JP2018096717A - 撮像装置 - Google Patents

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Kenji Narumi
建治 鳴海
青児 西脇
Seiji Nishiwaki
青児 西脇
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Abstract

【課題】入射光のコヒーレンスに関する情報を、煩雑な操作を行うことなく取得する。
【解決手段】ある実施形態における撮像装置は、撮像素子と、光学系と、アクチュエータと、制御回路とを備える。撮像素子は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置された光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層とを有する。前記光結合層は、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を、透光領域から遮光領域に向かう方向に伝搬させるグレーティングを含む。前記制御回路は、前記撮像素子および前記光学系の少なくとも一方の位置が、前記方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる。
【選択図】図5A

Description

本開示は、光の干渉現象を利用して、被写体の光学的特性に関する情報を取得する撮像装置に関する。
光は電磁波であり、波長および強度以外に、偏光および干渉性などの特性によって特徴づけられる。このうち、光の干渉性を利用して被写体を測定する方法として、例えば、非特許文献1に示されるマイケルソンの干渉計を用いる方法が挙げられる。
東海大学出版会 光学の原理、p482 M・ボルンほか 第14回医用近赤外線分光法研究会、p139−144、近赤外生体分光法の展望−1μm波長域の可能性、 西村吾朗
上記従来の方法によって光のコヒーレンスの度合または位相を測定するには煩雑な操作が必要であった。本開示は、被写体を透過または反射する光のコヒーレンスの度合いまたは位相を煩雑な操作を行うことなく計測できる撮像技術を提供する。
本開示の一態様に係る撮像装置は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、制御信号に応答して、前記撮像素子および前記光学系の少なくとも一方の位置を、前記第1の方向に変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータに前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子および前記光学系の前記少なくとも一方の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、を備える。
本開示の他の態様に係る撮像装置は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、前記撮像素子と前記被写体との間に配置され、制御信号に応答して、前記被写体から前記撮像素子に向かう光の経路を変化させる光路調整器と、前記光路調整器に前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、を備える。
本開示のさらに他の態様に係る撮像装置は、2つの撮像素子であって、各々が、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも1つの方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する2つの撮像素子と、入射光を分岐して前記2つの撮像素子のそれぞれの撮像面に被写体の像を形成する光学系と、を備え、前記光学系および前記2つの撮像素子は、前記被写体の一点からの光線が、前記2つの撮像素子の一方における前記複数の透光領域の1つに入射し、かつ、前記2つの撮像素子の他方における前記複数の遮光領域の1つに入射するように配置されている。
上記の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体で実現されてもよい。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の一態様に係る撮像装置によれば、コヒーレンスの度合いまたは位相の状態を煩雑な操作を行うことなく、測定することができる。
図1は、検討例に係る撮像装置100を模式的に示す図である。 図2Aは、光が入射する方向に沿った面における撮像素子13の断面図である。 図2Bは、撮像素子13を光の入射する側から眺めた平面図である。 図2Cは、ストライプパターンを有する遮光膜9の一例を示している。 図2Dは、他のパターンを有する遮光膜9の一例を示している。 図3は、2フレームの検出画像の取得から光学的分布画像を得るまでの、フレームごとの画像の流れ(フロー)を示している。 図4Aは、検討例における4つの開口(透光領域9a)における入射光と、その下にある複数の画素との位置関係を示す断面図である。 図4Bは、入射光の位相差と、検出信号との関係を示す解析結果を示している。 図5Aは、本実施形態の撮像装置100を模式的に示す図である。 図5Bは、合成処理の一例を説明するための図である。 図5Cは、本実施形態の撮像装置100の変形例を模式的に示す図である。 図6Aは、図5Aに示す実施形態において、2つの検出画像から光学的分布画像を得るまでの、各画像の流れ(フロー)を示している。 図6Bは、図5Cに示す実施形態において、2つの検出画像から光学的分布画像を得るまでの、各画像の流れ(フロー)を示している。 図7は、本実施例で用いた構成を示す模式図である。 図8Aは、演算部16から出力された1フレーム目の画像を示している。 図8Bは、演算部16から出力された2フレーム目の画像を示している。 図8Cは、画像合成部24からの出力画像(すなわち、光学的分布画像)を示している。 図9Aは、アクチュエータ21がレンズ光学系7を光軸(図中の一点鎖線)に直交する面内で移動させる構成例を示している。 図9Bは、アクチュエータ21に代えて光路調整器26が被写体4と撮像素子13との間に配置された構成例を示している。 図10は、ハーフミラー27を被写体4と2つの撮像素子13との間に配置した構成例を示している。 図11Aは、第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200の構成を模式的に示す図である。 図11Bは、光検出器36によって検出される光の強度を示す電気信号の時間変化の例を模式的に示す図である。 図12は、光の干渉現象を説明するための図である。 図13Aは、波長λ0を中心に波長の広がりがゼロである光を示している。 図13Bは、コヒーレンス長が無限大になることを示している。 図13Cは、波長λ0を中心に波長の広がり(半値全幅)がΔλの光を示している。 図13Dは、コヒーレンス長σ0がλ0 2/Δλになることを示している。 図13Eは、中心波長λ0および波長の広がりΔλの光を、波長λ0−Δλ/2およびλ0+Δλ/2の2つの光27、28に置き換えて表せることを示している。 図14Aは、第2の従来例における光検出システム300の模式的な断面図を示している。 図14Bは、図14Aに示される光検出システム300における光源42の発振と光検出器50からの検出信号との関係を示す説明図である。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施の形態を説明する前に、光の干渉性または位相を測定する従来の方法について、詳細に検討した結果を説明する。
図11Aは、第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200の構成を模式的に示す図である。図11Aに示すように、光源30から出射された光31は、第1のレンズ光学系35aによって集光され平行光32になる(図では光軸のみを表している)。この平行光32の一部である光32aは、ハーフミラー33を透過して第1の反射ミラー34aに向かう。反射ミラー34aで反射された光32bは、ハーフミラー33でさらに反射されて第2のレンズ光学系35bに向かう(光32c)。光32cは、第2のレンズ光学系35bを通過し、レンズ光学系35bの焦平面に位置する光検出器36に入射する(光32d)。一方、平行光32の他の一部は、ハーフミラー33で反射されて第2の反射ミラー34Aに向かう(光32A)。反射ミラー34Aで反射された光32Bは、ハーフミラー33に向かい、ハーフミラー33を透過してレンズ光学系35bに向かう(光32C)。光32Cは、レンズ光学系35bを通過し、光32dと重なる形で光検出器36に入射する(光32D)。光検出器36は、光32dと光32Dとが干渉して生じる光を検出する。第2の反射ミラー34Aは、反射面の法線方向(矢印A)に沿って位置が変化するように構成されている。第2の反射ミラー34Aの変位に伴って、光32dに対する光32Dの相対的な位相が変化する。
図11Bは、光検出器36によって検出される光の強度を示す電気信号の時間変化の例を模式的に示す図である。図11Bは、マイケルソンの干渉計200による光の干渉性および位相の評価方法を示している。図11Bにおける縦軸は、光検出器36から出力される信号の強度を示し、横軸は時間を示している。反射ミラー34Aの位置を時間的に変化させると、図11Bに示すように、信号強度はaからbの範囲で変化する。ここで、(b−a)/(b+a)の値を干渉におけるコントラストと呼ぶ。コントラストの値によって光31の干渉性(コヒーレンス)の度合いが定義される。
反射ミラー34Aを固定し、ハーフミラー33と反射ミラー34aとの間に透明な被写体37を配置した場合でも、反射ミラー34Aの位置を変化させた場合と同じ原理が成立する。すなわち、イメージセンサなどの光検出器36から出力される信号の強度には被写体の形状に応じた強度差が空間的な分布として表れ、いわゆる干渉縞を形成する。その干渉縞の形状または間隔を測定することにより、被写体の形状(または位相情報)を計測できる。
干渉縞の空間的な分布を一度に測定するために、光検出器36を複数の検出器の集合体として、検出器ごとに入射する光の量を検出する場合もある。複数の検出器の集合体を構成する個々の光検出器は、画素とも呼ばれる。
図12は、光の干渉現象を説明するための図である。図12は、光源30から出射されZ方向に伝搬する光の、ある時刻t0における様子を模式的に示している。図12に示すように、光源30からは、波連38a、38bなどの複数の波連が次々に出射する。波連の長さσ0はコヒーレンス長と呼ばれる。1つの波連内では波は連続しており、波長も均一である。波連が異なると、位相の相関性は無くなる(波連38aでは位相δ0、波連38bでは位相δ0’、δ0≠δ0’)。波連が異なると波長も異なる場合がある(波連38aでは波長λ0、波連38bでは波長λ0’、λ0≠λ0’)。
まず、図11Aに示される構成において第2の反射ミラー34Aの位置を調整して、図12における波連38aのうちの部分38Aと部分38A’とを干渉させる場合を説明する。部分38A内の波と部分38A’内の波とは波長が等しく、波の位相差も時間的に安定している(ある値で変わらない)。したがって、干渉後の光の明暗(干渉光の振幅の大小)も時間的に安定する(ある明るさで変わらない)。つまり、図12の左下図に示すように、干渉光39aは、位相差の量(反射ミラー34Aの変位)に応じて明るく見えたり(左下図の上段)、暗く見えたりする(左下図の下段)。この状態はコヒーレントと呼ばれる。
次に、波連38aの部分38Aと波連38bの部分38Bとを干渉させる場合を説明する。この場合、部分38A内の波と部分38B内の波との波長が等しくなる保証はなく、これら2つの波の位相差も時間的にランダムに変化する。その結果、干渉後の光の明暗(干渉光の振幅の大小)は時間的にランダムに変化する。この変化は、例えばフェムト秒単位の速さである。したがって、図12の右下図に示すように、干渉光39bは高速で明暗が繰り返され、人間の目には平均的な明るさにしか見えない。この状態はインコヒーレントと呼ばれる。レーザ光は、波連が長く、コヒーレンス長が数mから数百m程であり、コヒーレント光の典型的な例である。一方、太陽光は、波連が短く、コヒーレンス長が1μm程度であり、インコヒーレントな光の典型的な例である。図11Aのような構成で光を干渉させる場合、レーザ光のようにコヒーレンス長が長い光を使うと、同じ波連内で干渉する確率が高くなる。その結果、コントラストは向上する(1に近くなる)。一方、太陽光のようにコヒーレンス長が短い光を使うと、異なる波連間で干渉する確率が高くなる(すなわち、同じ波連間で干渉する確率が低くなる)。その結果、コントラストは低下する(0に近くなる)。
図13Aから図13Eは、中心波長λ0の光の、波長の広がり(縦モード幅)とコヒーレンス長との関係を示している。図13Aは、波長λ0を中心に波長の広がりがゼロである光を示している。この場合、図13Bに示すように、コヒーレンス長は無限大になる。図13Cは、波長λ0を中心に波長の広がり(半値全幅)がΔλの光を示している。この場合、図13Dに示すように、コヒーレンス長σ0はλ0 2/Δλになる。縦モード幅とコヒーレンス長とはフーリエ変換の関係にある。これはウイナーヒンチンの定理と呼ばれる。この定理は次のように説明できる。
図13Eは、中心波長λ0および波長の広がりΔλの光を、波長λ0−Δλ/2およびλ0+Δλ/2の2つの光27、28に置き換えて表せることを示している。光27と光28とが干渉することで発生する唸りの周期はλ0 2/Δλである。搬送波の波長は光27と光28との波長の平均値λ0である。唸りの周期内では光の振動波形は均一で連続する。一方、異なる周期の光の振動波形は連続性が失われ、位相の相関性もなくなる。つまり、唸りの周期λ0 2/Δλがコヒーレンス長に相当する。太陽光がインコヒーレントであるのは、波長の広がり(縦モード幅)Δλが大きいためである。中心波長λ0を550nm、波長の広がりΔλを300nmとすると、コヒーレンス長σ0はλ0 2/Δλ=1.0μmとなる。
次に、非特許文献2に開示されている光検出システムを、第2の従来例として説明する。非特許文献2に開示されている光検出システムは、光の強度分布を光の伝搬距離ごとに測定する。
図14Aは、第2の従来例における光検出システム300の模式的な断面図を示している。光源42はレーザ光を出射する。図14Aに示すように、光源42から出射された波長λ0の光43は被写体44に照射される。その結果、被写体44の表面または内部で発生した散乱光45a、45b、45cは、レンズ光学系47によって集光され、レンズ光学系47の像面位置に像48bとして結像される。像48bに対応してレンズの物側には実質的な物体(物点の集まり)48aが存在する。像面位置には光検出器50が配置されている。光検出器50は複数の検出器(すなわち画素)の集合体であり、画素ごとに入射する光の光量が検出される。光源42からの発光は、コントローラ41によって制御される。光検出器50によって検出された光量は検出信号として演算回路51で処理される。コントローラ41および演算回路51は、コンピュータ52によって一括して制御される。
図14Bは、図14Aに示される光検出システム300における光源42の発振と光検出器50からの検出信号との関係を示す説明図である。図14Bにおける縦軸は光源42の発振強度または光検出器50の検出強度を表し、横軸は、経過時間を表している。光源42がコントローラ41の制御の下でパルス43aを発振する。このパルス43aによる光43が被写体44の内部で散乱されて光検出器50で受光され、信号53として検出される。検出信号53の時間幅は、散乱による光路長のばらつきの影響で、元のパルス43aの時間幅に比べて広がる。検出信号53のうち先頭の出力53aは、被写体44の表面で反射された光45aによる信号成分である。出力53aの後の時間t0〜t1の間の出力53bは、被写体44の内部を散乱し散乱距離の短い光45bによる信号成分である。出力53bの後の時間t1〜t2の間の出力53cは、散乱距離の長い光45cによる信号成分である。コンピュータ52による制御によって、演算回路51は検出信号53を時間分割し、信号53a、53b、53cの出力を分離して検出できる。光は出力53a、53b、53cの順に被写体の浅い側から深い側を通過している。したがって、深さの異なる情報を分離して分析できる。
本願発明者の検討によれば、第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200を用いて干渉性(コヒーレンス)の度合いまたは位相を測定するためには、反射ミラー34Aからの参照光32B、32Cが必要である。このため、構成が複雑になる。また、干渉光路が所定の空間中に存在することから、周囲環境の変化(例えば空気対流または振動)の影響を受けやすい。
一方、本願発明者の検討によれば、第2の従来例である光検出システムでは、時間分割幅に限界がある。したがって、測定(診断)の際に深さ方向の分解能を充分に確保できない。例えば、時間分割幅を300psとすると、深さ分解能は90mm程度になる。このため、第2の従来例における光検出システムは、生体のような比較的小さな構造をもつ対象の診断または検査には向かない。
次に、本開示の実施の形態について述べる前に、従来例の課題を解決するために本願発明者が検討した形態(検討例)を説明する。
(検討例)
図1は、検討例に係る撮像装置100を模式的に示す図である。撮像装置100は、光源2と、レンズ光学系7と、撮像素子13と、信号処理回路17と、制御部回路1とを備える。信号処理回路17は、検出画像取得部14と、補間処理部15と、演算部16とを有する。
光源2は、一定のコヒーレンス長の光で被写体4を照射する。例えば、光源2は、コヒーレント光の代表であるレーザ光を発するレーザ光源であり得る。光源2は、一定の強度の光を連続的に発光してもよいし、単一のパルス光を発してもよい。光源2が発光する光の波長は任意である。しかし、被写体4が生体の場合、光源2の波長は、例えば略650nm以上略950nm以下に設定され得る。この波長範囲は、赤色〜近赤外線の波長範囲に含まれる。本明細書では、可視光のみならず赤外線および紫外線についても「光」の概念に含まれるものとする。
レンズ光学系7は、例えば集光レンズであり、光源2が被写体4に光を照射して被写体4の表面または内部で発生した散乱光5a、5Aを集光する。集光された光は、レンズ光学系7の像面位置に像8bとして結像される。像8bに対応してレンズの物側には実質的な物体(物点の集まり)8aが存在する。図1に示す例ではレンズ光学系7は、1つのレンズを備えている。レンズ光学系7は複数のレンズの集合体であってもよい。
撮像素子13は、レンズ光学系7の像面位置に配置される。撮像素子13は、レンズ光学系7が集光した散乱光5a、5Aを検出する。撮像素子13の詳細な構造は後述する。
信号処理回路17は、制御回路1からの制御信号に応答して、撮像素子13に含まれる光検出器から出力される電気信号を処理し、被写体4からの反射光・透過光または散乱光のコヒーレンスに関連する信号またはデータを出力する。そのような信号またはデータは、例えば入射光の位相差またはコヒーレンスの度合いの2次元分布を示す画像データであり得る。
検出画像取得部14は、撮像素子13に含まれる光検出器が検出した光量を示す信号を検出画像として取得し、検出画像を補間処理部に送出する。なお、本明細書では、画像を示す信号を単に「画像」と称することがある。検出画像取得部14は、信号処理回路17の入力インターフェースに相当する。
補間処理部15は、検出画像に含まれる欠測画素(後述する)の光量を補間によって求める。補間処理部15は、補間後の検出画像(これを補間画像と呼ぶ)を得て、演算部16に送出する。補間処理の詳細については、後述する。
演算部16は、補間画像の演算処理を行い、演算処理された画像(これを光学的分布画像と呼ぶ)を得る。補間処理部15および演算部16は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの画像処理回路であり得る。
制御回路1は、例えばメモリに記録されたプログラムを実行することにより、撮像素子13による光の検出、演算部16による演算処理、光源2の発光光量、点灯タイミング、連続点灯時間、発光波長、コヒーレンス長などの少なくとも1つを制御する。制御回路1は、例えば中央演算処理装置(CPU)またはマイクロコンピュータ(マイコン)などの集積回路であり得る。制御回路1、検出画像取得部14、補間処理部15および演算部16は、統合された回路によって実現されていてもよい。制御回路1、検出画像取得部14、補間処理部15および演算部16は、コンピュータ上のプログラムによって実現されていてもよい。
なお、撮像装置100は、演算部16が演算処理した結果を表示する不図示のディスプレイ(表示部)を備えていてもよい。表示部は、演算処理された画像(すなわち光学的分布画像)を表示するものであってもよい。表示部は、演算処理された画像に基づいて算出された結果(例えば光量の平均、分散、所定値以上/以下の光量である領域の面積など)を数値として表示するものであってもよい。表示部は、数値を指標に変換したもの(例えば「標準」と「異常」、「○」と「△」と「×」など)を表示するものであってもよい。
図2Aは、光が入射する方向に沿った面における撮像素子13の断面図である。図2Bは、撮像素子13を光の入射する側から眺めた平面図(後述する遮光膜9を含むXY面における平面図)である。図2Aは、図2Bの破線で囲まれた領域を含むXZ面に平行な断面を示している。図2Bに示すように、図2Aに示す断面構造を一つの単位構造として、当該単位構造がXY面内で周期的に並んでいる。なお、図2A、2Bには、説明の便宜上、直交する3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)が示されている。他の図についても同様の座標軸を用いる。
撮像素子13は、光検出器10と、光結合層12と、遮光膜9と、をこの順に備える。図2Aの例では、これらがZ方向に積層されている。また、図2Aの例では、遮光膜9上に透明基板9bとバンドパスフィルタ9pとをこの順に備えている。撮像素子13において、複数の画素が配列された面を「撮像面」とする。
光検出器10は、光検出器10の面内方向(XY面内)に複数の画素(すなわち検出器)10a、10Aを備える。光検出器10は、光が入射する側から、マイクロレンズ11a、11A、透明膜10c、配線などの金属膜10d、Siまたは有機膜などで形成される感光部を備えている。金属膜10dの間にある感光部が画素10a、10Aに相当する。複数のマイクロレンズ(11a、11A)は、1つのマイクロレンズが1つの画素(10a、10A)に対向するように配置される。マイクロレンズ11a、11Aで集光され金属膜10dの隙間に入射する光が画素10a、10Aで検出される。
光結合層12は、光検出器10上に配置され、光検出器10の面直方向(Z軸方向)において、第1の透明層12c、第2の透明層12b、および第3の透明層12aをこの順に備える。第1の透明層12c、および第3の透明層12aは、例えばSiO2などによって形成され得る。第2の透明層12bは、例えばTa25などによって形成され得る。
第2の透明層12bは、第1の透明層12cおよび第3の透明層12aよりも屈折率が高い。光結合層12は、高屈折率透明層12bと低屈折率透明層12cとをこの順にさらに繰り返した構造を備えてもよい。図2Aでは合計6回繰り返した構造を示している。高屈折率透明層12bは低屈折率透明層12c、12aで挟まれている。したがって、高屈折率透明層12bは導波層として機能する。高屈折率透明層12bと、低屈折率透明層12c、12aとの界面に全面に渡ってピッチΛの直線グレーティング12dが形成される。グレーティングの格子ベクトルは光結合層12の面内方向(XY面)におけるX軸に平行である。グレーティング12dのXZ断面形状は積層される高屈折率透明層12b、および低屈折率透明層12cにも順次転写される。透明層12b、12cの成膜が積層方向に高い指向性を有している場合には、グレーティングのXZ断面をS字またはV字状にすることで形状の転写性を維持しやすい。
なお、グレーティング12dは、少なくとも高屈折率透明層12bの一部に備えられていればよい。高屈折率透明層12bがグレーティング12dを備えることにより、入射光が高屈折率透明層12bを伝搬する光(導波光)に結合できる。
光結合層12と光検出器10との間の隙間はできるだけ狭い方がよい。光結合層12と光検出器10とは密着していてもよい。光結合層12と光検出器10との間の隙間(マイクロレンズ11a、11Aが配列された空間を含む)に接着剤などの透明媒質を充填してもよい。透明媒質を充填する場合、マイクロレンズ11a、11Aによるレンズ効果を得るために、マイクロレンズ11a、11Aの構成材料には、充填される透明媒質よりも充分大きな屈折率をもつ材料が使用される。
遮光膜9は、複数の遮光領域9Aと複数の透光領域9aとが2次元的に配列された構造を有する。図2Aの例では、後述する透明基板9b上に、例えばアルミニウム(Al)などから形成される金属反射膜がパターニングされることによって遮光領域9Aおよび透光領域9aが形成されている。本明細書において、複数の遮光領域9Aの集合体を「遮光領域群」と呼び、複数の透光領域9aの集合体を「透光領域群」と呼ぶことがある。
図2Aにおける透光領域9aは、図2Bにおける透光領域9a1、9a2、9a3、9a4などに対応する。図2Aにおける遮光領域9Aは、図2Bにおける遮光領域9A1、9A2、9A3、9A4などに対応する。つまり、遮光膜9は、遮光膜9の面内方向(XY面内)に配列された複数の遮光領域9Aと複数の透光領域9aとを有する。複数の遮光領域9Aは、複数の第2の画素10Aにそれぞれ対向する。複数の透光領域9aは、複数の第1の画素10aにそれぞれ対向する。本明細書において、第1の画素10aの集合体を「第1の画素群」、第2の画素10Aの集合体を「第2の画素群」と呼ぶことがある。
なお、1つの透光領域に2つ以上の第1の画素10aが対向していてもよい。同様に、1つの遮光領域に2つ以上の第2の画素10Aが対向していてもよい。本開示は、そのような形態も含む。
図2Bに示す例では、複数の遮光領域9A(9A1〜9A4)は、チェッカーパターンを形成する。これらの遮光領域9A(9A1〜9A4)はチェッカーパターン以外のパターンを形成してもよい。
図2Cは、ストライプパターンを有する遮光膜9の一例を示している。図2Dは、他のパターンを有する遮光膜9の一例を示している。これらのパターンは、少なくとも光結合層12における光の導波方向(後述する)に、透光領域9aおよび遮光領域9Aが交互に配置されていればよい。すなわち、透光領域9aのみまたは遮光領域9Aのみが配置されていなければよい。
透明基板9bは遮光膜9の光入射側に配置されている。透明基板9bは、例えばSiO2などの材料によって形成され得る。バンドパスフィルタ9pは、透明基板9bの光入射側に配置されている。バンドパスフィルタ9pは、入射する光5のうち、波長λ0近傍の光のみを選択的に透過させる。
撮像素子13に入射する光5は、バンドパスフィルタ9pおよび透明基板9bを経て、光6A、6aとして反射膜の形成された遮光領域9Aおよび反射膜の除去された透光領域9aに至る。光6Aは遮光領域9Aで遮光される。光6aは透光領域9aを透過し、光結合層12に入射する。光結合層12に入射した光6aは、低屈折率透明層12aを経て、高屈折率透明層12bに入射する。高屈折率透明層12bの上下の界面にはグレーティングが形成されている。以下の(式1)を満たせば、導波光6bが発生する。
sinθ=N−λ0/Λ (式1)
ここで、Nは導波光6bの実効屈折率である。θは入射面(XY面)の法線に対する入射角度である。図2Aでは光が入射面に垂直に入射している(θ=0o)。この場合、導波光6bはXY面内をX方向に伝搬する。すなわち、透光領域9aを経て光結合層12に入射した光は、X方向に隣接する遮光領域9Aの方向に導波される。
高屈折率透明層12bを透過して下層に入射する光の成分は、下層側にある全ての高屈折率透明層12bに入射する。これによって、(式1)と同じ条件で導波光6cが発生する。導波光は、全ての高屈折率透明層12bで発生するが、図2Aには、2つの層で発生する導波光のみを代表して示している。下層側で発生する導波光6cも同様にXY面内をX方向に伝搬する。導波光6b、6cは、導波面(XY面)の法線に対して角度θ(図2Aの例ではθ=0o)で上下方向に光を放射しながら伝搬する。その放射光6B1、6C1は、遮光領域9Aの直下では上方(反射膜側)に向かう成分が遮光領域9Aで反射し、反射面(XY面)の法線に沿って下方に向かう光6B2となる。光6B1、6C1、6B2は、高屈折率透明層12bに対し(式1)を満たしている。したがって、その一部が再び導波光6b、6cとなる。この導波光6b、6cも新たな放射光6B1、6C1を生成する。これらの過程が繰り返される。全体として、透光領域9aの直下では、導波光にならなかった成分が光結合層12を透過し、透過光6dとしてマイクロレンズ11aに入射する。その結果、導波光にならなかった成分は第1の画素10aで検出される。実際には、導波の後に最終的に放射された成分も、導波光にならなかった成分に加わる。しかし、本明細書では、そのような成分も、導波光にならなかった成分として扱う。領域9Aの直下では、導波光になった成分が放射され、放射光6Dとしてマイクロレンズ11Aに入射する。その結果、導波光になった成分は第2の画素10Aによって検出される。
透光領域9aは、撮像素子13の開口部分でもある。透光領域9aを通じて、光は直下の画素と左右の(すなわちX方向に隣接する)画素に分岐し、それぞれ検出される。
検出画像取得部14は、光検出器10を構成する第1の画素群10aおよび/または第2の画素群10Aが検出した光量の信号を、検出画像として取得する。
図2Bに示される透光領域9a1、9a2、9a3、9a4に対向する第1の画素での各検出光量をそれぞれq1、q2、q3、q4とする。図2Bに示される遮光領域9A1、9A2、9A3、9A4に対向する第2の画素での各検出光量をそれぞれQ1、Q2、Q3、Q4とする。q1〜q4は、導波光にならなかった光の検出光量を表している。Q1〜Q4は、導波光になった光の検出光量を表している。透光領域9a1の直下の第1の画素10aでは導波光になった光の光量が検出されない。一方、遮光領域9A2の直下の第2の画素10Aでは導波光にならなかった光の光量が検出されない。本明細書では、光量が検出されない画素を「欠測画素」と呼ぶことがある。光量が実際に検出される画素(すなわち、欠測画素以外の画素)を「実測画素」と呼ぶことがある。導波光になった光に関しては、第2の画素10Aが実測画素であり、第1の画素10aが欠測画素である。導波光にならなかった光(透過光)に関しては、第1の画素10aが実測画素であり、第2の画素10Aが欠測画素である。
補間処理部15において、欠測画素における光量を補間により求める。補間には、当該欠測画素の近傍に位置する実測画素で検出される光量を用いることができる。例えば、当該欠測画素を中心としてX方向および/またはY方向に隣接する実測領域の直下に位置する画素の光量を用いればよい。より正確に補間するという観点から、光結合層における光の導波方向(本検討例ではX方向)に隣接する画素の光量を用いるのがよい。その理由は、導波方向に隣接する画素の方が、導波方向に直交する方向(すなわち、導波がより少ない、または導波しない方向)よりも、検出光量の相関性が高いからである。
補間の計算方法としては、例えば隣接する2つの画素の光量の平均値を用いることができる。例えば、透光領域9a1の直下の第1の画素10aについて、導波光になった光の検出光量Q0=(Q1+Q2)/2を定義する。同様に、遮光領域9A2の直下の第2の画素10Aについて、導波光にならなかった光の検出光量q0=(q1+q2)/2を定義する。
この定義を全ての領域に適用することで、光検出器10を構成する全ての検出領域(すなわち、全ての画素)で、導波光にならなかった光の検出光量と導波光になった光の検出光量とを定義できる。
演算部16は、上記のような定義のもとに、補間された、導波光にならなかった光の検出光量と導波光になった光の検出光量とを用いて、位相差またはコヒーレンスの度合いの分布を示す光学的分布画像を生成するなどの演算処理を行う。演算部16は、これら2つの検出光量の比の値(またはこれらの光量和に対する各光量の比の値)を画素ごとに算出した値を各画素に割り当てることにより、光学的分布画像を生成する。
図3は、1つの検出画像の取得から光学的分布画像を得るまでの、画像の流れ(フロー)を示している。1つの検出画像は、第1の画素群から検出した光(すなわち、導波光にならなかった光)の検出光量の分布を示す画像、および/または、第2の画素群から検出した光(すなわち、導波光になった光)の検出光量の分布を示す画像、を含む。
1つの検出画像を用いて1つの補間画像が生成される。1つの補間画像は、第1の画素群からの検出画像の欠測画素を補間した画像、および/または、第2の画素群からの検出画像の欠測画素を補間した画像、を含む。
1つの補間画像を用いて1つの光学的分布画像が生成される。1つの光学的分布画像は、第1の画素群および第2の画素群からの補間画像を後述する演算を行って得られる画像を含む。
図4Aは、検討例における4つの開口(透光領域9a)における入射光と、その下にある複数の画素との位置関係を示す断面図である。図4Aにおいて、左側の2つの開口に入射する光と、右側の2つの開口に入射する光との間には、位相差があるものとする。
図4Bは、入射光の位相差と、検出信号との関係を示す解析結果を示している。解析では、領域9a、9AのX方向の幅Wを5.6μm、グレーティングのZ方向の深さを0.2μm、高屈折率透明層(第2の透明層)をTa25膜とし、そのZ方向の厚さt1を0.34μm、低屈折率透明層(第1の透明層)をSiO2膜とし、そのZ方向の厚さt2を0.22μmとした。
4つの開口の中間にある遮光領域9Aの直下の検出器を画素10A、その両隣にある透光領域9aの直下の検出器を画素10a、10a’とする。画素10A、10a、10a’の検出光量をそれぞれP1、P0’、P0”とする。すなわち、P0’およびP0”は、第1の画素群に属する画素からの信号を表し、P1は、第2の画素群に属する画素からの信号を表す。
入射光の位置に対する検出器の位置のX方向の対称性を考慮して、P0=(P0’+P0”)/2とし、検出信号をP1/(P1+P0)で定義する。本解析は、TEモード(S偏光)の入射光が入射する条件で行った。
図4Bに示す解析結果によれば、位相差の増大に従って検出信号が低下している。このことから、検出信号の大きさに基づいて、入射光の位相差の度合いを計測できることがわかる。したがって、検出信号P1/(P1+P0)を画素ごとに求めることにより、位相差の2次元分布を示す画像(以下、「光学的分布画像」と称することがある。)を生成することができる。なお、P1/(P1+P0)に代えて、P0/(P1+P0)、P1/P0、またはこれらの逆数を光学的分布画像の各画素の信号値として計算してもよい。
ここでは詳しく説明しないが、位相のランダム性を利用してコヒーレンスの差異も計測できる。例えば入射光のコヒーレンス長が長い場合には、隣接する開口に入射する光は互いに位相に相関性を有している。したがって、各画素で時間的に安定した位相差信号を検出でき、位相の2次元分布における空間的なばらつきが大きくなる。一方、コヒーレンス長が短い場合には、隣接する開口に入射する光は互いに位相に相関性が有さない。したがって、各画素では高速に変化する位相差の平均値が検出されて、位相の2次元分布における空間的なばらつきが小さくなる。
しかし、本検討例における撮像装置13では、空間的に急峻に位相が変化する光が入射した場合に、欠測画素における検出光量を正確に求めることができないことがわかった。そのため、検討例の撮像装置13では、生成される光学的分布画像が誤差を有する画素を含むという課題を有する。
このような課題に鑑み、本願発明者は、位相差またはコヒーレンスの度合いを光学的分布画像として精密に計測し得る新規な撮像装置に想到した。本開示の一態様の概要は以下の通りである。
本開示の一態様に係る撮像装置は、撮像素子と、光学系と、アクチュエータと、制御回路と、を備える。撮像素子は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する。光学系は、前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する。前記アクチュエータは、前記制御回路からの制御信号に応答して、前記撮像素子および前記光学系の少なくとも一方の位置を、前記第1の方向に変化させる。前記制御回路は、前記アクチュエータに前記制御信号を出力し、前記撮像素子および前記光学系の前記少なくとも一方の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる。
このような構成により、2回の撮像によって取得される2つの画像信号を相補的に利用して、誤差の少ない合成画像を生成することが可能になる。そのような合成画像は、入射光の位相差またはコヒーレンスの程度の2次元分布を表す画像データであり得る。
本開示の他の態様に係る撮像装置は、撮像素子と、光学系と、光路調整器と、制御回路と、を備える。前記撮像素子は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する。前記光学系は、前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する。前記光路調整器は、前記撮像素子と前記被写体との間に配置され、前記制御回路からの制御信号に応答して、前記被写体から前記撮像素子に向かう光の経路を変化させる。前記制御回路は、前記光路調整器に前記制御信号を出力し、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる。
このような構成によっても、2回の撮像によって取得される2つの画像信号を相補的に利用して、誤差の少ない合成画像を生成することが可能である。
本開示のさらに他の態様に係る撮像装置は、2つの撮像素子と、光学系とを備える。前記2つの撮像素子の各々は、複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも1つの方向に交互に配置されている遮光膜と、前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、を有する。前記光学系は、入射光を分岐して前記2つの撮像素子のそれぞれの撮像面に被写体の像を形成する。前記光学系および前記2つの撮像素子は、前記被写体の一点からの光線が、前記2つの撮像素子の一方における前記複数の透光領域の1つに入射し、かつ、前記2つの撮像素子の他方における前記複数の遮光領域の1つに入射するように配置されている。
このような構成により、2つの撮像素子によって取得される2つの画像信号を相補的に利用して、誤差の少ない合成画像を生成することが可能になる。本態様では、2つの撮像素子による2回の撮像を、同時に行うことも可能である。
以下、本開示のより具体的な実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施形態の概要)
本実施形態の撮像装置は、検討例と同様、主に生体組織の検査に用いられ得る。本実施形態の説明では、主として検討例と異なる要素について詳細に説明する。検討例と共通する構成要素には同じ参照符号を付している。
図5Aは、本実施形態の撮像装置100を模式的に示す図である。検討例の説明で示した要素に加えて、撮像装置100は、アクチュエータ21と画像処理回路22とを備える。画像処理回路22は、信号処理回路17の構成要素の1つであり、画像位置算出部23と、画像合成部24とを含む。アクチュエータ21、画像位置算出部23、および画像合成部24の動作は、制御回路20によって制御される。制御回路20は、光源2、アクチュエータ21、検出画像取得部14、補間処理部15、画像位置算出部23、画像合成部24、演算部16のそれぞれに制御信号を送ることにより、これらの要素を制御する。
アクチュエータ21は、例えば圧電素子(ピエゾ素子)またはリニアアクチュエータ(直動機構)によって実現され得る。アクチュエータ21が例えばリニアアクチュエータによって実現される場合、アクチュエータ21は、電気モータと、ラックおよびピニオンとを備え得る。本明細書においては、圧電素子のように、電圧を力に変換する素子も、「アクチュエータ」の概念に含まれる。アクチュエータ21は、撮像素子13に機械的に接続されている。アクチュエータ21は、光学系7の光軸(図5Aにおける一点鎖線)に直交する面内で撮像素子13の位置を微小に移動させる。撮像素子13の移動方向は、光結合層12に入射した光が導波される方向(すなわちX方向)である。
撮像素子13の移動距離は、撮像素子13の撮像面に形成される被写体4の像の位置が、X方向にW(すなわち領域9aまたは9AのX方向の幅)以上移動する距離であることが、正確な補間ができる点でより好ましい。撮像素子13の移動距離は、Wの略奇数倍の距離であることがさらに好ましい。
光軸に直交する面に沿って撮像素子13の位置を移動させることにより、撮像素子13上に結像された像8bと撮像素子13との相対的な位置関係が変化する。像8bは被写体4からの散乱光を集光することで形成された像である。本明細書では、この位置関係の変化を「被写体と撮像素子との光学的位置関係が変化した」と呼ぶことにする。すなわち、撮像素子13の移動によって、被写体4と撮像素子13との光学的位置関係が異なる状態になる。なお、撮像素子13の移動方向は、XY面上でX方向から傾斜した方向であってもよい。その場合も、撮像素子13と被写体4の像との相対的な位置関係が、X方向において変化するため、本実施形態の効果が得られる。
画像位置算出部23は、光学的位置関係の異なる2つ以上の補間画像における、像8bのずれの方向および大きさを求める。ずれを求める方法として、撮像素子13の移動量から算出してもよいし、複数の補間画像の類似箇所を比較して算出してもよい。
画像合成部24は、光学的位置関係の異なる2つ以上の補間画像を、ずれがなくなるように位置あわせした上で、それらの補間画像を合成して1つの合成画像を出力する。その際、画像合成部24は、複数の補間画像の間で各画素の光量値を比較し、所定の基準に基づいて、より確度の高い光量値を画素ごとに決定する。このようにして得られた画像を「合成画像」と称する。画素ごとの合成方法の一例は次の通りである。以下の説明では、2つの補間画像から1つの合成画像を得る方法の例を説明する。ただし本開示はこのような例に限定されず、例えば3つ以上の補間画像を比較することによって1つの合成画像を生成してもよい。
図5Bは、合成処理の一例を説明するための図である。図5Bの上段は、1回目の撮像によって得られる位置合わせ後の2つの補間画像の一部を模式的に示している。図5Bの中段は、2回目の撮像によって得られる位置合わせ後の2つの補間画像の一部を模式的に示している。図5Bの下段は、2つの合成画像の一部を模式的に示している。これらの図は、いずれも同一の画素領域を表している。各回の撮像によって得られる2つの補間画像は、入射光のうちの透過光成分(導波光にならなかった成分)P0に関する画像、および導波光になった成分P1に関する画像である。図5Bの上段および中段においては、実測画素に記号P0(1)、P1(1)、P0(2)、P1(2)が付され、欠測画素は空白で表されている。P0(1)およびP1(1)は、それぞれ、1回目の撮像によって第1画素群および第2画素群から得られる光量値(実測値)を示している。P0(2)およびP1(2)は、それぞれ、2回目の撮像によって第1画素群および第2画素群から得られる光量値(実測値)を示している。なお、画素が異なれば光量値も異なり得るが、図5Bでは、全ての画素について、同じ記号を付している。これらの画像において、欠側画素の光量値は、その画素の左右の実測画素の光量値の平均値(補間値)である。
図5Bの例では、2回目の撮像時における撮像素子13の位置は、1回目の撮像時における撮像素子13の位置からX方向に1画素分ずれている。その結果、2回の撮像によって得られる2つの画像のうちの一方で実測画素である画素は、他方の画像では欠測画素である。このような場合、合成画像におけるその画素には、実測画素の光量値が優先して割り当てられる。このような合成方法は、例えば、2つの検出画像のX方向におけるずれが幅Wの奇数倍のときに有効である。
なお、2回の撮像によって得られる2つの補間画像のいずれにおいても、ある画素が実測画素である場合には、それらの実測画素の光量値の平均値を合成画像におけるその画素の光量値として用いればよい。2つの検出画像のいずれにおいても、ある画素が欠測画素である場合も同様に、それらの欠測画素の光量値の平均値を合成画像におけるその画素の光量値として用いればよい。
(実施形態の動作)
次に、本実施形態の動作をより詳細に説明する。
まず、制御回路20は、検出画像取得部14および補間処理部15を制御して、撮像素子13から1フレーム目の検出画像を取得する。制御回路20は、その検出画像に対して補間処理を行う。この補間処理は、前述の検討例における補間処理と同じである。補間処理の結果、入射光の透過光成分(導波光にならなかった成分)および導波光成分のそれぞれの分布を表す2つの画像信号(これらの画像信号も「検出画像」と称する。)が得られる。補間された1フレーム目の検出画像は画像処理回路22に送られ、画像処理回路22内のメモリ(図示しない)に記録される。
次に、制御回路20は、アクチュエータ21を制御して、被写体4と撮像素子13との光学的位置関係を変化させる。制御回路20は、その状態で再び検出画像取得部14および補間処理部15を制御して、撮像素子13から2フレーム目の検出画像を取得する。制御回路20は、その検出画像に対しても同様の補間処理を行う。補間された2フレーム目の検出画像は、1フレーム目と同様に画像処理回路22内のメモリで保持される。
制御回路20は、画像位置算出部23および画像合成部24を制御して、補間された2フレームの検出画像の位置あわせおよび合成処理を行う。これにより、画像合成部24から1つの合成画像が出力される。ここで、合成画像の各画素の光量値には、2フレームの補間画像の当該画素のうち、実測画素の光量値が優先的に用いられる。したがって、前述の補間処理において正確に補間できなかった欠測画素があったとしても、合成画像では、当該画素の光量値が、他方のフレームにおける実測画素の光量値に置き換えられる可能性がある。その結果、合成画像では検出画像と比べて全画素に占める欠測画素の割合が減少する。言い換えれば、ある画素が欠測画素になる確率が減少する。このような合成画像が、入射光のうち、導波光にならなかった成分(前述の信号P0)および導波光になった成分(前述の信号P1)のそれぞれについて生成される。
演算部16は、画像処理回路22によって生成された2つの合成画像に基づいて、検討例と同様の演算処理を行う。すなわち、演算部16は、各画素について、P1/(P1+P0)もしくはP1/P0、またはこれらの逆数を画素値とする光学的分布画像を生成する。これにより、より正確な光学的分布画像を生成することができ、位相差またはコヒーレンスの度合いを画像として精密に計測することが可能となる。
本実施形態では、画像処理回路22を演算部16の前段に配置して、補間された2フレームの検出画像から合成画像を得るものとした。しかし、画像処理回路22を演算部16の後段に配置して、演算された2フレームの光学的分布画像から、合成された新たな光学的分布画像を生成してもよい。
図5Cは、本実施形態の撮像装置100の変形例を模式的に示す図である。この例では、画像の合成の前に、2つのフレームのそれぞれについて、演算部16によって光学的分布画像が生成される。各光学的分布画像は、第1の画素群の信号から補間処理によって得られる画像信号(導波光にならなかった光の検出光量を示す)と、第1の画素群の信号から補間処理によって得られる画像信号(導波光になった光の検出光量を示す)とを用いた演算によって生成される。第1の画素群における欠測画素と第2の画素群における欠測画素とは互いに相補的な関係にある。したがって、演算処理後の画像では、図5Aを参照して説明したようには欠測画素を定義できない。
このような場合の合成方法として、例えば、補間による誤差がより大きいと想定される方の画素群の欠測画素を、欠測画素として定義すればよい。それ以外にも、例えば、位相差がより大きくまたは小さく(あるいはコヒーレンスがより小さくまたは大きく)検出された方の画素を、正確に検出された画素として、合成後の光学的分布画像を構成する画素に採用すればよい。
図6Aは、図5Aに示す実施形態において、2つの検出画像から光学的分布画像を得るまでの、各画像の流れ(フロー)を示している。1つの検出画像を用いて1つの補間画像が生成される工程は検討例と同じである。2つの補間画像から合成画像を得る。1つの合成画像を演算処理して1つの光学的分布画像が生成される。
図6Bは、図5Cに示す実施形態において、2つの検出画像から光学的分布画像を得るまでの、各画像の流れ(フロー)を示している。1つの検出画像を用いて1つの補間画像が生成され、1つの補間画像から1つの演算画像(演算後の検出画像)が生成される工程は検討例と同じである。検討例では、演算画像は光学的分布画像を表している。2つの演算画像を合成し、1つの光学的分布画像が生成される。この形態では、合成画像は光学的分布画像を表す。
(実施例)
次に、本開示の実施形態の効果を確認するために実施した実施例について説明する。
図7は、本実施例で用いた構成を示す模式図である。撮像素子13よりも後段の要素は、図5Cに示した実施形態における要素と同様である。本実施例では、位相差サンプル25を被写体として、位相差サンプル25を透過した光を検出した。
光源2として、波長850nmのレーザダイオードを用い、コリメータレンズ(図示せず)によって、平行光を出射させた。位相差サンプル25は厚さ1mmの石英ガラスに段差を形成したもので、段差の高さは700nmである。段差は、Y方向(すなわち紙面の手前から奥の方向)に平行で直線的に形成されている。この段差をまたいで平行光を照射すると、位相差サンプル25を透過した光は、段差を境界として急峻な位相差を有する光になる。
レンズ光学系7にはテレセントリックレンズ(倍率は1倍)を用いて、位相差サンプルの像を撮像素子13上に形成した。撮像素子13に含まれるグレーティングの格子ベクトルの方向はX方向である。すなわち、光結合層に入射した光の導波方向はX方向である。
アクチュエータ21として、X方向に移動できる微動ステージを用いた。微動ステージと撮像素子13は固着され、ステージの移動によって撮像素子13も移動するようにしている。
撮像素子13の構成は図2Aおよび図2Bに示した構成と同様である。図4Aを参照して説明した解析で示した構成と同様に、光結合層12のX方向の幅Wを5.6μm、グレーティングのZ方向の深さを0.2μm、高屈折率透明層(第2の透明層)をTa25膜とし、そのZ方向の厚みt1を0.34μm、低屈折率透明層(第1の透明層)をSiO2膜とし、そのZ方向の厚みt2を0.22μmとした。
撮像素子13を所定の初期位置に調整して、検出画像取得部14により第1の画素群および第2の画素群から、1フレーム目の検出画像を取得した。取得範囲は、段差の像の部分を含む16×16画素の範囲である。
補間処理部15により、それぞれの画素群からの画像を補間処理した。欠測画素の補間の方法は検討例で述べたものと同様である。すなわち、X方向の両隣の実測画素の光量値を平均して求めた。
演算部16において、補間された両方の画素群からの画像を用いて演算処理した。演算処理には、前述したP1/(P1+P0)の計算式を用いて、検出値を画素ごとに計算した。その上で、位相差に応じた検出値を光学的分布画像の輝度値として出力するようにした。画像を表示したときに位相差が大きいほど輝度値が低くなるようにした。
図8Aは、演算部16から出力された1フレーム目の画像を示している。位相差サンプル25の段差の像が9列目(上向きの矢印)に現れている。この列の左右で、位相の異なる光が撮像素子13に入射していることがわかる。輝度値が低い画素は9列目のみに見られる。このことから、入射光の位相は9列目を境界に急峻に(略1画素の幅の範囲内で)変化していることがわかる。
図8Aにおける9列目を見ると、入射光の位相が変化する境界はY方向に連続的に存在するにもかかわらず、奇数行目の画素は輝度値が高い、すなわち、位相差が小さく検出されていることがわかる。この原因を演算前の画像にさかのぼって調べた。その結果、この実施例では、第2の画素群の欠測画素の補間誤差が演算結果に大きく反映されていることがわかった。9列目の奇数行目の画素は第2の画素群の欠測画素である。そこで、位相差が小さい領域である両隣(すなわち8列目と10列目)の画素の光量値を平均化して、これらの欠測画素の光量値を計算した。そのことが、演算後の画像における誤差の要因となっていた。
次に、アクチュエータ21である微動ステージを移動させて、撮像素子13をX方向に1画素の幅(5.6μm)だけ右方向に移動させた。これは、被写体である位相差サンプル25と撮像素子13との光学的位置関係を変化させたことに相当する。この状態で第1の画素群および第2の画素群から、2フレーム目の検出画像を取得して、1フレーム目と同様の補間処理と演算処理を施した。
図8Bは、演算部16から出力された2フレーム目の画像を示している。撮像素子13を1画素分だけ右に移動させたので、段差の像は8列目(上向きの矢印)に現れている。1フレーム目の画像と異なるのは、8列目の偶数行目の画素で輝度値が高い、すなわち、位相差が小さく検出されていることである。本実施例における遮光領域群は、図2Bに示すようなチェッカーパターン状で存在する。したがって、8列目の偶数行目は、9列目の奇数行目と同様に、第2の画素群の欠測画素に相当する。1フレーム目の演算後の画像と同様に、2フレーム目でも第2の画素群の欠測画素の補間誤差が演算結果に大きく反映されていることがわかった。
本実施例では、透光領域および遮光領域の配置はそれぞれチェッカーパターン状である。つまり、光結合層12における光の導波方向(すなわちX方向)に対して、透光領域と遮光領域が交互に配置されることになる。したがって、2つのフレームの間で、被写体と撮像素子との光学的位置関係が1画素の幅Wの略奇数倍だけ異なる状態であれば、2つのフレームで補間誤差が生じ得る画素(または、正確に光量を検出できる画素)が相補的になる確率が高くなる。言い換えれば、補間された2フレームの画像から正確な光学的分布画像を生成しやすくなる。
ここで、画像処理回路22を用いて、演算後の2フレームの画像から光学的分布画像を生成する工程の一例を説明する。
画像位置算出部23は、1フレーム目および2フレーム目の像のずれ量を求める。本実施例では、アクチュエータ21を用いて撮像素子13を右方向に1画素分移動させたことが既知である。したがって、1フレーム目および2フレーム目の像のずれはX方向に1画素であることがわかる。
画像合成部24は、2フレーム目の画像を右に1画素分シフトさせて、1フレーム目の画像と2フレーム目の画像とを合成する。ここでは、位相差がより大きく検出された方の画素を、正確に検出された画素として、採用する合成方法を用いた。
図8Cは、画像合成部24からの出力画像(すなわち、光学的分布画像)を示している。段差の像が存在する9列目(図中の上向きの矢印)において、連続的に輝度が低く表示されている。言い換えれば、本実施例の光学的分布画像では、入射光の位相が変化する境界がY方向に連続的に存在する状態が、正確に検出されていることになる。
以上述べたように、本実施形態における撮像装置100は、第1の画素群10aおよび/または第2の画素群10bから、光結合層12の導波方向において光学的位置関係が異なる少なくとも2フレームの検出画像を取得するよう構成されている。したがって、欠測画素で正確に検出光量を求められない場合があっても、位相差またはコヒーレンスの度合いを光学的分布画像として精密に計測できるという、特別の効果を奏する。
本実施形態では、アクチュエータ21は撮像素子13の位置を変化させるが、本開示はこのような構成に限定されない。画像中の被写体の位置が、光結合層における光の導波方向に対応する方向にシフトした2つの画像信号を取得できる構成であればよい。以下、他の構成例を説明する。
図9Aは、アクチュエータ21がレンズ光学系7を光軸(図中の一点鎖線)に直交する面内で移動させる構成例を示している。このような構成でも、レンズ光学系7の移動に伴って撮像素子13上における像の位置を変化させることができる。したがって、被写体4と撮像素子13との光学的位置関係を異ならせることができる。アクチュエータ21は、光学系7の全体ではなく、光学系7を構成する一部のレンズを移動させることによって像を移動させてもよい。
図9Bは、アクチュエータ21に代えて光路調整器26が被写体4と撮像素子13との間に配置された構成例を示している。この例のように、光路調整器26を駆動して光線の方向を一様に変化させる構成であってもよい。このような構成でも、レンズ光学系の移動に伴って撮像素子13上での像の位置を光結合層の導波方向に移動できる。したがって、被写体4と撮像素子13との光学的位置関係を変化させることができる。撮像素子13上での像の位置の変化は、光結合層の導波方向にWの奇数倍だけずれていることが好ましい。光路調整器26としては、例えば音響光学素子または電気光学変調素子など、外部からの電気的な駆動によって屈折率を変化させられる光学素子を用いることができる。
本実施形態では、1つの撮像素子13を用いて、異なるタイミングで2フレームの画像を取得する構成を示した。しかし、同じタイミングで2フレームの画像を取得できるようにも構成できる。
図10は、ハーフミラー27を被写体4と2つの撮像素子13との間に配置した構成例を示している。図10の構成は、被写体4からの光をハーフミラー27(またはビームスプリッタ)で分岐し、2つの撮像素子13に入射させる点で、上述の実施形態と異なる。図10に示す例では、「光学系」は、レンズ光学系7に加えてハーフミラー27を含む。2つの撮像素子13およびハーフミラー27は、被写体4の一点からの光線が、2つの撮像素子13の一方における複数の透光領域の1つに入射し、かつ、2つの撮像素子13の他方における複数の遮光領域の1つに入射するように配置されている。例えば、同一の構造を有する2つの撮像素子13の各々について、光結合層の導波方向をX方向とする。このとき、各撮像素子13の撮像面に形成される被写体4の像が、画素の位置を合わせた状態での比較において、X方向にWの奇数倍だけずれるように、各構成要素は配置され得る。そのような構成によれば、前述の信号処理をそのまま適用できる。
1フレーム目の検出画像は、2つの撮像素子13の一方から取得される。2フレーム目の検出画像は、2つの撮像素子13の他方から取得される。このような構成を用いれば、2フレームの検出画像の取得には時間的な制約はなく、同時に検出画像を取得することも可能である。2つの撮像素子13は、同一の構造を備えている必要はなく、例えば画素数などが異なっていてもよい。画素数が異なる場合も、信号処理によって前述の合成処理と同様の処理を適用し得る。
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の撮像装置を含む。
[項目1]
複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
を有する撮像素子と、
前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
制御信号に応答して、前記撮像素子および前記光学系の少なくとも一方の位置を、前記第1の方向に変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータに前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子および前記光学系の前記少なくとも一方の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、
を備える撮像装置。
[項目2]
前記アクチュエータは前記撮像素子に接続され、前記撮像素子を前記第1の方向に移動させる、項目1に記載の撮像装置。
[項目3]
前記アクチュエータは前記光学系に接続され、前記光学系を前記第1の方向に移動させる、項目1に記載の撮像装置。
[項目4]
前記第1の方向において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一であり、
前記制御回路は、前記撮像素子に1回目の撮像を実行させた後、前記撮像素子または前記光学系の位置を前記第1の方向に前記幅の奇数倍だけ変化させて、2回目の撮像を実行させる、項目1から3のいずれかに記載の撮像装置。
[項目5]
前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記第1の方向に直交する第2の方向に交互に配置されている、項目1から4のいずれかに記載の撮像装置。
[項目6]
前記撮像素子によって得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、項目1から5のいずれかに記載の撮像装置。
[項目7]
前記光結合層は、
第1の低屈折率層と、
前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、項目1から6のいずれかに記載の撮像装置。
[項目8]
複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
を有する撮像素子と、
前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
前記撮像素子と前記被写体との間に配置され、制御信号に応答して、前記被写体から前記撮像素子に向かう光の経路を変化させる光路調整器と、
前記光路調整器に前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、
を備える撮像装置。
[項目9]
前記光路調整器は、音響光学変調素子または電気光学素子を含む、項目8に記載の撮像装置。
[項目10]
前記第1の方向において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一であり、
前記制御回路は、前記撮像素子に1回目の撮像を実行させた後、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の前記位置を前記第1の方向に前記幅の距離の奇数倍だけ変化させて、2回目の撮像を実行させる、項目8または9に記載の撮像装置。
[項目11]
前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記第1の方向に直交する第2の方向に交互に配置されている、項目8から10のいずれかに記載の撮像装置。
[項目12]
前記撮像素子によって得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、項目8から11のいずれかに記載の撮像装置。
[項目13]
前記光結合層は、
第1の低屈折率層と、
前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、項目8から12のいずれかに記載の撮像装置。
[項目14]
2つの撮像素子であって、各々が、
複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも1つの方向に交互に配置されている遮光膜と、
前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
を有する2つの撮像素子と、
入射光を分岐して前記2つの撮像素子のそれぞれの撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
を備え、
前記光学系および前記2つの撮像素子は、前記被写体の一点からの光線が、前記2つの撮像素子の一方における前記複数の透光領域の1つに入射し、かつ、前記2つの撮像素子の他方における前記複数の遮光領域の1つに入射するように配置されている、撮像装置。
[項目15]
各撮像素子において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記方向において、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一である、項目14に記載の撮像装置。
[項目16]
各撮像素子における前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記方向に直交する方向に交互に配置されている、項目14または15に記載の撮像装置。
[項目17]
前記2つの撮像素子によってそれぞれ得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、項目14から16のいずれかに記載の撮像装置。
[項目18]
前記光結合層は、
第1の低屈折率層と、
前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、項目14から17のいずれかに記載の撮像装置。
本開示にかかる撮像装置は、産業用、医療用、美容用、セキュリティ用、車載用などの計測に応用できる。また、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなどに対して、位相分布および/またはコヒーレンス分布という新たな撮像機能を付加し得るものである。
100 撮像装置
1 制御回路
2 光源
3 出射光
4 被写体
5、5a、5A 散乱光
7 集光レンズ
8a 実質的な物体(物点の集まり)
8b 像面位置の像
9 光結合層
9a 開口、透光領域
9A 遮光領域
10 光検出器アレイ
11a、11A マイクロレンズ
12 光結合層
13 撮像素子
14 検出画像取得部
15 補間処理部
16 演算部
17 信号処理回路
20 制御回路
21 アクチュエータ
22 画像処理回路
23 画像位置算出部
24 画像合成部
25 位相差サンプル

Claims (18)

  1. 複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
    前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
    前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
    を有する撮像素子と、
    前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
    制御信号に応答して、前記撮像素子および前記光学系の少なくとも一方の位置を、前記第1の方向に変化させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータに前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子および前記光学系の前記少なくとも一方の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、
    を備える撮像装置。
  2. 前記アクチュエータは前記撮像素子に接続され、前記撮像素子を前記第1の方向に移動させる、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記アクチュエータは前記光学系に接続され、前記光学系を前記第1の方向に移動させる、請求項1に記載の撮像装置。
  4. 前記第1の方向において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一であり、
    前記制御回路は、前記撮像素子に1回目の撮像を実行させた後、前記撮像素子または前記光学系の位置を前記第1の方向に前記幅の奇数倍だけ変化させて、2回目の撮像を実行させる、請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
  5. 前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記第1の方向に直交する第2の方向に交互に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の撮像装置。
  6. 前記撮像素子によって得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の撮像装置。
  7. 前記光結合層は、
    第1の低屈折率層と、
    前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
    前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
    前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置。
  8. 複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
    前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
    前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
    を有する撮像素子と、
    前記撮像素子の撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
    前記撮像素子と前記被写体との間に配置され、制御信号に応答して、前記被写体から前記撮像素子に向かう光の経路を変化させる光路調整器と、
    前記光路調整器に前記制御信号を出力する制御回路であって、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の位置が、前記第1の方向において異なる2つの状態で、前記撮像素子に2回の撮像を実行させる制御回路と、
    を備える撮像装置。
  9. 前記光路調整器は、音響光学変調素子または電気光学素子を含む、請求項8に記載の撮像装置。
  10. 前記第1の方向において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一であり、
    前記制御回路は、前記撮像素子に1回目の撮像を実行させた後、前記撮像素子の前記撮像面における前記被写体の前記像の前記位置を前記第1の方向に前記幅の距離の奇数倍だけ変化させて、2回目の撮像を実行させる、請求項8または9に記載の撮像装置。
  11. 前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記第1の方向に直交する第2の方向に交互に配置されている、請求項8から10のいずれかに記載の撮像装置。
  12. 前記撮像素子によって得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、請求項8から11のいずれかに記載の撮像装置。
  13. 前記光結合層は、
    第1の低屈折率層と、
    前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
    前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
    前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、請求項8から12のいずれかに記載の撮像装置。
  14. 2つの撮像素子であって、各々が、
    複数の透光領域および複数の遮光領域が2次元的に配列された遮光膜であって、前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域が少なくとも1つの方向に交互に配置されている遮光膜と、
    前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に2次元的に配列された複数の第1の画素および複数の第2の画素を有する光検出器であって、前記複数の第1の画素の各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の画素の各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、光検出器と、
    前記遮光膜および前記光検出器の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
    を有する2つの撮像素子と、
    入射光を分岐して前記2つの撮像素子のそれぞれの撮像面に被写体の像を形成する光学系と、
    を備え、
    前記光学系および前記2つの撮像素子は、前記被写体の一点からの光線が、前記2つの撮像素子の一方における前記複数の透光領域の1つに入射し、かつ、前記2つの撮像素子の他方における前記複数の遮光領域の1つに入射するように配置されている、撮像装置。
  15. 各撮像素子において、前記複数の透光領域のそれぞれの幅は、前記方向において、前記複数の遮光領域のそれぞれの幅と同一である、請求項14に記載の撮像装置。
  16. 各撮像素子における前記複数の透光領域および前記複数の遮光領域は、さらに前記方向に直交する方向に交互に配置されている、請求項14または15に記載の撮像装置。
  17. 前記2つの撮像素子によってそれぞれ得られた2つの画像信号から合成した1つの画像信号を生成する画像処理回路をさらに備える、請求項14から16のいずれかに記載の撮像装置。
  18. 前記光結合層は、
    第1の低屈折率層と、
    前記第1の低屈折率層上に配置され、前記グレーティングを含む高屈折率層と、
    前記高屈折率層上に配置された第2の低屈折率層と、を含み、
    前記高屈折率層は、前記第1の低屈折率層および前記第2の低屈折率層よりも高い屈折率を有する、請求項14から17のいずれかに記載の撮像装置。
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