JP2018094923A - 装飾積層シート、装飾積層シートを含む構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】押出法、真空圧空成形法、金型内一体射出成形法などによって難接着性材料であるポリオレフィン系樹脂基材に接着可能な、耐引っかき性に優れた装飾積層シートを提供する。【解決手段】表面層11、意匠層12、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層13をこの順で含む装飾積層シート10。【選択図】図1A

Description

本開示は、装飾積層シート、装飾積層シートを含む構造体およびその製造方法に関する。
押出法、真空圧空成形法、金型内一体射出成形法などに使用可能なクロムメッキ代替フィルムが、有害なクロムメッキ処理を省略するために必要とされている。また、クロムメッキ代替フィルムを自動車のベルトラインモールディングの押出に使用することができれば、ステンレススチールの使用量削減による部品の軽量化が可能となり、また、金属/樹脂混合廃棄物の問題も生じない。塗装代替フィルムは、VOC(揮発性有機化合物)およびスプレーミストがないことから作業環境の改善に有効である。
ポリオレフィンは、軽量、安価および無害であるため、自動車部品用の樹脂として最も有望である。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂は、塗料、金属、フィルムなどを適用することが難しい、難接着性材料であるといわれている。
真空圧空成形法および金型内一体射出成形法はこれらの装飾フィルムまたはシートの適用方法として一般的になりつつある。深絞りされた三次元形状物を完全に覆うためにはこれらの成形法を用いる必要があり、従来のように手作業でこのような三次元形状物に装飾フィルムまたはシートを適用することはできない。
特許文献1(特許第3851523号)は、「透明な熱可塑性樹脂フィルム、金属層、接着剤層および熱可塑性樹脂フィルムをこの順で有し、該透明な熱可塑性樹脂フィルムがベンゼン環とシクロヘキサン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物、または、ベンゼン環とナフタレン環とを主鎖に有するポリエステル系高分子化合物により構成されていることを特徴とする立体成形用金属光沢シート」を記載している。
特許文献2(特開2006−341388号公報)は、「1)熱可塑性樹脂フィルム層と2)金属蒸着層または、金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する高輝性インキ層を有する装飾層と3)支持基材樹脂層とを有する熱成形用積層シートを(T−20)℃〜(T+35)℃の成形温度で成形することを特徴とする熱成形用積層シートの成形方法。但し、Tは熱可塑性樹脂フィルム層の軟化温度と支持基材樹脂層の軟化温度の高い方の温度であり、Tは熱可塑性樹脂フィルム層の軟化温度と支持基材樹脂層の軟化温度の低い方の温度である」方法を記載している。
特許第3851523号公報 特開2006−341388号公報
塗装代替フィルム、クロムメッキ代替フィルムなどの装飾フィルムまたはシートの耐引っかき性を高めることが常に望まれている。特に、クロムめっきまたはステンレススチールは高い耐引っかき性を有することから、自動車のドアノブなどの機械的接触の機会が多い部品に使用される。そのため、クロムメッキ代替フィルムにはより高い耐引っかき性が要求される。
本開示は、押出法、真空圧空成形法、金型内一体射出成形法などによって難接着性材料であるポリオレフィン系樹脂基材に接着可能な、耐引っかき性に優れた装飾積層シートを提供する。また、当該装飾積層シートを含む構造体およびその製造方法を提供する。
本開示の一実施態様によれば、表面層、意匠層、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層をこの順で含む、装飾積層シートが提供される。
本開示の別の実施態様によれば、基材と、前記基材の表面に適用された上記装飾積層シートとを含む構造体が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記装飾積層シートを用意し、前記装飾積層シートを真空圧空成形により基材に適用して、前記装飾積層シートおよび前記基材が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記装飾積層シートを用意し、前記装飾積層シートの上に熱可塑性材料を押し出して、または金型内で射出成形して、前記装飾積層シートおよび前記熱可塑性材料が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法が提供される。
本開示によれば、プロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層によって、装飾積層シート全体の耐引っかき性が高まるため、難接着性材料であるポリオレフィン系樹脂基材に接着可能な高い耐引っかき性を有する装飾積層シートを得ることができる。
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様および本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の一実施態様による装飾積層シートの断面図である。 本開示の別の実施態様による装飾積層シートの断面図である。 本開示の一実施態様による構造体の概略断面図である。 真空加熱圧着装置を用いて装飾積層シートを基材に適用する工程を模式的に説明する図である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
本開示の一実施態様による装飾積層シートは、表面層、意匠層、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層をこの順で含む。
図1Aに、本開示の一実施態様による装飾積層シート10の断面図を示す。装飾積層シート10は、表面層11、意匠層12および接着層13を含む。装飾積層シート10は、任意の要素としてバルク層、接合層などの追加層をさらに含んでもよい。例えば、図1Bに示す本開示の別の実施態様の装飾積層シート10は、意匠層12と接着層13の間に、これらの層を接合する接合層14を有する。表面層および接着層が装飾積層シートの最外層に位置することを条件として、装飾積層シートの層の数、種類、配置などは、上記に限られない。いくつかの実施態様では、装飾積層シートは、上記表面層、意匠層、および接着層からなる、あるいは上記表面層、意匠層、意匠層と接着層を接合する接合層、および接着層からなる。
表面層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート/フッ化ビニリデン共重合体(PMMA/PVDF)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)およびそのアイオノマー、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの共重合体が使用できる。耐候性に優れていることから、アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂およびポリ塩化ビニルが好ましく、耐擦傷性に優れており、廃棄物として焼却したり埋め立てたりする際の環境負荷が小さいことから、アクリル樹脂およびポリウレタンがより好ましい。
表面層は、装飾積層シートに含まれる意匠層、任意の構成要素であるバルク層、接合層などの上に樹脂組成物をコーティングして形成することができる。あるいは、別のライナー上に樹脂組成物をコーティングして表面層フィルムを形成し、接合層を介して、意匠層、バルク層などの上に、そのフィルムをラミネートすることもできる。意匠層、バルク層などが、ライナー上に形成された表面層フィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接これらの層に表面層フィルムをラミネートすることもできる。例えば、表面層フィルムは、反応性ポリウレタン組成物などの樹脂材料を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによってライナーなどにコーティングし、必要に応じて加熱硬化することによって、形成することができる。
反応性ポリウレタン組成物は一般にポリオールと架橋剤を含む。ポリオールとして、例えば、アクリルポリオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオール、シクロヘキサンジメタノールカーボネート、1,6−ヘキサンジオールカーボネートなどのポリカーボネートポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールなどが使用できる。架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアナート(水添MDI、H12MDIなどとも呼ばれる)、それらのビュレット体、イソシアヌレート体またはアダクト体などのポリイソシアネートなどが使用できる。反応性ポリウレタン組成物は、水系であっても溶剤系であってもよい。水系の場合、ポリカルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンなどによって更に架橋することもできる。水系であればポリカーボネート系とポリカルボジイミド、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアナートおよび/またはアジリジン、溶剤系であればポリエステル系および/またはグリコール系とイソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート三量体(イソシアヌレート体)および/または4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアナートの組み合わせが特に好ましい。
表面層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは接合層を介して、意匠層、バルク層などにラミネートすることができる。あるいは、意匠層、バルク層などが、このようなフィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接これらの層にフィルムをラミネートすることもできる。平坦性の高いフィルムを使用することで、より表面平坦性の高い外観を構造物に与えることができる。また、表面層を他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。アクリルフィルムとしては、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、エチレン/アクリル共重合体樹脂、エチレン酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂などを用いることができる。アクリルフィルムは透明性に優れ、熱や光に強く、屋外で使用しても退色や光沢変化が生じにくい。また、可塑剤を使用せずとも耐汚染性に優れ、しかも成形加工性に優れ深絞り加工できるという特性を有する。特にPMMAを主成分とするものが好ましい。
表面層の厚さは様々であってよいが、一般に、約1μm以上、約5μm以上、または約10μm以上、約100μm以下、約80μm以下、または約50μm以下である。複雑な形状の基材に対して装飾積層シートを適用する場合、表面層は薄い方が形状追従性の観点から有利であり、例えば、約80μm以下、または約50μm以下であることが望ましい。一方、構造体に高い耐光性および/または耐候性を付与する場合、表面層は厚い方が有利であり、例えば約5μm以上、または約10μm以上であることが望ましい。本開示によれば、表面層が約100μm以下と比較的薄く、表面層単独では十分な耐引っかき性を示さない場合であっても、接着層の組成に起因して装飾積層シート全体で高い耐引っかき性が達成されるため、装飾積層シートを薄くすることができる。
表面層は、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、Tinuvin1130(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを含んでもよい。紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定化剤などを用いることによって、装飾積層シートが意匠層などに含まれる着色材の、特に紫外線などの光に対する感受性が比較的高い有機顔料の、変色、退色、劣化などを有効に防止することができる。表面層はハードコート材、光沢付与剤などを含んでもよく、追加のハードコート層を有してもよい。表面層は、目的とする外観を提供するために、透明であってもよく、半透明または不透明であってもよい。表面層が透明であることが有利である。
意匠層として、塗装色、金属色などを呈するカラー層、木目、石目などの模様や、ロゴ、絵柄などを構造体に付与するパターン層などが挙げられる。例えばカラー層として、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウムフレーク、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク、着色アルミニウムフレークなどのアルミ光輝材、フレーク状の、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物で被覆されたマイカおよび合成マイカなどのパール光輝材などの顔料がバインダー樹脂に分散されたものを使用することができる。パターン層として、印刷されたパターンを有するフィルム、シート、金属箔などを使用することができる。意匠層の厚さは様々であってよく、一般に、約5μm以上、約10μm以上、または約20μm以上、約300μm以下、約200μm以下、または約100μm以下とすることができる。
意匠層を、装飾積層シートの他の層の上に蒸着、スパッタなどによって形成されたインジウム、スズ、クロムなどの金属を含む金属層とすることもできる。このような金属層は高い光沢を有するためクロムメッキ代替フィルムなどに好適に使用される。この場合は、意匠層の厚さを、約5nm以上、約10nm以上、または約20nm以上、約10μm以下、約5μm以下、または約2μm以下とすることができる。
接着層はプロピレン単位を約85質量%以上有するポリマーを含有する。接着層を構成するポリマーがプロピレン単位を約90質量%以上有することが好ましく、約95質量%以上有することがより好ましい。理論に拘束されるわけではないが、プロピレン単位の含有量が約85質量%以上であることにより接着層の剛性が高まり、使用者の爪、自動車の鍵などにより装飾積層シート表面に外部から力が加わったときに、その力による変形に対して装飾積層シート全体で抵抗性を示すため、装飾積層シートの耐引っかき性が向上すると考えられる。
プロピレン単位を有するポリマーとして、プロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体(例えばプロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体)、エチレン/プロピレン/α−オレフィン共重合体(例えばエチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−オクテン共重合体)などのプロピレン含有共重合体、およびプロピレンホモポリマーと他のゴム状共重合体とのブレンドである、ポリプロピレン含有熱可塑性ポリオレフィン(TPО)を使用することができる。ポリプロピレン含有TPOに含まれるゴム状共重合体として、上記のプロピレン含有共重合体、エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合体(例えばエチレン/プロピレン/ジエンモノマー共重合体(EPDM))、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、天然ゴムなどが挙げられ、これらのゴム状共重合体は水素付加体であってもよく、架橋していてもよい。プロピレンホモポリマーと他のゴム状共重合体とのブレンドを使用する場合、プロピレンホモポリマーがブレンドの約80質量%以上、約85質量%以上、または約90質量%以上を構成することが有利である。これらの中では、プロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体、およびエチレン/プロピレン/α−オレフィン共重合体、ならびにそれらのブレンドからなる群から選択されるプロピレン単位を有するポリマーが、押出フィルムとするときの成形性が良好で、コシ、耐収縮性、耐熱性などにも優れ、市販品として入手することも容易であるため好ましい。接着層がプロピレンホモポリマーを含むことが好ましく、特に接着層がプロピレンホモポリマーからなる(プロピレン単位100質量%)場合、装飾積層シートにより高い耐引っかき性を付与することができる。
接着層を構成する材料の引張弾性率は、一般に約350N/mm以上、約400N/mm以上、または約450N/mm以上であり、約1000N/mm以下、約800N/mm以下、または約700N/mm以下である。引張弾性率が上記範囲であることにより、装飾積層シートに十分な耐引っかき性を付与することができる。引張弾性率は、JIS K7161に準拠して、幅50mmの試料を用意し、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/分、引張距離2mmと3mmの間で測定することによって決定することができる。
接着層の融点が低いと、耐熱試験にかけた際に、延伸して貼ったシートの応力で剥がれやズレが起きる。自動車外装の耐熱試験は夏場日中の水平塗装面の最高到達温度に基づいて通常80℃とされる。更に、メーカーによっては90℃、一部では100℃が要求される。自動車内装の耐熱試験は夏場のダッシュボードの最高到達温度に基づいて最低で100℃、多くの場合110℃が要求される。これらの温度に長時間耐えるためには試験温度より約20℃以上高い融点を有する接着層が必要であることから、接着層の融点は、約100℃以上、約110℃以上、約120℃以上、または約130℃以上であることが好ましい。接着層の融点は、示差走査カロリメーター(TAインスツルメント社製 Q2000 DSC装置)を用い、結晶化度(ΔH(J/g))と結晶の融解による吸熱のピーク温度(融点)を測定することにより決定される。接着層の融点は、サンプル3mgを使用し、50mL/分の窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、測定温度範囲0℃から200℃の条件で測定される。
接着層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは接合層を介して、意匠層、バルク層などにラミネートすることができる。あるいは、意匠層、バルク層などが、このようなフィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接これらの層をフィルムにラミネートすることもできる。結晶性が低く基材との接着性に優れることから、押出フィルム、特に無延伸の押出フィルムが好ましい。接着層を構成する成分を含む溶剤希釈組成物をライナー上にコーティングし、溶媒を除去して接着層フィルムを形成し、接合層を介して、意匠層、バルク層などの上に、そのフィルムをラミネートすることもできる。意匠層、バルク層などが、接着層フィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず直接これらの層を接着層フィルムにコーティングまたはラミネートすることもできる。接着層を他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。
接着層として使用できるフィルムとして、FX−333(オージェイケイ株式会社製、プロピレンホモポリマーとエチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体のブレンド、プロピレン単位の割合95.1質量%)、ST−500(龍田化学株式会社製、プロピレンホモポリマーフィルムなどが挙げられる。また、接着層として、多層押出、ラミネートなどによって形成された多層フィルムを使用することもできる。
接着層の厚さは様々であってよいが、一般に、約15μm以上、約30μm以上、または約50μm以上、約1000μm以下、約800μm以下、または約600μm以下である。接着層の厚さを、約15μm以上とすることにより、装飾積層シートに十分な耐引っかき性を付与することができる。一方、接着層の厚さを、約1000μm以下とすることにより、装飾積層シートの基材に対する形状追従性を高めることができる。
任意の要素であるバルク層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの共重合体が使用できる。強度、耐衝撃性などの観点から、バルク層としてポリウレタン、PVC、PET、ABSおよびポリカーボネートが有利に使用できる。バルク層は意匠層である印刷や金属層の支持層となり、また、成形時の均一な伸びを与え、外部からの穿刺、衝撃などから構造体をより有効に保護する保護層としても機能することができる。また、接着層や表面層を厚くする代わりにバルク層によって装飾積層シートの厚みを増すこともできる。厚い装飾積層シートは、基材表面の凹凸を隠蔽して構造体表面を平滑にすることができる。バルク層の厚さは様々であってよいが、装飾積層シートの成形性に悪影響を及ぼさずに上記機能を装飾積層シートに付与するという観点から、一般に、約2μm以上、約5μm以上、または約10μm以上であり、約500μm以下、約200μm以下、または約100μm以下とすることができる。バルク層を用いると装飾積層シートの耐引っかき性をより高めることができる。
上記の層を接合するために接合層を用いてもよい。接合層として、一般に使用されるアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、または熱もしくは紫外線硬化型の接着剤を使用することができ、熱硬化型ポリウレタン接着剤が有利に使用できる。接合層の厚さは、一般に、約1μm以上、約2μm以上、または約5μm以上、約100μm以下、約50μm以下、または約20μm以下とすることができる。
表面層、接着層、バルク層、および/または接合層は、意匠層について説明したものと同じ無機顔料、有機顔料、アルミ光輝材、パール光輝材などの着色材を含んでもよい。接着層が多層接着層の場合は、接着層に含まれる層のうち1または複数の層に着色材が含まれてもよい。カラー層などの意匠層を有する装飾積層シートは、その面積伸び率が大きくなると、すなわちより大きく延伸されると、意匠層の呈する色調に変化が生じて下地である基材を隠蔽する性能が低下する場合があるが、意匠層と基材の間に位置する接着層を酸化チタンで着色することにより、成形性および接着力に影響を及ぼさずに高延伸時でも高い隠蔽性を実現することができる。また、意匠層がインジウム蒸着膜などの金属層を含む装飾積層シート、たとえばクロムメッキ代替フィルムなどとして使用される装飾積層シートにおいては、接着層にカーボンブラックを含ませることによって下地である基材を隠蔽する性能を高めることができる。接着層に含まれる酸化チタンまたはカーボンブラックの量は、接着層の約0.1質量%以上、約0.2質量%以上、または約0.5質量%以上、約20質量%以下、約10質量%以下、または約5質量%以下とすることが有利である。
装飾積層シートの厚さは、一般に、約16μm以上、約25μm以上、または約50μm以上、約2000μm以下、約1000μm以下、または約500μm以下である。装飾積層シートの厚さを上記範囲とすることにより、複雑な形状を有する基材に対しても装飾積層シートを十分に追従させて、優れた外観を有する構造体を提供することができる。
装飾積層シートの耐引っかき性はJIS K5600−5−4に準拠した鉛筆硬度によって評価することができる。ある実施態様の装飾積層シートは、接着層をガラス板の表面に向けて装飾積層シートをガラス板の上に固定し、600mm/分の速度で表面層を引っかいたときの鉛筆硬度が2B以上である。鉛筆硬度は6B以上、5B以上、4B以上、または3B以上とすることができる。
装飾積層シートの製造方法については特に限定されない。各層についてはすでに説明したとおり製造することができる。装飾積層シートは、例えば、表面を剥離処理したPETフィルムなどのライナーの上に各層を形成し、これらをラミネートすることにより製造することができる。あるいは、一枚のライナーの上に、コーティング工程と必要に応じて硬化工程を繰り返して、各層を順次積層することもできる。各層の材料を多層押し出しして装飾積層シートを形成することもできる。
本開示の一実施態様によれば、基材と、基材の表面に適用された装飾積層シートとを含む構造体が提供される。図2に、一例としてこのような構造体の概略断面図を示す。構造体1は、装飾積層シート10によって覆われた基材20を含む。装飾積層シート10は、表面層、意匠層、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマー含有する接着層を含む。真空圧空成形により装飾積層シート10を基材20に適用することによって、装飾積層シートおよび基材が一体化された構造体を形成することができる。あるいは、基材となる熱可塑性材料を予め射出成形金型内にセットされた装飾積層シート10に射出することによって、装飾積層シートおよび射出された熱可塑性材料が一体化された構造体を形成することができる。あるいは、基材となる熱可塑性材料を装飾積層シート10の上に押し出すことによって、装飾積層シートおよび押し出された熱可塑性材料が一体化された構造体を形成することができる。真空圧空成形、金型内一体射出成形、および押出は、従来公知の方法によって行うことができる。
基材は様々な材料であってよく、様々な平面および三次元形状を有する材料を使用することができる。本開示の装飾積層シートはポリオレフィン系樹脂基材に対して優れた接着性を有する。ポリオレフィン系樹脂基材の中でもプロピレン単位を有するポリマーを含有する基材を使用することが有利であり、基材に含まれるプロピレン単位を有するポリマーとして、プロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体(例えばプロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体)、エチレン/プロピレン/α−オレフィン共重合体(例えばエチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−オクテン共重合体)などのプロピレン含有共重合体、およびプロピレンホモポリマーと他のゴム状共重合体とのブレンドである、ポリプロピレン含有熱可塑性ポリオレフィン(TPО)を使用することができる。ポリプロピレン含有TPOに含まれるゴム状共重合体として、上記のプロピレン含有共重合体、エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合体(例えばエチレン/プロピレン/ジエンモノマー共重合体(EPDM))、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、天然ゴムなどが挙げられ、これらのゴム状共重合体は水素付加体であってもよく、架橋していてもよい。上記ポリマーまたはブレンドのうち熱可塑性を有する材料を押出に使用することもできる。これらの中では、プロピレンホモポリマー、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体、およびエチレン/プロピレン/α−オレフィン共重合体、ならびにそれらのブレンドからなる群から選択されるプロピレン単位を有するポリマーが、射出成形性が良好で、成形品としての形状安定性、耐熱性などにも優れるため特に好ましい。
基材に含まれるプロピレン単位を有するポリマーは、プロピレン単位を約25質量%以上、約100質量%以下有する。当該ポリマーに含まれるプロピレン単位を約35質量%以上、または約50質量%以上としてもよい。
以下、図3を参照しながら、真空圧空成形法を用いて装飾積層シートを基材に適用する方法について例示的に説明する。
図3(A)に示すように、例示的な真空加熱圧着装置30は、上下に第1真空室31および第2の真空室32をそれぞれ有しており、上下の真空室の間に被着体である基材20に貼り付ける装飾積層シート10をセットする治具が備えられている。また、下側の第1真空室31には、上下に昇降可能な昇降台35(不図示)の上に仕切り板34および台座33が設置されており、三次元形状物などの基材20はこの台座33の上にセットされる。このような真空加熱圧着装置としては、市販のもの、例えば両面真空成型機(布施真空株式会社製)などを使用することができる。
図3(A)に示すように、まず、真空加熱圧着装置30の第1真空室31および第2真空室32を大気圧に解放した状態で、上下の真空室の間に、装飾積層シート10をセットする。第1真空室31において台座33の上に基材20をセットする。
次に、図3(B)に示すように、第1真空室31および第2真空室32を閉鎖し、それぞれ減圧し、各室の内部を真空(大気圧を0atmとした場合例えば−1atm)にする。その後または真空にするのと同時にシートを加熱する。次いで、図3(C)に示すように、昇降台35を上昇させて基材20を第2真空室32まで押し上げる。加熱は、例えば第2真空室32の天井部に組み込まれたランプヒータで行うことができる。
加熱された装飾積層シート10は基材20の表面に押しつけられて延伸される。その後または延伸と同時に、図3(D)に示すように、第2真空室32内を適当な圧力(例えば2atm〜0atm)に加圧する。圧力差により装飾積層シート10は基材20の露出表面に密着し、露出表面の凹凸形状に追従して延伸し、基材表面に密着した被覆を形成する。図3(B)の状態で減圧および加熱を行った後、そのまま第2真空室32内を加圧して、装飾積層シート10で基材20の露出表面を被覆することもできる。
この後、上下の第1真空室31および第2真空室32を再び大気圧に開放して、装飾積層シート10で被覆された基材20を外に取り出す。図3(E)に示すように、基材20の表面に密着した装飾積層シート10のエッジをトリミングして、真空圧空成形工程は完了する。このようにして、装飾積層シート10が基材20の端部においてその裏面21まで回り込んで露出面をきれいに被覆する、良好な巻き込み被覆がなされた構造体1を得ることができる。
成形後の装飾積層シートの最大面積伸び率は、一般に、約50%以上、約100%以上、または約200%以上、約1000%以下、約500%以下、または約300%以下である。面積伸び率は、面積伸び率(%)=(B−A)/A(A:装飾積層シートのある部分の成形前の面積、B:装飾積層シートのAに対応する部分の成形後の面積)で定義される。例えば、装飾積層シートのある部分の面積が成形前に100cmであって、その部分が成形後に基材の表面で250cmとなった場合は150%である。最大面積伸び率は、成形品表面全ての装飾積層シートのなかで最も高い面積伸び率の箇所の値を言う。三次元立体形状の基材に平らなシートを真空圧空成形または真空成形により貼り付けると、例えば最初にシートが基材に当たる部分はほとんど延伸されず面積伸び率はほぼ0%であり、最後に貼り付けられる端部では大きく延伸されて面積伸び率が200%以上になるといったように、場所によって面積伸び率が大きく異なる。シートが最も大きく延伸された部分で基材に対する未追従やシートの破れといった不具合が起きるか否かが成形の合否を決めることから、成形品全体の平均面積伸び率ではなく、最も大きく延伸された部分の面積伸び率、すなわち最大面積伸び率が成形品の合否の実質的な指標となる。最大面積伸び率は、例えば成形前の装飾積層シートの表面全体に1mm四方のマス目を印刷しておき、成形後にその面積変化を測定する、あるいは成形前後の装飾積層シートの厚さを測定することにより確認できる。
本開示の装飾積層シートは、自動車部品、家電製品、車輌(鉄道など)、建材などの装飾に使用することができ、特にクロムメッキ代替フィルムとして好適に使用できる。
以下の実施例において、本開示の装飾積層シートの具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部およびパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
本実施例で使用した試薬、原料などを以下の表1に示す。
Figure 2018094923
<例1>
水系ポリウレタン表面層/インジウム蒸着膜/ポリウレタン接合層/ポリオレフィンフィルム接着層の4層からなる装飾積層シートを、以下の手順にしたがって作製した。UW5002およびカルボジライト(登録商標)V−02を含む水系ポリウレタン組成物をT68にコーティングし、150℃の熱風炉中で10分加熱することによりUW5002をカルボジライト(登録商標)V−02で架橋して、PETフィルム上に30μm厚の表面層を形成した。次に、蒸着装置(尾池工業株式会社製)を用いて表面層の上に約30nm厚のインジウム蒸着膜を堆積してシートAを形成した。ニッポラン(登録商標)3124およびコロネート(登録商標)L−45を含む溶剤系ポリウレタン組成物を、コロナ処理したFX−333の上にコーティングし、溶媒を蒸発させて、10μm厚のポリウレタン接合層および100μm厚のポリオレフィンフィルム接着層を有するシートBを形成した。インジウム蒸着膜がポリウレタン接合層に接触するように、シートAおよびBを積層し、40℃で3日エージングした後T68を除去して例1の装飾積層シートを得た。
<例2>
溶剤系ポリウレタン表面層/インジウム蒸着膜/ポリウレタン接合層/ポリオレフィンフィルム接着層の4層からなる装飾積層シートを、以下の手順にしたがって作製した。プラクセル(登録商標)205Hおよびデスモデュール(登録商標)Z4470を含む溶剤系ポリウレタン組成物をPK−002にコーティングし、80℃の熱風オーブン中で5分加熱することにより溶剤を蒸発させ、T68を積層し、室温で数日置いた後にPK−002を剥離して150℃で加熱してポリウレタンを硬化し、T68上に55μm厚の表面層を形成した。インジウム蒸着膜を例1と同様に表面層の上に堆積してシートAを形成した。シートBの形成、シートAおよびBの積層を例1と同様に行って、例2の装飾積層シートを得た。
<例3>
例1のFX−333を黒色PPフィルム(カーボンブラックで着色したプロピレンホモポリマーフィルムに置き換えた以外は例1と同様の手順で例3の装飾積層シートを得た。
<例4>
例1のFX−333をST−500に置き換えた以外は例1と同様の手順で例4の装飾積層シートを得た。
<比較例1>
例1のFX−333をRXC−3に置き換えた以外は例1と同様の手順で比較例1の装飾積層シートを得た。
<比較例2>
例2のFX−333をRXC−3に置き換えた以外は例2と同様の手順で比較例2の装飾積層シートを得た。
<比較例3>
比較例2の装飾積層シートの上に、熱可塑性樹脂としてミラストマー(登録商標)9020Bを用いてベルトラインモールディングを押出成形によって形成した。
<評価方法>
本開示の装飾積層シートの性能を以下の方法に従って評価した。
1.装飾積層シートの耐引っかき性(鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4に準拠して、装飾積層シートの耐引っかき性(鉛筆硬度)を評価した。具体的には、接着層をガラス板の表面に向けて装飾積層シートをガラス板の上に固定し、荷重を750g、引っかき速度を600mm/分、鉛筆の軸方向が法線となるように芯の先端を平坦に研いだ鉛筆の角度を45度、引っかき長さを10mmとして、各鉛筆硬度について表面層を5回引っかいた。目視で検出できる引っかき傷が5回のうち2回以下であったときの鉛筆硬度を装飾積層シートの鉛筆硬度とした。ひっかき傷の程度については以下の基準で判断した。結果を表2に示す。
○:引っかき傷または跡をサンプルに対して垂直方向30cmの距離から目視では検出できない。
×:引っかき傷または跡がサンプルに対して垂直方向30cmの距離から目視で検出される。
Figure 2018094923
表面層が水系ポリウレタン(例1)および溶剤系ポリウレタン(例2)のいずれの場合も鉛筆硬度はBを示した。比較例2と比べてより高い鉛筆硬度を示した比較例3では、装飾積層シートの下地となった押出成形されたベルトラインモールディングが装飾積層シートの耐引っかき性の向上に寄与したものと考えられる。したがって、例1および例2の装飾積層シートについても、下地が樹脂部品などの場合、より高い鉛筆硬度を示すことが予想される。
2.延伸した装飾積層シートの評価
装飾積層シートを開口部のサイズが260mm×260mmのフレームにクランプ留めした。装飾積層シートが取り付けられたフレームを真空加熱圧着装置NGF−0709(布施真空株式会社製)の真空圧空成形チャンバー内に固定し、長さ150mm×幅70mm×厚さ3mmの無色ポリプロピレン平板、長さ150mm×幅70mm×厚さ3mmのカーボンブラック着色ポリプロピレン平板、淡青色に着色したポリプロピレン系ポリオレフィンを射出成形して得られたランプベゼル部品、または上記無色ポリプロピレン平板とカーボンブラック着色ポリプロピレン平板を隣り合わせて並べたものを基材としてフレームよりも下方に位置するテーブル上に配置した。チャンバーを閉じて、大気圧を0.00atmとしたときに−0.95atm以下になるようにチャンバー内を減圧し、装飾積層シートを150℃に加熱し、基材の載ったテーブルを上方に80mmもしくは100mm(平板)または20mm(ランプベゼル部品)移動させて停止することによって、装飾積層シートを延伸しながら基材に押しつけた。このようにして、基材に装飾積層シートが巻き付けられた試料を得た。
(1)隠蔽性(色差)
無色ポリプロピレン平板およびカーボンブラック着色ポリプロピレン平板を隣り合わせに並べた基材に装飾積層シートを適用した試料の隠蔽性(色差)を評価した。フィルムの延伸比は、真空圧空成形時のテーブルの移動距離(80mmまたは100mm)および平板の面内位置によって変化した。延伸比は、真空圧空成形時のテーブルの移動距離が長くなるほど大きくなり、また2枚の平板を一つの基材として見たときに基材の中心からから外周に向けて放射状に大きくなる。例えば、移動距離が80mmのときの基材の中心部分の延伸比は1.5倍であり、四隅の延伸比は2.2倍であった。また移動距離が100mmのときの中心部分の延伸比は2.0倍であり、四隅の延伸比は3.0倍であった。
無色ポリプロピレン平板およびカーボンブラック着色ポリプロピレン平板について延伸比が同じ対応する領域について、Spectraflash SF−600(Data Color社製)を用いてこれらの領域間の色差ΔEを測定した。色差が1.5未満であれば問題とならない。色差が2.5未満の場合、初期状態では不合格である(なお、色差2.5未満は耐候試験後であれば許容範囲である。)。色差が2.5以上では初期状態および耐候試験後のいずれについても不合格である。結果を表3に示す。
Figure 2018094923
(2)隠蔽性(目視試験)
ランプベゼル部品に装飾積層シートを適用した試料を目視で観察した。大きく延伸されたランプベゼル部品の側壁領域において、例1または比較例1の装飾積層シートを巻き付けた試料は、装飾積層シートの隠蔽性が低いため青っぽく見えた。対照的に、例3の装飾積層シートを巻き付けた試料においてはランプベゼル部品の青色は認識されなかった。
(3)耐引っかき性(鉛筆硬度)
上記耐引っかき性(鉛筆硬度)の評価手順にしたがって、無色ポリプロピレン平板を用いて得られた試料の1.7倍または2.7倍に延伸された領域の鉛筆硬度、およびランプベゼル部品を用いて得られた試料の鉛筆硬度を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2018094923
(4)接着力
無色ポリプロピレン平板を用いて得られた試料から10mm幅×100mm長の領域を切り出し、25℃、200mm/分で180°ピールしたときの剥離力または破断時の力(N/10mm)を2回測定する。結果を表5に示す。自動車装飾フィルムにおいて接着力が6.4N/mm以上であれば実用上問題ないとされる。
Figure 2018094923
(5)ポリオレフィン接着層フィルムの引張弾性率の測定
接着層フィルムを鋭利な刃で50mm幅に切断し、オートグラフAGS−X(株式会社島津製作所製)を使って、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/分にて、引張距離2mm時点での荷重A(N)と同3mm時点の荷重B(N)を求めた。フィルムの厚みをC(mm)として、JIS K7161に準拠して、引張距離2mmと3mmの間で測定した時の引張弾性率を以下の式により求めた。表6に結果を示す。
引張弾性率(N/mm)={(3mm時点荷重−2mm時点荷重)/(2mm−1mm)}×{初期つかみ間隔100mm/(フィルム幅50mm×フィルム厚みCmm)}
=2(B−A)/C
Figure 2018094923
1 構造体
10 装飾積層シート
11 表面層
12 意匠層
13 接着層
14 接合層
20 基材
21 基材裏面
30 真空加熱圧着装置
31 第1真空室
32 第2真空室
33 台座
34 仕切り板
35 昇降台
本開示の装飾積層シートは、自動車部品、家電製品、車輌(鉄道など)、建材などの装飾に使用することができ、特にクロムメッキ代替フィルムとして好適に使用できる。
本発明は以下の態様を包含する。
項目1
表面層、意匠層、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層をこの順で含む、装飾積層シート。
項目2
前記意匠層が金属層を含む、項目1に記載の装飾積層シート。
項目3
前記表面層の厚さが1〜100μmであり、前記接着層の厚さが15〜1000μmである、項目1または2のいずれかに記載の装飾積層シート。
項目4
前記接着層がプロピレンホモポリマーからなる、項目1〜3のいずれかに記載の装飾積層シート。
項目5
前記接着層がカーボンブラックを含む、項目1〜4のいずれかに記載の装飾積層シート。
項目6
JIS K5600−5−4に準拠して、前記接着層をガラス板の表面に向けて前記装飾積層シートを前記ガラス板の上に固定し、600mm/分の速度で表面層を引っかいたときの鉛筆硬度が2B以上である、項目1〜5のいずれかに記載の装飾積層シート。
項目7
JIS K7161に準拠して、幅50mmの試料を用意し、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/分、引張距離2mmと3mmの間で測定した時の前記接着層を構成する材料の引張弾性率が350〜1000N/mm である、項目1〜6のいずれかに記載の装飾積層シート。
項目8
基材と、前記基材の表面に適用された項目1〜7のいずれかに記載の装飾積層シートとを含む構造体。
項目9
項目1〜7のいずれかに記載の装飾積層シートを用意し、
前記装飾積層シートを真空圧空成形により基材に適用して、前記装飾積層シートおよび前記基材が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法。
項目10
項目1〜7のいずれかに記載の装飾積層シートを用意し、
前記装飾積層シートの上に熱可塑性材料を押し出して、または金型内で射出成形して、前記装飾積層シートおよび前記熱可塑性材料が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法。

Claims (10)

  1. 表面層、意匠層、およびプロピレン単位を85質量%以上有するポリマーを含有する接着層をこの順で含む、装飾積層シート。
  2. 前記意匠層が金属層を含む、請求項1に記載の装飾積層シート。
  3. 前記表面層の厚さが1〜100μmであり、前記接着層の厚さが15〜1000μmである、請求項1または2のいずれかに記載の装飾積層シート。
  4. 前記接着層がプロピレンホモポリマーからなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装飾積層シート。
  5. 前記接着層がカーボンブラックを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装飾積層シート。
  6. JIS K5600−5−4に準拠して、前記接着層をガラス板の表面に向けて前記装飾積層シートを前記ガラス板の上に固定し、600mm/分の速度で表面層を引っかいたときの鉛筆硬度が2B以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装飾積層シート。
  7. JIS K7161に準拠して、幅50mmの試料を用意し、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/分、引張距離2mmと3mmの間で測定した時の前記接着層を構成する材料の引張弾性率が350〜1000N/mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装飾積層シート。
  8. 基材と、前記基材の表面に適用された請求項1〜7のいずれか一項に記載の装飾積層シートとを含む構造体。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の装飾積層シートを用意し、
    前記装飾積層シートを真空圧空成形により基材に適用して、前記装飾積層シートおよび前記基材が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の装飾積層シートを用意し、
    前記装飾積層シートの上に熱可塑性材料を押し出して、または金型内で射出成形して、前記装飾積層シートおよび前記熱可塑性材料が一体化された構造体を形成することを含む、構造体の製造方法。
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