JP2018091531A - 熱音響機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高効率な熱音響機関を提供する。【解決手段】熱音響機関1は、作動気体の音響パワーを増幅する原動機10と、原動機10で増幅された作動気体の音響パワーで冷却を行う冷凍機20と、作動気体が満たされる共鳴管30とを備え、3個の原動機10と、1個の冷凍機20と、4本の共鳴管30とがループ状に配置され、全ての共鳴管30の長さが等しく、原動機10の前後で共鳴管30の断面積が拡大され、冷凍機20の前後で共鳴管30の断面積が縮小されたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱音響機関に関する。
近年、地球温暖化やエネルギー問題が深刻化してきている。工場や車両において発生する膨大な廃熱や、太陽光エネルギーを高効率で回収することが可能であれば、地球温暖化やエネルギー問題を解決するための切り札となる。そこで、これらのエネルギーを回収し、動力化するために、熱音響機関に関する研究が活発に行われている(例えば、特許文献1及び非特許文献1,2参照)。
特許文献1には、ループ管に4個の熱音響エンジンを配置し、ループ管に枝管を設け、その枝管に冷凍機やリニア発電機を配置した熱音響機関が開示されている。非特許文献1には、熱音響エンジンを配置したループ管に枝管を設け、その枝管から音響エネルギーを投入する熱音響機関が開示されている。非特許文献2には、3個の熱音響エンジンを配置したループ管に枝管を設け、その枝管に1個の冷凍機を配置したループ管を接続した熱音響機関が開示されている。
国際公開第2013/084830号
T.Biwa, D.Hasegawa, T.Yazaki, "Low temperature differential thermoacoustic Stirlng engine", APPLIED PHYSICS LETTERS 97, 2010 S.Hasegawa, T.Yamaguchi, Y.Oshinoya, "A thermoacoustic refrigerator driven by a low temperature-differential, high-frequency-differential, multi-stage thermoacoustic engine",Applied Thermal Engineering,vol.58,2013,p.394-399
しかし、前記した従来技術は、枝管で音響パワーが損失することに加え、熱音響エンジンや冷凍機の間隔が考慮されておらず、熱音響機関の効率が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、高効率な熱音響機関を提供することを課題とする。
前記した課題に鑑みて、本発明に係る熱音響機関は、作動気体を加熱及び冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接し、前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接し、前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器と、を備える原動機と、前記原動機で増幅された作動気体の音響パワーを他のエネルギーに変換する音響負荷と、前記原動機同士又は前記原動機と前記音響負荷とを接続し、前記作動気体が満たされる共鳴管と、を備える熱音響機関であって、1個以上の前記原動機と、1個以上の前記音響負荷と、前記共鳴管とがループ状に配置され、全ての前記共鳴管の長さが等しいか、又は、前記共鳴管の長さと予め設定した基準長さとの差が20%以内であり、前記原動機の前後で前記共鳴管の断面積が拡大され、前記音響負荷の前後で前記共鳴管の断面積が縮小された構成とした。
かかる構成によれば、熱音響機関は、原動機、音響負荷及び共鳴管をループ状に配置し、枝管を備えていないので、音響パワーの損失を抑えることができる。
さらに、熱音響機関は、共鳴管の長さを略等しくすると共に、共鳴管の断面積を拡大又は縮小したので、共鳴管内で作動気体の体積流速を略均一とし、共鳴管内のループ接合点で作動気体の圧力及び流速を略一致させることができる。これにより、熱音響機関は、共鳴管全体で音波が進行波となり、共鳴管での音響パワーの損失を抑えることができる。
なお、ループ状に配置とは、共鳴管が分岐せずに共鳴管の始点及び終了点が一致するように、原動機、音響負荷及び共鳴管を配置したことである。
本発明によれば、音響パワーの損失を抑え、高効率な熱音響機関を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る熱音響機関の構成を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る熱音響機関の構成を示す模式図である。 図2のリニア発電機の拡大図である。 本発明の第3実施形態に係る熱音響機関の構成を示す模式図である。 図4のバイダイレクショナルタービンの拡大図である。 本発明の第4実施形態に係る熱音響機関の構成を示す模式図である。 本発明の第5実施形態に係る熱音響機関の構成を示す模式図である。 本発明の変形例において、原動機の連続配置を説明する説明図である。 本発明の実施例1において、圧力振幅の絶対値分布を表すグラフである。 本発明の実施例1において、流速振幅の絶対値分布を表すグラフである。 本発明の実施例1において、圧力流速間位相差分布を表すグラフである。 本発明の実施例1において、規格化音響インピーダンス分布を表し、(a)はグラフ全体であり、(b)は一部拡大したグラフである。 本発明の実施例1において、規格化音響パワー分布を表すグラフである。 本発明の実施例1において、体積流速分布を表すグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、圧力振幅の絶対値分布を表すグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、流速振幅の絶対値分布を表すグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、体積流速分布を表すグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、圧力流速間位相差分布を表すグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、規格化音響インピーダンス分布を表し、(a)はグラフ全体であり、(b)は一部拡大したグラフである。 本発明の実施例2,3及び参考例において、規格化音響パワー分布を表すグラフである。
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
(第1実施形態)
<熱音響機関の構成>
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る熱音響機関1の構成について、説明する。
図1に示すように、熱音響機関1は、原動機10で増幅された音響パワーで冷却を行うものであり、原動機10と、冷凍機(音響負荷)20と、共鳴管30とを備える。本実施形態では、熱音響機関1は、3個の原動機10〜10と、1個の冷凍機20と、4本の共鳴管30〜30とがループ状に配置されている。つまり、熱音響機関1は、共鳴管30を介して原動機10,10が接続され、共鳴管30を介して原動機10,10が接続されている。さらに、熱音響機関1は、共鳴管30を介して原動機10と冷凍機20とが接続され、共鳴管30を介して冷凍機20と原動機10とが接続されている。このように、熱音響機関1は、枝管が設けられておらず、全体でループ管を構成する。
また、本実施形態では、熱音響機関1は、全ての共鳴管30の長さが等しくなっており、原動機10の前後で共鳴管30の断面積(口径)が拡大され、冷凍機20の前後で共鳴管30の断面積が縮小されている。なお、共鳴管30の長さ及び断面積については、詳細を後記する。
[原動機]
原動機10は、蓄熱器11の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の音響パワーを増幅するものであり、蓄熱器11と、加熱器12と、冷却器13とを備える。つまり、原動機10は、蓄熱器11と、加熱器12と、冷却器13とを1つのユニットとして扱ったものである。ここで、原動機10は、蓄熱器11の両端を挟むように、加熱器12が蓄熱器11の一端側に配置され、冷却器13がその反対側、すなわち蓄熱器11の他端側に配置されている。
[蓄熱器]
蓄熱器11は、共鳴管30の管路に設けられ、作動気体を加熱及び冷却するものである。すなわち、蓄熱器11は、加熱器12及び冷却器13によって蓄熱器11の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の音響パワーを増幅する。蓄熱器11は、その一端部(以下、適宜、高温部11bと称する)と、その他端部(以下、適宜、常温部11aと称する)との間に生じる温度差を保つことによって、主として作動気体の音響パワーを増幅する機能を有している。蓄熱器11は、例えば、共鳴管30の延在方向(管路方向)に多数の平行通路を有するセラミックス製のハニカム構造体や、多数枚のステンレス鋼メッシュ薄板を微小ピッチで積層した構造体とすることができる。あるいは、蓄熱器11として、金属繊維よりなる不織布状物等を用いることも可能である。
[加熱器]
加熱器12は、蓄熱器11の一端側に隣接して共鳴管30の管路に設けられ、蓄熱器11の一端部(高温部11b)を加熱するものである。すなわち、加熱器12は、外部熱を用いて蓄熱器11の一端を加熱する熱入力部として機能する。加熱器12は、例えば、加熱用の熱交換器から構成される。具体的には、加熱器12は、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この加熱器12には図示しない加熱装置が接続されており、その外周に設けられた環状部材12aを介して加熱処理される構成とされている。なお、図面では便宜上、蓄熱器11と加熱器12の間に環状部材12aの左壁が示されているが、加熱器12は、この左壁を通して蓄熱器11の一端側と隣接、すなわち密着している。
[冷却器]
冷却器13は、蓄熱器11の他端側に隣接して共鳴管30の管路に設けられ、蓄熱器11の他端部(常温部11a)の熱を外部に放出するものである。すなわち、冷却器13は、冷却水や空気等を用いて蓄熱器11の他端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷却器13は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。冷却器13は、基本的には加熱器12と同一構成であり、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この冷却器13は、その周囲に冷却ブラケット13aを配設している。この冷却ブラケット13aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷却器13は冷却ブラケット13aを介して一定の冷却温度を維持する。なお、図面では便宜上、蓄熱器11と冷却器13の間に冷却ブラケット13aの右壁が示されているが、冷却器13は、この右壁を通して蓄熱器11の他端側と隣接、すなわち密着している。
[冷凍機]
冷凍機20は、原動機10で増幅された音響パワーを消費して熱量(熱エネルギー)に変換することで、冷却を行う音響負荷である。この冷凍機20は、原動機10の可逆機構であり、冷凍用蓄熱器21と、冷凍用冷却器22と、冷気放出器23とを備える。つまり、冷凍機20は、冷凍用蓄熱器21と、冷凍用冷却器22と、冷気放出器23とを1つのユニットとして扱ったものである。ここで、冷凍機20は、冷凍用蓄熱器21の両端を挟むように、冷凍用冷却器22が冷凍用蓄熱器21の一端側に配置され、冷気放出器23がその反対側、すなわち冷凍用蓄熱器21の他端側に配置されている。
[冷凍用蓄熱器]
冷凍用蓄熱器21は、共鳴管30の管路に設けられ、作動気体を冷却するものである。すなわち、冷凍用蓄熱器21は、原動機10から、共鳴管30を通じて冷凍用蓄熱器21の一端部(以下、適宜、常温部21aと称する)に伝達された音響パワーを、冷凍用蓄熱器21の一端部(常温部21a)と冷凍用蓄熱器21の他端部(以下、適宜、低温部21bと称する)との間における温度差に変換する機能を有している。冷凍用蓄熱器21の常温部21aは、冷凍用冷却器22によって冷却されているため、伝達された音響パワーによって、冷凍用蓄熱器21の低温部21bは、常温部21aよりも低い温度まで冷却されて冷気が発生する。この冷気は、冷気放出器23によって外部に取り出される。冷凍用蓄熱器21は、熱容量の大きい蓄冷材からなる。蓄冷材としては、例えば、ステンレス鋼、銅、鉛等を用いることができ、また、冷凍用蓄熱器21の形状は多様な形状を適用することが可能である。
[冷凍用冷却器]
冷凍用冷却器22は、冷凍用蓄熱器21の一端側に隣接して共鳴管30の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器21の一端部(常温部21a)の熱を外部に放出するものである。すなわち、冷凍用冷却器22は、冷却水や空気等を用いて冷凍用蓄熱器21の一端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷凍用冷却器22は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。具体的には、冷凍用冷却器22は、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この冷凍用冷却器22は、その周囲に冷却ブラケット22aを配設している。この冷却ブラケット22aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷凍用冷却器22は冷却ブラケット22aを介して一定の冷却温度を維持する。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器21と冷凍用冷却器22の間に冷却ブラケット22aの上壁が示されているが、冷凍用冷却器22は、この上壁を通して冷凍用蓄熱器21の一端側と隣接、すなわち密着している。
[冷気放出器]
冷気放出器23は、冷凍用蓄熱器21の他端側に隣接して共鳴管30の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器21の他端部(低温部21b)に発生する冷気を外部に放出するものである。すなわち、冷気放出器23は、冷凍用蓄熱器21の他端において発生する冷気を外部に取り出す冷気出力部として機能する。冷気放出器23は、例えば、冷凍用の熱交換器から構成される。冷気放出器23としては、基本的には冷凍用冷却器22と同一構成であり、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この冷気放出器23の外周位置には、冷気(冷熱)を取り出す高熱伝導率材料(例えば、銅)よりなる環状部材23aを配設している。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器21と冷気放出器23の間に環状部材23aの下壁が示されているが、冷気放出器23は、この下壁を通して冷凍用蓄熱器21の他端側と隣接、すなわち密着している。
[共鳴管]
共鳴管30は、作動気体が満たされる円筒管であり、所定の共鳴管長さLx1〜Lx4及び所定の断面積を有している。この作動気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物や空気等がよく用いられる。また、共鳴管30は、その中間位置で曲がっている。
本実施形態では、共鳴管30は、冷気放出器23に一端が接続され、原動機10の冷却器13に他端が接続される。また、共鳴管30は、原動機10の加熱器12に一端が接続され、原動機10の冷却器13に他端が接続される。また、共鳴管30は、原動機10の加熱器12に一端が接続され、原動機10の冷却器13に他端が接続される。また、共鳴管30は、原動機10の加熱器12に一端が接続され、冷凍用冷却器22に他端が接続される。
[共鳴管の断面積、共鳴管長さ]
図1に示すように、熱音響機関1では、共鳴管30〜30の共鳴管長さLx1〜Lx4が等しく、共鳴管30〜30の順で断面積が拡大され、共鳴管30,30で断面積が縮小されている。以下、共鳴管30の断面積を拡大又は縮小し、共鳴管長さLx1〜Lx4を等しくする理由について説明する。
原動機10は、流速振幅を増幅することで、音響パワーも増幅する。このとき、比音響インピーダンスは、流速振幅の増加により、原動機10からの出力後に低下する。ここで、比音響インピーダンスを原動機10の前後で均一にしたいので、体積流速の連続性から、原動機10で下流側の共鳴管30の断面積を、その原動機10で上流側の共鳴管30の断面積に対して、その原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大すればよい。
なお、原動機10から音波を出力する共鳴管30が下流側の共鳴管30となり、原動機10に音波を入力する共鳴管30が上流側の共鳴管30となる。
本実施形態では、原動機10の加熱器12に接続した共鳴管30の断面積を、原動機10の冷却器13に接続した共鳴管30の断面積に対して、原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大する。また、原動機10の加熱器12に接続した共鳴管30の断面積を、原動機10の冷却器13に接続した共鳴管30の断面積に対して、原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大する。さらに、原動機10の加熱器12に接続した共鳴管30の断面積を、原動機10の冷却器13に接続した共鳴管30の断面積に対して、原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大する。
ここで、原動機10の音響パワー増幅率Gは、原動機10から出力する音響パワーWoutと原動機10に入力する音響パワーWINとの比Wout/WINで求められる。音響パワー増幅率Gは、加熱器12の温度T/冷却器13の温度T(絶対温度比)が理想的ではあるが、蓄熱器11や共鳴管30での作動気体の粘性散逸などの影響を受けるので、必ずしも絶対温度比どおりではなく、この絶対温度比よりも小さい値(例えば0.8〜1.0)を乗じた値で拡大してもよい。
冷凍機20では、音響パワーが消費されるので、冷凍機20が音波を出力する下流側の共鳴管30の断面積を、その冷凍機20に音波を入力する上流側の共鳴管30の断面積に対して、その冷凍機20の音響パワー消費率に基づいて縮小する。本実施形態では、冷気放出器23に接続した共鳴管30の断面積を、冷凍用冷却器22に接続した共鳴管30の断面積に対して、冷凍機20の音響パワー消費率に基づいて縮小する。
ここで、冷凍機20の音響パワー消費率は、冷気放出器23の温度TRefと冷凍用冷却器22の温度Tとの絶対温度比TRef/Tで求められるが、冷凍用蓄熱器21や共鳴管30での作動気体の粘性散逸などの影響を受けるので、必ずしも絶対温度比どおりではなく、この絶対温度比よりも小さい値(例えば0.8〜1.0)を乗じた値で縮小してもよい。
また、熱音響機関1は、全ての原動機10及び冷凍機20が等間隔となるように、共鳴管長さLx1〜Lx4を基準長さ(例えば、1[m])としている。これにより、熱音響機関1は、共鳴管30内での体積流速を略均一とし、共鳴管30のループ接合点aで作動気体の圧力及び流速を略一致させることができる。
なお、ループ接合点aとは、ループ状に接続した共鳴管30の始点及び終点を表すものである。このループ接合点aは、共鳴管30の任意位置に設定可能であり、本実施形態では、共鳴管30が曲がっている中間位置に設定した。このループ接合点aは、共鳴管30における他の箇所と構造や外観が異なるわけでない。
[作用・効果]
以上のように、熱音響機関1は、原動機10、冷凍機20及び共鳴管30をループ状に配置し、枝管を備えていないので、音響パワーの損失を抑えることができる。さらに、熱音響機関1は、共鳴管長さLx1〜Lx4を等しくすると共に、共鳴管30の断面積を拡大又は縮小したので、共鳴管30内で作動気体の体積流速を略均一とし、ループ接合点aで作動気体の圧力及び流速を略一致させることができる。これにより、熱音響機関1は、共鳴管30の全区間で音波が進行波となり、共鳴管30での音響パワーの損失を抑え、効率を向上させることができる。
(第2実施形態)
<熱音響機関の構成>
図2,図3を参照し、本発明の第2実施形態に係る熱音響機関1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図2に示すように、熱音響機関1Bは、冷凍機20(図1)の代わりにリニア発電機40を備える点が、第1実施形態と異なる。
熱音響機関1Bは、原動機10で増幅された音響パワーで発電するものであり、原動機10と、共鳴管30と、リニア発電機40とを備える。本実施形態では、熱音響機関1Bは、3個の原動機10〜10と、1個のリニア発電機40と、4本の共鳴管30〜30とがループ状に配置されている。
[リニア発電機]
リニア発電機40は、原動機10で増幅された音響パワーを振動として利用し、その音響パワーを電力(電気エネルギー)に変換することで、発電を行う音響負荷である。図3に示すように、リニア発電機40は、支持体41内にあり、外側ヨーク(円筒)42と、これら外側ヨーク42にそれぞれ収容されるコイル43と、外側ヨーク42の間に位置する内側ヨーク(円筒)44と、外側ヨーク42のそれぞれと内側ヨーク44との間に設けられた永久磁石45と、が備えられている。なお、永久磁石45は、それぞれS極とN極の磁石から構成されている。
また、内側ヨーク44には可動子46が付けられ、可動子46の一端には共鳴管30の内壁をシリンダとするピストン形状(不図示)になっている。また可動子46の他端には共鳴管30の内壁をシリンダとするピストン形状(不図示)になっている。この結果、共鳴管30からの音響波は可動子46を、すなわち内側ヨーク44を図面上で左右に動かす。この可動子46は、共鳴管30において、そのピストン形状の構造で音響波を伝達する。
リニア発電機40におけるこのような構造は、コイル43を周回する磁束密度の時間変化により電流が発生するという原理に基づいた発電方式を採用している。すなわち、音響パワーに基づき内側ヨーク44がストロークすることにより、コイル43を周回する磁束密度が大きく変化し、発電が行われる。また、内側ヨーク44に突起44aを取り付けることによって、エアギャップを磁束が通過することによる磁束密度の低下を抑止することができる。
(第3実施形態)
<熱音響機関の構成>
図4,図5を参照し、本発明の第3実施形態に係る熱音響機関1Cの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図4に示すように、熱音響機関1Cは、冷凍機20(図1)の代わりにバイダイレクショナルタービン(以下タービンと称する)50を備える点が、第1実施形態と異なる。
熱音響機関1Cは、原動機10で増幅された音響パワーで発電するものであり、原動機10と、共鳴管30と、タービン50とを備える。本実施形態では、熱音響機関1Cは、3個の原動機10〜10と、1個のタービン50と、4本の共鳴管30〜30とがループ状に配置されている。
タービン50は、原動機10で増幅された音響パワーを回転力として利用し、その音響パワーを電力(電気エネルギー)に変換することで、発電を行う音響負荷である。図5に示すように、タービン50は、ガイドコーン52と、ガイド53と、回転翼54とを、筐体51の内部に備える。ガイドコーン52は、筐体51の中心付近に配置した半楕円球上の部材である。ガイド53は、複数のガイド部材53aを配置したものである。ガイド部材53aは、作動気体が回転翼54に斜め方向からあたるように、共鳴管30の中心軸に対して所定の角度で傾斜している。回転翼54は、複数の回転翼部材54aを配置したものであり、符号αの方向に回転する。そして、タービン50は、作動気体が各回転翼部材54aにあたることで回転翼54が回転し、発電を行う。
(第4実施形態)
<熱音響機関の構成>
図6を参照し、本発明の第4実施形態に係る熱音響機関1Dの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図6に示すように、熱音響機関1Dは、冷凍機20(図1)の代わりに昇温機60を備える点が、第1実施形態と異なる。
熱音響機関1Dは、原動機10で増幅された音響パワーで昇温するものであり、原動機10と、共鳴管30と、昇温機60とを備える。本実施形態では、熱音響機関1Dは、3個の原動機10〜10と、1個の昇温機60と、4本の共鳴管30〜30とがループ状に配置されている。
[昇温機]
昇温機60は、原動機10で増幅された音響パワーを消費して熱量(熱エネルギー)に変換することで、昇温を行う音響負荷である。この昇温機60は、昇温用蓄熱器61の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の音響パワーで昇温するものであり、昇温用蓄熱器61と、昇温用加熱器62と、昇温用冷却器63とを備える。このように、昇温機60は、昇温用蓄熱器61と、昇温用加熱器62と、昇温用冷却器63とを1つのユニットとして扱ったものである。ここで、昇温機60は、昇温用蓄熱器61の両端を挟むように、昇温用加熱器62が昇温用蓄熱器61の一端側に配置され、昇温用冷却器63がその反対側、すなわち昇温用蓄熱器61の他端側に配置されている。ここで、昇温を行う場合、昇温用冷却器63を常温に保持することで、昇温用加熱器62が高い温度に上昇する。
なお、昇温用蓄熱器61、昇温用加熱器62及び昇温用冷却器63は、それぞれ、蓄熱器11、加熱器12及び冷却器13と基本的に同一構成のため、これ以上の説明を省略する。
(第5実施形態)
<熱音響機関の構成>
図7を参照し、本発明の第5実施形態に係る熱音響機関1Eの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図7に示すように、熱音響機関1Eは、冷凍機20を2個備える点が、第1実施形態と異なる。
本実施形態では、熱音響機関1Eは、2個の原動機10,10と、2個の冷凍機20,20と、4本の共鳴管30〜30とがループ状に配置されている。つまり、熱音響機関1Eは、共鳴管30を介して原動機10と冷凍機20とが接続され、共鳴管30を介して冷凍機20と原動機10とが接続されている。さらに、熱音響機関1Eは、共鳴管30を介して原動機10と冷凍機20とが接続され、共鳴管30を介して冷凍機20と原動機10とが接続されている。
また、熱音響機関1Eでは、共鳴管30〜30の長さが等しく、共鳴管30,30で断面積が拡大され、共鳴管30,30で断面積が縮小され、共鳴管30,30で断面積が拡大され、共鳴管30,30で断面積が縮小されている。
本実施形態では、原動機10の加熱器12に接続した共鳴管30の断面積を、原動機10の冷却器13に接続した共鳴管30の断面積に対して、原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大する。また、冷凍機20の冷気放出器23に接続した共鳴管30の断面積を、冷凍機20の冷凍用冷却器22に接続した共鳴管30の断面積に対して、冷凍機20の音響パワー消費率に基づいて縮小する。また、原動機10の加熱器12に接続した共鳴管30の断面積を、原動機10の冷却器13に接続した共鳴管30の断面積に対して、原動機10の音響パワー増幅率に基づいて拡大する。また、冷凍機20の冷気放出器23に接続した共鳴管30の断面積を、冷凍機20の冷凍用冷却器22に接続した共鳴管30の断面積に対して、冷凍機20の音響パワー消費率に基づいて縮小する。
なお、熱音響機関1Fは、2個の冷凍機20,20の代わりに、2個のリニア発電機、2個のタービン又は2個の昇温機を備えてもよい(不図示)。
(変形例)
以上、本発明の各実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した各実施形態では、原動機及び音響負荷を計4個備えることとして説明したが、本発明は、これに限定されない。つまり、熱音響機関は、1個以上の原動機と、1個以上の音響負荷を備えていればよく、原動機及び音響負荷が計3個以下、又は、計5個以上であってもよい。
前記した第1〜4実施形態では原動機を連続配置し、第5実施形態では原動機及び音響負荷を交互に配置することとして説明したが、本発明は、これに限定されない。つまり、熱音響機関は、原動機だけでなく、音響負荷も連続配置してもよい。
前記した各実施形態では、1個の原動機を1つのユニットとして扱うこととして説明したが、本発明は、これに限定されない。図8に示すように、熱音響機関1は、2個の原動機10を1つのユニットとして扱ってもよい。具体的には、熱音響機関1は、断熱部材14を介して、2個の原動機10を隣接配置する。この場合、熱音響機関1は、各原動機10の音響パワー増幅率の積に基づいて共鳴管30の断面積を拡大する。
前記した各実施形態では、各共鳴管の中間位置を曲げて、全ての共鳴管で正方形状のループを形成しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、熱音響機関は、各共鳴管を円弧状にして、全ての共鳴管で円形状のループ管を形成してもよい。
(実施例1)
[熱音響機関の計算モデル]
本発明の実施例1として、熱音響機関の計算モデルによる音場のシミュレーション結果を説明する。
以下の計算モデルを用いて、第1実施形態と同様の熱音響機関のシミュレーションを行った。この計算モデルは、Rottが導いた熱音響微分方程式に基づいている。Rottの熱音響微分方程式は、例えば、文献「N. Rott,Z.Angew.Math.Phys.20,pp.230-243,1969」に詳細に記載されており、下記の式(1)及び式(2)で表される。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
ここで、pが圧力振幅、Uが断面平均体積流速振幅、jが虚数単位、ωが角周波数、Aが断面積、pが作動気体の平均圧力、γが比熱比、νが動粘性係数、σがプラントル数、Tが共鳴管の内部における作動気体の平均温度、αが熱拡散係数、ρが平均密度である。
また、χα,χνは、温度拡散係数及び動粘性係数に依存する複素関数である。χα,χνは、共鳴管が円形断面を有するとき、下記の式(3)で表すことができる。
Figure 2018091531
ここで、J,Jがベッセル関数の0番目及び1番目のオーダ、rが半径、τα,τνが熱緩和時間及び動粘性緩和時間である。また、点xにおけるp(x),U(x)、及び、x=0となる点でのp(0),U(0)を用いて、式(1)の解を下記の式(4)及び式(5)で表すことができる。ここで、eがネイピア数である。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
この各要素の伝達マトリクスBを下記の式(6)のように連結することで、計算モデル全体の音場を求めることが可能である。ここで、Mallは、計算モデル全体の伝達マトリクスを表す。
Figure 2018091531
前記したように、熱音響機関では、ループ接合点において、複素圧力振幅と複素流速振幅を等しくすることが好ましい。伝達マトリクスMallを用いて、この条件を満たす駆動周波数及び駆動温度(駆動温度)Tを決定する。ループの始点(x=0)と終点(x=Lloop)での複素圧力振幅と複素体積流速振幅をそれぞれp、U、p及びUとする。そして、伝達マトリクスMallを用いると、下記の式(7)で表すことができる。
Figure 2018091531
このとき、下記の式(8)のように、ループ接合点aにおいて、複素圧力振幅と複素流速振幅が等しいという条件を用いることで、式(7)を下記の式(9)に書き直すことができる。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
そして、下記の式(10)の条件を満たすのは、下記の式(11)となる。従って、式(11)を満たす駆動周波数及び駆動温度Tを算出する。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
以上の計算モデルに対し、下記の表1で表される固定パラメータと、下記の表2で表される変更パラメータを適用し、駆動周波数及び駆動温度(原動機温度)Tを算出する。ここでは、基準長さを1[m]に設定した。そして、全共鳴管の長さが基準長さに等しいものを実施例1とし、共鳴管の長さが異なるものを比較例とする。
なお、固定パラメータとは、実施例1及び比較例で共通するパラメータのことである。また、変更パラメータとは、実施例1及び比較例の間で変更したパラメータのことである。また、駆動温度Tが加熱器の温度を表し、Tが冷却器の温度を表す。また、TRefが冷気放出器の温度を表し、Tが冷凍用冷却器の温度を表す。
ここで、式(1)のAは、原動機、冷凍機及び共鳴管の断面積であり、原動機、冷凍機及び共鳴管の直径から求められる。また、式(1)のdT/dxのdxが、原動機及び冷凍機の軸方向長さに対応する。また、式(3)のrが、共鳴管の半径、原動機及び冷凍機の流路径に対応する。また、式(5)のB11〜B22の添え字xが、各共鳴管の長さに対応する。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
駆動周波数及び駆動温度Tは、下記の表3のとおりである。
実施例1では、駆動温度Tが95.5[℃]、駆動周波数が152.9[Hz]となる。それに対し、比較例では、駆動温度Tが168.5[℃]、駆動周波数が153.5[Hz]となる。
Figure 2018091531
[シミュレーション結果]
次に、表3の駆動温度T及び駆動周波数を計算モデルに適用し、音場のシミュレーションを行った。音場の初期点圧力は、平均圧(30気圧)の20%とする。音場のシミュレーション結果として、圧力振幅の絶対値分布(図9)、流速振幅の絶対値分布(図10)、圧力流速間位相差分布(図11)、規格化音響インピーダンス分布(図12)、規格化音響パワー分布(図13)、体積流速分布(図14)、及び、熱効率・冷凍出力を示した。
なお、図9〜図14では、実線が実施例1を表し、破線が比較例を表す。
また、図9〜図14では、横軸xがループ接合点からの距離となる。つまり、x=0とx=5.16がループ接合点となる。従って、0≦x≦5.16の範囲が熱音響機関の全区間となる。さらに、x=0.5,1.9、3.1の付近が原動機の位置となり、x=4.4の付近が冷凍機の位置となる。つまり、原動機及び原動機の位置以外は、共鳴管の区間となる。
このとき、蓄熱器、加熱器及び冷却器の軸方向長さが0.03[m]である。また、冷凍用蓄熱器、冷凍用冷却器及び冷気放出器の軸方向長さが0.03[m]である。さらに、4本の共鳴管の長さが合計4[m]である。また、各共鳴管の一端には、シミュレーション計算で温度勾配を形成するために、サーマルバッファチューブを設けた。ここで、サーマルバッファチューブは、原動機の加熱器とこの加熱器に接続する共鳴管との間、及び、冷凍機の冷気放出器とこの冷気放出器に接続する共鳴管との間に配置した。このサーマルバッファチューブの長さが0.2[m]である。このサーマルバッファチューブは、実際の熱音響機関には設ける必要がない。従って、x軸が最大で5.16[m]となる。
<圧力振幅の絶対値分布>
図9に示すように、実施例1では、熱音響機関の全区間にわたって圧力振幅が60×10〜80×10[Pa]の範囲に収まる。また、ループ接合点では、圧力振幅が等しくなる。一方、比較例では、圧力振幅が20×10〜100×10[Pa]の間で大きく変化する。このように、実施例1は、比較例と比べて、圧力振幅変化が少ない。
<流速振幅の絶対値分布>
図10に示すように、実施例1では、共鳴管の区間において、流速振幅が16〜22[m/s]の範囲に収まる。また、ループ接合点では、流速振幅が等しくなる。一方、比較例では、共鳴管の区間において、流速振幅が2〜24[m/s]の間で大きく変化している。このように、実施例1は、比較例と比べて、流速振幅の変化が少ないことがわかる。
<圧力流速間位相差分布>
図11に示すように、実施例1では、原動機及び冷凍機の位置において、圧力流速間位相差が0となる。これにより、蓄熱器では、等温可逆的なエネルギー変換を行っていることがわかる。さらに、実施例1では、熱音響機関の全区間にわたって圧力流速間位相差が±30[deg.]に収まることから、熱音響機関の全区間で進行波が形成されていると考えられる。
一方、比較例1では、2個目の原動機の位置で圧力流速間位相差が−50[deg.]、冷凍機の位置で圧力流速間位相差が30[deg.]となる。さらに、比較例では、熱音響機関の全区間で圧力流速間位相差が±60[deg.]と大きく変化するため、熱音響機関での音場が定在波的であり、作動気体の粘性散逸が大きくなる。
以上より、実施例1は、比較例と比べて、熱音響機関の全区間で進行波を形成できるので、熱音響機関の効率が高くなることがわかる。
<規格化音響インピーダンス分布>
図12(a)では、規格化音響インピーダンス分布のグラフ全体を図示した。図12(b)では、図12(a)における規格化音響インピーダンスが0〜4の範囲を拡大した。
比音響インピーダンスzは、圧力振幅pと流速振幅vの比で表される(z=p/v)。規格化音響インピーダンスは、比音響インピーダンスzの絶対値を、自由空間中を伝播する進行波の固有音響インピーダンスρmcで除算することで規格化したものである。この規格化音響インピーダンスの値が1の場合、自由空間中の進行波と等価であることを示す。
図12(a)に示すように、実施例1では、原動機及び冷凍機の位置において、規格化音響インピーダンスが6〜8の範囲に収まる。一方、比較例では、原動機及び冷凍機の位置において、規格化音響インピーダンスが高い箇所(20〜30)と、低い箇所(2.5〜4.0)が存在する。このように、実施例1では、比較例のように規格化音響インピーダンスが低い箇所が存在しないので、熱音響機関の効率が高くなることがわかる。
また、図12(b)に示すように、実施例1では、共鳴管の区間において、共鳴管の断面積の拡大と縮小を行うことで、進行波に近い規格化音響インピーダンス(0.6〜1.0)となっている。これにより、実施例1では、作動気体の粘性散逸が小さくなり、熱音響機関の効率が高くなる。一方、比較例では、共鳴管の区間において、規格化音響インピーダンスが0.3〜3.0の範囲で変動するので作動気体の粘性散逸が大きくなり、熱音響機関の効率が低下する。このことは、比較例では、図12(b)に示すように、共鳴管の区間で傾斜が大きいことからもわかる。
<規格化音響パワー分布>
図13に示すように、実施例1では、一定の増幅率で各原動機が音響パワーを増幅している。また、実施例1では、共鳴管の区間において、比較例よりも傾斜が小さいので、作動気体の粘性散逸による音響パワーの損失が少ない。一方、比較例では、各原動機の音響パワーの増幅率にばらつきがある。さらに、比較例では、共鳴管の区間で傾斜が大きいので、進行波から乖離することによる作動気体の粘性散逸が大きく、結果的に音響パワーの損失が大きくなる。
<体積流速分布>
図14に示すように、実施例1では、共鳴管の断面積を拡大及び縮小することにより、熱音響機関の全区間で体積流速分布が1.6〜2.5[m/s]の範囲に収まり、体積流速分布が略均一になる。一方、比較例では、共鳴管の断面積を拡大及び縮小による流速振幅の調整を行っていないため、体積流速分布が0.6〜2.4[m/s]の間で変動し、原動機の前後で特に変動が大きくなる。
<熱効率・冷凍出力>
表3の駆動条件及び音場の状態で熱効率・冷凍出力を算出する。各蓄熱器の熱効率ηは、下記の式(12)のように、各原動機の前後での音響パワー増幅量ΔWと入熱量Qから求める(但し、nは蓄熱器の番号)。
Figure 2018091531
熱力学的な効率の上限となるカルノー効率ηcarnotを下記の式(13)とする。そして、各蓄熱器の熱効率ηとカルノー効率ηcarnotとの比を、式(14)のように蓄熱器比カルノー効率ηとして求める。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
次に、冷凍機成績係数ηRefを、下記の式(15)のように、冷凍機での冷凍出力Qoutと冷凍機での音響パワー減衰量ΔWRefで求める。また、熱音響機関全体の効率ηLoopは、下記の式(16)のように、3個の原動機の入熱量Qと冷凍出力Qoutから求めることができる。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
冷凍機のカルノー効率ηRef_carnotを下記の式(17)で求める。そして、熱音響機関全体の比カルノー効率ηLoop2を下記の式(18)で求める。
Figure 2018091531
Figure 2018091531
実施例1及び比較例についての蓄熱器比カルノー効率η、冷凍機成績係数ηRef、及び、ループ比カルノー効率ηLoop2を表4に示す。表4に示すように、実施例1では、蓄熱器比カルノー効率ηが各原動機で約65〜70[%]の範囲に収まり、各原動機が同程度の熱効率となる。一方、比較例では、蓄熱器比カルノー効率ηが各原動機で約39〜92[%]なので、各原動機の熱効率のばらつきが大きくなる。冷凍機成績係数ηRef、及び、ループ比カルノー効率ηLoop2については、比較例よりも実施例1の方が高くなる。
Figure 2018091531
以上のように、実施例1は、比較例と比べて、駆動温度Tを70[℃]近く低下させることができ(表3)、冷凍機成績係数ηRef、及び、ループ比カルノー効率ηLoop2が高くなる。このことから、実施例1は、高効率で低温駆動する熱音響機関として有効であると考えられる。
(実施例2,3)
[共鳴管の長さを変更した場合]
本発明の実施例2,3及び参考例として、共鳴管の長さを変更した場合のシミュレーション結果を説明する。
ここでは、表5に示すように、各共鳴管の長さが基準長さに対して±10%のとき(実施例2)、各共鳴管の長さが基準長さに対して±20%のとき(実施例3)、各共鳴管の長さが基準長さに対して±30%のとき(参考例)のシミュレーションを行った。
Figure 2018091531
実施例2,3及び参考例では、計算モデル及び固定パラメータが実施例1と同様である。そして、実施例1と同様、駆動周波数及び駆動温度(原動機温度)Tを求めた。下記の表6のとおり、駆動周波数は、全てのケースで略等しくなる。また、実施例1で駆動温度Tが最も低く、実施例2,3及び参考例の順で共鳴管長さの差が大きくなる程、駆動温度Tが高くなる。参考例の場合、実施例1と比べて、駆動温度Tが約80[℃]以上高くなる。
Figure 2018091531
さらに、実施例1と同様、圧力振幅の絶対値分布(図15)、流速振幅の絶対値分布(図16)、体積流速分布(図17)、圧力流速間位相差分布(図18)、規格化音響インピーダンス分布(図19)、規格化音響パワー分布(図20)を求めた。
なお、図15〜図20では、実施例1を実線で図示し、実施例2を2点鎖線で図示し、実施例3を1点鎖線で図示し、参考例を破線で図示した。
<圧力振幅の絶対値分布>
図15に示すように、実施例1では、圧力振幅の変化が最も少ない。そして、実施例2,3及び参考例の順で圧力振幅の変化が大きくなる。つまり、共鳴管長さの差が大きくなる程、音場が一定の状態から変動の大きい状態になることがわかる。
<流速振幅の絶対値分布>
図16に示すように、実施例1では、共鳴管の区間において、圧力振幅の変化が最も少ない。そして、共鳴管の区間において、実施例2,3及び参考例の順で流速振幅の変化が大きくなる。
<体積流速分布>
図17に示すように、実施例1では、共鳴管の区間において、体積流速分布が略均一になる。そして、共鳴管の区間において、実施例2,3及び参考例の順で体積流速分布の変化が大きくなる。
<圧力流速間位相差分布>
図18に示すように、実施例1では、圧力流速間位相差が、熱音響機関の全区間で±30[deg.]の範囲に収まる。また、実施例2,3及び参考例の順で、熱音響機関の全区間で圧力流速間位相差の変動が大きくなる。さらに、実施例2,3及び参考例のように共鳴管長さに差がある場合、原動機及び冷凍機の位置で圧力流速間位相差が0[deg.]から乖離し、等温可逆的なエネルギー変換ではなく、不可逆的なエネルギー変換を行う音場であることがわかる。
<規格化音響インピーダンス>
図19に示すように、実施例1では、原動機及び冷凍機の位置において、規格化音響インピーダンスが6〜8の範囲に収まる。また、実施例2,3及び参考例では、原動機及び冷凍機の位置において、規格化音響インピーダンスが高い箇所と、低い箇所が存在する。そして、実施例2,3及び参考例の順で、高い箇所と低い箇所で規格化音響インピーダンスの差が大きくなる。
<規格化音響パワー分布>
図20に示すように、実施例1では、各原動機が同程度で音響パワーを増幅しており、共鳴管における音響パワーの散逸の傾きが小さくなる。また、実施例2,3及び参考例では、音響パワーの増幅が小さい箇所と大きい箇所が存在する。そして、音響パワーの散逸の傾きも、実施例2,3及び参考例の順で大きくなる。
以上をまとめると、音響パワーの損失については、実施例1では、熱音響機関の共鳴管全域で進行波を実現できるのに対し、実施例2,3及び参考例では、進行波からの乖離が発生する。このことから、全共鳴管が同一の長さである実施例1、及び、基準長さに対して±20%までの範囲である実施例2,3が、熱音響機関として実用的と考えられる。
1,1B〜1E 熱音響機関
10,10〜10 原動機
20,20,20 冷凍機(音響負荷)
30,30〜30 共鳴管
40 リニア発電機(音響負荷)
50 バイダイレクショナルタービン(音響負荷)
60 昇温機(音響負荷)

Claims (4)

  1. 作動気体を加熱及び冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接し、前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接し、前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器と、を備える原動機と、
    前記原動機で増幅された作動気体の音響パワーを他のエネルギーに変換する音響負荷と、
    前記原動機同士又は前記原動機と前記音響負荷とを接続し、前記作動気体が満たされる共鳴管と、を備える熱音響機関であって、
    1個以上の前記原動機と、1個以上の前記音響負荷と、前記共鳴管とがループ状に配置され、
    全ての前記共鳴管の長さが等しいか、又は、前記共鳴管の長さと予め設定した基準長さとの差が20%以内であり、
    前記原動機の前後で前記共鳴管の断面積が拡大され、前記音響負荷の前後で前記共鳴管の断面積が縮小されたことを特徴とする熱音響機関。
  2. 前記原動機の加熱器に接続された共鳴管の断面積が、当該原動機の冷却器に接続された共鳴管の断面積に対して、当該原動機の音響パワー増幅率に基づいて拡大され、
    前記音響負荷から音波を出力する側の共鳴管の断面積が、当該音響負荷に前記音波を入力する側の共鳴管の断面積に対して、当該音響負荷の音響パワー消費率に基づいて縮小されたことを特徴とする請求項1に記載の熱音響機関。
  3. 前記音響負荷は、冷凍機、昇温機、リニア発電機、又は、バイダイレクショナルタービンの何れかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱音響機関。
  4. 前記原動機が3個であり、前記音響負荷が1個であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の熱音響機関。
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