が少なすぎると、上述した表面の帯電系列の制御が難しく、フッ素樹脂粒子についても、少なすぎると低付着性を発現することが難しい。よって、両粒子を特定の割合で表面に共存させる必要がある。
単位面積3μm×3μmの領域に占めるシリカ粒子の面積率をXとし、単位面積3μm×3μmの領域に占めるフッ素樹脂粒子の面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7であるとき、上記課題を克服することができることを見出した。
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7であるとき、上記課題を克服することができることを見出した。
また、シリカ粒子は無機物であるため、有機物に比べて二次転写時に発生する放電現象による化学変化や、紙やトナー外添剤との摩擦による摩耗劣化が進行しにくいため、長期にわたって、転写部材の表面の帯電系列を安定的に維持することができる。
一方、フッ素樹脂粒子は、主たる分子構造としてC−F結合を持つが故に、高い耐熱性、耐候性、耐薬品性を有することが知られている。C−F結合は他の結合に比べ、結合エネルギーが高いため、放電劣化による主鎖の分解反応が進みにくい。C−F結合の結合エネルギーは、485kJ/molであり、シロキサン結合Si−Oの444kJ/molや、C−Cの356kJ/molに比べ主鎖の結合エネルギーが高いことが知られている。そのためシリコーン樹脂やアクリル樹脂などに比べ、放電劣化に対する耐性が強く、長期に亘ってトナー離型性を維持することができる。
〔電子写真用部材〕
以下、本発明に係る電子写真用部材の好適な実施の形態について説明する。
図2に本発明の一実施形態に係る電子写真用部材の断面概略図を示す。
電子写真用部材は、基層1、基層1の上に積層させた弾性層2、及び弾性層2の上に積層させた表層3を有している。なお、基層1と弾性層2との間には別の層があっても良く、弾性層2と表層3の間にも別の層があっても良い。表層3は、フッ素樹脂粒子4及びシリカ粒子5を含む。
表層3の表面とは、表層3の基層1と対向する側(弾性層2と接する側)とは反対側の表面を意味する。
以下、本発明に係る電子写真用部材の好適な実施の形態について説明する。
図2に本発明の一実施形態に係る電子写真用部材の断面概略図を示す。
電子写真用部材は、基層1、基層1の上に積層させた弾性層2、及び弾性層2の上に積層させた表層3を有している。なお、基層1と弾性層2との間には別の層があっても良く、弾性層2と表層3の間にも別の層があっても良い。表層3は、フッ素樹脂粒子4及びシリカ粒子5を含む。
表層3の表面とは、表層3の基層1と対向する側(弾性層2と接する側)とは反対側の表面を意味する。
電子写真用部材は、通常、体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上、1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。また、表層の表面で測定した表面抵抗率は、1.0×106Ω/□以上、1.0×1013Ω/□以下であることが好ましい。電子写真用部材の電気抵抗を上記のような半導電領域の範囲内に設定することによって、該電子写真用部材を中間転写体として用いた場合には、電子写真感光体からのトナー像の一次転写、及び二次転写をより安定して行うことができる。
〔基層〕
先ず、本発明の電子写真用部材に係る基層について説明する。
基層の形態としては、代表的には、樹脂に導電性付与剤を含有させた半導電性のフィルム及び円筒状のシームレスベルト、並びに、金属シャフトを軸芯体(芯金)とする半導電性のローラ状物が挙げられる。
先ず、本発明の電子写真用部材に係る基層について説明する。
基層の形態としては、代表的には、樹脂に導電性付与剤を含有させた半導電性のフィルム及び円筒状のシームレスベルト、並びに、金属シャフトを軸芯体(芯金)とする半導電性のローラ状物が挙げられる。
基層の樹脂としては、熱硬化性、熱可塑性いずれの樹脂を使用することも可能である。熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸(PLLA)樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フッ素変性された樹脂。これらの樹脂は、単独で用いても良く、ブレンド、アロイされた混合体として使用することもできる。
導電性付与剤としては、電子伝導性物質、イオン電導性物質、又はその両方を用いることが可能である。電子伝導性物質としてはカーボンブラック、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、ポリアニリンなどの導電性高分子が使用可能である。イオン電導性物質としては、過塩素酸ナトリウム、リチウム、カチオン性あるいはアニオン性のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、オキシアルキレン繰り返しユニットを持つオリゴマー、ポリマー化合物が使用可能である。
また、基層中には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、架橋剤、顔料を添加することができる。
基層の製造方法としては公知の製造方法を用いることができる。基層の樹脂としてポリイミドなどの熱硬化性樹脂を用いる場合は、以下のような溶液を、遠心成型装置を用いてコーティングし、焼成することによってシームレスベルトとして成型して製造することができる。
・導電性付与剤(例えば、カーボンブラック)をポリイミド前駆体もしくは可溶性ポリイミド及び溶剤に分散した溶液。
基層の製造方法としては公知の製造方法を用いることができる。基層の樹脂としてポリイミドなどの熱硬化性樹脂を用いる場合は、以下のような溶液を、遠心成型装置を用いてコーティングし、焼成することによってシームレスベルトとして成型して製造することができる。
・導電性付与剤(例えば、カーボンブラック)をポリイミド前駆体もしくは可溶性ポリイミド及び溶剤に分散した溶液。
また、樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、押出成形により製造することができる。具体的には、まず、導電性付与剤(例えば、カーボンブラック)と樹脂、必要であれば添加剤を混合し、2軸の混練装置などで溶融混練して半導電性のペレットを作製する。次に、該ペレットを溶融押し出しによりシート、フィルムあるいはシームレスベルト形状に押し出して、基層を得ることができる。基層は、これ以外にも、熱プレス、射出成型を使用して成形することもできる。また、成形したプリフォームを用いて延伸ブローによって半導電性フィルムを成形してもよい。
基層の厚みは、10μm以上、500μm以下、特には30μm以上、150μm以下が好ましい。
基層の厚みは、10μm以上、500μm以下、特には30μm以上、150μm以下が好ましい。
〔弾性層〕
次いで、本発明の電子写真用部材に係る弾性層について説明する。
本発明に使用できる弾性層としては、ウレタンゴム、EPDMゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、イソムプレンゴム、ブタジエンゴム等が用いられる。なかでも、記録媒体への良好な追従性を発現できる、優れた柔軟性を有し、硬化前後での形状変形が小さい付加硬化型シリコーンゴムの硬化物が好適である。
次いで、本発明の電子写真用部材に係る弾性層について説明する。
本発明に使用できる弾性層としては、ウレタンゴム、EPDMゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、イソムプレンゴム、ブタジエンゴム等が用いられる。なかでも、記録媒体への良好な追従性を発現できる、優れた柔軟性を有し、硬化前後での形状変形が小さい付加硬化型シリコーンゴムの硬化物が好適である。
中間転写ベルトにおいては、トナーを静電吸着させるため、中間転写ベルトの電気抵抗値を制御する必要があるため、弾性層においても、適宜導電材を添加することが好ましい。導電材としては、イオン導電性付与剤(例えば、高分子イオン系導電性付与剤、界面活性剤)、導電性高分子、導電性フィラー(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、導電性酸化チタン、導電性酸化錫、導電性マイカ)を例示することができる。温室度環境の変化に対する安定性や、染み出しによる変質や、当接部材の汚染等を鑑みると、導電性フィラーが好ましく、中でも電気抵抗値の制御が容易であるカーボンがより好適であるが、種々の導電材を込み合わせ使用することもできる。
また、導電材以外にも、触媒、充填剤、架橋促進剤、補強剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加材を適宜配合することもできる。
本発明における弾性層の製造方法としては、公知の塗布方法を用いることができる。塗布方法に特に制限はなく、スプレーコート、スリットコート、リングコート等が挙げられる。
本発明における弾性層の製造方法としては、公知の塗布方法を用いることができる。塗布方法に特に制限はなく、スプレーコート、スリットコート、リングコート等が挙げられる。
弾性層の厚みとしては、100μm以上、2mm以下、特には250μm以上、500μm以下が好ましい。100μm以上の厚みがあると、エンボス紙のような表面凹凸の大きい記録媒体へ、良好な追従性を発現することができる。また、2mm以下の膜厚であれば、ベルトを屈曲した場合の、表層への応力集中を緩和でき、表層の割れが発生しにくくなる。
〔表層〕
次に、本発明の電子写真用部材に係る表層について説明する。
表層は、前記弾性層の上に積層され、もっとも最表面に配される層である。表層の膜厚は、実機耐久条件での摩耗、損耗を考慮すると1μm以上が好ましく、ベルトを張架したときの耐屈曲性などを考慮すると10μm以下が好ましい。また、さらなる耐屈曲性が必要となる場合には5μm以下であることが好ましい。
次に、本発明の電子写真用部材に係る表層について説明する。
表層は、前記弾性層の上に積層され、もっとも最表面に配される層である。表層の膜厚は、実機耐久条件での摩耗、損耗を考慮すると1μm以上が好ましく、ベルトを張架したときの耐屈曲性などを考慮すると10μm以下が好ましい。また、さらなる耐屈曲性が必要となる場合には5μm以下であることが好ましい。
該表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含む。
そして、前記のように、該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとする。
このとき、Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7であることを特徴とする。
そして、前記のように、該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとする。
このとき、Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7であることを特徴とする。
[表層結着樹脂]
該表層に使用する結着樹脂としては特に制限はないが、ゴム弾性を有する弾性体の上に積層させる場合は、該表層においても弾性層の変形に追従できるだけの柔軟性が求められる。
弾性層と比較して、表層の硬度が高い(柔軟性が低い)場合、弾性層の変形に追従できずに表層に割れが発生し画像不良を発生する場合がある。このような柔軟性を有する表層材料としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性エラストマーなどの材料を使用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系などの熱可塑性エラストマーエラストマーが使用できる。また熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン系、フッ素などの熱硬化性樹脂が使用できる。
本発明おいては、柔軟性、粒子との接着性、機械的強度、耐薬品性などの観点から、ポリウレタン系熱硬化性樹脂が特に好ましい。
該表層に使用する結着樹脂としては特に制限はないが、ゴム弾性を有する弾性体の上に積層させる場合は、該表層においても弾性層の変形に追従できるだけの柔軟性が求められる。
弾性層と比較して、表層の硬度が高い(柔軟性が低い)場合、弾性層の変形に追従できずに表層に割れが発生し画像不良を発生する場合がある。このような柔軟性を有する表層材料としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性エラストマーなどの材料を使用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系などの熱可塑性エラストマーエラストマーが使用できる。また熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン系、フッ素などの熱硬化性樹脂が使用できる。
本発明おいては、柔軟性、粒子との接着性、機械的強度、耐薬品性などの観点から、ポリウレタン系熱硬化性樹脂が特に好ましい。
表層用の塗料(以下、表層塗料とも記載する)には、架橋剤に加え、導電性付与剤や酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、レベリング剤などの添加材を適宜用いることができる。
表層塗料の塗布方法としては、リングコート、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどの塗布手段が使用できる。
表層塗料の塗布方法としては、リングコート、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどの塗布手段が使用できる。
[フッ素樹脂粒子]
本発明に係る電子写真用部材においては、電子写真用部材の表面とトナーとの付着力を低減させるために、フッ素樹脂粒子を表面に固定させている。使用できるフッ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
フッ素樹脂粒子の個数平均粒径は、上記表面の存在割合を満たす範囲内であれば特に限定されるものではないが、表層の膜厚などを考慮すると、10nm〜1μm以下であることが好ましい。「上記表面の存在割合を満たす」とは、「シリカ粒子の面積率をXとし、フッ素樹脂粒子の面積率をYとしたときに、Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7である」ことを意味する(以下においても同様である)。
本発明に係る電子写真用部材においては、電子写真用部材の表面とトナーとの付着力を低減させるために、フッ素樹脂粒子を表面に固定させている。使用できるフッ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
フッ素樹脂粒子の個数平均粒径は、上記表面の存在割合を満たす範囲内であれば特に限定されるものではないが、表層の膜厚などを考慮すると、10nm〜1μm以下であることが好ましい。「上記表面の存在割合を満たす」とは、「シリカ粒子の面積率をXとし、フッ素樹脂粒子の面積率をYとしたときに、Xが、7%以上40%以下であり、かつ、X:Yが、1:0.5〜1:5.7である」ことを意味する(以下においても同様である)。
フッ素樹脂粒子を電子写真用部材の表層の表面へ固定化する方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。上記表層塗料を塗布した後、表層が硬化する前に、水や有機溶剤に分散させたPTFE粒子を、表面にスプレー塗布し、その後、表層塗料を硬化して、PTFEを固着させる方法。このとき、表層塗料に使用する溶媒の乾燥速度が速すぎる場合、PTFE分散塗料をスプレー塗布する間に乾燥が進み、PTFE粒子の固定が弱くなる場合がある。そのため、表層塗料に使用する溶媒として、メチルイソブチルケトン(MIBK)やメチルエチルケトン(MEK)などの比較的乾燥速度が速く、揮発性が高いものよりも、水やジオキサン、これらの混合溶媒が好ましい。
別の方法としては、以下のような方法を挙げることができる。一般的に、フッ素樹脂粒子は表面自由エネルギーが小さいため、系のエネルギーを最小にするために、最も系のエネルギーが不安定化する空気との界面に、自然と配置されるという現象を利用する方法。この現象を利用すれば、表層塗料に直接フッ素樹脂粒子を分散させておき、この表層の結着樹脂とPTFEの混合分散塗料を弾性体の上に塗布することで、自然と表層の表面にフッ素樹脂粒子を露出させることができるため簡便である。このときの、表層中におけるフッ素樹脂粒子の含有量は、上記表面の存在割合を満たすために、表層中の結着樹脂成分を基準として、10質量%以上、80質量%以下、特には20質量%以上、60質量%以下とすることが好ましい。含有量が10質量%以上であると、電子写真用部材の表面とトナーとの付着力を十分に下げることができる。また、80質量%以下とすることで、帯電系列の制御を行うために必要な量のシリカ粒子の面積を確保することができる。
フッ素樹脂粒子を表層塗料や、溶媒に分散させる場合は、塗料や溶媒との分散性を向上するために、フッ素樹脂粒子を表面処理しても良く、その他フッ素系の界面活性剤などの分散剤などを使用して分散させても良い。
本発明の電子写真用部材の表面のトナー離型性は、表層の撥油性を測定することで評価できる。
本発明の電子写真用部材の表面のトナー離型性は、表層の撥油性を測定することで評価できる。
一般的に、電子写真用部材の表面を高撥油性にすることで、電子写真用部材の表面のトナー離型性が向上する。これは、トナー粒子の表面に付着しているワックス成分によってトナー粒子が電子写真用部材の表面に付着することを、抑制するためである。そのため、電子写真用部材の表面が高撥油性であるほどトナー離型性に優れる傾向にある。
撥油性の評価には、プローブ液体として油性液体であるn−ヘキサデカンを用い、表層の表面における接触角を測定するのが一般的である。測定したn−ヘキサデカン接触角において、接触角が高いほどトナー離型性が高いことを示す。
本発明において十分なトナー離型性を発現するためには、n−ヘキサデカン接触角の範囲は、30.0°以上、60.0°以下である。n−ヘキサデカン接触角が30.0°以上であると、高い離型性を得ることができる。n−ヘキサデカン接触角を30.0°以上にするためには、上記したように、フッ素樹脂粒子の表層中における含有量を、表層中の結着樹脂成分を基準として、10質量%以上、特には20質量%以上とすることが好ましい。また、フッ素樹脂粒子を用いる場合、n−ヘキサデカン接触角は60.0°程度が上限となる。
本発明において十分なトナー離型性を発現するためには、n−ヘキサデカン接触角の範囲は、30.0°以上、60.0°以下である。n−ヘキサデカン接触角が30.0°以上であると、高い離型性を得ることができる。n−ヘキサデカン接触角を30.0°以上にするためには、上記したように、フッ素樹脂粒子の表層中における含有量を、表層中の結着樹脂成分を基準として、10質量%以上、特には20質量%以上とすることが好ましい。また、フッ素樹脂粒子を用いる場合、n−ヘキサデカン接触角は60.0°程度が上限となる。
[シリカ粒子]
本発明に係る電子写真用部材においては、中間転写体の表面の帯電系列を制御するために、シリカ粒子を表層の表面に固定させ、露出させる。シリカ粒子は、上記表面の存在割合を満たす範囲内であれば特に限定されないが、接触部材の傷付き抑制などの観点から、真球状のものが好ましく、表層の膜厚が10μm以下であること考慮すると、シリカ粒子の個数平均粒径としては、10nm〜2μm程度が好ましい。
本発明に係る電子写真用部材においては、中間転写体の表面の帯電系列を制御するために、シリカ粒子を表層の表面に固定させ、露出させる。シリカ粒子は、上記表面の存在割合を満たす範囲内であれば特に限定されないが、接触部材の傷付き抑制などの観点から、真球状のものが好ましく、表層の膜厚が10μm以下であること考慮すると、シリカ粒子の個数平均粒径としては、10nm〜2μm程度が好ましい。
シリカ粒子の表面への固定化方法は、上記フッ素樹脂粒子の分散液をスプレー塗布する手法と同様の方法を用いることができる。具体的には、まずシリカ粒子を水や有機溶剤に分散させたシリカ分散液を作製する。シリカは自己凝集性が強いため、必要であれば、シリカの表面処理や、分散剤などを使用しても分散させても良いが、弾性体へ先に塗布する表層塗料の硬化反応を阻害する作用のあるものはシリカ分散液には添加しない方が好ましい。シリカの分散に際しては、装置を使用しても良く、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ホモジナイザー、湿式メディアレス微粒化装置(ナノマイザー)などを使用して分散させても良い。シリカ分散剤の溶媒としては、水や有機溶媒などが用いることができるが、弾性体へ先に塗布する表層塗料の溶媒との相溶性を考慮するする必要がある。つまり、シリカ分散液の溶媒を、弾性体へ先に塗布される表層塗料の溶媒と相溶性が低いものを選択すると、それぞれが混じりあわずに、層分離して均一な表面状態を作製することが難しくなる。そのため、シリカ分散液の溶媒は、表層塗料と相溶性の良い溶媒か、可能なら同じ溶媒を使用することが好ましい。このようなシリカ分散液は、市販されているものでも良く、日産化学工業(株)製のスノーテックス(登録商標)(水分散シリカ分散液)などを用いることもできる。
このようなシリカ分散液の塗布は、上述の方法で弾性層上に表層塗料を塗布した後、この塗布した表層樹脂が硬化する前に、表面へシリカ分散液をスプレー塗布することで、シリカ粒子を表面へ固定化することができる。その後、表層塗料を硬化させると同時に、シリカ分散液の溶媒を蒸発により取り除くことで、表層樹脂へシリカ粒子を固定させることができる。このとき、表層塗料に使用する溶媒の乾燥速度が速すぎる場合、シリカ分散液をスプレー塗布する間に乾燥が進み、シリカ粒子の固定が弱くなることがある。そのため、表層塗料に使用する溶媒として、メチルイソブチルケトン(MIBK)やメチルエチルケトン(MEK)などの比較的乾燥速度が速く、揮発性が高いものを選択するよりは、水やジオキサンや、これらの混合溶媒とする方が好ましい。
[表面状態]
次に、本発明における転写部材の表面状態ついて説明する。
図3は、転写ベルト表面を真上から、SEM(走査型電子顕微鏡)(XL30 SFEG、PHLIPS社製)を用いて、加速電圧5kV、倍率25000倍で観察した画像である。画像のサイズは3μm×3μmである。また、図4には、図3を画像処理することによってPTFE粒子と、シリカ粒子に色をつけて塗り分けて、それぞれの粒子を区別した画像を示す。図4の黒色部分は、樹脂表面であり、グレー部分はPTFE粒子であり、白塗りの部分がシリカ粒子を示している。この図4より、各粒子の面積率を計算することができる。
次に、本発明における転写部材の表面状態ついて説明する。
図3は、転写ベルト表面を真上から、SEM(走査型電子顕微鏡)(XL30 SFEG、PHLIPS社製)を用いて、加速電圧5kV、倍率25000倍で観察した画像である。画像のサイズは3μm×3μmである。また、図4には、図3を画像処理することによってPTFE粒子と、シリカ粒子に色をつけて塗り分けて、それぞれの粒子を区別した画像を示す。図4の黒色部分は、樹脂表面であり、グレー部分はPTFE粒子であり、白塗りの部分がシリカ粒子を示している。この図4より、各粒子の面積率を計算することができる。
本発明における、フッ素樹脂粒子とシリカ粒子は、表面にそれぞれの特定の面積率で存在させることで前記課題を解決することができる。その特定の面積率とは、シリカ粒子が表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、フッ素樹脂粒子が表面における該領域に占める面積率をYとしたとき、Xが7%以上40%以下であり、X:Yが1:0.5〜1:5.7のときである。
すなわち、Xが7%以上であれば、帯電系列の制御を行うために必要な量のシリカ粒子の存在割合を十分に確保することができる。また、Xが40%以下であれば、
さらに、X:Yを、1:0.5〜1:5.7にすることで、先に挙げたシリカ粒子の表面への必要量と、転写部材の表面とトナーとの付着力を十分に下げるに足りるフッ素樹脂粒子との必要量を同時に満たすことができる。
さらに、X:Yを、1:0.5〜1:5.7にすることで、先に挙げたシリカ粒子の表面への必要量と、転写部材の表面とトナーとの付着力を十分に下げるに足りるフッ素樹脂粒子との必要量を同時に満たすことができる。
シリカ粒子および、フッ素樹脂粒子は、上記範囲を満たしていれば、球形でも非球形でも良く、それぞれが凝集していても良い。現行の電子写真装置に使用されているトナー粒子の個数平均粒径は約4μ〜10μm程度である。このため、転写部材の表面における縦3μm×横3μmの正方形領域の一辺はトナー粒子の個数平均粒径よりも小さい。そのため、上記範囲を満たしていれば、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子の双方の効果を現行のトナー粒子に与えることができる。
図3のシリカ粒子とフッ素粒子は、EDX(エネルギー分散型X線分光法)マッピングを行い、それぞれの元素を同定することで区別することができる。EDXマッピングは、転写ベルトの表面をカーボンで蒸着したうえで、その表面に対してEDXマッピング分析を行う。EDXマッピング分析は、SEM(XL30 SFEG、PHLIPS社製)に装着されたEDX(NEW XL30 132−2.5、EDAX社製)を用い、加速電圧20kV、倍率25000倍の条件で行うことで得ることができる。
また、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子は、表層の表面に一部が埋没して保持された状態となるため、長期使用によっても各粒子は脱離せず、転写部材の表面に存在させ続けることができる。粒子の埋没率としては、表層の深さ方向に50%を超え100%に満たない範囲であれば、電子写真装置の実用的な使用環境においても粒子の脱離も発生しにくいため好適である。「粒子の埋没率」とは、「表層の表面に垂直な平面」に投影される粒子の「表層の表面に垂直な方向の長さ」(図2に示すh1)のうち、埋没している部分の長さ(図2に示すh2)の割合(h2/h1)を意味する。
一方で、硬化された表層に、粒子をただ振りかけただけでは、埋没率は0%である。その場合、初期状態では転写部材の表面に存在し、トナートリボを安定化させるが、数十枚印刷しただけで徐々に表面からシリカ粒子は取り除かれ、最終的には無くなることを確認している。また、トナーの外添剤として使用されるシリカ粒子が転写プロセス中で転写部材の表面に付着する場合もあるが、やはり残留トナーのクリーニング工程などを経て無くなってしまう。このため、長期にわたって安定な帯電特性を発現するためには表面へ固定化させることが必要である。
転写部材の断面出しには日本電子(株)製のクロスセクションポリッシャ(商品名)SM09010などを使用することができる。処理条件としては、転写部材の材質にも依るが、樹脂やゴム組成である場合は、加速電圧4kVで、カレント電流が20〜30μAになるようにArガス流量を設定する。処理時間は、転写部材の膜厚にもよるが、500μm程度であれば15時間〜20時間ほどとする。このような条件で、断面を作製することができる。この作製した断面出しサンプルについて、SEM観察を行うことで粒子の埋没率を確認することができる。
[電子写真用部材の製造方法]
以下に、本発明の電子写真用部材の具体的な製造方法を、中間転写ベルトを例にとって説明する。なお、上述の方法にて製造されたポリイミド基層と、ポリイミド基層上にシリコーンゴム弾性層とを有する中間転写ベルトを使用した。
以下に、本発明の電子写真用部材の具体的な製造方法を、中間転写ベルトを例にとって説明する。なお、上述の方法にて製造されたポリイミド基層と、ポリイミド基層上にシリコーンゴム弾性層とを有する中間転写ベルトを使用した。
表層の結着樹脂塗料としては、熱硬化性の水系ポリウレタン塗料などが使用できるが、表層塗料にPTFE粒子があらかじめ分散されている市販の塗料を使用することもできる。このようなPTFE含有の表層塗料として、ヘンケルジャパン(株)製のEmralon(登録商標)T-345、Emralon T-861、Emralon T-820などがある。これら塗料の硬化剤としては、ヘンケルジャパン(株)製のWH−1や、WH−2などを使用することができる。
シリカ粒子分散液については、市販品として、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子(商品名:スノーテックス ST−ZL)などが使用できる。
シリカ粒子分散液については、市販品として、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子(商品名:スノーテックス ST−ZL)などが使用できる。
表層塗料の塗布に先立ち、弾性層の表面の親水化処理を行う。シリコーンゴムは基本的に撥水性であり、そのままでは表層塗料を均一に塗布することができない。このため、プラズマ処理、エキシマUV処理、プライマー層の塗布などの手段により、シリコーンゴムの表面改質を行うことが好ましい。
弾性層の表面が十分に親水化した後、表層塗料を塗布する。まず、PTFE含有のウレタンディスパージョンを、スプレーコートによって弾性層の上に塗布する。このとき、スプレーの塗布条件や、表層の固形分濃度を調整することで表層の膜厚を制御することができる。
次に、先に塗布したウレタンディスパージョンを硬化する前に、シリカ分散液のスプレー塗布を行う。塗布方法は表層時と同様の方法を用いることができる。
シリカ分散液の塗布後、常温常湿環境下で約30分間乾燥させた後、表層の硬化温度まで加熱焼成することで、表層の硬化反応を進めると同時に、シリカ分散液の溶媒を完全に蒸発させて取り除く。加熱手段としては焼成炉や、赤外線加熱や、ハロゲンランプヒーターなどの加熱装置を適宜使用できる。例えば130℃に設定した焼成炉内に表層塗料とシリカ分散液を塗布した転写ベルト入れて、90分間焼することで、表層表面へPTFE粒子と、シリカ粒子を固定させた中間転写ベルトを作製することができる。
シリカ分散液の塗布後、常温常湿環境下で約30分間乾燥させた後、表層の硬化温度まで加熱焼成することで、表層の硬化反応を進めると同時に、シリカ分散液の溶媒を完全に蒸発させて取り除く。加熱手段としては焼成炉や、赤外線加熱や、ハロゲンランプヒーターなどの加熱装置を適宜使用できる。例えば130℃に設定した焼成炉内に表層塗料とシリカ分散液を塗布した転写ベルト入れて、90分間焼することで、表層表面へPTFE粒子と、シリカ粒子を固定させた中間転写ベルトを作製することができる。
〔電子写真画像形成装置〕
図1の電子写真画像形成装置100は、カラー電子写真画像形成装置(カラーレーザープリンタ)である。この電子写真画像形成装置には、中間転写体である中間転写ベルト7の平坦部分に沿って、その移動方向に順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色の画像形成ユニットPy、Pm、Pc、及びPkが配設されている。1Y、1M、1C、及び1Kはそれぞれ電子写真感光体を示し、2Y、2M、2C、及び2Kはそれぞれローラ形状の帯電部材(以降、「帯電ローラ」ともいう)を示し、3Y、3M、3C、及び3Kはそれぞれレーザー露光装置を示す。4Y、4M、4C、及び4Kはそれぞれ現像器を示し、5Y、5M、5C、及び5Kはそれぞれ一次転写ローラを示す。各画像形成ユニットの基本的な構成は同一であるので、画像形成ユニットの詳細については、イエロー画像形成ユニットPyについてのみ説明する。
図1の電子写真画像形成装置100は、カラー電子写真画像形成装置(カラーレーザープリンタ)である。この電子写真画像形成装置には、中間転写体である中間転写ベルト7の平坦部分に沿って、その移動方向に順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色の画像形成ユニットPy、Pm、Pc、及びPkが配設されている。1Y、1M、1C、及び1Kはそれぞれ電子写真感光体を示し、2Y、2M、2C、及び2Kはそれぞれローラ形状の帯電部材(以降、「帯電ローラ」ともいう)を示し、3Y、3M、3C、及び3Kはそれぞれレーザー露光装置を示す。4Y、4M、4C、及び4Kはそれぞれ現像器を示し、5Y、5M、5C、及び5Kはそれぞれ一次転写ローラを示す。各画像形成ユニットの基本的な構成は同一であるので、画像形成ユニットの詳細については、イエロー画像形成ユニットPyについてのみ説明する。
イエロー画像形成ユニットPyは、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」又は「第1の画像担持体」とも称する)1Yを有する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製のシリンダを基体として、その上に電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層をこの順に積層して形成したものである。
また、イエロー画像形成ユニットPyは、帯電手段としての帯電ローラ2Yを備えている。帯電ローラ2Yに帯電バイアスを印加することで、感光ドラム1Yの表面は一様に帯電される。
感光ドラム1Yの上方には、画像露光手段としてのレーザー露光装置3Yが配設されている。レーザー露光装置3Yは、一様に帯電された感光ドラム1Yの表面を画像情報に応じて走査露光して、イエロー色成分の静電潜像をその感光ドラム1Yの表面に形成する。
感光ドラム1Yの上方には、画像露光手段としてのレーザー露光装置3Yが配設されている。レーザー露光装置3Yは、一様に帯電された感光ドラム1Yの表面を画像情報に応じて走査露光して、イエロー色成分の静電潜像をその感光ドラム1Yの表面に形成する。
感光ドラム1Yに形成された静電潜像は、現像手段としての現像器4Yによって現像剤であるトナーが付着されて現像される。現像器4Yは、現像剤担持体である現像ローラ4Ya、現像剤量規制部材である規制ブレード4Ybを備えており、また現像剤であるイエロートナーを収容している。イエロートナーが供給された現像ローラ4Yaは、現像部において感光ドラム1Yと軽圧接されており、感光ドラム1Yと順方向に速度差を持って回転される。現像ローラ4Yaによって現像部に搬送されたイエロートナーは、現像ローラ4Yaに現像バイアスを印加することで、感光ドラム1Yに形成された静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1Yに可視像(イエロートナー像)が形成される。
中間転写ベルト7は、駆動ローラ71、テンションローラ72、従動ローラ73に張架されており、感光ドラム1Yと接触して図中矢印の方向に移動(回転駆動)される。
一次転写部Tyに到達した感光ドラム(第1の画像担持体)の上に形成されたイエロートナー像は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1Yに対向して配置されている一次転写体(一次転写ローラ5Y)によって中間転写ベルト7上に一次転写される。
一次転写部Tyに到達した感光ドラム(第1の画像担持体)の上に形成されたイエロートナー像は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1Yに対向して配置されている一次転写体(一次転写ローラ5Y)によって中間転写ベルト7上に一次転写される。
同様に、以上の作像動作を、中間転写ベルト7の移動に伴ってマゼンダ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各ユニットPm、Pc、及びPkにおいて行う。そして、中間転写ベルト7上にイエロー、マゼンダ、シアン、及びブラックの4色のトナー像を積層する。4色のトナー像は中間転写ベルト7の移動に従って搬送され、二次転写部T’において、二次転写手段としての二次転写ローラ8により、所定のタイミングで搬送されてくる転写材S(以下、「第2の画像担持体」とも称する)上に一括転写される。このような二次転写においては通常十分な転写率を確保するために数kVの転写電圧を印加するが、その際に転写ニップ近傍において放電が発生することがある。なお、この放電が中間転写体の表面特性の低下の一因となっている。
転写材Sは、転写材Sが収納されているカセット12から、ピックアップローラ13によって搬送路に供給される。搬送路に供給された転写材Sは、搬送ローラ対14及びレジストローラ対15によって中間転写ベルト7に転写された4色のトナー像と同期をとられて二次転写部T’まで搬送される。
転写材Sに転写されたトナー像は、定着器9によって定着されて、例えばフルカラーの画像となる。定着器9は、加熱手段を備えた定着ローラ91と加圧ローラ92とを有し、転写材S上の未定着トナー像を加熱、加圧することで定着する。その後、転写材Sは搬送ローラ対16、排出ローラ対17などによって機外に排出される。
中間転写ベルト7のクリーニング手段であるクリーニングブレード11が、中間転写ベルト7の駆動方向の二次転写部T’の下流に配設されており、二次転写部T’において転写材Sに転写されずに中間転写ベルト7に残った転写残トナーを除去する。
以上説明したように感光体から中間転写ベルト、中間転写ベルトから転写材へトナー像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の転写材へ記録を繰り返すことで電気的転写プロセスがさらに繰り返し行われることになる。
以上説明したように感光体から中間転写ベルト、中間転写ベルトから転写材へトナー像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の転写材へ記録を繰り返すことで電気的転写プロセスがさらに繰り返し行われることになる。
そして、上記電子写真画像形成装置における中間転写ベルトとして、前記した本発明の電子写真用部材を用いることにより、中間転写ベルトから紙などの記録媒体へのトナー像の転写(二次転写)の効率の経時的な変化が抑制される。その結果として、高品位な電子写真画像を長期間に亘って形成することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明する。各実施例及び比較例において、混合分散液の材料としては、溶剤により希釈・分散されているものがあるが、各材料の使用量(質量部)は、特に示さない限り不揮発分に関する量であって、溶剤(揮発分)が除かれた量を意味する。実施例に先立って、先ず、作製した中間転写体の表面粒子の面積率を測定する方法及び評価方法を説明する。
〔表面粒子の面積率の測定方法〕
以下に、フッ素樹脂粒子とシリカ粒子の面積率の計算方法について説明する。
まず、転写ベルトの表面画像を得るために、SEM(XL30 SFEG、PHLIPS社製)を用いて、加速電圧5kV、倍率25000倍で撮影した。その後、得られた画像サイズを、3μm×3μmにした。画像のサイズ変更には、Adobe社製の画像処理ソフトウェア、Photoshop(登録商標)などの画像処理ソフトを使用できる。本実施例及び比較例では、Photoshop CS2(バージョン9.0)を使用した。
以下に、フッ素樹脂粒子とシリカ粒子の面積率の計算方法について説明する。
まず、転写ベルトの表面画像を得るために、SEM(XL30 SFEG、PHLIPS社製)を用いて、加速電圧5kV、倍率25000倍で撮影した。その後、得られた画像サイズを、3μm×3μmにした。画像のサイズ変更には、Adobe社製の画像処理ソフトウェア、Photoshop(登録商標)などの画像処理ソフトを使用できる。本実施例及び比較例では、Photoshop CS2(バージョン9.0)を使用した。
まず、PhotoshopCS2(バージョン9.0)を立ちあげたら、上記撮影したSEM画像をPhotoshopに読み込み、カンバスサイズを変更することで画像サイズを変更することができる。以下では「画像サイズを変更する」とは、変更後のカンバスサイズを、変更前のカンバスサイズよりも小さくすることによって、変更前の画像の一部を切り取ることを意味する。画像サイズの変更については、測定したSEM画像における1Pixelあたりの長さを算出しておき、画像の大きさが縦3μm×横3μmになるようにPixel値を設定することで変更することができる。上記条件で撮影したSEM画像に関しては、Adobe PhotoshopCS2を使用し、画像上にマウスポインタを置いた状態でマウスの右ボタンをクリックし、「カンバスサイズ」を選択した。そして、幅(W)と高さ(H)を、それぞれ432Pixelに設定することで、縦3μm×横3μmのサイズの画像を得た。
次に、SEM画像中のフッ素樹脂粒子と、シリカ粒子に色をつけて塗り分ける。この画像処理についても、Adobe社製の画像処理ソフトウェア、Photoshopなどを用いて行うことができる。本実施例及び比較例では、Photoshop CS2(バージョン9.0)を使用した。
まず、PhotoshopCS2(バージョン9.0)を立ち上げ、上記方法で得た縦3μm×横3μmのSEM画像を、Photoshopに読み込み、「イメージ」タブを選択し、「色調補正」を選択し、「2階調化」を選択した。そして「2階調化する境界のしきい値」を設定した。「2階調化する境界のしきい値」は、プレビュー画像を確認しながら、しきい値ヒストグラムの下に表示されるスライダーを左右に動かして、画像中の各粒子と結着樹脂とがなるべく明瞭に区別できる位置で設定した。明瞭に区別できる位置としては、概ね、しきい値ヒストグラムの山の頂点付近から右側の裾野までの距離を1としたとき、ヒストグラムの山の右側裾野から、山の頂点側に0.3〜0.6程度の位置にしきい値(スライダー)を設定した。2階調化を行うことで、フッ素樹脂粒子及びシリカ粒子の色を白色(RGBカラーモデルでいう、R=255、G=255、B=255)、表層樹脂を黒色(R=0、G=0、B=0)として塗り分けることができた。
まず、PhotoshopCS2(バージョン9.0)を立ち上げ、上記方法で得た縦3μm×横3μmのSEM画像を、Photoshopに読み込み、「イメージ」タブを選択し、「色調補正」を選択し、「2階調化」を選択した。そして「2階調化する境界のしきい値」を設定した。「2階調化する境界のしきい値」は、プレビュー画像を確認しながら、しきい値ヒストグラムの下に表示されるスライダーを左右に動かして、画像中の各粒子と結着樹脂とがなるべく明瞭に区別できる位置で設定した。明瞭に区別できる位置としては、概ね、しきい値ヒストグラムの山の頂点付近から右側の裾野までの距離を1としたとき、ヒストグラムの山の右側裾野から、山の頂点側に0.3〜0.6程度の位置にしきい値(スライダー)を設定した。2階調化を行うことで、フッ素樹脂粒子及びシリカ粒子の色を白色(RGBカラーモデルでいう、R=255、G=255、B=255)、表層樹脂を黒色(R=0、G=0、B=0)として塗り分けることができた。
次にフッ素樹脂粒子と、シリカ粒子を、それぞれEDXで得られた情報を参考に、Photoshopソフト上で、手動で塗り分けた。ここでは、後の面積率算出時の作業性を考慮して、フッ素樹脂粒子を赤色(RGBカラーモデルでいう、R=255、G=0、B=0)に塗り、シリカ粒子を、白色(R=255、G=255、B=255)の状態で残す方法について説明する。先の2階調化でシリカ粒子及びフッ素樹脂粒子は、白色に塗られている。画像中に存在するすべてのフッ素樹脂粒子を、赤色に設定したペンツールを用いて塗っていく。これらの画像処理により、フッ素樹脂粒子を赤色(R=255、G=0、B=0)、シリカ粒子を白色(R=255、G=255、B=255)、表層樹脂を黒色(R=0、G=0、B=0)として塗り分けた、図4を得ることができた。
次に、図4を使用して、それぞれの粒子の表層表面における面積率を算出する方法について説明する。面積率の算出には、画像処理、画像計測、データ処理が可能なソフトウェアなら、どのようなものを用いても構わない。実施例および比較例では、三谷商事(株)から販売されている画像解析・計測ソフトウエア(商品名:Win−ROOF(ver.6.4))を使用した。まずWin−ROOFを立ち上げ、ソフトに図4に示す画像データを読み込ませ、ソフト上のツールバーから「2値化処理」を選択し「色抽出」を選択した。まずは、色抽出画面で、フッ素樹脂粒子の面積率を計算するために、R=255、G=0、B=0と値を設定し、「実行」を選択した。次に、ツールバーから「計測」を選択し、「総面積・個数」から「面積率」にチェックを入れて「実行」を選択して、画像上に占める赤色部分の面積率を表示させた。同様の操作で、色抽出でR=255、G=255、B=255と設定して面積を計算させて、白色部分(つまりシリカ粒子)の面積率を算出させた。この方法で、フッ素樹脂粒子、シリカ粒子のそれぞれの面積率を計算させた。
〔1.帯電系列の評価〕
実施例及び比較例に係る中間転写体のトナートリボの評価は、Q/mメーター(トレック・ジャパン(株)製、吸引式小型帯電量測定装置「MODEL 212HS」)を使用して測定した。
まず、測定する転写ベルトを10cm×10cmの大きさに切り、同じ10cm×10cmの大きさのSUS板に、基層側とSUS板とを両面テープで貼り付け、トリボ測定用サンプル1とした。これと同じものをもう一枚用意し、トリボ測定用サンプル2とした。サンプル2のSUS板側の中心部には200gの重りを両面テープで固定した。
実施例及び比較例に係る中間転写体のトナートリボの評価は、Q/mメーター(トレック・ジャパン(株)製、吸引式小型帯電量測定装置「MODEL 212HS」)を使用して測定した。
まず、測定する転写ベルトを10cm×10cmの大きさに切り、同じ10cm×10cmの大きさのSUS板に、基層側とSUS板とを両面テープで貼り付け、トリボ測定用サンプル1とした。これと同じものをもう一枚用意し、トリボ測定用サンプル2とした。サンプル2のSUS板側の中心部には200gの重りを両面テープで固定した。
次に、imagePRESS C800;キヤノン(株)製に搭載されているトナー0.1gを量り取り、先に用意したサンプル1の表面に均一に振りかけた。その後、サンプル1の表面と、サンプル2の表面とをゆっくり重ね合わせた。次に、トナーを摩擦帯電させるために、サンプル2のみが動くように、サンプル1を固定させ、上方向に5cm動かし、元の位置に戻した。次いで、下方向にも5cm移動させ元に戻した。これを3回繰り返した。同様に、右方向、左方向にも各3ずつ繰り返し、サンプル2を動かして挟まれたトナーを摩擦帯電させた。その後、サンプル2を外し、サンプル1上のトナーをQ/mメーターで吸引し、ある程度トナーを吸引したら、帯電量を測定した。吸引したトナーの質量を測定し、トナー電荷を吸引トナーの質量で割ることでトナートリボを計算した。この操作を一つのサンプルに対して、3回繰り返し、3回の平均値をトナートリボとした。
〔2.トナー離型性の評価〕
実施例及び比較例に係る中間転写体のトナー離型性は、表層のn−ヘキサデカン接触角を測定することで評価した。接触角の測定は、接触角計(協和界面科学(株)製、「DROPMASTER(商品名)500」)を用い、プローブ液体としてn−ヘキサデカンを用いて行った。なお、滴下するn−ヘキサデカン液量は1μL、測定時間は5秒とした。
実施例及び比較例に係る中間転写体のトナー離型性は、表層のn−ヘキサデカン接触角を測定することで評価した。接触角の測定は、接触角計(協和界面科学(株)製、「DROPMASTER(商品名)500」)を用い、プローブ液体としてn−ヘキサデカンを用いて行った。なお、滴下するn−ヘキサデカン液量は1μL、測定時間は5秒とした。
〔3.画像評価〕
フルカラー電子写真画像形成装置(商品名:imagePRESS C800;キヤノン(株)製)に装着されている中間転写ベルトに代えて、各実施例または比較例に係る中間転写体(中間転写ベルト)を装着した。そして、A4サイズの普通紙(商品名CS814、キヤノン(株)製)上に、Blueベタ画像を50,000枚出力した。なお、画像の形成には、上記電子写真画像形成装置のプリントカートリッジに搭載されているシアンおよびマゼンタ現像剤を用いた。また、画像の出力は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境下で行った。
フルカラー電子写真画像形成装置(商品名:imagePRESS C800;キヤノン(株)製)に装着されている中間転写ベルトに代えて、各実施例または比較例に係る中間転写体(中間転写ベルト)を装着した。そして、A4サイズの普通紙(商品名CS814、キヤノン(株)製)上に、Blueベタ画像を50,000枚出力した。なお、画像の形成には、上記電子写真画像形成装置のプリントカートリッジに搭載されているシアンおよびマゼンタ現像剤を用いた。また、画像の出力は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境下で行った。
前記画像出力後、シアンとマゼンダの現像剤を用いて、エンボス紙であるレザック66 250g A3サイズ紙を使用し、2次色のベタ画像を出力し、得られたベタ画像を次の手順で評価した。ベタ画像をスキャナー(商品名:CanoScan 9000F、キヤノン(株)製)を用い、読み取り解像度600dpi、画像補正処理OFFで画像を読み込み、2,550×2,550ピクセル(およそ10.8×10.8cm)の範囲でトリミングを行った。得られた画像を表示倍率200%で目視により観察し、色ムラが見られるか否か、見られる場合はどの程度かを下記の基準により評価した。
ランクA:色ムラが全く見られず良好。
ランクB:色ムラがほとんど見られず良好。
ランクC:画像の半分程度の領域に色ムラが認められる。
ランクD:画像の全面に亘って色ムラが認められる。
ランクB:色ムラがほとんど見られず良好。
ランクC:画像の半分程度の領域に色ムラが認められる。
ランクD:画像の全面に亘って色ムラが認められる。
〈実施例1〉
[基層]
下記の材料を、2軸混練機((株)池貝製 PCM30)を用いて混練し、これらのペレット体を得た。
・ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス社製 VICTREX(登録商標)PEEK450G)
・アセチレンブラック(デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)粒状品)
ポリエーテルエーテルケトンが80質量%、アセチレンブラックが20質量%となるよう、各々重量フィーダを用いて、2軸混練機に投入した。2軸混練機のシリンダ設定温度は、材料投入部を320℃とし、シリンダ下流およびダイは360℃とした。2軸混練機のスクリュ回転数は300rpmとし、材料供給量は8kg/hとした。
[基層]
下記の材料を、2軸混練機((株)池貝製 PCM30)を用いて混練し、これらのペレット体を得た。
・ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス社製 VICTREX(登録商標)PEEK450G)
・アセチレンブラック(デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)粒状品)
ポリエーテルエーテルケトンが80質量%、アセチレンブラックが20質量%となるよう、各々重量フィーダを用いて、2軸混練機に投入した。2軸混練機のシリンダ設定温度は、材料投入部を320℃とし、シリンダ下流およびダイは360℃とした。2軸混練機のスクリュ回転数は300rpmとし、材料供給量は8kg/hとした。
次いで、得られたペレットを用い、円筒押出成形することでベルトを得た。円筒押出成形は、単軸押出機((株)プラスチック工学研究所製 GT40)および、直径300mm、隙間1mmの円形開口部を有する円筒ダイを用いて行った。重量フィーダを用い、ペレットを4kg/hの供給量で単軸押出機に供給した。単軸押出機のシリンダ設定温度は、材料投入部を320℃とし、シリンダ下流および円筒ダイは380℃とした。単軸押出機から吐出された熔融樹脂は、ギアポンプを経て、円筒ダイから押し出され、円筒引取機により、厚さ60umとなる速度にて引き取られた。引き取られる過程において、円筒ダイと円筒引取機の間に設けられた冷却マンドレルと接触することで冷却・固化された。固化した樹脂が、円筒引取機の下部に設置された円筒切断機にて、幅300mmとなるよう切断され、結晶性熱可塑性樹脂ベルトが得られた。
[弾性層]
上記方法にて製造した結晶性熱可塑性樹脂ベルトを、円筒形状を有する中子に嵌め合わせた。中子の表面には吸着用の穴を設け、嵌め合わせた結晶性熱可塑性樹脂ベルトをエア吸着により保持した。中子の中心軸と同軸上に熱硬化性液状ゴムを吐出するためのリングノズルを設置した。リングノズルの内径は、直径301mmである。熱硬化性液状ゴムは、付加硬化型液状シリコーンゴムを用いて、硬化後の体積抵抗率を1.0×108Ω・cm〜1.0×1012Ω・cm程度になるようにカーボンブラックを配合したものを使用した。リングノズルには、内面に幅1mmの一様なスリットが設けられており、送液ポンプにより液状シリコーンゴムをリングノズルに供給することで、リングノズルのスリットからリング状に液状シリコーンゴムが吐出された。
上記方法にて製造した結晶性熱可塑性樹脂ベルトを、円筒形状を有する中子に嵌め合わせた。中子の表面には吸着用の穴を設け、嵌め合わせた結晶性熱可塑性樹脂ベルトをエア吸着により保持した。中子の中心軸と同軸上に熱硬化性液状ゴムを吐出するためのリングノズルを設置した。リングノズルの内径は、直径301mmである。熱硬化性液状ゴムは、付加硬化型液状シリコーンゴムを用いて、硬化後の体積抵抗率を1.0×108Ω・cm〜1.0×1012Ω・cm程度になるようにカーボンブラックを配合したものを使用した。リングノズルには、内面に幅1mmの一様なスリットが設けられており、送液ポンプにより液状シリコーンゴムをリングノズルに供給することで、リングノズルのスリットからリング状に液状シリコーンゴムが吐出された。
結晶性熱可塑性樹脂ベルトが嵌め合わされた中子とリングノズルとを軸方向に相対移動させつつ、送液ポンプにより液状シリコーンゴムを吐出することで、結晶性熱可塑性樹脂ベルト上に液状シリコーンゴムが塗布された。液状シリコーンゴム層の厚みが350mmとなるよう相対移動速度および送液ポンプからの吐出量を調整した。また、幅方向の塗布領域は、結晶性熱可塑性樹脂ベルト幅300mmに対し、両端部10mmずつ把持代をもたせるために、280mmとした。
上記結晶性熱可塑性樹脂ベルト上に塗布された熱硬化性液状ゴムは、中子に結晶性熱可塑性樹脂ベルトを嵌め合わせた状態で、120℃に温度調節された電気炉にて30分間加熱することで、一次架橋処理を行った。その後、電気炉から取り出し、常温雰囲気にて徐冷し、結晶性熱可塑性樹脂ベルトおよび熱硬化性液状ゴムを中子から取り外し、ベルト部材を得た。
[表層]
表層塗料として、ポリウレタンディスパージョンとPTFEの分散したヘンケルジャパン(株)製のEmralon T-861を主剤とし、硬化剤はヘンケルジャパン(株)製のWH−1を使用した。主剤に対する硬化剤の添加量は、質量で95:5となるように調整し、表層塗料を得た。
表層塗料として、ポリウレタンディスパージョンとPTFEの分散したヘンケルジャパン(株)製のEmralon T-861を主剤とし、硬化剤はヘンケルジャパン(株)製のWH−1を使用した。主剤に対する硬化剤の添加量は、質量で95:5となるように調整し、表層塗料を得た。
次に、シリカ分散液として、日産化学工業(株)製スノーテックス(商品名)ST−ZL(シリカ40質量%)を、純水でシリカ0.1質量%に希釈し、シリカ分散液を得た。
表層塗布に先立ち、先に作製した転写ベルトの弾性層の表面について、親水化処理を行った。エキシマUV照射ユニットとして172nmの単一波長を発するエキシマランプ((株)エム・ディ・コム製)を使用し、転写ベルト表面から約2mmの距離からエキシマUVを照射することで、シリコーンゴムの表面改質を行った。このとき、エキシマUVの照射によって、シリコーンゴムの分子結合の開裂と、空気中の酸素から生成されたオゾンにより、シリコーンゴム表面が親水化される。また、この処理には、オゾンが生成されるため、密閉空間内で行い、局所排気装置を使用し、オゾンをトラップしながら行った。また、処理に際しては、密閉空間内に窒素ガスを流入させた。
表層塗布に先立ち、先に作製した転写ベルトの弾性層の表面について、親水化処理を行った。エキシマUV照射ユニットとして172nmの単一波長を発するエキシマランプ((株)エム・ディ・コム製)を使用し、転写ベルト表面から約2mmの距離からエキシマUVを照射することで、シリコーンゴムの表面改質を行った。このとき、エキシマUVの照射によって、シリコーンゴムの分子結合の開裂と、空気中の酸素から生成されたオゾンにより、シリコーンゴム表面が親水化される。また、この処理には、オゾンが生成されるため、密閉空間内で行い、局所排気装置を使用し、オゾンをトラップしながら行った。また、処理に際しては、密閉空間内に窒素ガスを流入させた。
次に表層塗料およびシリカ分散液をスプレー塗布することにより表層塗膜を形成した。親水化処理した転写ベルトを円筒形状の中子に嵌め合わせ、これを460rpmの速度で回転させながら、スプレーガン(W−101 アネスト岩田(株)製)を使用して、下記の条件で表層塗料を均一に塗布した。
・ニードルノズルの開き:12目盛り
・転写ベルト表面からノズル先端までの距離:100mm
・霧化圧:0.2MPa
・スプレーガンの移動速度:7mm/秒
・塗布回数:1回
・ニードルノズルの開き:12目盛り
・転写ベルト表面からノズル先端までの距離:100mm
・霧化圧:0.2MPa
・スプレーガンの移動速度:7mm/秒
・塗布回数:1回
次に、表層分散液が乾燥する前に、続けてシリカ分散液のスプレー塗布を行った。460rpmの速度で中子を回転させながら、スプレーガン(W−101 アネスト岩田(株)製)を使用して、下記の条件で塗料を吹き付けた。
・ニードルノズルの開き:5目盛り
・転写ベルト表面からノズル先端までの距離:100mm
・霧化圧:0.2MPa
・スプレーガンの移動速度:7mm/秒
・塗布回数:1回
・ニードルノズルの開き:5目盛り
・転写ベルト表面からノズル先端までの距離:100mm
・霧化圧:0.2MPa
・スプレーガンの移動速度:7mm/秒
・塗布回数:1回
シリカ分散液の塗布後、常温常湿の環境下で約30分間乾燥させた後、130℃に設定した焼成炉に入れ、表層の硬化反応を進めると同時に、シリカ分散液の溶媒を完全に蒸発させて取り除き、本実施例に係る「中間転写ベルトNo.1」を得た。こうして得た中間転写ベルトNo.1を上記の各種評価に供した。
〈実施例2〜10〉
実施例1において、表層液の調製の際に、PTFEの量、シリカ分散液のシリカ濃度、シリカ粒子の個数平均粒径、シリカ分散液のスプレー塗布条件のいずれかを、表1に示す条件に変更した。これ以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.2〜10を得て、各評価を実施した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、表層液の調製の際に、PTFEの量、シリカ分散液のシリカ濃度、シリカ粒子の個数平均粒径、シリカ分散液のスプレー塗布条件のいずれかを、表1に示す条件に変更した。これ以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.2〜10を得て、各評価を実施した。評価結果を表3に示す。
〈比較例1〜7〉
実施例1において、シリカ分散液を使用しない、あるいは、シリカ分散液を表2に示す濃度に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.11〜13を得た。
実施例1において、シリカ分散液を使用しない、あるいは、シリカ分散液を表2に示す濃度に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.11〜13を得た。
比較例4では、PTFEを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.14を得た。
比較例5では、PTFEの代わりにモメンティブパフォーマンスマテリアル製シリコーン樹脂微粒子(トスパール120)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.15を得た。
比較例5では、PTFEの代わりにモメンティブパフォーマンスマテリアル製シリコーン樹脂微粒子(トスパール120)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.15を得た。
比較例6では、シリカ粒子が表面に露出していない場合を評価した。このため、PTFE含有ウレタン塗料(ヘンケルジャパン(株)製 エムラロン(商品名)T820)に、シリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス(商品名)ST−ZL)をあらかじめ添加して表層塗料を作製した。シリカ粒子の添加量は、表層固形分に対してシリカ質量で10質量%を添加し、良く混合した後、弾性転写ベルト表面にスプレー塗布により硬化させて、中間転写ベルトNo.16を得た。表層塗料のスプレー条件、硬化条件は実施例1と同様とした。
比較例7では、シリカ粒子が埋没していない場合について評価するため、PTFE含有ウレタン塗料(ヘンケルジャパン(株)製 エムラロン(商品名)T820)を硬化した。その後、その表面にシリカ分散液を塗布し、100℃に設定した焼成炉内で30分間焼成し、シリカの溶媒を蒸発させて取り除くことで、中間転写ベルトNo.17を得た。表層塗料のスプレー条件、硬化条件は実施例1と同様である。
評価結果は、表3のとおりであった。実施例1〜10においては、初期および、5万枚耐久においても優れた画像品質を得られた。一方で、比較例1,2,5〜7においては、5万枚耐久後は、紙凹部での色ムラが確認された。また、比較例3および4においては、初期から紙凹部での色ムラが確認されたため、耐久評価を実施しなかった。
1 基層
2 弾性層
3 表層
4 フッ素樹脂粒子
5 シリカ粒子
2 弾性層
3 表層
4 フッ素樹脂粒子
5 シリカ粒子
Claims (7)
- 基層および表層を有する電子写真用部材であって、
該表層は、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子を含み、
該表層の表面において観察される該シリカ粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をXとし、
該表層の該表面において観察される該フッ素樹脂粒子が、該表面における単位面積3μm×3μmの領域に占める面積率をYとしたとき、
Xが、7%以上40%以下であり、かつ、
X:Yが、1:0.5〜1:5.7であることを特徴とする電子写真用部材。 - 前記シリカ粒子の個数平均粒径が10nm〜2μmであり、
前記フッ素樹脂粒子の個数平均粒径が10nm〜1μmである請求項1に記載の電子写真用部材。 - 該基層と、該表層との間に、弾性層を有する請求項1または2に記載の電子写真用部材。
- 該弾性層が付加硬化型シリコーンゴムの硬化物を含む請求項3に記載の電子写真用部材。
- 該表層がポリウレタン系熱硬化性樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置に使用される中間転写体であって、
該中間転写体が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とする中間転写体。 - 第1の画像担持体と、該第1の画像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の画像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置であって、
該中間転写体が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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