JP2018096891A - 光分析システム、及び光分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】懸濁した試料の成分を光学的に分析する。【解決手段】液体状の試料に光を照射し、前記試料を透過した透過光を用いて前記試料の成分を分析する光分析システムは、前記試料を収容する容器と、前記試料を励振させるための超音波を照射する超音波照射部とを備える。前記容器は、前記試料を隔てて配置されかつ光透過性を有する一対の光透過壁部を含み、一方の前記光透過壁部と他方の前記光透過壁部とは、前記超音波の波長よりも短い距離で離間して配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、光分析システム、及び光分析方法に関する。
従来、試料に光を照射し、試料を透過した透過光を用いて試料に含まれる成分を分析する光分析装置が知られている。例えば、特許文献1には「対象の試料の吸光度を計測する機能を有する分光分析装置であって、前記試料の吸光度を計測するための光学系は、前記試料を格納する容器が配置される透光部と、前記透光部の容器の試料に対して照明光を照射するための光源を含む照明部と、前記透光部の容器の試料からの透過光を分光して波長ごとの強度を検出することで前記試料の吸光度を計測する測光部と、を有し、前記照明部と前記透光部との間を接続し前記照明光を導光する第1の光ファイバを有し、前記光源からの照明光の部分偏光特性を前記第1の光ファイバによって解消して非偏光として前記試料に照射する、分光分析装置。」が記載されている。
特開2014―115268号公報
しかしながら、懸濁物質を含む懸濁した試料を分析する場合、特許文献1に開示された技術では、透過光を正確に検出することができず、正確に試料の成分を分析することができない。具体的には、特許文献1に開示された分光分析装置では、光が試料を透過した距離(光路長)と分析対象となる成分の吸光度をもとに、試料に含まれる成分の量を定量化している。光を散乱させるような懸濁物質(散乱体)が試料内に存在する場合、入射光が試料を透過しない、或いは、入射光が散乱体によって多重散乱して光路長が変化してしまう。そのため、懸濁した試料に含まれる成分を正確に分析することができない。
本発明は、懸濁した試料の成分を光学的に分析することを目的とする。
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
上記の課題を解決する本発明の一態様は、液体状の試料に光を照射し、前記試料を透過した透過光を用いて前記試料の成分を分析する光分析システムであって、前記試料を収容する容器と、前記試料を励振させるための超音波を照射する超音波照射部と、を備え、前記容器は、前記試料を隔てて配置されかつ光透過性を有する一対の光透過壁部を含み、一方の前記光透過壁部と他方の前記光透過壁部とは、前記超音波の波長よりも短い距離で離間して配置される。
本発明の一態様によれば、懸濁した試料の成分を光学的に分析することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。 光源から照射された光の進行状態を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態に係る光分析システムの動作原理を示す図である。 超音波と透明領域の関係を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態の実施例を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る容器保持部の内部構成例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る光分析システムの動作原理を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。
以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照して説明する。各実施形態の構成の説明では、理解のため、互いに直交する3軸(X、Y、Z)を用いる。もちろん、各実施形態の構成は、厳密にXYZ軸に一致していなくても、実質的に同じ作用効果を達成できる範囲内の変更は許容される。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。光分析システム100は、光源10と、容器21と、超音波照射部22と、制御部23と、受光部30とを備える。
容器21は、光分析システム100の成分分析の対象である液体状の試料1を収容する。試料1は、固体の懸濁物質を液体中に分散させた懸濁液である。容器21は、直方体状に形成される。容器21は、例えば、ガラスなどの透明な材料を使って形成される。
詳細には、容器21は、試料1を隔てて配置される、光透過性を有する一対の光透過壁部(XZ面に平行)を含む。また、容器21は、試料1を隔てて一対の光透過壁部に直角に配置される一対の壁部(第1壁部および第2壁部、YZ面に平行)を含む。光源10及び受光部30は、光源10から出射された光が、近い側の光透過壁部、試料1、遠い側の光透過壁部の順にY方向に通過し、受光部30に到達するように、例えば一対の光透過壁部の両外側に配置される。
なお、容器21は、試料1を交換可能に構成される。例えば、容器21は、試料1を出し入れする開口と、当該開口を開閉可能な蓋部材を備えていればよい。
超音波照射部22は、平面状の振動面を有し、この振動面が第1壁部の外壁面(試料1と反対側の面)に当接するように設置される。超音波照射部22は、制御部23に接続され、制御部23から出力される電気信号Eにより駆動される。駆動された超音波照射部22は、その振動面(YZ面に平行)を振動させてX方向に超音波を照射し、容器21に収容されている試料1を励振する。光と超音波は、異なる方向(直交する)ように設定されている。超音波照射部22は、例えば、ピエゾ方式の超音波振動子を備えて構成される。
光源10は、試料1に照射するための光を出射する。光源10から出射された光は、一対の光透過壁部及びそれらの間の試料1を透過し、受光部30に受光される。光源10は、制御部23に接続され、制御部23により制御される。光源10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を用いて実現することができる。
受光部30は、一対の光透過壁部及びそれらの間の試料1を透過した透過光を受光する。受光部30は、例えば、受光した光の強度を示す電気信号を、制御部23に出力する。受光部30は、フォトダイオード等の受光素子用いて実現することができる。
制御部23は、光源10、超音波照射部22、及び受光部30を制御する他、例えば、受光部30から出力される透過光の強度に基づいて、試料1に含まれる成分を分析する処理を実行する。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータや、専用ハードウェア回路により実現することができる。
本実施形態の光分析システム100は、超音波を試料1に照射することで、試料1内の懸濁物質を凝集させることができる。また、光分析システム100は、懸濁物質が凝集する凝集領域(懸濁領域ともいう)以外の透明領域を試料1内に形成し、この透明領域に光を透過させることができる。また、本実施形態の光分析システム100では、一対の光透過壁部の内壁面間の距離Lは、超音波照射部22から出力される超音波の波長よりも短くなるように設定される。これらの構成については、図2〜図4を用いて後に詳述する。
なお、超音波照射部22は、第2壁部の外壁面に設けられてもよい。また、2つの超音波照射部22が、それぞれ第1壁部及び第2壁部の外壁面に設けられてもよい。2つの超音波照射部22を設けることで、超音波の音圧を増加させて、試料1内の懸濁物質をより凝集し易くできる。
図2を参照して、懸濁した液体試料を分析する際の問題点について説明する。図2は、光源から照射された光の進行状態を説明する説明図である。図2では、容器Pに液体状の試料Sが収容されており、容器Pの一対の光透過壁部の両側に光源Qと受光部Rが配置されている。図2(a)は、試料Sが透明である場合を示す。図2(b)は、試料Sが光を散乱する懸濁物質s(散乱体ともいう)を含む懸濁液である場合を示す。
図2(a)に示すように、光源Qから照射された光は、試料Sを透過する際に試料Sに含まれる成分によって一部が吸収された後、受光部Rに到達する。吸収される光は、成分によってその量と波長が異なるため、受光部Rに到達した光の特性を分析することで、試料Sに含まれる成分を特定することができる。また、吸収される光の量は、試料Sに含まれる成分の量に依存するため、容器P内を進む光の距離(光路長ともいう)を固定することで、成分を定量分析することができる。従って、試料Sが透明である場合、光が真っすぐ進むことにより光路長が一定となり、正確に成分を定量分析することができる。
一方、図2(b)に示すように、試料Sが懸濁液である場合、光源Qから照射された光は、懸濁物質sによって進行が妨げられて受光部Rに到達しない、あるいは、懸濁物質sによって多重散乱してしまう。すなわち、容器P内を進む光の光路長が一定にならない。そのため、試料Sに含まれる成分を、定量分析することができない、あるいは、正確に定量分析することができない。
そこで、本実施形態に係る光分析システム100は、散乱体による光の進行の妨害を回避するための構成を具備する。すなわち、光分析システム100は、懸濁した試料1に超音波を照射することで、試料1内に散乱体が少ない透明領域を発生させ、当該透明領域に光を照射する。
図3は、第1実施形態に係る光分析システムの動作原理を示す図である。図3は、Y方向から見た容器21の内部の現象を模式的に示している。図3の左図は、超音波の照射前の状態、中央図及び右図は、超音波の照射後の状態を示す。
駆動された超音波照射部22からX方向に照射された超音波は、懸濁した試料1に定在波wを発生させる。定在波wによって、試料1には、照射された超音波の固有の周波数に応じた音場が形成される。定在波wは、音圧が高い領域である節p1と、音圧が低い領域である腹p2とが周期的に現れる振動である。節p1及び腹p2は、X方向に間隔を空けて、YZ方向の面状に形成される。
定在波wが発現すると、節p1と腹p2の間隔よりも十分小さな懸濁物質(図中の多数の点)は、それらの質量等の物性値に応じて節p1又は腹p2へ向かう力(音響放射力)を受け、節p1又は腹p2の位置に凝集する。右図では、懸濁物質は、節p1及びその周囲に凝集している(以下の説明でも同様)。このようにして、容器21内には、凝集した多くの懸濁物質が含まれる凝集領域1aと、少ない懸濁物質が含まれる透明領域1bとが、周期的に現れる。透明領域1bには、懸濁物質が含まれていなくてもよい。
本実施形態の光分析システム100は、光源10から照射された光が、上述のように形成された透明領域1b内の測定領域TをY方向に通過し、当該測定領域Tを通過した光が受光部30により受光されるように構成される。透過光は、透明領域1bを透過するため、殆ど散乱せずに、受光部30に到達することができる。これにより、懸濁した試料であっても、試料に含まれる成分を正確に定量的に分析することが可能となる。
図4を参照して、仮に、一対の光透過壁部の内壁面間の距離Lが超音波の波長よりも長く設定された場合の問題点について説明する。図4は、超音波と透明領域の関係を模式的に説明する説明図である。容器21の一対の光透過壁部の内壁面間の距離Lは、超音波の波長よりも長く設定されている。
図4(a)は、容器21の入射面(超音波照射部22が設けられた第1壁部の内壁面)と反射面(第1壁部に対向する第2壁部の内壁面)が平行である場合を示している。なお、超音波照射部22の振動面(出射面)は、入射面及び反射面と平行である。この場合、反射面に対して垂直に進行する入射波(X方向)が反射面で反射されると、入射波と逆向きの反射波(X方向)が発生し、これらの波が合成されて定在波wが発生する。この定在波wにより節p1及び腹p2がX方向に周期的に形成されるため、凝集領域及び透明領域(図示せず)も周期的に形成される。また、光源10から受光部30までの光を真っすぐ通過させる十分な広さの透明領域が形成される。
図4(b)は、容器21の入射面と反射面が平行でない場合を示している。なお、超音波照射部22の振動面は、入射面と平行である。この場合、入射波が反射面で反射されると、入射波の進行方向(X方向)に対して斜めに外れた反射波が発生する。さらにこの反射波は、光透過壁部の内壁面で反射される。すると、周期性を持たないランダムな波w5が発生し、節や腹が容器21内のランダムな位置に形成され、さらに凝集領域及び透明領域が容器21内の様々な位置に様々な形状や向きで形成されてしまう。その結果、光を真っすぐ通過させる十分な広さの透明領域が形成されない。より具体的には、波w5の節がX方向に交差する様々な方向(例えばY方向)に発生し、凝集領域もそれらの方向に発生する。光源10からの光は、ランダムに形成された凝集領域によって妨害され、成分分析を行うことができない。
そこで、本実施形態の光分析システム100では、上述のように、一対の光透過壁部の内壁面間の距離L(光路長L)は超音波の波長よりも短く設定される、あるいは、超音波の波長は距離Lよりも長く設定される。この場合、反射面で斜めに反射した反射波は、節を形成する前に別の内壁面で反射され、さらにこれが繰り返される。すなわち、ランダムな波の節がX方向に交差する様々な方向(例えばY方向)に発生しない、あるいは発生が少なくなる。これに伴い、凝集領域もX方向に交差する様々な方向(例えばY方向)に発生しない、あるいは発生が少なくなる。これにより、容器21の入射面と反射面が平行でなくても、光源10から受光部30までの光を真っすぐ通過させる十分な広さの透明領域が形成される。
図5は、本発明の第1実施形態の実施例を説明する図である。本実施例は、透明領域の形成を評価した参考的な実施例である。
図5(a)に示すように、本実施例では、容器21として石英容器を作成し、超音波照射部22として2種類の超音波振動子を用いた。
石英容器は、透明なガラス材で形成し、外形寸法45mm(X)×3.5mm(Y)×12.5mm(Z)、内形寸法40mm(X)×1mm(Y)×10mm(Z)で形成した。石英容器のXZ面に平行な一対の光透過壁部の間の距離L(光路長L)は、1mmに設定されている。本実施例における評価では、ポリスチレン粒子(粒径:20μm)を水に分散させた分散液(4.55×10個/ml)を、懸濁液の試料として石英容器に収容した。
各超音波振動子は、石英容器の底部の外壁面(YZ面に平行)にその振動面を当接させて使用した。各超音波振動子は、圧電セラミックス(PZT)超音波振動子である。実施例では、共振周波数が異なる2種類の超音波振動子(共振周波数:2MHz、500kHz)を用いた。各超音波振動子は、35Vppの電気信号で駆動した。
図5(a)に示すように、本実施例における評価では、石英容器には、空気とともに懸濁液が収納されている。そのため、空気と懸濁液の界面が超音波(X方向)の反射面となっている。また、空気と懸濁液の界面には、石英容器の内壁面と懸濁液との相互作用によってメニスカスが形成されている。そのため、石英容器の底部の内壁面(YZ面に平行)及び超音波振動子の振動面(YZ面に平行)は、超音波の反射面と平行でない。
図5(b)の上図には、超音波照射前の石英容器内の懸濁液の様子が示されている。この状態では、懸濁液は、一様に分散したポリスチレン粒子によって白濁している。
図5(b)の左下図には、超音波振動子(共振周波数:2MHz)を使って超音波を照射した後の石英容器内の懸濁液の様子が示されている。図5(b)の右下図には、超音波振動子(共振周波数:500kHz)を使って超音波を照射した後の石英容器内の懸濁液の様子が示されている。いずれの場合も、懸濁液は、超音波の音響放射力により、ポリスチレン粒子が凝集され、透明領域と凝集領域に分離される。懸濁液の透明領域と凝集領域は、濃淡の差となって現れている。なお、濃いグレーの領域が、透明領域に相当する。
共振周波数が2MHzの超音波の波長は、光路長L(1mm)よりも短い約0.75mmである。上述したように、超音波の反射面は超音波振動子の振動面と平行でないため、2MHzの超音波をX方向に照射した場合は、石英容器のX方向に交差する様々な方向(例えばY方向)にも節が発生し、それに伴って凝集領域もそれらの方向に発生している。図5(b)の左下図に示すように、ランダムな方向に発生した凝集領域が細かな濃淡となって現れている。
それに対して、共振周波数が500kHzの超音波の波長は、光路長L(1mm)よりも長い約3mmである。そのため、500kHzの超音波をX方向に照射した場合は、石英容器のX方向に交差する様々な方向(例えばY方向)に節が発生しない、あるいは、発生が少なくなっている。図5(b)の右下図に示すように、左下図と比べて規則性のある周期的な透明領域が濃淡となって現れている。
上述の実施例から、超音波の出射面と反射面が平行でない場合であっても、光路長Lを超音波の波長よりも短く設定する、あるいは、超音波の波長を光路長Lよりも長く設定することで、光を通過させる透明領域をより正確に形成できることが分かる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、懸濁した試料の成分を光学的に正確に分析することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る光分析システムは、容器保持部を用いて容器を保持する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図6は、第2実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。図6では、後述する容器保持部42は、その内部を透視できるように示されている。光分析システム200は、光源10と、容器41と、容器保持部42と、超音波照射部43と、制御部44と、受光部30とを備える。光源10、容器41、超音波照射部43、制御部44、及び受光部30は、第1実施形態と同様に構成される。
容器保持部42は、容器41を内部に着脱可能に保持するための開口(図の上部側)を備える直方体状に形成される。詳細には、容器保持部42は、保持された容器41を隔てて配置される一対の光通過壁部(XZ面に平行)を含む。また、容器保持部42は、保持された容器41を隔てて一対の光通過壁部に直角に配置される一対の壁部(第1保持壁部および第2保持壁部、YZ面に平行)を含む。
一対の光通過壁部には、一対の開口部46が形成されている。一対の開口部46は、互いに向かい合うようにY方向上に配置されている。光源10及び受光部30は、光源10から照射された光が、近い側の開口部46、容器41の近い側の光透過壁部、試料1、容器41の遠い側の光透過壁部、遠い側の開口部46の順にY方向に通過し、受光部30に到達するように、例えば一対の光通過壁部の両外側に配置される。
なお、容器保持部42は、例えば、不透明なガラスや樹脂等の材料により形成することができる。このようにすれば、受光部30によって受光される光源10からの透過光以外の光が排除あるいは低減されるので、成分分析の精度を向上することができる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る容器保持部の内部構成例を示す図である。図7(a)では、容器保持部42の第1保持壁部及び第2保持壁部が省略されている。図7(b)では、容器保持部42の一対の光通過壁部が省略されている。一対の開口部46の位置は、破線で示している。
超音波照射部43は、容器保持部42の第1保持壁部の内壁面に設けられる。また、容器保持部42の第2保持壁部の内壁面には、1つ以上の押圧部45が設けられる。押圧部45は、例えば、ばね、ゴム等の弾性材料で形成される。容器保持部42に挿入された容器41は、押圧部45によって第1保持壁部の方向に押され、超音波照射部43の振動面に密着させられる。
容器保持部42を構成する一対の光通過壁部の内壁面間の距離L2は、超音波照射部43から出力される超音波の波長よりも短くなるように設定される。容器41の光透過壁部の内壁面間の距離Lは、距離L2よりも短く設定される。従って、第1実施形態と同様に、光源10から受光部30までの光を真っすぐ通過させる十分な広さの透明領域が容器41内部に形成される。なお、一対の開口部46は、光源10から照射された光が容器41内に形成された透明領域内の測定領域TをY方向に通過し、受光部30により受光されるように配置されている。
第2実施形態の光分析システム200では、容器保持部42に超音波照射部43が設けられており、容器41は容器保持部42に着脱可能である。これにより、複数の容器41を容易に交換することができるため、例えば複数種類の試料の分析を効率的に実施することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る光分析システムは、撹拌槽を備える。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図8は、第3実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。光分析システム300は、光源10と、容器51と、超音波照射部52と、制御部53と、受光部30とを備える。光分析システム300は、さらに、撹拌槽61と、バイパス71と、バイパス72とを備える。光源10、超音波照射部52、制御部53、及び受光部30は、第1実施形態と同様に構成される。
化学薬品などの製造プロセスでは、懸濁液を撹拌機で攪拌したり、他の物質と混合したりするプロセスがある。本実施形態の光分析システム300は、撹拌機の撹拌槽61と容器51をバイパス71及びバイパス72で接続して、懸濁した試料2を循環させる。
撹拌槽61は、回転軸を回転させるモータ62と、当該回転軸周りに設けられた1つ以上の撹拌翼63とを備える。また、撹拌槽61には、バイパス71の一端に接続される流出口64と、バイパス72の一端に接続される流入口65とが設けられる。
容器51は、基本的には第1実施形態と同様に構成される。ただし、容器51は、バイパス71及びバイパス72に接続される。具体的には、容器51には、バイパス71の他端に接続される流入口54と、バイパス72の他端に接続される流出口55とが設けられる。図8の例では、流入口54は、容器51の上側壁部(XY面に平行)に設けられ、流出口55は、容器51の下側壁部(XY面に平行)に設けられている。
撹拌槽61内の懸濁液である試料2は、流出口64から流出して、バイパス71及び流入口54を通じて容器51内に流入する。また、容器51内に流入した試料2は、流出口55から流出して、バイパス72及び流入口65を通じて撹拌槽61内に流入する。このようにして、試料2は、光分析システム300内で循環する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る光分析システムの動作原理を示す図である。
試料2が容器51内を流入口54から流出口55に向けて流れている状態で、超音波照射部52は、超音波を照射する。すると、第1実施形態と同様に、凝集領域1aと透明領域1bとが周期的に現れる。もちろん、超音波照射時には試料2の流れが止まるように、撹拌機による撹拌が制御されてもよい。
第3実施形態に係る光分析システム300では、撹拌槽61と容器51を接続した循環系内で試料2を循環させるため、例えば試料2を製造しながら成分分析することができる。第1実施形態のように、試料1を交換する作業をなくすことができる。また、第2実施形態のように、容器41を交換する作業をなくすことができる。
[第4実施形態]
第4実施形態に係る光分析システムは、試料2が循環しない点で、第3実施形態と異なる。以下、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
図10は、第4実施形態に係る光分析システムの構成例を示す図である。光分析システム400は、バイパス72の代わりに、バイパス73を備える。撹拌槽61には、流入口65が設けられていない。
容器51の流出口55は、バイパス73の一端に接続される。バイパス73の他端は、光分析システム400外に設置された回収システム80に接続、あるいは、開放されている。回収システム80は、例えば、排出容器であってもよいし、さらに他の分析を行うための分析システムであってもよい。
撹拌槽61内の試料2は、流出口64から流出して、バイパス71及び流入口54を通じて容器51内に流入する。また、容器51内に流入した試料2は、流出口55から流出して、バイパス73を通じて回収システム80へ排出される。
第4実施形態に係る光分析システム400では、容器51で超音波や光が照射された試料2は、系外へと排出される。これにより、超音波や光の照射により試料2が変質するあるいは変質するおそれがある場合に、撹拌槽61内の試料2が変質するのを防ぐことができる。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、本発明は、懸濁液の光学分析以外にも、乳濁液の光学分析などへも適用可能である。乳濁液中に分散した液体微粒子は、超音波の節又は腹に凝集する。例えば、水に油の粒子が分散された乳濁液では、油粒子は腹に凝集する。
また、本発明は、光分析システムだけでなく、光分析装置、光分析方法等の様々な内容で提供することができる。例えば、光源、容器、超音波照射部、制御部、及び受光部を、光分析装置として実現することができる。
1…試料、1a…凝集領域、1b…透明領域、2…試料、10…光源、21…容器、22…超音波照射部、23…制御部、30…受光部、41…容器、42…容器保持部、43…超音波照射部、44…制御部、45…押圧部、46…開口部、51…容器、52…超音波照射部、53…制御部、54…流入口、55…流出口、61…撹拌槽、62…モータ、63…撹拌翼、64…流出口、65…流入口、71…バイパス、72…バイパス、73…バイパス、80…回収システム、100…光分析システム、200…光分析システム、300…光分析システム、400…光分析システム、E…電気信号、L…距離(光路長)、p1…節、p2…腹、T…測定領域、w…定在波

Claims (11)

  1. 液体状の試料に光を照射し、前記試料を透過した透過光を用いて前記試料の成分を分析する光分析システムであって、
    前記試料を収容する容器と、
    前記試料を励振させるための超音波を照射する超音波照射部と、を備え、
    前記容器は、前記試料を隔てて配置されかつ光透過性を有する一対の光透過壁部を含み、
    一方の前記光透過壁部と他方の前記光透過壁部とは、前記超音波の波長よりも短い距離で離間して配置される
    光分析システム。
  2. 請求項1に記載の光分析システムであって、
    前記超音波照射部は、前記超音波が前記光と異なる方向に照射されるように配置される
    光分析システム。
  3. 請求項1に記載の光分析システムであって、
    前記容器は、前記試料を隔てて配置される一対の壁部を含み
    前記超音波照射部は、前記第1壁部または前記第2壁部のいずれか一方の、前記試料と反対側の外壁面に配置される
    光分析システム。
  4. 請求項1に記載の光分析システムであって、
    前記容器を着脱可能に保持する容器保持部を備え、
    前記容器保持部は、保持された状態の前記容器を隔てて配置される一対の壁部を含み、前記一対の壁部には、前記光を通過させる一対の開口部が設けられる
    光分析システム。
  5. 請求項4に記載の光分析システムであって、
    前記容器保持部は、保持された状態の前記容器を隔てて配置される第1保持壁部および第2保持壁部を含み、
    前記超音波照射部は、保持された状態の前記容器と前記第1保持壁部との間に配置される
    光分析システム。
  6. 請求項4に記載の光分析システムであって、
    前記容器保持部は、不透明な材料で形成される
    光分析システム。
  7. 請求項1に記載の光分析システムであって、
    前記試料を前記容器に流入させる第1のバイパスと、
    前記試料を前記容器から流出させる第2のバイパスと、を備え、
    前記容器は、前記第1のバイパスの一端に接続される流入口と、前記第2のバイパスの一端に接続される流出口と、を含む
    光分析システム。
  8. 請求項7に記載の光分析システムであって、
    前記試料を撹拌する撹拌槽を備え、
    前記第1のバイパスの他端は、前記撹拌槽に設けられた流出口に接続され、
    前記第2のバイパスの他端は、前記撹拌槽に設けられた流入口に接続される
    光分析システム。
  9. 請求項7に記載の光分析システムであって、
    前記試料を撹拌する撹拌槽を備え、
    前記第1のバイパスの他端は、前記撹拌槽に設けられた流出口に接続され、
    前記第2のバイパスの他端は、外部の回収システムに接続される
    光分析システム。
  10. 請求項1に記載の光分析システムであって、
    前記試料は、懸濁液または乳濁液である
    光分析システム。
  11. 液体状の試料に光を照射し、前記試料を透過した透過光を用いて前記試料の成分を分析する光分析方法であって、
    前記試料を収容する容器であって、収容された状態の前記試料を隔てて配置される光透過性を有する一対の光透過壁部を備える容器を用意し、
    前記容器に前記試料を収容し、
    一方の前記光透過壁部と他方の前記光透過壁部との間の距離よりも長い波長を有する超音波を、前記試料に照射して励振させる
    光分析方法。
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