JP2018096522A - コンロッドのブシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブシュを提供する。
【解決手段】コンロッドのブシュ40は、内周部41に潤滑油を導くために第1及び第2の位置45a,45bにそれぞれ設けられた第1及び第2の導入部47a,47bを備え、内側面43のピストンピン30の軸方向に直交する断面は略長円形状を有し、その内周部の第1の内径より、該第1の内径に略直交する方向に沿う第2の内径の方が大きい。ピストンピン30の位置が第1/第2の方向d1,d2に偏っているときに、第1/第2の位置45a,45bにおいて生じる内側面43とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
【選択図】図3
【解決手段】コンロッドのブシュ40は、内周部41に潤滑油を導くために第1及び第2の位置45a,45bにそれぞれ設けられた第1及び第2の導入部47a,47bを備え、内側面43のピストンピン30の軸方向に直交する断面は略長円形状を有し、その内周部の第1の内径より、該第1の内径に略直交する方向に沿う第2の内径の方が大きい。ピストンピン30の位置が第1/第2の方向d1,d2に偏っているときに、第1/第2の位置45a,45bにおいて生じる内側面43とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
【選択図】図3
Description
本発明は、コンロッドのブシュに関する。
従来、車両等の内燃機関において、ピストンの挿入孔及びコンロッドの小端孔の双方にピストンピンが摺動可能に挿入され、これによりピストンがコンロッドの小端部に揺動自在に連結された構造が知られている。具体的には、コンロッドの小端孔の内周に沿って設けられたブシュにピストンピンが挿入されている。このような構造では、ピストンピンとブシュとの間の摺動面の焼付きを防止するために、コンロッドの大端部と小端部とを連通して設けられた導油孔を介して小端孔内に潤滑油を供給して油膜を形成することが図られる。例えば、特許文献1に記載されたコンロッドでは、コンロッドの内周に沿って設けられたブシュの内面に多数の油溝が設けられており、潤滑油の導入が図られている。
近年、エンジンの燃費を向上するために、エンジンの筒内圧を高圧化したり、回転を低速化することが求められている。エンジンを筒内圧を高めた場合、ピストンピンを押し下げる力が大きくなることから、コンロッドの小端孔の内周に沿って設けられたブシュの内周面に対するピストンピンの圧力が高まり、ブシュにおけるピストンピンとの摺動面に潤滑油が導かれ難くなり、摺動面の油膜が切れて焼付きが発生するおそれがあった。また、エンジンでは、ピストンの慣性により発生するピストンピンとブシュとのクリアランスに潤滑油を導いていたが、エンジンの回転を低速化することにより、そのクリアランスが発生し難くなっていた。従って、小端孔内に潤滑油を供給するための導油孔が設けられていても、ブシュ内側面においてピストンピンの荷重が作用する主荷重部には潤滑油が供給されにくく、潤滑膜の交換が実現され難いので、焼付きが発生しやすかった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブシュを提供することを目的とする。
本発明に係るブシュは、コンロッドの小端孔の内周面に沿って設けられ、ピストンピンが摺動可能に挿入されるブシュであって、ピストンピンが収容される内周部と、内周部に潤滑油を導くために内周部における第1の位置及び第2の位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の導入部と、を備え、内周部における内側面のピストンピンの軸方向に直交する断面は略長円形状を有し、コンロッドの大端部から小端部に至る方向に略平行な方向に沿う、内周部の第1の内径より、該第1の内径に略直交する方向に沿う第2の内径の方が大きく、内周部においてピストンピンの位置が第1の方向に偏っているときに、第1の位置において生じる内側面とピストンピンとの間のクリアランスは、内周部の一定範囲を占める主荷重部における内側面とピストンピンとの間のクリアランスより大きく、内周部においてピストンピンの位置が第1の方向の逆の方向である第2の方向に偏っているときに、第2の位置において生じる内側面とピストンピンとの間のクリアランスは、主荷重部における内側面とピストンピンとの間のクリアランスより大きく、主荷重部は、内周部の一部であって、下降行程のピストンの動作に基づくピストンピンによる荷重が作用する領域を少なくとも含む。
このブシュでは、内側面の断面が略長円形状を有するので、挿入されたピストンピンの位置が、スラスト及び反スラスト方向に対応する第1及び第2の方向に偏り得る。これにより、ピストンピンの位置がブシュ内周部において第1の方向に偏っているときに、ピストンピンからみて第1の方向と略逆方向側において、内側面とピストンピンとの間に、主荷重部における内側面とピストンピンとの間のクリアランスより大きいクリアランスが生じる。本発明のブシュでは、このクリアランスが生じる位置に第1の導入部が設けられているので、ピストンピンが第1の方向に偏った位置にあるときに、第1の導入部を介してブシュの内周部に生じたクリアランスに潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部に供給される。また、ピストンピンの位置がブシュ内周部において第2の方向に偏っているときに、ピストンピンからみて第2の方向と略逆方向側において、内側面とピストンピンとの間に、主荷重部における内側面とピストンピンとの間のクリアランスより大きいクリアランスが生じる。そして、このクリアランスが生じる位置に第2の導入部が設けられているので、ピストンピンが第2の方向に偏った位置にあるときに、第2の導入部を介してブシュの内周部に生じたクリアランスに潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部に供給される。従って、ピストンピンの位置が、第1及び第2の方向のそれぞれに偏っているときに、第1及び第2の導入部のそれぞれから、ブシュの内周部に潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部に供給されるので、コンロッドのブシュとピストンピンとの焼付きの発生が防止される。
また、本発明に係るブシュでは、第1の位置及び第2の位置は、内周部の内側面における、コンロッドの大端部側に位置することとしてもよい。
このブシュによれば、コンロッドの大端部から小端部に至って設けられた導油孔を介して供給される潤滑油を、第1の導入部及び第2の導入部に容易に供給することができる。
また、本発明に係るブシュでは、第1の内径は、内周部における内側面の断面形状における短径であり、第2の内径は、内周部における内側面の断面形状における長径であることとしてもよい。
このブシュによれば、内側面の断面の長円形状における短径がコンロッドの大端部から小端部に至る方向に沿うこととなり、長径がシリンダ内におけるピストンの往復運動に起因したスラストの方向及び反スラストの方向に沿うこととなる。これにより、スラスト方向及び反スラスト方向が長径に沿うこととなるので、ピストンピンの位置が第1及び第2の方向のそれぞれに偏ったときに、第1の位置及び第2の位置において、ブシュの内側面とピストンピンとの間のクリアランスが生じやすくなる。従って、第1の導入部及び第2の導入部から、ブシュの内周部に効果的に潤滑油を導入できる。
また、本発明に係るブシュでは、第1及び第2の導入部は、コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を小端孔内に導くために設けられた第1及び第2の導油孔のそれぞれと連通している孔であることとしてもよい。
このブシュによれば、第1及び第2の導入部が、第1及び第2の導入孔とそれぞれ連通する孔として構成されているので、導入孔から供給される潤滑油を、ブシュの内周部に容易に導入することができる。
また、本発明に係るブシュでは、コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を小端孔内に導くために設けられた1つの連通孔と連通しており、内周部の内側面に該内側面の周方向に沿う部分を含み、両端部のそれぞれが主荷重部から離れる方向に延びて設けられた導油溝をさらに備え、第1及び第2の導入部は、導油溝の両端部のそれぞれである。
このブシュによれば、1つの導油孔から供給された潤滑油を、ブシュの内側面の周方向に沿って主荷重部から離れるように、その両端部まで供給するための導油溝が設けられている。そして、この両端部が第1及び第2の導入部を構成するので、コンロッドに2つの導油孔を設けるような加工を要することなく、第1及び第2の導入部から、ブシュの内周部に潤滑油を供給できる。
本発明によれば、筒内圧が高められたエンジンであっても、コンロッドのブシュとピストンピンとの焼付きの発生を抑制可能なブシュを提供できる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本明細書において、「上」、「下」等の方向は、図面に示す状態に基づく便宜的なものである。
図1は、実施形態に係るブシュが備えられるエンジンの一部を示す断面図である。具体的には、図1は、ピストン、コンロッド及びピストンピンを含む潤滑構造1を示す断面図である。図2は、コンロッドを示す図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。図1に示す潤滑構造1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関に備えられる。潤滑構造1は、ピストン10と、コンロッド20と、ピストンピン30と、を備えている。
ピストン10は、内燃機関のシリンダ内を往復動する部材である。ピストン10は、金属製であり、例えばアルミニウム合金により形成されている。ピストン10は、例えば略円柱状の外形を呈している。ピストン10は、頂部側に位置するヘッド部12と、ヘッド部12から下方側に突設されたピンボス部14と、を少なくとも有している。
ヘッド部12の頂面には、燃焼室の底面を構成するキャビティ16が形成されている。ピンボス部14は、互いに対向するように一対設けられている。これらピンボス部14のそれぞれには、断面が円形状の挿入孔18が貫通形成されている。挿入孔18には、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。ヘッド部12の下方側における、一対のピンボス部14の間には、上方へ窪むコンロッド収容凹部19が形成されている。このコンロッド収容凹部19には、コンロッド20の小端部22が収容されている。
コンロッド20は、ピストン10とクランク軸(図示せず)とを連結し、ピストン10の往復運動をクランク軸の回転運動へと変換する部材である。コンロッド20は、金属製であり、例えば鉄鋼により形成されている。コンロッド20は、例えば棒状を呈している。コンロッド20は、一端側に形成された小端部22と、他端側に形成された大端部(図示せず)と、を有している。小端部22は、先細り形状を呈している。小端部22には、挿入孔18の延在方向(ピストンピン30の軸方向PD)に延びる断面が円形状の小端孔24が形成されている。この小端孔24に、ピストンピン30が摺動可能に挿入されている。大端部には、大端孔が形成されており、この大端孔に前記クランク軸が連結されている。なお、図1においては示していないが、小端孔24の内周面に沿ってブシュが設けられており、ピストンピン30は、そのブシュに摺動可能に挿入されている。
ピストンピン30は、ピストン10とコンロッド20の小端部22とを揺動自在に連結する部材である。ピストンピン30は、金属製であり、例えばクロムモリブデン鋼により形成されている。ピストンピン30は、円形の外周面を有する棒状を呈しており、ここでは中空の筒状に形成されている。なお、ピストンピン30は、中実の円柱状に形成されてもよい。ピストンピン30の両端部は、ピストン10の挿入孔18に摺動可能に挿入されている。また、ピストンピン30の中央部は、コンロッド20の小端孔24に摺動可能に挿入されている。すなわち、ピストンピン30は、挿入孔18及び小端孔24内において、軸周りに回転可能とされている。ピストンピン30の軸方向PDは、挿入孔18の延在方向及び小端孔24の延在方向の双方と一致している。図1に示すように、ピストンピン30の外径は、挿入孔18及び小端孔24の内径よりも僅かに小さく設定されている。このため、ピストンピン30と挿入孔18との間、及びピストンピン30と小端孔24との間には、僅かな隙間(クリアランス)が存在する。
本実施形態では、図2に示すように、コンロッド20は、ブシュ40(図1においては図示せず)を有している。ブシュ40は、ピストンピン30との間に介在して、ピストンピン30を摺動可能に収容するための部材であって、中空の筒状に形成され外周面が小端孔24の内側面に沿うように設けられている。ブシュ40の内側面は、ピストンピン30との摺動面を構成する。ブシュ40は、金属製であり、例えば銅を基材とする合金により形成されている。コンロッド20の大端部側から供給される潤滑油は、第1の導油孔28a及び第2の導油孔28b並びにブシュ40の第1の導入部及び第2の導入部(後に説明する)を通り、小端孔24内に供給される。なお、図示の便宜上、図2(a)では、ブシュ40の内周部における内側面の断面形状は略円形状で示されているが、実際には、図3に示すように、略長円形状を有するものとする。
図3は、ピストンピン30の軸方向からみたブシュ40及びピストンピン30の概略断面図である。図3(a)及び(b)に示すように、ピストンピン30は、ブシュ40の内周部41に収容されており、内周部41における内側面43のピストンピン30の軸方向に直交する断面は、略長円形状を有している。また、コンロッド20の大端部から小端部に至る方向に略平行な方向に沿う、内周部41の第1の内径r1より、第1の内径r1に略直交する方向に沿う第2の内径r2の方が大きい。即ち、第1の内径r1は、内周部41における内側面43の断面形状における短径を構成し、第2の内径r2は、内周部41における内側面43の断面形状における長径を構成する。
ブシュ40は、内周部41に潤滑油を導くための第1の導入部47a及び第2の導入部47bを備える。第1の導入部47a及び第2の導入部47bはそれぞれ、内周部41における第1の位置45a及び第2の位置45bに設けられている。
図3に示す例では、第1の導入部47a及び第2の導入部47bは、第1の導油孔28a及び第2の導油孔28bのそれぞれと連通している孔である。また、第1の導入部47a及び第2の導入部47bがそれぞれ設けられている第1の位置45a及び第2の位置45bは、内周部41の内側面43における、コンロッド20の大端部側に位置している。このように第1の位置45a及び第2の位置45bが位置することにより、コンロッド20の大端部から小端部に至って設けられた第1及び第2の導油孔28a,28bを介して供給される潤滑油を、第1の導入部47a及び第2の導入部47bに容易に供給することができる。
なお、図3に示す例では、第1の位置45a及び第2の位置45bが、内周部41の内側面43における、コンロッド20の大端部側に位置していることとしているが、それとは逆に、第1の位置45a及び第2の位置45bのいずれか一方または両方が、内周部41の内側面43における、コンロッド20の大端部側の反対側(図示上方向側)に位置していることとしてもよい。
また、ブシュ40の内周部41には、主荷重部Lが存在する。主荷重部Lは、内周部41の一部であって、下降行程のピストン10の動作に基づくピストンピン30による荷重が作用する領域を少なくとも含む。
図3(a)は、ピストンピン30がブシュ40の内周部41において、図示左方向(第1の方向d1)に偏っている状態を示す。図3(b)は、ピストンピン30がブシュ40の内周部41において、図示右方向(第2の方向d2)に偏っている状態を示す。ピストン10がシリンダ内を往復運動するに際して、ピストン10の側面がシリンダの内壁を押す力を一般的にスラストという。エンジンの動作行程における上死点直後のスラストが作用する方向は、スラスト方向またはスラスト側とされる。また、スラスト方向の逆方向は、反スラスト方向または反スラスト側とされる。第1の方向及び第2の方向は、スラスト方向及び反スラスト方向に対応する。
第1の内径r1が、ピストンピン30の上下方向に微小なクリアランスを発生させる程度の、ピストンピン30の直径より僅かに長く構成されているのに対して、第2の内径r2は、第1の内径r1より大きいので、ピストンピン30の左右方向には上下方向よりも大きいクリアランスが生じうる。この左右方向のクリアランスにより、ピストンピン30は、ピストン10のシリンダ内における往復運動に起因して、ブシュ40の内周部41において、スラスト方向及び反スラスト方向に移動する。
図3に示す例では、第2の内径r2が、ブシュ40Aの内側面43の断面の略長円形状における長径に対応するので、ピストンピン30の位置は、ブシュ40の内周部41において、第2の内径r2に沿う2方向のうちの一方及び他方のそれぞれの方向に偏ることができる。従って、第2の内径r2に沿って第1の方向d1がとられ、第2の内径r2に沿う方向であって第1の方向d1の逆の方向に第2の方向d2が取られている。
図3(a)に示すように、ブシュ40の内周部41においてピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに、第1の方向d1と略逆方向側である図示右方向に、クリアランスが生じる。第1の位置45aは、ピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに大きくなるクリアランスに面する位置に存在する。主荷重部Lは、ブシュ40の内周部41における図示下方向、即ちコンロッド20の大端部方向に存在するので、ピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに、第1の位置45aにおいて生じる内側面43とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
これにより、本実施形態のブシュ40では、第1の方向d1と略逆方向側においてクリアランスが生じる位置に第1の導入部47aが設けられているので、ピストンピン30が第1の方向d1に偏った位置にあるときに、第1の導油孔28aからの潤滑油が第1の導入部47aを介してブシュ40の内周部41に生じたクリアランスに供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給される。
また、図3(b)に示すように、ブシュ40の内周部41においてピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに、第2の方向d2と略逆方向側である図示左方向に、クリアランスが生じる。第2の位置45bは、ピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに大きくなるクリアランスに面する位置に存在する。主荷重部Lは、ブシュ40の内周部41における図示下方向、即ちコンロッド20の大端部方向に存在するので、ピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに、第2の位置45bにおいて生じる内側面43とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
これにより、本実施形態のブシュ40では、第2の方向d2と略逆方向側においてクリアランスが生じる位置に第2の導入部47bが設けられているので、ピストンピン30が第2の方向d2に偏った位置にあるときに、第2の導油孔28bからの潤滑油が第2の導入部47bを介してブシュ40の内周部41に生じたクリアランスに供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給される。
このように、本実施形態のブシュ40では、ピストンピンの位置が、第1の方向d1及び第2の方向d2のそれぞれに偏っているときに、第1の導入部47a及び第2の導入部47bのそれぞれから、ブシュ40の内周部41に潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が内側面43に沿って流れることにより主荷重部Lに供給されるので、コンロッド20のブシュ40とピストンピン30との焼付きの発生が防止される。
また、第1の内径r1及び第2の内径r2が内側面43の断面形状における短径及び長径を構成するので、内側面43の断面の長円形状における短径がコンロッド20の大端部から小端部に至る方向に沿うこととなり、長径がシリンダ内におけるピストンの往復運動に起因したスラストの方向及び反スラストの方向に沿うこととなる。これにより、スラスト方向及び反スラスト方向が長径に沿うこととなるので、ピストンピン30の位置が第1及び第2の方向d1,d2のそれぞれに偏ったときに、第1の位置45a及び第2の位置45bにおいて、ブシュ40の内側面43とピストンピン30との間のクリアランスが生じやすくなる。従って、第1の導入部47a及び第2の導入部47bから、ブシュ40の内周部41に効果的に潤滑油を導入できる。
図4は、本実施形態のブシュ及び当該ブシュを有するコンロッドの第2の例を示す側面図である。図4に示すコンロッド20Aは、コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を小端孔内に導くために一つの導油孔28cを有する点において、第1の導油孔28a及び第2の導油孔28bを含む2つの導油孔を有する図2(a)に示すコンロッド20と異なっている。なお、図示の便宜上、図4では、ブシュ40Aの内周部における内側面の断面形状は略円形状で示されているが、実際には、図3に示すブシュ40と同様に、略長円形状を有するものとする。
図5は、ブシュ40Aの内側面の一部を示す展開図である。図5に示すように、ブシュ40Aは、ピストンピン30との摺動面に周方向に沿う部分を含んで設けられた導油溝48と、連通孔46とを備えている。連通孔46は、導油溝48及び導油孔28cと連通している。従って、コンロッド20Aの大端部側から導油孔28cを通って供給された潤滑油は、連通孔46を介して、導油溝48に供給される。
導油溝48は、ブシュ40Aの内周部の内側面において、その内側面の周方向に沿う部分を含み、第1及び第2の端部48a,48bのそれぞれが主荷重部Lから離れる方向に延びるように設けられている。導油溝48は、例えば断面が矩形状を呈しており、1〜10mmのいわゆるミリメートルオーダーの幅及びミリメートルオーダーの深さを有する。
図4及び図5に示す例では、導油溝48の第1及び第2の端部48a,48bのそれぞれにより、ブシュ40Aの内周部に潤滑油を導くために第1の位置45a及び第2の位置45bにそれぞれ設けられた第1及び第2の導入部が構成される。連通孔46を介して導油溝48に供給された潤滑油は、第1及び第2の端部48a,48bのそれぞれに流れ至る。
即ち、図3(a)を参照して説明したように、ブシュ40Aの内周部においてピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに、第1の方向d1と略逆方向側である図示右方向において、ブシュ40Aの内側面とピストンピン30との間にクリアランスが生じる。そして、第1の端部48aは、ピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに大きくなるクリアランスに面する位置に存在することとなる。
主荷重部Lは、コンロッド20の大端部方向に存在するので、ピストンピン30の位置が第1の方向d1に偏っているときに、第1の端部48aの位置において生じるブシュ40Aの内側面とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおけるブシュ40Aの内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
これにより、この実施形態のブシュ40Aでは、第1の方向d1と略逆方向側においてクリアランスが生じる位置に第1の端部48aが設けられているので、ピストンピン30が第1の方向d1に偏った位置にあるときに、導油孔28cからの潤滑油が連通孔46、導油溝48及び第1の端部48aを介してブシュ40Aの内周部に生じたクリアランスに供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給されることとなる。
また、図3(b)を参照して説明したように、ブシュ40Aの内周部においてピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに、第2の方向d2と略逆方向側である図示右方向において、ブシュ40Aの内側面とピストンピン30との間にクリアランスが生じる。そして、第2の端部48bは、ピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに大きくなるクリアランスに面する位置に存在することとなる。
主荷重部Lは、コンロッド20の大端部方向に存在するので、ピストンピン30の位置が第2の方向d2に偏っているときに、第2の端部48bの位置において生じるブシュ40Aの内側面とピストンピン30との間のクリアランスは、主荷重部Lにおけるブシュ40Aの内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きい。
これにより、この実施形態のブシュ40Aでは、第2の方向d2と略逆方向側においてクリアランスが生じる位置に第2の端部48bが設けられているので、ピストンピン30が第2の方向d2に偏った位置にあるときに、導油孔28cからの潤滑油が連通孔46、導油溝48及び第2の端部48bを介してブシュ40Aの内周部に生じたクリアランスに供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給されることとなる。そして、このように、第1及び第2の端部48a,48bにより内周部に潤滑油を導くための第1及び第2の導入部が構成されることにより、コンロッド20に2つの導油孔を設けるような加工を要することなく、ブシュ40Aの内周部に潤滑油を供給できる。
以上説明したように、本実施形態のブシュ40では、内側面43の断面が略長円形状を有するので、挿入されたピストンピン30の位置が、スラスト及び反スラスト方向に対応する第1及び第2の方向d1,d2に偏り得る。これにより、ピストンピン30の位置がブシュ40の内周部41において第1の方向d1に偏っているときに、ピストンピン30からみて第1の方向d1と略逆方向側において、内側面43とピストンピン30との間に、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きいクリアランスが生じる。本実施形態のブシュ40では、このクリアランスが生じる位置に第1の導入部47aが設けられているので、ピストンピン30が第1の方向d1に偏った位置にあるときに、第1の導入部47aを介してブシュ40の内周部41に生じたクリアランスに潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給される。また、ピストンピン30の位置がブシュ40の内周部41において第2の方向d2に偏っているときに、ピストンピン30からみて第2の方向d2と略逆方向側において、内側面43とピストンピン30との間に、主荷重部Lにおける内側面43とピストンピン30との間のクリアランスより大きいクリアランスが生じる。そして、このクリアランスが生じる位置に第2の導入部47bが設けられているので、ピストンピン30が第2の方向d2に偏った位置にあるときに、第2の導入部47bを介してブシュ40の内周部41に生じたクリアランスに潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給される。従って、ピストンピン30の位置が、第1及び第2の方向d1,d2のそれぞれに偏っているときに、第1及び第2の導入部47a,47bのそれぞれから、ブシュ40の内周部41に潤滑油が供給され、さらにその潤滑油が主荷重部Lに供給されるので、コンロッド20のブシュ40とピストンピン30との焼付きの発生が防止される。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
10…ピストン、12…ヘッド部、14…ピンボス部、16…キャビティ、18…挿入孔、19…コンロッド収容凹部、20,20A…コンロッド、22…小端部、24…小端孔、28a,28b,28c…導油孔、30…ピストンピン、40,40A…ブシュ、41…内周部、43…内側面、45a…第1の位置、45b…第2の位置、48a…第1の端部、48b…第2の端部、46…連通孔、47a…第1の導入部、47b…第2の導入部、48…導油溝、d1…第1の方向、d2…第2の方向、r1…第1の内径、r2…第2の内径。
Claims (5)
- コンロッドの小端孔の内周面に沿って設けられ、ピストンピンが摺動可能に挿入されるブシュであって、
前記ピストンピンが収容される内周部と、
前記内周部に潤滑油を導くために前記内周部における第1の位置及び第2の位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の導入部と、を備え、
前記内周部における内側面の前記ピストンピンの軸方向に直交する断面は略長円形状を有し、
前記コンロッドの大端部から小端部に至る方向に略平行な方向に沿う、前記内周部の第1の内径より、該第1の内径に略直交する方向に沿う第2の内径の方が大きく、
前記内周部において前記ピストンピンの位置が第1の方向に偏っているときに、前記第1の位置において生じる前記内側面と前記ピストンピンとの間のクリアランスは、前記内周部の一定範囲を占める主荷重部における前記内側面と前記ピストンピンとの間のクリアランスより大きく、
前記内周部において前記ピストンピンの位置が前記第1の方向の逆の方向である第2の方向に偏っているときに、前記第2の位置において生じる前記内側面と前記ピストンピンとの間のクリアランスは、前記主荷重部における前記内側面と前記ピストンピンとの間のクリアランスより大きく、
前記主荷重部は、前記内周部の一部であって、下降行程の前記ピストンの動作に基づく前記ピストンピンによる荷重が作用する領域を少なくとも含む、
ブシュ。 - 前記第1の位置及び第2の位置は、前記内周部の前記内側面における、前記コンロッドの大端部側に位置する、請求項1に記載のブシュ。
- 前記第1の内径は、前記内周部における内側面の断面形状における短径であり、
前記第2の内径は、前記内周部における内側面の断面形状における長径である、
請求項1または2に記載のブシュ。 - 前記第1及び第2の導入部は、前記コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を前記小端孔内に導くために設けられた第1及び第2の導油孔のそれぞれと連通している孔である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のブシュ。 - 前記コンロッドの大端部側から供給される潤滑油を前記小端孔内に導くために設けられた1つの連通孔と連通しており、前記内周部の前記内側面に該内側面の周方向に沿う部分を含み、両端部のそれぞれが前記主荷重部から離れる方向に延びて設けられた導油溝をさらに備え、
前記第1及び第2の導入部は、前記導油溝の両端部のそれぞれである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のブシュ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244608A JP2018096522A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | コンロッドのブシュ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016244608A JP2018096522A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | コンロッドのブシュ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2018096522A true JP2018096522A (ja) | 2018-06-21 |
Family
ID=62632713
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016244608A Pending JP2018096522A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | コンロッドのブシュ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018096522A (ja) |
-
2016
- 2016-12-16 JP JP2016244608A patent/JP2018096522A/ja active Pending
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