JP2019042114A - 血圧測定装置 - Google Patents

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安比古 足立
Yasuhiko Adachi
安比古 足立
青児 西脇
Seiji Nishiwaki
青児 西脇
鳴海 建治
Kenji Narumi
建治 鳴海
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Abstract

【課題】より簡便に常時血圧を測定する。【解決手段】ある実施形態における血圧測定装置は、被検部における血圧を測定する装置であって、第1および第2の発光装置と、前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、演算回路と、を備え、前記演算回路は、前記第1および第2の信号から前記第1および第2の位置の間の脈波の伝搬時間を算出し、前記パラメータと前記伝搬時間と前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記被検部における血圧を算出する。【選択図】図12

Description

本開示は、血圧測定装置に関する。
生活習慣病である高血圧が重症化すると、脳卒中および心筋梗塞などの発症リスクが高くなる。それらの前兆を捉える健康管理および予防医療の課題として、健康状態の現状把握が重要である。当該現状把握の手段として、常時血圧測定には大きなニーズがある。
従来の血圧測定装置では、動脈が加圧帯により締め付けられる。その際に生じるコロトコフ音の変化、またはオシロメータの血圧の変化が、監視および分析される。また、移動性の血圧測定装置もいくつか存在する。
他のタイプ(特許文献1〜3)では、血圧測定装置が、被検者の皮膚に接触して、橈骨動脈上に装着される。当該橈骨動脈は、平たく部分的に押し潰される。その際に生じる作用する力が測定される。
また、動脈に穿孔して血管の内部に直接アクセスすることによって、短期間の血圧を測定する方法も存在する。
特開2001−017399号公報 特開平02−019141号公報 特開平01−214335号公報 特開平11−076233号公報
Ichiro Yamada and Guillaume Lopez, "Wearable sensing systems for healthcare monitoring", VLSI Technology (VLSIT), 2012 Symposium on. IEEE, 2012. 東海大学出版会 光学の原理、p482 M・ボルンほか 第14回医用近赤外線分光法研究会、p139−144、近赤外生体分光法の展望−1μm波長域の可能性、 西村吾朗
本開示は、より簡便に常時血圧を測定する血圧測定装置を提供する。
本開示の一態様に係る血圧測定装置は、被検部における血圧を測定する血圧測定装置であって、第1の発光装置と、第2の発光装置と、前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、演算回路と、を備え、前記演算回路は、前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出し、前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記被検部における血圧を算出する。
本開示の他の態様に係るウェアラブル端末は、前記血圧測定装置を備える。
本開示の他の態様に係るプログラムは、被検部の血圧を測定する血圧測定装置に用いられるプログラムであって、前記血圧測定装置は、第1の発光装置と、第2の発光装置と、前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の光量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の光量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、演算回路と、を備え、前記プログラムは、前記演算回路に、前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出させ、前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により前記被検部における血圧を算出させる。
本開示の一態様によれば、より簡便に常時血圧を測定できる。
図1Aは、検討例に係る光検出システム100を模式的に示す図である。 図1Bは、光検出器13が備える一つの開口9aに入射する散乱光5の様子を示す図である。 図2Aは、光が入射する方向に沿った面における光検出器13の断面図である。 図2Bは、光検出器13を光の入射する側から眺めた平面図である。 図3は、光検出器13の信号処理の方法を示す図である。 図4Aは、検討例における4つの開口での入射光とその下にある3つの受光素子の位置関係を示す断面図である。 図4Bは、入射光の位相ランダム係数aおよび検出信号の関係に関する解析結果を示す図である。 図5は、コヒーレンス長が可変な発光装置20の構成例を模式的に示す図である。 図6は、レーザの光出力と駆動電流との一般的な関係を模式的に示す図である。 図7は、レーザ光源2に入力される駆動電流の時間変化を模式的に示す図である。 図8は、図7に示す駆動電流によるコヒーレンス長σの変化の測定結果の例を示す図である。 図9は、散乱体内部に吸収体が存在する場合における、コヒーレンス長と位相差のばらつきとの関係の測定結果を示す図である。 図10は、コヒーレンス長が可変な発光装置20の他の構成例を模式的に示す図である。 図11は、コヒーレンス長が可変な発光装置20のさらに他の構成例を模式的に示す図である。 図12は、実施形態2における血圧測定装置1000の構成例と、血圧測定装置1000を用いた血圧測定方法とを模式的に示す図である。 図13は、図12の構成例の断面図である。 図14は、脈波による位相差のばらつきの測定結果を示す図である。 図15は、位置A(上図)および位置B(下図)における脈波による位相差のばらつきを模式的に示す図である。 図16は、血圧測定装置1000の構成例を示すブロック図である。 図17は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の初期化ステップを示すフローチャートである。 図18は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の血圧測定ステップを示すフローチャートである。 図19は、血圧測定装置1000の他の構成例を示すブロック図である。 図20は、血圧測定装置1000における血圧測定方法のコヒーレンス長の初期化ステップを示すフローチャートである。 図21は、血圧測定装置1000の下面を模式的に示す図である。 図22は、位置Bにおいて測定された脈波による位相差のばらつき(図15の下図)を脈波伝搬時間だけシフトして、位置Aにおいて測定された脈波による位相差のばらつき(図15の上図)に一致させたことを模式的に示す図である。 図23は、光検出器13における検出時間のずれの調整方法を示す図である。 図24は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の血圧測定ステップの他の例を示すフローチャートである。 図25Aは、非特許文献2に示される第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200の構成を模式的に示す図である。 図25Bは、受光素子36によって検出される光の強度を示す電気信号の時間変化の例を模式的に示す図である。 図26は、光の干渉現象を説明する図である。 図27Aは、波長λを中心に波長の広がりがゼロである光を模式的に示す図である。 図27Bは、図27Aの場合において、コヒーレンス長が無限大であることを模式的に示す図である。 図27Cは、波長λを中心に波長の広がり(半値全幅)がΔλである光を模式的に示す図である。 図27Dは、図27Cの場合において、コヒーレンス長σがλ /Δλであることを模式的に示す図である。 図27Eは、中心波長λおよび波長の広がりΔλの光を、波長λ−Δλ/2およびλ+Δλ/2の2つの光27、28に置き換えて表せることを模式的に示す図である。 図28Aは、第2の従来例における光検出システム300を模式的に示す断面図である。 図28Bは、図28Aに示される光検出システム300における光源42の発振と受光素子50からの検出信号との関係を示す説明図である。 図29は、心電(上図)および脈波(下図)の時間変化を示す図である。 図30は、血圧Pとヤング率Eとの関係の測定結果を示す図である。
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
本発明者らは、従来の血圧測定装置では、簡便で、高精度で、かつ安全に常時血圧を測定できないことを見出した。
従来の移動性の血圧測定装置では、連続的にデータを収集し、また、拍動波形を得ることはできない。
特許文献1〜3の血圧測定装置では、血管周辺の組織を介して血圧測定が行われ、被検者の運動および動作が感知され得る。そのため、血圧測定の性能は最適ではない。そのような血圧測定装置では、経皮的な脈拍の記録が可能である。しかし、当該記録は、血管組織における局所的な組織調節または非線形かつ粘弾性の効果のために不正確である。
動脈に穿孔する方法も、長期間の血圧測定に用いることはできない。さらに、血管の内部への経皮的なアクセスには、あらゆる動脈の穿孔に見られる様々な健康上のリスクを伴う。特に、動脈壁および介在組織に長期間にわたってワイアが挿入された状態を維持する場合には、高いリスクを伴う。
上記を考慮して、脈波の伝搬速度から血圧を測定する方法(「以下、脈波伝搬速度法」と称する。)を改良した血圧測定の方法が提案されている。脈波伝搬速度法では、より自由な行動および姿勢において、低侵襲に連続的に血圧を測定することができる。
非特許文献1では、血圧と血管弾性との関係式が、一般的な脈波伝搬速度法に組み込まれる。これにより、心電および脈波の測定から脈波の伝搬速度を算出して、血圧を測定することができる。特許文献4では、超音波を用いて近接距離である2位置間の脈波の伝搬速度を算出して、血圧を測定することができる。
しかしながら、非特許文献1および特許文献4の方法であっても、心電および脈波を常時測定するためには、血圧測定装置を接触した状態で装着しなければならない。
本発明者らは、以上の課題を見出し、この課題を解決するための新規な血圧測定装置に想到した。
本開示は、以下の項目に記載の血圧測定装置およびプログラムを含む。
[項目1]
被検部における血圧を測定する血圧測定装置であって、
第1の発光装置と、
第2の発光装置と、
前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、
血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、
演算回路と、
を備え、
前記演算回路は、
前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出し、
前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記被検部における血圧を算出する、
血圧測定装置。
[項目2]
前記第1の信号は、前記第1の反射光の位相差のばらつきを示し、
前記第2の信号は、前記第2の反射光の位相差のばらつきを示す、
項目1に記載の血圧測定装置。
[項目3]
前記演算回路は、血圧の測定前に、前記パラメータと、前記第1および第2の発光装置が出射する光のコヒーレンス長との少なくとも1つを決定する、
項目1または2に記載の血圧測定装置。
[項目4]
前記演算回路は、前記血圧の測定前に、
他の血圧測定装置によって得られた血圧と、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記パラメータを算出する、
項目1から3のいずれかに記載の血圧測定装置。
[項目5]
前記演算回路は、前記血圧の測定前に
前記第1および第2の発光装置の少なくとも一方が出射する光のコヒーレンス長を順次変化させ、
前記第1および第2の信号の少なくとも一方の時間変化のピークが最大になるコヒーレンス長の光を決定し、
前記血圧を測定する際、決定した前記コヒーレンス長の光を前記第1および第2の発光装置に出射させる、
項目1から4のいずれかに記載の血圧測定装置。
[項目6]
前記演算回路は、
前記光検出器における前記第1の反射光と前記第2の反射光との検出時間のずれを順次変化させることにより、
前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化とが一致する前記検出時間のずれを決定し、
決定した前記検出時間のずれを前記伝搬時間とする、
項目1から5のいずれかに記載の血圧測定装置。
[項目7]
前記光検出器は、
複数の透光領域および複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に配列された複数の第1の受光セルおよび複数の第2の受光セルを有する受光素子であって、前記複数の第1の受光セルの各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の受光セルの各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、受光素子と、
前記遮光膜および前記受光素子の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
前記複数の第1の受光セルから得られた信号と、前記複数の第2の受光セルから得られた信号とを用いた演算により、各第1および第2の受光セルの位置に入射した光の位相差のばらつきを示す信号を出力する信号処理回路と、
を有する、
項目1から6のいずれかに記載の血圧測定装置。
[項目8]
前記第1および第2の位置の間の直線距離は、10cm以下である、
項目1から7のいずれかに記載の血圧測定装置。
[項目9]
項目1から8のいずれかに記載の血圧測定装置を備える、
ウェアラブル端末。
[項目10]
被検部の血圧を測定する血圧測定装置に用いられるプログラムであって、
前記血圧測定装置は、
第1の発光装置と、
第2の発光装置と、
前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の光量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の光量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、
血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、
演算回路と、
を備え、
前記プログラムは、前記演算回路に、
前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出させ、
前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により前記被検部における血圧を算出させる、
プログラム。
以下に、光の干渉性および位相を測定する従来の方法と、脈波の伝搬速度(以下、「脈波伝搬速度」と称する。)から血圧を測定する従来の方法とについて、詳細に検討した結果を説明する。
まず、従来の光の干渉性および位相を測定する方法について説明する。
図25Aは、非特許文献2に示される第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200の構成を模式的に示す図である。図25Aに示すように、光源30から出射された光31は、第1のレンズ光学系35aによって集光され平行光32になる。図では光軸のみを表している。この平行光32の一部である光32aは、ハーフミラー33を透過して第1の反射ミラー34aに向かう。反射ミラー34aで反射された光32bは、ハーフミラー33でさらに反射されて第2のレンズ光学系35bに向かう(光32c)。光32cは、第2のレンズ光学系35bを通過し、レンズ光学系35bの焦平面に位置する受光素子36に入射する(光32d)。一方、平行光32の他の一部は、ハーフミラー33で反射されて第2の反射ミラー34Aに向かう(光32A)。反射ミラー34Aで反射された光32Bは、ハーフミラー33に向かい、ハーフミラー33を透過してレンズ光学系35bに向かう(光32C)。光32Cは、レンズ光学系35bを通過し、光32dと重なる形で受光素子36に入射する(光32D)。受光素子36は、光32dと光32Dとが干渉して生じる光を検出する。第2の反射ミラー34Aは、反射面の法線方向(矢印A)に沿って位置が変化するように構成されている。第2の反射ミラー34Aの変位に伴って、光32dに対する光32Dの相対的な位相が変化する。
図25Bは、受光素子36によって検出される光の強度を示す電気信号の時間変化の例を模式的に示す図である。図25Bは、マイケルソンの干渉計200による光の干渉性および位相の評価方法を示している。図25Bにおける縦軸は、受光素子36から出力される信号の強度を示し、横軸は時間を示している。反射ミラー34Aの位置を時間的に変化させると、図25Bに示すように、信号強度はaからbの範囲で変化する。ここで、(b−a)/(b+a)の値を干渉におけるコントラストと呼ぶ。コントラストの値によって光31の干渉性(コヒーレンス)の度合いが定義される。
反射ミラー34Aを固定し、ハーフミラー33と反射ミラー34aとの間に透明な被写体37を配置した場合でも、反射ミラー34Aの位置を変化させた場合と同じ原理が成立する。すなわち、イメージセンサなどの受光素子36から出力される信号の強度には被写体の形状に応じた強度差が空間的な分布として表れ、いわゆる干渉縞を形成する。その干渉縞の形状または間隔を測定することにより、被写体の形状(または位相情報)を計測することができる。
干渉縞の空間的な分布を一度に測定するために、受光素子36を複数の受光セルの集合体として、受光セルごとに入射する光の量を検出する場合もある。複数の受光セルの集合体を構成する個々の受光セルは、画素とも呼ばれる。
図26は、光の干渉現象を説明する図である。図26は、光源30から出射されZ方向に伝搬する光の、ある時刻tにおける様子を模式的に示している。図26に示すように、光源30からは、波連37a、37bなどの複数の波連が次々に出射する。波連の長さσはコヒーレンス長と呼ばれる。1つの波連内では波は連続しており、波長も均一である。波連が異なると、位相の相関性は無くなる(波連37aでは位相δ、波連37bでは位相δ、δ≠δ)。波連が異なると波長も異なる場合がある(波連38aでは波長λ、波連37bでは波長λ、λ≠λ)。
まず、図25Aに示される構成において第2の反射ミラー34Aの位置を調整して、図26における波連37aのうちの部分37A’と部分37Aとを干渉させる場合を説明する。部分37A内の波と部分37A’内の波とは波長が等しく、波の位相差も時間的に安定している(ある値で変わらない)。したがって、干渉後の光の明暗(干渉光の振幅の大小)も時間的に安定する(ある明るさを維持する)。つまり、図26の左下図に示すように、干渉光39aは、位相差の量(反射ミラー34Aの変位)に応じて明るく見えたり(左下図の上段)、暗く見えたりする(左下図の下段)。この状態はコヒーレントと呼ばれる。
次に、波連37aの部分37Aと波連37bの部分37Bとを干渉させる場合を説明する。この場合、部分37A内の波と部分3B内の波との波長が等しくなる保証はなく、これら2つの波の位相差も時間的にランダムに変化する。その結果、干渉後の光の明暗(干渉光の振幅の大小)は時間的にランダムに変化する。この変化は、例えばフェムト秒単位の速さである。したがって、図26の右下図に示すように、干渉光39bは高速で明暗が繰り返され、人間の目には平均的な明るさにしか見えない。この状態はインコヒーレントと呼ばれる。レーザ光は、波連が長く、コヒーレンス長が数mから数百m程であり、コヒーレント光の典型的な例である。一方、太陽光は、波連が短く、コヒーレンス長が1μm程度であり、インコヒーレントな光の典型的な例である。図25Aのような構成で光を干渉させる場合、レーザ光のようにコヒーレンス長が長い光を使うと、同じ波連内で干渉する確率が高くなる。その結果、コントラストは向上し、1に近くなる。一方、太陽光のようにコヒーレンス長が短い光を使うと、異なる波連間で干渉する確率が高くなる。すなわち、同じ波連間で干渉する確率が低くなる。その結果、コントラストは低下し、0に近くなる。
図27Aから図27Eを用いて、中心波長λの光の、波長幅(縦モード幅)とコヒーレンス長との関係を説明する。
図27Aは、波長λを中心に波長の広がりがゼロである光を模式的に示す図である。図27Bは、図27Aの場合において、コヒーレンス長が無限大であることを模式的に示す図である。図27Cは、波長λを中心に波長の広がり(半値全幅)がΔλである光を模式的に示す図である。図27Dは、図27Cの場合において、コヒーレンス長σがλ /Δλであることを模式的に示す図である。縦モード幅とコヒーレンス長とはフーリエ変換の関係にある。これはウイナーヒンチンの定理と呼ばれる。この定理は次のように説明できる。
図27Eは、中心波長λおよび波長の広がりΔλの光を、波長λ−Δλ/2およびλ+Δλ/2の2つの光27、28に置き換えて表せることを模式的に示す図である。光27と光28とが干渉することで発生する唸りの周期はλ /Δλである。搬送波の波長は光27と光28との波長の平均値λである。唸りの周期内では光の振動波形は均一で連続する。一方、周期を跨ぐと、異なる周期の光の振動波形は連続性が失われ、位相の相関性もなくなる。つまり、唸りの周期λ /Δλがコヒーレンス長に相当する。太陽光がインコヒーレントであるのは、波長幅(縦モード幅)Δλが大きいためである。中心波長λを550nm、波長幅Δλを300nmとすると、コヒーレンス長σはλ /Δλ=1.0μmである。
次に、非特許文献3に開示されている光検出システムを、第2の従来例として説明する。非特許文献3に開示されている光検出システムは、光の強度分布を光の伝搬距離ごとに測定する。
図28Aは、第2の従来例における光検出システム300を模式的に示す断面図である。光源42はレーザ光を出射する。図28Aに示すように、光源42から出射された波長λの光43は被写体44に照射される。その結果、被写体44の表面または内部で発生した散乱光45a、45b、45cは、レンズ光学系47によって集光され、レンズ光学系47の像面位置に像48bとして結像される。像48bに対応してレンズの物側には実質的な物体(物点の集まり)48aが存在する。像面位置には受光素子50が配置されている。受光素子50は複数の受光セル(すなわち画素)の集合体であり、画素ごとに入射する光の光量が検出される。光源42からの発光は、コントローラ41によって制御される。受光素子50によって検出された光量は検出信号として信号処理回路51で処理される。コントローラ41および信号処理回路51は、コンピュータ52によって一括して制御される。
図28Bは、図28Aに示される光検出システム300における光源42の発振と受光素子50からの検出信号との関係を示す説明図である。図28Bにおける縦軸は光源42の発振強度または受光素子50の検出強度を表し、横軸は、経過時間を表している。光源42がコントローラ41の制御の下でパルス43aを発振する。このパルス43aによる光43が被写体44の内部で散乱されて受光素子50で受光され、信号53として検出される。検出信号53の時間幅は、散乱による光路長のばらつきの影響で、元のパルス43aの時間幅に比べて広がる。検出信号53のうち先頭の出力53aは、被写体44の表面で反射された光45aによる信号成分である。出力53aの後の時間t〜tの間の出力53bは、被写体44の内部を散乱し散乱距離の短い光45bによる信号成分である。出力53bの後の時間t〜tの間の出力53cは、散乱距離の長い光45cによる信号成分である。コンピュータ52による制御によって、信号処理回路51は検出信号53を時間分割し、信号53a、53b、53cの出力を分離して検出できる。光は出力53a、53b、53cの順に被写体の浅い側から深い側を通過している。したがって、深さの異なる情報を分離して分析できる。
本願発明者の検討によれば、第1の従来例であるマイケルソンの干渉計200を用いて干渉性(コヒーレンス)の度合いまたは位相を測定するためには、反射ミラー34Aからの参照光32B、32Cが必要である。このため、構成が複雑になる。また、干渉光路が所定の空間中に存在することから、周囲環境の変化(例えば空気対流または振動)の影響を受けやすい。
一方、本願発明者の検討によれば、第2の従来例である光検出システムでは、時間分割幅に限界がある。したがって、測定(診断)の際に深さ方向の分解能を充分に確保できない。例えば、時間分割幅を300psとすると、深さ分解能は90mm程度になる。このため、第2の従来例における光検出システムは、生体のような比較的小さな構造をもつ対象の診断または検査には向かない。
次に、本開示の実施の形態について述べる前に、従来例の課題を解決するために本発明者らが検討した形態(検討例)を説明する。
(検討例)
図1Aは、本検討例に係る光検出システム100の模式図である。光検出システム100は、光源2と、集光レンズ7と、光検出器13と、制御回路1と、信号処理回路14と、を備える。信号処理回路14は、光検出器13に含まれていてもよい。
光源2は、一定のコヒーレンス長の光で被写体4を照射する。例えば、光源2は、コヒーレント光の代表であるレーザ光を発するレーザ光源であり得る。光源2は、一定の強度の光を連続的に発光してもよいし、単一のパルス光を発してもよい。光源2が発光する光の波長は任意である。しかし、被写体4が生体の場合、光源2の波長は、例えば略650nm以上略950nm以下に設定され得る。この波長範囲は、赤色〜近赤外線の波長範囲に含まれる。本明細書では、可視光のみならず赤外線および紫外線についても「光」の概念に含まれる。
集光レンズ7は、光源2が被写体4に光を照射して被写体4の表面または内部で発生した散乱光5a、5Aを集光する。集光された光は、レンズ光学系7の像面位置に像8bとして結像される。像8bに対応してレンズの物側には実質的な物体(物点の集まり)8aが存在する。図1Aに示す例ではレンズ光学系7は、1つのレンズを備えている。レンズ光学系7は複数のレンズの集合体であってもよい。
光検出器13は、集光レンズ7の像面位置に配置される。光検出器13は、集光レンズ7が集光した散乱光5a、5Aを検出する。光検出器13の詳細な構造は後述する。
信号処理回路14は、光検出器13が検出した信号の演算処理を行う。信号処理回路14は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの画像処理回路であり得る。
制御回路1は、例えばメモリに記録されたプログラムを実行することにより、光検出器13による光の検出、信号処理回路14による演算処理、光源2の発光光量、点灯タイミング、連続点灯時間、発光波長、コヒーレンス長などの少なくとも1つを制御する。制御回路1は、例えば中央演算処理装置(CPU)またはマイクロコンピュータ(マイコン)などの集積回路であり得る。制御回路1および信号処理回路14は、統合された1つの回路によって実現されていてもよい。
なお、光検出システム100は、信号処理回路14が演算処理した結果を表示する不図示のディスプレイを備えていてもよい。
図1Bは、光検出器13が備える一つの開口9a(後述する「透光領域9a」)に入射する散乱光5の様子を示している。被写体4は散乱体である。被写体4の内部を伝搬する光線は、減衰係数μで減衰し、散乱係数μで散乱を繰り返す。
図2Aは、光が入射する方向に沿った面における光検出器13の断面図である。図2Bは、光検出器13を光の入射する側から眺めた平面図である。図2Aは、後述する遮光膜9を含むXY面における平面図である。図2Aは、図2Bの破線で囲まれた領域を含むXZ面に平行な断面を示している。図2Bに示すように、図2Aに示す断面構造を一つの単位構造として、当該単位構造がXY面内で周期的に並んでいる。なお、図2Aおよび2Bには、説明の便宜上、直交する3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)が示されている。他の図についても同様の座標軸を用いる。
光検出器13は、受光素子10と、光結合層12と、遮光膜9と、をこの順に有する。図2Aの例ではこれらがZ方向に積層されている。図2Aの例では、遮光膜9上に透明基板9bとバンドパスフィルタ9pとをこの順に積層されている。光検出器13において、複数の画素が配列された面を「撮像面」とする。
受光素子10は、受光素子10の面内方向(XY面内)に複数の画素(すなわち受光セル)10a、10Aを備える。受光素子10は、光が入射する側から、マイクロレンズ11a、11Aと、透明膜10cと、配線などの金属膜10dと、Siまたは有機膜などで形成される感光部とを備えている。金属膜10dの間にある感光部が画素10a、10Aに相当する。複数のマイクロレンズ(11a、11A)は、1つのマイクロレンズが1つの画素(10a、10A)に対向するように配置される。マイクロレンズ11a、11Aで集光され金属膜10dの隙間に入射する光が画素10a、10Aで検出される。
光結合層12は、受光素子10上に配置され、受光素子10の面直方向(Z軸方向)において、第1の透明層12c、第2の透明層12b、および第3の透明層12aをこの順に備える。第1の透明層12c、および第3の透明層12aは、例えばSiOなどによって形成され得る。第2の透明層12bは、例えばTaなどによって形成され得る。第2の透明層12bのZ方向の厚さt1は、例えば0.34μmである。第1の透明層12cのZ方向の厚さt2は、例えば0.22μmである。
第2の透明層12bは、第1の透明層12cおよび第3の透明層12aよりも屈折率が高い。光結合層12は、高屈折率透明層12bと低屈折率透明層12cとをこの順にさらに繰り返した構造を備えてもよい。図2Aでは合計6回繰り返した構造が示されている。高屈折率透明層12bは低屈折率透明層12c、12aで挟まれている。したがって、高屈折率透明層12bは導波層として機能する。高屈折率透明層12bと、低屈折率透明層12c、12aとの界面に全面に渡ってピッチΛの直線グレーティング12dが形成される。グレーティングの格子ベクトルは光結合層12の面内方向(XY面)におけるX軸に平行である。グレーティング12dのXZ断面形状は積層される高屈折率透明層12b、および低屈折率透明層12cにも順次転写される。透明層12b、12cの成膜が積層方向に高い指向性を有している場合には、グレーティングのXZ断面をS字またはV字状にすることによって形状の転写性を維持しやすい。
なお、グレーティング12dは、少なくとも高屈折率透明層12bの一部に備えられていればよい。高屈折率透明層12bがグレーティング12dを備えることにより、入射光が高屈折率透明層12bを伝搬する光(導波光)に結合できる。
光結合層12と受光素子10との間の隙間はできるだけ狭い方がよい。光結合層12と受光素子10とは密着していてもよい。光結合層12と受光素子10との間の隙間(マイクロレンズ11a、11Aが配列された空間を含む)に接着剤などの透明媒質を充填してもよい。透明媒質を充填する場合、マイクロレンズ11a、11Aによるレンズ効果を得るために、マイクロレンズ11a、11Aの構成材料には、充填される透明媒質よりも充分大きな屈折率をもつ材料が使用される。
図2Aにおける透光領域9aは、図2Bにおける透光領域9a1、9a2、9a3、9a4などに対応する。図2Aにおける遮光領域9Aは、図2Bにおける遮光領域9A1、9A2、9A3、9A4などに対応する。つまり、遮光膜9は、遮光膜9の面内方向(XY面内)に配列された複数の遮光領域9Aと複数の透光領域9aとを有する。複数の遮光領域9Aは、複数の第2の画素10Aにそれぞれ対向する。複数の透光領域9aは、複数の第1の画素10aにそれぞれ対向する。本明細書において、第1の画素10aの集合体を「第1の画素群」、第2の画素10Aの集合体を「第2の画素群」と呼ぶことがある。
本開示では、複数の第1の画素10aの各々は、複数の透光領域9aの1つに対向している。同様に、複数の第2の画素10Aの各々は、複数の遮光領域9Aの1つに対向している。
なお、1つの透光領域に2つ以上の第1の画素10aが対向していてもよい。同様に、1つの遮光領域に2つ以上の第2の画素10Aが対向していてもよい。本開示は、そのような形態も含む。
図2Bに示す例では、複数の遮光領域9A(9A1〜9A4)は、チェッカーパターンを形成する。これらの遮光領域9A(9A1〜9A4)はチェッカーパターン以外のパターンを形成してもよい。
透明基板9bは遮光膜9の光入射側に配置されている。透明基板9bは、例えばSiOなどの材料によって形成され得る。バンドパスフィルタ9pは、透明基板9bの光入射側に配置されている。バンドパスフィルタ9pは、入射する光5のうち、波長λ近傍の光のみを選択的に透過させる。
光検出器13に入射する光5は、バンドパスフィルタ9pおよび透明基板9bを経て、光6A、6aとして反射膜の形成された遮光領域9Aおよび反射膜の除去された透光領域9aに至る。光6Aは遮光領域9Aで遮光される。光6aは透光領域9aを透過し、光結合層12に入射する。光結合層12に入射した光6aは、低屈折率透明層12aを経て、高屈折率透明層12bに入射する。高屈折率透明層12bの上下の界面にはグレーティングが形成されている。以下の式(1)を満たせば、導波光6bが発生する。
Figure 2019042114
ここで、Nは導波光6bの実効屈折率である。θは入射面(XY面)の法線に対する入射角度である。図2Aでは光が入射面に垂直に入射している(θ=0°)。この場合、導波光6bはXY面内をX方向に伝搬する。すなわち、透光領域9aを経て光結合層12に入射した光は、X方向に隣接する遮光領域9Aの方向に導波される。
高屈折率透明層12bを透過して下層に入射する光の成分は、下層側にある全ての高屈折率透明層12bに入射する。これによって、式(1)と同じ条件で導波光6cが発生する。導波光は、全ての高屈折率透明層12bで発生するが、図2Aには、2つの層で発生する導波光のみを代表して示している。下層側で発生する導波光6cも同様にXY面内をX方向に伝搬する。導波光6b、6cは、導波面(XY面)の法線に対して角度θ(図2Aの例ではθ=0)で上下方向に光を放射しながら伝搬する。その放射光6B1、6C1は、遮光領域9Aの直下では上方(反射膜側)に向かう成分が遮光領域9Aで反射し、反射面(XY面)の法線に沿って下方に向かう光6B2となる。光6B1、6C1、6B2は、高屈折率透明層12bに対し式(1)を満たしている。したがって、その一部が再び導波光6b、6cとなる。この導波光6b、6cも新たな放射光6B1、6C1を生成する。これらの過程が繰り返される。全体として、透光領域9aの直下では、導波光にならなかった成分が光結合層12を透過し、透過光6dとしてマイクロレンズ11aに入射する。その結果、導波光にならなかった成分は第1の画素10aで検出される。実際には、導波の後に最終的に放射された成分も、導波光にならなかった成分に加わる。しかし、本明細書では、そのような成分も、導波光にならなかった成分として扱う。領域9Aの直下では、導波光になった成分が放射され、放射光6Dとしてマイクロレンズ11Aに入射する。その結果、導波光になった成分は第2の画素10Aによって検出される。
透光領域9aは図1Bで示した開口に相当する。透光領域9aを通じて、光は直下の検出器と左右の(すなわちX方向に隣接する)検出器に分岐し、それぞれ検出される。
図2Bに示される透光領域9a1、9a2、9a3、9a4に対向する第1の画素での各検出光量をそれぞれq1、q2、q3、q4とする。図2Bに示される遮光領域9A1、9A2、9A3、9A4に対向する第2の画素での各検出光量をそれぞれQ1、Q2、Q3、Q4とする。q1〜q4は、導波光にならなかった光の検出光量を表している。Q1〜Q4は、導波光になった光の検出光量を表している。透光領域9a1の直下の第1の画素10aでは導波光になった光の光量が検出されない。一方、遮光領域9A2の直下の第2の画素10Aでは導波光にならなかった光の光量が検出されない。ここで、透光領域9a1の直下の検出位置で、導波光になった光の検出光量Q0=(Q1+Q2)/2を定義する。これに代えてQ0=(Q1+Q2+Q3+Q4)/4を定義してもよい。同様に、遮光領域9A2の直下の検出位置で、導波光にならなかった光の検出光量q0=(q1+q2)/2を定義する。これに代えてq0=(q1+q2+q3+q4)/4を定義してもよい。すなわち、ある領域(遮光領域または透光領域)において、当該領域を中心としてX方向および/またはY方向に隣接する領域(画素)の直下の検出位置で検出される光量の平均値を定義する。
この定義を全ての領域に適用することで、受光素子10を構成する全ての検出領域(すなわち、全ての画素)で、導波光にならなかった光の検出光量と導波光になった光の検出光量とを定義できる。
信号処理回路14は、上記のような定義のもとに、補間された、導波光にならなかった光の検出光量と導波光になった光の検出光量とを用いて、コヒーレンスの度合いの分布を示す光学的分布画像を生成するなどの演算処理を行う。信号処理回路14は、これら2つの検出光量の比の値、またはこれらの光量和に対する各光量の比の値を画素ごとに算出した値を各画素に割り当てることにより、光学的分布画像を生成する。
図3は、光検出器13の信号処理の方法を示す図である。図3では、グレーティングの格子ベクトルに沿って、8つの受光セル(10A、10aなど)が並んでいる。受光セル10A、10aはそれぞれ遮光領域9A、透光領域9aに対向している。8つの検出器で検出される信号をp0,k−4、p1,k−3、p0,k−2、p1,k−1、p0,k、p1,k+1、p0,k+2、p1,k+3とする。例えば、p0,kの左右にある信号(p1,k−1とp1,k+1)からその平均値(p1,k−1+p1,k+1)/2を補間値p1,kとして定義する(図3の補間式参照)。同様に、p1,k−1の左右にある信号(p0,k−2とp0,k)からその平均値(p0,k−2+p0,k)/2を補間値p0,k−1として定義する。検出値p0,kおよび補間値p1,kから、P0変調度p0,k/(p0,k+p1,k)またはP1変調度p1,k/(p0,k+p1,k)が算出される。検討例ではこれらの変調度を検出信号として利用する。
図4Aは、検討例における4つの開口での入射光とその下にある3つの受光素子の位置関係を示す断面図である。4つの開口には位相がランダムに異なる光が入射している。ただし、ωを光の角周波数(ω=2πc/λ,cは光速)、tを時間、r1,r2,r3,r4をランダム関数(0から1の間でランダムな値をとる関数)、aをランダム係数(ランダム値の振幅)としている。
図4Bは、入射光の位相ランダム係数aおよび検出信号の関係を示す解析結果である。4つの開口の中間にある遮光部直下の受光セルを10A、その両隣にある透光部直下の受光セルを10a,10a’とする。それらの検出光量をそれぞれP1、P0,P0’とする。検出信号は2P1/(P0+P0’)で定義している。菱形マークはTEモード入射(S偏光)、四角マークはTMモード入射(P偏光)、三角マークはTEMモード入射(ランダム偏光、または円偏光、または45度方向の偏光)を表している。TEモード入射およびTEMモード入射に注目すると、係数aの増大にしたがって、検出信号が低下する。a=0はコヒーレントで位相が揃っている場合に相当する。a=1はインコヒーレントに相当する。したがって、検出信号の大きさから入射光のコヒーレンスの度合い、または入射光の位相差のばらつきを知ることができる。同様に、入射した光の位相の差異も計測できる。
信号処理回路14は光検出器13に含まれていてもよい。その場合、光検出器13は、遮光膜9と、受光素子10と、光結合層12と、信号処理回路14とを備える。遮光膜9は、複数の透光領域9aおよび複数の遮光領域9Aが少なくともX方向に交互に配置される。受光素子10は、遮光膜9に対向して配置され、撮像面に配列された複数の受光セル10aおよび複数の受光セル10Aを含む。複数の受光セル10aの各々は、複数の透光領域の1つに対向する。複数の受光セル10Aの各々は、複数の遮光領域の1つに対向する。光結合層12は、遮光膜9および受光素子10の間に配置され、複数の透光領域9aに所定の波長の光が入射したときに、光の一部をX方向に伝搬させるグレーティングを含み、複数の透光領域9Aに入射した光の他の一部を透過させる。信号処理回路14は、複数の受光セル10aから得られた信号と、複数の受光セル10Aから得られた信号とを用いた演算により、各受光セル10a、10Aの位置に入射した光の位相差のばらつきを示す信号を出力する。
光検出器13についての詳細な説明は、米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書に開示されている。米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書の開示内容の全体を本願明細書に援用する。
次に、非特許文献1を主に参照して、従来の脈波伝搬速度から血圧を測定する方法を説明する。
まず、脈波を説明する。脈波とは、血管の膨らみのことであり、また、当該膨らみの進行および、ある位置における当該膨らみの時間的な変動のことである。当該膨らみの時間的な変動を脈拍という。成人の安静時における通常の脈拍は、毎分60〜100回程度である。
心電測定機および脈波測定機を用いた脈波伝搬速度の測定方法を説明する。
図29は、心電(上図)および脈波(下図)の時間変化を示す図である。心電は心電測定機により測定される。脈波は、例えば腕または足において脈波測定機により測定される。心電図のR波のピーク値から脈波の最小値までの時間が、脈波伝搬時間(Pulse Wave Transit Time(PWTT))に相当する。心臓から上記の腕または足までの距離を脈波伝搬時間で除算することにより、脈波伝搬速度(Pulse Wave Velocity(PWV))を得ることができる。心臓の動きを用いない場合には、腕および足において脈波を測定することによって脈波伝搬速度を得ることができる。脈波伝搬速度は、脈波の進行速度に相当し、ほとんどの場合、5〜15m/秒である。脈波の伝搬は、血液の伝搬とは異なる。
次に、脈波伝搬速度と血圧との関係を説明する。血圧は血管内圧とも呼ばれる。
以下の式(2)は、脈波伝搬速度と血管の硬さとの関係を表す。
Figure 2019042114
Eは、血管の硬さを表すヤング率、または、より正確にはフープ応力である。hは血管壁厚であり、Dは血管内径であり、ρは血液粘度である。脈波伝搬速度は、ヤング率E、血管壁厚h、血管内径D、および血液粘度ρに依存する。血液粘度は、個人による変動要因の他、(1)赤血球数の増加、(2)血漿蛋白濃度の上昇、および(3)血液水分量の減少によって高くなる。しかし、血液粘度の変動は、脈波伝搬速度にそれほど大きな影響を与えないと考えられている。
以下の式(3)は、血管の硬さと血圧との関係を表す。
Figure 2019042114
ΔPは血圧の変化量であり、ΔRは血管内径の変化量である。原理的には、ヤング率Eは、血圧の変化量と血管内径の変化量との比により得られる。
図30は、血圧Pとヤング率Eとの関係の測定結果を示す図である。丸印は正常な場合を示し、三角印は高血圧の場合を示す。いずれの場合も、ヤング率Eは、血圧Pの指数関数として近似できることがわかる。
以下の式(4)は、血圧Pとヤング率Eとの近似的な関係式を表す。
Figure 2019042114
αは血管特性を示す係数であり、Eはある血圧Pにおけるヤング率である。式(3)は、式(4)に簡単化される。
式(4)を式(2)に代入することにより、以下の式(5)が得られる。
Figure 2019042114
βは、上記の複数のパラメータに依存する係数である。式(5)から、PWVの2乗の対数が血圧Pに比例することわかる。
上記の近似は一例にすぎず、他の論文などに示されるように、様々な近似が存在する。ただし、PWVから血圧Pを得るためには、個人に依存するパラメータα、βを測定前に知る必要がある。
以下に、本開示の例示的な実施形態を説明する。
(実施形態1)
本実施形態における計測装置は、発光装置と、光検出器とを備える。発光装置は、5mm以上400mm以下のコヒーレンス長の光を出射する。光検出器は、発光装置から出射され、対象物によって反射された光を検出する。対象物は、例えば生体などの散乱体である。
図5は、コヒーレンス長が可変な発光装置20の構成例を模式的に示す図である。発光装置20は、レーザ光源2と、制御回路1とを有する。レーザ光源2は、1MHz以上100MHz以下の周波数幅の光を出射する。発光装置20は、制御回路1により50MHz以上500MHz以下の周波数でレーザ光源2を駆動することによって、5mm以上400mm以下のコヒーレンス長の光を出射する。制御回路1は、高周波駆動電源16を用いてレーザ光源2を駆動してもよい。レーザ光源2は、例えば、Distributed Feedback(DFB)レーザダイオードである。発光装置20から出射された光の一部は、散乱体4の表面から1mm以上の深さに侵入し、散乱体4の内部において散乱された後、散乱体4の表面から出射される。
図6は、レーザの光出力と駆動電流との一般的な関係を模式的に示す図である。駆動電流が発振閾値を超えると、レーザ光が出力される。図6の例では、高周波の駆動電流に対応した光出力が、時間的に変化して出射される。駆動電流の波形は正弦波である。当該波形は、矩形、三角波または鋸歯状波などでもよいし、それらを組み合わせた波形でもよい。
図7は、レーザ光源2に入力される駆動電流の時間変化を模式的に示す図である。高周波駆動電源16により、矩形電流の上限電流値Imaxおよび下限電流値Iminと、上限電流および下限電流のデューティー比とを設定することができる。例えば、100MHzの周波数およびデューティー比1:1の矩形電流によってレーザ光源2を駆動する場合、上限電流の駆動時間をtmax=5nsとし、下限電流の駆動時間をtmin=5nsとすればよい。そのとき、周期はT=tmax+tmin=10nsであり、周波数はf=1/T=100MHzである。
次に、駆動電流によるコヒーレンス長の調整の原理を説明する。
レーザ光源2から出力される光の電界は、例えば、E(t)=A(t)cos(2πft+θ)によって表される。A(t)(>0)は電界の振幅である。fは、一定の駆動電流によってレーザ光源2から出射される光の周波数である。レーザ光源2から出射される光出力は、A(t)の2乗に比例する。レーザ光源2から出射される光出力のスペクトルは、E(t)のフーリエ変換の絶対値の2乗に比例する。
A(t)が一定の場合、E(t)から得られる光出力のスペクトルは、f=fの周波数のみにおいてピークを有する。すなわち、光出力が一定の場合、レーザ光源2から出力される光の周波数幅はゼロである。実際には、一定の駆動電流であっても、レーザ光源2から出射される光は、狭い周波数幅を有する。
一方、A(t)が周期Tおよびデューティー比1:1の矩形波である場合を想定する。この場合、フーリエ級数展開により、A(t)=A+Acos(2πft+θ)+Acos(6πft+θ)+Acos(10πft+θ)+・・・と表される。A(t)は、2f、4fおよび6fなどのfの偶数倍の周波数成分を有さない。
例えば、cos(2πft+θ)cos(2πft+θ)=(1/2)[cos{2π(f+f)t+(θ+θ)}+cos{2π(f−f)t+(θ−θ)}]からわかるように、cos(2πft+θ)により、周波数f=fはf=f±fに変化する。
したがって、A(t)が上記の矩形波である場合、E(t)から得られる光出力のスペクトルは、f=f、f±f、f±3fおよびf±5fなどの周波数において複数のピークを有する。当該複数のピークは、f=fから離れるにつれ減少する。各ピークの頂点を滑らかに結ぶ曲線を描けば、光出力のスペクトルがf=fを中心として広がることがわかる。当該曲線から得られる半値全幅を周波数幅Δfとする。当該周波数幅Δfは、上記の矩形波の上限および下限の差が大きくなるにつれて増加する。
中心周波数fおよび周波数幅Δfは、それぞれ図27CにおけるλおよびΔλに対応する(λ=c/f、Δλ〜cΔf/f )。したがって、駆動電流によってレーザ光源2から出射される光出力を変調することにより、コヒーレンス長σ=λ /Δλを調整することができる。
図8は、図7の例に示す駆動電流によるコヒーレンス長σの変化の測定結果の例を示す図である。横軸は下限電流値Iminを示し、縦軸はコヒーレンス長σを示す。上限電流値はImax=150mAであり、デューティー比は1:1であり、周波数は100MHzである。レーザ光源2として、周波数幅が最大10MHzのDFBレーザダイオードが用いられる。図8の例では、下限電流値Iminが0mAから100mAまで変化すると、コヒーレンス長σは40mmから680mmまで幅広く変化する。
上記の光源の連続波発振でのコヒーレンス長σは150mであり非常に長い。当該光源に入力する駆動電流の上限電流値および下限電流値、周波数、およびデューティー比を制御することにより、5〜400mmのコヒーレンス長σをカバーすることができる。
図5の構成例では、散乱体4の内部の情報は、散乱光の光路長のばらつきとして表される。当該ばらつきを位相差のばらつきとして光検出器によって検出することができる。検出した位相差のばらつきを、事前に予想したシミュレーションと比較することにより、散乱光が当該シミュレーションと同様の動きをしたかがわかる。ただし、光源のコヒーレンス長は適切に設定した方がよい。コヒーレンス長が長すぎると、すべての光路長の位相情報が検出される。そのような位相情報は、所望の深さにおける位相情報を得る際にノイズ情報になる。一方、コヒーレンス長が短すぎると、当該コヒーレンス長さ以上の光路長における位相情報は得られなくなる。そのため、光源のコヒーレンス長を適切に調整することが望ましい。
具体的に位相差のばらつきを得る方法としては、図2Aの例に示す光検出器13によって検出された画像から位相差を算出し、当該位相差のばらつきを得る方法がある。なお、スペックルから位相差のばらつきを得る場合には、光検出器の代わりに、2次元的に配列された複数の受光セルを有する一般的なイメージセンサを用いてもよい。各受光セルは、受けた光の量に応じた信号を出力する。当該イメージセンサから出力された当該信号のコントラストから、位相差のばらつきを得ることができる。例えば、ある領域に含まれる複数の受光セルから出力された信号の標準偏差を、位相差のばらつきとしてもよい。
図9は、散乱体4の内部(図5参照)に吸収体が存在する場合における、コヒーレンス長と位相差のばらつきとの関係の測定結果を示す図である。位相差のばらつきは、画像のコントラストから算出した。散乱体の吸収係数および散乱係数は、それぞれ生体の吸収係数および散乱係数とほとんど同じである。コヒーレンス長を走査することにより、検出された位相差のばらつきが変化することがわかる。位相差のばらつきが0.001以上であれば、位相差のばらつきを得る際の誤差を無視することができる。この条件から、コヒーレンス長の最適範囲は5mm以上400mm以下であることが分かる。その他の実験からも、他の生体部分において、当該範囲のコヒーレンス長であれば測定可能であることが分かった。当該範囲は、従来言われている生体内部の測定に適したコヒーレンス長の範囲(0.1mm〜1mm)とは大きく異なる。なお、散乱体としての対象物は、生体に限らず、食品、またはコンクリートなどでもよい。食品の場合、食品中の異物などを検出することができ、建物の材質であるコンクリートの場合、当該コンクリートの劣化などを検査することができる。
コヒーレンス長が可変な発光装置20として、図5の例の他に、以下の構成を用いてもよい。
図10は、コヒーレンス長が可変な発光装置20の他の構成例を模式的に示す図である。
発光装置20は、レーザ光源2と、プリズム17または回折格子と、絞り18とを有する。レーザ光源2は、例えばFabry−Perot(FP)レーザダイオードであり、1mm以下のコヒーレンス長の光を出射する。発光装置20は、絞り18を用いて、レーザ光源2から出射され、プリズム17または回折格子によって空間的に分散された光の一部を通過させることにより、5mm以上400mm以下のコヒーレンス長の光を出射する。
図10の例では、レーザ光源2から出射した光のコヒーレンス長が、より長いコヒーレンス長に変換される。プリズム17の屈折率は周波数によって異なる。そのため、プリズム17に入射した光の屈折角は、各周波数によって異なる。その結果、プリズム17から出射した光は空間的に分散される。分散された当該光は、当該光の空間的な幅方向において、異なる周波数を有する。分散された当該光の一部を絞り18を用いて通過させると、レーザ光源2から出射された光が有する周波数幅の一部が得られる。すなわち、絞り18を通過した光の周波数幅は、レーザ光源2から出射された光の周波数幅よりも狭くなる。これにより、コヒーレンス長が長くなる。
図11は、コヒーレンス長が可変な発光装置20のさらに他の構成例を模式的に示す図である。
発光装置20は、レーザ光源2と、強度変調器19とを有する。レーザ光源2は、例えばDFBレーザダイオードであり、1m以上のコヒーレンス長の光を出射する。強度変調器19は、レーザ光源2から出射された光の強度を変調する。発光装置20は、強度変調器19を用いてレーザ光源2から出射された光の強度を1〜40GHzの周波数で変調することにより、5mm以上400mm以下のコヒーレンス長の光を出射する。
図11の例では、レーザ光源2から出射した光のコヒーレンス長が、より短いコヒーレンス長に変換される。レーザ光源2から出射した光は、狭い周波数幅を有する。出射した当該光の強度、すなわち光出力は、強度変調器19により、例えば一定(左下図)から矩形(右下図)へ変調される。その結果、変調された光の周波数幅は、レーザ光源2から出射された光の周波数幅よりも広くなる。これにより、コヒーレンス長が短くなる。図5の例では、レーザ光源2から直接変調された光が出射され、図11の例では、レーザ光源2から出射された光が強度変調器19により変調される。
(実施形態2)
図12は、本実施形態における血圧測定装置1000の構成例と、血圧測定装置1000を用いた血圧測定方法とを模式的に示す図である。
本実施形態における血圧測定装置1000は、被検部4における血圧を測定する装置であって、発光装置20aと、発光装置20bと、光検出器13と、不図示の記憶装置と、不図示の演算回路とを備える。
光検出器13は、発光装置20aから出射され、被検部4における位置Aから反射された反射光を検出し、当該反射光の量に応じた信号を出力する。同様に、光検出器13は、発光装置20bから出射され、被検部4における位置Bから反射された反射光を検出し、当該反射光の量に応じた信号を出力する。
記憶装置は、血圧の算出に必要なパラメータを格納する。
演算回路は、上記2つの信号の時間変化の比較から、位置Aおよび位置Bの間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出する。演算回路は、さらに、上記パラメータと、伝搬時間と、位置Aおよび位置Bの間の距離とを用いた演算により、被検部4における血圧を算出する。
上記2つの信号の各々は、反射光の位相差のばらつきを示す。
図12の例では、血圧測定装置1000はウェアラブル端末である。ウェアラブル端末を腕時計型とする場合は、被検部4として橈骨動脈を用いてもよいし、その他の動脈・静脈を用いてもよい。光検出器13またはイメージセンサのフレーム速度は、1000fps以上であればよく、2000fps以上あることが望ましい。また、グローバルシャッター機能が内蔵されている方が望ましい。本実施例では、光検出器13のフレーム速度は、2000fpsである。
図13は、図12の構成例の断面図である。2つの発光装置20a、20bの間隔は、23mmである。橈骨動脈は、表面から深さ4mmの場所に位置する。橈骨動脈の幅は2mmである。脈波の伝搬により、橈骨動脈は数%膨らむ。これにより、検出された光の位相差のばらつきが変化する。
コヒーレンス長が可変な2つの発光装置20a、20bと光検出器13とを備えたウェアラブル端末が腕に装着された場合を想定する。この場合、ウェアラブル端末の下面と腕の表面とは、直接接触しなくてもよい。
発光装置20aは、適切なコヒーレンス長の光を出射する。光検出器13は、光検出器13が有する受光面のうち発光装置20aに近い領域において、位置Aから反射された光を検出する。同様に、発光装置20bは、適切なコヒーレンス長の光を出射する。光検出器13は、光検出器13が有する受光面のうち発光装置20bに近い領域において、位置Bから反射された光を検出する。ここでは、10mmのコヒーレンス長が設定されている。
光検出器13によって得られた位相差のばらつきから脈波を測定することができる。脈波は、動脈が表面から深さが1mm以上の場所にあっても測定することができる。
図14は、脈波による位相差のばらつきの測定結果を示す図である。横軸は時間であり、縦軸は位相差のばらつきである。毎秒1回程度の脈波が来ることが分かる。脈波による位相差のばらつきは、例えば、2000fps以上、すなわち0.5m秒以下の間隔で測定される。以下、脈波による位相のばらつきを「脈波データ」と称することがある。
図15は、位置A(上図)と位置B(下図)とにおける脈波による位相差のばらつきを模式的に示す図である。比較を容易にするために、測定点(丸印)の間隔および脈波のずれは、実際よりも大きい。発光装置20aから光を出射し、位置Aからの反射光を検出するタイミングと、発光装置20bから光を出射し、位置Bからの反射光を検出するタイミングとは同じではない。そのため、2つの脈波の検出時間はずれている。これは、発光装置20aと発光装置20bとから同時に光を出射し、位置Aおよび位置Bからの反射光を同時に検出する場合、位置Aからの反射光と位置Bからの反射光とを区別することが難しいからである。
2つの発光装置20a、20bの間隔と、脈波が測定される位置A、位置Bの間隔との違いは、例えばFDTD等のシミュレーションにより計算できる。本実施形態では、位置Aおよび位置Bの間の直線距離は、20mm程度であった。
位置Aおよび位置Bにおいて、ほぼ同じ2つの脈波が得られる。位置Aおよび位置Bの間の直線距離は、10cm以下であればよい。当該2つの脈波は、脈波伝搬時間PWTTだけずれる。2位置間の距離を脈波伝搬時間PWTTで除算することにより、脈波伝搬速度PWVが算出される。
以下の式(6)は、脈波伝搬速度PWVの算出方法を表す。
Figure 2019042114
ただし、脈波伝搬速度から血圧を得るためには、血圧測定前に式(5)におけるパラメータα、βを知る必要がある。
次に、血圧測定装置1000の構成をより具体的に説明する。
図16は、血圧測定装置1000の構成例のブロック図である。
血圧測定装置1000は、画像取得部1100と、演算回路1200と、記憶装置1300と、表示装置1400とを備える。
画像取得部1100は、照明機能と撮像機能とを有する。
演算回路1200は、得られた画像群を記憶装置1300に転送し、記憶装置1300から血圧を演算する。記憶装置1300は、初期値のパラメータデータ131、位置Aの脈波データ132、位置Bの脈波データ133、および、画像データ134などを記憶する。表示装置1400は、血圧データを出力する。
画像取得部1100は、照明装置111と、画像取得部112とを有する。
照明装置111は、コヒーレンス長が固定された2つの発光装置20a、20bを含む。画像取得部112は、位相差のばらつきを検出する光検出器13またはイメージセンサを含む。
演算回路1200は、照明条件調整部121と、画像情報取得部122と、血管厚さ演算部123と、脈波データ比較部124と、入力インタフェース125と、パラメータ演算部126と、血圧値演算部127と、出力インタフェース128とを有する。
照明条件調整部121は、照明装置111のコヒーレンス長を制御してレーザを発振させる。画像情報取得部122は、光検出器13またはイメージセンサを制御して画像を取得し、画像データ134として記憶装置1300に保存する。血管厚さ演算部123は、画像データ134から血管の厚さの演算を行い、脈波データを記憶装置に保存する。血管の厚さは、検出した光の位相差のばらつきに依存する。血管の厚さが増大すれば、位相差のばらつきも増大し、血管の厚さが減少すれば、位相差のばらつきも減少する。脈波データ比較部124は、記憶装置1300の2つの位置の脈波データを比較して脈波伝搬時間を演算する。入力インタフェース125は、初期化時に血圧データを入力する。パラメータ演算部126は、入力された血圧と脈波伝搬時間からパラメータを演算して記憶装置1300のパラメータデータ131を保存する。血圧値演算部127は、脈波伝搬時間とパラメータデータ131とから血圧を演算して出力インタフェース128に出力する。出力インタフェース128は、データを表示装置1400に出力する。
記憶装置1300は、パラメータデータ131と、位置Aの脈波データ132と、位置Bの脈波データ133と、画像データ134とを有する。
パラメータデータ131は、血圧の算出に必要なパラメータを収める。位置Aの脈波データ132は、位置Aで測定された脈波データを収める。位置Bの脈波データは、位置Bで測定された脈波データを収める。画像データ134は、得られた画像を保存する。
表示装置1400は、出力された血圧値などを表示する。なお、表示装置1400は、血圧測定装置1000内部に配置される必要はなく、スマートフォンなどの外部表示機能を有してもよい。
次に、上記の実施形態における血圧測定装置1000の初期化および画像取得の動作を説明する。血圧測定装置1000における血圧測定方法は、初期化ステップと血圧測定ステップとに分けられる。
<初期化ステップ>
演算回路1200は、以下の初期化ステップを実行する。
図17は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の初期化ステップを示すフローチャートである。
初期化ステップでは、血圧測定に必要なパラメータα、βの初期化を実行するため、一方の腕に一般の血圧測定装置が装着され、他方の腕に本実施形態の血圧測定装置1000が装着される。
演算回路1200は、一般の血圧測定装置により血圧を測定する(ステップS101)。演算回路1200は、入力インタフェース125により、一般の血圧測定装置に表示される最高血圧を本実施形態の血圧測定装置1000に入力する(ステップS102)。演算回路1200は、最高血圧が入力された前後30秒間などの脈波伝搬速度を測定する(ステップS103)。脈波伝搬速度は、例えば測定値の中央値である。演算回路1200は、最高血圧が安定しているかどうかを判断する(ステップS104)。演算回路1200は、最高血圧が安定するまで、例えば一分間隔でステップS101〜ステップS103を繰り返す。ステップS101〜ステップS103の繰り返しにより、最高血圧と脈波伝搬速度との複数のペアが得られる。演算回路1200は、パラメータ演算部126により、最小2乗法を用いて当該複数のペアからパラメータα、βを算出する(ステップS105)。演算回路1200は、算出したパラメータα、βを記憶装置1300に格納する(ステップS106)。以上により、初期化が完了する。
以上をまとめると、演算回路1200は、血圧の測定前に、他の血圧測定装置によって得られた血圧と、脈波伝搬速度とを用いた演算により、パラメータα、βを算出する。脈波伝搬速度は、上述したように、位置Aおよび位置Bの間の距離を脈波伝搬時間で除算することにより得られる。
初期化ステップは、できるだけ活発な運動などによって被検者自身の出せる最高血圧を取得し、当該最高血圧が安定するまで実行することが望ましい。初期化ステップは定期的に行われることが望ましく、例えば、一ヶ月に一度などがよい。
<血圧測定ステップ>
演算回路1200は、以下の血圧測定ステップを実行する。
図18は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の血圧測定ステップを示すフローチャートである。
演算回路1200は血圧測定を指示する(ステップS201)。演算回路1200は、照明条件調整部121により、所定のコヒーレンス長の光を発振するように発光装置20a、20bを調整し、発光装置20a、20bにレーザ発振させる(ステップS202)。演算回路1200は、画像情報取得部122により、戻ってきた散乱光の画像を取得し、取得した当該画像を記憶装置1300に格納する(ステップS203)。演算回路1200は、血管厚さ演算部123により、位置Aおよび位置Bにおける2つの脈波データを算出し、算出した当該2つの脈波データを記憶装置1300に格納する(ステップS204)。演算回路1200は、脈波データ比較部124により、当該2つの脈波データを比較する(ステップS205)。演算回路1200は、血圧値演算部127により、血圧を算出および出力する(ステップS206)。
血圧測定ステップは、本実施形態の血圧測定装置1000を装着している限り、任意のタイミングで測定することができる。本実施形態の血圧測定装置1000を常時装着していれば、常時血圧測定を行うことができる。
(変形例1)
次に、変形例として、コヒーレンス長の初期化を説明する。以下に、上記の構成と異なる点に言及する。
図19は、血圧測定装置1000の他の構成例のブロック図である。図16のブロック図と異なる点を説明する。
画像取得部1100において、照明装置111は、コヒーレンス長が可変な2つの発光装置20a、20bを含む。演算回路1200は、照明条件調整部121により、照明装置111のコヒーレンス長を調整してレーザを発振させる。演算回路1200は、照明条件調整部121と脈波データ比較部124との間でデータをやり取りすることにより、最適のコヒーレンス長を決定する。
血圧測定に適切なコヒーレンス長を調整することにより、図14の例に示す位相差のばらつきを精度よく測定することができる。そのため、コヒーレンス長の初期化が望ましい。
コヒーレンス長の初期化ステップは、測定条件を考慮して血圧測定を最適化するためのステップである。当該測定条件は、個人による皮膚および血管の厚さなどの違い、ならびに、本実施形態の血圧測定装置1000の装着状態などに依存する。
演算回路1200は、コヒーレンス長を走査して最適なコヒーレンス長を設定する。脈波データの最小と最大の差を脈波ピークとする。演算回路1200は、当該脈波ピークが最大になることように、コヒーレンス長を調整する。
次に、初期化ステップおよび血圧測定ステップを説明する。
<初期化ステップ>
演算回路1200は、図17の例に示す初期化ステップの他に、以下のコヒーレンス長の初期化ステップを実行する。
図20は、血圧測定装置1000における血圧測定方法のコヒーレンス長の初期化ステップを示すフローチャートである。
演算回路1200は、照明条件調整部121により、2つの発光装置20a、20bの少なくとも一方のコヒーレンス長をL=5mmに設定し、位置Aおよび位置Bの少なくとも一方の脈波データを測定し、コヒーレンス長をL=L+ΔLとする(ステップS301)。ΔLは走査ステップであり、任意に設定することができる。ここでは、ΔL=5mmとする。演算回路1200は、コヒーレンス長をL(=10mm)に設定し、脈波データを測定する(ステップS302)。演算回路1200は、LおよびLの2つの脈波ピークを比較し、Lの脈波ピークがLの脈波ピークよりも低いかどうかを判断する(ステップS303)。演算回路1200は、Lの脈波ピークがLの脈波ピークより高ければ、LをLに、LをL+ΔLに更新する(ステップS304)。その後、演算回路1200は、ステップS302およびS303を実行する。演算回路1200は、Lの脈波ピークがLの脈波ピークよりも低くなるまで、ステップS304、S302およびS303を繰り返す。演算回路1200は、Lの脈波ピークがLの脈波ピークよりも低いとき、脈波データ比較部124により、Lを最適なコヒーレンス長として算出する(ステップS305)。演算回路1200は、パラメータデータ131として最適なコヒーレンス長を記憶装置1300に格納する(ステップS306)。
以上をまとめると、演算回路1200は、血圧の測定前に発光装置20a、20bの少なくとも一方が出射する光のコヒーレンス長を順次変化させ、位置Aおよび位置Bの脈波データの少なくとも一方の時間変化のピークが最大になるコヒーレンス長の光を決定する。その後、演算回路1200は、血圧を測定する際、決定したコヒーレンス長の光を2つの発光装置20a、20bに出射させる。
<血圧測定ステップ>
演算回路1200は、図18の例に示す血圧測定ステップを実行する。
(変形例2)
次に、変形例として、2つの脈波の検出時間のずれを説明する。以下に、上記の構成と異なる点に言及する。
2つの脈波の検出時間のずれを調整することにより、脈波伝搬時間を精度よく得ることができる。その結果、血圧の測定精度は改善される。
図21は、血圧測定装置1000の下面を模式的に示した図である。図21の例におけるC−Cは、図13におけるC−Cに対応している。図21の例において、光検出器13は、2つの発光装置20a、20bの中間に配置され、脈波による位相差のばらつきを測定する。光検出器13の受光面は、2つの領域13a、13bに分割される。光検出器13は、2つの領域13a、13bの各々に入射する光を、グローバルシャッターを用いて時間を分割して検出する。2つの領域13a、13bの各々におけるフレーム速度は、1000fps程度以上が望ましい。本実施例では、フレーム速度は1000fpsである。
2つの領域13a、13bの各々に入射する光を同じタイミングで検出すると仮定すると、位置Aと位置Bとにおいて、2つの脈波データは異なる。そのため、脈波伝搬時間を算出する場合、2つの脈波データがどの程度一致するかを調べる必要がある。例えば、一方の脈波データの時間をずらして、各データ点における2つの脈波データの誤差の合計が最小になる時間を探す方法、または、2つの脈波データの相関関数が最大になる時間を探す方法などがある。しかし、そのような方法の分解能はデータ点の間隔に依存する。分解能を上げるには高速なフレーム速度が必要である。しかし、そのような高精度な測定は一般に難しい。
そこで、2つの領域13a、13bの各々に入射する光の検出時間のずれを調整すればよい。検出時間のずれを調整することにより、2つの位置で測定された脈波データを精度よく一致させることができる。
図22は、位置Bにおいて測定された脈波による位相差のばらつき(図14の下図)を脈波伝搬時間だけシフトして、位置Aにおいて測定された脈波による位相差のばらつき(図14の上図)に一致させたことを模式的に示す図である。2つの脈波データを一致させることにより、当該2つの脈波データの両出力値の時間差が得られる。
図23は、光検出器13における検出時間のずれの調整方法を示す図である。図23の上図に示すように、脈波データが一致する場合の両出力値の時間差は、検出時間のずれから脈波伝搬時間を減算することによって表される。検出時間のずれを調整することにより、両出力の時間差をゼロにすることができる。図23の下図に示すように、検出時間のずれが脈波伝搬時間と一致すれば、精度よく脈波伝搬時間を測定することができる。
さらに、図22における円で囲まれた領域に示すように、脈波のピークを測定するときのみ1000fps、すなわち1m秒の間隔で測定することにより、光検出器の稼働時間を減らすことができる。これにより、低消費化することができる。低消費化は、ウェアラブル端末などのモバイル機器において重要な要素である。
次に、初期化ステップおよび血圧測定ステップを説明する。
<初期化ステップ>
演算回路1200は、図17の例における初期ステップ、または、図17および20の例における初期化ステップを実行する。
<血圧測定ステップ>
演算回路1200は、以下の血圧測定ステップを実行する。
図24は、血圧測定装置1000における血圧測定方法の血圧測定ステップを示す他のフローチャートである。
演算回路1200は血圧測定を指示する(ステップS401)。演算回路1200は、照明条件調整部121により、脈波データ比較部124によって定められたコヒーレンス長の光を発振するように発光装置20a、20bを調整し、発光装置20a、20bにレーザ発振させる(ステップS402)。演算回路1200は、画像情報取得部122により、戻ってきた2つの散乱光の画像を、与えられた検出時間のずれで取得し、取得した当該画像を記憶装置1300に格納する(ステップS403)。演算回路1200は、血管厚さ演算部123により、位置Aおよび位置Bにおける2つの脈波データを算出し、算出した当該2つの脈波データを記憶装置1300に格納する(ステップS404)。演算回路1200は、脈波データ比較部124により、当該2つの脈波データを一致させて比較する(ステップS405)。演算回路1200は、当該2つの脈波データの出力値が一致するかを判断する(ステップS406)。演算回路1200は、当該出力値が一致しなければ、検出時間のずれを変化させる(ステップS407)。演算回路1200は、当該出力値が一致するまで、ステップS407およびS403〜406を繰り返す。演算回路1200は、当該出力値が一致した場合の検出時間のずれを脈波伝搬時間として、血圧値演算部127により、血圧を算出および出力する(ステップS406)。
以上をまとめると、演算回路1200は、光検出器13における位置Aからの反射光と位置Bからの反射光との検出時間のずれを順次変化させることにより、位置Aの脈波データの時間変化と、位置Bの脈波データの時間変化とが一致する検出時間のずれを決定する。演算回路1200は、決定した検出時間のずれを脈波伝搬時間とする。
血圧測定ステップは、本実施形態の血圧測定装置1000を装着している限り、任意のタイミングで測定することができる。本実施形態の血圧測定装置1000を常時装着していれば、常時血圧測定を行うことができる。なお、初期状態では、与えられた検出時間のずれは0m秒でもよいし、前回の測定におけるずれでもよい。
本開示は、演算回路1200が実行する動作を規定するコンピュータプログラムも含む。そのようなコンピュータプログラムは、血圧測定装置1000内のメモリなどの記録媒体に格納され、演算回路1200に前述の動作を実行させる。
簡便に常時血圧測定を行うことができ、心筋および脳梗塞などの予防や高血圧などを測定することができる。
100 光検出システム
1 制御回路
2 光源
3 出射光
4 被写体、被検部
5、5a、5A 散乱光
7 集光レンズ
8a 実質的な物体(物点の集まり)
8b 像面位置の像
9 遮光膜
9a 開口、透光領域
9A 遮光領域
10 光検出層
10a、10A 受光セル
11a、11A マイクロレンズ
13 光検出器
13a、13b 領域
14 信号処理回路
16 高周波駆動電源
17 プリズム
18 絞り
19 強度変調器
20、20a、20b 発光装置
1000 血圧測定装置
1100 画像取得部
1200 演算回路
1300 記憶装置
1400 表示装置

Claims (10)

  1. 被検部における血圧を測定する血圧測定装置であって、
    第1の発光装置と、
    第2の発光装置と、
    前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、
    血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、
    演算回路と、
    を備え、
    前記演算回路は、
    前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出し、
    前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記被検部における血圧を算出する、
    血圧測定装置。
  2. 前記第1の信号は、前記第1の反射光の位相差のばらつきを示し、
    前記第2の信号は、前記第2の反射光の位相差のばらつきを示す、
    請求項1に記載の血圧測定装置。
  3. 前記演算回路は、血圧の測定前に、前記パラメータと、前記第1および第2の発光装置が出射する光のコヒーレンス長との少なくとも1つを決定する、
    請求項1または2に記載の血圧測定装置。
  4. 前記演算回路は、前記血圧の測定前に、
    他の血圧測定装置によって得られた血圧と、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により、前記パラメータを算出する、
    請求項1から3のいずれかに記載の血圧測定装置。
  5. 前記演算回路は、前記血圧の測定前に
    前記第1および第2の発光装置の少なくとも一方が出射する光のコヒーレンス長を順次変化させ、
    前記第1および第2の信号の少なくとも一方の時間変化のピークが最大になるコヒーレンス長の光を決定し、
    前記血圧を測定する際、決定した前記コヒーレンス長の光を前記第1および第2の発光装置に出射させる、
    請求項1から4のいずれかに記載の血圧測定装置。
  6. 前記演算回路は、
    前記光検出器における前記第1の反射光と前記第2の反射光との検出時間のずれを順次変化させることにより、
    前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化とが一致する前記検出時間のずれを決定し、
    決定した前記検出時間のずれを前記伝搬時間とする、
    請求項1から5のいずれかに記載の血圧測定装置。
  7. 前記光検出器は、
    複数の透光領域および複数の遮光領域が少なくとも第1の方向に交互に配置されている遮光膜と、
    前記遮光膜に対向して配置され、撮像面に配列された複数の第1の受光セルおよび複数の第2の受光セルを有する受光素子であって、前記複数の第1の受光セルの各々は、前記複数の透光領域の1つに対向し、前記複数の第2の受光セルの各々は、前記複数の遮光領域の1つに対向する、受光素子と、
    前記遮光膜および前記受光素子の間に配置された光結合層であって、前記複数の透光領域に所定の波長の光が入射したときに、前記光の一部を前記第1の方向に伝搬させるグレーティングを含み、前記複数の透光領域に入射した光の他の一部を透過させる光結合層と、
    前記複数の第1の受光セルから得られた信号と、前記複数の第2の受光セルから得られた信号とを用いた演算により、各第1および第2の受光セルの位置に入射した光の位相差のばらつきを示す信号を出力する信号処理回路と、
    を有する、
    請求項1から6のいずれかに記載の血圧測定装置。
  8. 前記第1および第2の位置の間の直線距離は、10cm以下である、
    請求項1から7のいずれかに記載の血圧測定装置。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の血圧測定装置を備える、
    ウェアラブル端末。
  10. 被検部の血圧を測定する血圧測定装置に用いられるプログラムであって、
    前記血圧測定装置は、
    第1の発光装置と、
    第2の発光装置と、
    前記第1の発光装置から出射され、前記被検部における第1の位置から反射された第1の反射光と、前記第2の発光装置から出射され、前記被検部における第2の位置から反射された第2の反射光とをそれぞれ検出し、前記第1の反射光の光量に応じた第1の信号と、前記第2の反射光の光量に応じた第2の信号とをそれぞれ出力する光検出器と、
    血圧の算出に必要なパラメータを格納する記憶装置と、
    演算回路と、
    を備え、
    前記プログラムは、前記演算回路に、
    前記第1の信号の時間変化と、前記第2の信号の時間変化との比較から、前記第1および第2の位置の間を伝搬する脈波の伝搬時間を算出させ、
    前記パラメータと、前記伝搬時間と、前記第1および第2の位置の間の距離とを用いた演算により前記被検部における血圧を算出させる、
    プログラム。
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