JP2018095481A - 窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置、および窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置、および窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 窒化アルミニウム粉末を製造することができる、還元窒化反応性に富む顆粒状の窒化アルミニウム前駆体を、連続的に均一かつ短時間で、安定した品質で製造する装置を提供する。【解決手段】 加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物の混合物を、連続的に装入しながら、乾燥、脱水、分解焼成をする、駆動回転しながら加熱する金属円筒管を有し、かつ金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備える構造であることを特徴とする、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置である。【選択図】 なし

Description

本発明は、絶縁性放熱材料として好適な窒化アルミニウム粉末の製造に用いることができる、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置、および窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法に関する。
窒化アルミニウムは、優れた熱伝導性、高い電気的絶縁性、シリコンに近い熱膨張、耐プラズマ特性などから、その焼結体は、高熱伝導電子回路基板、ICパッケージ、パワートランジスタモジュール基板(産業機器インバーター用、電車・自動車のIGBT基板)、半導体製造装置用部材(静電チャック等)、LED放熱基板等に、利用されている。
一方、窒化アルミニウム粉末を、高分子ポリマーに充填した複合化部材は、電気電子機器の絶縁/放熱、冷却シート等としてプリンター、高輝度白色LED、パワー半導体素子の封止剤等の用途に、利用されている。
一般に、窒化アルミニウム粉末を製造する方法としては、(1)酸化アルミニウム粉末とカーボン粉末を混合し、この混合物を窒素ガス雰囲気中で加熱するアルミナ還元窒化方法、(2)金属アルミニウムを、高温の窒素雰囲気下で直接窒化反応させる直接窒化法、(3)有機アルミニウムガスと、アンモニアガス等の窒素含有ガスとを気相反応させる気相反応法が知られている。
従来の(1)還元窒化方法は、酸化アルミニウム粉末とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気中で還元、窒化する方法であり、高温度(1700℃以上)、長時間(3時間以上)を必要とする。(2)直接窒化法は、金属アルミニウムの窒化反応の制御が難しく、適度の粒径や形状の粉末を得ることが困難であり、生成物の解砕、粉砕、分級、窒化を繰り返して製造される。また、(3)気相反応法は、高価な有機アルミニウムを使用し、得られる窒化アルミニウム粉末が微粉末のため粉末表面の活性が高く、取り扱いや、酸化し易さに問題がある。
(1)還元窒化法において、酸化アルミニウム粉末に、共融解剤(フラックス)を添加し、所定量のカーボン粉末を含有する組成物を用いることによって反応性を高めた窒化アルミニウム粉末の製造方法(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)が、提案されている。しかしながら、製造される窒化アルミニウムは、粒子の融着、異形粒子の生成、添加剤の混入が避けられず、利用分野が制限されてしまう。
特開2004−224618号公報 特開2012−56774号公報
米屋勝利、外2名、「還元窒化法によるAlN粉末の合成」、Journal of The Ceramic Society of Japan,第101巻、第4号、1993年、p.377〜382
本発明は、上記問題点を解決するため、均一かつ短時間で還元窒化でき、安定した品質の窒化アルミニウム粉末を製造可能な、窒化アルミニウム前駆体を、連続製造できる装置および方法を提供することを目的とする。
本発明は、(1)還元窒化法による窒化アルミニウム粉末の製造に用いられる前駆体の製造装置および製造方法である。従来の酸化アルミニウム粉末とカーボン粉末の混合物に替え、炭素と酸化アルミニウムが複合化された粉末を用いることによって、還元窒化固相反応が効果的に進み、生産効率の大幅な改善と、加熱に伴う炉体損耗の低減を図ることができる。また、従来、窒化アルミニウム粉末の粒度調整は、粉砕、分級等の物理的な方法で行っていたが、本発明で製造される窒化アルミニウム前駆体を用いると、出発原料の酸化アルミニウム粉末の粒子が、融着、粒成長することなく還元窒化が進行するため、出発原料の選択により、解砕、粉砕、分級することなく任意の粒度調整ができ、従来の粉末同士の混合に比べ、得られる窒化アルミニウム粉末特性の向上が、図られる。
すなわち、本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した窒化アルミニウム前駆体の製造装置および製造方法に関する。
〔1〕加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物の混合物を、連続的に装入しながら、乾燥、脱水、分解焼成をする、駆動回転しながら加熱する金属円筒管を有し、かつ
金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備えることを特徴とする、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置。
〔2〕装入された混合物を、撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、または転動させるように、金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与える、上記〔1〕記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置。
〔3〕(A)加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物を混合し、混合物を得る工程、
(B)得られた混合物を、駆動回転する加熱した金属円筒管に連続的に装入し、乾燥、脱水、分解焼成をする工程
を、この順に有する窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法であって、
(B)工程で使用する金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備えることを特徴とする、窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔4〕(B)工程で使用する金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与え、装入された混合物を、撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、または転動させる、上記〔3〕記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔5〕装入された混合物を、乾燥、脱水、分解焼成するために、金属円筒管を加熱する雰囲気が、真空、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス、または炭酸ガスであり、加熱する温度が、400℃以上1200℃以下であり、かつ加熱する時間が、1分以上60分未満である、上記〔3〕または〔4〕記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔6〕金属円筒管が、水平面に対して、0.5°以上10°以下である、上記〔3〕〜〔5〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔7〕金属円筒管の回転速度が、5rpm以上60rpm以下である、上記〔3〕〜〔6〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔8〕(A)工程での有機化合物が、セルロース、ショ糖、麦芽糖、果糖、フェノール類、ナフタレン、クレオソート油、コールタールピッチ、クエン酸、酢酸アンモニウム、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、またはリグニンスルホン酸塩である、上記〔3〕〜〔7〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔9〕(A)工程でのアルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、または硝酸アルミニウムである、上記〔3〕〜〔8〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔10〕窒化アルミニウム前駆体が、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム複合粉末であって、酸素に対して、炭素をモル比で1.1以上2.0以下含む、上記〔3〕〜〔9〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
〔11〕上記〔3〕〜〔10〕のいずれか記載の窒化アルミニウム前駆体を、雰囲気が、窒素ガス、もしくはアンモニアガスであり、加熱する温度が、1400℃以上1700℃未満であり、かつ加熱する時間が、30分以上180分未満で加熱する、窒化アルミニウム粉末の製造方法。
本発明〔1〕によれば、炭素と、酸化アルミニウムとが複合化された前駆体を簡便に製造でき、かつ製造される前駆体の還元窒化の反応性が著しく高く、また、低温度、短時間での製造が可能であるため、生産効率、装置の耐久性が高い製造装置を提供することができる。
本発明〔3〕によれば、炭素と、酸化アルミニウムとが複合化された前駆体であり、前駆体の還元窒化の反応性が著しく高いため、窒化アルミニウム粉末を低温度、短時間での生産が可能となり、生産効率、装置の耐久性が高められる。
本発明〔11〕によれば、高分子ポリマーと流動性、混錬分散性および充填性に優れるため、電気電子機器用の絶縁/放熱に優れる冷却シート等の、高熱伝導性で耐湿安定性が良好な成形品を作製可能な、窒化アルミニウム粉末を提供することができる。
窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の長手方向の断面図の一例である。 窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の加熱部の短手方向の断面図の一例である。 窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の長手方向のフローを示す断面図の一例である。 実施例1で製造した炭素/酸化アルミニウム前駆体粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1で製造した炭素/酸化アルミニウム複合前駆体粉末のX線回折図である。 実施例1で製造した還元窒化後の窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。 実施例1で製造した大気焼成後の窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。 実施例1で製造した窒化アルミニウム粉末のX線回折図である。 実施例1で製造に使用した水酸化アルミニウム粉末のSEM写真である。 比較例1で製造した窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
〔窒化アルミニウム前駆体〕
本発明における窒化アルミニウム前駆体(以下、窒化アルミニウム前駆体という)は、炭素/酸化アルミニウム複合粉末であり、酸化アルミニウム粉末の表面が炭素で均質に覆われ、酸化アルミニウム粉末が炭素で結合した顆粒状の粉体である。熱分解で生成する炭素の結晶構造は、通常、無定型であり、酸化アルミニウムの結晶構造は、通常、無定型、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、およびα−アルミナからなる群より選択される少なくとも1種である。炭素/酸化アルミニウム複合粉末の大きさは、0.2μm以上、50μm以下であり、炭素/酸化アルミニウム複合粉末の集合体である顆粒状粉体の大きさは、3μm以上、1000μm以下である。
酸化アルミニウム粉末をカーボン粉末により、固相還元し、窒化反応させる従来の還元窒化方法では、酸化アルミニウム粉末とカーボン粉末との粉末間の接触により、還元と窒化の反応が進む。しかしながら、この従来の方法では、酸化アルミニウム粉末とカーボン粉末の混合状態が不十分で、表面間の接触も弱いため、還元と窒化の反応は不均一になり易い。これに対して、本発明の窒化アルミニウム前駆体は、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム複合粉末であり、酸化アルミニウム粉末の表面が炭素により均質に覆われ、酸化アルミニウム粉末が炭素によって結着、一体化されている。このため、酸化アルミニウム粉末が粒成長、融着することなく、還元窒化反応が均一、速やかに進行し、生成する窒化アルミニウム粉末は、出発原料の酸化アルミニウム粉末の原形状を維持しながら、窒化アルミニウム粉末へ転化する。
上述のように、顆粒状窒化アルミニウム前駆体中の炭素の結晶構造は、無定型であり、酸化アルミニウムの結晶構造は、無定型、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、およびα−アルミナからなる群より選択される少なくとも1種である。酸化アルミニウムの結晶構造は、無定型の方が、結晶性より反応性が高い。炭素/酸化アルミニウム複合粉末の平均粒径は、0.2μm以上、50μm以下であると好ましく、0.2μm未満になると、耐湿安定性が問題となり易くなる。炭素/酸化アルミニウム複合粉末の平均粒径が50μmを越えると、窒化アルミニウム粉末を含有するマトリックス複合物の成形加工性および成形物の表面平滑性等が低下し易くなる。炭素/酸化アルミニウム複合粉末の集合体である顆粒状前駆体の平均粒径は、3μm以上、1000μm以下であると好ましい。顆粒状前駆体の平均粒径が、3μm未満であると、還元窒化における充填物中からの生成COガスの離脱、充填物中への窒素ガスの供給が、十分に行われにくくなり、1000μmを越えると、顆粒内での反応が不均一となり易くなる。ここで、粒径は原料粉体の走査型電子顕微鏡写真での長径(原料粉体の最も長い径)であり、平均粒径は、原料粉体の走査型電子顕微鏡写真での長径(原料粉体の最も長い径)の平均径である(n=50)。
〔窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法〕
本発明の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法は、(A)加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物を混合し、混合物を得る工程、
(B)得られた混合物を、駆動回転する加熱した金属円筒管に連続的に装入し、乾燥、脱水、分解焼成する工程を有し、
(B)工程で使用する金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備える。
炭素を形成する有機化合物は、非酸化性雰囲気で炭化熱分解する有機化合物から選択される。具体的には、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、デンプン、グリコーゲン等の多糖類、麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)等の二糖類、グルコース、果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノース等の単糖類等の糖類;フェノール類(石炭酸、クレゾール等)、ナフタレン、縮合多環芳香族化合物(フェナトレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、クリセン、ピレン等)の混合物であるクレオソート油およびコールタールピッチ;クエン酸、酒石酸、琥珀酸、酪酸、リンゴ酸、酢酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム等の有機カルボン酸とその塩;リグニンスルホン酸カルシウム等のリグニン酸とその塩;ポリビニルアルコール、多価アルコール等のアルコール類、が挙げられる。これらの化合物の中でも、ショ糖、クエン酸、酢酸アンモニウム、フェノール樹脂、コールタールピッチが、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム前駆体を得やすい観点から、好ましい。
酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物としては、ギブサイト(Gibbsite、Al(OH))、バイヤライト(Bayerite、Al(OH))、ベーマイト(Boehmite、AlO(OH))等の水酸化アルミニウム、無定型酸化アルミニウム、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ等の酸化アルミニウム、硝酸アルミニウムが挙げられる。なかでも表面活性が高い無定型酸化アルミニウム、γ−アルミナが、反応性の観点から、好ましい。
炭素を形成する化合物と酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物との混合方法としては、粉体での乾式混合と、水溶液を媒介する湿式混合がある。粉体を効率良く混合する装置としては、特に限定されないが、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、V型ブレンダー、ナウターミキサー等の混合機、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いることができる。水溶液を媒介とした水溶液媒体混合物を効率良く得るための湿式混合装置としては、特に限定されないが、例えば、攪拌羽を有する攪拌装置、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライタータイプの高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の剪断力、衝撃力を発生させる装置を用いることができる。得られる水溶液媒体混合物は、その酸化アルミニウム固形物濃度が5質量%以上であることが好ましい。固形物濃度が低すぎると、連続製造装置内において、乾燥する際の負荷が大きくなり、窒化アルミニウム前駆体の生産効率に支障を生じ易くなる。ここで、固形物濃度とは、水溶液に溶存する有機化合物、硝酸塩、および水溶液に溶解しない懸濁物として存在する有機化合物、水酸化物もしくは酸化物の合計質量濃度を表す。その測定方法は、得られる混合物の一定量を重量測定した後{A(g)}、その重量測定混合物を直接、大気中で乾燥・脱水・分解焼成(800℃)し、残存焼成物の質量を測定する{B(g)}。個々の操作で計測された重量AおよびBから酸化アルミニウム固形物濃度を算出(固形物濃度(質量%)=B/A×100)する。
炭素を形成する化合物が、例えば、ショ糖である場合、186℃で融解し、徐々に脱水分解しながら炭化する。800℃以上で炭化が終了し、無定型炭素となる。
122211(s) → C122211(l)(186℃融解)
→ 無定型C(s)、HO(g)(>200℃)
また酢酸アンモニウムにおいては、112℃で融解した後、脱水反応によりアセトアミド(融点82℃)が生成する。溶融したアセトアミドは、221℃で蒸発、分解しながら、炭化する。
CHCOONH(s) → CHCOONH(l)(112℃融解)
→ CHCONH(l)、HO(g)(脱水)
→ 無定型C(s)、NH(g)、CO(g)、H(g)
一方、アルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム(ギブサイト:Gibsite(Al(OH)))である場合には、
Al(OH)(s)
→ Al(s) or γAl(s)、HO(g)
(脱水200〜550℃)
→ γAl、δAlor θAl
→ αAl(>1200℃)
また、アルミニウム化合物が、ベーマイトBoehmite(AlO(OH))である場合には、
AlO(OH)(s) → γAl(s)(脱水500〜600℃)
硝酸アルミニウムの熱分解過程は、田川博章氏の文献(「硝酸塩の熱分解」、横浜国大環境研紀要、1987年、第14巻、p41−57)によれば、硝酸アルミニウムが、Al(NO・9HO)である場合、85℃で自らの結晶水に硝酸塩が融解し、150℃に達すると結晶水の喪失と硝酸塩の熱分解が同時に進行し、HOガス、NOガス、Oガスを発生しながらAlへ転化する。分解は、ほぼ600℃で終了する。
Al(NO・9HO(S)
→ Al(NO・9HO(l)(85℃融解)
→ 無定型Al(S)、HO(g)、NO(g)、O(g)
(150℃から脱水熱分解)
これらの反応により、窒化アルミニウム前駆体が、連続製造される。窒化アルミニウム前駆体は、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム複合粉末であって、酸素に対して、炭素をモル比で1.1以上2.0以下含むと、窒化アルミニウム粉末の反応効率の観点から、好ましい。ここで、酸素に対する炭素のモル比は、EDX定量分析で測定する。
〔窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置〕
本発明の窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置は、駆動回転する加熱した金属円筒管を有し、金属円筒管の内部に少なくとも1本以上備えられた攪拌羽により、混合物を撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、転動しながら乾燥、脱水、分解焼成する。詳しくは、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置は、加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物の混合物を、連続的に装入しながら、乾燥、脱水、分解焼成をする、駆動回転しながら加熱する金属円筒管を有し、かつ
金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備える。
金属円筒管の内部に備えられた攪拌羽は、棒状の撹拌羽軸に、複数個の翼片を放射状に配置され、好ましくは、複数個の翼片を等間隔に有し、翼片のうち少なくとも1個の先端が金属円筒管に接触しており、金属円筒管の駆動回転によって撹拌羽も金属円筒管内面を沿って回転しながら、衝撃を与えるように、使用すると、高効率である。ここで、金属円筒管の駆動回転は、金属円筒管の両端の円の中心を通る軸、すなわち長手方向の軸を中心に回転する。ここで、翼片のうち少なくとも1個の先端が金属円筒管に接触していると、金属円筒管の駆動回転によって撹拌羽も金属円筒管内面を沿って回転するが、金属円筒缶の内径と撹拌羽の外形との寸法差により、撹拌羽は回転しながら、上記寸法差に応じた周期で落下し、衝撃を与える。これによって、金属円筒管内の混合物を、上記撹拌羽の翼片により、攪拌、掻き揚げ、流動、浮遊、転動し、混合物の金属円筒管内壁への付着成長を抑制しながら、混合物の均一な混合と顆粒化が図られる。このように、金属円筒管内の混合物(前駆体)への加熱伝達および雰囲気交換が良好に保たれるため、短時間で、安定した品質が達成される。撹拌羽は、混合物を乾燥させる乾燥部、乾燥した混合物を脱水させる脱水部、炭化分解及び焼成する分解焼成部が、それぞれ独立していると、好ましい。また、乾燥部、脱水部、分解焼成部内でも、複数の撹拌羽を使用すると、より好ましい。
金属円筒管は、水平面に対して傾斜していることが好ましく、金属円筒管内の混合物は、装入側から取り出し側へ順次送られ、その間に乾燥、脱水、分解焼成される。水平面に対する傾斜角度は、0.5°以上10°以下であることが好ましい。傾斜角度が小さすぎると、生成物の排出が困難となり、定常的な回収ができない。一方、傾斜角度が大きすぎると、金属円筒管内における原料等の滞留時間が極端に短くなり(1分未満)、後述する混合物の乾燥、脱水、分解焼成が不十分となる。
窒化アルミニウム前駆体の連続製造において、金属円筒管の回転速度は、5rpm以上60rpm以下が好ましい。回転速度が小さすぎると、混合物の撹拌効果がみられず乾燥、焼成が不均一となると同時に金属円筒管内面へ混合物の付着が顕著となり、均一な混合、顆粒化ができなくなる。一方、60rpmを越える回転速度は、撹拌効果は変わらず、金属円筒管外へ飛散する混合物が増加する。
攪拌羽の翼片および金属円筒管は、特に限定されないが、ニッケル等を主成分とする合金を含むことが好ましい。例えば、ニッケルを主成分とするときは、10質量%以上95質量%以下のニッケルを含むことが好ましい。
上記装置は、内部の温度を所定の温度に制御できることが好ましい。加熱方法は、外部または内部のいずれかの加熱源を用いる方法でよいが、雰囲気制御を考慮すると外部からの加熱が好ましい。
連続製造装置においては、粉体混合物は、スクリューにより金属円筒管内へ装入される。水溶液媒体混合物は、定量ポンプにより直接注入、もしくは混合物の流動性が低い場合は、スクリューにより装入してもよい。
装入された混合物は、加熱された金属円筒管内の攪拌羽によって攪拌、掻揚げ、流動、浮遊、転動、しながら、金属円筒管内表面及びガス中で急速に乾燥。脱水、分解焼成される。混合物の有機物は、乾燥、脱水温度において、軟化、液状化し、アルミニウム化合物粉末を覆って結着し、顆粒状の粉体となる。更に、金属円筒管内で、有機物は分解焼成されて炭化し、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム複合粉末が生成する。連続製造装置では、混合物を乾燥、脱水、分解焼成する工程において、上記撹拌羽を備えた金属円筒管を用いることにより、従来の回転炉に比べて、金属円筒管内面への付着物を抑えられる、混合物がより均一に複合化される、加熱時間が短縮化される等の利点がある。ここで、混合物は、撹拌羽の掻き上げによって、有機物が結着剤となり、顆粒状粉体を形成する。また、顆粒状混合物の粉体が、金属間内面を周回することにより、顆粒状混合物の粉体が回転集合し、転動されることにより造粒され、顆粒状混合物が成長する場合もある。
金属円筒管内の加熱温度は、特に限定されないが、400℃以上1200℃以下であることが好ましい。加熱温度が低すぎると混合物の乾燥、脱水、分解が不十分となり易く、加熱温度が高すぎると顆粒粉体の酸化アルミニウム結晶粒粗大化が進行し易くなるばかりでなく、金属円筒管及び撹拌羽の損耗が生じ易くなる。
加熱時間は、金属円筒管の傾斜角度と回転速度によって変化させることができ、特に限定されないが、1分以上60分未満であることが好ましい。加熱時間が短すぎると乾燥、脱水、分解が不十分となり、加熱時間が長すぎても粉体の特性は変わらないので、エネルギーの無駄になる。
金属円筒管内の雰囲気ガスは、供給される雰囲気ガスによって調製することができ、駆動回転する金属円筒管を有する連続製造装置が、不活性ガスもしくは還元性ガスを制御する手段を有する。具体的には、金属円筒管を加熱する雰囲気は、真空、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス、または炭酸ガスであると、好ましい。
図1に、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の長手方向の断面図の一例を、図2に、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の加熱部の短手方向の断面図の一例を示す。図1は、No.1〜No.3の3ゾーンで加熱を行い、撹拌羽数が、5枚である例である。また、図2に示すように、撹拌羽は、翼片数が4片であり、炉心回転モーターにより、金属円筒管全体が回転する例である。図1では、ワーク供給ホッパーに、混合物を装入し、混合物は、ワーク供給モーターにより、左側に排出される。混合物は、炉心回転モーターにより回転する撹拌羽により、撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、転動されながら、No.3、No.2、No.1の順に各加熱部で加熱され、乾燥、脱水、分解焼成された後、炉心冷却器で冷却された顆粒状前駆体が、排出ホッパーから排出される。雰囲気ガスを使用する場合には、雰囲気ガスを、シールドガス導入口から導入し、排気口から排出する。また、金属円筒管の傾斜角度は、傾き調整用孔により調製することができる。図3に、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置の長手方向のフローを示す断面図の一例を示す。図3では、T/C(T/C1〜T/C3)は、熱電対(K型:クロメル・アルメル)であり、SCR(SCR1〜SCR3)は、サイリスタである。これらのサイリスタは、ヒーターへの出力を制御する。連続製造装置の温度は、3ゾーンで管理されており、T/Cで測定した温度に基づき、サイリスタからヒーターへの出力を制御する例である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<窒化アルミニウム前駆体の製造>
コールタールピッチ(JFEケミカルズ(株)製PK−H(軟化点104℃、固定炭素59質量%)を、ハンマーミル((株)ダルトン製サンプルミル)を用いて、50μm以下の粒度に粉砕し、これと、水酸化アルミニウム粉末(住友化学(株)製C−301N(Al(OH)98質量%、水分2質量%、平均粒径:1.5μm(レーザー解析法で測定)、嵩密度0.36g/cm)とを、乾式混合(日本コークス工業(株)製FM型ミキサー)し、混合物を得た。作製した混合物(コールタールピッチと水酸化アルミニウム(AlO1.5)との炭素C/酸素Oのモル比:1.25)を、スクリューフィダー(300g/分)にて、駆動回転する金属円筒管(傾斜角度:4°、回転速度:30rpm、炉体長さ:1.5m、円筒管内径:143mmφ、撹拌羽:中心から翼片(4片)の羽先端長さ65mm、撹拌羽数:5枚)に装入し、窒素ガス10Ndm/minを回収側から流しながら、乾燥、脱水、分解焼成処理を行った。金属円筒管の加熱温度は、供給側:600℃、中央部:700℃、回収側:800℃であり、加熱部の滞留時間は、7分であった。回収された顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末は、黒色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.3μm〜2.0μm、顆粒の粒径:3μm〜300μmであり、良好な流動性と充填性(嵩密度:0.72g/cm)を示した。図4に、実施例1で製造した炭素/酸化アルミニウム前駆体粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図4の上図からわかるように、炭素/酸化アルミニウム前駆体粉末は、顆粒状であった。図5に、実施例1で製造した炭素/酸化アルミニウム複合前駆体粉末のX線回折図を示す。X線回折は、リガク製MiniFlex600で測定した。図5の上図の黒線は、測定値であり、図5の上図の灰色縦線と下図の縦線は、γ−AlのICDD社製PDF−2/Release2013データベースのPDFカード番号:01−075−0921の回折線である。X線回折の結果、γ−Alのピークを含むが、γ−Alの結晶性が悪く、他の結晶性が悪い結晶相も多く含み、無定型であった。EDX定量分析から炭素C/酸素Oのモル比は1.2であった。
<窒化アルミニウム前駆体の還元窒化、大気中焼成>
顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末を、窒素雰囲気下のカーボン炉内で、加熱温度1675℃、加熱時間45分の還元窒化反応を行った後、室温まで窒素雰囲気で冷却し、これを更に、大気中800℃、3時間の焼成を行った。取り出した粉末は、灰白色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.3μm〜2.0μmであり、粉末の凝結は無く、流動性、分散性は、良好であった。図6に、実施例1で製造した還元窒化後の窒化アルミニウム粉末のSEM写真を、図7に、実施例1で製造した大気焼成後の窒化アルミニウム粉末のSEM写真を示す。図4の下図と図6の下図の比較から、還元窒化反応では、大きな粒径の変化はなく、図6の下図と図7の下図の比較から、大気焼成による、大きな粒径の変化がないことがわかった。図8に、実施例1で製造した窒化アルミニウム粉末のX線回折図を示す。X線回折は、リガク製MiniFlex600で測定した。図8の上図の灰色線は、測定値であり、図8の上図の黒縦線と下図の縦線は、AlNのICDD社製PDF−2/Release2013データベースのPDFカード番号:01−076−0702の回折線である。X線回折の結果、AlNの単相を示した。EDX定量分析では、アルミニウムが75質量%、窒素が24質量%、酸素が1.0質量%、炭素が0.82質量%であった。参考に、図9に、実施例1で製造に使用した水酸化アルミニウム粉末のSEM写真を示す。工程順に、図9の下図、図4の下図、図6の下図、図7の下図を比較すると、粒径に大きな変化がないことがわかった。
〔実施例2〕
<窒化アルミニウム前駆体の製造>
ショ糖(関東化学(株)製試薬1級、C122211、分子量:342.2965)と、クエン酸(関東化学(株)製試薬1級、COH(CHCOOH)COOH、分子量192.124)と、実施例1で使用した水酸化アルミニウムとを、ショ糖と水酸化アルミニウム(AlO1.5)とのC/Oモル比:1.5、およびクエン酸と水酸化アルミニウム(AlO1.5)とのC/Oモル比:0.4で、混合物の炭素C/酸素Oのモル比:1.9の割合で、予備混合し、ハンマーミル((株)ダルトン製サンプルミル)を用いて、粉砕した。粉砕物を、実施例1で使用した駆動回転する金属円筒管(回転速度40rpm)に装入し、加熱温度は、供給側700℃、中央部800℃、回収側800℃以外は同様の条件で、処理を行った。加熱部の滞留時間は、5分であった。回収された顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末は、黒色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.4μm〜2.0μm、顆粒の粒径:50μm〜800μmであり、良好な流動性と充填性(嵩密度:0.75g/cm)を示した。顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末は、X線回折の結果、無定型であった。EDX定量分析から炭素C/酸素Oのモル比は1.2であった。
<窒化アルミニウム前駆体の還元窒化、大気中焼成>
顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末を、窒素雰囲気下のカーボン炉内で、加熱温度1600℃、加熱時間120分の還元窒化反応を行った後、室温まで窒素雰囲気で冷却し、これを更に、大気中800℃、3時間の焼成を行った。取り出した粉末は、灰白色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.2μm〜1.5μmであり、粉末の凝結は無く、流動性、分散性は、良好であった。X線回折の結果、AlNの単相を示し、EDX定量分析では、アルミニウムが72質量%、窒素が26質量%、酸素が0.95質量%、炭素が1.3質量%であった。
〔実施例3〕
<窒化アルミニウム前駆体の製造>
フェノール粉末(DIC(株)製OI―305A、残炭率:50質量%)と、酢酸アンモニウム(関東化学(株)製試薬1級、CH3COONH4、分子量77.0825)と、実施例1で使用した水酸化アルミニウムとを、フェノール粉末と水酸化アルミニウム(AlO1.5)とのC/Oモル比:1.0、および酢酸アンモニウムと水酸化アルミニウム(AlO1.5)とのC/Oモル比:0.75で、混合物の炭素C/酸素Oのモル比:1.75の割合で、予備混合し、ハンマーミル((株)ダルトン製サンプルミル)を用いて、粉砕した。粉砕物を、実施例1で使用した駆動回転する金属円筒管(傾斜角度:3°、回転速度:50rpm)に装入し、加熱温度は、供給側:650℃、中央部:700℃、回収側:800℃以外は同様の条件で、処理を行った。加熱部の滞留時間は、13分であった。回収された顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末は、黒色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.2μm〜2.0μm、顆粒の粒径:20μm〜900μmであり、良好な流動性と充填性(嵩密度:0.69g/cm)を示した。X線回折の結果、無定型であった。EDX定量分析から炭素C/酸素Oのモル比は1.3であった。
<窒化アルミニウム前駆体の還元窒化、大気中焼成>
顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末を、窒素雰囲気下のカーボン炉内で、加熱温度1650℃、加熱時間90分の還元窒化反応を行った後、室温まで窒素雰囲気で冷却し、これを更に、大気中800℃、3時間の焼成を行った。取り出した粉末は、灰白色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:0.3μm〜1.5μmであり、粉末の凝結は無く、流動性、分散性は、良好であった。X線回折の結果、AlNの単相を示し、EDX定量分析では、アルミニウムが72質量%、窒素が27質量%、酸素が0.52質量%、炭素が0.94質量%であった。
〔実施例4〕
<窒化アルミニウム前駆体の製造>
水酸化アルミニウム粉末(住友化学(株)製C−12(Al(OH)91質量%、水分9質量%、平均粒径:50μm(レーザー解析法で測定)、嵩密度1.1g/cm)以外は実施例1と同様の条件で、処理を行った。加熱部の滞留時間は、6分であり、回収された顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末は、黒色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:20μm〜65μm、顆粒の粒径:30μm〜100μmであり、良好な流動性と充填性(嵩密度:0.92g/cm)を示した。X線回折の結果、無定型であった。EDX定量分析から炭素C/酸素Oのモル比は1.2であった。
<窒化アルミニウム前駆体の還元窒化、大気中焼成>
顆粒状炭素/酸化アルミニウム複合粉末を、窒素雰囲気下のカーボン炉内で、加熱温度1675℃、加熱時間120分の還元窒化反応を行った後、室温まで窒素雰囲気で冷却し、これを更に、大気中800℃、3時間の焼成を行った。取り出した粉末は、灰白色を呈し、走査電子顕微鏡による直接観察から粉末の粒径:20μm〜60μmであり、粉末は、結晶粒子(粒径:0.5〜2.0μm)の集合体から構成されていた。粉末間の凝結は無く、流動性、分散性は、良好であった。X線回折の結果、AlNの単相を示し、EDX定量分析では、アルミニウムが73質量%、窒素が26質量%、酸素が0.54質量%、炭素が0.87質量%であった。
〔比較例1〕
実施例1で使用した水酸化アルミニウム粉末を、700℃で脱水焼成し、得られたγAl粉末(住友化学(株)製平均粒径:1.5μm)と電気化学工業(株)製アセチレンブラック(品名:デンカブラック、平均粒径:35nm)とを、炭素C/酸素Oのモル比1.5の割合で計量し、三井コークス工業(株)製FMミキサー、およびダルトン(株)製サンプルミルを用いて、粉砕混合した。これを前駆体として、加熱温度1700℃、360分にしたこと以外は、実施例1と同様の還元窒化反応、大気焼成を行った。得られた窒化アルミニウム粉末は、反応装置から取り出したとき、アンモニア臭があり、粉末は凝結、塊状化があった。図10に、比較例1で製造した窒化アルミニウム粉末のSEM写真を示す。比較例1の窒化アルミニウム粉末は、粒成長による粒子の粗大化と焼結が見られた。
〔比較例2〕
実施例1で用いたコールタールと水酸化アルミニウム粉末との混合物を、アルミナ製容器に装填(装填高さ:3cm)し、窒素雰囲気で800℃、1時間の加熱処理を行い、乾燥、脱水、熱分解した。室温に冷却し、取り出した混合物は、容器形状に強固にブロック化していた。これを機械粉砕し、数mm以下の塊状物とし、実施例1と同様に還元窒化、大気焼成を行った。得られた塊状生成物の一部は、表面は灰白色、内部は黒色が呈した。X線回折の結果、AlN/γAl2.853.450.55(質量比(%)75/25)を示し、EDX定量分析では、アルミニウムが67質量%、窒素が20質量%、酸素が13質量%、炭素が0.73質量%であった。

Claims (11)

  1. 加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物の混合物を、連続的に装入しながら、乾燥、脱水、分解焼成をする、駆動回転しながら加熱する金属円筒管を有し、かつ
    金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備えることを特徴とする、窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置。
  2. 装入された混合物を、撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、または転動させるように、金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与える、請求項1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造装置。
  3. (A)加熱分解により炭素を形成する糖類、芳香族化合物、有機カルボン酸、有機カルボン酸塩、アルコール類、リグニン酸、およびリグニン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物、ならびに酸化アルミニウムを形成するアルミニウム化合物を混合し、混合物を得る工程、
    (B)得られた混合物を、駆動回転する加熱した金属円筒管に連続的に装入し、乾燥、脱水、分解焼成をする工程
    を、この順に有する窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法であって、
    (B)工程で使用する金属円筒管が、内部に複数の翼片を放射線状に配置した撹拌羽を備えることを特徴とする、窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  4. (B)工程で使用する金属円筒管の内部に備えられた複数の翼片を放射状に配置した撹拌羽が、金属円筒管が回転することにより金属円筒管内面を接触するように回転しながら、衝撃を与え、装入された混合物を、撹拌、掻き揚げ、流動、浮遊、または転動させる、請求項3項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  5. 装入された混合物を、乾燥、脱水、分解焼成するために、金属円筒管を加熱する雰囲気が、真空、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス、または炭酸ガスであり、加熱する温度が、400℃以上1200℃以下であり、かつ加熱する時間が、1分以上60分未満である、請求項3または4記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  6. 金属円筒管が、水平面に対して、0.5°以上10°以下である、請求項3〜5のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  7. 金属円筒管の回転速度が、5rpm以上60rpm以下である、請求項3〜6のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  8. (A)工程での有機化合物が、セルロース、ショ糖、麦芽糖、果糖、フェノール類、ナフタレン、クレオソート油、コールタールピッチ、クエン酸、酢酸アンモニウム、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、またはリグニンスルホン酸塩である、請求項3〜7のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  9. (A)工程でのアルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、または硝酸アルミニウムである、請求項3〜8のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  10. 窒化アルミニウム前駆体が、顆粒状の炭素/酸化アルミニウム複合粉末であって、酸素に対して、炭素をモル比で1.1以上2.0以下含む、請求項3〜9のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体の連続製造方法。
  11. 請求項3〜10のいずれか1項記載の窒化アルミニウム前駆体を、雰囲気が、窒素ガス、もしくはアンモニアガスであり、加熱する温度が、1400℃以上1700℃未満であり、かつ加熱する時間が、30分以上180分未満で加熱する、窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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