JP5487710B2 - スターリングエンジン - Google Patents

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本発明は、少ない入力仕事で大きな出力仕事を得ることが可能なスターリングエンジンに関するものである。
スターリングエンジンは、熱量を往復動ピストンの振動運動にエネルギ変換し、機械的動力として外部に取り出す外燃機関である。本質的に可逆的なスターリングサイクルを通じてエネルギ変換するために高い効率を持つので、スターリングエンジンは最近のエネルギ問題、環境問題の解決に重要な役割を果たす廃熱回収、有効利用技術の手段の一つとして注目される技術となっている。
従来のスターリングエンジンの構造を図12(a)に示す。図12(a)に示すスターリングエンジン91は、α型スターリングエンジンと呼ばれる構成であり、圧縮ピストン92と膨張ピストン93の間のシリンダ95に再生器ユニット94を配置し、圧縮ピストン92と膨張ピストン93を位相をずらして作動させることにより、図12(b)に示すようなスターリングサイクル(圧縮・加熱・膨張・冷却のサイクル)を実現するものである。再生器ユニット94は、圧縮ピストン92側から膨張ピストン93側にかけて、低温部(低温側熱交換器)、再生器(蓄熱器)、高温部(高温側熱交換器)を配置してなる。なお、図12(a)におけるQ1は、再生器ユニット94に対する熱入力を表す。
このスターリングエンジン91の圧縮ピストン92と膨張ピストン93が発生するトルクを図13に示す。図13において、縦軸のプラス側はエンジンの回転方向のトルクを表し、マイナス側はエンジンの回転方向に対し逆向きのトルクを表す。
図13に示すように、膨張ピストン93が主にエンジンの回転方向のトルクを発生させ、圧縮ピストン92はエンジンを止める方向にトルクを発生させることが分かる。このため、α型のスターリングエンジン91は、「圧縮ピストン92の仕事+機械損失」を「膨張ピストン93の仕事」が十分に上回る状態でないと作動することができない。
スターリングエンジン91の仕事の大小は主に再生器ユニット94の温度差(低温部と高温部の温度差)により決定されるので、α型のスターリングエンジン91は、再生器ユニット94の温度差が十分に大きくないと作動しないエンジンといえる。
特開平5−5479号公報 特開2003−83166号公報
従来、スターリングエンジンにおいて出力仕事を向上させるため、「並列型」の構成を有する多段スターリングエンジンが開発されている。
しかし、この「並列型」の多段スターリングエンジンでは、段数の数だけピストン、シリンダが必要となるため機械的に複雑となり、しかも得られる出力仕事は段数倍されるだけである。
さらに、上述のように、α型スターリングエンジン91では、再生器ユニット94における温度差が十分に大きくないと作動しないため、「並列型」の構成とした場合であっても、再生器ユニット94における温度差を十分に大きくする、すなわち、再生器ユニット94に比較的高温の熱源を供給する必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、少ない入力仕事で大きな出力仕事を得ることができ、再生器ユニットにおける温度差が小さくても作動が可能であり、かつ、構造が簡単なスターリングエンジンを提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、気体を封入した管状のシリンダに再生器ユニットを配置し、前記シリンダの一端から入力されたエネルギーを前記再生器ユニットにて増幅して、前記シリンダの他端に出力するスターリングエンジンにおいて、前記シリンダに、複数の前記再生器ユニットを直列に配置したスターリングエンジンである。
前記シリンダの一端に、入力された機械仕事を前記シリンダ内の仕事流に変換する圧縮ピストンを設け、前記シリンダの他端に、前記シリンダ内の仕事流を機械仕事に変換する膨張ピストンを設けてもよい。
前記シリンダの一端に、前記シリンダ内に進行波音波を発生させるスピーカを設け、前記シリンダの他端に、前記シリンダ内の進行波音波を電力に変換する音響・電気変換器を設けてもよい。
本発明によれば、少ない入力仕事で大きな出力仕事を得ることができ、再生器ユニットにおける温度差が小さくても作動が可能であり、かつ、構造が簡単なスターリングエンジンを提供できる。
本発明の一実施の形態に係るスターリングエンジンの断面図である。 図1のスターリングエンジンと従来のスターリングエンジンを比較する図である。 本発明において、進行波音波の音響パワーを再生器ユニットで増幅することを説明する図である。 本発明において、再生器ユニットの温度差を380Kとしたときの音響パワー増幅率を示す図である。 本発明の一実施の形態に係るスターリングエンジンの概略構成図である。 図5のスターリングエンジンにおけるVCMの概略構成図である。 図5のスターリングエンジンにおける円管の長手方向の各位置での音響パワーを示す図であり、(a)は再生器ユニットを3段、(b)は再生器ユニットを2段、(c)は再生器ユニットを1段としたときの音響パワーを示す図である。 図5のスターリングエンジンにおける電力の増幅を説明する図である。 図5のスターリングエンジンにおける機械系−電機系の機械的インピーダンスの等価回路である。 周波数に対する機械的インピーダンスの変動を示す図であり、(a)は実数成分、(b)は虚数成分の変動を示す図である。 (a)は図5のスターリングエンジンにおける円管の長手方向の各位置での音響インピーダンスの絶対値(|Za|)を示す図であり、(b)はその位相(arg(Za))を示す図である。 (a)は従来のスターリングエンジンの断面図、(b)はスターリングサイクルを説明する図である。 図12(a)のスターリングエンジンにおける圧縮ピストンと膨張ピストンが発生するトルクを示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係るスターリングエンジンの断面図である。
図1に示すように、スターリングエンジン1は、気体を封入した管状のシリンダ2に再生器ユニット3を配置し、シリンダ2の一端から入力されたエネルギーを再生器ユニット3にて増幅して、シリンダ2の他端に出力するものであり、シリンダ2に、複数(図1では3つ)の再生器ユニット3を直列に配置したものである。
より具体的には、スターリングエンジン1では、シリンダ2の一端に、入力された機械仕事Winをシリンダ2内の仕事流(音響強度)に変換する圧縮ピストン4を設けると共に、シリンダ2の他端に、シリンダ2内の仕事流を機械仕事Woutに変換する膨張ピストン5を設け、かつ、圧縮ピストン4と膨張ピストン5間のシリンダ2に3つ再生器ユニット3a,3b,3cを順次配置したα型スターリングエンジンである。図示していないが、圧縮ピストン4と膨張ピストン5は、機械的に連結されたピストンクランク機構とされる。
本実施の形態では、再生器ユニット3を3つ配置する場合を説明するが、これに限られず、再生器ユニット3の数は2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
各再生器ユニット3a,3b,3cは、圧縮ピストン4側から膨張ピストン5側にかけて、低温部(低温側熱交換器)6、再生器(蓄熱器)7、高温部(高温側熱交換器)8を配置してなる(図3参照)。再生器7は、薄板や細管を束ねて流体の境界層程度の狭い流路を多数形成したものである。再生器ユニット3の詳しい構造については、従来技術に属するので、ここでは省略する。なお、図1におけるQ1,Q2,Q3は、再生器ユニット3a,3b,3cに対する熱入力を表す。
スターリングエンジン1では、従来1つであった再生器ユニット3を複数直列に配置し、さらに、圧縮ピストン4から膨張ピストン5に向かう進行波(仕事流、変位振幅の進行波)を発生させることで、圧縮ピストン4から入力された進行波のパワー(変位振幅)を1段目の再生器ユニット3a、2段目の再生器ユニット3b、3段目の再生器ユニット3cで順次増幅し、増幅された進行波を膨張ピストン5で機械仕事Woutに変換する。
図2に示すように、本実施の形態に係るスターリングエンジン1と、再生器ユニット3を1つ配置した従来のスターリングエンジン91とを比較すると、従来のスターリングエンジン91における圧縮ピストン92の機械仕事Winは、スターリングエンジン1においては、圧縮ピストン4の機械仕事Winと1,2段目の再生器ユニット3a,3bの熱入力Q1,Q2に置き換えられる。
つまり、スターリングエンジン1では、圧縮ピストン4の入力仕事が小さくても、1,2段目の再生器ユニット3a,3bで進行波のエネルギ(パワー)が増幅されるため、3段目の再生器ユニット3cに入力される進行波のエネルギ(パワー)を従来と同等にすることができ、結果として、圧縮ピストン4の入力機械仕事Winが小さくても、膨張ピストン5では従来と同じ出力機械仕事Woutが得られる。
以上説明したように、スターリングエンジン1によれば、シリンダ2に複数の再生器ユニット3を直列に配置しているため、少ない入力機械仕事Winで大きな出力機械仕事Woutを得ることが可能となり、入力機械仕事Winを大幅に低減することが可能である。
また、スターリングエンジン1によれば、1つ1つの再生器ユニット3の温度差(低温部6と高温部8の温度差)が小さくても、各再生器ユニット3で進行波が順次増幅されるため、1つの再生器ユニット3を配置した従来のスターリングエンジン91と比較して、1つ1つの再生器ユニット3の温度差が小さくてもスターリングエンジン1を作動させることが可能である。
さらに、スターリングエンジン1によれば、複数の再生器ユニット3を配置しているため、スターリングエンジン1内に熱を入れやすくなる。
ここで、シリンダ2に複数の再生器ユニット3を直列に配置することで、進行波のパワーを順次増幅することができる根拠について説明する。
図3に示すように、進行波音波が温度差(正の温度勾配)を有する再生器ユニット3を通過すると、進行波音波の音響パワーが増幅する可能性をCeperleyが示した。しかし、この現象は約30年間実証されていなかった。なお、図3においてTcは再生器ユニット3の低温部6の温度、Thは高温部8の温度を表している。
本発明者は、この現象を実験的に確認することに成功した。つまり、入力される進行波音波に対し適切な再生器ユニット3を配置すれば、再生器ユニット3通過時にスターリングサイクル(圧縮・加熱・膨張・冷却)が実行され、進行波音波の音響パワーが増幅されることが確認できた。
より具体的には、本発明者は、再生器ユニット3における熱交換の程度を等温的熱交換から断熱的熱交換へと系統的に変化させることで、進行波音波増幅が可能になる条件を明らかにした。
この実験において心臓部となるのは、再生器7とその両端の低温部6,高温部8からなる再生器ユニット3である。再生器ユニット3は、外部音源から供給される音響パワーの増幅器として動作する。低温部6,高温部8は、再生器7両端の温度を調整する役割を有する。再生器ユニット3を進行波音波が伝播する配管内にセットし、一端においた外部音源から再生器ユニット3の低温部6から高温部8へ向けて通過するように進行波音波を発生させた。再生器ユニット3の再生器7の流路半径と音波周波数を系統的に変化させ、入力音響パワーと出力音響パワーの比で与えられる増幅率を実験的に調べた。
その結果、再生器7の流路半径と音波周波数、および気体の温度拡散係数で決まる、再生器7内の流路壁と音波との熱交換の程度を表す無次元量によって、増幅効果が支配され、熱交換が等温的に近づくとき、増幅率は理想値である高温部8と低温部6の温度比(Th/Tc)に近づくことを見出した。
図4に示すように、例えば、再生器ユニット3における温度差ΔT(=Th−Tc)を380Kとし、高温部8と低温部6の温度比(Th/Tc)を2.3とすると、音響パワー増幅率Gとしては、G=1.93(=0.8Th/Tc)を実現できた。よって、同条件の3つの再生器ユニット3を直列配置すると、G3(約10倍)という高い増幅率を実現できることになる。10倍という増幅率は、1つの再生器ユニット3を配置した場合には実に3000Kの温度差が必要になるので、再生器ユニット3の多段化の効果は明確である。
進行波音波は、圧力・流速が同位相であり、α型のスターリングエンジン1中の圧力・流速の位相関係と同じである。つまり、スターリングエンジン1においても、再生器ユニット3を直列に複数配置すると、進行波のパワーが再生器ユニット3を通過する毎に増幅されることになる。
図5に示すスターリングエンジン51は、円筒状の円管(シリンダ)52の両端をベローズ53a,53bで閉じると共に、一方(図示上方)のベローズ53aに、ベローズ53aを加振して円管52内に進行波音波を発生させるスピーカ54を設け、他方(図示下方)のベローズ53bに円管52内の進行波音波を電力に変換する音響・電気変換器としてのVCM(Voice Coil Motor)55を設け、さらに、円管52内に3つの再生器ユニット56を直列に配置したスターリングエンジン発電機である。
スピーカ54には、スピーカ54を加振する電気信号を発生させるファンクションジェネレータ100と、ファンクションジェネレータ100からの電気信号を増幅してスピーカ54に出力するパワーアンプ101とが接続され、所定の電力の電気信号をスピーカ54に入力するようにされる。
再生器ユニット56は、スピーカ54側からVCM55側にかけて低温部57、再生器58、高温部59を順次配置してなる。低温部57は、冷媒Cを循環させる冷媒通路57aと、その冷媒通路57aを通過する冷媒Cと円管52内に封入された気体との間で熱交換を行う低温側熱交換器57bとを備える。また、高温部59は、ヒータ59aと、ヒータ59aと円管52内に封入された気体との間で熱交換を行う高温側熱交換器59bとを備える。再生器58は、薄板や細管を束ねて流体の境界層程度の狭い流路を多数形成したものである。
VCM55は、図6に示すように、ベローズ53bの端面に連結された支柱60と、支柱60の端部に一体に形成された断面視で略逆U字状のコイル保持部材61と、コイル保持部材61の外周に形成されたコイル62と、コイル保持部材61に臨むように対向して配置された永久磁石63とを備える。VCM55では、進行波音波によりベローズ53bが振動(図示上下方向に振動)されると、コイル62が設けられたコイル保持部材61が振動し、永久磁石63により形成された磁界をコイル62が横切ることにより、進行波音波を電力に変換する。なお、図6においてPaは円管52内の音波の音圧、Uaは断面平均流速、Aaは円管52の断面積、P1はベローズ53b底面の圧力、U1はベローズ53bの速度、A1はベローズ53bの有効断面積を表す。
また、スターリングエンジン51では、スピーカ54(ファンクションジェネレータ60)で発生する音波周波数を、VCM55の機械的インピーダンスの虚数成分が0となるような値近傍に調節することで、進行波音波が発生できる。このときVCM55は受動的に動作するので、積極的に制御する必要はない。VCM55の振動状態はレーザ変位センサ103で計測可能であり、吸収した仕事流を計測できる。なお、図1で説明したスターリングエンジン1においては、機械的に連結されたピストンクランク機構(圧縮ピストン4、膨張ピストン5)でシリンダ2内に進行波が発生するため、特にこれも制御は必要でない。
スターリングエンジン51では、スピーカ54から発生した進行波音波の音響パワーを、正の温度勾配を有する3つの再生器ユニット56で順次増幅し、VCM55で進行波音波の音響パワーを電力に変換する。換言すると、円管52内に進行波音波が発生するようにスピーカ54を加振した上で、VCM55の発電量を制御すると、スピーカ54から入力された音のエネルギ(進行波音波の音響パワー)が再生器ユニット56を通過する度に増幅される。円管52の長手方向の長さは、70cm程度とされ、円管52全体で圧力と流速の位相関係を進行波位相に保つようにされている。
本実施の形態では、円管52に一定間隔で小型のゲージ圧トランスデューサ104を配置し、各ゲージ圧トランスデューサ104からの出力をアンプ105を介してFTTアナライザ106に出力し、FTTアナライザ106にて円管52の長手方向の各位置での音響パワーを計測した。計測結果を図7(a)に示す。また、同様に、再生器ユニット56を2段、1段とした場合の計測結果を図7(b)、図7(c)にそれぞれ示す。なお、再生器ユニット56における低温部57の温度Tcと高温部59の温度Thの温度差ΔTは、ΔT=280℃、また温度比はTh/Tc=1.95としている。図7(a)〜(c)において、横軸は円管52の長手方向での位置(円管52のスピーカ54側の端部からの距離)を表し、ハッチング部分は再生器ユニット56を表している。
図7(a)〜(c)に示すように、再生器ユニット56を複数直列に配置すると、進行波音波の音響パワーが再生器ユニット56を通過する毎に増幅されていることが分かる。3つの再生器ユニット56を配置したスターリングエンジン51では、音響パワーが約5倍となっている。1段の再生器ユニット56を用いて5倍の音響パワーを実現するには、1500K程度の温度差が必要になることから、従来と比較して、1つ1つの再生器ユニット56の温度差を小さくできることがわかる。
図8に示すように、例えば、スターリングエンジン51に4mWの音響パワーを入力した場合、3つの再生器ユニット56で順次増幅された音響パワーは、5倍の20mWとなる。得られた20mWの音響パワーをVCM55により電力に変換すると、機械系−電気系の機械的インピーダンスにより減衰するものの、8mWと入力した音響パワーの2倍の電力が得られた。電気的負荷ZL(ここでは7Ωの抵抗)を接続したときの機械系−電気系の機械的インピーダンスは、図9のように表される。図9において、Bは有効磁束密度、lはコイル一巻きの導線長さ、ZMはVCM55の機械的インピーダンス、ZEはVCM55の電気的インピーダンスである。
ここで、スターリングエンジン51における進行波の発生条件について図6を用いて説明しておく。
図6において、音響系と機械系の関係は、以下のように表される。
a=A11/Aa ・・・(1)
1=F1/A1 ・・・(2)
a=Pa/Ua ・・・(3)
但し、Pa:円管内の音波の音圧
a:断面平均流速
a:円管の断面積、
1:ベローズ底面の圧力
1:ベローズの速度
1:ベローズの有効断面積
a:音響インピーダンス
1:ベローズに加わる力
また、機械系と電気系の関係は以下のようになる。
1=ZE1+TU1 ・・・(4)
1=−TI1+ZM1 ・・・(5)
但し、ZM:機械的インピーダンス
E:電気的インピーダンス
1:コイルに発生する電圧
1:コイルに発生する電流
T:磁束密度Bとコイル長さlの積で与えられる変換係数
式(4),(5)より、I1=0とすると、
M=F1/U1 ・・・(6)
となる。
1≒Paであるから、式(3)に式(1),(2)を代入すると、
a=(Aa/A1 2)・(F1/U1) ・・・(7)
となる。
式(7)と式(6)より、音響インピーダンスZaと機械的インピーダンスZMとの関係は、下式(8)で表される。
a=(Aa/A1 2)・ZM ・・・(8)
したがって、式(8)で表される音響インピーダンスZaを実数(ρmC;ρmは気体の時間平均密度、Cは気体の音速)とする、すなわち、機械的インピーダンスZMを実数とすることで、進行波音波が実現できる。
図10(a),(b)に示すように、機械的インピーダンスZMは進行波音波の波長fによりその実数成分と虚数成分が変化する。したがって、機械的インピーダンスZMの虚数成分を0とする、すなわち、スピーカ54にて15Hzの音波を出力するようにし、適切な断面積Aaを有する円管52を用いることにより、進行波音波が実現できる。これにより、図11(a)に示すように、円管52の全長にわたって音響インピーダンスZaの絶対値(|Za|)をρmCの75%でほぼ一定とし、図11(b)に示すように、その位相(arg(Za))をほぼ0°に保つことができる。
以上説明したように、本発明のスターリングエンジン1,51では、シリンダ2(あるいは円管52)に、複数の再生器ユニット3,56を直列に配置している。
従来、「並列型」の構造を有するスターリングエンジンでは、段数の数だけピストン4,5、シリンダ2(あるいは円管52、スピーカ54、VCM55)が必要になり、しかも得られる出力仕事は段数倍されるだけであった。
これに対して、本発明のスターリングエンジン1,51では、再生器ユニット3,56の数が増えるのみで機械的な複雑さが増すわけではない。しかも、得られる進行波のパワーは再生器ユニット3,56の数に対して指数関数的に増加する。よって、再生器ユニット3,56に与える温度差がたとえ小さくても、比較的大きな出力を簡便な機構で実現できる。
また、本発明のスターリングエンジン1,51では、複数の再生器ユニット3,56を直列に配置しているため、各再生器ユニットで指数関数的に進行波のパワーを増幅でき、少ない入力仕事で大きな出力仕事を得ることが可能となり、入力仕事を大幅に低減することが可能である。
さらに、本発明のスターリングエンジン1,51では、複数の再生器ユニット3,56を配置しているため、スターリングエンジン1,51内に熱を入れやすくなる。
上記実施の形態では、再生器ユニット3,56を全て進行波を増幅するために用いたが、使用する再生器ユニット3,56のうち一つを、進行波の上流側を冷却水などで室温に保てば、逆スターリングサイクルの結果、下流側が冷却されるため、出力パワーを、機械仕事や電力だけでなく冷却にも利用できる。これは、スターリングエンジンとスターリングクーラを機械的に接続したビルマイヤ機関と同様であるが、本発明によれば、複数の再生器ユニット3,56を直列に配置するという圧倒的に簡単な構造で実現することができる。
なお、気柱共鳴管の中にできる定在波音波の節に再生器ユニットを配置することで音響パワーの増幅が効果的に行えるという主張もされているが、この場合、定在波音波の節にピンポイントに再生器ユニットを配置することが必要なため、再生器ユニット同士の間隔が半波長程度離れることになる。つまり、定在波を用いた方法では、多数の再生器ユニットをコンパクトに配置することは困難である。本発明では、進行波を用いるので、再生器ユニットを配置する自由度が高く、再生器ユニットをコンパクトに配置できる。
1 スターリングエンジン
2 シリンダ
3 再生器ユニット
4 圧縮ピストン
5 膨張ピストン

Claims (3)

  1. 気体を封入した管状のシリンダに低温部と再生器と高温部とからなる再生器ユニットを配置し、前記シリンダの一端から入力されたエネルギーを前記再生器ユニットにて増幅して、前記シリンダの他端に出力するスターリングエンジンにおいて、
    前記シリンダに、複数の前記再生器ユニットを直列に配置し
    前記シリンダの一端から入力されたエネルギーにより前記シリンダ内に他端に向かう進行波を発生させ、前記再生器ユニットの前記低温部と前記高温部の温度比を所定値に制御することで、前記進行波のパワーを複数の前記再生器ユニットで順次増幅し、増幅された進行波を他端に出力するように構成された
    ことを特徴とするスターリングエンジン。
  2. 前記シリンダの一端に、入力された機械仕事を前記シリンダ内の仕事流に変換する圧縮ピストンを設け、前記シリンダの他端に、前記シリンダ内の仕事流を機械仕事に変換する膨張ピストンを設けた請求項1記載のスターリングエンジン。
  3. 前記シリンダの一端に、前記シリンダ内に前記進行波である進行波音波を発生させるスピーカを設け、前記シリンダの他端に、増幅された進行波音波を電力に変換する音響・電気変換器を設けた請求項1記載のスターリングエンジン。
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