JP7015517B2 - 枝管付きループ型熱音響機関 - Google Patents

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Description

本発明は、枝管付きループ型熱音響機関に関する。
近年、地球温暖化やエネルギー問題が深刻化してきている。工場や車両において発生する膨大な廃熱や、太陽光エネルギーを高効率で回収することが可能であれば、地球温暖化やエネルギー問題を解決するための切り札となる。そこで、これらのエネルギーを回収し、動力化するために、熱音響機関に関する研究が活発に行われている。
ここで、熱音響機関の蓄熱器位置において、音響インピーダンス(比音響インピーダンス)と圧力流速間位相差(作動気体の圧力振動と断面平均体積流速振動との位相差)との関係が注目されている。具体的には、蓄熱器位置において、高音響インピーダンスと、進行波位相(圧力流速間位相差が0)という条件を実現できることが好ましい。
非特許文献1には、蓄熱器位置において、高音響インピーダンスを実現したループ型熱音響機関が記載されている。このループ型熱音響機関は、駆動周波数に応じた1/4波長よりも短いループ管に枝管を取り付けた装置形状を有する。そして、このループ型熱音響機関は、共振により音響インピーダンスの高い範囲を形成できるように装置形状を変更し、その範囲に蓄熱器を設置したものである。このように、従来のループ型熱音響機関では、装置形状の調整により前記条件の実現を図ることが多かった。
S.Backhaus, G.W.Swift," Athermoacoustic Stirling heat engine", NATURE,VOL 399,27 MAY 1999
従来のループ型熱音響機関は、音響インピーダンスや圧力流速間位相差が装置形状の影響を受けるので、蓄熱器位置において、効率よくエネルギー変換を行える進行波位相や高音響インピーダンスを必ずしも実現できているとは限らない。
特に、従来のループ型熱音響機関は、枝管を備えるため、蓄熱器位置において、高音響インピーダンスと進行波位相を実現することが難しい。このため、従来のループ型熱音響機関は、熱効率が低下してしまい、高い音響パワーが得られないことがある。さらに、装置形状の変更にはループ管の長さや蓄熱器位置の調節を伴うので、ループ型熱音響機関の再設計や再構築が必要な場合が多く、手間を要するという問題もある。
そこで、本発明は、装置形状の変更を少なくし、熱効率に優れた枝管付きループ型熱音響機関を提供することを課題とする。
前記した課題に鑑みて、本発明にかかる枝管付きループ型熱音響機関は、作動気体を満たしたループ管に、音響パワーと熱との変換を行う熱音響コア部、及び、前記ループ管内の位相差を調整する位相差調整機構を配置し、前記ループ管から分岐した枝管を有する枝管付きループ型熱音響機関であって、前記位相差調整機構は、前記ループ管の管路方向を基準に前記熱音響コア部の蓄熱器内で予め設定した位置において、前記作動気体の圧力振動と断面平均体積流速振動との位相差が0度に近づくように調整し、前記位相差調整機構は、質量、ばね、ダンパ、コイル、コンデンサ及び抵抗の何れか1以上からなる等価音響回路でモデル化できる機構とした。
かかる構成によれば、枝管付きループ型熱音響機関は、位相差調整機構によって、蓄熱器位置に応じて位相差を調整できるので、蓄熱器が効率よく変換を行うことができる。このように、枝管付きループ型熱音響機関は、位相差調整機構を用いるので、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。
さらに、枝管付きループ型熱音響機関は、位相差調整機構を簡易な計算モデルで表すことができる。
また、本発明にかかる枝管付きループ型熱音響機関は、前記熱音響コア部を1つ備えることが好ましい。
かかる構成によれば、枝管付きループ型熱音響機関は、熱音響コア部の蓄熱器が1個の場合、その熱効率をより向上させることができる。
また、本発明にかかる枝管付きループ型熱音響機関は、前記熱音響コア部が、冷却器と前記蓄熱器と加熱器とを備える原動機、冷凍用冷却器と前記蓄熱器と冷気放出器とを備える冷凍機、又は、昇温用加熱器と前記蓄熱器と昇温用冷却器とを備える昇温機の何れかであることが好ましい。
かかる構成によれば、枝管付きループ型熱音響機関は、原動機、冷凍機又は昇温機として利用することができる。
本発明によれば、位相差調整機構によって、蓄熱器位置に応じて圧力振動と断面平均体積流速振動との位相差を調整できるので、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。
第1実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 図1の熱音響コア部の構成を模式的に示す模式図である。 図1の音響インピーダンス調整機構の構成を模式的に示す模式図である。 第2実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 図4のリニア発電機の構成を模式的に示す模式図である。 図4の音響インピーダンス調整機構の等価回路を示す模式図である。 第3実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 第4実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 第5実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 従来の枝管付きループ型熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 実施例及び比較例での位相差及び熱効率を表すグラフである。 実施例及び比較例での位相差を表すグラフである。 実施例及び比較例での音響インピーダンスを表すグラフである。
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
(第1実施形態)
<枝管付きループ型熱音響機関の構成>
図1を参照し、本発明の第1実施形態にかかる枝管付きループ型熱音響機関(以下、「熱音響機関」)1の構成について、説明する。
熱音響機関1は、作動気体の音響パワーを増幅させる熱音響原動機であり、図1に示すように、作動気体を満たしたループ管30に熱音響コア部10及び音響インピーダンス調整機構(位相差調整機構)20を配置し、ループ管30から分岐した枝管40を有する。本実施形態では、熱音響機関1は、1/4波長モードで駆動することとし、ループ管30の長辺に熱音響コア部10及び音響インピーダンス調整機構20を配置している。
[熱音響コア部:原動機]
熱音響コア部10は、蓄熱器11の両端部間に温度勾配を形成し、音響パワーと熱との変換を行うものである。本実施形態では、熱音響コア部10は、作動気体の音響パワーを増幅させる原動機であり、蓄熱器11と加熱器12と冷却器13とを備える。ここで、熱音響コア部10は、図2に示すように、蓄熱器11の両端を挟むように、加熱器12が蓄熱器11の一端側に配置され、冷却器13がその反対側、すなわち蓄熱器11の他端側に配置されている。
[蓄熱器]
蓄熱器11は、ループ管30の管路に設けられ、作動気体を加熱及び冷却するものである。すなわち、蓄熱器11は、加熱器12及び冷却器13によって蓄熱器11の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の音響パワーを増幅させる。蓄熱器11は、その一端部(以下、適宜、高温部11aと称する)と、その他端部(以下、適宜、常温部11bと称する)との間に生じる温度差を保つことによって、主として作動気体の音響パワーを増幅する機能を有している。蓄熱器11は、その構造や材料が特に限定されず、例えば、ループ管30の延在方向(管路方向)に多数の平行通路を有するセラミックス製のハニカム構造体や、多数枚のステンレス鋼メッシュ薄板を微小ピッチで積層した構造体とすることができる。あるいは、蓄熱器11として、金属繊維よりなる不織布状物等を用いることも可能である。
なお、図2には、後記する蓄熱器11の軸方向中心位置を破線で図示した。
[加熱器]
加熱器12は、蓄熱器11の一端側に隣接してループ管30の管路に設けられ、蓄熱器11の一端部(高温部11a)を加熱するものである。すなわち、加熱器12は、外部熱を用いて蓄熱器11の一端を加熱する熱入力部として機能する。加熱器12は、例えば、加熱用の熱交換器から構成される。具体的には、加熱器12は、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされる。この加熱器12には図示しない加熱装置が接続されており、その外周に設けられた環状部材12aを介して加熱処理される構成とされている。なお、図面では便宜上、蓄熱器11と加熱器12の間に環状部材12aの左壁が示されているが、加熱器12は、この左壁を通して蓄熱器11の一端側と隣接、すなわち密着している。さらに、加熱器12には、音響インピーダンス調整機構20の側に熱緩衝管(サーマルバッファチューブ)を設けてもよい(不図示)。
[冷却器]
冷却器13は、蓄熱器11の他端側に隣接してループ管30の管路に設けられ、蓄熱器11の他端部(常温部11b)の熱を外部に放出するものである。すなわち、冷却器13は、冷却水や空気等を用いて蓄熱器11の他端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷却器13は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。冷却器13としては、基本的には加熱器12と同一構成とされており、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされている。この冷却器13は、その周囲に冷却ブラケット13aが配設されている。この冷却ブラケット13aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷却器13は冷却ブラケット13aを介して一定の冷却温度を維持しうる構成とされている。なお、図面では便宜上、蓄熱器11と冷却器13の間に冷却ブラケット13aの右壁が示されているが、冷却器13は、この右壁を通して蓄熱器11の他端側と隣接、すなわち密着している。
[音響インピーダンス調整機構]
音響インピーダンス調整機構20は、ループ管30内の音響インピーダンスや位相差を調整するものである。具体的には、音響インピーダンス調整機構20は、蓄熱器11の位置を基準に予め設定した調整範囲内において、作動気体の圧力振動と断面平均体積流速振動との位相差(以下、「位相差」)が±50度の範囲内になるように調整する。ここで、蓄熱器11が1個の場合、その蓄熱器11の位置において、0度に近いことが好ましく、0度になるのがより好ましい。
さらに、音響インピーダンス調整機構20は、前記した位相差に加え、調整範囲内でループ管30内の音響インピーダンスがピークとなるように調整してもよい。このとき、蓄熱器11の位置において、音響インピーダンスがピークになることが好ましい。
なお、調整範囲とは、位相差が±50度の範囲内となるように調整する範囲のことである。この調整範囲は、ループ管30の管路方向で蓄熱器11内の任意位置に設定可能であり、蓄熱器11の軸方向中心位置(図2の破線)に設定することが好ましい。
また、音響インピーダンスのピークとは、音響インピーダンスの最大値のことである。
また、音響インピーダンス調整機構20は、ループ管30の管路であって、熱音響コア部10の加熱器12側に設けられる。図3に示すように、音響インピーダンス調整機構20は、マス(質量)21、ばね22及びダンパ23からなる等価音響回路でモデル化できる機構(ばね・マス・ダンパ系)である。つまり、音響インピーダンス調整機構20は、マス21の平坦面の左右にばね22及びダンパ23を取り付けた機構である。
なお、音響インピーダンス調整機構20による音場調整は、詳細を後記する。
[共鳴管、枝管]
ループ管30は、作動気体が満たされる丸角長方形状の円筒管である。また、ループ管30は、始点x=0から時計回りに、熱音響コア部10の前段のループ管30と、熱音響コア部10と音響インピーダンス調整機構20との間のループ管30と、音響インピーダンス調整機構20の後段のループ管30とで構成される。ここで、ループ管30は、図1に示すように、その始点xを=0とし、その始点x=0から時計回りで熱音響コア部10までの長さをコア位置距離Xとする。つまり、コア位置距離Xは、ループ管30の長さである。また、ループ管長さXloopは、始点x=0から時計回りでループ管30の終点までを含む長さである。本実施形態では、ループ管長さXloopは、駆動周波数に応じた1/4波長よりも短いこととする。
また、ループ管30は、管路が分岐した枝管40を有する。従って、枝管40は、ループ管30と同一断面形状及び同一断面積である。本実施形態では、ループ管30は、音響インピーダンス調整機構20に最も近い湾曲部分において、枝管40が分岐している。また、枝管40は、その一端に図示を省略した発電機や冷凍機を設けることができる。
作動気体の種類は特に限定されず、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物や空気等が作動気体としてよく用いられる。
ここでは、作動気体として大気圧空気を用いる場合は、枝管40の一端を開口していてもよい。また、枝管40の一端には、作動気体を封入するバッファータンクを設けてもよい(不図示)。すなわち、バッファータンクを設ける場合は、作動気体はループ管30内にも封入されて満たされるものであり、枝管40の一端を開口した場合は、大気圧空気で満たされるものである。
[音響インピーダンス調整機構による調整]
以下、音響インピーダンス調整機構20による調整を具体的に説明する。
まず、音響インピーダンス調整機構20以外の伝達マトリクスを求めるため、以下の式(1)に基づいて計算を行う。この式(1)は、Rottの波動方程式を行列化したものである。
Figure 0007015517000001
なお、Pが圧力振動、Uが断面平均体積流速振動、jが虚数単位、ωが角周波数(2πf)、Sがループ管30の断面積、γが比熱比、Pが作動気体の平均圧力,σがプラントル数、χνが粘性に関する複素関数、χαが熱拡散に関する複素関数、Tが断面平均温度、ρが作動気体の平均密度を表す。例えば、熱拡散に関する複素関数χν,χαは、参考文献「Tominaga, A., “Thermodynamic aspects of thermoacoustic theory”, Cryogenics 35, 427-440 (1995).」に記載されている。
式(1)の固有値及び固有ベクトルを求めて対角化し、変数分離形にすることで、各要素の伝達マトリクスMtransを求める。これにより、以下の式(2)のように、任意点xの圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを、始点x=0の圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uから求めることが可能となる。なお、各要素とは、熱音響機関1における音響インピーダンス調整機構20以外の各構成のことである。
Figure 0007015517000002
具体的には、伝達マトリクスMtransは、以下の手順で求められる。まず、式(1)を以下の式(3)に置き換える。この式(3)において、マトリクスAに含まれる要素A11,A12,A21,A22は、それぞれ式(1)内の行列要素に対応する。そして、式(3)の固有値及び固有ベクトルを求めて対角化し、変数分離形にすると、以下の式(4)及び式(5)となり、伝達マトリクスMtransを求められる。
Figure 0007015517000003
Figure 0007015517000004
Figure 0007015517000005
また、ばね・マス・ダンパ系で構成される音響インピーダンス調整機構20には、以下の式(6)で表される伝達マトリクスMVALを用いた。
なお、SVAL1が音響インピーダンス調整機構20の前面断面積、SVAL2が音響インピーダンス調整機構20の後面断面積、mがマス21の質量、kがばね22のばね定数、dがダンパ23の減衰係数を表す。
Figure 0007015517000006
そして、各要素の伝達マトリクスMtransと音響インピーダンス調整機構20の伝達マトリクスMVALを結合し、ループ管30の管路全体の伝達マトリクスMloopとすることで、ループ管30の任意点で圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを算出できる。この伝達マトリクスMloopは、以下の式(7)で表される。
Figure 0007015517000007
なお、式(7)のMduct1~Mduct3,MCHX,MREG,MHHX,MTBTが各要素のマトリクスMtransに対応する。すなわち、Mduct1がループ管30の伝達マトリクス、MCHXが冷却器13の伝達マトリクス、MREGが蓄熱器11の伝達マトリクス、MHHXが加熱器12の伝達マトリクス、MTBTが熱緩衝管の伝達マトリクス、Mduct2がループ管30の伝達マトリクス、MVALが音響インピーダンス調整機構20の伝達マトリクス、Mduct3がループ管30の伝達マトリクスを表す。
また、伝達マトリクスMloopは、式(7)に限定されず、熱音響機関1の構造や形状に対応した各要素の追加、削除、並べ替えを行えばよい。
このように、式(7)の伝達マトリクスMloopは、始点x=0から反時計回りで各伝達マトリクスを掛けあわせた形となる。また、式(7)において、音響インピーダンス調整機構20の伝達マトリクスMVALは式(6)から求めたものであり、各要素の伝達マトリクスMduct1~Mduct3,MCHX,MREG,MHHX,MTBTは式(1)から求めたものである。
さらに、始点x=0における音響インピーダンスを求める。ループ管30の管路全体の伝達マトリクスMloopと、始点の圧力振動P(0)及び断面平均体積流速振動U(0)を用いると、ループ管30の終点x=Xloopにおける圧力振動P(Xloop)及び断面平均体積流速振動U(Xloop)は、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 0007015517000008
ここで、ループ管30の始点x=0と終点x=Xloopが同一位置のため、始点及び終点の圧力振動Pが同等という境界条件が与えられる。この境界条件P(0)=P(Xloop)を用いると、式(8)を以下の式(9)で表すことができる。
Figure 0007015517000009
式(9)より始点の音響インピーダンスZ(0)を求めることができ、以下の式(10)のようになる。なお、Mloop_11,Mloop_12は、式(7)に含まれる伝達マトリクスMloopの要素である。
Figure 0007015517000010
始点で設定が必要なのは、以下の式(11)のように、圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uの比である音響インピーダンスZの値である。従って、始点の音響インピーダンスZ(0)を設定することで、ループ管30全体の音響インピーダンス分布を求めることができる。このとき、位相差φは、下記の式(12)で表される。
Figure 0007015517000011
Figure 0007015517000012
以上のように、位相差φを求めれば音響インピーダンスZが定まるので、蓄熱器11を基準とした調整範囲内において、式(12)の位相差φが±50度の範囲内となるように、音響インピーダンス調整機構20を調整すればよい。なお、音響インピーダンス調整機構20の調整とは、式(6)の質量m、ばね定数k、及び、減衰係数dを所望の値で設定することをいう。
[作用・効果]
本発明の第1実施形態にかかる熱音響機関1は、音響インピーダンス調整機構20によって、蓄熱器11の位置に応じて、音響インピーダンスや位相差を調整することができる。これにより、熱音響機関1は、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。
さらに、熱音響機関1は、音響インピーダンス調整機構20をばね・マス・ダンパ系のような簡易な計算モデルで表すことができる。
(第2実施形態)
図4を参照し、本発明の第2実施形態にかかる熱音響機関1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図4に示すように、熱音響機関1Bは、音響インピーダンス調整機構20Bにリニア発電機50が含まれる点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、熱音響機関1Bは、作動気体を満たしたループ管30に熱音響コア部10及び音響インピーダンス調整機構20Bを配置し、ループ管30から分岐した枝管40を有するものである。
なお、音響インピーダンス調整機構20B以外は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
[音響インピーダンス、リニア発電機]
音響インピーダンス調整機構20Bは、音響インピーダンス調整機構20(図3)と同様に音場を調整することに加え、熱音響コア部10で増幅された音響パワーに応動して発電を行なうリニア発電機50を備える。
リニア発電機50は、ループ管30から伝搬する音響パワーに基づき、コイル51内で永久磁石53を往復振動させて、音響パワーを電力に変換するものである。図5に示すように、リニア発電機50は、コイル51と、シャフト52と、永久磁石53と、受圧面54と、を備える。
本実施形態では、リニア発電機50は、ループ管30に音響パワーが伝搬可能な状態で接続されている。リニア発電機50は、管路方向で両端に位置するように、2つの受圧面54が対向している。受圧面54は、ループ管30の内部で生じる圧力変動に対応した内部圧力変動を受ける。シャフト52は、2つの受圧面54の間に挿入されている。永久磁石53は、シャフト52に取付けられている。この永久磁石53は、それぞれS極とN極の磁石から構成されている。コイル51は、ループ管30の管壁と永久磁石53との間に配置されている。
リニア発電機50におけるこのような構造は、コイル51を周回する磁束密度の時間変化により電流が発生するという原理に基づいた発電方式を採用している。すなわち、音響パワーに基づきシャフト52に取付けられた永久磁石53がストロークすることにより、コイル51を周回する磁束密度が大きく変化し、発電が行われる。
なお、リニア発電機50は、その構成が特に限定されず、音響パワーにより永久磁石53がストロークする構成であればよい。
ここで、リニア発電機50は、図6に示すように、ばね・マス・ダンパ系としてモデル化できるので、音響インピーダンス調整機構20Bとして利用できる。つまり、音響インピーダンス調整機構20Bは、マス21、ばね22、ダンパ23、及び、リニア発電機50でモデル化できる。また、リニア発電機50は、コイル24と、抵抗25と、コンデンサ27と、抵抗26とを直列に接続した部分となる。
また、音響インピーダンス調整機構20Bの伝達マトリクスMVALは、以下の式(13)で表すことができる。この式(13)は、リニア発電機50に対応する項を式(6)に加えたものである。
なお、Lがコイル24のインダクタンス、lがコイル24のコイル長さ、Cがコンデンサ27の静電容量、Rが抵抗25の抵抗値(リニア発電機50の内部抵抗)、Rが抵抗26の抵抗値(リニア発電機50の外部抵抗)、Bが磁束密度、Eが電圧を表す。
Figure 0007015517000013
すなわち、熱音響機関1Bでは、式(6)の代わりに、式(13)の伝達マトリクスMVALを用いることで、第1実施形態と同様、ループ管30の管路全体の伝達マトリクスMloopを求め、ループ管30の任意点で圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを算出できる。
そして、熱音響機関1Bでは、位相差φを求めれば音響インピーダンスZが定まるので、蓄熱器11を基準とした調整範囲内において位相差φが±50度の範囲内となるように、音響インピーダンス調整機構20Bを調整すればよい。なお、音響インピーダンス調整機構20Bの調整とは、式(13)の質量m、ばね定数k、減衰係数d、インダクタンスL、コイル長さl、静電容量C、抵抗値R,R、磁束密度B及び電圧Eを所望の値で設定することをいう。
[作用・効果]
本発明の第2実施形態にかかる熱音響機関1Bは、第1実施形態と同様、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。さらに、熱音響機関1Bは、リニア発電機50が音響パワーを利用して発電するので、その熱効率をより向上させることができる。
(第3実施形態)
図7を参照し、本発明の第3実施形態にかかる熱音響機関1Cの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
図7に示すように、熱音響機関1Cは、音響インピーダンス調整機構20Cとして、メッシュ又は膜を用いる点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、熱音響機関1Cは、作動気体を満たしたループ管30に熱音響コア部10及び音響インピーダンス調整機構20Cを配置し、ループ管30から分岐した枝管40を有するものである。
なお、音響インピーダンス調整機構20C以外は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
図7に示すように、音響インピーダンス調整機構20Cは、ループ管30の管路方向と垂直になるように、網状体であるメッシュ、又は、所定厚さの膜を配置したものである。これにより、音響インピーダンス調整機構20Cは、散逸として音響パワーを吸収することで、音響インピーダンス調整機構20(図3)と同様に音場を調整できる。
ここで、音響インピーダンス調整機構20Cをメッシュとする場合、第1実施形態と同様、各要素の伝達マトリクスMtransを式(1)、音響インピーダンス調整機構20Cの伝達マトリクスMVALを式(6)で求めればよい。そして、各要素の伝達マトリクスMtrans及び音響インピーダンス調整機構20Cの伝達マトリクスMVALを結合し、ループ管30全体の伝達マトリクスMloopを求める。
また、音響インピーダンス調整機構20Cを膜とする場合、ベッセル関数により膜の形状を記述し、音響インピーダンス調整機構20Cの伝達マトリクスMVALを求めればよい。そして、各要素の伝達マトリクスMtrans及び音響インピーダンス調整機構20Cの伝達マトリクスMVALを結合し、ループ管30の管路全体の伝達マトリクスMloopを求める。
これにより、熱音響機関1Cでは、第1実施形態と同様、ループ管30の任意点で圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを算出できる。そして、熱音響機関1Cでは、位相差φを求めれば音響インピーダンスZが定まるので、蓄熱器11を基準とした調整範囲内において位相差φが±50度の範囲内となるように、音響インピーダンス調整機構20Cを調整すればよい。
[作用・効果]
本発明の第3実施形態にかかる熱音響機関1Cは、第1実施形態と同様、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。さらに、熱音響機関1Cは、メッシュや膜など、音響インピーダンス調整機構20Cを簡易な構成にすることができる。
(第4実施形態)
図8を参照し、本発明の第4実施形態にかかる熱音響機関1Dの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
熱音響機関1Dは、作動気体の音響パワーにより冷凍を行う熱音響冷凍機である点が、第1実施形態と異なる。すなわち、熱音響機関1Dは、図1の熱音響コア部10の代わりに冷凍機(熱音響コア部)60を備える。
なお、冷凍機60以外は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
[熱音響コア部:冷凍機]
冷凍機60は、ループ管30から伝搬する音響パワーを消費して熱(熱エネルギー)に変換することで、冷却を行うものである。この冷凍機60は、図1の熱音響コア部10の可逆機構であり、冷凍用蓄熱器(蓄熱器)61と、冷凍用冷却器62と、冷気放出器63とを備える。つまり、冷凍機60は、冷凍用蓄熱器61と、冷凍用冷却器62と、冷気放出器63とを1つのユニットとして扱ったものである。ここで、冷凍機60は、冷凍用蓄熱器61の両端を挟むように、冷凍用冷却器62が冷凍用蓄熱器61の一端側に配置され、冷気放出器63がその反対側、すなわち冷凍用蓄熱器61の他端側に配置されている。
[冷凍用蓄熱器]
冷凍用蓄熱器61は、ループ管30の管路に設けられ、作動気体を冷却するものである。すなわち、冷凍用蓄熱器61は、ループ管30を通じて冷凍用蓄熱器61の一端部(以下、適宜、常温部と称する)に伝達された音響パワーを、冷凍用蓄熱器61の一端部(常温部)と冷凍用蓄熱器61の他端部(以下、適宜、低温部と称する)との間における温度差に変換する機能を有している。冷凍用蓄熱器61の常温部は、冷凍用冷却器62によって冷却されているため、伝達された音響パワーによって、冷凍用蓄熱器61の低温部は、常温部よりも低い温度まで冷却されて冷気が発生する。この冷気は、冷気放出器63によって外部に取り出される。冷凍用蓄熱器61は、熱容量の大きい蓄冷材からなる。蓄冷材としては、例えば、ステンレス鋼、銅、鉛等を用いることができ、また、冷凍用蓄熱器61の形状は多様な形状を適用することが可能である。
[冷凍用冷却器]
冷凍用冷却器62は、冷凍用蓄熱器61の一端側に隣接してループ管30の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器61の一端部(常温部)の熱を外部に放出するものである。すなわち、冷凍用冷却器62は、冷却水や空気等を用いて冷凍用蓄熱器61の一端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷凍用冷却器62は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。具体的には、冷凍用冷却器62は、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この冷凍用冷却器62は、その周囲に冷却ブラケット(不図示)を配設している。この冷却ブラケットには冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷凍用冷却器62は冷却ブラケットを介して一定の冷却温度を維持する。
[冷気放出器]
冷気放出器63は、冷凍用蓄熱器61の他端側に隣接してループ管30の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器61の他端部(低温部)に発生する冷気を外部に放出するものである。すなわち、冷気放出器63は、冷凍用蓄熱器61の他端において発生する冷気を外部に取り出す冷気出力部として機能する。冷気放出器63は、例えば、冷凍用の熱交換器から構成される。冷気放出器63としては、基本的には冷凍用冷却器62と同一構成であり、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板を微小ピッチで積層している。この冷気放出器63の外周位置には、冷気(冷熱)を取り出す高熱伝導率材料(例えば、銅)よりなる環状部材を配設している。
[作用・効果]
本発明の第4実施形態にかかる熱音響機関1Dは、第1実施形態と同様、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。すなわち、熱音響機関1Dは、熱効率のよい熱音響冷凍機を実現できる。
(第5実施形態)
図9を参照し、本発明の第5実施形態にかかる熱音響機関1Eの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
熱音響機関1Eは、作動気体の音響パワーにより昇温を行う熱音響昇温機である点が、第1実施形態と異なる。すなわち、熱音響機関1Eは、図1の熱音響コア部10の代わりに昇温機(熱音響コア部)70を備える。
なお、昇温機70以外は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
[熱音響コア部:昇温機]
昇温機70は、ループ管30から伝搬する音響パワーを消費して熱(熱エネルギー)に変換することで、昇温を行うものである。この昇温機70は、昇温用蓄熱器(蓄熱器)71の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の音響パワーで昇温するものであり、昇温用蓄熱器71と、昇温用加熱器72と、昇温用冷却器73とを備える。このように、昇温機70は、昇温用蓄熱器71と、昇温用加熱器72と、昇温用冷却器73とを1つのユニットとして扱ったものである。ここで、昇温機70は、昇温用蓄熱器71の両端を挟むように、昇温用加熱器72が昇温用蓄熱器71の一端側に配置され、昇温用冷却器73がその反対側、すなわち昇温用蓄熱器71の他端側に配置されている。ここで、昇温を行う場合、昇温用冷却器73を常温に保持することで、昇温用加熱器72が高い温度に上昇する。
なお、昇温用蓄熱器71、昇温用加熱器72及び昇温用冷却器73は、それぞれ、蓄熱器11、加熱器12及び冷却器13と基本的に同一構成のため、これ以上の説明を省略する。
[作用・効果]
本発明の第5実施形態にかかる熱音響機関1Eは、第1実施形態と同様、装置形状の変更を少なくし、その熱効率を向上させることができる。すなわち、熱音響機関1Eは、熱効率のよい熱音響昇温機を実現できる。
以下、本発明の実施例として、音場調整のシミュレーション結果を説明する。
図1の熱音響機関1を実施例とし、図10の熱音響機関9を比較例とする。この図10の熱音響機関9は、図1の熱音響機関1から音響インピーダンス調整機構20を取り除いたものである。
この実施例では、作動気体は30気圧のヘリウムとし、駆動周波数は30Hzとした。コア位置距離Xは、駆動周波数に対して十分に短い1.5mとした。蓄熱器11は、流路径0.2mm、開口率70%、軸方向長さ30mmとした。加熱器12及び冷却器13は、同一形状であり、流路径2mm、開口率70%、軸方向長さ30mmとした。また、熱緩衝管の長さは0.1mとした。蓄熱器11、加熱器12、冷却器13及びループ管30の内径は、40mmとした。また、蓄熱器11は、加熱器12側の端面温度(高温端温度)T=573K、冷却器13側の端面温度(低温端温度)T=297Kとした。また、蓄熱器11内部の温度勾配は、線形であることとした。
熱効率ηloopを求めるため、枝管40に流れる音響パワーWを求める必要がある。枝管40の始点x=0における圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uは、以下の式(14)及び式(15)で表される。
Figure 0007015517000014
Figure 0007015517000015
このとき、音響パワーWは、以下の式(15)となるので、圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを式(16)代入することで求められる。
Figure 0007015517000016
熱効率ηloopは、以下の式(17)に示すように、音響パワーW、及び、蓄熱器11に入熱される熱量Qを用いて、ループ管30の全体での熱効率を求め、カルノー効率に対する比とした。
Figure 0007015517000017
まず、比較例の熱音響機関9において、コア位置距離Xを0.5~1.3メートルの範囲で変更しながら、蓄熱器11の位置における位相差φ、及び、ループ管30全体の熱効率ηloopを求めた。
図11に蓄熱器11の位置における位相差φ、及び、ループ管30全体の熱効率ηloopを図示した。コア位置距離X=0.5~0.7mの範囲では、音響パワー分布がマイナス値となり熱音響機関1が動作しないため、ハッチングで図示した。また、○が比較例での熱効率ηloop、●が実施例での熱効率ηloop、△が比較例での位相差φ、▲が実施例での位相差φを表す。
比較例では、位相差φは、50~57deg程度となった。この結果より、蓄熱器11の位置を変化させても、位相差φ=0を満たす計算条件が存在しなかった。また、この計算条件において、コア位置距離X=1.0mの場合、熱効率ηloop=45.6%と最も高くなった。
次に、実施例の熱音響機関1において、コア位置距離X=1.0mの場合で計算を行った。このとき、音響インピーダンス調整機構20は、加熱器12からループ接合点(終点x=Xloop)までの中心位置に配置した。そして、マス21の質量m、ばね22のばね定数k、ダンパ23の減衰係数dを変化させながら、蓄熱器11の位置における位相差φ、及び、ループ管30全体の熱効率ηloopを求めた。このとき、質量m=0、ばね定数k=0、減衰係数d=1.3のとき、熱効率ηloopが最も高くなった。
図12に実施例及び比較例の位相差φを図示し、図13に実施例及び比較例の音響インピーダンス|Z|を図示した。この音響インピーダンス|Z|は、体積流速による音響インピーダンスZの計算値を表している。また、図12及び図13では、実施例での計算結果を実線、比較例での計算結果を破線、蓄熱器11の位置をドットで図示した。
図12に示すように、比較例では、蓄熱器11の位置において、位相差φ=55.2degであった。一方、実施例では、蓄熱器11の位置において、位相差φ=-2.4degであった。このとき、実施例では熱効率ηloop=64.0%となり、比較例に比べて、熱効率ηloopが18.4%向上した。このように、実施例では、進行波位相を実現できることが分かった。
図13に示すように、比較例では、音響インピーダンスのピークが蓄熱器11の位置から外れていた。一方、実施例では、音響インピーダンスのピークが蓄熱器11の位置にあり、音響インピーダンスの値が比較例よりも高くなった。
以上の実施例より、ループ管30に音響インピーダンス調整機構20を備えることによって、蓄熱器11の位置において、位相差や音響インピーダンスの調整が可能であることが分かった。この位相差や音響インピーダンスを適切に調整することで、熱音響機関1の熱効率を改善することができる。
なお、本発明では、作動気体の圧力、駆動周波数、ループ管の形状や材料、加熱器や冷却器の温度が前記した実施例に限定されないことは言うまでもない。
(変形例)
本発明にかかる熱音響機関は、前記した実施形態や実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で変形を加えることができる。
前記した各実施形態では、熱音響機関が1/4波長モードで駆動することとして説明したが、本発明は、これに限定されない。
前記した各実施形態では、熱音響コア部を1つ備えることとして説明したが、本発明は、複数の熱音響コア部を備えてもよい。この場合、位相差調整機構は、熱音響コア部が備える蓄熱器の個数に応じて、位相差の範囲を変えてもよい。
前記した各実施形態では、熱音響機関の構造を具体的に説明したが、本発明は、これに限定されない。ループ管の始点と終点が接続しており、ループ管から枝管が分岐していれば、ループ管の形状は特に制限されない。例えば、ループ管の形状は、各辺の長さが等しい丸角長方状でもよく、円形状や渦巻き状であってもよい。また、ループ管の一部で断面形状や断面積が異なってもよく、ループ管と枝管の断面形状や断面積が異なってもよい。さらに、熱音響コア部の配置位置も任意であり、ループ管の短辺に配置してもよい。
前記した音響インピーダンス調整機構は、第1実施形態では質量、ばね及びダンパを備え、第2実施形態では質量、ばね、ダンパ、コイル、コンデンサ及び抵抗の全てを備えることとして説明したが、本発明は、これに限定されない。つまり、音響インピーダンス調整機構は、質量、ばね、ダンパ、コイル、コンデンサ及び抵抗の何れか1以上からなる等価音響回路でモデル化できる機構であればよい。さらに、音響インピーダンス調整機構は、リニア発電機、メッシュ又は膜に限定されない。
前記した各実施形態では、Rottの波動方程式を用いることとして説明したが、本発明は、これに限定されない。つまり、本発明では、ナビエーストークス方程式、連続の式など、熱音響機関をモデル化して圧力振動P及び断面平均体積流速振動Uを計算できる流体方程式であればよい。例えば、本発明では、Raspetの手法、Piccoloの手法、熱流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)を用いることができる。
また、本発明では、音響インピーダンス調整機構の設定条件を変更しながら、音響インピーダンス及び位相差を測定することにより、実験的に音響インピーダンス調整機構を構築してもよい。
1,1B~1E 熱音響機関(枝管付きループ型熱音響機関)
10 熱音響コア部
11 蓄熱器
12 加熱器
13 冷却器
20,20B,20C 音響インピーダンス調整機構(位相差調整機構)
21 マス(質量)
22 ばね
23 ダンパ
24 コイル
25 抵抗
26 抵抗
27 コンデンサ
30 ループ管
40 枝管
50 リニア発電機
60 冷凍機
61 冷凍用蓄熱器(蓄熱器)
62 冷凍用冷却器
63 冷気放出器
70 昇温機
71 昇温用蓄熱器(蓄熱器)
72 昇温用加熱器
73 昇温用冷却器

Claims (3)

  1. 作動気体を満たしたループ管に、音響パワーと熱との変換を行う熱音響コア部、及び、前記ループ管内の位相差を調整する位相差調整機構を配置し、前記ループ管から分岐した枝管を有する枝管付きループ型熱音響機関であって、
    前記位相差調整機構は、前記ループ管の管路方向を基準に前記熱音響コア部の蓄熱器内で予め設定した位置において、前記作動気体の圧力振動と断面平均体積流速振動との位相差が0度に近づくように調整し、
    前記位相差調整機構は、質量、ばね、ダンパ、コイル、コンデンサ及び抵抗の何れか1以上からなる等価音響回路でモデル化できる機構であることを特徴とする枝管付きループ型熱音響機関。
  2. 前記枝管付きループ型熱音響機関は、前記熱音響コア部を1つ備えることを特徴とする請求項に記載の枝管付きループ型熱音響機関。
  3. 前記熱音響コア部は、冷却器と前記蓄熱器と加熱器とを備える原動機、冷凍用冷却器と前記蓄熱器と冷気放出器とを備える冷凍機、又は、昇温用加熱器と前記蓄熱器と昇温用冷却器とを備える昇温機の何れかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枝管付きループ型熱音響機関。
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