JP2018090451A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チョクラルスキー法による単結晶の製造方法において、融液の液面位置の正確な測定を可能にする。【解決手段】ルツボ11内の融液から単結晶15を引き上げる単結晶引き上げ工程において、チャンバー19の外側に設置されたカメラで18チャンバー19内の炉内構造物17および融液13の液面13aを斜め上方から撮影したときの撮影画像に写る炉内構造物17の実像および融液の液面に映った炉内構造物17の鏡像それぞれのエッジパターンを検出し、カメラの設置角度θcおよび焦点距離fに基づいて、炉内構造物17の実像および鏡像それぞれのエッジパターンを基準平面上に投影変換し、基準平面上の炉内構造物17の実像および鏡像それぞれのエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる基準パターンの形状から炉内構造物17の実像および鏡像それぞれの代表寸法を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法という)による単結晶の製造方法に関し、特に、融液の液面位置を正確に測定して制御する方法に関する。
半導体デバイスの基板材料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法では石英ルツボ内に収容されたシリコン融液に種結晶を浸漬し、種結晶および石英ルツボを回転させながら種結晶を徐々に上昇させることにより、種結晶の下端に大きな直径の単結晶を成長させる。CZ法によれば直径300mm以上の大口径なシリコン単結晶インゴットを高い歩留りで製造することが可能である。
シリコン単結晶の結晶品質を高精度に制御するためには、シリコン融液の液面位置、特にシリコン融液の上方に配置された遮熱部材と呼ばれる筒状の炉内構造物の下端から融液面までの距離(ギャップ)を高精度に制御する必要がある。シリコン融液の液面位置を高精度に制御するため、例えば特許文献1には、単結晶の周囲に配置された熱遮断筒の下端と融液面との相対距離を正確に測定する方法が記載されている。この方法では、単結晶と融液面との接点である単結晶の成長点と熱遮断筒の下端とを炉外からCCDカメラで撮影し、得られた画像から、単結晶の直径が最大となる成長点の位置bと熱遮断筒の内径が最大となる位置aとを検出し、単結晶の直径が最大となる成長点の位置bと熱遮断筒の内径が最大となる位置aを融液面上に投射した位置との差を求めて、求めた位置の差を画像上における縦方向の位置の差xとし、縦方向の位置の差xとCCDカメラの鉛直方向に対する設置角度とを用いて、融液面と熱遮断筒の下端部との相対距離yを算出する。
また特許文献2には、チョクラルスキー単結晶成長装置において、溶融レベルおよび反射体の位置を求めるための方法およびシステムが記載されている。この単結晶成長装置は、シリコン融液を収容する加熱されたルツボを有し、単結晶はこのシリコン融液から引き上げられる。この単結晶成長装置は、同様に、中央開口部を有し、ルツボ内に配置された反射体を有し、単結晶はこの中央開口部を介して引き上げられる。カメラにより、反射体の一部、およびシリコン融液の液面に映る反射体の虚像の一部の画像が形成される。画像プロセッサは、画素値の関数として画像を処理して反射体の実像のエッジおよび虚像のエッジを検出する。制御回路は、画像における検出されたエッジの相対的位置に基づいて、カメラから反射体の実像までの距離、およびカメラから反射体の虚像までの距離を求める。制御回路は、求められた距離に基づいて、単結晶成長装置の状態を示す少なくとも1つのパラメータを求め、求められたパラメータに応じて単結晶成長装置を制御する。
特許文献3には、シリコン融液の液面位置を正確に検出し、高品質な結晶特性をもつシリコン単結晶を製造する方法が記載されている。この製造方法では、この引き上げの初期段階で第一の演算部が遮熱部材の実像と鏡像との間隔に基づいてシリコン融液の液面位置を設定し、シリコン単結晶がボディー部に移行する段階で第二の演算部が高輝度帯(フュージョンリング)の像に基づいてシリコン融液の液面位置を設定する。
また特許文献4には、遮熱部材と融液面との間隔をより高精度に制御するためのシリコン単結晶の製造方法が記載されている。この方法では、撮像手段によって撮像された遮熱部材の実像と鏡像の輝度の微分情報を用いて、実像と鏡像の輪郭線を特定し、特定した輪郭線からシリコン単結晶の引き上げ時のシリコン融液の液面と遮熱部材の下端との間隔(ギャップ)を算出する。またこの方法では、見かけ上楕円をなす遮熱部材の開口の画像を円近似することによって前記遮熱部材の中心位置を算出する。
特許文献5には、直径検出精度を単結晶引き上げ開始前の段階で確保できるカメラ位置の調整方法およびカメラ位置調整治具が記載されている。この方法では、既知の直径を持つ円を表示したディスプレイを、円の表示面が融液面と同じ高さ位置になるように配設し、カメラにより円の直径の値を検出し、該検出した直径の値と既知の直径の値が一致するように、カメラの取り付け位置および取り付け角度を調整することで、カメラを適切な取り付け位置および取り付け角度に調整する。
特許第4930487号公報 特表2002−527341号公報 特許第5678635号公報 特開2013−216505号公報 特開2015−129062号公報
CZ法によるシリコン単結晶の育成において、その単結晶に含まれる欠陥の種類や分布は、単結晶の引き上げ速度Vとシリコン単結晶の成長方向の温度勾配Gとの比V/Gに依存する。ボイド欠陥や転位クラスタを含まないだけでなく、熱処理後の酸素析出まで考慮した高品質なシリコン単結晶を製造するためには、V/Gを厳密に制御する必要がある。
V/Gの制御は引き上げ速度Vを調節することで行われる。温度勾配Gは、融液面と遮熱部材との距離の影響を大きく受けることが知られている。したがって、V/Gが非常に狭い変動許容幅に収まるようにするためには、融液面と遮熱部材との距離を一定に保つことが求められる。しかし、シリコン単結晶の成長と共に融液量は減少するため、融液面と遮熱部材との距離を一定に保つためにはシリコン融液を支持するルツボを上昇させる必要があり、そのためには液面位置を正確に測定し、その測定値に基づいてルツボの上昇量を精密に制御する必要がある。
上記のように、液面位置を正確に測定して精密に制御する方法には様々な方法がある。しかし、近年は高品質なシリコン単結晶を引き上げるための条件が非常に厳しくなっており、液面位置の測定精度のさらなる向上が求められている。特に、遮熱部材と融液面との距離のばらつきを±0.2mm以下に抑えることが望ましく、液面位置の精度を高めるためのさらなる改善が求められている。
特許文献2に記載の溶融レベルおよび反射体の位置を求めるための方法は、反射体の実像および鏡像それぞれのエッジを検出し、最右側のエッジ、および最左側のエッジの間の差に基づいて、反射体の実像および鏡像それぞれの直径を求め、これらの直径からカメラから反射体の実像までの距離ならびに反射体の鏡像までの距離を求めるものである。そのため、エッジを検出するための二値化処理の仕方によっては、反射体の実像および鏡像それぞれの直径のばらつきが大きくなるという問題がある。
したがって、本発明の目的は、融液の液面位置をより正確に測定して精密に制御することが可能な単結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、チャンバー内に設置されたルツボ内の融液から単結晶を引き上げる単結晶引き上げ工程を含み、前記単結晶引き上げ工程は、前記チャンバーの外側に設置されたカメラで前記チャンバー内の炉内構造物および前記融液の液面を斜め上方から撮影し、前記カメラの撮影画像に写る前記炉内構造物の実像および前記融液の液面に映った前記炉内構造物の鏡像それぞれのエッジパターンを検出し、前記カメラの設置角度(θ)および焦点距離(f)に基づいて、前記炉内構造物の実像および鏡像それぞれのエッジパターンを基準平面上に投影変換し、前記基準平面上の前記炉内構造物の実像のエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる第1の基準パターンの形状から前記炉内構造物の実像の代表寸法(半径r)を算出し、前記基準平面上の前記炉内構造物の鏡像のエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる第2の基準パターンの形状から前記炉内構造物の鏡像の代表寸法(半径r)を算出することを特徴とする。
本発明によれば、炉内構造物の実像および鏡像それぞれの代表寸法を正確に求めることができる。したがって、これらの代表寸法を用いて融液の液面位置を正確に算出することが可能となる。
本発明による単結晶の製造方法は、前記炉内構造物の実像の代表寸法(半径r)および前記カメラの設置角度(θ)に基づいて前記カメラの設置位置から前記炉内構造物の実像までの第1の距離(Lcosθ)を算出し、前記炉内構造物の鏡像の代表寸法(半径r)および前記カメラの設置角度(θ)に基づいて前記カメラの設置位置から前記炉内構造物の鏡像までの第2の距離(Lcosθ)を算出し、前記第1の距離(Lcosθ)および前記第2の距離(Lcosθ)から前記融液の液面位置を算出することが好ましい。これによれば、単結晶引き上げ工程中に液面位置を正確に制御することが可能となる。
本発明による単結晶の製造方法は、前記カメラの設置位置および前記第1の距離(Lcosθ)に基づいて前記炉内構造物の実像の垂直方向の位置を算出し、前記カメラの設置位置および前記第2の距離(Lcosθ)に基づいて前記炉内構造物の鏡像の垂直方向の位置を算出し、前記炉内構造物の実像の垂直方向の位置と前記炉内構造物の鏡像の垂直方向の位置との中点を算出することにより前記液面位置を算出することが好ましい。これによれば、液面位置を簡単かつ正確に算出することができる。
本発明による単結晶の製造方法は、前記第1の距離(Lcosθ)と前記第2の距離(Lcosθ)との差の1/2の値から前記炉内構造物と前記液面との間隔(ギャップ値ΔG={(L−L)×cosθ}/2)を算出することが好ましい。これによれば、ギャップ値を簡単かつ正確に算出することができる。
本発明による単結晶の製造方法は、前記単結晶引き上げ工程中の前記チャンバー内の熱環境下での熱膨張を考慮した前記炉内構造物の実際の代表寸法(ractual)をさらに用いて前記第1および第2の距離をそれぞれ算出することが好ましい。これによれば、パターンマッチングの精度をさらに高めることができる。
本発明において、前記炉内構造物は、前記ルツボの上方に配置された遮熱部材であり、前記炉内構造物の代表寸法は、前記融液から引き上げられた前記単結晶が貫通する前記遮熱部材の円形の開口の半径であり、前記炉内構造物の前記基準パターンとのマッチングでは、前記遮熱部材の前記実像および鏡像それぞれの開口のエッジパターンを円近似して得られる近似式から前記実像の開口の半径(r)および前記鏡像の開口の半径(r)をそれぞれ求めることが好ましい。これによれば、カメラでチャンバー内の融液を撮影する場合に撮影画像に写り込む遮熱部材を利用してカメラの設置角度を測定することができる。
本発明において、前記炉内構造物は直線部を有し、前記炉内構造物の代表寸法は、前記直線部の長さであり、前記実像のエッジパターンと前記炉内構造物の基準パターンとのマッチングでは、前記直線部のエッジパターンを直線近似して得られる近似式から前記直線部の長さを求めることが好ましい。このように、パターンマッチング法によれば、炉内形状物の直線の寸法から液面位置を算出することも可能である。
本発明による単結晶の製造方法は、事前に把握した前記カメラのバックディスタンスに基づいて前記カメラの設置位置を特定すると共に、前記炉内構造物の前記実像および鏡像それぞれのエッジパターンを前記基準平面上に投影変換することが好ましい。これによれば、カメラに起因する投影変換の誤差を取り除くことができる。したがって、カメラの撮影画像に基づいて融液の液面位置を正確に測定することができ、これにより液面位置を精密に制御することできる。
また、本発明による単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、チャンバー内に設置されたルツボ内の融液から単結晶を引き上げる単結晶引き上げ工程を含み、前記単結晶引き上げ工程は、前記チャンバーの外側に設置されたカメラで前記チャンバー内を撮影し、前記カメラの設置角度(θ)、焦点距離(f)およびバックディスタンスに基づいて、前記カメラの撮影画像を投影変換することを特徴とする。
本発明によれば、カメラに起因する投影変換の誤差を取り除くことができる。したがって、カメラの撮影画像に基づいて融液の液面位置を正確に測定することができ、これにより液面位置を精密に制御することできる。
本発明によれば、融液の液面位置をより正確に測定して精密に制御することが可能な単結晶の製造方法を提供することにある。
図1は、本実施形態におけるシリコン単結晶製造装置の構成を示す略断面図である。 図2は、カメラ18の撮影画像であって、遮熱部材17の実像と鏡像との関係を説明するための図である。 図3は、撮影画像の二次元座標を実空間の座標に換算する方法を説明するための模式図である。 図4は、撮影された画像において、所定の横方向の画素列の輝度とその微分値を示すグラフである。 図5は、遮熱部材17の実像および鏡像の中心位置からギャップ値ΔGの絶対値の算出方法を説明するための模式図である。 図6(a)および(b)は、カメラの原理およびバックディスタンスの測定方法を説明するための模式図である。 図7は、シリコン単結晶の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図8は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す側面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態におけるシリコン単結晶製造装置の構成を示す略断面図である。
図1に示すように、シリコン単結晶製造装置10は、略円筒形のチャンバー19を備え、チャンバー19の内部にはシリコン融液を貯留する石英ルツボ11が設置されている。チャンバー19は、例えば内部に一定の隙間を形成した二重壁構造であればよく、この隙間に冷却水を流すことによって、石英ルツボ11を加熱した際にチャンバー19が高温化することを防止する。
こうしたチャンバー19の内部には、シリコン単結晶の引き上げ開始前から終了後までアルゴンなどの不活性ガスが導入される。チャンバー19の頂部には、引上駆動装置22が備えられる。引上駆動装置22は、シリコン単結晶インゴット15の成長核となる種結晶14およびそこから成長するシリコン単結晶インゴット15を回転させつつ上方に引き上げる。こうした引上駆動装置22には、シリコン単結晶インゴット15の引き上げ量に基づいてシリコン単結晶インゴット15の結晶長情報を送出するセンサ(不図示)が形成されていれば良い。
チャンバー19の内部には、略円筒形のヒータ12が備えられる。ヒータ12は、石英ルツボ11を加熱する。このヒータ12の内側に、ルツボ支持体(黒鉛ルツボ)16および石英ルツボ11が収容される。石英ルツボ11は、全体が石英で一体に形成され、上方が開放面を成す略円筒形の石英容器である。
石英ルツボ11には、固形のシリコンを溶融したシリコン融液13が貯留される。ルツボ支持体16は、例えば全体が黒鉛で形成され、石英ルツボ11を包むように密着して支持する。ルツボ支持体16は、シリコンの溶融時に軟化した石英ルツボ11の形状を維持し、石英ルツボ11を支える役割を果たす。
ルツボ支持体16の下側にはルツボリフト装置21が備えられる。ルツボリフト装置21は、ルツボ支持体16および石英ルツボ11を下側から支えるとともに、シリコン単結晶インゴット15の引き上げに伴って変化するシリコン融液13の融液面13aの液面位置が適切な位置となるように石英ルツボ11を上下動させる。これにより、シリコン融液13の融液面13aの位置が制御される。ルツボリフト装置21は、同時に、引き上げ時にルツボ支持体16および石英ルツボ11を所定の回転数で回転可能に支持している。
石英ルツボ11の上面には、シリコン融液13の上面、すなわち融液面13aを覆うように遮熱部材(遮蔽筒)17が形成されている。遮熱部材17は、例えばすり鉢状に形成された断熱板からなり、その下端には円形の開口17aが形成されている。また遮熱部材17の上端の外側縁部はチャンバー19の内面側に固定されている。
こうした遮熱部材17は、引き上げたシリコン単結晶インゴット15が石英ルツボ11内のシリコン融液13から輻射熱を受けて熱履歴が変化し、品質が劣化することを防止する。また、こうした遮熱部材17は、シリコン単結晶製造装置10の内部に導入された引き上げ雰囲気ガスをシリコン単結晶インゴット15側からシリコン融液13側に誘導することによって、シリコン融液13の融液面13a付近の残留酸素量や、シリコン融液13から蒸発したシリコン蒸気やSiOなどを制御し、シリコン単結晶インゴット15が目的の品質になるようにする。このような引き上げ雰囲気ガスの制御は、炉内圧および遮熱部材17の下端とシリコン融液13の融液面13aとのギャップを通過する際の流速に依存すると考えられる。シリコン単結晶インゴット15が目的の品質になるように、遮熱部材17の下端からシリコン融液13の融液面13aまでの距離(ギャップ値)ΔGは正確に設定される必要がある。なお、引き上げ雰囲気ガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスに、ドーパントガスとして水素、窒素、やそれ以外の所定のガスを含有することができる。
チャンバー19の外側にはカメラ18が設置されている。カメラ18は例えばCCDカメラであり、チャンバー19に形成された覗き窓19aを介してチャンバー19内を撮影する。シリコン単結晶インゴット15の引き上げ軸Zに対するカメラ18の設置角度θは所定の角度をなしており、カメラ18は鉛直方向に対して傾斜した光軸Lを有する。すなわち、カメラ18は、遮熱部材17の円形の開口17aおよび融液面13aを含む石英ルツボ11の上面領域を斜め上方から撮影する。
カメラ18は、演算部24および制御部26に接続される。また、演算部24、引上駆動装置22は、制御部26に接続される。制御部26は、引上駆動装置22のセンサから得られたシリコン単結晶インゴット15の結晶長データと、カメラ18から得られた結晶長データに基づいて、石英ルツボ11の移動量(上昇量)を制御する。
石英ルツボ11の移動量を制御するため、制御部26は、演算部24によって算出された石英ルツボ11の位置補正データに基づいて、石英ルツボ11の位置補正制御を行う。
演算部24は、カメラ18によって撮影された遮熱部材17の実像と、シリコン融液13の融液面13aに映し出された遮熱部材17の鏡像とを含む画像に基づいて、シリコン融液13の液面位置を算出する。そのため、カメラ18は、遮熱部材17の下端の円形の開口17aを通して見えるシリコン融液13の融液面13aと、遮熱部材17の開口17aの実像と鏡像とを撮影し、演算部24は、遮熱部材17の実像と鏡像との間隔を測定して、融液面13aの実際の高さ位置を算出する。
図2は、カメラ18の撮影画像であって、遮熱部材17の実像と鏡像との関係を説明するための図である。
図2に示すように、シリコン融液13は遮熱部材17の開口17aを通して覗き見ることができ、撮影画像には遮熱部材17の実像Maが写り込んでいる。また遮熱部材17の開口17aの内側にはシリコン融液13があり、シリコン融液13の融液面13aは鏡面となるため、融液面13aには遮熱部材17の鏡像Mbが映り込んでいる。遮熱部材17はチャンバー19側に固定されているので、遮熱部材17の実像Maの位置は変化せず、画像内の常に同じ位置にある。
一方、融液面13aに映る遮熱部材17の鏡像Mbは、遮熱部材17と融液面13aとの距離の変動にしたがって変化する。このため、遮熱部材17の実像Maと融液面13aに映った鏡像Mbとの間隔Dは、結晶成長に伴うシリコン融液13の消費や石英ルツボ11の昇降による融液面13aの上下動に連動する。そして、融液面13aの位置はこの実像Maと鏡像Mbとの間隔Dの中点にある。例えば、融液面13aを遮熱部材17の下端に一致させると遮熱部材17の実像Maと鏡像Mbとの間隔はゼロになり、融液面13aを徐々に下げていくと遮熱部材17の下端から融液面13aまでの距離(ギャップ値)ΔGも徐々に広がる。このときのギャップ値ΔGは、遮熱部材17の実像Maと鏡像Mbとの間隔Dの1/2の値(すなわち、D=ΔG×2)として算出することができ、カメラ18で撮影した画像の画素サイズおよび画素数を用いて計算することができる。
このような遮熱部材17の実像Maと鏡像Mbとの関係から液面位置を測定するいわゆる鏡像法では、カメラ18で撮影した画像から遮熱部材17の実像Maと鏡像Mbそれぞれのエッジパターンを検出した上で、それぞれ開口の寸法を算出し、それらの2つの寸法からギャップ値ΔG(遮熱部材17の下端と融液面13aとの間隔:図1参照)を算出する。詳細には、遮熱部材17の実像Maの開口の半径に基づいてカメラ18から実像Maまでの垂直方向の距離(第1の距離)を算出し、遮熱部材17の鏡像Mbの開口の半径に基づいてカメラ18から鏡像Mbまでの垂直方向の距離(第2の距離)を算出し、これらの距離の差からギャップ値ΔGを算出する。これは、カメラ28から見た遮熱部材17の鏡像Mbの開口の垂直方向の位置は、遮熱部材17の実像Maの開口よりも2ΔG遠くにあるものと見ることができ、遮熱部材17の実像Maの開口に対する遮熱部材17の鏡像Mbの開口の縮小比はギャップ値ΔGに比例し、ΔGが大きくなるほど鏡像Mbの開口の寸法は小さくなると考えることができるからである。
しかしチャンバー19の外側に設置したカメラ18は融液面13aを斜め上方から撮影するので、遮熱部材17の円形の開口17aの見かけ上の形状は真円とならず、撮影画像は歪んでいる。遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口の寸法を正確に算出するためには、画像のひずみ補正が必要である。そこで本実施形態では、カメラ18で撮影した遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口を基準平面上に投影変換し、真上から見たときの開口17aの寸法を求める。
なお、遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口の寸法(代表寸法)としては、開口のエッジパターン(サンプル値)を最小二乗法により円近似して得られた円の半径を用いることができる。このようにして求めた遮熱部材17の実像および鏡像Mbの寸法を基準にして実像Maと鏡像Mbとの間隔D=2ΔGを特定する。
遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの垂直方向の位置は、必ずしも円形の開口の半径から求める必要はなく、他の寸法から求めることも可能である。例えば、遮熱部材17の開口17aの一部が直線になっている場合には、最小二乗法による直線近似を行い、その近似式から得られた直線の長さを用いることもできる。
任意の開口形状を有する遮熱部材17の像の垂直方向の位置は、遮熱部材17の設計上の開口形状を所定の縮尺率で縮小した基準パターンとマッチングさせることにより算出することができる。すなわち、カメラ18の設置位置からの距離に応じて縮小率を変化させた遮熱部材17の開口形状の基準パターンを用意し、遮熱部材17の像のエッジパターンを基準パターンとマッチングさせたときに残差が最小(マッチング率が最大)となる基準パターンの縮小率に基づいて、カメラ18の設置位置から遮熱部材17の像までの距離を実際の距離として算出する。このようにして、カメラ18の設置位置を基準とした遮熱部材17の実像および鏡像それぞれの垂直方向の位置を求めることができる。
図3は、撮影画像の二次元座標を実空間の座標に投影変換する方法を説明するための模式図である。
図3の左側の図に示すように、カメラ18はチャンバー19内を斜め上方から撮影しているため、撮影画像中の遮熱部材17の開口17aの形状は歪んでおり、遠近感を持った画像となっている。すなわち、カメラ18までの距離が近い下側の画像は上側よりも広がっている。したがって、遮熱部材17の実像および鏡像それぞれの開口の寸法を正確に算出するためには、画像のひずみ補正が必要となる。そこで、カメラ18の撮像画像の座標を、遮熱部材17の下端と同じ高さ位置に設定した基準平面上の座標に投影変換してひずみを補正する。
図3の右側の図は、画像補正を行う際の座標系を示している。この座標系では、基準平面をxy平面としている。またXY座標の原点Cは、カメラ18の撮像デバイス18aの中心位置Cからカメラ18のレンズ18bの中心位置F(0,y,z)を通るように引いた直線(一点鎖線)と基準平面との交点である。この直線はカメラ18の光軸である。
また、シリコン単結晶15の引き上げ方向がz軸の正方向であり、撮像デバイス18aの中心位置C(0,y,z)とレンズ18bの中心位置F(0,y,z)はyz平面内にある。図3の左側図に示した画像中の座標(u,v)は撮像デバイス18aの画素で表され,以下の式(1)に示す撮像デバイス18a上の任意の一点P(x,y,z)に対応している。
ここで、αとαは撮像デバイス18aの横方向と縦方向の画素サイズであり、yとzは撮像デバイス18aの中心位置Cのy座標とz座標である。また図3の右側図に示すように、θは、カメラ18の光軸がz軸となす角度であって、カメラ18の設置角度である。
さらに、撮像デバイス18aの中心位置C(0,y,z)は、カメラ18のレンズ18bの中心位置F(0,y,z)およびレンズの焦点距離fを用いて、以下の式(2)で表される。
ここで、式(2)について詳細に説明すると、基準平面上の座標原点Cから撮像デバイス18aの中心位置C(0,y,z)までの距離をLとするとき、y,zはそれぞれ次の式(3)のようになる。
座標原点Cからカメラ18のレンズ18bの中心位置Fまでの距離をaとし、レンズ18bの中心位置Fから撮像デバイス18aの中心位置Cまでの距離をbとするとき、座標原点Cから撮像デバイス18aの中心位置Cまでの距離Lは次の式(4)のようになる。
またレンズの結像公式から、焦点距離fは距離a,bを用いて次の式(5)のように表される。
式(4)および式(5)から距離bを消去し、Lを距離aと焦点距離fとで表現すると次の式(6)ようになる。
座標原点Cからカメラ18のレンズ18bの中心位置Fまでの距離aの値は、カメラ18のレンズ18bの中心位置F(0,y,z)を用いて次の式(7)のように表すことができる。
したがって、上記式(2)は、式(3)、式(6)および式(7)から求められる。
レンズ18bをピンホールと考えるとき、撮像デバイス18a上の任意の一点P(x,x,x)は、F(0,y,z)を通して基準平面上に投影され、この投影点P'(X,Y,0)は、以下の式(8)で示すことができる。
式(1)、式(2)および式(8)を用いることにより、基準平面上に投影された遮熱部材17の円形の開口17aの実像、鏡像の座標を求めることができる。
レンズ18bの中心位置FF(0,y,z)から撮像デバイス18aの中心位置C(0,y,z)までの距離bが既知である場合、レンズ18bの中心位置Fの座標y,zは、距離bおよび撮像デバイス18aの中心位置Cの座標y,zを用いて次の式(9)のように表すことができる。
このように、レンズ18bの中心位置F(主点)から撮像デバイス18aの中心位置Cまでの距離b(バックディスタンス)が既知の場合には、バックディスタンスの値を用いて投影点P'(X,Y,0)を表すことができる。
次に、遮熱部材17の開口17aの半径の算出方法について説明する。基準平面に投影された実像、鏡像の座標から開口17aの中心位置の座標(x、y)および半径rを算出する方法としては最小二乗法を用いればよい。遮熱部材17の開口17aは円形であり、開口17aの像は以下の式(10)に示す円の方程式を満たす。
ここで式(10)中の(x,y)およびrの算出には最小二乗法を用いる。最小二乗法での演算を簡易に行うために以下の式(11)に示す変形を行う。
この式(11)中の変数a,b,cを最小二乗法で求めることとなる。それは式(11)と測定された点との差の二乗和が最小なる条件を得ることとなり、これを以下の式(12)に示す偏微分方程式を解くことにより得られる。
そして、この式(12)の解は以下の式(13)に示す連立方程式により算出可能である。
このように最小二乗法を用いることにより、基準平面に投影された遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口の半径r、rを算出することができる。
本実施形態にてギャップ値ΔGを測定する場合は遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbの安定した検出が必須となる。画像データ中から所定の像の位置を検出する手法としては、その像の輝度値をもとに閾値を設定して二値化処理する手法が一般的である。しかしチャンバー19内の遮熱部材17の像のエッジ検出を二値化処理により行った場合、炉内温度の変化に伴う輝度変化により検出位置がずれる可能性がある。
この影響を排除するため、本実施形態では一般的な二値化手法ではなく、輝度変化をもとに遮熱部材17の像のエッジを検出する手法を用いる。すなわち、遮熱部材17のエッジ(輪郭線)の検出においては、元画像の輝度変化量を示す微分画像を用いる。微分画像のデータは、遮熱部材17の実像Maとその鏡像Mbとのエッジ部でそれぞれ極大値をとり、元の画像の輝度の大きさは無関係となる。そこで微分画像の極大値の位置を検出エッジとすることにより、輝度変化の影響による測定誤差を小さくして、遮熱部材17の実像および鏡像の開口17aの正確な寸法を安定して検出し、特定することが可能となる。
エッジ検出では、撮影画像の横方向の輝度分布を微分することによりその輝度変化量を求める。図4は、撮影された画像において、所定の横方向の画素列の輝度とその微分値を示すグラフである。図4に示すように、グラフ両サイドの遮熱部材の実像部分に対して、中央部の融液部分において輝度が変化した場合でも、輝度微分値は変化せず、遮熱部材の鏡像に対応する部分の境界のみが明確に判明することがわかる。
輝度の微分値は画像の横方向の輝度の差分により算出されるが、この場合、画像に含まれるノイズの影響を大きく受ける。このため、本実施形態では、算出された輝度の微分値の9画素分の平均値を算出することによりノイズの影響を除去している。こうして算出された輝度微分データのピーク位置を検出することにより、遮熱部材17の実像および鏡像のエッジ位置を特定することができる。
図5は、遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口の半径r,rからギャップ値ΔGを算出する方法を説明するための模式図である。
図5に示すように、遮熱部材17(F)が水平に設置されている場合、遮熱部材17の実像の下端の中心座標(Xhc,Yhc,0)と遮熱部材17の鏡像の下端の中心座標(Xhc,Yhc,0)は、融液面13aを挟んで存在し、その2点を結ぶ直線は(Xhc,Yhc,0)を通りZ軸と平行な直線となる。一方、基準平面上での遮熱部材17の鏡像の中心座標(Xmc,Ymc,0)は、遮熱部材17の鏡像の中心座標(Xmc,Ymc,Zgap)が基準平面上に投影された座標となるため、遮熱部材17の鏡像の中心座標(Xmc,Ymc,Zgap)は、基準平面上での遮熱部材17の鏡像の中心座標(Xmc,Ymc,0)とレンズ18bの中心位置F(0,y,z)を通る直線上にあることとなる。
したがって、撮像デバイスのレンズ18bの中心位置Fから遮熱部材17の鏡像の開口の中心までの距離Lとし、撮像デバイスのレンズ18bの中心位置Fから遮熱部材17の鏡像の開口の中心までの距離Lとするとき、距離L、Lは次の式(14)のように表される。
この式より、ギャップ値ΔGは式(15)のように表すことができる。
このように、ギャップ値ΔGを算出するためには、距離L,Lを求めればよいことが分かる。
融液面13aに映った遮熱部材17の鏡像は実際の遮熱部材17よりも2ΔGだけ遠くにあると考えることができ、そのため遮熱部材17の鏡像の半径rは実像の半径rよりも小さく見える。さらに、引き上げ中の炉内温度環境下では、遮熱部材17の熱膨張によりその開口の半径は設計寸法(常温下での寸法)よりも小さくなることが分かっている。そこで、熱膨張を考慮した開口の半径(理論値)をractual、遮熱部材17の実像の開口の半径測定値をr、遮熱部材17の鏡像の開口の半径測定値をrとすると、距離L,Lは次の式(16)により算出可能である。
上記(15)、(16)式から、ギャップ値ΔGは以下の式(17)ように算出可能である。
このように、ギャップ値ΔGは、遮熱部材17の実像および鏡像それぞれの開口の半径測定値r,rから求めることができる。
ギャップ値ΔGの算出方法としては、遮熱部材17の実像Maおよび鏡像Mbそれぞれの開口の中心位置のY座標の値の差からギャップ値ΔGを算出する方法も知られている。しかし、この算出方法では近似円を求める範囲が画像の縦方向に狭く、Y座標方向(画像縦方向)の制約が大きいため、エッジの検出ばらつきの影響を受けてギャップ値ΔGの算出誤差が大きくなるという問題がある。これに対し、遮熱部材17の円形の開口の半径からギャップ値ΔGを算出する場合には、ギャップ値ΔGの算出に用いる近似円の中心位置のY座標に加え、近似円の中心位置のX座標と近似円の半径とが同時に算出され、特に近似円の半径がX座標方向(画像縦方向)の値であり、左右両端のデータが得られるため、エッジ検出のばらつきの影響を低減することができる。
次にカメラ18のバックディスタンスについて説明する。
図3に示したように、撮影画像上の一点の座標P(x,y,z)は、撮像デバイスの中心位置C(0,y,z)に基づいて定められ、座標P(x,y,z)を基準平面上に投影変換した座標P'(X,Y,0)は、基準平面上の原点(0,0,0)に基づいて定められる。そして、撮像デバイスの中心位置C(0,y,z)は、基準平面上の原点(0,0,0)から撮像デバイスの中心位置Cまでの距離Lとカメラ18の設置角度θとに基づいて定められる。そのため、撮影画像上の一点の座標P(x,y,z)を基準平面上の座標P'(X,Y,0)に投影変換するためには、基準平面上の原点(0,0,0)から撮像デバイスの中心位置Cまでの距離Lとカメラ18の設置角度θの正確な値が必要である。そしてカメラ18のバックディスタンスbと設置角度θが分かれば、撮像デバイスの中心位置C(0,y,z)に対するカメラ18の設置位置F(0,y,z)を求めることができる。
図6(a)および(b)は、カメラの原理およびバックディスタンスの測定方法を説明するための模式図である。
図6(a)に示すように、基準平面上の原点(0,0,0)から撮像デバイスの中心位置Cまでの距離Lは、カメラ18のワークディスタンスaとバックディスタンスbとの合計値として求めることができる。ここでワークディスタンスaはレンズ18bの主点から被写体までの距離であって可変値であるが、バックディスタンスbはレンズ18bの主点から撮像デバイス18aの素子面(受光面)までの距離であって、カメラ18の構造によって決まる固定値である。
一般的な投影変換ではバックディスタンスbの代わりに焦点距離fが用いられるが、非常に高い精度での投影変換を実現するためには、レンズの結像公式に従ったバックディスタンスの値を用いる必要がある。しかし、シリコン単結晶製造装置10において通常用いられるカメラ18は汎用品であり、レンズ系は複合レンズであり、単レンズのように主点がレンズ中心にないため、レンズ設計上のワークディスタンスaおよびバックディスタンスbの正確な値は不明である。カメラ18のワークディスタンスaとバックディスタンスbの正確な値が分からなければ、被写体までの距離Lの正確な値を知ることができず、撮影画像中の座標P(x,y,z)を基準平面上の投影点P'(X,Y,0)に正確に投影変換することができない。
そこで本実施形態では、カメラ18のバックディスタンスbの正確な値を予め求めることにより、液面位置の測定精度の向上を図っている。
図6(a)に示すように、ワークディスタンスa、バックディスタンスbとするとき、焦点距離fはレンズの結像公式から上記(2c)式のようになる。
また被写体の実際の寸法をH、撮像デバイスによって撮影された画像に映る被写体の寸法をhとするとき、レンズ倍率は式(18)のようになる。
図6(b)に示すように、被写体を後方にΔaだけ移動させたことにより素子面の被写体の寸法が小さくなり、hからh'に変わったとき、レンズ倍率は式(19)のようになる。
上記式(18)および式(19)より、ワークディスタンスaは式(20)のようになる。
また上記式(5)より、バックディスタンスbは(21)式のようになる。
以上の結果から、ワークディスタンスの変化量Δaとこれに対応する素子面上の任意の寸法の変化量h−h'からワークディスタンスaを求めることができ、式(21)のようにレンズの焦点距離fとワークディスタンスaからバックディスタンスbを求めることができる。このように、レンズの焦点距離fとワークディスタンスaが分かればバックディスタンスbも分かるので、素子面上の任意の寸法hから実際の被写体の寸法Hを正確に求めることができる。つまり、撮影画像上の任意の一点Pの座標を基準平面上に正確に投影変換することができる。
次に、図7および図8を参照しながら、シリコン単結晶製造装置10を用いたシリコン単結晶の製造方法について説明する。
まずシリコン単結晶の製造に先立ち、カメラ18のバックディスタンスbを予め測定しておく。バックディスタンスnはカメラ固有の値であり、一度測定しておけばカメラ18を交換するまでその値を使い続けることができる。カメラ18のバックディスタンスbの測定は、シリコン単結晶の引き上げ工程を開始する前であればいつ行ってもよく、カメラ18をチャンバー19に設置する前に行うことが好ましいが、シリコン単結晶の製造工程中、例えば上記のようにシリコン融液を生成した熱環境下で行うこともできる。
シリコン単結晶の製造工程では、まず石英ルツボ11に原料のポリシリコンを投入し、図1に示すように、石英ルツボ11を取り囲むように配置されたヒータ12によって石英ルツボ11内のポリシリコンを加熱して溶融し、シリコン融液13を生成する(ステップS21)。
シリコン融液13を生成した直後の引き上げ工程を開始する前の段階では、融液面13aの位置は不明である。そのため、演算部24はまず遮熱部材17の実像Maと融液面13aに映った鏡像Mbとの間隔から液面位置を決定する。
こうして、融液面13aの初期液面位置を正確に設定した後、種結晶14を降下させてシリコン融液13に着液させる(ステップS22)。その後、シリコン融液13との接触状態を維持しながら種結晶を徐々に引き上げて単結晶を成長させるシリコン単結晶の引き上げ工程(ステップS23〜S26)を実施する。
単結晶の引き上げ工程では、無転位化のために結晶直径が細く絞られたネック部15aを形成するネッキング工程(ステップS23)と、結晶直径が徐々に大きくなったショルダー部15bを形成するショルダー部育成工程(ステップS24)と、結晶直径が規定の直径(例えば300mm)に維持されたボディー部15cを形成するボディー部育成工程(ステップS25)と、結晶直径が徐々に小さくなったテール部15dを形成するテール部育成工程(ステップS26)が順に実施され、最終的には単結晶が融液面から切り離される。以上により、図8に示すようなネック部15a、ショルダー部15b、ボディー部15cおよびテール部15dを有するシリコン単結晶インゴット15が完成する。
シリコン単結晶の引き上げ工程中は、シリコン単結晶15の中心位置のデータに基づいて、シリコン融液13の液面位置を算出し、シリコン融液13の融液面13aと遮熱部材17とのギャップ値ΔGを算出する。そして、このギャップ値ΔGに基づいて、シリコン単結晶15の結晶中心部における固液界面近傍の結晶温度勾配とシリコン単結晶15の結晶周辺部における固液界面近傍の結晶温度勾配との比、および雰囲気ガス流速をそれぞれ制御する。
これにより、シリコン単結晶15の引き上げの進捗に伴って、シリコン単結晶の引き上げ開始から、ネッキング工程(ステップS23)、ショルダー部育成工程(ステップS24)、ボディー部育成工程(ステップS25)、テール部育成工程(ステップS26)を経て、シリコン単結晶の引き上げ終了までギャップ値ΔGを高精度に設定することが可能となる。
また、引き上げ工程の間、シリコン融液13の減少によらずヒータ12に対する融液面13aの位置を一定に保ち、これによりシリコン融液13に対する熱の輻射分布を常に一定に保つことができる。したがって、シリコン単結晶の結晶中心部における固液界面近傍の結晶温度勾配とシリコン単結晶の結晶周辺部における固液界面近傍の結晶温度勾配とがそれぞれ最適に制御される。
以上説明したように、本実施形態によるシリコン単結晶の製造方法は、カメラ18でチャンバー19内を撮影したときの撮影画像に写る遮熱部材17などの炉内構造物の実像および鏡像それぞれのエッジパターンを基準平面上に投影変換し、基準平面上の炉内構造物の実像および鏡像それぞれのエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる基準パターンの形状から炉内構造物の実像および鏡像それぞれの代表寸法(遮熱部材17の開口寸法)を算出するので、エッジ検出のばらつきの影響を抑えてより正確に代表寸法を算出することができる。したがって、これらの代表寸法から融液の液面位置をより正確に測定して精密に制御することができる。また、本実施形態においては、シリコン単結晶の引き上げ工程を開始する前にカメラ18のバックディスタンスを予め測定しておき、カメラ18の設置角度、焦点距離およびバックディスタンスを用いて、カメラ18の撮影画像の二次元座標を投影変換するので、チャンバー19内のシリコン融液13の液面位置をより正確に測定して精密に制御することできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、カメラ18をチャンバー19に設置した状態でのバックディスタンスを測定する場合について説明したが、例えばカメラ18をチャンバーに設置する前に任意の方法でバックディスタンスを測定してもよい。
また、上記実施形態においては、撮影画像に写る遮熱部材17の実像および鏡像それぞれの円形の開口17aの寸法からギャップ値ΔGを算出しているが、上記のように本発明は円形に拘るものではなく、例えば楕円形や矩形など、任意の形状を対象とすることができる。また寸法の測定対象となる炉内構造物は遮熱部材17に限定されず、他の炉内構造物であってもよい。
また、上記実施形態ではシリコン単結晶の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の単結晶の製造方法を対象とすることができる。
10 シリコン単結晶製造装置
11 石英ルツボ
12 ヒータ
13 シリコン融液
13a 融液面
14 種結晶
15 シリコン単結晶(インゴット)
15a ネック部
15b ショルダー部
15c ボディー部
15d テール部
16 ルツボ支持体
17 遮熱部材(炉内構造物)
17a 遮熱部材の開口
17b 開口のエッジパターン
18 カメラ
18a 撮像デバイス
18b レンズ
19 チャンバー
19a チャンバーの覗き窓
21 ルツボリフト装置
22 引上駆動装置
24 演算部
26 制御部
a ワークディスタンス
b バックディスタンス
C 撮像デバイスの中心位置
基準平面の座標原点
F レンズの中心位置(主点)
焦点距離
L 光軸
撮像デバイスの中心位置から基準平面の座標原点までの距離
遮熱部材の実像の開口の中心位置までの距離
遮熱部材の鏡像の開口の中心位置までの距離
Ma 遮熱部材の実像
Mb 遮熱部材の鏡像
P 撮像デバイス18a上の任意の点
P' 撮像デバイス18a上の任意の点の投影点
遮熱部材の実像の開口の半径
遮熱部材の鏡像の開口の半径
Δa ワークディスタンスの変化量
ΔG ギャップ値
θ カメラの設置角度

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法による単結晶の製造方法であって、
    チャンバー内に設置されたルツボ内の融液から単結晶を引き上げる単結晶引き上げ工程を含み、
    前記単結晶引き上げ工程は、
    前記チャンバーの外側に設置されたカメラで前記チャンバー内の炉内構造物および前記融液の液面を斜め上方から撮影し、
    前記カメラの撮影画像に写る前記炉内構造物の実像および前記融液の液面に映った前記炉内構造物の鏡像それぞれのエッジパターンを検出し、
    前記カメラの設置角度および焦点距離に基づいて、前記炉内構造物の実像および鏡像それぞれのエッジパターンを基準平面上に投影変換し、
    前記基準平面上の前記炉内構造物の実像のエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる第1の基準パターンの形状から前記炉内構造物の実像の代表寸法を算出し、
    前記基準平面上の前記炉内構造物の鏡像のエッジパターンに対するパターンマッチングを行ったときにマッチング率が最大となる第2の基準パターンの形状から前記炉内構造物の鏡像の代表寸法を算出することを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 前記炉内構造物の実像の代表寸法および前記カメラの設置角度に基づいて前記カメラの設置位置から前記炉内構造物の実像までの第1の距離を算出し、
    前記炉内構造物の鏡像の代表寸法および前記カメラの設置角度に基づいて前記カメラの設置位置から前記炉内構造物の鏡像までの第2の距離を算出し、
    前記第1の距離および前記第2の距離から前記融液の液面位置を算出する、請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記カメラの設置位置および前記第1の距離に基づいて前記炉内構造物の実像の垂直方向の位置を算出し、
    前記カメラの設置位置および前記第2の距離に基づいて前記炉内構造物の鏡像の垂直方向の位置を算出し、
    前記炉内構造物の実像の垂直方向の位置と前記炉内構造物の鏡像の垂直方向の位置との中点を算出することにより前記液面位置を算出する、請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記第1の距離と前記第2の距離との差の1/2の値から前記炉内構造物と前記液面との間隔を算出する、請求項2または3に記載の単結晶の製造方法。
  5. 前記単結晶引き上げ工程中の前記チャンバー内の熱環境下での熱膨張を考慮した前記炉内構造物の実際の代表寸法をさらに用いて前記第1および第2の距離をそれぞれ算出する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  6. 前記炉内構造物は、前記ルツボの上方に配置された遮熱部材であり、
    前記炉内構造物の代表寸法は、前記融液から引き上げられた前記単結晶が貫通する前記遮熱部材の円形の開口の半径であり、
    前記炉内構造物の前記基準パターンとのマッチングでは、前記遮熱部材の前記実像および鏡像それぞれの開口のエッジパターンを円近似して得られる近似式から前記実像の開口の半径および前記鏡像の開口の半径をそれぞれ求める、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  7. 前記炉内構造物は直線部を有し、
    前記炉内構造物の代表寸法は、前記直線部の長さであり、
    前記実像のエッジパターンと前記炉内構造物の基準パターンとのマッチングでは、前記直線部のエッジパターンを直線近似して得られる近似式から前記直線部の長さを求める、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  8. 事前に把握した前記カメラのバックディスタンスに基づいて前記カメラの設置位置を特定すると共に、前記炉内構造物の前記実像および鏡像それぞれのエッジパターンを前記基準平面上に投影変換する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
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