JP3944660B2 - 化学分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体液や水等の被分析液の成分分析を行なう化学分析装置に係り、特に化学分析装置における被分析液の撹拌、混合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生体液や水等の被分析液の成分分析を行なう化学分析装置としては、米国特許第4,451,433号明細書に記載の化学分析装置がある。この装置は、血液中の淡泊、尿中の成分などを分析・定量するための比色測定部と、血液中のイオンを分析するイオン分析部とから成る装置で、一時間に数百テストから、大形の装置になると9000テスト以上の処理速度を持つ。
【0003】
図9は、従来技術に係る化学分析装置10の1例を示す系統図である。この図に示すように、従来のイオン分析部は、主に希釈容器11及び希釈容器11にサンプル38を供給するための自動サンプル供給機構(図中サンプル供給ピペッタ21、サンプルシリンジポンプ22、洗浄液タンク25から洗浄液26を供給する洗浄液供給ポンプ23、洗浄液制御バルブ24)、希釈液タンク35から希釈液36を供給するための自動希釈液供給機構(図中希釈液吐出ノズル31、希釈液シリンジポンプ32、希釈液供給ポンプ33、希釈液制御バルブ34)、希釈されたサンプルのイオン濃度を計測するためのイオン検知器42、これらの動作を制御するための制御駆動部51からなる。サンプルを希釈混合するための機構は特に設けられておらず、希釈液吐出ノズル31の水流によって希釈容器11内に流れを発生させて行なう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の化学分析装置10は、希釈ムラを低減し、高精度な分析を行なうために希釈液の吐出ノズル31の位置・方向を調整して、最適な水流を発生させるようにしているが、装置毎に微妙な調整が必要なこと、メンテナンス時にノズルの位置・方向が狂い易く、この調整が難しい等の問題点があった。一方これらの問題を解決するために強制的に撹拌棒等を希釈容器11内に挿入して撹拌するものもあるが、キャリーオーバを避けるためにテスト毎に撹拌棒を洗浄する必要があり、そのための余分な時間及び余分な洗浄液26が必要になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、反応容器内の被分析液に接触することなく、被分析液の撹拌、混合を常に安定して均一に行ない、且つ分析装置毎の撹拌、混合の性能バラツキを少なくすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、反応容器に試料を供給する試料供給部と、前記反応容器に試薬又は希釈液を供給する試薬供給部と、反応容器に供給された試料及び希釈液又は試薬を含んでなる被分析液を分析する分析部と、を有する化学分析装置において、被分析液を含んでなる反応容器の壁体を介して内部の被分析液に音波を照射して被分析液に流れを発生させて撹拌し混合する音波発生手段を設けてなり、音波発生手段から被分析液に至る音波伝達媒体の音波伝達方向の距離が、前記音波の((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2・・・、λ:音波伝達媒体中の音波波長)の範囲に入る値とする。これによって、音波をあてて被分析液に流れを発生させ、撹拌、混合するので、反応容器内の被分析液に接触することがなく、精度の高い分析が出来る。
【0007】
つまり、音波伝達媒体の音波伝達方向の距離を音波の半波長の整数倍の値を避けた値とすることによって、本来音波の半波長の整数倍の値で最大の透過率を示し、且つ音波伝達媒体の音波伝達方向の厚さの少しの変化で透過する音波エネルギーの大きな変化を受けずに済み、音波エネルギーの伝達量が比較的一定で安定し、被分析液の撹拌、混合を常に安定して均一に行なうことが出来、且つ分析装置毎の撹拌、混合の性能バラツキを小さく出来る。
【0008】
ここで、音波発生手段の発生する音波としては、その振動速度が(1/104)m/s以上のものである。この値以上であれば音波エネルギー的に反応容器中の被分析液を十分に撹拌、混合することが可能である。更に、音波発生手段の音波として、超音波を利用することも出来る。この場合、使用する超音波の振動数fとその波長λの積は、上記振動速度(1/104)m/sと同じか、これより大きくなるように設定する。
【0011】
上記の化学分析装置において、音波発生手段を反応容器の壁体に接して設け、この接して設けた部分の壁体の厚みを上記範囲に設定してもよい。
【0012】
この化学分析装置は、先の化学分析装置と同様に、音波をあてて被分析液に流れを発生させ、撹拌、混合するので、反応容器内の被分析液に接触することがなく、精度の高い分析が出来る。また、反応容器の壁体を音波伝達媒体とすることにより、分析装置の構造が単純化される。壁体の厚さは、上記範囲に入る値に設定されているので、音波エネルギーの伝達量が比較的一定で安定し、被分析液の撹拌、混合を常に安定して均一に行なうことが出来、且つ分析装置毎の撹拌、混合の性能バラツキを小さく出来る。
【0013】
本発明は、希釈容器外側の壁体の一部に接触して設けられた音波発生手段によって発生した音波を希釈容器内部の被分析液に照射するように構成した。この音波は希釈容器の壁体を透過して内部の希釈液及びサンプル(試料とも云う)を合わせた被分析液を撹拌、混合するように作用する。容器内部の撹拌、混合の強さは容器内部の音波エネルギーの強さに依存する。容器壁体を透過してくる音波エネルギーの透過率は容器壁体の厚さbと、音波の容器伝達媒体中での波長λの関係で決まる。即ち、(1/2)nλ(但し、nは0、1、2・・・)の厚さbに設定した場合に最大の透過率を示す。
【0014】
しかしながら、この(1/2)nλ近傍での透過率の変化は激しく希釈容器壁体の厚さbの少しの寸法のバラツキで透過する音波エネルギーに大きな変化を及ぼす。一方、音波エネルギーの透過率(出射エネルギー/入力エネルギー)が0.3を下回る((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2…、λ:音波伝達媒体中の音波波長)の範囲では、透過率は穏やかな変化を示すため、寸法誤差があっても比較的透過エネルギーのバラツキは少ない。この範囲に音波発生手段に接触する容器壁体の厚さbを設定することで、撹拌、混合の装置毎のバラツキを抑えることが出来、微調整の手間を省くことが出来る。
【0015】
更に、上記いずれかの化学分析装置において、前記反応容器中の音波強度を検知する音波強度検知手段と、該音波強度検知手段からの音波強度信号を受けて前記音波発生手段の出力を制御する音波出力制御手段とを備えたことである。音波強度検知手段と音波出力制御手段とを備えたことにより、上記いずれかの化学分析装置の作用に加え、反応容器中の音波強度を音波強度検知手段により検知し、その強度を適正な値となるように音波出力制御手段により音波発生手段の出力を制御することが出来、音波伝達媒体の厚さのバラツキによる音波エネルギーの変動を吸収し、反応容器内の被分析液の撹拌、混合を常に安定して均一に行なうことが出来る。
【0016】
更に、上記音波強度検知手段と音波出力制御手段とを備えた化学分析装置において、前記音波強度検知手段は、圧力センサ又は温度センサである。音波強度検知手段が圧力センサ又は温度センサであるものは、上記音波強度検知手段と音波出力制御手段とを備えた化学分析装置の作用に加え、簡便な検知機器により音波強度を検知することが出来る。
【0017】
更に、上記いずれかの化学分析装置において、反応容器と音波発生手段との間に二つ以上の音波伝達媒体を有し、それぞれの音波伝達媒体の音波伝達方向の距離が、音波の((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2…、λ:音波伝達媒体中の音波波長)の範囲に入る値に設定する。反応容器と音波発生手段との間に二つ以上の音波伝達媒体を設けることにより、上記いずれかの化学分析装置の作用に加え、反応容器の多様な条件に対応して音波発生手段を備えることが出来、且つ音波エネルギーの大きさ自体を減衰させることも出来る。
【0018】
更に、上記いずれかの化学分析装置において、前記音波発生手段の発生する音波周波数を調整する周波数調整手段を備えたことである。周波数調整手段を備えたことにより、上記いずれかの化学分析装置の作用に加え、反応容器内の撹拌、混合の強さにバラツキの生じないように調整することが出来る。
【0019】
更に、上記いずれかの化学分析装置において、反応中又は反応を終了した前記被分析液を分析する分析手段を備え、該分析手段は音波発生時を避けて分析を行なうものである。音波発生時を避けて分析を行なう分析手段を備えることにより、上記先のいずれかの化学分析装置の作用に加え、上記化学分析装置と同様に音波発生手段の音波発生時のノイズを取り除くことが出来、化学分析装置の信頼性を向上させることが出来る。
【0020】
そして、上記いずれかの化学分析装置において、反応中又は反応を終了した前記被分析液を分析する分析手段を備え、該分析手段は音波発生時の分析データを除いて演算するものである。音波発生時の分析データを除いて演算する分析手段を備えることにより、上記いずれかの化学分析装置の作用に加え、音波発生手段からのノイズを取り除くことが出来、化学分析装置の信頼性を向上させることが出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る化学分析装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、第1〜第8実施の形態の化学分析装置の説明において、同一又は同等の構造、作用部分には同一符号を付け、第2〜第8実施の形態の化学分析装置において説明した構造、作用部分以外の部分で、第1実施の形態の化学分析装置と同じ部分については、その説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明に係る化学分析装置の第1実施の形態を示す系統図、図2は、図1の被分析液の撹拌、混合部分を示す拡大図である。第1実施の形態の化学分析装置1は、生体液や水等のサンプル(試料とも云う)38と希釈液36との混合した被分析液の成分分析を行ない、非侵襲撹拌機構を有するイオン分析用のものである。そして、第1実施の形態の化学分析装置1は、被分析液を保持する反応容器としての希釈容器11と、この希釈容器11の上部開口部からサンプル38を供給するサンプル供給手段と、同じく希釈容器11の上部開口部から試薬又は希釈液を供給する試薬供給手段と、反応中又は反応を終了した被分析液を分析する分析手段とを備えている。
【0023】
サンプル供給手段は、希釈容器11に対して、サンプル38を供給するためのサンプル供給ピペッタ21及びサンプル供給ピペッタ21内の液の動作を司るサンプルシリンジポンプ22と、サンプルシリンジポンプ22に連結されている洗浄液供給ポンプ23と、洗浄液供給ポンプ23とサンプルシリンジポンプ22の間に設けられている洗浄液制御バルブ24と、洗浄液供給ポンプ23の入口と連結されて設けられ洗浄液26を蓄えている洗浄液タンク25とを有する。
【0024】
試薬供給手段は、希釈容器11に試薬又は希釈液36を供給するための希釈液吐出ノズル31と、希釈液の吐出を司る希釈液シリンジポンプ32と、希釈液シリンジポンプ32と連結されており、希釈液36を供給するための希釈液供給ポンプ33と、希釈液シリンジポンプ32と希釈液供給ポンプ33の間に設けられいる希釈液制御バルブ34と、希釈液供給ポンプ33の入口と連結され、希釈液36を蓄えておくための希釈液タンク35とを有する。
【0025】
分析手段は、反応中又は反応を終了した被分析液を吸引するためのサンプル吸引ノズル41と、サンプル吸引ノズル41に連結されている被分析液中のイオン濃度を検出するためのイオン検出器42と、イオン検出器42の出口に連結されており、被分析液を希釈容器11内から吸引するための検知用吸引ポンプ43と、分析、検査済みの分析液を蓄えておくための廃液ボトル44と、以上の各動作部と電気接続されており、動作を制御するための制御駆動部51とを有する。制御駆動部51は、上記サンプル供給手段、試薬供給手段及び後述の音波発生手段の各動作部とも電気接続されており、動作を制御する。
【0026】
更に、第1実施の形態の化学分析装置1は、音波を伝達する音波伝達媒体としての希釈容器11の壁体、例えば底部の壁体11aを介して、希釈容器11に供給された被分析液に音波をあてて撹拌、混合する音波発生手段を備え、壁体11aの音波伝達方向の厚さbは、壁体11a中を伝搬する音波の半波長の整数倍の値を避けた値である。音波発生手段としては、希釈容器11の底部壁体11aの下面に接着して設けられ、希釈容器11内の被分析液に音波(音響)直進流を発生させるために、その振動速度が(1/104)m/s以上の音波を発生する圧電素子12と、この圧電素子を駆動するために圧電素子12と電気接続されている圧電素子ドライバ13とが設けられている。
【0027】
更に、壁体の厚さbは、壁体11中を伝搬する音波波長λの半波長から一波長の間の値の整数倍に設定され、例えば、これを式で表すと、壁体の厚さbは、壁体11中を伝搬する音波の((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2…、λ:音波伝達媒体中の音波波長)の範囲に入る値に設定される。
【0028】
以上の構成を有する第1実施の形態の化学分析装置1は、以下のように動作する。先ずサンプル供給ピペッタ21が動作して、サンプル38内にピペッタ先端を浸す。その後サンプルシリンジポンプ22が吸引動作を開始してピペッタ中に所定のサンプルを吸入する。その後サンプル供給ピペッタ21が希釈容器11の上部に移動し、サンプルシリンジポンプ22が、今度は吐出動作を行ってピペッタ中のサンプルを希釈容器11内に放出する。サンプルの放出と同時に希釈液シリンジポンプ32が吐出動作して、希釈液吐出ノズル31より希釈液36を所定量吐出する。次に制御駆動部51の信号により圧電素子ドライバ13が圧電素子12を振動させて音波を発生せしめる。
【0029】
図2に示すように、圧電素子12からの音波16は音波伝達媒体(又は音波伝達媒質)としての壁体11a中を経て、被分析液中鉛直上方に放射される。この液中での音波15の伝搬に応じて、音響直進流と呼ばれる流れが発生する。この定常流の発生要因としては、文献「Physical acoustics」Page 265 〜 330に記載されているように、音波が被分析液中に伝搬していく際に被分析液の粘性や体積粘性の影響で音波の吸収が発生、この吸収によって伝搬方向に音波のエネルギー差が生じて圧力勾配を生じるためと考えられている。
【0030】
希釈容器11内の音波エネルギーの分布は希釈容器底部各点からの放射エネルギーの積分で求めることが出来る。この第1実施の形態の場合、底部面全体から音波が放射されるので、希釈容器11中心軸上に最も音波エネルギーが集まることになる。音波エネルギーの相対強度に応じて流れが生じるが、この場合、中心軸上で上昇流が発生し、音波エネルギーが小さい希釈容器11周囲部では下降流が生じることになる。これらによって循環流れ14が生じる。この循環流れ14は、希釈液とサンプルを上下まんべんなく撹拌、混合する効果があるため、混合を瞬時に終えることが出来る。
【0031】
以上のように希釈、撹拌、混合を行なうことが出来るが、この内部の撹拌、混合の強さは、反応容器11内部の音波のエネルギーの強さに依存する。反応容器11底部を透過してくる音波のエネルギー透過率は次式で表わせるように、容器壁体の厚さbと、音波16の伝達媒体中での波長λの関係で決まる。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、bは透過媒質の厚さ、ρ0は希釈容器内の被分析液の密度、c0は被分析液中での音速(= f・λ0)、λ0は被分析液中での音波の波長、ρ1は希釈容器媒質の密度、c1は媒質中での音速(=f・λ1)、λ1は媒質中での音波の波長、を各々示す。
【0034】
図3は、透過媒質の厚さbと音波エネルギーの透過率Tとの関係を示す曲線図である。例えば希釈容器11としてガラスを用いた場合で、音波の周波数fが2.45MHzの場合を示す。この図に示すように、透過媒質の厚さb(図1、2における厚さb)を半波長の整数倍の値に設定すると音波エネルギーの透過率Tは極大となる。しかしながら、この極大値付近では厚さbの少しの変動で音波エネルギーの透過率Tが大きく変化するため、例えば厚さbに0.1mm程度のバラツキがあっても内部の撹拌の強さは大幅に変わることが判る。通常0.1mm程度の寸法製作誤差は十分にあり得るので、希釈容器11毎に圧電素子から発せられる音波エネルギーを微調整する必要が生じる。
【0035】
これに対し第1実施の形態の化学分析装置の非侵襲撹拌機構では、希釈容器の透過壁体厚さを図3の18の範囲に設定する。即ち、厚さbを、音波エネルギーの透過率が0.3を下回る
但し、λ:伝達媒体中での波長、n = 0,1,2・・・
の範囲内に設定することで、厚さbの誤差に対して透過率の変化が少なく、装置毎に微調整する必要がなくなる。この場合、音波エネルギーの透過量は格段に減少するが、著者らの実験によれば撹拌に必要な音波エネルギーの絶対量は比較的小さいため、圧電素子の元の放射エネルギーを増加させることで対応出来る。
【0036】
図1に示すように、上記の作用により撹拌、混合が終了すると、検知用吸引ポンプ43が動作して、被分析液をサンプル吸引ノズル41よりイオン検知器42を通過するところまで吸引する。イオン検知器42では、被分析液の通過と共に被分析液中のイオン濃度を検知する。検知が終了した後、検知用吸引ポンプ43が動作し続け、廃液を廃液ボトル44へ排出する。サンプル供給ピペッタ21の洗浄は、洗浄液制御バルブ24を開放にして、洗浄液供給ポンプ23を動作させて洗浄液タンク25から所定量の洗浄液26をサンプル供給ピペッタ21内に供給することで行なう。又、希釈液の希釈液シリンジポンプ32内への補充は、希釈液制御バルブ34を開放にして、希釈液供給ポンプ33を動作させて、希釈液タンク35内の希釈液36を供給することで行なう。
【0037】
以上の第1実施の形態の化学分析装置は、サンプル、希釈液に接触することなく、希釈容器11内の撹拌、混合を行なって希釈することが出来、且つ装置毎に撹拌、混合のための微調整を必要としない非侵襲撹拌機構を備えたものである。
【0038】
図4は、第2実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。第2実施の形態の化学分析装置は、その非侵襲撹拌機構に第1実施の形態の非侵襲撹拌機構に加えて、音波発生手段を構成する圧電素子12の音波発振周波数を調整する周波数調整手段20を圧電素子ドライバ13に備えられている。第1実施の形態では、希釈容器の底部厚さbを式2で表わされる範囲に設定することを述べたが、希釈容器の製作方法、材質によっては、容易に予め設定された厚さに製作できない場合がある。その場合には圧電素子の発振周波数を周波数調整手段20で変更して、式2を満足するように媒質中の音波の波長を変更する。こうすることで新しい希釈容器において製作誤差が生じても、内部の撹拌の強さにバラツキが生じない非侵襲撹拌機構とすることが出来る。
【0039】
図5は、第3実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。第3実施の形態の化学分析装置は、希釈容器11中の音波強度を検知する音波強度検知手段として圧力センサ45と、この圧力センサ45からの音波強度信号を受けて音波発生手段の出力を制御する音波出力制御手段19とを備えたことである。サンプル吸引ノズル41とイオン検知器42の途中の管路に圧力センサ45が設けられており、その音波強度信号45aは音波出力制御手段19に伝達される。音波出力制御手段19と圧電素子ドライバ13が電気接続されており、又、圧力センサ45とイオン検知器42との間にはサンプル吸引制御弁47が設けられている。
【0040】
以上の構成で以下のように動作する。上記第1又は第2実施の形態で説明したように、予め壁体11aの厚さbに製作のバラツキがあっても、透過する音波エネルギーが一定になるように、希釈容器11中の音波エネルギーの強さを自動測定して、圧電素子からの放射エネルギーを自動調節しても良い。この手段によって、装置毎の音波エネルギー透過のバラツキを吸収することも出来る。この場合、検知用吸引ポンプ43を動作させて、サンプル吸引ノズル41の先端から予め微小空気量を吸引しておく。この状態で被分析液が投入されるとサンプル吸引ノズル41の先端は液中に没するため、ノズル先端内部には、微小空気層46が形成される。音波が放射されると、サンプル吸引ノズル41の微小空気層46下部には音響放射圧が作用するため、微小空気層46を介して圧力センサ45がその大きさを検知する。この際、サンプル吸引制御弁47は閉じており、検知用吸引ポンプ43には被分析液が流れないようになっている。
【0041】
圧力値は、音波強度信号45aとして音波出力制御手段19に渡され、それを受けて音波出力制御手段19は、圧電素子ドライバ13に音波エネルギーを変更する信号を送る。こうすることで定期的に内部の音波エネルギーを自動で調整することが出来る。音波エネルギーの自動調整が終了した後、サンプル吸引制御弁47が開放され被分析液はイオン検知器42に導入される。尚、上記音波強度検知手段としては、圧力センサ45を利用しているが、圧力センサ45の代わりに温度センサを使用することも出来る。音波の放射強度に応じて被分析液の温度変化を捕らえて、音波出力制御手段19に温度変化信号を送り、圧電素子ドライバ13に音波エネルギーを変更する信号を送る。
【0042】
図6は、第4実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。第4実施の形態の化学分析装置の基本的な構成は、第1実施の形態の化学分析装置と同じであるが、希釈容器11と音波発生手段の一つを構成する圧電素子12との間に一つ又は二つ以上の別の音波伝達媒体、第4実施の形態の場合は、壁体11aとは別の音波伝達媒体60を設け、例えば希釈容器11の材質が直接圧電素子12に接着できない場合、或いは音波エネルギーの大きさ自体を減衰させたい場合等に有効である。この場合、別の音波伝達媒体60の超音波伝達方向の厚さb1は、この別の音波伝達媒体60を伝搬する音波の((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2…、λ:別の音波伝達媒体中の音波波長)の範囲に入る値に設定される必要があるが、このように設定すると装置毎に透過エネルギーの変わらない安定した撹拌、混合を行なうことが出来る。
【0043】
図7は、第5実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。第5実施の形態の化学分析装置は、別の音波伝達媒体60として伝達液体63を用いた場合で、伝達液体63は希釈容器11中の被分析液である。この場合にも希釈容器11と圧電素子12との間の距離である伝達液体63の厚さb1は、式(2)で表される範囲に設定されるのが良い。
【0044】
図8は、第6実施の形態の化学分析装置を示す系統図である。第1〜第5実施の形態で述べた化学分析装置1は、希釈容器として比較的大形のものが用いられているが、非侵襲に撹拌出来るため、撹拌棒等余分な機構を希釈容器内に入れる必要がない。従って、希釈容器自体は、計測に必要なサンプル量が確保されていれば、微量化しても良い。そこで第6実施の形態の化学分析装置1は、希釈容器11を微小化し、イオン検知器42までの流路を短縮し、デッドボリュームを減らしたものである。こうすることで低改造コストで、サンプル量、希釈液量ともに容易に微量化することが可能となる。
【0045】
次に、本発明の第7実施の形態の化学分析装置について図1を用いて説明する。第7実施の形態の化学分析装置は、反応中又は反応を終了した被分析液を分析する分析手段(サンプル吸引ノズル41、イオン検知器42、検知用吸引ポンプ43及び制御駆動部51を含むもの)を備え、この分析手段は音波発生時を避けて分析を行なうものである。制御駆動部51において、音波が圧電素子12から放射されている間は、イオン検知器42より分析データを取り込まないようにする。こうすることで圧電素子12或いは圧電素子ドライバ13からのノイズによる検知データへの影響を取り除くことが出来る。
【0046】
又、本発明の第8実施の形態の化学分析装置として、図1において、反応中又は反応を終了した被分析液を分析する分析手段(サンプル吸引ノズル41、イオン検知器42、検知用吸引ポンプ43及び制御駆動部51を含むもの)を備え、この分析手段はイオン検知器42からの分析データの内、音波が照射されている時間の分析データを取り除いて演算するものである。こうすることで第7実施の形態の化学分析装置と同様に、圧電素子12或いは圧電素子ドライバ13からのノイズによる検知データへの影響を取り除くことが出来る。
【0047】
【発明の効果】
本発明の化学分析装置によれば、反応容器内の被分析液に接触することなく、この被分析液の撹拌、混合を常に安定して均一に行なうことが出来、且つ化学分析装置毎の撹拌、混合の性能バラツキを少なくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化学分析装置の第1実施の形態を示す系統図である。
【図2】図1の被分析液の撹拌、混合部分を示す拡大図である。
【図3】透過媒質の厚さと音波エネルギーの透過率との関係を示す曲線図である。
【図4】第2実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。
【図5】第3実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。
【図6】第4実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。
【図7】第5実施の形態の撹拌、混合部分を示す拡大図である。
【図8】第6実施の形態の化学分析装置を示す系統図である。
【図9】従来技術に係る化学分析装置の1例を示す系統図である。
【符号の説明】
1 化学分析装置
11 希釈容器(反応容器)
11a 壁体(音波伝達媒体)
12 圧電素子(音波発生手段)
13 圧電素子ドライバ(音波発生手段)
19 音波出力制御手段
20 周波数調整手段
36 希釈液(被分析液)
38 サンプル(被分析液)
41 サンプル吸引ノズル(分析手段)
42 イオン検知器(分析手段)
43 検知用吸引ポンプ(分析手段)
45 圧力センサ(音波強度検知手段)
45a 音波強度信号
60 別の音波伝達媒体
b 厚さ
b1 厚さ
Claims (8)
- 反応容器に試料を供給する試料供給部と、前記反応容器に試薬又は希釈液を供給する試薬供給部と、前記反応容器に供給された前記試料及び前記希釈液又は前記試薬を含んでなる被分析液を分析する分析部と、を有する化学分析装置において、
前記被分析液を含んでなる反応容器の壁体を介して内部の前記被分析液に音波を照射して前記被分析液に流れを発生させて撹拌し混合する音波発生手段を設けてなり、前記音波発生手段から前記被分析液に至る音波伝達媒体の音波伝達方向の距離が、前記音波の((1/2)n+1/16)λと((1/2)n+7/16)λ(但し、n=0、1、2・・・、λ:音波伝達媒体中の音波波長)の範囲に入る値に設定されてなることを特徴とする化学分析装置。 - 前記音波発生手段は、前記反応容器の壁体に接して設けられ、該接して設けられた部分の前記壁体の厚みが前記範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の化学分析装置。
- 前記反応容器内の音波強度を検知する音波強度検知手段と、該音波強度検知手段からの音波強度信号を受けて前記音波発生手段の出力を制御する音波出力制御手段とを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の化学分析装置。
- 前記音波強度検知手段は、圧力センサ又は温度センサであることを特徴とする請求項3に記載の化学分析装置。
- 前記音波伝達媒体は、前記反応容器と前記音波発生手段との間に材質の異なる一つ又は二つ以上の前記音波伝達媒体を有し、それぞれの前記音波伝達媒体の音波伝達方向の距離が、前記範囲に入る値に設定されてなることを特徴とする請求項1,3,4のいずれかに記載の化学分析装置。
- 前記音波発生手段の発生する音波周波数を調整する周波数調整手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の化学分析装置。
- 反応中又は反応を終了した前記被分析液を分析する分析手段を備え、
該分析手段は音波発生時を避けて分析を行うものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化学分析装置。 - 反応中又は反応を終了した前記被分析液を分析する分析手段を備え、
該分析手段は音波発生時の分析データを除いて演算するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の化学分析装置。
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