(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態による搬送システムは、ムービングマグネット形のリニアモータを用いたものである。まず、本実施形態による搬送システムにおけるムービングマグネット形のリニアモータの基本的な構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態による搬送システムにおけるリニアモータを示す概略図であり、図1(a)はリニアモータの側面図、図1(b)はリニアモータの上面図、図1(c)はリニアモータの正面図である。
図1に示すように、ムービングマグネット形のリニアモータは、マグネット6を有する可動部(可動子)1と、可動部1のマグネット6に対して移動磁界を発生させるコイル5を有する固定部(固定子)2とを備えている。可動部1の側部の下端には、その移動方向に沿って位置情報が記録されたスケール3が設けられている。また、固定部2には、可動部1のスケール3を読み取って可動部1の位置情報を取得する位置検出部4がスケール3に対向可能に可動部1の下側に設けられている。なお、図1では、可動部1の移動方向をx方向とし、可動部1の幅方向をy方向とし、x方向及びy方向に直交する上下方向をz方向とする。
固定部2は、並行して設けられた2つのガイド部2aを有している。2つのガイド部2aの内側のそれぞれには、可動部1の移動方向に沿って、コイル5としてU相、V相及びW相の各相のコイルが繰り返し設けられている。固定部2上では、可動部1がガイド部2aに沿って移動可能になっている。
可動部1の下部には、固定部2のガイド部2aの内側に設けられたコイル5に挟まれるように、マグネット6が設けられている。マグネット6は、可動部1の移動方向に沿って配置された複数の永久磁石から構成されている。マグネット6における複数の永久磁石は、固定部2のコイル5に対向する両側のそれぞれに交互に異極が現れるように配置されている。
上記リニアモータでは、固定部2のコイル5におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対して駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が供給される。これにより、可動部1のマグネット6に対する移動磁界がコイル5で発生する。こうしてコイル5で発生した移動磁界により、固定部2上の可動部1が駆動されて固定部2のガイド部2aに沿って直線的に移動する。
図2は、上記図1に示す構造を有するムービングマグネット形のリニアモータを用いた本実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。図2において、101は可動部であり、図1に示す可動部1と同様の構成を有している。また、201〜203は固定部であり、図1に示す固定部2と同様の構成を有している。また、固定部203は、さらに、後述するシフト部1001上を水平に平行移動可能に構成されている。
可動部101は、図1に示す可動部1と同様に、スケール3と、マグネット6とを有している。
固定部201〜203は、それぞれ図1に示す固定部2の構成に対応して、コイル5に対応するコイル501〜503をそれぞれ有している。また、固定部201〜203は、それぞれ図1に示す固定部2と同様に位置検出部4を有している。
本実施形態による搬送システムが設置された領域には、位置が固定された固定部201、202が設置されている。固定部201、202は、固定部201、202上の可動部101の移動方向が互いに平行になるように横方向に並んで設置されている。なお、図2では、固定部201〜203における可動部101の移動方向をx方向とし、x方向に直交する固定部201、202の配置方向をy方向とする。
また、x方向における固定部201、202の一端側には、固定部203をy方向に水平に平行移動させるシフト部1001が設置されている。シフト部1001上には、固定部201、202と同じく可動部101の移動方向をx方向とする固定部203が移動可能に搭載されている。
シフト部1001上の固定部203は、シフト部1001により、固定部201の一端側と固定部202の一端側との間でy方向に水平に平行移動可能に構成されている。また、シフト部1001上を水平に平行移動する固定部203は、固定部201の一端に対向する位置に停止し、また、固定部202の一端に対向する位置に停止することができるようになっている。対向する位置に停止した際の固定部203と固定部201又は固定部203との間隔は、例えば、コイル501〜503を構成する各相のコイル1個分の幅よりも狭い僅かなものとなっている。これにより、固定部203が固定部201又は固定部203の一端に対向する位置に停止した際に、互いに対向する固定部の各相のコイルがほぼ一定の周期で並ぶことになる。このため、可動部101は、固定部203と固定部201又は固定部202との間を円滑に乗り継ぐことができる。なお、前記シフト部1001は、特にその構成が限定されるものではないが、例えば、公知の回転モータとボールネジとを組み合わせたリニアガイド等を用いることができる。
シフト部1001には、シフト部1001に駆動電流を供給し、シフト部1001上の固定部203の平行移動を制御するためのシフト部駆動制御部1002が接続されている。シフト部駆動制御部1002には、搬送システムの全体動作を制御するCPU部8が接続されている。シフト部駆動制御部1002は、CPU部8からの指令に応じて、シフト部1001に駆動電流を供給するようになっている。
また、シフト部1001には、シフト部1001上の固定部203の位置情報を取得する位置検出部(不図示)が内蔵されている。CPU部8は、この位置検出部により取得される固定部203の位置情報に基づき、シフト部1001による固定部203の平行移動を制御することができる。
固定部201のコイル501には、移動磁界を発生させるための駆動電流を出力してコイル501に供給可能な駆動制御部71が接続されている。また、固定部201には、駆動制御部71に接続された電極部30が設けられている。電極部30は、固定部201のシフト部1001に対向する端部に設けられている。
また、固定部202のコイル502には、移動磁界を発生させるための駆動電流を出力してコイル502に供給可能な駆動制御部72が接続されている。また、固定部202には、駆動制御部72に接続された電極部31が設けられている。電極部31は、固定部202のシフト部1001に対向する側の端部に設けられている。
また、シフト部1001上の固定部203には、コイル503に接続された電極部32が設けられている。電極部32は、固定部203の固定部201、202に対向する側の端部に設けられている。
固定部203の電極部32は、固定部203が固定部201の一端に対向する位置に停止したときに、固定部201の電極部30に接続されるように構成されている。電極部32が電極部30に接続されると、駆動制御部71は、シフト部1001上の固定部203のコイル503に、移動磁界を発生させるための駆動電流を供給可能になる。
また、シフト部1001上の固定部203の電極部32は、固定部203が固定部202の一端に対向する位置に停止したときに、固定部202の電極部31に接続されるように構成されている。電極部32が電極部31に接続されると、駆動制御部72は、シフト部1001上の固定部203のコイル503に、移動磁界を発生させるための駆動電流を供給可能になる。
固定部203において、電極部32は一か所のみに設けられている。このため、固定部203は、電極部32のために複雑な構造にはなっておらず、簡単な構造になっている。
駆動制御部71、72には、それぞれCPU部8が接続されている。駆動制御部71、72は、それぞれCPU部8からの指令に応じて、固定部201のコイル501、固定部202のコイル502、及び固定部203のコイル503に駆動電流を供給するようになっている。
また、駆動制御部71には、各々の固定部201、203に対して配置されている位置検出部4、4が接続されている。これら位置検出部4、4により、固定部201、203上の可動部101の位置情報を読み取ることができるようになっている。また、駆動制御部72には、各々の固定部202、203に対して配置されている位置検出部4、4が接続されている。これら位置検出部4、4により、固定部202、203上の可動部101の位置情報を読み取ることができるようになっている。
なお、固定部203については、固定部201の一端に対向して停止した固定部203に対する位置検出部4と、固定部202の一端に対向して停止した固定部203に対する位置検出部4とがそれぞれ配置されている。駆動制御部71には前者の位置検出部4が接続され、駆動制御部72には後者の位置検出部4が接続されている。
制御部として機能するCPU部8には、CPU部8によって実行される様々な制御プログラム等を格納するROM(不図示)等が接続されている。また、CPU部8には、CPU部8が処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(不図示)等が接続されている。本実施形態による搬送システムにおける各部の動作は、CPU部8により制御される。
図3は、本実施形態による搬送システムの制御を説明するためのブロック図である。図2の構成図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。
図3に示すように、固定部201〜203のそれぞれに対して設けられた位置検出部4により、固定部201〜203上の可動部101の位置情報が取得される。取得された可動部101の位置情報は、位置情報を取得した位置検出部4が接続される駆動制御部71又は駆動制御部72を介してCPU部8に送られる。
CPU部8は、駆動制御部71、72を制御して、位置検出部4により取得される位置情報に応じて固定部201、202のコイル501、502に駆動電流を供給する。こうして、CPU部8は、固定部201、202のコイル501、502による移動磁界の発生を制御し、固定部201、202上の可動部101の駆動を制御する。なお、シフト部1001上を移動可能な固定部203上における可動部101の駆動制御については後述する。
また、シフト部1001の駆動は、CPU部8からの指令に応じて、シフト部駆動制御部1002から駆動電流をシフト部1001に供給することで行う。シフト部1001上の固定部203の位置情報は、前記シフト部1001に内蔵された位置検出部(不図示)により取得される。取得された固定部203の位置情報は、シフト部駆動制御部1002を介してCPU部8に送られる。CPU部8は、取得される固定部203の位置情報に応じて、シフト部駆動制御部1002による駆動電流の供給を制御し、シフト部1001上の固定部203の駆動を制御する。
シフト部1001上の固定部203が固定部201に対向する位置に停止しているとき、固定部203の電極部32が固定部201の電極部30に接続される。固定部203のコイル503は、電極部32と電極部30とが接続されることで、固定部201のコイル501とともに駆動制御部71に接続される。こうして固定部203のコイル503には、駆動制御部71から駆動電流が供給される。これにより、固定部203上の可動部101は駆動可能となる。
また、シフト部1001上の固定部203が固定部202に対向する位置に停止しているとき、固定部203の電極部32が固定部202の電極部31に接続される。固定部203のコイル503は、電極部32と電極部31とが接続されることで、固定部202のコイル502とともに駆動制御部72に接続される。こうして固定部203のコイル503には、駆動制御部72から駆動電流が供給される。これにより、固定部203上の可動部101は駆動可能となる。
シフト部1001上の固定部203は、可動部101が固定部203上に停止した状態でシフト部1001により駆動され、上記固定部201に対向する停止位置と固定部202に対向する停止位置との間を水平に平行移動する。固定部203が固定部201、202のいずれにも対向しない位置にあるとき、つまり、固定部203がシフト部1001上を水平に平行移動しているときは、可動部101は停止中である。このため、固定部203のコイル503に対しては駆動電流を供給する必要はなく、移動中の固定部203に対しては、駆動制御部は不要となる。
図4及び図5は、それぞれ本実施形態による搬送システムにおけるコイルの接続を示す概略図である。図2の構成図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。図4はコイルが直列に接続される場合を示しているのに対し、図5はコイルが並列に接続される場合を示している。
図4は、固定部201のコイル501と固定部203のコイル503とが、電極部30と電極部32とが接続されることで直列に接続されている状態を示している。
図4に示すように、固定部201のコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により駆動制御部71に接続されている。また、コイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。電極部30は、このY結線側の配線に設けられている。
電極部32が電極部30に接続されていない状態では、Y結線されたコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対し、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が供給される。
一方、固定部203のコイル503には、そのU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子側に電極部32が設けられている。また、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。
電極部32が電極部30に接続された状態では、コイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子が、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子にそれぞれ接続される。こうして、コイル501とコイル503とが直列に接続され、それぞれの各相のコイルが駆動制御部71に直列に接続される。直列に接続されたコイル501、503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルには、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が同位相で供給される。
また、固定部202のコイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により駆動制御部72に接続されている。また、コイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。電極部31は、このY結線側の配線に設けられている。
電極部32が電極部31に接続されていない状態では、Y結線されたコイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対し、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が供給される。
電極部32が電極部31に接続された状態では、コイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子が、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子にそれぞれ接続される。こうして、コイル502とコイル503とが直列に接続され、それぞれの各相のコイルが駆動制御部に72に直列に接続される。直列に接続されたコイル502、503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルには、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が同位相で供給される。
以上のようにして、電極部32が電極部30又は電極部31に接続されることで、コイル503と、コイル501又はコイル502とが直列に接続される。また、コイル503が接続されないときは、前記電極部30、31では、U相、V相及びW相の各相のコイルがY結線される。
一方、図5は、固定部201のコイル501と固定部203のコイル503とが、電極部36と電極部32が接続されることで並列に接続されている状態を示している。なお、図5では、固定部201には電極部30に代えて電極部36が設けられ、固定部203には電極部31に代えて電極部37が設けられている。
図5に示すように、固定部201のコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により駆動制御部71に接続されている。また、コイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。電極部36は、U相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子と駆動制御部71とを接続する配線に設けられている。
電極部32が電極部36に接続されていない状態では、Y結線されたコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対し、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が供給される。
一方、固定部203のコイル503には、そのU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子側に電極部32が設けられている。また、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。
電極部32が電極部36に接続された状態では、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子が、コイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルと駆動制御部71とを接続する配線にそれぞれ分岐して接続される。こうして、コイル501とコイル503とが並列に接続され、それぞれの各相のコイルが駆動制御部71に並列に接続される。並列に接続されたコイル501、503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルには、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が同位相で供給される。
また、固定部202のコイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により駆動制御部72に接続されている。また、コイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は、配線によりY結線されている。電極部37は、U相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子と駆動制御部72とを接続する配線に設けられている。
電極部32が電極部37に接続されていない状態では、Y結線されたコイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対し、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が供給される。
電極部32が電極部37に接続された状態では、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子が、コイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルと駆動制御部72とを接続する配線にそれぞれ分岐して接続される。こうして、コイル502とコイル503とが並列に接続され、それぞれの各相のコイルが駆動制御部72に並列に接続される。並列に接続されたコイル502、503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルには、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の交流電流が同位相で供給される。
以上のようにして、電極部32が電極部36又は電極部37に接続されることで、コイル503と、コイル501又はコイル502とが並列に接続される。また、コイル503が接続されないときは、前記電極部30、31を介して、Y結線されたU相、V相及びW相の各相のコイルが駆動制御部71、72に接続される。
なお、コイル503は、コイル501又はコイル502に対し、図4に示すように直列に接続されてもよいし、図5に示すように並列に接続されてもよい。ただし、各コイルに同様に駆動電流を供給し、より安定した可動部101の駆動を確保する観点からは、コイルのインピーダンス等を考慮すると、直列に接続される場合の方が好ましい。
図6は、前記固定部201の電極部30及び固定部203の電極部32の構造を示す模式図である。図6(a)及び図6(c)はそれぞれ側面図、図6(b)及び図6(d)はそれぞれ上面図である。また、図6(a)及び図6(b)は、固定部203が固定部202側から固定部201側に移動している状態を示す図である。また、図6(c)及び図6(d)は、固定部203が固定部201に対向する位置で停止している状態を示す図である。なお、図6の各図では、図2と同様に、固定部201〜203における可動部101の移動方向をx方向とし、x方向に直交する固定部201、202の配置方向をy方向とする。また、図6の各図では、さらに、x方向及びy方向に直交する上下方向をz方向とする。なお、図6には、電極部30及び電極部32の構造を示すが、上記電極部31、36、37についても、電極部30と同様の構造を採用することができる。
前記電極部30及び32は、互いに固定部201、203の下部で接触するような位置に取り付けられている。
図6に示すように、電極部30には、固定部203の移動方向であるy方向に交差するx方向に沿って電極部32側に突出した複数の電極端子30a、30b、30cが設けられている。複数の電極端子30a、30b、30cは、以下に述べる電極部32の電極端子の突出方向であるz方向に沿って上下に間隔を空けて並んで設けられている。
電極端子30a、30b、30cは、互いに長さが異なっている。3本の電極端子30a、30b、30cの長短の順位は、上側の電極端子30aが最も短く、中央の電極端子30bが次いで短く、下側の電極端子30cが最も長くなっている。
電極端子30a、30b、30cは、それぞれ例えば板ばね等の弾性体で構成されており、先端部に作用する荷重により弾性変形するようになっている。
電極端子30a、30b、30cは、コイル501における各相のコイルに接続される配線にそれぞれ接続されている。例えば、電極端子30aは、U相のコイルに接続される配線に接続され、U相の交流電流を供給するためのものになっている。また、電極端子30bは、V相のコイルに接続される配線に接続され、V相の交流電流を供給するためのものになっている。また、電極端子30cは、W相のコイルに接続される配線に接続され、W相の交流電流を供給するためのものになっている。
一方、電極部32は、上記電極部30の電極端子30a、30b、30cの上方に位置するように固定部203に設けられている。電極部32には、固定部203の移動方向であるy方向及び電極部30の電極端子の突出方向であるx方向の両方向と交差するz方向に沿って、電極部30の電極端子側である下側に突出するように複数の電極端子32a、32b、32cが設けられている。電極端子32a、32b、32cは、電極部30の電極端子の突出方向であるx方向に沿って間隔を空けて並んで設けられている。
電極端子32a、32b、32cは、互いに長さが異なっている。3本の電極端子32a、32b、32cの長短の順位は、電極部30に最も近い電極端子32aが最も短く、中央の電極端子32bが次いで短く、電極部30から最も遠い電極端子32cが最も長くなっている。
電極端子32a、32b、32cは、それぞれ後述するように電極端子30a、30b、30cを押し曲げ可能な剛性体で構成されている。また、電極端子32a、32b、32cの下端部は、それぞれ先端側ほど細くなるテーパ形状になっている。
電極端子32a、32b、32cは、コイル503における各相のコイルに接続される配線にそれぞれ接続されている。例えば、電極端子32aは、U相のコイルに接続される配線に接続され、U相の交流電流を供給するためのものになっている。また、電極端子32bは、V相のコイルに接続される配線に接続され、V相の交流電流を供給するためのものになっている。また、電極端子32cは、W相のコイルに接続される配線に接続され、W相の交流電流を供給するためのものになっている。
また、電極端子32aのx方向における位置は、電極端子30aの先端部のx方向における位置に一致している。また、電極端子32bのx方向における位置は、電極端子30aで隠れていない電極端子30bの先端部のx方向における位置に一致している。また、電極端子32cのx方向における位置は、電極端子30bで隠れていない電極端子30cの先端部のx方向における位置に一致している。
また、電極端子32aの長さは、電極端子30aの先端部に当接して電極端子30aの先端部を下方に押し曲げ可能な長さになっている。また、電極端子32bの長さは、電極端子30bの先端部に当接して電極端子30bの先端部を下方に押し曲げ可能な長さになっている。また、電極端子32cの長さは、電極端子30cの先端部に当接して電極端子30cの先端部を下方に押し曲げ可能な長さになっている。
電極端子30a、30b、30cと電極端子32a、32b、32cとは、長さの順位に応じてそれぞれ対応しており、対応する電極端子同士が互いに接続されるようになっている。すなわち、電極端子30aと電極端子32aとが対応して互いに接続され、電極端子30bと電極端子32bとが対応して互いに接続され、電極端子30cと電極端子32cとが対応して互いに接続されるようになっている。
上記構造を有する電極部30と電極部32とは以下のようにして接続される。
シフト部1001上を固定部203がy方向に沿って固定部201側に移動していくと、図6(a)及び図6(b)に示すように、電極部32が電極部30に接近していく。そして、固定部203が固定部201に対向する位置で停止すると、図6(c)及び図6(d)に示すように、電極部32が、電極部30の電極端子30a、30b、30cの上方に位置して停止する。
このとき、電極端子32aは、固定部203が停止する僅かに前から電極端子30aの側部に当接しつつ電極端子30a上に乗り上げ、電極端子30aを下方に押し曲げて停止する。また、電極端子32bは、固定部203が停止する僅かに前から電極端子30bの側部に当接しつつ電極端子30b上に乗り上げ、電極端子30bを下方に押し曲げて停止する。また、電極端子32cは、固定部203が停止する僅かに前から電極端子30cの側部に当接しつつ電極端子30c上に乗り上げ、電極端子30cを下方に押し曲げて停止する。この際、電極端子32a、32b、32cは、それぞれ下端部がテーパ形状を有しているため、それぞれ電極端子30a、30b、30cに円滑に乗り上げることができる。
また、上述のように、電極端子30a、30b、30cがこの順で長くなる長さを有し、電極端子32a、32b、32cがこの順で長くなる長さを有している。このように各電極端子が異なる長さを有しているため、電極端子32aが電極端子30a以外の他の電極端子に当接することはない。また、電極端子32bが電極端子30b以外の他の電極端子に当接することもない。また、電極端子32cが電極端子30c以外の他の電極端子に当接することもない。
こうして、長さの順位に対応して、電極端子30aと電極端子32aとが接続され、電極端子30bと電極端子32bとが接続され、電極端子30cと電極端子32cとが接続される。これにより、コイル501とコイル503とが接続される。例えば、電極端子30aと電極端子32aとが接続されることで、コイル501におけるU相のコイルとコイル503におけるU相のコイルとが上述のように直列又は並列に接続される。また、電極端子30bと電極端子32bとが接続されることにより、コイル501におけるV相のコイルとコイル503におけるV相のコイルとが上述のように直列又は並列に接続される。また、電極端子30cと電極端子32cとが接続されることにより、コイル501におけるW相のコイルとコイル503におけるW相のコイルとが上述のように直列又は並列に接続される。
上記のように電極端子32a、32b、32cによりそれぞれ押し曲げられている電極端子30a、30b、30cは、それぞれ弾性体で構成されている。このため、電極端子30a、30b、30cは、それぞれ弾性力により電極端子32a、32b、32cに押し付けられる。これにより、本実施形態では、複雑な構造を必要とすることなく、各電極端子間の確実な接触を確保することができる。
このように、本実施形態では、ばねのような弾性体で構成される電極部30の電極端子30a、30b、30cがそれぞれ電極部32の電極端子32a、32b、32cと接触することで固定部203のコイル503に駆動電流が供給される。
また、U相、V相及びW相の各相の交流電流を供給するための電極端子を図に示す通り段違いに配置することで、固定部203が移動中には他相の電極端子と接触することなく、固定部201、202に対向する位置でのみ接触する構成になっている。
なお、電極部30、31、36、37及び電極部32の構造は、いずれも上述した構造に限定されるものではなく、種々の構造を採用することができる。
上記本実施形態による搬送システムでは、可動部101が停止している固定部203がシフト部1001上を移動することにより、可動部101の移動方向を変更することができる。以下、固定部202上を移動した可動部101が、シフト部1001上を移動する固定部203を経た後、固定部201上を移動する場合を例に説明する。
まず、固定部203が固定部202に対向する位置に停止して、電極部32が電極部31に接続されているとする。この状態では、駆動制御部72により駆動電流が固定部202、203のコイル502、503に供給される。
上記の状態で、固定部202上の可動部101は、駆動制御部72により駆動され、固定部202上を固定部203側に向けて移動し、続いて固定部203上を固定部202から離れる方向に移動した後、固定部203上の所定の位置で停止される。移動する可動部101の位置情報は、固定部202、203に対してそれぞれ設けられた位置検出部4、4により取得され、CPU部8に送られる。CPU部8は、送られる可動部101の位置情報に基づき、駆動制御部72による駆動電流の供給を制御する。
次いで、シフト部駆動制御部1002によりシフト部1001が駆動される。これにより、可動部101が停止している固定部203が、固定部202に対向する位置から固定部201側に向けて水平に平行移動し、固定部201に対向する位置に停止する。
固定部203が固定部201に対向する位置に停止すると、電極部32が電極部30に接続される。この状態では、駆動制御部71により駆動電流が固定部201、203のコイル501、503に供給される。
上記の状態で、固定部203上の可動部101は、駆動制御部71により駆動され、固定部203上を固定部201側に向けて移動し、続いて固定部201上を固定部203から離れる方向に移動する。固定部201上の可動部101は、固定部202上での移動方向とは逆方向に固定部201上を移動する。この間、移動する可動部101の位置情報は、固定部203、201に対してそれぞれ設けられた位置検出部4、4により取得され、CPU部8に送られる。CPU部8は、送られる可動部101の位置情報に基づき、駆動制御部71による駆動電流の供給を制御する。
このように、本実施形態による搬送システムでは、シフト部1001上を移動する固定部203に対しては、駆動制御部71、72とは別個に独自に駆動制御部を設ける必要がない。したがって、本実施形態によれば、より少ない設置台数の駆動制御部で可動部101を駆動することができ、駆動制御部の設置台数の増加によるコストの増加を伴うことなく、可動部101の移動方向を変更可能な搬送システムを実現することができる。
また、シフト部1001上を移動する固定部203のコイル503は、互いに接続された電極部32及び電極部30又は電極部31を介して駆動制御部71又は駆動制御部72に接続される。このように、本実施形態による搬送システムでは、駆動制御部71、72の切り替えを電極部を介して行うことで、移動機構を設けた固定部203のコイル503を駆動制御部71、72に接続する外部ケーブルが不要になっている。このため、本実施形態による搬送システムを設置するに際して、シフト部1001上を移動する固定部203に接続される外部ケーブルを敷設する作業を行う必要がない。また、その外部ケーブルのためのケーブルベア(登録商標)も当然に不要となる。
このように、本実施形態では、固定部のコイルに駆動電流を供給する駆動制御部の設置台数を低減することができ、また、外部ケーブルの敷設もケーブルベアも不要である。したがって、本実施形態によれば、リニアモータを用いた搬送システムにおいて、固定部、シフト部等の各部のレイアウトの自由度を向上するとともに、保守性及び信頼性を向上することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
図7は、本実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。図2の構成図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。本実施形態による搬送システムでは、切替部701、702を有している。切替部701は、駆動制御部71の駆動電流をコイル501、コイル503どちらに供給するかを切り替えることができる。同様に、切替部702は、駆動制御部72の駆動電流をコイル502、コイル503どちらに供給するかを切り替えることができる。コイル503に駆動電流を供給する場合は、電極部33と電極部35とが接続され又は電極部34と電極部35とが接続される。
図7に示すように、固定部201のコイル501には、切替部701を介して駆動制御部71が接続可能になっている。また、固定部201には、電極部30に代えて、切替部701を介して駆動制御部71に接続可能な電極部33が設けられている。電極部33は、固定部201のシフト部1001に対向する端部に設けられている。
切替部701は、コイル501と駆動制御部71との接続と、電極部33と駆動制御部71との接続とを切り替えることができるように構成されている。切替部701は、駆動制御部71を介してCPU部8に接続されている。CPU部8は、切替部701による接続の切り替えを制御することができる。
また、固定部202のコイル502には、切替部702を介して駆動制御部72が接続可能になっている。また、固定部202には、電極部31に代えて、切替部702を介して駆動制御部72に接続可能な電極部34が設けられている。電極部34は、固定部202のシフト部1001に対向する側の端部に設けられている。
切替部702は、コイル502と駆動制御部72との接続と、電極部34と駆動制御部72との接続とを切り替えることができるように構成されている。切替部702は、駆動制御部72を介してCPU部8に接続されている。CPU部8は、切替部702による接続の切り替えを制御することができる。
また、シフト部1001上の固定部203には、電極部32に代えて、コイル503に接続された電極部35が設けられている。電極部35は、固定部203の固定部201、202に対向する側の端部に設けられている。
シフト部1001上の固定部203の電極部35は、固定部203が固定部201の一端に対向する位置に停止したときに、固定部201の電極部33に接続されるように構成されている。電極部35が電極部33に接続されると、駆動制御部71は、切替部701を介して、シフト部1001上の固定部203のコイル503に駆動電流を供給することが可能になる。
また、シフト部1001上の固定部203の電極部35は、固定部203が固定部202の一端に対向する位置に停止したときに、固定部202の電極部34に接続されるように構成されている。電極部35が電極部34に接続されると、駆動制御部72は、切替部702を介して、シフト部1001上の固定部203のコイル503に駆動電流を供給することが可能になる。
切替部701、702は、それぞれCPU部8からの切替信号に応じて、上記接続の切り替えを行う。これにより、切替部701、702は、それぞれ駆動制御部71、72による駆動電流の供給先をコイル501、502又は電極部33、34に切り替えるようになっている。
図8は、本実施形態による搬送システムの制御を説明するためのブロック図である。図7の構成図及び図3のブロック図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。
シフト部1001上の固定部203が固定部201に対向する位置に停止しているとき、固定部203の電極部35と固定部201の電極部33とが接続される。切替部701は、CPU部8からの切替信号S1に応じて、電極部33と駆動制御部71とが接続されるように接続を切り替える。こうして固定部203のコイル503には、駆動制御部71から駆動電流が切替部701を介して供給される。これにより、固定部203上の可動部101は駆動可能となる。
CPU部8は、シフト部1001に内蔵された位置検出部により固定部203の位置情報を取得し、固定部203が固定部201に対向する位置に停止したことを検出すると、上記切替信号S1を出力する。
同様に、シフト部1001上の固定部203が固定部202に対向する位置に停止しているとき、固定部203の電極部35と固定部202の電極部34が接続される。切替部702は、CPU部8からの切替信号S2に応じて、電極部34と駆動制御部72とが接続されるように接続を切り替える。こうして固定部203のコイル503には、駆動制御部72から駆動電流が切替部702を介して供給される。これにより、固定部203上の可動部101は駆動可能となる。
CPU部8は、シフト部1001に内蔵された位置検出部により固定部203の位置情報を取得し、固定部203が固定部202に対向する位置に停止したことを検出すると、上記切替信号S2を出力する。
シフト部1001上の固定部203が移動中の場合は、切替部701は、切替信号S1を制御することで駆動制御部71による駆動電流を前記固定部201のコイル501に供給する。同様に、切替部702は、切替信号S2を制御することで駆動制御部72による駆動電流を前記固定部202のコイル502に供給する。
図9は、本実施形態による搬送システムにおけるコイルの接続を示す概略図である。図7の構成図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。
図9に示すように、固定部201のコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により切替部701を介して駆動制御部71に接続可能になっている。また、固定部201のコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は配線によりY結線されている。また、電極部33は、切替部701を介して駆動制御部71に接続可能になっている。
電極部35が電極部33に接続されていない状態では、切替部701によりコイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルが駆動制御部71に接続される。これにより、コイル501におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対して、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の各相の交流電流が供給される。
一方、固定部203のコイル503には、そのU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子側に電極部35が設けられている。また、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は配線によりY結線されている。
電極部35が電極部33に接続された状態では、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子が、切替部701により駆動制御部71に接続される。これにより、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対して、駆動制御部71により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の各相の交流電流が供給される。
また、固定部202のコイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子は、それぞれ配線により切替部702を介して駆動制御部72に接続可能になっている。また、U相、V相及びW相の各相のコイルの他方の端子は配線によりY結線されている。また、電極部34は、切替部702を介して駆動制御部72に接続可能になっている。
電極部35が電極部34に接続されていない状態では、切替部702によりコイル502におけるU相、V相及びW相の各相が駆動制御部72に接続される。これにより、コイル502におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対して、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の各相の交流電流が供給される。
電極部35が電極部34に接続された状態では、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルの一方の端子が、切替部702により駆動制御部72に接続される。これにより、コイル503におけるU相、V相及びW相の各相のコイルに対して、駆動制御部72により駆動電流としてそれぞれU相、V相及びW相の各相の交流電流が供給される。
なお、電極部33、34及び電極部35の構造としては、それぞれ図6に示す電極部30、31及び電極部32と同様の構造を採用することができる。
上述したように、本実施形態では、切替部701を制御することで、駆動制御部71の出力をコイル501又はコイル503に接続する。同様に、切替部702を制御することで、駆動制御部72の出力をコイル502又はコイル503に接続する。どちらのコイルに接続されるかは、各々の切替部701、702に対してそれぞれCPU部8から出力される切替信号S1、S2によって制御される。また、コイル503には電極部35が接続され、電極部35が各々の電極部33、34に接続することで切替部701、702と接続される。
本実施形態による搬送システムにおいても、第1実施形態による搬送システムと同様に、可動部101が停止している固定部203がシフト部1001上を移動することにより、可動部101の移動方向を変更することができる。以下、固定部202上を移動した可動部101が、シフト部1001上を移動する固定部203を経た後、固定部201上を移動する場合を例に説明する。
まず、固定部203が固定部202に対向する位置に停止して、電極部35が電極部34に接続されているとする。この状態では、切替部702により、駆動制御部72による駆動電流の供給先が固定部202のコイル502に切り替えられている。これにより、駆動制御部72による駆動電流が固定部202のコイル502に供給される。
上記の状態で、固定部202上の可動部101は、駆動制御部72により駆動され、固定部202上を固定部203側に向けて移動する。移動する可動部101の位置情報は、固定部202、203に対してそれぞれ設けられた位置検出部4、4により取得され、CPU部8に送られる。CPU部8は、送られる可動部101の位置情報に基づき、駆動制御部72による駆動電流の供給を制御するとともに、切替部702による駆動電流の供給先の切り替えを制御する。
続いて、固定部202上を移動する可動部101が固定部202上から固定部203上に移り始めると、CPU8は、適宜のタイミングで切替信号S2を切替部702に出力する。切替部702は、切替信号S2に基づき、駆動制御部72よる駆動電流の供給先を、固定部202のコイル502から電極部34に切り替える。これにより、駆動制御部72による駆動電流が、互いに接続された電極部34、35を介して固定部203のコイル503に供給される。こうして、固定部203上に移り始めた可動部101が駆動制御部72により駆動され、固定部202から固定部203に向かう方向に固定部202上から固定部203上を移動し、その後、固定部203上の所定の位置で停止される。
次いで、シフト部駆動制御部1002によりシフト部1001が駆動される。これにより、可動部101が停止している固定部203が、固定部202に対向する位置から固定部201側に向けて水平に平行移動し、固定部201に対向する位置に停止する。この際、固定部203が移動し始めると、CPU部8は、切替信号S2を切替部702に出力する。切替部702は、切替信号S2に基づき、駆動制御部72による駆動電流の供給先を電極部34から固定部202のコイル502に切り替える。
固定部203が固定部201に対向する位置に停止すると、電極部35が電極部33に接続される。すると、CPU部8は、切替信号S1を切替部701に出力する。切替部701は、切替信号S1に基づき、駆動制御部71による駆動電流の供給先を、固定部201のコイル501から電極部33に切り替える。これにより、駆動制御部71による駆動電流が、互いに接続された電極部33、35を介して固定部203のコイル503に供給される。こうして、固定部203上の可動部101が駆動制御部71により駆動され、固定部203上を固定部201側に向けて移動する。移動する可動部101の位置情報は、固定部203、201に対してそれぞれ設けられた位置検出部4、4により取得され、CPU部8に送られる。CPU部8は、送られる可動部101の位置情報に基づき、駆動制御部71による駆動電流の供給を制御するとともに、切替部701による駆動電流の供給先の切り替えを制御する。
続いて、固定部203上を移動する可動部101が固定部203上から固定部201上に移り始めると、CPU部8は、適宜のタイミングで切替信号S1を切替部701に出力する。切替部701は、切替信号S1に基づき、駆動制御部71による駆動電流の供給先を、電極部33から固定部201のコイル501に切り替える。これにより、駆動制御部71による駆動電流が固定部201のコイル501に供給される。こうして、固定部201上に移り始めた可動部101が駆動制御部71により駆動され、固定部203から固定部201に向かう方向に固定部203上から固定部201上を移動する。固定部201上の可動部101は、固定部202上での移動方向とは逆方向に固定部201上を移動する。
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、シフト部1001により固定部203が水平に平行移動される場合について説明したが、固定部203の移動態様はこれに限定されるものではない。
例えば、シフト部1001に代えて、固定部203を垂直方向に移動する垂直移動機構を設けてもよい。この場合、垂直移動機構により垂直に移動する固定部203の停止位置で固定部203に対向するように、固定部201、202を垂直に設置する。
また、シフト部1001に代えて、直線的又は曲線的に固定部203を移動する移動機構を用い、任意の方向に配置された固定部201、202に対向する位置の間を固定部203が移動するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、固定部201〜203のうち、固定部201、202を位置が固定されたものとし、固定部203を移動可能なものとした場合について説明したが、固定部の数はこれに限定されるものではない。搬送システムにおける搬送経路等に応じて、複数の固定部における一部の固定部を上記と同様に移動可能なものとして搬送システムを構成することができる。
また、本発明は、回転機構により水平旋回される固定部を有する搬送システムに対しても適用することができる。
図10は、回転機構により水平旋回される固定部を有する搬送システムを示す平面図である。図10において、111は可動部、212は固定部である。なお、固定部212には、固定部212T、212A、212B、212Cが含まれる。図10は可動部111が回転途中の状態を示している。
図10において、縦続する複数の固定部212のうち、特定の固定部212Tが平面内で水平旋回が可能な構造になっている。固定部212Tを回転して水平旋回させる機構は、特に限定されるものではなく、公知の回転装置が用いられている。例えば、固定部212Tの中央下部に回転軸が取り付けられ、この回転軸を駆動モータで回転させるように構成されている。
他の固定部212A、212B、212Cは、水平旋回可能な固定部212Tを中心に放射状に配置されて位置が固定されている。
上記図10に示す搬送システムにおいて、まず、可動部111は、固定部212の上を図において右から左に移動してくる。続いて、移動してきた可動部111が水平旋回可能な固定部212Tの上に完全に乗ったとき、可動部111を停止させる。
次いで、この状態で、固定部212Tの駆動モータを駆動制御部で駆動し、固定部212Tを回転させる。図10は、この固定部212Tの回転途中の状態を示している。こうして固定部212Tを所定の角度回転させた後、固定部212Tを例えば固定部212Cと対向する位置で停止させる。
次いで、駆動制御部の駆動により可動部111が固定部212Cに移動を開始し、水平旋回固定部212Tから固定部212Cの上に移動する。
上記のように固定部212Tが水平旋回する搬送システムについても本発明を適用することができる。この場合、上記実施形態と同様に、位置が固定された固定部212A、212B、212C、及び固定部212Tに、それぞれ互いに接続可能な電極部を設けることができる。これにより、位置が固定された固定部212A、212B、212Cのコイルに駆動電流を供給する駆動制御部により、水平旋回する固定部212Tのコイルにも駆動電流を供給することができる。したがって、固定部212Tのコイルに駆動電流を供給する駆動制御部を別個に設ける必要がない。
さらに、移動可能な固定部が移動中に振動などによりその固定部上の可動部が動かないようにブレーキを働かせる制動機構を設けてもよい。図11は、図2に示す固定部201の電極部30及び固定部203の電極部32の構造を示す模式図であり、可動部を制動する制動機構の一例を示したものである。なお、図6の構成図と同じ構成部は同じ符号を付し説明を省略する。図11(a)および図11(b)は、図2に示す固定部203が固定部202から201に移動中の図である。図11(c)と図11(d)は、図2に示す固定部203が固定部201の対向位置で停止中の図である。
前記電極部30及び32は、図6で説明した構造と同じ構成になっており、電極部30が電極部32に接続されることで固定部203のコイルに電力が供給される。しかし、図6と異なり、図11に示す構成では、電極部32の各相の電極32a、32b、32cがくの字状に配置されている。さらに、電極部32には、電極32a、32b、32cの側方に、電極部38が各相の電極32a、32b、32cに接触するように湾曲して配置されている。電極部38の一方の端部は、電極部32に支柱部分で固定されている。これに対して、電極部38の電極部30側の他方の端部は、固定されておらず、電極部32から電極部30側に突出したものとなっている。また、電極部38は、ばねのような弾性があり、電極部32で固定されている支柱部分にコイル状のばねが内蔵されている。これにより、電極部32が電極部30に接続されていない状態において、電極部38は、常に各相の電極32a、32b、32cに押し付けられるように構成される。
固定部203の移動中は、上記のように電極部38が各相の電極32a、32b、32cと接触している。これにより、各相の電極32a、32b、32cが短絡することになるため、固定部203上の可動部101には回生ブレーキが掛かる。こうして作用する回生ブレーキにより、固定部203上の可動部101に振動などの外力が働いた場合でも可動部101が大きく移動してしまうことを防ぐことが可能となる。
電極部30には、電極部38の電極部30側の端部に対向するように突起部39が固定されている。固定部203が固定部201の対向位置で停止する時は、突出部39が電極部38の電極部30側の端部を押すことでU,V,W各相の電極32a、32b、32cと電極部38が離れる。この結果、各相の電極32a、32b、32cが短絡状態から解放される。そして、電極部30が電極部32に接続され固定部203のコイル503に電力が供給される一方、固定部203上の可動部101には、回生ブレーキが作用しなくなる。こうして可動部101が駆動され、可動部101が固定部203上から固定部201上に移動する。
なお、移動可能な固定部203上の可動部101を制動する制動機構は、上記の機構に限定されるものではない。例えば、上記以外でも、固定部203と可動部101の静摩擦力や、固定部203のコイルのコアと可動部101のマグネットを対向させることで発生するコギング力を用いて、可動部101にブレーキを掛けてもよい。また、固定部203と可動部101に摺動部を設けて、固定部203の移動中に固定部203上の可動部101にブレーキを掛けてもよい。
また、本発明による搬送システムは、電子機器等の部品を製造する製造システムにおいて、部品となるワークに対して各作業工程を実施する工作機械等の各装置の作業領域にワークを搬送する搬送システムとして利用することができる。作業工程を実施する装置は、ワークに対して部品の組み付けを実施する装置、塗装を実施する装置等、あらゆる装置であってよい。また、製造される部品も特定のものに限定されるものではなく、あらゆる部品であってよい。
このように、本発明による搬送システムを用いてワークを作業領域に搬送し、作業領域に搬送されたワークに対して作業工程を実施して部品を製造することができる。上述のように、本発明による搬送システムでは、固定部等のレイアウトの自由度が向上されている。したがって、本発明による搬送システムをワークの搬送に採用した部品の製造システムでは、各作業工程を実施する装置のレイアウトも高い自由度で行うことができる。