JP2018101026A - 液晶レンズアレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接する電極からの電界の影響を小さくすることができ、従来よりも適切な光学位相差分布を示す、液晶レンズを開示する。【解決手段】グランド電極層を有する透明な基板と、パターン電極層を有する透明な基板と、前記グランド電極層及び前記パターン電極層の間に設けられた液晶層とを備え、前記パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし、前記グランド電極層を有する基板及び前記パターン電極層を有する基板のうちの少なくとも一方は、前記液晶層の内部へと突出する導電性の立設部を複数備え、前記立設部の電位がグランド電極層の電位に保たれ、前記立設部が平面視において前記複数のレンズ開口の間に設けられている、液晶レンズアレイとする。【選択図】図1

Description

本願は液晶レンズアレイを開示するものである。
誘電異方性及び光学異方性を示す液晶分子は、印加電圧を制御することで液晶分子の配向方向を制御することができ、実効的な屈折率を連続的に可変できる。例えば、第1の電極及び第2の電極の間に媒質として液晶分子を含む層(液晶層)を設け、電極間の電圧を制御することで、液晶層の実効的な屈折率分布を調整することができ、液晶レンズとして機能させることができる。このように、電圧印加のみで光の偏向方向の制御及び焦点距離制御を行うレンズとして、二分割した軸対称のパターン電極を用いた液晶レンズアレイが知られている(特許文献1等)。このような液晶レンズアレイにおいては、機械的な駆動部を要することなく、各電極に印加する電圧により、複数のレンズ開口がそれぞれ三角プリズムレンズ特性又は円形レンズ特性を示す。
特開2014−112157号公報
本発明者らの知見では、特許文献1に開示された液晶レンズアレイにあっては、隣接する電極からの電界によって液晶分子が立ち上がり、液晶層の実効的な屈折率分布の利用効率が低く、また干渉縞に歪みが生じる等、理想的な光学位相差分布を示さない傾向にある。このような背景技術に鑑み、本願では、隣接する電極からの電界の影響を小さくすることができ、従来よりも適切な光学位相差分布を示す、液晶レンズアレイを開示する。
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
グランド電極層を有する透明な基板と、パターン電極層を有する透明な基板と、前記グランド電極層及び前記パターン電極層の間に設けられた液晶層とを備え、前記パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし、前記グランド電極層を有する基板及び前記パターン電極層を有する基板のうちの少なくとも一方は、前記液晶層の内部へと突出する導電性の立設部を複数備え、前記立設部の電位がグランド電極層の電位に保たれ、前記立設部が平面視において前記複数のレンズ開口の間に設けられている、液晶レンズアレイ
を開示する。
「グランド電極層」とは、光を透過可能であるとともに電極として機能し得る層であって、従来より液晶レンズに用いられてきたグランド電極層と同様の透明電極材料からなるものでよい。例えば、ITO、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物を含む電極層が挙げられる。
「グランド電極層を有する透明な基板」とは、グランド電極層が透明な基板の表面に直接接触するように設けられる形態のほか、グランド電極層が何らかの層を介して透明な基板に設けられる形態の双方を含む。
「パターン電極層」とは、グランド電極層の対極として機能し得る層であって、従来より液晶レンズに用いられてきたパターン電極層と同様のものでよい。例えば、ITO、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミニウム等の金属、又はこれらの混合物を含む電極層が挙げられる。
「パターン電極層を有する透明な基板」とは、パターン電極層が透明な基板の表面に直接接触するように設けられる形態のほか、パターン電極層が何らかの層を介して透明な基板に設けられる形態の双方を含む。
「液晶層」とは、グランド電極層及びパターン電極層の電圧を制御することで液晶の配向を調整可能で、実効的な屈折率の分布を調整可能な層であればよい。通常、配向膜と配向膜との間に液晶分子が充填されてなる層をいう。
「平面視」とは、パターン電極層を上側とし、グランド電極層を下側とした場合における「上面視」を意味する。
「パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし」とは、言い換えれば、パターン電極層によって画定される複数の区画が、それぞれレンズとして機能することを意味する。
「前記グランド電極層を有する基板及び前記パターン電極層を有する基板のうちの少なくとも一方は、前記液晶層の内部へと突出する導電性の立設部を複数備え」とは、グランド電極層を有する基板及び/又はパターン電極層を有する基板と立設部とが一体である形態、並びに、グランド電極層を有する基板及び/又はパターン電極層を有する基板と立設部とが別体である形態の双方を含む概念である。
「立設部は、平面視において複数のレンズ開口の間に設けられている」とは、立設部は、平面視において、レンズ開口よりも外側に設けられていることを意味する。言い換えれば、パターン電極層を上側としグランド電極層を下側とした場合において、立設部の上端が、パターン電極層の下面と略対向していることを意味する。
「液晶レンズアレイ」とは、液晶レンズが複数配列されたものをいう。
「液晶レンズ」は、レンズ開口の大きさについて特に限定されるものではなく、液晶マイクロレンズも含む概念である。
「液晶マイクロレンズ」とは、レンズ開口がスリット状である場合は当該スリットの幅(短辺)がマイクロオーダー(1mm未満)であり、レンズ開口が多角形状である場合は当該多角形の対角線の最大長さがマイクロオーダーであり、レンズ開口が円形状の場合はレンズ径がマイクロオーダーであることを意味する。
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
パターン電極層を有するとともに互いに対向する2枚の透明な基板と、前記パターン電極層の間に設けられた液晶層とを備え、前記パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし、前記互いに対向するパターン電極間の液晶層に位相が反転した電圧が印加され、前記パターン電極層を有する透明な基板が、絶縁層を介して前記液晶層の内部に導電性の立設部を複数備え、前記立設部の電位が前記パターン電極層の間の電位に保たれ、前記立設部が平面視において前記複数のレンズ開口の間に設けられている、液晶レンズアレイ
を開示する。
「パターン電極層を有するとともに互いに対面する2枚の透明な基板」とは、言い換えれば、互いに対面する2枚の透明な基板において、それぞれの基板にパターン電極層が設けられていることを意味する。パターン電極層が透明な基板の表面に直接接触するように設けられる形態のほか、パターン電極層が何らかの層を介して透明な基板に設けられる形態の双方を含む。
本開示の液晶レンズアレイにおいて、前記透明な基板に対して前記パターン電極層と同じ側に透明な第3電極層が設けられ、前記第3電極層は、平面視において前記レンズ開口の内側に設けられていてもよい。
「前記透明な基板に対して前記パターン電極層と同じ側に透明な第3電極層が設けられ」とは、例えば、透明な基板を一面側と他面側とに分けた場合において、パターン電極層と透明な第3電極層とが、ともに一面側に設けられていることをいう。ただし、パターン電極層と第3電極層とは、同一平面上に配置していなくてもよい。例えば、透明な基板の一面側に絶縁層が配置され、当該絶縁層の表面側(例えば、一面側)にパターン電極層が、裏面側(例えば、他面側)に第3電極層が配置されていてもよい。この場合、透明な基板、第3電極層、絶縁層及びパターン電極層の順に各層が配置されることとなる。
「透明な第3電極層」とは、上記のグランド電極層やパターン電極層とは別体で設けられる電極層であって、光を透過可能であるとともに電極として機能し得るものであればよい。例えば、ITO、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物を含む電極層が挙げられる。
本開示の液晶レンズアレイにおいて、前記立設部は、表面が弱アンカリング面とされていることが好ましい。
「弱アンカリング面」とは、液晶層を構成する配向膜の面よりも液晶分子に対する束縛力(配向規制力)が弱い面、もしくはラビング等の配向処理をしていない面をいう。
本開示の液晶レンズアレイは、前記パターン電極層と前記液晶層との間、且つ、前記パターン電極層と前記立設部との間に絶縁層を有することが好ましい。
「絶縁層」とは、光を透過可能であるとともに絶縁材料から構成される層をいう。絶縁材料は有機系・無機系を問わない。
尚、本開示の液晶レンズアレイにおいて、前記パターン電極層及び前記立設部は、前記液晶層のラビング方向に延在していてもよいが、ラビング方向と一定の角度(例えば45度等)をなしていてもよい。
本開示の液晶レンズにおいては、グランド電極層の電位に保たれている導電性の立設部が液晶層内部へと突出している。これにより、パターン電極層からの電界が立設部を介してグランド電極層の電位へと誘導される。すなわち、立設部が電気的な障壁として機能することで、隣接する電極からの電界をある程度遮断(シールド)でき、隣接する電極からの電界によって液晶分子が立ち上がることを抑制することができる。このように、本開示の液晶レンズは、隣接する電極からの電界の影響を小さくすることができ、従来よりも適切な光学位相差分布を示すと共に、液晶層の実効的な屈折率分布の利用効率を高くすることができる。
液晶レンズアレイ10の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層2、グランド電極層1及び立設部5の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 液晶レンズアレイ20の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層12、グランド電極層1及び立設部5の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 液晶レンズアレイ30の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層2及び電極層25の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 パターン電極層2及び電極層25の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 対称構造の液晶レンズアレイ40の構成を説明するための断面概略図である。 液晶レンズアレイ50の構成を説明するための断面概略図である。 液晶レンズアレイ60の構成を説明するための断面概略図である。 比較例1(液晶レンズアレイ100)の構成を説明するための断面概略図である。 比較例1及び実施例1の光学位相差分布を示す図である。 比較例2及び実施例2の光学位相差分布を示す図である。 実施例3の光学位相差分布を示す図である。 実施例に係る液晶レンズの効果について説明するための概略図である。 立設部の長さと偏向角の関係を示す図である。
1.液晶レンズアレイ10
図1に液晶レンズアレイ10の層構成を概略的に示す。また、図2に液晶レンズアレイ10に備えられるパターン電極層2、グランド電極層1及び立設部5について、それぞれの平面形状を概略的に示す。
図1、2に、一例として導電性の立設部5がグランド電極層1を有する基板6からパターン電極層2に向かって液晶層3の内部へと突出している場合について示す。図1、2に示すように、液晶レンズアレイ10は、グランド電極層1を有する透明な基板6と、パターン電極層2を有する透明な基板7と、グランド電極層1及びパターン電極層2の間に設けられた液晶層3とを備えている。また、パターン電極層2は、平面視においてスリット状である複数のレンズ開口の輪郭をなしている。一方、グランド電極層1を有する基板6は、パターン電極層2に向かって液晶層3の内部へと突出する導電性の立設部5を複数備えている。立設部5は、グランド電極層1の電位に保たれている。具体的には、立設部5は、グランド電極層1に電気的に接続されている一方で、パターン電極層2に電気的に接続されていない。また、立設部5は、平面視において複数のレンズ開口の間に設けられている。
1.1.グランド電極層1
グランド電極層1は、光を透過可能であるとともに電極として機能し得る層であって、従来より液晶レンズに用いられてきた電極層と同様のものでよい。グランド電極層1を構成し得る透明電極材料としては、例えば、ITO、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物を含む電極層が挙げられる。グランド電極層1の形状は特に限定されず、後述のパターン電極層2に対し、液晶層3を介して対向するような形状であればよい。
1.2.パターン電極層2
パターン電極層2は、グランド電極層1の対極として機能し得る層であって、従来より液晶レンズに用いられてきたパターン電極層と同様のものでよい。パターン電極層2は、平面視においてスリット状である複数のレンズ開口の輪郭をなしている。すなわち、パターン電極層2は、全体として略櫛状とされており、直線状に伸びる複数の電極パターンを備えている。図1及び図2(A)に示すように、パターン電極層2は、レンズ開口のうち紙面左側の輪郭をなす第1のパターン電極層2aと、レンズ開口のうち紙面右側の輪郭をなす第2のパターン電極層2bとの組み合わせからなる。図1(B)に示すように、第1のパターン電極層2aと第2のパターン電極層2bとは、それぞれ、グランド電極層1に対して所定の電位差V1L及びV1Rを生じさせることが可能である。V1L及びV1Rをそれぞれ調整することで、レンズ開口に生じる不均一電界の分布特性を調整でき、液晶層3の実効的な屈折率分布を調整することができる。V1LとV1Rとの間に電位差を設けることで、液晶レンズ10は三角プリズムレンズとして機能し得る。このように、液晶レンズ10において、パターン電極層2は、スリット状の電極群を構成する。
尚、図1及び図2(A)において、パターン電極層2は、平面視において、スリット状のレンズ開口の長手方向(長辺)がラビング方向に沿った(すなわち、パターン電極層2が液晶層3のラビング方向に延在した)構成としてもよいが、必ずしもこのような構成でなくてもよい。たとえばラビング方向と45度の角度をなすように設定した2層の液晶層が互いに90度となるように重ね合わせることで自然光対応の液晶レンズを構成することができる。
1.3.液晶層3
液晶層3は、グランド電極層1及びパターン電極層2の電圧を制御することで液晶の配向を調整可能で、実効的な屈折率の分布を調整可能な層であればよく、従来より液晶レンズに用いられてきた液晶層と同様のものでよい。例えば、図1に示すように、液晶層3は、配向膜3b、3cの間に液晶分子3aが充填されてなる。
液晶分子3aの種類は特に限定されるものではない。液晶レンズにおいて従来より用いられてきた誘電異方性が正又は負の液晶分子と同様のものとすればよい。ここでは説明を省略する。
配向膜3b、3cは、通常、一方向にラビング処理が施されたものであり、液晶分子3aの長軸方向に対応するダイレクタが所定のプレティルト角をなして配向するような状態となっている。このような配向膜3b、3cは従来と同様の配向膜を用いればよい。例えば、ポリイミドからなる膜の表面をラビング処理した配向膜が挙げられる。尚、配向膜3b、3cは、例えば、上述のグランド電極層1の表面や後述の絶縁層4の表面に設けられていてもよい。ここで、図1、2に示す液晶レンズアレイ10においては、グランド電極層1を有する基板6が後述の立設部5を有するが、このような立設部5を有する場合でも、グランド電極層1や絶縁層4の表面に配向膜3cを設けることが可能である。パターン電極層2を有する基板7が立設部5を有する場合も同様である。例えば、これらの基板が立設部5を有していたとしても、少なくとも立設部間の表面にポリイミドを塗布して安定化させた後、ラビング処理を施すことで、図1に示すように、少なくとも立設部間の表面に配向膜3cを設けることができる。或いは、グランド電極層やパターン電極層と液晶層の間に設けられる絶縁層にあらかじめラビング等の配向処理を行った後に立設部を設けるという方法も可能である。
1.4.立設部5
図1は、グランド電極層1を有する基板側6に立設部5を備えている一例について示したものであるが、パターン電極層2を有する基板7側に立設部を備えることもできる。なお、以降の図においても同様に立設部がグランド電極側に備えられている例について示す。すなわち、図1に示すように、グランド電極層1を有する基板6は、パターン電極層2に向かって液晶層3の内部へと突出する導電性の立設部5を複数備えている。立設部5は、グランド電極層1の電位に保たれている。具体的には、立設部5は、グランド電極層1に電気的に接続されている一方で、パターン電極層2に電気的に接続されていない。また、図2(B)に示すように、立設部5は、平面視において複数のレンズ開口の間に設けられている。液晶レンズ10においては、パターン電極層2からの電界が立設部5を介してグランド電極層1へと誘導される。すなわち、立設部5が電気的な障壁として機能することで、隣接する電極からの電界をある程度遮断でき、隣接する電極からの電界によって液晶分子3aが立ち上がることを抑制することができる。
図1に示すように、立設部5は、グランド電極層1から配向膜3b(或いは絶縁層4)に突き当たるような突出長(高さ)を有することが好ましい。このような立設部5によれば、パターン電極層2からの電界を立設部5を介してグランド電極層1へと一層容易に誘導することができる。ただし、突出長(高さ)はこれに限定されるものではない。
立設部5の幅(厚み)は特に限定されるものではない。複数のレンズ開口の間隔に合わせて適宜決定可能である。すなわち、当該複数のレンズ開口の間に設けられるような幅(厚み)であればよい。
立設部5を構成する材料としては、例えば、上述のグランド電極層1を有する基板6と同様の材料とすればよい。グランド電極層1を有する基板6と立設部5とは一体であっても別体であってもよいが、生産性に鑑みると一体であるほうが好ましい。例えば、表面に凹凸を有する基材を用い、当該基材の表面に上述した透明電極材料の層を一定の厚みにて設けることで、グランド電極層1を有する基板6と立設部5とを一体で形成可能である。或いは透明材料からなるグランド電極層1の表面に、立設部5がパターン印刷されて積層されたような形態であってもよい。或いは金属のような導電性の物質でもよい。
パターン電極層2等とラビング方向との関係は特に限定されない。例えば、パターン電極層2がラビング方向に延在している場合、立設部5もパターン電極層2に沿うように、液晶層3のラビング方向に延在させることができる。或いは、パターン電極層2がラビング方向に対して所定の角度、たとえば45度となるように設定することもできる。この場合には液晶層を2層設け、2層の液晶層の配向方向が互いに直交するように組み合わせることで、自然光に対応できる液晶レンズとすることが可能となる。これにより、液晶層3の実効的な屈折率分布をレンズとしてより最適なものへと容易に制御可能である。
1.5.その他の構成
以上の通り、液晶レンズアレイ10は、従来の液晶レンズと比較して、液晶層3の中にグランド電極層1と同電位の立設部5を設けたことに特徴があり、これによって従来の液晶レンズにはない顕著且つ特有の効果を奏するものである。液晶レンズ10は、立設部5以外の構成については、従来の液晶レンズと同様の構成とすることができる。
1.5.1.絶縁層4
例えば、液晶レンズアレイ10は、パターン電極層2と液晶層3との間に絶縁層4を有する。絶縁層4は、光を透過可能であるとともに絶縁材料から構成される層であればよい。絶縁材料は有機系・無機系を問わない。有機系絶縁材料としては、例えば、ポリイミド膜やフォトレジスト膜などが挙げられる。無機系絶縁材料としては、例えば、一酸化ケイ素(SiO)膜やアモルファス石英(SiO)膜などが挙げられる。或いは、絶縁層4は、絶縁材料からなる層と、高抵抗材料からなる層との多層構造を有していてもよい。高抵抗材料としては、光を透過可能であるとともにシート抵抗が1MΩ以上10GΩ以下の層となるような材料であればよい。絶縁層4の面形状は特に限定されるものではない。例えば、パターン電極層2の全体を覆うような面形状とすることができる。絶縁層4の厚みは絶縁を確保できる限り特に限定されるものではない。パターン電極層2と液晶層3との間に絶縁層4を介在させることで、パターン電極層2と立設部3とが接触することを防止できるとともに、液晶層3に生じる光学位相差分布を滑らかなものとすることができる。また、高抵抗材料を用いた場合には、光学位相差分布をさらに滑らかにすることができる。
1.5.2.基板6、7
グランド電極層1やパターン電極層2は、それぞれ、透明な基板6、7の表面に形成することができる。基板6、7の形状や材質は、液晶レンズの機能を確保できる限り特に限定されるものではない。また、グランド電極層1とパターン電極層2とは、それぞれ、複数のリード線を介して電源に接続されており、図1のV1L及びV1Rで示すような所定の電位に保持可能である。リード線の引き出し位置は特に限定されるものではなく、従来と同様とすればよい。
2.液晶レンズアレイ20
図3に液晶レンズアレイ20の層構成を概略的に示す。また、図4に液晶レンズアレイ20に備えられるパターン電極層12、グランド電極層1及び立設部5について、それぞれの平面形状を概略的に示す。
図3、4に示すように、液晶レンズアレイ20は、パターン電極層12の平面形状がパターン電極層2とは異なる点を除き、液晶レンズアレイ10と同様の構成を有する。すなわち、液晶レンズ20は、グランド電極層1を有する透明な基板6と、パターン電極層12を有する透明な基板7と、グランド電極層1及びパターン電極層12の間に設けられた液晶層3とを備えている。また、パターン電極層12は、平面視において多角形状(具体的には四角形状)である複数のレンズ開口の輪郭をなしている。一方、グランド電極層1を有する基板6は、パターン電極層12に向かって液晶層3の内部へと突出する導電性の立設部5を複数備えている。立設部5は、グランド電極層1の電位に保たれている。具体的には、立設部5は、グランド電極層1に電気的に接続されている一方で、パターン電極層12に電気的に接続されていない。また、立設部5は、平面視において複数のレンズ開口の間に設けられている。
多角形状のパターン電極層12そのものについては公知であり、ここでは説明を省略する。このように、多角形状のレンズ開口を有する液晶レンズ20においても、レンズ開口間に立設部5を設けることで、パターン電極層2からの電界が立設部5を介してグランド電極層1へと誘導される。すなわち、立設部5が電気的な障壁として機能することで、隣接する電極からの電界をある程度遮断でき、隣接する電極からの電界によって液晶分子3aが立ち上がることを抑制することができる。
3.液晶レンズアレイ30
図5に液晶レンズアレイ30の層構成を概略的に示す。また、図6に液晶レンズアレイ30に備えられるパターン電極層2及び透明な電極層25について、それぞれの平面形状を概略的に示す。
図5、6に示すように、液晶レンズアレイ30においては、透明な基板7に対してパターン電極層2と同じ側に透明な第3電極層25が設けられている。尚、液晶レンズアレイ30においては、第3電極層25とパターン電極層2との間に任意の層として絶縁層24が設けられている。このように、液晶レンズアレイ30は、電極層25(及び絶縁層24)を備えている点を除き、液晶レンズアレイ10と同様の構成を有する。
3.1.絶縁層24
絶縁層24は上述の絶縁層4と同様の層とすることができる。第3電極層25とパターン電極層2との間に、絶縁層24が設けられることで、第3電極25とパターン電極層2とが接触することを防止できる。
3.2.第3電極層25
第3電極層25は、光を透過可能であるとともに電極として機能し得る電極層であればよい。例えば、上述のパターン電極層2と同様の透明電極材料を含む電極層とすることができる。第3電極層25の形状は、平面視においてレンズ開口の内側に設けることが可能な形状であればよい。すなわち、第3電極層25の幅(太さ)は、例えば、レンズ開口の一辺(或いは内径)の長さ未満とすることができる。或いは、図5のように絶縁層24の基板7側の表面に第3電極層が設けられ、液晶層3側の表面にパターン電極層が設けられている場合、第3電極層はパターン電極層に対して絶縁層を挟んで全面に設けてもよい。
液晶レンズアレイ30において、基板7の表面又は絶縁層24の表面に上記の透明電極材料をパターン印刷すること等によって、第3電極層25を容易に形成可能である。尚、液晶レンズアレイ30においては、第3電極層25とパターン電極層2との間に絶縁層24を設ける形態について例示したが、絶縁層24は必須ではない。基板7の表面に第3電極層25とともにパターン電極層2を形成してもよい。
尚、図5、6では、第3電極層25を用いた場合について説明したが、第3電極層25は、二つの電極層の組み合わせからなる形態とすることもできる。この場合にはそれぞれの電極に適切な電圧を加えることで、より優れた光学特性を得ることが可能となる。すなわち、図7に示すように、第3電極層25としてスリット電極層25a、25bが、それぞれ、複数のリード線を介して電源に接続されている場合、それぞれについて、例えばグランド電極1に対してV2L及びV2Rで示すような所定の電位に保持可能である。リード線の引き出し位置は特に限定されるものではない。
液晶レンズアレイ30においては、このような第3電極層25を備えることで、以下のような効果を奏する。従来の液晶レンズは、特に三角プリズムレンズとして機能させようとした場合、光学位相差分布が膨んでしまい、理想的な直線状とはならない場合がある。従来の第3電極層を備えていない液晶レンズは、電極としてグランド電極層及びパターン電極層の2種の電極しか備えておらず、液晶層中の不均一電界の分布を精密に制御することが難しいためである。これに対して、液晶レンズアレイ30では、グランド電極層及びパターン電極層に加えて、レンズ開口の内側の電界を調整するための第3電極層25が設けられている。これにより、上述した光学位相差分布の膨らみが生じた場合でも、第3電極層25からの電界によって当該膨らみを押さえつけることができ、光学位相差分布を三角プリズムレンズとしてより理想的な直線状に近づけることができる。
4.液晶レンズアレイ40
上記説明では、グランド電極層を必須とする液晶レンズアレイについて説明したが、グランド電極層に変えて、パターン電極層を用いた場合にも同様の所望の効果を奏する。図8に、互いに対向する基板7、36の間に同一のパターン電極層2、32、及び、透明な第3電極層25、35を設けた液晶レンズアレイ40の層構成を概略的に示す。
図8に示すように、液晶レンズアレイ40においては、パターン電極層2、32を有するとともに互いに対向する1組の透明な基板7、36と、パターン電極層2、32の間に設けられた液晶層3とを備え、パターン電極層2、32は、平面視においてスリット状(又は、多角形状若しくは円形状)である複数のレンズ開口の輪郭をなし、互いに対向するパターン電極間の液晶層3に位相が反転した電圧が印加され、パターン電極層2、32を有する透明な基板7、37が、絶縁層4を介して液晶層3の内部に導電性の立設部5を複数備え、立設部5の電位がパターン電極層2、32の間の電位に保たれ、立設部5が平面視において複数のレンズ開口の間に設けられている。パターン電極層2、32は、パターン電極層25、35や絶縁層24、34を介して、基板7、36の表面に設けられている。パターン電極層2、32、基板7、36、第3電極層25、35及び絶縁層4、24、34の構成については、それぞれ上述したものと同様の構成とすることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
このように、液晶レンズアレイ40は、相対する電極間に位相を反転させた(180度位相が異なる)電圧を印加することで動作する。このような対称構造とすることで、光学位相差分布特性はより直線状となり、且つ液晶層の利用効率が良くなるためより大きな偏向角特性を得ることができる。
尚、図8では、第3電極層35が、一つの電極層からなる形態について説明したが、第3電極層35の形態はこれに限定されるものではない。上述の第3電極層25と同様に、二つの電極層を組み合わせたものであってもよい。
5.液晶レンズアレイ50
図9に液晶レンズアレイ50の層構成を概略的に示す。
図9に示すように、液晶レンズアレイ50においては、立設部5の表面が弱アンカリング面49とされている。このように、液晶レンズアレイ50は、立設部5の表面が処理されている点を除き、液晶レンズアレイ10と同様の構成を有する。
弱アンカリング面49とは、上述した液晶層3の配向膜よりも液晶分子に対する束縛力(配向規制力)が弱い材料から成る面、もしくはラビング処理等の強いアンカリングが生じるような配向処理を行っていない面をいう。
液晶レンズアレイ50においては、立設部5の表面を弱アンカリング面49とすることで、立設部の表面による液晶分子への束縛力が弱くなるため、電界による配向力の効果が強まり、特に左右両側への偏向動作等を行う場合において有効であるという卓越した効果が得られる。
6.液晶レンズアレイ60
図10に液晶レンズアレイ60の層構成を概略的に示す。
図10に示すように、液晶レンズアレイ60は、立設部55の上端と配向膜3bとの間に間隔を有する。このような場合であっても、パターン電極層からの電界を立設部55を介してグランド電極層1へと誘導することができる。立設部55はグランド電極層1から少しでも突出していれば、ある程度の効果が得られる。後述の実施例に示したように、立設部の高さ(長さ)が液晶層の厚みに対して占める割合が大きくなるほど、その効果が大きくなるので、立設部の製造のプロセスとシールドの効果との兼ね合いで、立設部の高さが決まることになる。一方で、上述した通り、透明な基板7が立設部を有する場合は、当該立設部がグランド電極層1に接触していることが好ましいことから、立設部の高さ(長さ)は液晶層3の厚みと略同じとすることが好ましい。なお、パターン電極層側に立設部を設けることは、パターン電極による電界に対するシールドの効果がより大きいため、液晶レンズアレイ60のように立設部の上端と配向膜との間に間隔を有する液晶レンズアレイの場合において特に有効である。
尚、液晶レンズアレイ60において、立設部55の上端には配向膜53が設けられているが、これは必須ではない。仮に立設部55を有するグランド電極層1の表面にポリイミドを塗布・安定化させたうえでラビング処理を行った場合、立設部55の上端とグランド電極層1の上面の双方がラビングされることとなり、ここに配向膜3c及び配向膜53が形成されることとなる。
7.その他の形態
尚、上記説明では、パターン電極層がスリット状又は多角形状のレンズ開口の輪郭をなす形態について説明したが、本開示の液晶レンズはこの形態に限定されない。パターン電極層が円形状のレンズ開口の輪郭をなす形態であってもよい。このような場合においても、本開示の液晶レンズによる効果が問題なく発揮されるものと考えられる。
また、上記説明では、液晶レンズアレイ10の構成を基本にして、当該液晶レンズ10の構成の一部を変更した例として液晶レンズアレイ20〜60をそれぞれ個別に説明したが、本開示の液晶レンズアレイは、液晶レンズアレイ10〜60の構成を兼ね備えたものであってもよい。すなわち、液晶レンズアレイ10〜60の各構成を適宜組み合わせて、一つの液晶レンズとしてもよい。
さらに、上記説明では、液晶層3が一層のみ設けられる形態について説明したが、液晶層3の構成はこれに限定されるものではない。例えば、レンズパワーを増大させるために、あるいは特に偏光していない自然光に対応するために、液晶層を複数設けてもよい。液晶層を多層化する方法は特に限定されず、公知の方法によればよい。
さらに、液晶層内にグランド電位に保たれている立設部を設けることで、隣接する電極の電位の漏れ効果を減少させることができるという本開示のメカニズムからすると、液晶マイクロレンズアレイだけでなく、レンズの口径がmm〜cmと大きくなった単一の液晶レンズに対しても同様の効果が奏されるものと考えられる。特にレンズの口径を拡大するための方策として単一の液晶レンズの口径の拡大のためにフレネルレンズ構成とした場合等において、通常のレンズ部とフレネルレンズ部の境界領域やフレネルレンズ部間の境界領域等に立設部を設けることにより、高電位側から生じる漏れ電界をシールドすることができるので、さらに良好な分子配向状態並びに光学特性を得ることができる。
以下、本開示の液晶レンズアレイの各レンズを三角プリズムレンズとして機能させた場合について、実施例及び比較例を示しつつ説明する。ただし、本開示の液晶レンズアレイの各レンズは円形レンズとして機能させることも可能であり、三角プリズムレンズの場合と同様に所望の効果を奏する。
1.スリット状のレンズ開口の場合
まず、レンズ開口をスリット状とした場合についてシミュレーション計算による検討を行った。
<比較例1>
(液晶レンズアレイの構成)
図11に、比較例1に係る液晶レンズアレイ100の構成を示す。比較例1は図1、2に示した液晶レンズアレイ10から立設部5を除いたものに相当する。以下、液晶レンズアレイ10と同様の部材については同符号を用いて説明する。図11(A)が比較例1に係る液晶レンズアレイ100の側面概略図、図11(B)がパターン電極層2の平面概略図であり、図11(C)がグランド電極層1の平面概略図である。
図11(A)において、基板6、7として透明ガラス基板(厚み200μm)を採用し、グランド電極層1(厚み0.1μm)及びパターン電極層2(厚み0.1μm)としてITOからなる層を採用し、液晶層(全厚み110μm)を構成する液晶分子3aとしてRDP85475(DIC社製)を採用し、配向膜3a、3b(各厚み150nm)としてラビング処理されたポリイミド膜を採用し、絶縁層4(厚み5μm)としてフォトレジストにより得られる層を採用した。なお、パターン電極の間隔に対応する開口幅(L)はいずれも100μmとしている。
<実施例1>
実施例1に係る液晶レンズアレイの構成は図1、2に示した液晶レンズアレイ10の構成と同様である。立設部の材質は基板と同様とした。
図12に、比較例1及び実施例1の液晶レンズアレイそれぞれについて、V1L=7V(1kHz)、V1R=0Vとした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。比較例1に係る液晶レンズアレイ(第3電極無、立設部無)においては、光学位相差分布特性が極端に上に凸の形状となっているのが、実施例1(第3電極無、立設部有)では緩和され、より直線形状に近くなるとともに、利用可能な位相差が増大していることが分かる。なお、比較例1では偏向角が4.0度であるのに対して、実施例1では12.6度と改善されている。
<比較例2>
比較例2は、図5、6に示した液晶レンズアレイ30から立設部5を除いたものに相当する。各層の厚みや材料については上述した比較例1と同様である。
<実施例2>
実施例2に係る液晶レンズアレイの構成は図5、6に示した液晶レンズアレイ30の構成と同様である。
図13に、比較例2及び実施例2の液晶レンズアレイそれぞれについて、V1L=7V、V2R=2.2V(それぞれ1kHz)、V1R=0V、とした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。比較例2に係る液晶レンズアレイ(第3電極有、立設部無)においては、光学位相差分布特性が同様に上に凸の形状となっているのが、実施例2(第3電極有、立設部有)に係る液晶レンズアレイではさらに緩和され、一部を除いてほぼ直線形状に近くなると共に、利用可能な位相差も増大していることが分かる。なお、比較例2では偏向角が3.2度であるのに対して、実施例2では11.9度と改善されている。
<実施例3>
実施例3に係る液晶レンズアレイの構成は図8に示した液晶レンズアレイ40の構成と同様である。
図14に、実施例3の液晶レンズアレイについて、V1L=3.5V及び−3.5V、V2R=1.8V及び−1.8V(それぞれ1kHz)、V1R=0V、とした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。実施例3のようにパターン電極等を対称構造とすることで、実施例2の場合に比較して、光学位相差分布特性がさらに直線化され、開口幅の広い範囲において理想に近いプリズム特性が得られることが分かる。なお、ここでは相対する電極間にグランド電位(0V)に対してそれぞれ位相が反転した(180度異なる)電圧(前記の負の符号は、位相が反転していることを表している)を印加して駆動した場合の特性を示している。偏向角は13.4度となり、液晶層の光学位相差の利用効率がさらに改善されることが分かる。
図12、13に示すように、比較例1、2の場合に比べて、実施例1、2に係る液晶レンズアレイでは、隣接する高電位側の電極からの漏れ電界の影響がシールドされるため、低電位側の電極の電位が実効的に高くならないため光学位相差の最大値が増加し、偏向角が増大すると共に光学位相差分布特性が直線状に近くなったものと考えられる(図15)。さらに、実施例3に係る液晶レンズアレイは、シールド効果がより有効的になり、且つ液晶層に対して対称的な駆動法となることから、図14に示すように光学位相差分布が理想的な直線状に一層近づけることができ、光学位相差の利用効光学位相差の利用効率が改善され、偏向角をより大きな値とすることができた。
尚、立設部が液晶層を完全に満たしていない場合、すなわち立設部55の上端と配向膜3bとの間に間隔を有する場合では、この間隔を通して高電位側の電極からの漏れ電界が生じるためシールド効果が不十分となるという難点があるが、立設部の幅と高さに関わるアスペクト比の観点から、素子の製造上立設部の高さをある程度制限することも重要である。立設部が液晶層の厚みに対する割合と偏向角の関係を図16に示す。立設部の高さが液晶層の厚みに対して占める割合が大きくなるほど、漏れ電界に対するシールドの効果が大きくなるので、立設部はできるだけ高くする方が好ましいことが分かる。
本開示の液晶レンズは、機械的駆動部を要することなく、各電極に印加する電圧により、三角プリズムレンズ特性又は円形レンズ特性を示す。そのため、小型レンズとして種々の産業で利用可能である。
1 グランド電極層
2 パターン電極層
3 液晶層
4 絶縁層
5 立設部
6、7 基板
液晶レンズアレイ10の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層2、グランド電極層1及び立設部5の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 液晶レンズアレイ20の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層12、グランド電極層1及び立設部5の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 液晶レンズアレイ30の構成を説明するための断面概略図である。 パターン電極層2及び電極層25の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 パターン電極層2及び電極層25の平面形状の一例を説明するための平面概略図である。 対称構造の液晶レンズアレイ40の構成を説明するための断面概略図である。 液晶レンズアレイ50の構成を説明するための断面概略図である。 液晶レンズアレイ60の構成を説明するための断面概略図である。 比較例1(液晶レンズアレイ100)の構成を説明するための断面概略図である。 比較例1及び参考例1の光学位相差分布を示す図である。 比較例2及び実施例の光学位相差分布を示す図である。 実施例の光学位相差分布を示す図である。 実施例に係る液晶レンズの効果について説明するための概略図である。 立設部の長さと偏向角の関係を示す図である。
液晶レンズアレイ30において、基板7の表面又は絶縁層24の表面に上記の透明電極材料をパターン印刷すること等によって、第3電極層25を容易に形成可能である。
参考例1>
参考例1に係る液晶レンズアレイの構成は図1、2に示した液晶レンズアレイ10の構成と同様である。立設部の材質は基板と同様とした。
図12に、比較例1及び参考例1の液晶レンズアレイそれぞれについて、V1L=7V(1kHz)、V1R=0Vとした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。比較例1に係る液晶レンズアレイ(第3電極無、立設部無)においては、光学位相差分布特性が極端に上に凸の形状となっているのが、参考例1(第3電極無、立設部有)では緩和され、より直線形状に近くなるとともに、利用可能な位相差が増大していることが分かる。なお、比較例1では偏向角が4.0度であるのに対して、参考例1では12.6度と改善されている。
<実施例
実施例に係る液晶レンズアレイの構成は図5、6に示した液晶レンズアレイ30の構成と同様である。
図13に、比較例2及び実施例の液晶レンズアレイそれぞれについて、V1L=7V、V2R=2.2V(それぞれ1kHz)、V1R=0V、とした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。比較例2に係る液晶レンズアレイ(第3電極有、立設部無)においては、光学位相差分布特性が同様に上に凸の形状となっているのが、実施例(第3電極有、立設部有)に係る液晶レンズアレイではさらに緩和され、一部を除いてほぼ直線形状に近くなると共に、利用可能な位相差も増大していることが分かる。なお、比較例2では偏向角が3.2度であるのに対して、実施例では11.9度と改善されている。
<実施例
実施例に係る液晶レンズアレイの構成は図8に示した液晶レンズアレイ40の構成と同様である。
図14に、実施例の液晶レンズアレイについて、V1L=3.5V及び−3.5V、V2R=1.8V及び−1.8V(それぞれ1kHz)、V1R=0V、とした場合の1素子における液晶層断面に関わる光学位相差分布特性を示す。実施例のようにパターン電極等を対称構造とすることで、実施例の場合に比較して、光学位相差分布特性がさらに直線化され、開口幅の広い範囲において理想に近いプリズム特性が得られることが分かる。なお、ここでは相対する電極間にグランド電位(0V)に対してそれぞれ位相が反転した(180度異なる)電圧(前記の負の符号は、位相が反転していることを表している)を印加して駆動した場合の特性を示している。偏向角は13.4度となり、液晶層の光学位相差の利用効率がさらに改善されることが分かる。
図12、13に示すように、比較例1、2の場合に比べて、参考例1及び実施例に係る液晶レンズアレイでは、隣接する高電位側の電極からの漏れ電界の影響がシールドされるため、低電位側の電極の電位が実効的に高くならないため光学位相差の最大値が増加し、偏向角が増大すると共に光学位相差分布特性が直線状に近くなったものと考えられる(図15)。さらに、実施例に係る液晶レンズアレイは、シールド効果がより有効的になり、且つ液晶層に対して対称的な駆動法となることから、図14に示すように光学位相差分布が理想的な直線状に一層近づけることができ、光学位相差の利用効光学位相差の利用効率が改善され、偏向角をより大きな値とすることができた。

Claims (5)

  1. グランド電極層を有する透明な基板と、パターン電極層を有する透明な基板と、前記グランド電極層及び前記パターン電極層の間に設けられた液晶層とを備え、
    前記パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし、
    前記グランド電極層を有する基板及び前記パターン電極層を有する基板のうちの少なくとも一方は、前記液晶層の内部へと突出する導電性の立設部を複数備え、
    前記立設部の電位がグランド電極層の電位に保たれ、
    前記立設部が平面視において前記複数のレンズ開口の間に設けられている、
    液晶レンズアレイ。
  2. パターン電極層を有するとともに互いに対向する2枚の透明な基板と、前記パターン電極層の間に設けられた液晶層とを備え、
    前記パターン電極層は、平面視においてスリット状、多角形状又は円形状である複数のレンズ開口の輪郭をなし、
    前記互いに対向するパターン電極間の液晶層に位相が反転した電圧が印加され、
    前記パターン電極層を有する透明な基板が、絶縁層を介して前記液晶層の内部に導電性の立設部を複数備え、
    前記立設部の電位が前記パターン電極層の間の電位に保たれ、
    前記立設部が平面視において前記複数のレンズ開口の間に設けられている、
    液晶レンズアレイ。
  3. 前記透明な基板の前記パターン電極層が設けられた面と同じ側の面に透明な第3電極層が設けられ、
    前記電極層は、平面視において前記レンズ開口の内側に設けられている、
    請求項1又は2に記載の液晶レンズアレイ。
  4. 前記立設部は、表面が弱アンカリング面とされている、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶レンズアレイ。
  5. 前記パターン電極層と前記液晶層との間、且つ、前記パターン電極層と前記立設部との間に絶縁層を有する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶レンズアレイ。
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