JP2018098312A - インダクター - Google Patents

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高木 潔
Kiyoshi Takagi
潔 高木
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Abstract

【課題】実装面積を小さくしても磁心が飽和することを抑制した、インダクターを提供することを目的としている。
【解決手段】磁性材料を含み底面18を有する磁心12と、導体26が蛇行したコイル部14とを備え、コイル部14が磁心12に複数埋設されたインダクター11において、コイル部14を上面から視たときに、隣接するコイル部14同士が沿うように配置されており、コイル部14の延伸方向から視たときに、コイル部14が磁心12の底面18に対して傾斜しており、隣接するコイル部14同士が反対方向に傾斜したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器に用いられるインダクターに関するものである。
近年のパソコンなどのマイクロプロセッサーの処理速度の高速化が進む中、駆動電源の低電圧、大電流化が進んでいる。
この駆動電源を供給するDC/DCコンバータなどの電源装置では、電源装置の小型化を目的としたスイッチング周波数の高周波化も著しく、これらの電源装置に使用されるパワーインダクターは、スイッチング周波数の高周波化に伴って、そのインダクタンス値の低インダクタンス化が進んでいる。
そして、低電圧化に伴って所要電流が数十Aまで達するようになり、単独の電源回路ではまかない切れないようになり、複数の電源回路を異なる位相で駆動させ、これを合成することによって大電流を得るマルチフェーズ型の電源装置が用いられるようになってきている。このマルチフェーズ型の電源装置では、複数の電源回路毎に一つのインダクターが使用されている。
このような低インダクタンス化した従来のインダクターとしては、粒子表面が絶縁処理された磁性粉を加圧成形した成形体からなる磁心の中に、平板状導体からなる蛇行したコイル部を、その蛇行した幅方向を磁心の底面の面方向に沿うようにして埋設し、平板状導体の端末を磁心の側面から外部に引き出して電極を形成したものである。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2004−197218号公報
マルチフェーズ型の電源装置ではインダクターを複数使用するため、一つの磁心に複数のコイル部を埋設して一体化することによって、インダクターの実装面積を小さくして電源装置の小型化を行う場合がある。
しかし、インダクターの実装面積、すなわち磁心の底面の面積を小さくしようとすると、複数のコイル部の間の距離が小さくなって、インダクターに大電流を通電したときに、複数のコイル部の間の磁心が飽和しやすくなるという課題を生じてきた。
本発明は、実装面積を小さくしても磁心が飽和することを抑制した、マルチフェーズ型のインダクターを提供することを目的としている。
本発明は上記課題を解決するために、磁性材料を含み底面を有する磁心と、導体が蛇行したコイル部とを備え、コイル部が磁心に複数埋設されたインダクターにおいて、コイル部を上面から視たときに、隣接するコイル部同士が沿うように配置されており、コイル部
の延伸方向から視たときに、コイル部が磁心の底面に対して傾斜しており、隣接するコイル部同士が反対方向に傾斜したものである。
上記構成により、コイル部を上面から視たときに、隣接するコイル部同士が沿うように配置されており、コイル部の延伸方向から視たときに、コイル部が磁心の底面に対して傾斜し、隣接するコイル部同士が反対方向に傾斜しているので、コイル部の蛇行した部分の幅方向の両端部分では隣接するコイル部同士が離れて距離を大きくすることができ、蛇行した部分の中央部分では、隣接するコイル部同士の角度が異なり、コイル部に通電したときに発生する磁束を遮ることを少なくすることができるため、コイル部を上面から視たときのコイル部同士の距離を縮めてインダクターの実装面積を小さくしても、磁心が飽和することを抑制することができるものである。
本発明の一実施の形態におけるインダクターの磁心を透過した斜視図 本発明の一実施の形態におけるインダクターの斜視図 図1におけるA−A線の断面図 図1におけるB−B線の断面図 図1におけるC−C線の断面図 比較例のインダクターの磁心を透過した斜視図 本発明の一実施の形態におけるインダクターの製造工程を説明する図 本発明の一実施の形態におけるインダクターの製造工程を説明する図 本発明の一実施の形態におけるインダクターの製造工程を説明する図
以下、本発明の一実施の形態におけるインダクターについて図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態のインダクターの磁心を透過した斜視図であり、図1において磁心の輪郭を破線で示している。図2は斜視図である。図3は図1におけるA−A線の断面図、図4は図1におけるB−B線の断面図、図5は図1におけるC−C線の断面図、である。
図1〜図5に示すように、本実施の形態のインダクター11は、磁性材料を含み底面18を有する一つの磁心12と、第一コイル素子13a、第二コイル素子13b、第三コイル素子13cの複数のコイル素子13を備えている。
この内、磁心12は、金属磁性体粉末とバインダーとを混合して造粒された磁性材料を圧縮成形したもので、インダクター11の外装体としての機能も兼ねている。
そして、磁心12は、底面18と、この底面18の上方に位置する天面19と、底面18と天面19を連接した第一側面20と、この第一側面20と反対側に位置する第二側面21と、この第二側面21に連接した第三側面22と、この第三側面22の反対側に位置する第四側面23とを有し、四角柱状の形状を有する。
ここで磁心12の形状が四角柱状の形状とは、隣接する二面の成す角度が90°に限定されるものではなく、磁心12を成形する成形金型の抜きテーパーの角度を含んでいてもよく、また、六面それぞれが完全な平面に限定するものではなく、磁心12の外郭が四角柱から逸脱しない範囲で凹部や凸部、曲面、およびインダクター11の方向性を示すために角部が削られたテーパー部を含むものであってもよい。
次に、複数のコイル素子13の、第一コイル素子13a、第二コイル素子13b、第三コイル素子13cはそれぞれ、導体26が蛇行されたコイル部14と、このコイル部14の両端末部15から磁心12の対向する側面に延出された引き出し部16と、この引き出し部16から延出され磁心12の対向する側面から突出された一対の端子17を有する。
これらのコイル素子13は、平板状の導体26からなり、導電率が大きい純銅の厚さが0.2〜2.0mmの平板をプレス加工したものであり、図1の例では0.5mmの厚さの銅板を用いている。
コイル部14は、磁心12の第一側面20第二側面21を結ぶ方向に延伸し、延伸方向に対して蛇行した形状を有する。
引き出し部16は、コイル部14の蛇行した部分の両端の端末部15から第一側面20、第二側面21に延出されている。
そして、このコイル部14と引き出し部16は、必要に応じて表面にポリウレタンやポリアミドイミドなどの絶縁層が設けられ、磁心12の中に埋設されている。
次に、一対の端子17は、引き出し部16から延出され、第一側面20、第二側面21からそれぞれ突出され、第一側面20から底面18、第二側面21から底面18に向かって折り曲げられて構成されている。
そして、複数のコイル素子13のコイル部14は、上面から視たときに、コイル部14の延伸方向を同じ方向にして水平方向に並んでおり、隣接するコイル部14の蛇行した部分が沿うように配置され、そして、コイル部14の延伸方向から視たときに、複数のコイル素子13のそれぞれのコイル部14が磁心12の底面18に対して傾斜し、且つ、隣接するコイル部14同士が反対方向に傾斜している。
より詳細に説明すると、第一コイル素子13a、第二コイル素子13b、第三コイル素子13cは、コイル部14、引き出し部16、端子17を一体にして銅板を打ち抜き加工することにより形成され、銅板を打ち抜いた後の第一、第二、第三コイル素子13a,13b、13cの形状は同じ形状である。
そして、それぞれのコイル部14は、コイル部14の延伸方向の両端末部15が、コイル部14の延伸方向の直線上(図1において第一コイル素子13aの仮想線D−Dで記載している。第二、第三コイル素子13b、13cの仮想線D−Dの記載は省略している。)において、互いに反対方向に折り曲げられており、コイル部14は、蛇行した幅方向の全体を傾斜させて形成されている。
このとき、隣接するコイル部14同士で、コイル部14が傾斜する向きを反対方向して形成されている。つまり、図1において第一コイル素子13aと第三コイル素子13cのコイル部14の傾斜した向きが同じ方向であり、これらとは反対方向に第二コイル素子13bのコイル部14が傾斜されている。
このようにして、複数のコイル素子13を磁心12で一体化させてインダクター11の実装面積を小さくしたものである。
上記した本実施の形態のインダクター11とは別の比較例を図6に示す。図6の比較例では、蛇行した複数のコイル部14を、その蛇行した幅方向を磁心12の底面18の面方向に沿うようにして埋設し、磁心12の底面18に対して傾斜させることなく、単に水平
方向に並べたものである。
この図6の比較例では、隣接したコイル部14間の距離が小さく、大電流を通電すると磁心が飽和しやすくなり、また隣接するコイル部14同士が磁束を遮断しやすくなって磁気効率が低下してしまう問題を生じる。
これに対して本実施の形態のインダクター11では、上記した構成とすることにより、図3、図5に示すように、コイル部14の蛇行した部分の幅方向両端の両端部分24では、隣接するコイル部14同士が離れ、距離が大きくなるために、両端部分24周辺の磁心12の断面積を大きくすることができる。
また、図4に示すように、コイル部14の蛇行した部分の幅方向中央の中央部分25では、隣接するコイル部14同士で傾斜した角度が異なるため、コイル部14に通電したときに発生する磁束を遮る部分を少なくすることができ、中央部分25の周辺の磁心12の断面積を大きくすることができる。
ここで、図3は、コイル部14の蛇行した幅方向両端の両端部分24の内、一方の両端部分24を通る断面図であり、図4は他方の両端部分24を通る断面図である。また、図5は、コイル部14の蛇行した部分の幅方向中央の中央部分25を通る断面図である。そして、図3、図4、図5において、コイル部14の延伸方向から視たときの、コイル部14全体を透過した輪郭を破線で示している。
この結果、複数のコイル部14を磁心に埋設して一体化して小型化したり、このとき、複数のコイル部14同士の水平方向の距離を縮めてインダクター11の実装面積を小さくしても、磁心12が飽和することを抑制することができるものである。
この場合、コイル部14の延伸方向から視たときに、磁心12の底面18と傾斜したコイル部14との角度θCBは、15°〜60°とすることがよく、図1の例では角度θCBを45°(図3を参照)にしている。
角度θCBが15°より小さいと隣接するコイル部14同士の距離を大きくする効果が小さく、磁心12の磁気飽和を抑制する効果が小さくなるので好ましくなく、60°より大きいとインダクター11の高さ寸法が高くなる影響が大きくなるため好ましくない。より好ましくは30°〜45°とすることが望ましい。
なお、コイル部14の蛇行した部分の形状は特に限定されるものではなく、図1に示した直線が繰り返し折れ曲がって蛇行した形状だけでなく、曲線の向きを繰り返し変えて蛇行した形状のものであってもよい。
図1に示した直線が繰り返し折れ曲がって蛇行した形状では、折曲がった部分の内角θMIを60〜120°にすることがよく、図1の例では60°にしている。
折曲がった部分の内角θMIが60°よりも小さいと、コイル部14をプレス加工で打ちぬくときの銅板の材料ロスが多くなって好ましくなく、120°よりも大きいと、コイル部14の蛇行した部分の延伸方向の長さが長くなりやすく、インダクター11の実装面積が大きくなるので好ましくない。より好ましくは60〜90°とすると、材料ロスが少なく、隣接するコイル部14をより近づけて配置しやすくすることができ、インダクター11の実装面積を小さくしやすくできる。
次に、上記した本実施の形態のインダクター11の製造方法について図7〜図9を参照
して説明する。図7〜図9は本発明の一実施の形態におけるインダクターの製造工程を説明する図である。
最初に、図7に示すように、平板状の導体26をプレス加工してコイル部14と引き出し部16と一対の端子17を一体に形成する。
平板状の導体26は導電率が大きい材料がよく、本実施の形態では厚さが0.5mmの純銅の銅板を用いている。
コイル部14は延伸方向に対して直線が繰り返し折れ曲がって蛇行した形状に形成し、第一コイル素子13a、第二コイル素子13bおよび第三コイル素子13cの複数のコイル部14を、その延伸方向を同じ方向にして横に並べて形成する。
引き出し部16は、それぞれのコイル部14の両端に、コイル部14の延伸方向に沿って互いに反対方向に延出させて形成する。
一対の端子17は、引き出し部16を延出させて、互いに反対方向へ延伸させて形成する。端子17を形成する部分は必要な寸法よりも長く形成しておく。
これらの複数のコイル素子13は、図7のように帯状の銅板をプレス加工で打ち抜いて連続したフープ状に形成すると生産効率が向上するので好ましい。
この場合、コイル部14の直線が繰り返し折れ曲がった部分の内角θMIを60〜120°、より好ましくは60〜90°とすると、材料ロスを少なくしてプレス加工で打ち抜くことができ、隣接するコイル部14をより近づけてフープ上に連続して形成することができる。図7の例ではθMIを60°にしている。
次に、図8に示すように、それぞれのコイル部14の延伸方向の両端末部15を、コイル部14の延伸方向に沿った直線上(図1の仮想線D−Dに相当する部分)で、互いに反対方向に所望の角度で折り曲げる。折り曲げる角度は、磁心12の底面18とコイル部14との角度θCBにより設定する。
ここで、図8において、コイル部14の両端末部15を折り曲げるときの方向を矢印で示している。
このとき、隣接するコイル部14同士で、コイル部14が傾斜する向きを反対方向に折り曲げる。つまり、第一コイル素子13aと第三コイル素子13cのコイル部14を同じ方向に傾斜させて折り曲げ、これらとは反対方向に第二コイル素子13bのコイル部14を傾斜させて折り曲げる。
なお、コイル部14の延伸方向の両端の両端末部15の折り曲げる部分には、図7に示すように、折り曲げる部分の谷折り側にノッチ27を設けておくとよく、折り曲げが容易となるので好ましい。
この場合、コイル部14の両端末部15のノッチ27の位置を直線上(図1の仮想線D−Dに相当する部分)に設けるのではなく、導体26の厚みを考慮してずらしておくとよく、コイル部14に歪みが生じたり、端子17の位置ずれが生じることを抑制することができる。
ここで図7において、ノッチ27は、導体26の図面上表面側のノッチ27を実践で示
し、図面上裏面側のノッチ27を破線で示している。
次に、図9に示すように、成形金型(図示せず)に、第一、第二、第三コイル素子13a、13b、13cのぞれぞれのコイル部14、引き出し部16と、金属磁性体粉末と熱硬化性樹脂からなるバインダーとを混合して造粒された磁性材料を入れ、圧縮成形して磁心12を成形する。
そして、得られた成形体を熱処理することにより磁心12を熱硬化させる。
なお、図9において、磁心12は輪郭を破線で示している。
最後に、端子17を所定の長さに切断し、必要に応じて端子17を溶融はんだにディップするなどしてはんだめっきを施した後、第一側面20側の端子17をそれぞれ第一側面20から底面18、第二側面21側のそれぞれの端子17を第二側面21から底面18に向かって折り曲げる。
なお、端子17を折り曲げる部分には、図7に示すように、折り曲げる部分の谷折り側にノッチ27を設けておくとよく、折り曲げが容易となるので好ましい。ここで図7において、導体26の図面上裏面側のノッチ27を破線で示している。
以上のようにすることにより、図1に示したインダクター11を得ることができる。
なお、本実施の形態では、導体26を銅板の例で説明したが、断面形状が円形状、角形状の導線でもよく、導線を蛇行した形状に形成して端子17に接続したものであっても、本実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、磁心12を金属磁性体粉末とバインダーとを混合して造粒された磁性材料を圧縮成形したもので説明したが、磁性体粉末を含んだ合成樹脂を射出成形したものでもよく、本実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
本発明に係るインダクターは、実装面積を小さくしても磁心が飽和することを抑制することができ、産業上有用である。
11 インダクター
12 磁心
13 コイル素子
13a 第一コイル素子
13b 第二コイル素子
13c 第三コイル素子
14 コイル部
15 端末部
16 引き出し部
17 端子
18 底面
19 天面
20 第一側面
21 第二側面
22 第三側面
23 第四側面
24 両端部分
25 中央部分
26 導体
27 ノッチ

Claims (2)

  1. 磁性材料を含み底面を有する磁心と、導体が蛇行したコイル部とを備え、前記コイル部が前記磁心に複数埋設されたインダクターにおいて、前記コイル部を上面から視たときに、隣接する前記コイル部同士が沿うように配置されており、前記コイル部の延伸方向から視たときに、前記コイル部が前記磁心の前記底面に対して傾斜しており、隣接する前記コイル部同士が反対方向に傾斜していることを特徴とするインダクター。
  2. 傾斜した前記コイル部と前記磁心の前記底面との角度を15〜60°としたことを特徴とする請求項1記載のインダクター。
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