JP2018099932A - タイヤの減圧の検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の走行速度に関わらず、タイヤの減圧を高精度に検出することができるタイヤの減圧の検出装置を提供する。【解決手段】車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出装置が提供される。前記検出装置は、周波数推定部と、減圧判定部とを備える。前記周波数推定部は、前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定する。前記減圧判定部は、前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定する。【選択図】図3
Description
本発明は、車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出装置、方法及びプログラムに関する。
車両を快適に走行させるためには、タイヤの空気圧が調整されていることが重要である。空気圧が適正値を下回ると、乗り心地や燃費が悪くなるという問題が生じ得るからである。このため、従来より、タイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が研究されている。タイヤが減圧しているという情報は、例えば、運転者への警報に用いることができる。
タイヤの減圧を検出する方式には、タイヤに圧力センサを取り付ける等して、タイヤの空気圧を直接的に計測する方式の他、他の指標値を用いてタイヤの減圧を間接的に評価する方式がある。このような間接的な評価方式の1つとして、共振周波数方式(Resonance Frequency Method;RFM)が知られている。RFMは、減圧により車輪の回転速度信号の周波数特性が変化することを利用するものである。より具体的に説明すると、通常40Hz〜50Hz付近に現れるタイヤのねじり共振周波数は、タイヤの減圧時にやや低周波側にシフトすることが知られている。RFMでは、この現象に着目し、タイヤのねじり共振周波数を推定して、これが閾値以下となった場合に減圧を検出する。特許文献1は、RFMの1つの態様を開示している。
しかしながら、車輪の回転速度信号の周波数特性は、走行路面の粗さが変化する等の外乱によっても変化する。そのため、車両の走行速度が高速になると、車輪の回転速度信号のS/N比が低下し、ねじり共振周波数の推定の精度が低下する。その結果、タイヤの減圧を正しく検出することができず、減圧していないのに警報されたり(誤報)、減圧しているのに警報されないこと(警報漏れ)が起こり得る。
本発明は、車両の走行速度に関わらず、タイヤの減圧を高精度に検出することができるタイヤの減圧の検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る検出装置は、車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出装置であって、周波数推定部と、減圧判定部とを備える。前記周波数推定部は、前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定する。前記減圧判定部は、前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定する。
本発明の第2観点に係る検出装置は、第1観点に係る検出装置であって、前記第1共振周波数は、30Hz〜60Hzの帯域に現れる共振周波数である。
本発明の第3観点に係る検出装置は、第1観点又は第2観点に係る検出装置であって、前記第2共振周波数は、60Hz〜140Hzの帯域に現れる共振周波数である。
本発明の第4観点に係る検出装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る検出装置であって、前記減圧判定部は、前記第1指標と前記第2指標とを結合した結合指標を算出し、前記結合指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定する。
本発明の第5観点に係る検出装置は、第4観点に係る検出装置であって、前記結合指標は、前記第1共振周波数が小さくなる程小さくなり、かつ、前記第2共振周波数が小さくなる程小さくなる指標である。
本発明の第6観点に係る検出装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る検出装置であって、前記周波数推定部は、前記回転速度信号に基づく時系列データを、特定の周波数帯の成分のみ通す複数のバンドパスフィルタに通してそれぞれの前記周波数帯におけるゲインを特定し、前記ゲインの比率に応じて、前記第1指標を算出する。
本発明の第7観点に係る検出装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る検出装置であって、前記周波数推定部は、前記回転速度信号に基づく時系列データを、特定の周波数帯の成分のみ通す複数のバンドパスフィルタに通してそれぞれの前記周波数帯におけるゲインを特定し、前記ゲインの比率に応じて、前記第2指標を算出する。
本発明の第8観点に係る検出方法は、車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出方法であって、以下のステップを含む。
(1)前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップ。
(2)前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップ。
(1)前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップ。
(2)前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップ。
本発明の第9観点に係る検出プログラムは、車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出プログラムであって、以下のステップをコンピュータに実行させる。
(1)前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップ。
(2)前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップ。
(1)前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップ。
(2)前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップ。
本発明の第1観点によれば、タイヤの複数の共振周波数(第1及び第2共振周波数)をそれぞれ表す複数の指標(第1及び第2指標)が算出され、これらの指標に基づいて、タイヤが減圧しているか否かが判定される。すなわち、複数の共振周波数の減圧による変化が観測されるため、車両の走行速度に関わらず、タイヤの減圧を高精度に検出することができる。
図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るタイヤの減圧の検出装置、方法及びプログラムについて説明する。以下では、本発明の原理について説明した後、かかる原理に基づく本発明の一実施形態について説明する。
<1.原理>
図1A〜図1Cに、本発明者らが行った実験の結果を示す。図1A〜図1Cは、それぞれ60km/h、80km/h、100km/hで走行する車両の車輪の回転速度を車輪に取り付けた車輪速センサで計測し、取得された回転速度信号に基づく時系列データ(より正確には、回転加速度の時系列データ)をスペクトル解析した結果を示す。この実験では、同じ車両を用いて、タイヤの空気圧を正規圧とした場合(200kPa)と減圧させた場合(160kPa)とのそれぞれについて、スペクトル解析を行った。
図1A〜図1Cに、本発明者らが行った実験の結果を示す。図1A〜図1Cは、それぞれ60km/h、80km/h、100km/hで走行する車両の車輪の回転速度を車輪に取り付けた車輪速センサで計測し、取得された回転速度信号に基づく時系列データ(より正確には、回転加速度の時系列データ)をスペクトル解析した結果を示す。この実験では、同じ車両を用いて、タイヤの空気圧を正規圧とした場合(200kPa)と減圧させた場合(160kPa)とのそれぞれについて、スペクトル解析を行った。
図1A〜図1Cを見ると、60km/h及び80km/hの結果においては、一般にねじり共振周波数と呼ばれる30Hz〜60Hzの帯域に現れる共振周波数が、減圧時に低周波側にシフトしていることが比較的はっきりと読み取れる。他方、100km/hの場合には、ねじり共振周波数が現れる周波数帯において全体的にゲインが低下し、正規圧時と減圧時とのスペクトルの差が見えにくくなっており、ねじり共振周波数が低周波側にシフトしているかどうかが分かりにくい。
一方で、60Hz〜140Hz、特に90Hz〜140Hzの帯域に現れる共振周波数については、100km/hの場合でも、減圧時に低周波側にシフトしていることが比較的はっきりと読み取れる。むしろ、この帯域では、100km/hの場合の方が60km/h及び80km/hの場合よりも、減圧時の低周波側へのシフトをより顕著に読み取ることができる。
以上より、車両の走行速度が100km/h以上の高速になると、30Hz〜60Hzの帯域の共振周波数の減圧時の低下は検出され難く、これにのみ基づいて減圧を正確に判定することは難しい。しかしながら、これよりも高い60Hz〜140Hzの帯域の共振周波数であれば、車両の走行速度が100km/h以上の高速になっても、減圧時の低下を正確に検出することができる。従って、本発明者らは、異なる共振周波数を表す複数の指標を用いることにより、車両の走行速度に関わらず、タイヤの減圧を高精度に検出することができると考えた。また、車両の特性なども加味し、減圧を検出するための指標としては、30Hz〜60Hzの帯域の共振周波数と、60Hz〜140Hzの帯域の共振周波数を用いることが好ましいと考えた。
<2.検出装置の構成>
図2は、タイヤの減圧の検出装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、4輪車両であり、左前輪タイヤFL、右前輪タイヤFR、左後輪タイヤRL及び右後輪タイヤRRを備えている。検出装置2は、これらのタイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出する機能を備えており、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧が検出されると、車両1に搭載されている警報表示器3を介してその旨の警報を行う。このような減圧検出処理の流れの詳細については、後述する。
図2は、タイヤの減圧の検出装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、4輪車両であり、左前輪タイヤFL、右前輪タイヤFR、左後輪タイヤRL及び右後輪タイヤRRを備えている。検出装置2は、これらのタイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出する機能を備えており、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧が検出されると、車両1に搭載されている警報表示器3を介してその旨の警報を行う。このような減圧検出処理の流れの詳細については、後述する。
タイヤFL,FR,RL,RRの減圧は、車輪の回転速度に基づいて判定される。タイヤFL,FR,RL,RR(より正確には、タイヤFL,FR,RL,RRが取り付けられている車輪)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、各々、自身の取り付けられた車輪の回転速度を表す信号(回転速度信号)を検出する。車輪速センサ6は、検出装置2に通信線5aを介して接続されており、車輪速センサ6で検出された回転速度信号は、通信線5aを介してリアルタイムに検出装置2に送信される。
車輪速センサ6としては、走行中のタイヤFL,FR,RL,RRの回転速度を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から回転速度を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から回転速度を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、回転速度の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。
図3は、検出装置2の電気的構成を示すブロック図である。検出装置2は、ハードウェアとしては、車両1に搭載されている制御ユニットであり、図3に示されるとおり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。I/Oインターフェース11は、車輪速センサ6及び警報表示器3等の外部機器との通信を実現する通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム7が格納されている。プログラム7は、CD−ROM等の記憶媒体9からROM13へと書き込まれる。CPU12は、ROM13からプログラム7を読み出して実行することにより、仮想的に周波数推定部21、減圧判定部22及び警報部23として動作する。各部21〜23の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム7の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
警報表示器3は、減圧が起きている旨をユーザに伝えることができる限り、例えば、液晶表示素子や液晶モニター等、任意の態様で実現することができる。例えば、警報表示器3は、四輪タイヤFL,FR,RL,RRにそれぞれ対応する4つのランプを、タイヤの実際の配列に併せて配置したものとすることができる。また、ランプは1つだけであってもよく、いずれかのタイヤで減圧が検出された場合に点灯するように構成することもできる。警報表示器3の取り付け位置も、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニット(検出装置2)がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを警報表示器3として使用することも可能である。警報表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
<3.減圧検出処理>
以下、図4を参照しつつ、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。図4に示す減圧検出処理は、例えば、車両1の走行が開始したときに開始し、走行が停止したときに終了する。なお、以下では、簡単のため、左前輪タイヤFLの減圧が検出される様子を説明するが、残りのタイヤFR,RL,RRについても同様の処理が行われるものとする。
以下、図4を参照しつつ、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。図4に示す減圧検出処理は、例えば、車両1の走行が開始したときに開始し、走行が停止したときに終了する。なお、以下では、簡単のため、左前輪タイヤFLの減圧が検出される様子を説明するが、残りのタイヤFR,RL,RRについても同様の処理が行われるものとする。
まず、ステップS1では、周波数推定部21が、車輪速センサ6から時々刻々送信されてくるタイヤFLの回転速度信号を取得する。回転速度信号は、I/Oインターフェース11を介して受信され、周波数推定部21は、これをタイヤFLの回転速度Vに変換する。回転速度Vは、記憶装置15又はRAM14に格納される。
続くステップS2では、周波数推定部21が、回転速度Vから、回転加速度A(絶対値)を導出する。回転加速度Aは、回転速度Vを微分することにより得られる。回転加速度Aは、記憶装置15又はRAM14に格納される。
ステップS1,S2は、回転加速度Aの時系列データが一定量溜まるまで、言い換えると、回転加速度Aの値がN個(Nは、2以上の整数)溜まるまで繰り返され、その後、ステップS3に進む。ステップS3では、周波数推定部21は、最新のN個の回転加速度Aの値からなる時系列データ(以下、時系列データDという)に基づいて、タイヤFLのねじり共振周波数f1を表す指標F1を推定する。本実施形態では、指標F1とは、ねじり共振周波数f1そのものであり、周波数推定部21は、時系列データDのスペクトルの30Hz〜60Hzの帯域に現れるピーク周波数を特定し、これをねじり共振周波数f1とする。また、本実施形態では、ねじり共振周波数f1は、2次の自己回帰(AR)モデルを用いて時系列推定される。なお、ねじり共振周波数f1の導出方法は特に限定されず、例えば、時系列データDを高速フーリエ変換してスペクトルを導出した後、30Hz〜60Hzの帯域に現れるピーク周波数を推定してもよい。また、30Hz〜60Hzというねじり共振の推定範囲は例示であり、車両によってねじり共振周波数f1が現れる範囲は異なるため、ねじり共振の推定範囲は車両に合わせて適宜設定される。
次に、ステップS4では、周波数推定部21は、時系列データDに基づいて、60Hz〜140Hzの帯域に現れるタイヤFLの共振周波数f2を表す指標F2を推定する。本実施形態では、指標F2とは、共振周波数f2を間接的に表す指標として導出され、より具体的には、下式のとおり定義される。ただし、C1とは、時系列データDのスペクトルの100Hz〜120Hzの周波数帯でのゲインの積分値であり、C2とは、時系列データDのスペクトルの100Hz〜140Hzの周波数帯でのゲインの積分値である。
F2=C1/C2
F2=C1/C2
すなわち、F2は、異なる周波数帯におけるゲインの比率である。ここで、タイヤFLの減圧により、共振周波数f2が形成するピークの山が低周波側にシフトすると、100Hz〜120Hzの周波数帯内に現れるゲインの面積C1が低減する。つまり、C1は、共振周波数f2に依存すると言えるため、このようなC1により、共振周波数f2を表すことができる。なお、C1をC2で除した値を指標F2としているのは、路面の状態や走行速度といった走行条件により、ゲインの大きさが変化するため、このような走行条件の影響をキャンセルするためである。また、100Hz〜120Hz、100Hz〜140Hzというねじり共振の推定範囲は例示であり、車両によって共振周波数f2が現れる範囲は異なるため、ねじり共振の推定範囲は車両に合わせて適宜設定される。
本実施形態では、計算負荷を低減すべく、フーリエ変換を実行することなく、以上の指標F2が以下の方法で導出される。具体的には、まず、周波数推定部21は、時系列データDを複数のバンドパスフィルタB1,B2に通す。バンドパスフィルタB1は、100Hz〜120Hzの周波数帯の成分を抽出するデジタルフィルタであり、バンドパスフィルタB2は、100Hz〜140Hzの周波数帯の成分を抽出するデジタルフィルタである。以下、バンドパスフィルタB1を通過した時系列データDをD1と表し、バンドパスフィルタB2を通過した時系列データDをD2と表す。
次に、周波数推定部21は、時系列データD1を表す関数G1を時間領域で積分する。ここで、パーセバルの定理によると、関数の平方の総和(積分値)は、その関数のフーリエ変換の平方の総和(積分値)と等しく、よって、関数のスペクトルの積分値は、その関数の値(絶対値)の一定時間(スペクトル解析の対象となるデータの時間長さ)内の和として概ね表すことができる。従って、既にバンドパスフィルタB1を用いて100Hz〜120Hzの周波数帯における信号が抽出されているため、関数G1をデータ個数Nに対応する時間幅において時間領域のまま積分することで、ゲインの積分値C1を導出することができる。同様に、周波数推定部21は、100Hz〜140Hzの周波数帯でのゲインの積分値C2も、時系列データD2を表す関数G2をデータ個数Nに対応する時間幅において時間領域のまま積分することで導出する。
なお、パーセバルの定理によると、厳密には、関数G1,G2を時間領域で積分した積分値は、関数G1, G2のスペクトルの積分値C1,C2とは一致しないが、積分値C1,C2に応じた値となる。従って、関数G1,G2を時間領域で積分した積分値は、それぞれ積分値C1,C2の大小を相対的に表す値となるため、同様にタイヤの減圧状態の判定に用いることができる。
続くステップS5では、減圧判定部22は、指標F1,F2に基づいて、タイヤFLの減圧を判定するための減圧判定指標として、指標F1,F2を結合した結合指標Hを算出する。本実施形態では、結合指標Hは、以下のとおり、指標F1,F2を線形結合したものである。wは、予め設定されている係数であり、w>0である。従って、結合指標Hは、ねじり共振周波数f1が小さくなる程、小さくなり、かつ、共振周波数f2が小さくなる程、小さくなる。算出された結合指標Hは、記憶装置15又はRAM14に格納される。
H=F1+w・F2
H=F1+w・F2
続くステップS6では、減圧判定部22は、結合指標Hの正常値(タイヤの空気圧が正常時の値)が学習済みである(記憶装置15内に学習値が記憶されている)か否かを判定し、学習済みである場合には、処理がステップS7に進められる。一方、学習が未だの場合には、ステップS9,S10に進み、学習を行う。ただし、適切な学習値を得るためには、一定量以上のデータを用いて学習を行うことが好ましいため、一定量以上の結合指標Hのデータが溜まっていない場合には、ステップS1に戻り、さらにデータを収集する処理が続けられる。一方で、一定量以上の結合指標Hが溜まっている場合には、減圧判定部22は、これらのデータに基づいて、結合指標Hの正常値を学習し、記憶装置15に記憶する。正常値は、例えば複数収集された結合指標Hの値を平均する等して決定される。なお、本実施形態では、タイヤの空気圧が調整される度に、図示されない初期化ボタンが押され、これに応じて記憶装置15内の学習値がクリアされるように構成されている。これにより、ステップS10の学習ステップは、タイヤの空気圧が正常な場合にのみ、実行されることになる。
一方、ステップS7では、減圧判定部22は、記憶装置15に記憶されている結合指標Hの正常値とステップS5で算出された結合指標Hの現在値とを比較し、現在値から正常値を引いた差が閾値以上であるか否かを判定する。そして、差が閾値以上と判定された場合には、処理がステップS8に進められ、差が閾値に達していないと判定された場合には、処理がステップS1に戻る。
続くステップS8では、警報部23が、減圧の警報を行う。具体的には、警報部23は、車両1に搭載されている警報表示器3を点灯させ、タイヤFLが減圧状態にあることをドライバーに対し報知する。ステップS8が終わると、減圧検出処理が終了する。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<4−1>
上記実施形態では、減圧検出処理が車載の制御ユニットで実行されたが、車輪の回転速度の情報を車両外のコンピュータに送信し、車両外のコンピュータで実行するようにしてもよい。
上記実施形態では、減圧検出処理が車載の制御ユニットで実行されたが、車輪の回転速度の情報を車両外のコンピュータに送信し、車両外のコンピュータで実行するようにしてもよい。
<4−2>
上記実施形態では、時系列データD1,D2のスペクトルの積分値C1,C2(厳密には、これに応じた値)として、時系列データD1,D2そのものの時間領域での積分値が算出された。しかしながら、例えば、時系列データD1,D2の二乗値の関数の時間領域での積分値等も、スペクトルの積分値C1,C2に応じた値として、タイヤの減圧の判定に用いることができる。すなわち、減圧の判定を行う観点からは、時系列データD1,D2のスペクトルの積分値C1,C2の大小を相対的に表す値が算出できれば足りる。従って、時系列データのスペクトルの積分値を導出するために時間領域で積分される関数は、時系列データを用いて様々に定義することができる。
上記実施形態では、時系列データD1,D2のスペクトルの積分値C1,C2(厳密には、これに応じた値)として、時系列データD1,D2そのものの時間領域での積分値が算出された。しかしながら、例えば、時系列データD1,D2の二乗値の関数の時間領域での積分値等も、スペクトルの積分値C1,C2に応じた値として、タイヤの減圧の判定に用いることができる。すなわち、減圧の判定を行う観点からは、時系列データD1,D2のスペクトルの積分値C1,C2の大小を相対的に表す値が算出できれば足りる。従って、時系列データのスペクトルの積分値を導出するために時間領域で積分される関数は、時系列データを用いて様々に定義することができる。
<4−3>
時系列データDを、回転加速度Aのデータではなく、回転速度Vのデータとしてもよい。ただし、回転速度Vのデータを微分する(或いは、回転速度Vのデータにハイパスフィルタを適用する)ことで得られる回転加速度Aのデータが用いられる場合には、DC成分が除去され得るため、解析の精度を向上させることができる。
時系列データDを、回転加速度Aのデータではなく、回転速度Vのデータとしてもよい。ただし、回転速度Vのデータを微分する(或いは、回転速度Vのデータにハイパスフィルタを適用する)ことで得られる回転加速度Aのデータが用いられる場合には、DC成分が除去され得るため、解析の精度を向上させることができる。
<4−4>
上記実施形態では、共振周波数f1を表す指標F1が、共振周波数f1そのものと定義され、共振周波数f2を表す指標F2が、100Hz〜120Hzの周波数帯でのゲインと100Hz〜140Hzの周波数帯でのゲインの比率と定義された。しかしながら、指標F1,F2は様々に定義することができ、例えば、指標F2も、共振周波数f2そのものと定義してもよい。また、指標F1を、上記実施形態の指標F2のように、異なる周波数帯でのゲインの比率と定義することもできる。より具体的には、指標F1は、時系列データDのスペクトルの40Hz〜50Hzの周波数帯でのゲインの積分値を、時系列データDのスペクトルの20Hz〜30Hzの周波数帯でのゲインの積分値で除した指標と定義することができる。
上記実施形態では、共振周波数f1を表す指標F1が、共振周波数f1そのものと定義され、共振周波数f2を表す指標F2が、100Hz〜120Hzの周波数帯でのゲインと100Hz〜140Hzの周波数帯でのゲインの比率と定義された。しかしながら、指標F1,F2は様々に定義することができ、例えば、指標F2も、共振周波数f2そのものと定義してもよい。また、指標F1を、上記実施形態の指標F2のように、異なる周波数帯でのゲインの比率と定義することもできる。より具体的には、指標F1は、時系列データDのスペクトルの40Hz〜50Hzの周波数帯でのゲインの積分値を、時系列データDのスペクトルの20Hz〜30Hzの周波数帯でのゲインの積分値で除した指標と定義することができる。
<4−5>
上記実施形態では、指標F1,F2を結合した結合指標Hが減圧判定指標とされたが、必ずしも指標F1,F2を結合した指標を減圧判定指標とする必要はない。例えば、走行速度が低速の(例えば、100km/hより低い)場合には、指標F1,F2のうち指標F1のみに基づいて減圧を判定し、走行速度が高速の(例えば、100km/h以上)場合には、指標F1,F2のうち指標F2のみに基づいて減圧を判定するようにしてもよい。
上記実施形態では、指標F1,F2を結合した結合指標Hが減圧判定指標とされたが、必ずしも指標F1,F2を結合した指標を減圧判定指標とする必要はない。例えば、走行速度が低速の(例えば、100km/hより低い)場合には、指標F1,F2のうち指標F1のみに基づいて減圧を判定し、走行速度が高速の(例えば、100km/h以上)場合には、指標F1,F2のうち指標F2のみに基づいて減圧を判定するようにしてもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下に限定されない。
(1)車両の4輪全てのタイヤの空気圧を正規圧とした場合と、(2)(1)と同じ車両の4輪全てのタイヤを減圧させた場合(20%減圧)の各条件下で、車両を約60km/h、約80km/h及び約100km/hで走行させた。そして、各走行時の左後輪の回転速度信号を車輪速センサを用いて取得した。
(1)車両の4輪全てのタイヤの空気圧を正規圧とした場合と、(2)(1)と同じ車両の4輪全てのタイヤを減圧させた場合(20%減圧)の各条件下で、車両を約60km/h、約80km/h及び約100km/hで走行させた。そして、各走行時の左後輪の回転速度信号を車輪速センサを用いて取得した。
図5Aは、取得した左後輪の回転速度信号に基づいて、上記実施形態で説明したねじり共振周波数f1を表す指標F1を算出した結果を示している。図5Bは、取得した左後輪の回転速度信号に基づいて、上記実施形態で説明したねじり共振周波数f1よりも高い共振周波数f2を表す指標F2を算出した結果を示している。図5Cは、図5A及び図5Bの結果を、横軸を指標F2とし縦軸を指標F1とする平面内にプロットし直した図である。
図5Aからは、ねじり共振周波数f1は、走行速度が高速になる程、正規圧の場合と減圧の場合とで差が小さくなることが分かる。一方、図5Bからは、ねじり共振周波数f1よりも高い共振周波数f2を表すゲイン比率は、走行速度が高速になる程、正規圧の場合と減圧の場合とで差が大きくなることが分かる。また、これらの図からは、共振周波数f1のみに基づいて減圧判定を行う場合(比較例1)及び共振周波数f2のみに基づいて減圧判定を行う場合(比較例2)には、車両の走行速度に応じて指標F1,F2がバラつくため、閾値の設定が難しいことが分かる。
一方、図5Cからは、指標F1,F2を結合した結合指標Hに基づいて減圧判定を行う場合(実施例1)には、車両の走行速度に関わらず高精度の減圧判定を実現することができる閾値の設定が容易であることが分かる。すなわち、図5Cに斜めの直線で示すような閾値を設定することができ、この直線よりも下に指標F1,F2を表す点がプロットされるときに、減圧を検出することができる。なお、図5Cの平面内で指標F1,F2を表す点が閾値の直線よりも下にあるか否かの判定は、結合指標Hが閾値よりも小さいか否かの判定と等価である。結合指標Hの定義式に現れる係数wは、閾値の直線の傾きの絶対値に等しい。
1 車両
2 検出装置(コンピュータ)
7 プログラム
21 周波数推定部
22 減圧判定部
23 警報部
2 検出装置(コンピュータ)
7 プログラム
21 周波数推定部
22 減圧判定部
23 警報部
Claims (9)
- 車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出装置であって、
前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定する周波数推定部と、
前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定する減圧判定部と
を備える、検出装置。 - 前記第1共振周波数は、30Hz〜60Hzの帯域に現れる共振周波数である、
請求項1に記載の検出装置。 - 前記第2共振周波数は、60Hz〜140Hzの帯域に現れる共振周波数である、
請求項1又は2に記載の検出装置。 - 前記減圧判定部は、前記第1指標と前記第2指標とを結合した結合指標を算出し、前記結合指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定する、
請求項1から3のいずれかに記載の検出装置。 - 前記結合指標は、前記第1共振周波数が小さくなる程小さくなり、かつ、前記第2共振周波数が小さくなる程小さくなる指標である、
請求項4に記載の検出装置。 - 前記周波数推定部は、前記回転速度信号に基づく時系列データを、特定の周波数帯の成分のみ通す複数のバンドパスフィルタに通してそれぞれの前記周波数帯におけるゲインを特定し、前記ゲインの比率に応じて、前記第1指標を算出する、
請求項1から5のいずれかに記載の検出装置。 - 前記周波数推定部は、前記回転速度信号に基づく時系列データを、特定の周波数帯の成分のみ通す複数のバンドパスフィルタに通してそれぞれの前記周波数帯におけるゲインを特定し、前記ゲインの比率に応じて、前記第2指標を算出する、
請求項1から6のいずれかに記載の検出装置。 - 車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出方法であって、
前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップと、
前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップと
を含む、検出方法。 - 車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出プログラムであって、
前記タイヤの時系列の回転速度信号に基づいて、前記タイヤの第1共振周波数を表す第1指標を推定するとともに、前記第1共振周波数よりも高い前記タイヤの第2共振周波数を表す第2指標を推定するステップと、
前記第1指標及び前記第2指標に基づいて、前記タイヤが減圧しているか否かを判定するステップと
をコンピュータに実行させる、検出プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016245591A JP2018099932A (ja) | 2016-12-19 | 2016-12-19 | タイヤの減圧の検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016245591A JP2018099932A (ja) | 2016-12-19 | 2016-12-19 | タイヤの減圧の検出装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018099932A true JP2018099932A (ja) | 2018-06-28 |
Family
ID=62713983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016245591A Pending JP2018099932A (ja) | 2016-12-19 | 2016-12-19 | タイヤの減圧の検出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018099932A (ja) |
-
2016
- 2016-12-19 JP JP2016245591A patent/JP2018099932A/ja active Pending
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