JP5970737B2 - 熱音響機関 - Google Patents

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Description

本発明は、作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関に関する。
近年、地球温暖化やエネルギ問題が深刻化してきている。工場や車両において発生する膨大な廃熱や、太陽光エネルギを高効率で回収することが可能であれば、地球温暖化やエネルギ問題を解決するための切り札となる。そこで、これらのエネルギを回収し、動力化するために、熱音響機関に関する研究が活発に行われている。
熱音響機関は、管内に生じる自励振動を利用したものである。すなわち、管内に狭い流路の束(以下、蓄熱器と称する)を設置し、蓄熱器両端の温度比をある臨界値以上にすると、管内の流体が自励振動を起こす。この作用は熱力学的には可動部品の無い原動機とみなすことができ、この作用を用いたものが熱音響機関である(例えば、特許文献1、2参照)。熱音響機関はスターリングサイクルで駆動する外燃機関であるために、太陽光や工業廃熱等、あらゆる熱源から高効率で仕事を取り出せる可能性がある。また音波を利用して熱交換するシンプルな構成である為に、通常のスターリングエンジンと違い、ピストン、タービン等の可動部品を全く必要とせず、安価、長寿命、メンテナンスフリーという利点を有する。
ここで、近年において実用化を目指して研究が行われている代表的な熱音響機関(例えば、非特許文献1参照)の構成を図10に示す。図10(a)に示す熱音響発電機500は、ループ管100と共鳴管111とを備える。そして、ループ管100内には、原動機200を構成する、蓄熱器210、加熱器220および冷却器230を備え、共鳴管111の先端には発電機(リニア発電機)300を備える。熱音響発電機500においては、蓄熱器210に温度勾配を与えると、音波である自励振動(すなわち熱音響自励振動)が励起され、この音波の振動エネルギ(すなわち音響エネルギ)Eをリニア発電機300で電力に変換する。熱音響発電機500は廃熱利用発電機やソーラーパネルを超える高効率太陽光発電機としての利用が想定されている。
一方、冷房や保冷庫、極低温を生成する装置として図10(b)に示す熱音響冷凍機600(例えば、非特許文献2参照)の研究も活発に行われている。熱音響冷凍機600は、2つのループ管100,120と共鳴管111とを備える。そしてループ管100内には、原動機200を構成する、蓄熱器210、加熱器220および冷却器230を備え、ループ管120内には、冷凍機400を構成する、冷凍用蓄熱器410、冷気放出器420および冷凍用冷却器430を備える。熱音響冷凍機600では、一方のループ管100内に設置した蓄熱器210に温度勾配を与えると自励振動が励起される。この自励振動による音響エネルギEは、共鳴管111を通じてもう一方のループ管120に流れ込み、逆スターリングサイクルを実行することで冷凍用蓄熱器410を冷凍作動させる。このような管内音波である自励振動を使って低温生成を行う熱音響冷凍機600には、パルス管冷凍機を超えるポテンシャルがある。
以上に代表される熱音響機関は、現在、熱回収や次世代エネルギ利用の観点から多くの企業で研究が行われている。しかしながら、21世紀に入り本格的な研究が始められた新しい分野であるために、未だ基盤技術が確立されていない現状がある。
ここで、一般的に試みられている熱音響機関の動作温度は500℃程度であり(非特許文献3参照)、現実の自動車や工場からの廃熱温度(100℃〜300℃程度)と比較して格段に高温である。そこで、熱音響機関の動作温度を低下させる試みとしては、近年、蓄熱器を多段直列配置することで、各蓄熱器で仕事流Wの累乗増幅を実現する「多段熱音響機関」が提案されている(非特許文献4参照)。
特開2006−118728号公報 特開2009−74734号公報
S.Backhaus, E.Tward and M.Petach, Appl.Phys.Lett., Vol.85, No.6, pp.1085-1087(2004)、図4 M. Miwa, T. Sumi, T. Biwa, Y. Ueda and T. Yazaki, Ultrasonics, 44, e1527-e1529(2006)、図5 D.L.Gardner, G.W.Swift, J.Acoust. Soc. Am.,114, pp. 1905-1919 (2003) T. Biwa, Appl.Phys.Lett., Vol.97, 034102 (2010)
しかし、多段熱音響機関では、「複数の蓄熱器を用いる」という性質上、蓄熱器が音響インピーダンス分布に対して分布的に配置されるため、熱効率は10%以下と低い。また、700℃程度の高温領域の動作温度において高い効率が実現できることは確認されているが、工業設備から排出される廃熱は一般的に300℃以下の低温である。よって、現段階において工業廃熱程度の熱源温度を利用して熱効率10%を超える熱音響機関は存在しない。
そのため、低温領域で高い熱効率を実現できる熱音響機関の開発が切望されている。仮に300℃程度の工業廃熱温度で、30%を超える熱効率を有する熱音響機関の構成が明らかになれば、安価、メンテナンスフリーであり、量産が容易な高効率熱エネルギ回収システムが実現することになる。このような熱音響機関の実現による、環境面や経済的な省エネルギ面への波及効果は極めて大きく、有力な次世代のデバイスとして熱音響機関を急速に一般社会に普及させることが可能であると考えられる。
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、低温駆動を可能とし、かつ高い熱効率を有する熱音響機関を提供することを課題とする。
本発明者らは、熱音響機関に関して、以下の事項について検討した。
進行波型の熱音響エンジンは、等温可逆的な熱交換によってエネルギ変換を行うために、理想的にはカルノー効率が期待できる。しかしながら、これを実現するためには外部入力、又は音波のフィードバックが必須である。1998年に矢崎らはトーラス型のループ内に蓄熱器を設置することで音波のフィードバックを行い、初めて実用的な進行波型エンジンを実証した(T.Yazaki et.al., Phys. Rev. Lett. 81, pp.3128-3131, 1988.)。しかし、スタック位置が低音響インピーダンス(圧力と流速の比)であるために、粘性散逸とドリームパイプ効果が大きいという面が存在した。ドリームパイプ効果とは以下の事項をいう。温度勾配のある容器内の流体を外部ピストン等で強制振動させると、高温部から低温部へと非常に大きな熱流が発生する。その有効的熱輸送量は振動がない場合の1000倍以上に達する。結果的に流体を振動させただけで金属の熱伝導度を上回る熱輸送が可能となる。しかしながら、エンジンとして熱音響機関を用いる場合には、低温側への熱輸送は効率の低下につながるため、ドリームパイプ効果は熱音響エンジンの効率を低下させる大きな要因となる。
一方、2000年にBackhausとSwiftは、ループに枝管共鳴管を備えた熱音響エンジンを提案した(S. Backhaus and G. W. Swift, J. Acoust. Soc. Am. 107, 6, pp.3148-3166, 2000.)。Backhausらの提案した熱音響エンジンは、ループ構造によって進行波を用いたエネルギ変換を可能にすると同時に、枝管共鳴管によって1/4波長による共振と蓄熱器位置における高音響インピーダンスを実現している。よって、蓄熱器における粘性散逸並びにドリームパイプ効果は少なく、熱効率30%というガソリンエンジン並みの高効率を実現している。ただし、この効率は入力熱量と枝管共鳴管に出力される仕事流Wの比である。枝管共鳴管では定在波が支配的であるために、粘性散逸が大きく、エネルギ輸送の面では効率の低下を招く可能性がある。また、動作温度は1000K程度と高温である。そのため、実用的な熱音響エンジンを実現するためには、低温動作と高効率を両立させる必要がある。
動作温度を低下させる試みとしては、近年蓄熱器を多段直列に配置した多段熱音響エンジンが提案されている。Gardnerらは定在波型エンジンから生じる仕事流Wを高音響インピーダンス位置に設置した進行波型エンジンで増幅することで、約1kWの出力を得ることに成功している(D.L.Gardner and G.W.Swift, J.Acoust.Soc.Am.114, pp.1905-1919, 2003.)。琵琶らは、ループ熱音響エンジンに5個の蓄熱器を設置することで臨界発振温度比1.19を実現している(T.Biwa et al., Appl. Phys. Lett. 97, 034102, 2010.)。しかしながら、低温発振を実現する多段型にも問題点は存在する。すなわち、前述のとおり、多段型は「複数の蓄熱器を用いる」という性質上、蓄熱器が音場に対して分布的に配置される。よって多くの場合,高音響インピーダンス部分以外にも蓄熱器を設置する必要があり、一般的に効率が低い場合が多い。この問題を解決し、低温駆動と高効率を両立する熱音響エンジンを実現するためには、多段型でありながら全ての蓄熱器が高音響インピーダンスを示す進行波位置に設置される構成を実現する必要がある。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、ループ型多段熱音響エンジンの蓄熱器位置全てで、高音響インピーダンスの進行波を用いたエネルギ変換を実現する構成を見出した。また同時に、蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度(ρ:気体の密度,c:音速)の進行波を実現し、共鳴管における粘性散逸を低減する構成を見出した。
すなわち、前記課題を解決するための手段として、本発明に係る熱音響機関は、作動気体が封入され、全体として環状に形成された複数の共鳴管と、前記複数の共鳴管を連結する複数の原動機と、前記複数の共鳴管のうち、環状を形成するループの始点と終点との交点から、前記共鳴管に連通して一端が接続された枝管とを有し、前記原動機は、前記作動気体を加熱および冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接して前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接して前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器とを備え、前記蓄熱器の両端部間に温度勾配を形成させて前記作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関であって、前記各加熱器に連結する共鳴管の流路断面積は、当該加熱器を備える原動機の冷却器に連結する共鳴管の流路断面積に対し、前記自励振動による仕事流の増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大したものであり、前記蓄熱器の流路断面積は、当該蓄熱器を備える原動機の冷却器に連結する共鳴管の流路断面積の4〜36倍であることを特徴とする。
このような構成によれば、蓄熱器の一端部が加熱器により加熱され、蓄熱器の他端部が冷却器により冷却されることで、蓄熱器の両端部間に温度差、すなわち温度勾配が生じる。そしてこの温度差により、主として作動気体の自励振動(圧力振動)による仕事流Wが生じる。
そして、加熱器に連結する共鳴管の流路断面積を、冷却器に連結する共鳴管の流路断面積に対し、自励振動による仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大することで、蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波とすることができる。また、蓄熱器の流路断面積を、冷却器に連結する共鳴管の流路断面積の4〜36倍とすることで、蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波とすることができる。
本発明に係る熱音響機関は、さらに、前記枝管の他端に接続され、前記枝管に連通して、前記作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なう発電機を備えることで熱音響発電機とすることができる。
このような構成によれば、作動気体に発生した自励振動による音響エネルギが、発電機によって電気エネルギに変換される。そして、熱音響発電機として、低温かつ高効率で駆動することができる。
本発明に係る熱音響機関は、さらに、前記枝管の他端に連通して接続された環状の冷凍用ループ管を有し、前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記作動気体を冷却する冷凍用蓄熱器と、前記冷凍用蓄熱器の前記自励振動が伝わる一端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の一端部の熱を外部に放出する冷凍用冷却器と、前記冷凍用蓄熱器の他端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の他端部に発生する冷気を外部に放出する冷気放出器と、備えることで熱音響冷凍機とすることができる。
このような構成によれば、冷凍用蓄熱器の一端部が冷凍用冷却器により冷却されるとともに、作動気体に発生した自励振動による音響エネルギが、冷凍用蓄熱器に伝達される。これにより、伝達された音響エネルギが冷凍用蓄熱器一端部と冷凍用蓄熱器の他端部との間における温度差に変換される。そして、この冷凍用蓄熱器の両端の温度差によって冷凍用蓄熱器の他端部に発生した冷気が、冷気放出器によって外部に取り出される。そして、熱音響冷凍機として、低温かつ高効率で駆動することができる。
本発明に係る熱音響機関によれば、従来の熱音響機関と比較して、高効率のエネルギ変換が可能となる。また、従来の熱音響機関と比較して、低温の駆動が可能となる。さらに、進行波位相位置に複数の蓄熱器を設置することが出来る。そして、複数の蓄熱器を設置することで、複数の廃熱源を用いたエネルギ回収が可能になる。
さらに、高効率のエネルギ変換が可能なため、装置全体の小型化が可能であり、また装置全体の体積を減少させることが可能である。
また、熱音響発電機として用いた場合、従来の熱音響機関と比較して発電量の向上が可能であり、熱音響冷凍機として用いた場合、従来の熱音響機関と比較して低温で高熱効率の駆動を実現することが可能である。
本発明に係る熱音響機関の構成を模式的に示す模式図である。 本発明に係る熱音響機関を熱音響発電機として用いた場合の模式図である。 本発明に係る熱音響機関を熱音響冷凍機として用いた場合の模式図である。 実施例における、本発明の熱音響機関についての数値計算モデルの概略図である。 実施例で用いた熱音響機関についての数値計算モデルにおける、音響インピーダンス分布を示すグラフであり、(a)はインピーダンスの実数部、(b)はインピーダンスの虚数部を示す。 実施例で用いた熱音響機関についての数値計算モデルにおける、圧力と流速との間の位相差を示すグラフである。 実施例で用いた熱音響機関についての数値計算モデルにおける、正規化した仕事流Wの空間分布を示すグラフである。 実施例で用いた熱音響機関についての数値計算モデルにおける、蓄熱器の熱流成分を示すグラフであり、(a)は原動機20aの蓄熱器の熱流成分、(b)は原動機20bの蓄熱器の熱流成分である。 実施例で用いた熱音響機関についての数値計算モデルにおける、蓄熱器の熱流成分を示すグラフであり、(c)は原動機20cの蓄熱器の熱流成分、(d)は原動機20dの蓄熱器の熱流成分である。 従来の熱音響機関の構成を模式的に示す模式図であり、(a)は、熱音響機関を熱音響発電機として用いた場合の模式図、(b)は、熱音響機関を熱音響冷凍機として用いた場合の模式図である。
次に、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
<熱音響機関>
図1に示すように、熱音響機関1は、作動気体が封入され、全体として環状に形成された複数の共鳴管10a〜10fと、前記複数の共鳴管10a〜10fを連結する複数の原動機20(20a〜20d)と、前記複数の共鳴管10a〜10fのうち、環状を形成するループの始点と終点との交点から、共鳴管10に連通して一端が接続された枝管(枝管共鳴管)11とを有する。
以下、各構成について説明する。
[共鳴管]
共鳴管10a〜10fは、作動気体が満たされる管であり、全体として環状に形成されている。ここでは、6本の共鳴管10a〜10fからなり、原動機20を介して接続されて環を構成し、環状の共鳴管10を構成している。すなわち、共鳴管10bは、図1における紙面上、右側に配置されてその上下が湾曲し、共鳴管10dは、図1における紙面上、左側に配置されてその上下が湾曲している。また、共鳴管10a、10c、10e、10fは、直線状の管である。ここで、図1の破線(符号A1)を基準として図1における紙面上、右側の管部が共鳴管10aであり、左側の管部が共鳴管10fである。共鳴管10aと共鳴管10fの境界は厳密に規定されるものではなく、例えば、符号A1の破線が、紙面上、やや右側、あるいは左側に位置するものであってもよい。そして、これら共鳴管10a〜10fにより、全体としての共鳴管10a〜10fからなる管路は角丸の四角形に形成され、環状を構成している。
ここで、環状に形成された複数の共鳴管10は、冷却器23に連結された共鳴管10のうち流路断面積が最小となる共鳴管10aの管路に、圧力振幅が同等(ここでは同一)となる環(ループ)の始点と終点(符号A1の破線の部位(図4の0の点位置))とを有する。すなわち、ここでは、共鳴管10aと共鳴管10fとの接続部位が始点と終点である。始点および終点は同一の箇所であり(すなわち交点となる)、後記する実施例の数値シミュレーション上で、音響インピーダンスの値をρcと設定した場合の始点および終点である。なお、「共鳴管10aの管路」とは、共鳴管10a自体の他、この共鳴管10aに連通した共鳴管(ここでは共鳴管10f)も含むという意味である。
この始点および終点では、共鳴管10eおよび10fの流路断面積並びに長さを変更し、調整することで、共鳴管10aと圧力振幅を同等とする。
そして、この共鳴管10における始点および終点の位置(すなわち交点)に連通して枝管11が分岐状に接続されている。
[枝管]
枝管11は、作動気体が封入される直線状の管であり、その一端11aが共鳴管10の一部、ここでは、共鳴管10aと共鳴管10fの連結部に連通して、すなわち作動気体が共鳴管10と枝管11とを流通可能な状態で接続されている。つまり枝管11は、前記複数の共鳴管10a〜10fのうち、環状を形成するループの始点と終点との位置(交点)から、共鳴管10に連通して分岐している。なお、「始点および終点の位置から分岐している」とは、枝管11と共鳴管10の連結部分における、枝管11の延長線上がこの始点および終点を含むことを意味する。ここで、図1の破線(符号A2)を基準として図1における紙面上、上側の管部が枝管11であり、下側の管部が共鳴管10(10f,10a)である。枝管11と共鳴管10の境界は厳密に規定されるものではなく、例えば、符号A2の破線が、紙面上、やや上側に位置するものであってもよい。
なお、作動気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物や空気等がよく用いられる。
[原動機]
原動機20は、複数の共鳴管10a〜10fを連結している。「原動機が共鳴管を連結している」とは、封入した作動気体が流通可能なように、原動機を介して共鳴管が接続されている状態をいう。ここでは、4つの原動機20a〜20dが共鳴管10a〜10eに連結され、共鳴管10fが共鳴管10eおよび10aに連結することで、共鳴管10a〜10fが一体の環状の共鳴管10として原動機20a〜20dにより連結されている。
原動機20(20a〜20d)は、熱音響機関1の自励振動発生手段として機能するものであり、共鳴管10の管路に設けられている。原動機20は、共鳴管10の管路に設けられた蓄熱器21と、蓄熱器21の両端を挟むように設けられた加熱器22および冷却器23とを有している。そして、加熱器22は蓄熱器21の一端側に配置され、冷却器23はその反対側、すなわち蓄熱器21の他端側に配置されている。なお、原動機20の位置は、自励振動による仕事流Wが、音響エネルギEとして枝管11の他端11bに伝達される位置であれば、特に限定されるものではない。
原動機20の構成について、ここでは、原動機20aを取り上げて説明するが、原動機20b〜20dについても原理は同様である。
(蓄熱器)
蓄熱器(原動機用蓄熱器)21は、共鳴管10の管路に設けられ、作動気体を加熱および冷却するものである。
蓄熱器21は、加熱器22および冷却器23によって蓄熱器21の両端部間に温度勾配を形成して作動気体の自励振動を発生させる。すなわち蓄熱器21は、その一端部(以下、適宜、高温部21bと称する)と、その他端部(以下、適宜、常温部(原動機側常温部)21aと称する)との間に生じる温度差を保つことによって、主として作動気体の自励振動(圧力振動)による仕事流Wを発生する機能を有している。蓄熱器21は、例えば共鳴管10の延在方向(管路方向)に多数の平行通路を有するセラミックス製のハニカム構造体や、多数枚のステンレス鋼メッシュ薄板を微小ピッチで積層した構造体とすることができる。あるいは金属繊維よりなる不織布状物等を用いることも可能である。
(加熱器)
加熱器22は、蓄熱器21の一端側に隣接して共鳴管10の管路に設けられ、蓄熱器21の一端部(高温部21b)を加熱するものである。すなわち加熱器22は、外部熱源に接続して蓄熱器21の一端を加熱する熱入力部として機能する。加熱器22は、例えば、加熱用の熱交換器から構成される。具体的には、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされる。この加熱器22には図示しない加熱装置が接続されており、その外周に設けられた環状部材22aを介して加熱処理される構成になっている。なお、図面では便宜上、蓄熱器21と加熱器22の間に環状部材22aの左壁が示されているが、加熱器22は、この左壁を通して蓄熱器21の一端側と隣接、すなわち密着している。
(冷却器)
冷却器23は、蓄熱器21の他端側に隣接して共鳴管10の管路に設けられ、蓄熱器21の他端部(常温部21a)の熱を外部に放出するものである。すなわち冷却器23は、冷却水や空気等を用いて蓄熱器21の他端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷却器23は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。冷却器23としては、基本的には加熱器22と同一構成で、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成になっている。この冷却器23は、その周囲に冷却ブラケット23aが配設されている。この冷却ブラケット23aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷却器23は冷却ブラケット23aを介して一定の冷却温度を維持しうる構成になっている。なお、図面では便宜上、蓄熱器21と冷却器23の間に冷却ブラケット23aの右壁が示されているが、冷却器23は、この右壁を通して蓄熱器21の他端側と隣接、すなわち密着している。
そして本発明は、共鳴管および蓄熱器の流路断面積、共鳴管の流路断面積と蓄熱器の流路断面積との関係を規定したものである。以下、これらを規定した理由について説明する。
共鳴管における空間的な粘性散逸は定在波的音場の場合に大きく、進行波的音場の場合に少ない。よって、共鳴管を進行波音場とすることはエネルギ輸送の面で優位性を有する。本発明においては、「蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波を実現」すると同時に、「蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現」するため、まず始点(図4の0の点位置)の音響インピーダンスの値をρc程度とし、共鳴管10aの区間を進行波音場とする。
ここで、ρは作動気体の密度,cは音速であり、ρcは物理値として一定になる。例えば0.1MPaの空気(300K)の場合ρcは約403.3Ns/m,3.0MPaの空気(300K)の場合ρcは約12098.1Ns/m,0.1MPaのヘリウム(300K)の場合ρcは約163.6Ns/m,0.1MPaのアルゴン(300K)の場合ρcは約517.0Ns/mである。「ρc程度」とは、音響インピーダンスの値がρcと同一の場合の他、例えば、±30%程度の範囲内であってもよいことを意味する。すなわち、前記のρcの値に対する±30%の範囲内であり、±15%であることがより好ましい。
一方、蓄熱器においてρc程度の進行波では圧力振幅に対して流速振幅が大きいために、大きな粘性散逸とドリームパイプ効果を生み出し、高いエネルギ変換効率を実現することは難しい。高いエネルギ変換効率を実現するためには、高音響インピーダンスの進行波が必要となる。ここで、局所的に蓄熱器の流路断面積を拡大することによって、圧力振幅を大きく変化させずに、流速振幅を小さくすることが可能であり、高音響インピーダンスを実現することができる。
そこで本発明では、局所的に蓄熱器の流路断面積を共鳴管の流路断面積に対して4〜36倍に拡大することで高音響インピーダンスの進行波を用いたエネルギ変換を実現した。ただし、高音響インピーダンスの進行波を空間的に維持することは困難である。よって、蓄熱器直後の共鳴管の流路断面積を、蓄熱器の流路断面積よりも縮小することで、ρc程度の進行波を再び実現する。また、仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で共鳴管10bの流路断面積を共鳴管10aの流路断面積に対して拡大することで、共鳴管10bにおいてもρc程度の進行波を実現する。そして、以降の共鳴管10b〜10eと原動機20b〜20dの蓄熱器21に関しても同様の構成とする。
なお、音響インピーダンスは、半導体圧力センサーを用いて、角周波数ω(2πf:fは周波数)、時間t、位相差φを測定し、下記式から求められる(特開2011−99606号公報参照)。
音響インピーダンスを、Ζ
気体の圧力振幅を、P=|P|exp(iωt)
音波の流速振幅を、U=|U|exp{i(ωt+φ)}
とするとき、
Ζ=P/U={|P|exp(iωt)}/{|U|exp{i(ωt+φ)}}
すなわち、音響インピーダンスは、気体の圧力振幅(P)の音波の流速振幅(U)に対する比で表され、そして、実数部と虚数部とで構成される。
そして、共鳴管10の流路断面積は、作動気体の密度をρ、音速をcとしたときに、音響インピーダンスの値がρc程度となるように設定されている。そして、共鳴管10では、音場が進行波へと調整される。
上記事項に基づき、本発明の熱音響機関は、共鳴管および蓄熱器の流路断面積、共鳴管の流路断面積と蓄熱器の流路断面積を以下のように規定したものである。
加熱器22に連結する共鳴管10の流路断面積は、加熱器22を備える原動機20の冷却器23に連結する共鳴管10の流路断面積に対し、自励振動による仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大したものとする。
例えば、原動機20aでは、この原動機20aの加熱器22に連結する共鳴管10bの流路断面積は、この蓄熱器21を備える原動機20aの冷却器23に連結する共鳴管10aの流路断面積に対し、自励振動による仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大している。原動機20b〜20dに連結する共鳴管10b〜10eについても同様である。
言い換えれば、複数の共鳴管10のそれぞれの流路断面積は、自励振動による仕事流Wの進行方向に向かうにつれて、共鳴管10毎に仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大している。なお、「仕事流Wの進行方向」は、共鳴管10aから順に、10b、10c、10d、10e、10fに向かう方向である。
ここで、「共鳴管の流路断面積」とは、長手方向(流路方向)に対して垂直に切断した場合の流路の断面積であり、管の内径の面積、すなわち、仕事流Wが流通する部位の面積である。「仕事流W」とは、作動気体の振動に基づく仕事、エネルギの移動を意味し、音波によって運ばれる力学的エネルギであり、後記する実施例での式(6)で定義される。具体的には、圧力振幅と断面平均体積流速振幅を乗じ、2で除したものが仕事流Wの値になる。
また、「仕事流Wの増幅率」とは、ここでは、加熱器温度をTH、冷却器温度をTCとしたときの各蓄熱器の温度比である「TH/TC」をいうものとする。例えば、原動機20aにおいて、加熱器温度が600K、冷却器温度が300Kであれば、仕事流Wの増幅率は2倍である。この場合、共鳴管10bの流路断面積を共鳴管10aの流路断面積に対して2倍とする。
共鳴管10bの流路断面積を、仕事流Wの増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で共鳴管10aの流路断面積に対して拡大することで、共鳴管10bにおいても、音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現することができる。共鳴管10c〜10eについても同様である。
ここで、共鳴管10bの流路断面積は、仕事流Wの増幅率と同じであることが好ましいが、仕事流Wの増幅率と±30%の範囲内であれば高い熱効率を示す。なお、±30%の範囲のうちでも、好ましくは±20%、より好ましくは±10%程度である。
なお、各蓄熱器においては、温度比「TH/TC」の「仕事流Wの増幅率」が見込まれる。ただし、実際は不可逆的なエネルギ変換が含まれるため、実際の「仕事流Wの増幅率」は「TH/TC」より小さい値となる。後記する実施例でのシミュレーションにおいても不可逆的なエネルギ変換を考慮しているため、「仕事流Wの増幅率」は「TH/TC」より小さい値となっている。ここで、「仕事流Wの増幅率」は、測定値、シミュレーションの値、温度比「TH/TC」の順に正確な増幅率であるため、共鳴管10bは、実際の測定値や、シミュレーションの値と同一の増幅率としてもよい。この場合、これらの値は、前記した「±30%」の範囲に含まれる。なお、本発明においては、利便性の観点から、温度比「TH/TC」を「仕事流Wの増幅率」とすることとしている。
ここで、仕事流Wの測定方法について以下に示す(琵琶 哲志: “熱音響工学初学者のための計測入門”. 低温工学, Vol. 43, pp.517-526 (2008)参照)。
すなわち仕事流Wは、Z(音響インピーダンス実数部)と次式で関係づけられる。
W=(A/2)(Z)|U|
このときZ:音響インピーダンス実数部,A:管内流路断面積,U:流速振幅である。
上式で与えられる仕事流Wの符号は音響パワーの流れの向きを表す。正ならば座標軸の向きに流れ、負ならば逆方向への流れを表す。
さらに、蓄熱器21の流路断面積は、蓄熱器21を備える原動機20の冷却器23に連結する共鳴管10の流路断面積の4〜36倍とする。好ましくは6.5〜15倍、より好ましくは7〜11倍である。これらの範囲内にあると、実用的な高い熱効率を示す。
例えば、原動機20aの蓄熱器21の流路断面積は、原動機20aに連結する共鳴管10aの流路断面積の4〜36倍とする。原動機20b〜20dについても同様である。
ここで、「蓄熱器の流路断面積」とは、共鳴管の流路断面積に対向する面の断面積であり、仕事流Wが流通する部位の面積である。
蓄熱器の流路断面積を、冷却器に連結する共鳴管の流路断面積の4〜36倍とすることで、蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波とすることができる。なお、4倍未満、あるいは36倍を超えても、蓄熱器の流路断面積が、冷却器に連結する共鳴管の流路断面積よりも大きければ、音響インピーダンスはある程度高くはなるが、4〜36倍の範囲内に比べると高くはなく、熱効率が低下し、実用的ではない。また、36倍を超えると、熱音響機関のサイズが大きくなり、生産性に劣るという問題や、取り扱いが不便になるという問題が生じる。よって、本発明においては、熱効率が比較的高く、かつ生産性や取り扱い等を考慮して、4〜36倍の範囲に規定することとした。
また、最終的に共鳴管10fの流路断面積並びに長さを変更することで圧力振幅の実数部と虚数部の空間的変化を調整し、共鳴管10における「ループ始点と終点における圧力振幅は同等である」という境界条件を満たすことができる。
本発明の熱音響機関は、主に、熱音響発電機や、熱音響冷凍機として用いられる。
次に、図面を参照して、熱音響機関を用いた熱音響機関の一例として、前記の熱音響機関1を用いた場合の熱音響発電機および熱音響冷凍機について説明する。
<熱音響発電機>
図2に示すように、熱音響発電機50は、前記した熱音響機関1に加え、さらに、枝管11の他端11bに接続され、枝管11に連通して、作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なう発電機(リニア発電機)30を備えるものである。発電機30を備える以外については、前記の熱音響機関1で説明したとおりであるので、ここでは発電機30について説明する。
[発電機]
発電機30は、枝管11の他端11bに接続され、枝管11に連通して、さらに共鳴管10の一部(共鳴管10f,10a)に連通するかたちで設けられており、作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なうリニア発電機として機能する。すなわち、音響エネルギEである自励振動に基づき内側ヨーク33を往復振動させて、音響エネルギEを電気エネルギに変換するものである。これにより、枝管11を通って伝達した音響エネルギEを、内側ヨーク33の往復運動を介して電気エネルギに変換する、いわゆる熱音響発電機50を形成することができる。ここで、図2の破線(符号A3)を基準として図2における紙面上、上側が発電機30であり、下側の管部が枝管11である。枝管11と発電機30の境界は厳密に規定されるものではなく、符号A3の破線が、紙面上、やや下側に位置するものであってもよい。
発電機30は、枝管11の他端11bに接続され、共鳴管10および枝管11の内部で生じる圧力変動に対応した内部圧力変動を受ける圧力容器39を備えている。圧力容器39内には、外側ヨーク(円筒)31,31と、外側ヨーク31,31にそれぞれ収容されるコイル32,32と、外側ヨーク31,31の間に位置する内側ヨーク(円筒)33と、外側ヨーク31,31のそれぞれと内側ヨーク33との間に設けられた永久磁石34,34と、が備えられている。なお、永久磁石34,34は、それぞれS極とN極の磁石から構成されている。
発電機30におけるこのような構造は、コイル32,32を周回する磁束密度の時間変化により電流が発生するという原理に基づいた発電方式を採用している。すなわち、音響エネルギEである自励振動に基づき内側ヨーク33がストロークすることにより、コイル32,32を周回する磁束密度が大きく変化し、発電が行われる。また、内側ヨーク33に突起33aを取り付けることによって、エアギャップを磁束が通過することによる磁束密度の低下を抑止することができる。
このような直線運動を直接電力に変換するリニア発電システムは、変換機構による変換ロスや摩擦損失が根本的に存在しないというメリットがあり、発電機全体を小型化することや、高効率化を期待することができる。また、往復運動のストローク変動が発生するフリーピストン型スターリングエンジンを用いたり、潮力エネルギ、振動エネルギ等を発電に利用したりした場合、振動を回転に変換することが困難であることから、高効率リニア発電機へのニーズは高まっている。
<熱音響冷凍機>
図3に示すように、熱音響冷凍機60は、前記した熱音響機関1に加え、さらに、枝管11の他端11bに連通して接続された環状の冷凍用ループ管12を有する。そして、冷凍用ループ管12の管路に、冷凍機40として、冷凍用蓄熱器41と、冷凍用冷却器43と、冷気放出器42と、を備える。冷凍機40および冷凍用ループ管12を備える以外については、前記の熱音響機関1で説明したとおりであるので、ここでは冷凍機40およびこれを管路に備える冷凍用ループ管12について説明する。
[冷凍用ループ管]
冷凍用ループ管12は、作動気体が封入される環状の管であり、その管路は角丸の四角形に形成され、四辺に該当する直線部を形成する直管部12a〜12dからなる。すなわち、四辺に該当する直線部を形成する縦方向に略平行に並んだ2つの直管部12a、12bと、横方向に略平行に並んだ2つの直管部12c、12dと、を有している。そして、直管部12aの一端と直管部12cの一端、直管部12bの一端と直管部12cの他端、直管部12bの他端と直管部12dの一端が接続されて湾曲している。また、直管部12aの他端と直管部12dの他端が接続されるとともに、この部位において、冷凍用ループ管12に連通して枝管11の他端11bが接続されている。ここで、図3の破線(符号A4)を基準として図3における紙面上、上側の管部が冷凍用ループ管12であり、下側の管部が枝管11である。ここでは、枝管11における冷凍用ループ管12との接続部は、右側が湾曲しているが、直角に形成しているものであってもよい。また、枝管11と冷凍用ループ管12の境界は厳密に規定されるものではなく、符号A4の破線が、紙面上、やや下側(例えば、前記湾曲していない部分)に位置するものであってもよい。
[冷凍機]
冷凍機40は、原動機20によって発生する作動気体の自励振動による仕事流Wを冷気(冷熱)に変換するヒートポンプ手段として機能するものである。冷凍機40は、冷凍用ループ管12内に設けられた冷凍用蓄熱器41と、冷凍用蓄熱器41の両端を挟むように設けられた冷凍用冷却器43および冷気放出器42とを有している。より具体的には、冷凍機40は、本実施形態において、冷凍用ループ管12における枝管11が接続されている側、すなわち冷凍用ループ管12の直管部12aの管路に設けられている。そして、冷凍用冷却器43は冷凍用蓄熱器41の直管部12c側に配置され、冷気放出器42はその反対側、すなわち冷凍用蓄熱器41の直管部12d側に配置されている。
(冷凍用蓄熱器)
冷凍用蓄熱器41は、冷凍用ループ管12の管路に設けられ、作動気体を冷却するものである。
冷凍用蓄熱器41は、原動機20から、枝管11、冷凍用ループ管12の直管部12d,12b,12c,12aの順にこれらの管を通じて冷凍用蓄熱器41の一端部(以下、適宜、常温部(冷凍機側常温部)41aと称する)に伝達された自励振動を、冷凍用蓄熱器41の一端部(常温部41a)と冷凍用蓄熱器41の他端部(以下、適宜、低温部41bと称する)との間における温度差に変換する機能を有している。冷凍用蓄熱器41の常温部41aは冷凍用冷却器43によって冷却されているため、伝達された自励振動によって、冷凍用蓄熱器41の低温部41bは、常温部41aよりも低い温度まで冷却されて冷気が発生する。この冷気は、冷気放出器42によって外部に取り出される。冷凍用蓄熱器41は、熱容量の大きい蓄冷材からなる。蓄冷材としては、例えば、ステンレス鋼、銅、鉛等を用いることができ、またその形状は多様な形状を適用することが可能である。
(冷凍用冷却器)
冷凍用冷却器43は、冷凍用蓄熱器41の自励振動が伝わる一端側に隣接して冷凍用ループ管12の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器41の一端部(常温部41a)の熱を外部に放出するものである。すなわち冷凍用冷却器43は、冷却水や空気等を用いて冷凍用蓄熱器41の一端の熱を外部に放出して冷却する機能を有している。冷凍用冷却器43は、例えば、冷却用の熱交換器から構成される。具体的には、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成になっている。この冷凍用冷却器43は、その周囲に冷却ブラケット43aが配設されている。この冷却ブラケット43aには図示しない冷却水路が接続されており、冷却水路を流れる冷却水により、冷凍用冷却器43は冷却ブラケット43aを介して一定の冷却温度を維持しうる構成になっている。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器41と冷凍用冷却器43の間に冷却ブラケット43aの左壁が示されているが、冷凍用冷却器43は、この左壁を通して冷凍用蓄熱器41の一端側と隣接、すなわち密着している。
(冷気放出器)
冷気放出器42は、冷凍用蓄熱器41の他端側に隣接して冷凍用ループ管12の管路に設けられ、冷凍用蓄熱器41の他端部(低温部41b)に発生する冷気を外部に放出するものである。すなわち冷気放出器42は、冷凍用蓄熱器41の他端において発生する冷気を外部に取り出す冷気出力部として機能する。冷気放出器42は、例えば、冷凍用の熱交換器から構成される。冷気放出器42としては、基本的には冷凍用冷却器43と同一構成とされており、例えば、メッシュ板等の多数枚の金属板が微小ピッチで積層された構成とされている。この冷気放出器42の外周位置には、冷気(冷熱)を取り出す高熱伝導率材料(例えば、銅)よりなる環状部材42aが配設されている。なお、図面では便宜上、冷凍用蓄熱器41と冷気放出器42の間に環状部材42aの右壁が示されているが、冷気放出器42は、この右壁を通して冷凍用蓄熱器41の他端側と隣接、すなわち密着している。
<熱音響機関の動作>
次に熱音響機関の動作について、前記説明した熱音響発電機および熱音響冷凍機を例にして図2および図3を参照して説明する。
[熱音響発電機の動作]
図2に示すように、まず、原動機20において、加熱器22によって蓄熱器21の高温部21bを加熱し、かつ、冷却器23によって蓄熱器21の常温部21aを冷却すると、蓄熱器21の両端に、すなわち、高温部21bと常温部21aとの間に温度差が生じる。この温度差により、原動機20(具体的には、蓄熱器21)には、主として作動気体の自励振動による仕事流Wが生じる。そして、原動機20において発生した自励振動による仕事流Wは、音響エネルギEとして、例えば原動機20aでは、共鳴管10b,10c,10d、10e、10f、枝管11の順にこれらの管を通じて発電機30へと伝達される。原動機20b〜20dおいても同様に、発生した自励振動による仕事流Wは、音響エネルギEとして、共鳴管10、枝管11を通じて発電機30へと伝達される。そして発電機30に伝達された自励振動に基づき内側ヨーク33を往復振動させることで、音響エネルギEが電気エネルギに変換されて発電が行なわれる。
[熱音響冷凍機の動作]
図3に示すように、前記した熱音響発電機の動作と同様にして、原動機20(具体的には、蓄熱器21)に主として作動気体の自励振動による仕事流Wが生じる。そして、原動機20において発生した自励振動による仕事流Wは、音響エネルギEとして枝管11を通じて冷凍機40へと伝達される。より具体的には、例えば原動機20aでは、蓄熱器21の高温部21bから、音響エネルギEとして共鳴管10b,10c,10d、10e、10f、枝管11、冷凍用ループ管12の直管部12d,12b,12c,12aを通じて冷凍用蓄熱器41の常温部41aへと伝達される。原動機20b〜20dおいても同様に、発生した自励振動による仕事流Wは、音響エネルギEとして、共鳴管10、枝管11、冷凍用ループ管12を通じて冷凍機40へと伝達される。
次に、冷凍用蓄熱器41へと伝達された自励振動は、冷凍用冷却器43によって外部に熱を放出して冷却されている冷凍用蓄熱器41の常温部41aと冷凍用蓄熱器41の低温部41bとの間における温度差に変換される。そして、この冷凍用蓄熱器41の両端の温度差によって冷凍用蓄熱器41の低温部41bに発生した冷気(冷熱)が、冷気放出器42によって外部に取り出されることにより、冷凍能力が得られる。
次に、本発明に係る実施例について説明する。本実施例では、数値計算によって、「蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波を実現」すると同時に、「蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現」する装置構成を提案し、実際の性能を検証した。すなわち、後記する所定の計算式を用いて装置構成を提案し、さらにこの計算式を用いたシミュレーションにより、図5〜9に示すデータを算出し、性能を検証した。
本実施例で用いる数値計算モデル(すなわち、熱音響機関の構成)を図4に示す。なお、図4においては、熱音響機関の形状をわかりやすくするため、模式的に図示している。
ここでは、冷却器、加熱器および蓄熱器からなる原動機(ゼロ点(0の点)から時計回りに原動機20a,20b,20c,20dとする)を、共鳴管10a〜10f、枝管11で構成した枝付きループ管内に四ヶ所設置する多段増幅型熱音響エンジンを計算モデルの一例として用いた。なお、図中、L1〜L6は、それぞれ共鳴管10a〜10fの長さである。
ここでは、後記する計算手法を用いて「蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波を実現」すると同時に、「蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現」するように、蓄熱器の設置位置、断面積、流路径、並びに共鳴管流路径等を最適化した。各部詳細諸元を表1に示す。なお、表1中、Unit1〜4は、それぞれ原動機20a〜20dを意味する。また、Unitにおける流路径は、例えばメッシュの直径を想定している。さらに、共鳴管の直径は内径を意味し、Unitの直径は内径、すなわち仕事流Wが流通する部位を意味する。
Figure 0005970737
なお各加熱器温度は600K、各冷却器温度は300K、作動気体は300Kのヘリウムガス(3MPa)とした。純粋な進行波音場では音響インピーダンスは空間的に一様であり、純実数ρcで与えられる。本実施例で一例として用いる作動気体は300Kのヘリウムガス(3MPa)であるため、ρcは約4973.4Ns/mとなる。
次に、本実施例で用いた計算手法を以下に記す。ただし、熱音響機関は本発明の構成を満たす条件であればよく、その詳細な条件は、以下の計算手法に限らず、他の手法を用いて決定してもよい。本実施例の数値計算では、運動量の式、連続の式を線形長波長近似することによってRottが導いた以下の式(N. Rott, Z. Angew. Math. Phys. 20,pp.230-243, 1969.)を用いた。
Figure 0005970737
ここでp:圧力振幅,U:断面平均体積流速振幅,j:虚数,ω:角周波数,ρ:平均密度,A:断面積,p:平均圧力,γ:比熱比,σ:プラントル数,T:平均温度,χα,χν:温度拡散係数,動粘性係数に依存する複素関数である。式(1)の行列Aの固有値と固有ベクトルを求め対角化を行うと,x=0におけるp(0)とU(0)を使って連続なx点の情報を得ることが可能な以下の式を得る。
Figure 0005970737
式(2)を図4におけるゼロ点から時計回りに連続空間毎に連結し「ループ始点と終点における圧力振幅は同等」であるという境界条件を用いると伝達マトリクスは以下となる。
Figure 0005970737
ここで、各蓄熱器の温度勾配は「蓄熱器においてエンタルピー流Hは一定」であるという条件を用いて求めている。式(3)より始点のインピーダンスは次式で表すことができる。
Figure 0005970737
式(4)の値を初期値として用いることでループ内のインピーダンス分布を求める。なお、エンジンに入力される熱量Q並びに仕事流Wは以下の式で求めた。
Figure 0005970737
ここでCは等圧比熱、「〜」は複素共役である。本実施例では基礎的な検討を目的としているために、式(5)において単純熱伝導による熱流は無視している。
なお、熱音響機関はループ形状なので、始点と終点は同一箇所となる。当然、熱音響機関が実機で駆動している際は始点と終点の圧力振幅は同等となる。例えば、数値シミュレーション上で始点の音響インピーダンスの値をρcと設定した場合、終点の圧力振幅の値が始点の圧力振幅の値と同等になれば、その熱音響機関は実際に実機においても駆動することになる。終点の圧力振幅の値が始点の圧力振幅の値となるように共鳴管10eおよび10fの直径並びに長さを変更することで圧力振幅の実数部と虚数部の空間的変化を調整し、数値シミュレーション上で、「始点と終点の圧力振幅は同等である」という境界条件を満たしている。数値シミュレーションで上述の境界条件が満たされていれば、実機も同様に始点の音響インピーダンスの値がρcで駆動する。なお、図4では、共鳴管10eから10fへと直径を一段で小さく変更して10aと同じにしているが、例えば、テーパ状に収縮して共鳴管10aと同じ直径にしてもよい。
本実施例の数値計算モデルにおける、音響インピーダンス分布を図5(a)、(b)に、圧力と流速との間の位相差を図6に、仕事流W分布を図7に示す。図中のハッチングは各原動機(図中、Unitと記す)の位置である。なお、図5(a)は実数部、図5(b)は虚数部を示している。さらに図7は、始点の仕事流Wの値Wで任意点の仕事流Wの値Wを除すことで始点を基準とした値に正規化した。
結果を確認すると、図5(a)では共鳴管10a〜10eそれぞれにおいて音響インピーダンスは概ね4973.4Ns/m前後であると同時に,図5(b)においても、各共鳴管の音響インピーダンス虚数部は、ほぼゼロである。さらに図6における圧力と流速との間の位相差は、共鳴管10a〜10eの全領域に渡り±19°以内であり、提案した構成では概ね進行波音場が実現されていることが確認できる。
次に、図7の仕事流Wを確認する。本実施例では各加熱器温度Tを600K、冷却器温度Tを300Kとしているために、理想的には各蓄熱器で「温度比:T/T=2」となり、2倍の仕事流W増幅が見込まれる。図7より、本実施例における各蓄熱器の仕事流W増幅率は1.91,1.90,1.91,1.91倍であり、温度比に比較的近い増幅率を得ることに成功している。最終的な仕事流Wの増幅率は12.4倍に達した。また、共鳴管においては、ρc程度の進行波が実現されているために、粘性散逸に伴う仕事流Wの減衰は非常に少ない。以上の検証により、提案した構成を用いることで、「蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波を実現」すると同時に、「蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現」することが可能であることが示せた。
次に、同条件における提案構成の熱効率について検証する。各原動機における蓄熱器の熱流成分を図8、9に示す。図8において、(a)は原動機20aにおける蓄熱器(蓄熱器1)、(b)は原動機20bにおける蓄熱器(蓄熱器2)、図9において、(a)は原動機20cにおける蓄熱器(蓄熱器3)、(b)は原動機20dにおける蓄熱器(蓄熱器4)の熱流成分である。なお、同図において、Wは仕事流、Qprogは進行波による熱流、Qstandは定在波による熱流、Qはドリームパイプ効果による熱流であり、横軸は各蓄熱器内部の位置を示している。本実施例では各蓄熱器位置において、高音響インピーダンスの進行波が実現されているため、ドリームパイプ効果による熱流と定在波による熱流は極めて少ない。
図8、9より、各蓄熱器における熱効率は、蓄熱器1で34.1%、蓄熱器2で33.6%、蓄熱器3で34.5%,蓄熱器4で33.5%であった。また、全ての加熱器に投入した熱量を負荷に流れ出す仕事流Wで除すことで求めた装置全体の熱効率は33.8%であった。これは、カルノー効率の67.7%に達する高効率であり、加熱器温度600K程度の低温熱源でガソリンエンジン並みの効率を実現している。
なお、熱効率は熱音響エンジンにおける仕事流Wの増幅量(△W)を、入力熱量の総和(Q+Qprog+Qstand)により除すことで求めている。QとQprogとQstandは蓄熱器の加熱器側の端部の値であり、グラフの右端の値である。また、△Wは蓄熱器両端の値の差である。これらの値から、以下の式により熱効率ηを求めることができる。
「熱効率η=△W/(Q+Qprog+Qstand)」
以上のとおり、本実施例では多段熱音響エンジンを対象に「蓄熱器位置全てで高音響インピーダンスの進行波を実現」すると同時に、「蓄熱器以外の位置では音響インピーダンスの値がρc程度の進行波を実現」する構成を数値計算により提案した。そして、提案した構成における粘性散逸並びに不可逆的なエネルギ変換は極めて少なく、熱効率は加熱器温度600Kの際、33.8%を実現した。すなわち、カルノー効率の67.7%に達する高効率であった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等が可能であることはいうまでもない。
例えば、熱音響発電機や熱音響冷凍機の構成は、前記説明した形態のものに限定されるものではなく、その他の一般的に用いられている構成の熱音響発電機や熱音響冷凍機においても、本発明の構成を適用することができる。例えば、熱音響発電機においては、発電機(リニア発電機)の構成は、前記説明したものに限定されるものではなく、熱音響発電機として用いられる発電機であればどのような構成であってもよい。
また、全体としての共鳴管や冷凍用ループ管の平面視の形状は、前記した実施形態では角丸の四角形としたが、これらの形状はこれに限定されるものではなく、例えば、正方形や円、あるいは楕円の形状であってもよい。さらに、原動機の数は4つとして説明したが、その数は任意であり、2〜20個程度まで共鳴管の経路内に設置可能である。
また、ここでは、枝管に接続される共鳴管は、共鳴管10fと共鳴管10aとからなるが、これらは直径(内径)が同一の一体とした1つの共鳴管としてもよい。同様に、共鳴管10eと共鳴管10fは、ここでは別の共鳴管としたが、これらを一体とした1つの共鳴管としてもよい。
1 熱音響機関
10,10a〜10f 共鳴管
11 枝管
12 冷凍用ループ管
20,20a〜20d 原動機
21 蓄熱器
22 加熱器
23 冷却器
30 発電機(リニア発電機)
40 冷凍機
41 冷凍用蓄熱器
42 冷気放出器
43 冷凍用冷却器
50 熱音響発電機
60 熱音響冷凍機

Claims (3)

  1. 作動気体が封入され、全体として環状に形成された複数の共鳴管と、前記複数の共鳴管を連結する複数の原動機と、前記複数の共鳴管のうち、環状を形成するループの始点と終点との交点から、前記共鳴管に連通して一端が接続された枝管とを有し、
    前記原動機は、前記作動気体を加熱および冷却する蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接して前記蓄熱器の一端部を加熱する加熱器と、前記蓄熱器の他端側に隣接して前記蓄熱器の他端部の熱を外部に放出する冷却器とを備え、前記蓄熱器の両端部間に温度勾配を形成させて前記作動気体の自励振動を発生させる熱音響機関であって、
    前記各加熱器に連結する共鳴管の流路断面積は、当該加熱器を備える原動機の冷却器に連結する共鳴管の流路断面積に対し、前記自励振動による仕事流の増幅率と同じ、あるいはそれの±30%の範囲内にある増幅率で拡大したものであり、
    前記蓄熱器の流路断面積は、当該蓄熱器を備える原動機の冷却器に連結する共鳴管の流路断面積の4〜36倍であることを特徴とする熱音響機関。
  2. さらに、前記枝管の他端に接続され、前記枝管に連通して、前記作動気体に発生する自励振動に応動して発電を行なう発電機を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱音響機関。
  3. さらに、前記枝管の他端に連通して接続された環状の冷凍用ループ管を有し、前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記作動気体を冷却する冷凍用蓄熱器と、前記冷凍用蓄熱器の前記自励振動が伝わる一端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の一端部の熱を外部に放出する冷凍用冷却器と、前記冷凍用蓄熱器の他端側に隣接して前記冷凍用ループ管の管路に設けられ、前記冷凍用蓄熱器の他端部に発生する冷気を外部に放出する冷気放出器と、備えることを特徴とする請求項1に記載の熱音響機関。
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