JP2018089055A - 画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 位相ずれの補正によってアーチファクトが生じることを抑制し、より適切にFPN除去を行うための技術を提供する。【解決手段】 被検体を光干渉断層撮像して得た、被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得する測定信号取得手段と、複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得する基準信号取得手段と、複数の測定信号の各々と基準信号の位相ずれを算出する算出手段と、位相ずれの各々を平滑化する平滑化手段と、平滑化された位相ずれに基づいて、平滑化された位相ずれに対応する測定信号の位相を調整する調整手段と、位相調整された複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する生成手段と、位相調整された複数の測定信号から背景信号を減算する減算手段と、背景信号が減算された複数の測定信号に基づいて、被検体の断層画像を形成する画像形成手段とを備える、画像処理装置。【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
生体などの測定対象の断層画像を非破壊、非侵襲で取得する方法として、光干渉断層撮像法(OCT:Optical Coherence Tomography)を用いた装置(以下、OCT装置という。)が実用化されている。OCTは、特に眼球や皮膚などの画像診断に広く利用されている。OCTでは、測定対象から反射・散乱した測定光と参照鏡から反射した参照光を干渉させ、その干渉光に基づく干渉信号を解析することにより断層画像を得る。
このようなOCTとして、波長可変光源を使用し干渉信号を取得する波長掃引型OCT(SS−OCT:Swept Source Optical Coherence Tomography)が知られている。また、広帯域光源を使用し干渉光を分光して干渉信号を取得するスペクトラルドメインOCT(SD−OCT:Spectral Domain Optical Coherence Tomography)も知られている。ここで、SS−OCTとSD−OCTは総称してフーリエドメインOCT(FD−OCT:Fourier Domain Optical Coherence Tomography)とも呼ばれる。
SS−OCTでは、波長掃引に合わせて、一回の波長掃引において信号を取り込むタイミングを示すAトリガを基準として干渉信号を検出する。そして、検出した干渉信号を、等波数間隔のタイミングを示すk−clockを基準として、データ集録ボード(DAQボード:Data AcQuisition board)にて集録する。その後、集録したスペクトルデータを解析することによって、測定対象の断層像を得ている。なお、OCTにおいては、干渉光に基づいて、被検体の一点における深さ方向の断層に関する情報を取得することをAスキャンといい、SS−OCTでは1回のAスキャンの間に波長掃引が1回行われる。
OCTでは、取得する断層像に、測定対象とは関係なく、横スジ状のアーチファクトである固定パターンノイズ(FPN:Fixed Pattern Noise)が生じることが知られている。FPNは、OCTに用いる光学部材(例えば光ファイバ端面やレンズ)からの反射光が多重反射して干渉することによって生じる。また、SS−OCTの場合、FPNはDAQボードの周期的な電気ノイズによっても生じる。ここで、FPNは、出現位置が、参照鏡の位置であるコヒーレンスゲート位置に依存するものと、コヒーレンスゲート位置に依存しないものの両方を含むものとする。
非特許文献1には、OCTのFPNを取り除く一つの方法が開示されている。非特許文献1に記載された方法では、測定対象から反射した光(サンプル信号)をカットし、参照鏡から反射した光(リファレンス信号又はダーク信号ともいう。)のみを検出してスペクトルを複数取得する。さらに、検出したリファレンス信号から取得した複数のスペクトルを平均し、ノイズ成分に対応する信号(以下、背景信号ともいう。)を生成する。そして、測定対象に対して得た干渉信号に基づく測定スペクトルから背景信号を差し引くことによりFPNを除去する。
また、非特許文献2には、干渉信号をフーリエ変換して得た複素数のメディアンを算出して背景信号を生成し、干渉信号から背景信号を減算してFPNを取り除く方法が開示されている。
しかしながら、SS−OCTでは、非特許文献1及び非特許文献2と同様の手法を用いても、FPNを除去することができない場合がある。この要因としては、Aトリガのタイミングのずれや、k−clockの不規則なずれにより生じるスペクトルデータの位相のずれ等が考えられている。そのため、SS−OCTでは、前処理として、干渉光のスペクトルの位相を合わせてから画像を形成することによりFPNの除去が行われている。
特許文献1には、干渉光を受光した検出器から出力されたスペクトル信号に含まれるノイズ成分に対応する信号の位相情報を取得し、取得された位相情報に基づいてスペクトル信号の位相ずれを補正する技術が開示されている。
特開2013−156229号公報
J. F. de Boer, "Spectral/Fourier domain optical coherence tomography" in "Optical Coherence Tomography", Technology and Applications, Wolfgang Drexler, and James G. Fujimoto, eds., Springer, (2008), pp. 147−175. S. Moon, S. W. Lee, Z. Chen, "Reference spectrum extraction and fixed−pattern noise removal in optical coherence tomography", Optics Express, Vol.18, Issue 24, (2010), pp.24395−24404.
しかしながら、特許文献1に開示されている補正方法では、FPNが現れていた領域のスペクトル信号の位相ずれだけでなく、網膜信号の領域やノイズフロアでの位相ずれも補正してしまう場合がある。この場合には、位相ずれが補正された領域において背景信号が減算されることで、位相ずれが補正された領域と補正されなかった領域との間で輝度に差が生じ、補正された領域に横スジ状のアーチファクトが現れてしまうことがある。
そこで、本発明は、位相ずれの補正によってアーチファクトが生じることを抑制し、より適切にFPN除去を行うための技術を提供する。
本発明の一実施態様に係る画像処理装置は、前記被検体を光干渉断層撮像して得た、前記被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得する測定信号取得手段と、前記複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得する基準信号取得手段と、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出する算出手段と、前記位相ずれの各々を平滑化する平滑化手段と、平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記測定信号の位相を調整する調整手段と、位相調整された前記複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する生成手段と、前記位相調整された前記複数の測定信号から前記背景信号を減算する減算手段と、前記背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成する画像形成手段とを備える。
本発明の他の実施態様に係る画像処理方法は、コンピュータによって、前記被検体を光干渉断層撮像して得た、被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得することと、前記複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得することと、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出することと、前記位相ずれの各々を平滑化することと、平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記測定信号の位相を調整することと、位相調整された前記複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成することと、前記位相調整された前記複数の測定信号から前記背景信号を減算することと、前記背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成することとを含む。
本発明によれば、位相ずれの補正によってアーチファクトが生じることを抑制し、より適切にFPN除去を行うことができる。
実施例1によるOCT装置の全体構成を概略的に示す。 実施例1に係る情報処理部の機能構成を示す。 断層画像の例を示す。 実施例1に係る一連の信号処理のフローを示す。 実施例1に係る画像形成の処理のフローを示す。 実施例2に係る一連の信号処理及び背景信号生成処理のフローを示す。 実施例3に係る情報処理部の機能構成を示す。 実施例3に係る信号処理のフローを示す。 実施例3に係る位相ずれクリップ処理を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
[実施例1]
[撮像装置全体の構成]
以下、図1乃至5を参照して、本発明の実施例1に係る光干渉断層法を用いて被検体の断層画像を撮像する撮像装置の例であるOCT装置1について説明する。なお、OCT装置1は、波長掃引光源を用いるSS−OCT装置である。図1は、本実施例によるOCT装置1の構成例を示す。
OCT装置1には、被検眼100の測定を行う測定光学系2と、情報処理部40(画像処理装置)と、表示部70とが設けられている。測定光学系2には、波長掃引光源10と、OCT干渉部20と、測定アーム50と、参照アーム60と、干渉光を検出する検出部30が設けられている。情報処理部40は、測定光学系2の出力に基づいて被検眼100の網膜の断層情報を取得する。
波長掃引光源10は、例えば、光を波長980nmから1100nmの範囲において掃引して、100kHzの周波数(Aスキャンレート)で出射する。
OCT干渉部20には、カプラ21,22が設けられている。カプラ21は、波長掃引光源10から出射された光を被検眼100の眼底へ照射する測定光と参照光とに分割する。測定光は、測定アーム50を経由して被検眼100に照射され、被検眼100からの戻り光は再び測定アーム50を経由してカプラ22に入射する。これに対し、参照光は参照アーム60を経由してカプラ22に入射する。
測定アーム50には、偏光コントローラ51、コリメータ52、X軸スキャナー53、Y軸スキャナー54、シャッター56、及びフォーカスレンズ55が設けられている。偏光コントローラ51は、カプラ21からコリメータ52に至る光ファイバーに設けられており、測定光の偏光状態を調整することができる。
X軸スキャナー53及びY軸スキャナー54は、それぞれ回転軸が互いに直交するよう配置された偏向ミラーで構成される。X軸スキャナー53及びY軸スキャナー54は眼底を測定光で走査する走査部を構成する。走査部は、後述の情報処理部40によって制御されて駆動することで、測定光の眼底への照射位置を変更することができる。なお、X軸スキャナー53、及びY軸スキャナー54はガルバノミラーなどの任意の偏光ミラーを用いて構成されることができる。また、走査部は、MEMSミラーなどの1つのミラーで2次元方向に光を走査させることができる偏光ミラーを用いて構成されてもよい。ここで、X軸スキャナー53はX軸(水平)方向の走査を行い、Y軸スキャナー54はY軸(垂直)方向の走査を行う。X軸方向及びY軸方向の各方向は、眼球の眼軸方向に対して垂直な方向で、互いに垂直な方向である。
測定アーム50に入射した測定光は、偏光コントローラ51で偏光状態を整えられた後、コリメータ52から空間光として射出される。その後、測定光は、X軸スキャナー53、Y軸スキャナー54、及びフォーカスレンズ55を介して被検眼100の眼底に照射される。
眼底に照射された測定光は眼底によって反射・散乱され、被検眼100からの戻り光として、再び測定アーム50内の同一経路を経由した後、カプラ21を通り、カプラ22に入射する。なお、シャッター56は、情報処理部40によって制御され、測定光の光軸上に移動することができる。そのため、所望の状況に応じて、シャッター56を測定光の光軸上に移動させることで、測定光を遮断できる。
一方、参照アーム60には、偏光コントローラ61、コリメータ62、分散補償ガラス63、光路長調整光学系64、分散調整プリズムペア65、及びコリメータ66が設けられている。偏光コントローラ61は、カプラ21からコリメータ62に至る光ファイバーに設けられており、参照光の偏光状態を調整することができる。
分散補償ガラス63及び分散調整プリズムペア65は、参照光の分散を調整することができ、被検眼100の眼底からの測定光の戻り光の分散に、参照光の分散を合わせることができる。また、光路長調整光学系64は、不図示の可動ステージ上に保持されており、可動ステージをコリメータ62,66に対して近づく又は遠ざかる方向に移動させることで、参照光の光路長を変更することができる。これにより、光路長調整光学系64は、測定光の光路長に、参照光の光路長を合わせることができる。なお、可動ステージは、後述の情報処理部40によって制御されることができる。
参照アーム60に入射した参照光は、偏光コントローラ61で偏光状態を整えられた後、コリメータ62から空間光として射出される。その後、参照光は、分散補償ガラス63、可動ステージ上に保持された光路長調整光学系64、及び分散調整プリズムペア65を通り、コリメータ66を介して光ファイバーに入射され、参照アーム60から出射する。参照アーム60から出射した参照光はカプラ22に入射する。
カプラ22に入射した、測定アーム50を経由した被検眼100からの測定光の戻り光と参照アーム60を経由した参照光とは互いに干渉し、干渉光としてカプラ22から出射される。カプラ22は、2本の光ファイバーを介して検出部30の差動検出器31に接続され、干渉光を互いに位相が反転した干渉光として分割して2本の光ファイバー内に出射する。2本の光ファイバーに出射された干渉光は差動検出器31に入射する。
検出部30には、差動検出器31、及びDAQボード32が設けられている。差動検出器31は、カプラ22で干渉光を発生させた後すぐに分割された干渉光を検出する。差動検出器31は、検出した干渉光を電気信号に変換しOCT干渉信号を生成する。
DAQボード32は、生成されたOCT干渉信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。ここで、OCT干渉信号のサンプリングは、波長掃引光源10において波長掃引に合わせて出力されるAトリガを開始のタイミングとし、不図示のクロック発生部が発信するk−clock信号に基づいて等波数間隔に行われる。なお、クロック発生部は波長掃引光源10の内部に設けられていてもよい。DAQボード32は、生成したデジタル信号を情報処理部40に送る。
情報処理部40(画像処理装置)は、DAQボード32を備える測定光学系2に通信可能に接続されており、DAQボード32から出力されるデジタル信号(以下、測定信号という。)を信号処理し、被検眼100の断層画像を形成する。情報処理部40で行われる具体的な信号処理の内容は後述する。なお、情報処理部40は、一般的な汎用コンピュータによって構成されてもよいし、OCT装置1の専用のコンピュータとして構成されてもよい。情報処理部40は、形成した断層画像や被検眼100に関する情報などを表示部70に送る。
表示部70は、情報処理部40から受け取った断層画像や被検眼100の情報などを表示する。なお、表示部70は液晶や有機ELなどの任意のディスプレイによって構成されてよい。また、表示部70はOCT装置1や情報処理部40に備え付けのディスプレイによって構成されてもよいし、これらとは別個のディスプレイによって構成されてもよい。
上記のように、被検眼100の一点の奥行き方向(Z方向)の情報を取得することをAスキャンといい、Aスキャンによって情報を取得した被検眼100の一点の奥行き方向のラインをAラインという。OCT装置1は、1度の波長掃引にて得られる干渉信号から1つのAスキャンデータ(又はAラインデータ)を取得する。また、Aスキャンと直交する方向に測定光を走査して、被検眼100の断層に関する情報を取得することをBスキャンという。さらに、Aスキャン及びBスキャンのいずれの走査方向とも直交する方向に測定光を走査して被検眼100の断層に関する情報を取得することをCスキャンと呼ぶ。
被検眼100の3次元断層像を取得する際に、被検眼100の眼底面内に照射光を2次元ラスター走査する場合、高速な走査方向をBスキャン方向と呼び、Bスキャンをその直交方向に並べて走査する低速な走査方向をCスキャン方向と呼ぶ。Aスキャン及びBスキャンを行うことで被検眼100の2次元の断層に関する情報が得られ、Aスキャン、Bスキャン及びCスキャンを行うことで、被検眼100の3次元の断層に関する情報を得ることができる。Bスキャン及びCスキャンは、上述したX軸スキャナー53及びY軸スキャナー54により行われる。
また、Bスキャン、及びCスキャンのライン走査方向(Bスキャン方向及びCスキャン方向)と、X軸方向又はY軸方向とは、一致していなくてもよい。このため、Bスキャン、Cスキャンのライン走査方向は、撮像したい2次元の断層画像あるいは3次元の断層画像に応じて、適宜決めることができる。
[情報処理部の構成]
次に、図2を参照して、情報処理部40の機能構成について説明する。情報処理部40は、測定信号取得手段41、基準信号取得手段42、位相ずれ算出手段43、位相ずれ平滑化手段44、位相調整手段45、背景信号生成手段46、背景信号減算手段47、画像形成手段48、及び表示制御手段49として機能する。また、情報処理部40は、フーリエ変換処理、及び逆フーリエ変換処理等の数学的な演算装置として機能する。なお、これら手段は、情報処理部40に設けられたCPUやMPUなどによって実行されるモジュール又はASIC等の回路等により実現することができる。また、情報処理部40は、これらの機能を実行する順番を制御する。
測定信号取得手段41は、測定光学系2のX軸スキャナー53やY軸スキャナー54等の各部材を制御してOCT干渉信号を取得させ、DAQボード32が出力した測定信号を取得する。
基準信号取得手段42は、取得した複数の測定信号における位相ずれを計算するための基準となるデータを、複数の測定信号に基づいて生成する。位相ずれ算出手段43は、取得した複数の測定信号について、複数の測定信号の各々における位相ずれを算出する。位相ずれ平滑化手段44は、位相ずれ算出手段43が算出した位相ずれをZ方向に平滑化処理する。位相調整手段45は、取得した複数の測定信号について、位相ずれ平滑化手段44が平滑化した位相ずれの値に応じて測定信号の位相を調整する。
背景信号生成手段46は、位相調整手段45によって位相調整した複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する。背景信号減算手段47は、複数の測定信号について、背景信号生成手段46によって生成した背景信号を減算する。
画像形成手段48は、背景信号減算手段47によって背景信号を減算した複数の測定信号に基づいて、被検眼100の断層画像を生成する。表示制御手段49は、画像形成手段48が生成した画像を表示部70に表示する。
[信号処理]
以下、図3(a)乃至5を参照して、本実施例による信号処理について説明する。図3(a)乃至(c)は、OCTを用いて撮像した被検眼100の網膜の断層画像の一例を示す。図3(a)は、FPNの除去処理を行わずに、すなわち背景信号を減算しないで形成した断層画像の一例を示す。図3(b)は、位相ずれの補正処理を行って形成した断層画像の一例を示す。図3(c)は、本実施例に係る信号処理により、位相ずれの平滑化を行い、平滑化された位相ずれに基づいて位相調整処理を行って形成した断層画像の一例を示す。
図3(a)に示す断層画像は、FPN成分を減算せずに画像化されているので、被検眼100の網膜の信号rの他に、FPNf1,f2,f3,f4が断層画像に現れている。ここで、FPNf1,f2,f3,f4は、背景よりも輝度が大きな輝線として現れている。
図3(b)に示す断層画像は、干渉信号に含まれるスペクトル信号(測定信号)の位相ずれを補正してFPN成分を減算し、画像化されている。このため、図3(b)では、図3(a)において輝線として現れていたFPNf1,f2,f3,f4が減算され、FPNf1,f2,f3,f4が現れていた位置に、断層画像において背景よりも輝度が小さな暗線d1,d2,d3,d4が現れている。
また、干渉信号に含まれるスペクトル信号の位相ずれを単純に補正する場合、被検眼100の網膜の信号rやノイズフロアにおける信号の位相ずれも補正してしまう可能性がある。この場合、位相ずれが補正された領域に関して減算処理が行われることから、FPNだけでなく網膜の信号rやノイズフロアにおける信号までもが減算され、その位置に暗線が現われ、断層画像の画質が劣化する。このため、図3(b)では、FPNがあった位置に対応する暗線d1,d2,d3,d4と、位相ずれ補正された信号に対応する位置に他の暗線e1,e2,e3が現れている。従って、図3(b)に示す断層画像では、位相ずれの補正によってFPNについての過度な補正(過補正)が行われている。
これに対し、図3(c)に示す断層画像は、本実施例による信号処理によって形成された断層画像である。本実施例による信号処理では、干渉信号に含まれるスペクトル信号の位相ずれを算出した後に、位相ずれの平滑化を行い、平滑化された位相ずれに基づいて位相調整された背景信号(ノイズ情報)をスペクトル信号から減算している。位相ずれの平滑化を行うことで、FPNのように位相がランダムでないノイズの位相ずれ及び網膜やノイズフロアの信号のように位相がランダムな信号の位相ずれをある程度均す又は散らすことができる。このため、背景信号の位相をノイズフロア等の個々の画素についてのスペクトル信号の位相に一致させず、すこしだけずらすことができ、FPNについての過補正を抑制することができる。
これにより、図3(c)に示すように、図3(b)に示す断層画像に現れていた暗線d1,d2,d3,d4,e1,e2,e3を生じずに、FPNだけが除去された、高画質な断層画像を形成することができる。
[信号処理手順]
図4及び5を参照して、本実施例に係る画像処理方法の一連の信号処理手順について説明する。図4は、本実施例に係る信号処理のフローを示す。
本実施例に係る一連の信号処理では、情報処理部40が、被検眼100の測定信号と基準信号について算出した位相ずれを平滑化し、平滑化した位相ずれに基づいて測定信号の位相を調整して背景信号を生成し、背景信号の減算処理によりFPNを除去する。なお、本実施例による信号処理手順の各工程は、情報処理部40が果たす各機能によって進行させることができる。
本実施例に係る信号処理が開始されると、まずステップS101(測定信号取得)において、情報処理部40の測定信号取得手段41は、測定光学系2を制御し、被検眼100を計測してOCT干渉信号を取得する。さらに、測定信号取得手段41は、DAQボード32を制御して、取得したOCT干渉信号を等波数間隔にサンプリングし、測定信号を取得する。なお、本実施例では、1回のAスキャンについてのDAQボード32のサンプル数NはN=2048とし、1回のBスキャンを構成するAスキャン数(N)はN=1024とする。なお、これらの値は所望の構成に応じて任意の数に設定することができる。以下、1回のAスキャンについて取得される測定信号を1つの測定信号とする。このため、1回のBスキャンについて取得される測定信号は複数の測定信号によって構成される。
ここで、OCTによって被検眼100の断層画像を撮像する際の、被検眼100の深さ方向の撮像範囲(測定可能深度)は、1回のAスキャンについてのサンプル数Nに依存することから知られている。そのため、波長掃引光源10のコヒーレンス長に制限される範囲内において、サンプル数Nが増すにつれて、OCT装置1による被検眼100の測定可能深度が深くなる。また、サンプル数Nが2のべき乗になるようにした場合には、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)が適用できるため信号処理時間を短縮できる。そのため、1回のAスキャンについてのサンプル数Nは、OCT装置1の測定可能深度、信号処理時間、及びDAQボード32のサンプリング周波数等を勘案して選択することができる。
次に、ステップS102(フーリエ変換処理)において、情報処理部40は取得した測定信号のスペクトルデータをフーリエ変換し、フーリエ変換したデータに基づいて被検眼100の断層の深さ方向の情報を取得する。ここで、被検眼100の深さ方向(Z方向)の位置に対応する、等波数間隔でサンプリングしたスペクトルデータをフーリエ変換したデータ(以後、フーリエ変換データともいう)の各要素のインデックスとして、以下において、zを用いる。また、フーリエ変換する前の測定信号をk空間(波数空間)における測定信号、フーリエ変換した後の測定信号(フーリエ変換データ)をz空間(距離空間)における測定信号という。さらに、以後、Aスキャンによって取得した測定信号をフーリエ変換の有無に関わらず、Aスキャンデータ又はAラインデータともいう。また、Bスキャンによって取得した測定信号をフーリエ変換の有無に関わらず、Bスキャンデータという。
スペクトルデータをG(k)、フーリエ変換データをE(z)とすると、フーリエ変換データE(z)は次式で表すことができる。
ここでF{}はフーリエ変換を表す。さらにkはフーリエ変換する前の測定信号における波数のインデックスを表し、zはフーリエ変換した後の測定信号における深さ方向の位置に関するインデックスを表す。
測定信号のフーリエ変換データEは振幅と位相を持った複素数なので、測定信号の振幅をr、位相(偏角又は位相角ともいう。)をθとすると、フーリエ変換データEは極形式を用いて次式で表すことができる。
本実施例では、フーリエ変換処理としてFFTをスペクトルデータに適用することによりフーリエ変換データを取得する。なお、本実施例のステップS102(フーリエ変換処理)は、ゼロパディング等によってデータサイズを増やさずに実施する。データサイズを増やさないことで、以下のFPN除去の信号処理の負荷を小さくすることができる。
フーリエ変換処理を行ったら、ステップS103(基準信号取得)において、基準信号取得手段42が、ステップS104においてAスキャンデータ毎の測定信号の位相ずれを計算するための基準となる基準信号を生成する。具体的には、Bスキャンデータを構成する、取得した複数のフーリエ変換データEについて、実部と虚部のそれぞれについて、各Z方向のインデックスzでBスキャン方向(X方向)に中央値を算出し、基準信号を取得する。Bスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEをEs1,…,Esi,…,EsNxとすると、基準信号Eは次式に従って求められる。
ここで、EslはBスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEの部分集合であるデータセットを示し、Re{}は実部、Im{}は虚部を取得することを表し、med{}はlで定義されたデータセットの中央値演算を表す。
また、基準信号Eの振幅をr、位相をθとすると、Eは式(2)と同様に極形式を用いて次式で表すことができる。
複数のフーリエ変換データの中央値計算を行うと、算出されたデータにおいて、計算に用いたデータ内の位相がランダムな信号が省かれる。このため、複数のフーリエ変換データの中央値計算を行うことで、元のフーリエ変換データに含まれる、位相がランダムな網膜の信号は省かれ(キャンセルされ)、中央値計算によって取得された基準信号Eにはノイズ成分に対応する信号が残る。従って、基準信号Eには位相がX方向にランダムではないFPNに対応する信号が抽出される。
なお、本実施例では、Bスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEのEで特定される部分集合であるデータセットについて中央値計算を行う。これに関し、中央値計算に用いるフーリエ変換データは、Bスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEの全て(N)であってもよいし一部であってもよい。中央値計算に用いるフーリエ変換データの数が少ない場合には、中央値計算は高速になるが、基準信号Eにおけるノイズ成分の抽出精度が落ちる場合がある。
また、基準信号Eを計算するための指標は中央値に限らず、平均値等であってもよい。指標が平均値の場合、計算は中央値よりも高速になるが、網膜の信号が完全にキャンセルされず、基準信号Eの精度が低下する場合がある。
なお、基準信号Eは、測定信号とは別に、FPNを被検眼100からの戻り光をカットし、参照鏡からの反射光の信号データ(リファレンス信号)に基づいて生成されてもよい。この場合には、リファレンス信号の位相を合わせ、平均又は中央値等の計算処理をして、基準信号Eを生成してもよい。なお、基準信号EはBスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEのうちのいずれか1つのAスキャンデータであってもよい。
基準信号Eを取得したら、ステップS104(位相ずれ算出)において、位相ずれ算出手段43が、基準信号Eと、Bスキャンデータを構成する複数の測定信号のフーリエ変換データEとの位相ずれを相関値ρに基づいて算出する。このため、位相ずれ算出手段43は、まず相関値ρをAスキャンデータ毎に算出する。
具体的には、位相ずれ算出手段43は、相関値ρをAスキャンデータ毎にフーリエ変換データEsと基準信号Eの複素共役の積として次式に従って求める。
ここで式(2)と式(5)を式(6)に代入して次式が得られる。
式(7)から、相関値ρの絶対値はフーリエ変換データEsと基準信号Eの振幅の積となり、相関値ρの偏角はフーリエ変換データEsと基準信号Eの位相の差となることが分かる。このことから、フーリエ変換データEsと基準信号Eの位相ずれは、相関値ρの偏角に対応していることが分かる。なお、本実施例では、位相ずれを相関値の算出によって求めたが、位相ずれの算出方法はこれに限ったものではなく、2つの信号の位相差を求めることができる他の任意の算出方法であってもよい。
次に、ステップS105(位相ずれ平滑化)において、位相ずれ平滑化手段44が、相関値ρの実部と虚部それぞれを平滑化処理することにより、測定信号の位相を調整する量である位相調整量θdeltaを求める。
位相調整量θdeltaを求める際の具体的な処理の手順を説明する。まず、位相ずれ平滑化手段44は、式(8)に従って相関値ρに移動平均フィルタを適用し、平滑化した相関値ρsmを求める。さらに、位相ずれ平滑化手段44は、式(9)に従って平滑化した相関値ρsmの偏角を抽出し、位相調整量θdeltaを求める。
ここで、mAve{}はZ方向(深さ方向)の移動平均フィルタ処理を表し、angle{}は偏角を取得することを表す。なお、本実施例では平滑化処理を移動平均フィルタとしたがこれに限ったものではなく、任意の重み付けフィルタなどでもよい。
なお、移動平均を計算する際の、値を求める位置に対する片側のサンプル数をhwとすると平均するデータの数Nmaveは次式となる。
本実施例では、背景信号生成におけるhwを40とする。なお、hwは任意の数にすることができ、画像の状態により適宜指定することができる。
位相調整量θdeltaを求めたら、ステップS106(位相調整)において、位相調整手段45が、位相調整量θdeltaに基づいて、Bスキャンデータを構成する複数のフーリエ変換データEの位相を調整する。具体的には、位相調整手段45は、式(11)に従って、フーリエ変換データEの位相を調整(フーリエ変換データEsの位相から位相調整量θdeltaを減算)し、位相調整されたフーリエ変換データEscを求める。
次に、ステップS107(背景信号生成)において、背景信号生成手段46が、位相調整されたフーリエ変換データEscに基づいて、背景信号Ebgを生成する。生成される背景信号Ebgは、ノイズ成分、特にFPNに対応する信号であり、測定信号からノイズ成分を減算するために用いられる。背景信号生成手段46、ステップS103(基準信号取得)と同様の手順により、背景信号Ebgを生成する。
具体的には、Bスキャンデータを構成する位相調整された後のフーリエ変換データEscをEsc1,…,Esci,…,EscNxとすると、背景信号生成手段46は背景信号Ebgを次式に従って求める。
ここで、Esclは、Bスキャンデータを構成する位相調整された後の複数のフーリエ変換データEscの部分集合であるデータセットを示す。
また、背景信号Ebgの振幅をrbg、位相をθbgとすると、背景信号Ebgは式(2)と同様に極形式を用いて次式で表すことができる。
ここで、ステップS103(基準信号取得)と同様に、位相調整された後の複数のフーリエ変換データEscの中央値の計算により、元のフーリエ変換データに含まれる位相がランダムな網膜の信号はキャンセルされる。そのため、背景信号Ebgには、ノイズ成分に対応する信号が残される。従って、背景信号Ebgには位相がX方向にランダムではないFPNに対応する信号が抽出される。
また、ステップS103(基準信号取得)においてノイズ成分に対応する信号として得られる基準信号Eは、位相調整されていない測定信号のフーリエ変換データEについて中央値計算して求められているため、ノイズ成分の振幅は減衰している。これに対し、ステップS107で生成される背景信号Ebgは、位相調整された後のフーリエ変換データEscを処理して得られるため、基準信号とは異なり、ノイズ成分の振幅の減衰が少ない特徴がある。
なお、ステップS103と同様に、ステップS107で中央値計算に用いるフーリエ変換データの数は、Bスキャンを構成する位相調整された後の複数のフーリエ変換データEscの全て(N)であってもよいし一部であってもよい。中央値計算に用いるフーリエ変換データの数が少ない場合、中央値計算は高速になるが、背景信号Ebgにおけるノイズ成分の抽出精度が落ちる場合がある。
また、背景信号Ebgを計算するための指標は中央値に限らず、平均値等であってもよい。指標が平均値の場合、計算は中央値よりも高速になるが、網膜の信号が完全にキャンセルされず、背景信号Ebgの精度が低下する場合がある。
なお、背景信号Ebgは、測定信号とは別に、FPNを被検眼100からの戻り光をカットし、リファレンス信号の信号データに基づいて生成されてもよい。この場合には、リファレンス信号の位相を合わせ、平均又は中央値等の計算処理をして、背景信号Ebgを生成してもよい。
次に、ステップS108(背景信号減算)において、背景信号減算手段47が、Bスキャンデータを構成する位相調整された後の複数のフーリエ変換データEscから背景信号Ebgをz空間にて減算する。これにより、背景信号減算手段47は、フーリエ変換データEscから背景信号Ebgを減算したフーリエ変換データである背景減算信号Epureを求める。
具体的には、背景信号減算手段47は、次式に従って、位相調整された測定信号から背景信号Ebgが減算された背景減算信号Epureを求める。
ここで、Esc及びEbgは、式(11)及び式(14)に示すように複素数であり、式(15)は複素数の減算処理である。なお、背景信号減算手段47は、位相調整された後の複数のフーリエ変換データEsc及び背景信号Ebgを逆フーリエ変換し、k空間で減算処理をしてもよい。
次に、ステップS109(逆フーリエ変換処理)において、情報処理部40は、背景減算信号である背景減算信号Epureを逆フーリエ変換し、背景減算スペクトルGpureを求める。ここで、逆フーリエ変換処理の前処理として、背景減算信号の前半部分(zが1からN/2までのデータ)を共役転置したデータを背景減算信号の後半部分に置換する。つまり、スペクトルを共役対象として逆フーリエ変換を実施することにより実数スペクトルを得る。
背景減算スペクトルGpureは、背景減算信号Epureを用いて次式で表すことができる。
ここでF−1{}は逆フーリエ変換を表す。
なお、上述のステップS103〜ステップS108の処理において処理する1回のAスキャンのサンプル数はNであるが、逆フーリエ変換において背景減算信号の前半部分のみを使用する場合は、背景減算信号の後半部分は逆フーリエ変換に用いない。そのため、ステップS103〜ステップS108においても、zが1〜N/2の範囲(前半部分)データのみを処理してもよい。それにより、この間の信号処理を効率化し、信号処理に係る時間を短縮することができる。なお、逆フーリエ変換処理の前処理は、被検眼100の網膜の信号の位置に応じて、背景減算信号の後半部分(zがN/2からNまでのデータ)を共役転置し、前半部分に置換しても行ってもよい。この場合には、ステップS103〜ステップS108において、zがN/2〜からの範囲(後半部分)のデータのみを処理してもよい。
最後に、ステップS110(画像形成)において、画像形成手段48は背景減算スペクトルGpureに基づいて、被検眼100の断層画像を形成し、表示部70に表示する。
[画像形成手順]
次に、図5を参照して、本実施例に係る画像形成処理の具体的な手順について説明する。図5は、本実施例に係る画像形成処理のフローを示す。なお、画像形成処理は既知の任意の処理手順によって行われてもよい。
まず、ステップS201(窓関数処理)において、画像形成手段48は、背景減算スペクトルGpureに窓関数を乗算する。窓関数処理では、処理する信号の周波数分解能とダイナミックレンジのバランス調節を行う。窓関数に関しては、主成分(メインローブ)の幅が小さいほど主成分の周波数分解能が高まり、サイドローブの振幅が小さい程、小振幅のスペクトルを検出する能力が高まる。本実施例では、窓関数として公知のコサインテーパー窓を用いる。なお、窓関数として公知のハニング窓やガウス窓や矩形窓などを用いてもよい。
ステップS202(ゼロパディング)において、画像形成手段48は、窓関数が適用された測定信号(背景減算スペクトルGpure)について、ゼロパディングを行うことにより、当該測定信号から形成される断層画像の深度方向のピクセル分解能を調整する。具体的には、測定信号の全体のデータサイズがM個になるように、測定信号のデータの後ろに0(ゼロ)を付加する。ゼロパディングした後にフーリエ変換を施した測定信号のデータに基づく断層画像は、深度方向のピクセル分解能が向上するため、検者や医師は、断層画像における被検眼100の網膜の境界の強度及び深さ方向の位置を正しく把握できるようになる。
なお、データサイズMが2のべき乗になるように0(ゼロ)を付加した場合には、FFTが適用できるため、以後のフーリエ変換の処理時間を短縮することができる。しかしながら、ゼロパディングを行うと、データサイズの増加に伴い、FFT等の処理を除いたゼロパディング以降の処理にかかる時間がそれぞれ増加してしまう。そのため、ゼロパディングを行う場合には、以降の処理時間等を考慮して、適切な数のゼロ値を挿入することができる。なお、本実施例ではM=4096としたが、Mの数は所望の構成に応じて任意の値にすることができる。
次に、ステップS203(フーリエ変換処理)において、情報処理部40はゼロパディングを行った測定信号のデータにフーリエ変換処理を施し、Z方向(深さ方向)のインデックスに対応する、位相と振幅からなる複素信号データを生成する。
ステップS204(絶対値算出)において、画像形成手段48は、生成した複素信号データの絶対値を計算する。これにより、画像形成手段48は、1つのAスキャンデータに対応するAスキャン画像の各画素について、複素信号データの振幅成分を求めることができる。
画像形成手段48は、複素信号データの絶対値を計算したら、ステップS205(対数変換)において、求めた複素信号データの絶対値を対数変換する。画像形成手段48は、例えば、振幅成分aに対して20×log10(a+1)を計算する。対数変換したデータは、断層画像の強度情報(インテンシティー)に対応する。
最後に、ステップS206(画像表示)において、画像形成手段48は、インテンシティーデータについて、各Aスキャンデータを整列してBスキャン画像、すなわち断層画像を形成し、ブライトネスコントラストを調整する。その後、表示制御手段49は、画像形成手段48によって形成した断層画像を、表示部70に表示させる。
なお、本実施例においては、背景減算信号Epureを逆フーリエ変換してk空間の背景減算スペクトルGpureを取得し、背景減算スペクトルGpureに対して上記処理を行って被検眼100の断層画像を形成した。しかしながら、画像形成手段48は、z空間における背景減算信号Epureから被検眼100の断層画像を形成してもよい。
上記のように、本実施例によるOCT装置1は、測定光学系2と、測定光学系2に通信可能に接続された情報処理部40を備える。測定光学系2は、波長掃引光源10からの光を被検眼100に照射される測定光と参照光に分割し、被検眼100からの測定光の戻り光と参照光とを干渉させて得た干渉光に基づいて、測定信号を生成する。従って、測定光学系2は、被検眼100を光干渉断層撮像して、被検体の断層の深さ方向の情報を含む測定信号を生成する。
情報処理部40は、測定信号取得手段41と、基準信号取得手段42と、位相ずれ算出手段43と、位相ずれ平滑化手段44と、位相調整手段45と、背景信号生成手段46と、背景信号減算手段47と、画像形成手段48とを備える。測定信号取得手段41は、測定光学系2から複数の測定信号を取得する。基準信号取得手段42は、複数の測定信号に基づいて、基準信号Eを取得する。位相ずれ算出手段43は、複数の測定信号の各々と基準信号Eの位相ずれを算出する。位相ずれ平滑化手段44は、算出した複数の測定信号の各々と基準信号Eの位相ずれの各々を平滑化する。位相調整手段45は、平滑化された位相ずれに基づいて、平滑化された位相ズレに対応する複数の測定信号の各々の位相を調整する。背景信号生成手段46は、位相調整された複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号Ebgを生成する。背景信号減算手段47は、位相調整された複数の測定信号から背景信号Ebgを減算する。画像形成手段は、背景信号Ebgが減算された複数の測定信号に基づいて、被検眼100の断層画像を形成する。
特に、本実施例では、基準信号取得手段42は、フーリエ変換後の複数の測定信号の中央値を算出することによって基準信号を取得する。また、位相ずれ算出手段43は、測定信号と基準信号Eの相関値ρに基づいて複数の測定信号の各々と基準信号Eの位相ずれを算出し、位相ずれ平滑化手段44は、算出した位相ずれのそれぞれに移動平均フィルタを適用して位相ずれを平滑化する。また、背景信号生成手段46は、フーリエ変換後の位相調整された複数の測定信号の中央値を算出することによって背景信号を生成する。
ここで、特許文献1に開示されている技術では、断層画像上においてFPNが生じている位置を検出するため、スペクトルの強度によっては断層画像からFPNの位置を検出することができないことがあり、FPNを除去することができない場合がある。また、特許文献1に開示されている技術では、検出信号の取り込みタイミングをシフトさせて干渉光のスペクトルの位相を補正するため、位相ずれが断層像の深さに対してリニアに変化する場合のみについてFPN除去が有効である。
しかし実際には、位相ずれが2πを超えてラッピングすること、及び、波長掃引中におけるk−clockのタイミングが不規則にずれること等の理由により、1回のAスキャン中の位相のずれは断層像の深さに対して必ずしもリニアに変化せず不規則にずれる。そのため、特許文献1に開示されている技術では、FPNを除去することができない場合がある。
これに対し、本実施例によるOCT装置1では、位相ずれ平滑化処理を実施することで、位相がランダムな網膜の信号及びノイズフロアの位相ずれ情報が相関値ρから除外され、位相がランダムではないノイズ(FPNを含む)の位相ずれ情報のみが抽出される。そのため、以後の処理で網膜やノイズフロアの信号を減算しないので、暗線を生み出すことなく、位相ズレが断層像の深さに対してリニアに変化しない場合であっても、FPNを除去し高画質なOCT画像を生成することができる。また、位相ずれ平滑化処理でFPNの位相ずれ情報を抽出することから、FPNの位置を特定せずに、FPNを除去することができる。
また、従来において、FPN除去のための追加の光学部材を用いて、測定光の光路又は参照光の光路に配置された光学部材による位相ずれを求め、求められた位相ずれに基づいて干渉光のスペクトル位相を補正する方法も提案されている。これに対し、本実施例によるOCT装置1では、測定信号に含まれる全てのFPNに対して、平滑化された位相ずれに基づいて位相調整する。このため、FPN除去のための追加の光学部材を用いずに簡単な装置構成で1回のAスキャン内での不規則な位相ずれによるFPNを除去することができる。
なお、本実施例においては、基準信号取得手段42は、測定信号に基づいて基準信号Eを取得しているが、基準信号Eを生成する構成はこれに限られない。例えば、測定信号取得手段41は、光干渉断層撮像における参照光のみに基づく測定信号である参照信号を取得し、基準信号取得手段42が、フーリエ変換後の参照信号の中央値を算出することによって基準信号Eを取得してもよい。
さらに、本実施例では、測定信号と基準信号の相関値ρから位相ずれを算出し、位相調整量θdeltaを求めているが、位相調整量θdeltaを求める構成はこれに限られず、既知の任意の方法によって位相調整量を求めることができる。
また、位相ずれ平滑化手段44は、移動平均フィルタを用いる構成に限られず、位相ずれに重み付けフィルタを適用して位相ずれを平滑化してもよい。なお、位相ずれ平滑化処理の窓の大きさ(本実施例では、移動平均を計算する際の片側サンプル数であるhwに相当する)が小さい程、平滑化の効果が薄れ断層像に暗線が生じやすい傾向があり、処理が軽くなる。これに対し、平滑化窓の大きさが大きい程、隣り合うFPNの位相を分解できなくなる等に起因して、FPNが残りやすくなる傾向があり、処理が重くなる。これらを勘案し、hwを好ましくは20〜300に、さらに好ましくは30〜50に設定することができる。
さらに、本実施例において、背景信号生成手段46は、位相調整された測定信号に基づいて背景信号Ebgを生成しているが、背景信号Ebgを生成する構成はこれに限られない。例えば、背景信号生成手段は、参照光に基づく測定信号から背景信号Ebgを生成してもよい。この場合には、測定信号取得手段は、光干渉断層撮像における参照光のみに基づく測定信号である参照信号を取得し、基準信号取得部は複数の参照信号に基づいて基準信号を生成する。また、位相ずれ算出手段は、複数の参照信号の各々と基準信号の位相ずれを算出し、平滑化手段は、複数の参照信号の各々と基準信号の位相ずれをそれぞれ平滑化する。位相調整手段は、複数の参照信号の各々と基準信号の平滑化された位相ずれに基づいて、平滑化された位相ずれに対応する複数の参照信号の各々の位相を調整する。その後、背景信号生成手段は、フーリエ変換後の位相調整された複数の参照信号の中央値を算出することによって背景信号を生成する。
また、本実施例では、背景信号減算手段47は、位相調整された測定信号からz空間において背景信号を減算している。これに対し、背景信号減算手段47は、位相調整された測定信号及び背景信号を逆フーリエ変換し、k空間において測定信号から背景信号を減算してもよい。
また、基準信号取得手段42、位相ずれ算出手段43、位相ずれ平滑化手段44、位相調整手段45、背景信号生成手段46、及び背景信号減算手段47は、複数の測定信号の各々をフーリエ変換した値の前半部分のみを用いてそれぞれの処理を行ってもよい。逆に、基準信号取得手段42等は、複数の測定信号の各々をフーリエ変換した値の後半部分のみを用いてそれぞれの処理を行ってもよい。これらの場合、各処理による負荷及び計算時間を短縮することができる。
また、本実施例においては、信号処理のステップS108において、位相調整した測定信号Eから背景信号Ebgを減算したが、背景信号の減算方法はこれに限られない。例えば、背景信号Ebgを基準信号として、位相調整前の測定信号と背景信号EbgについてステップS103乃至S106と同様の処理を行い、背景信号Ebgの位相を測定信号に対して調整する。その後、測定信号から背景信号Ebgの位相調整後の信号を減算して、減算後の信号に基づいて画像形成処理を行ってもよい。
この場合には、位相ずれ算出手段は、複数の測定信号の各々と背景信号Ebgの位相ずれを算出し、位相ずれ平滑化手段は、複数の測定信号の各々と背景信号Ebgの位相ずれをそれぞれ平滑化する。位相調整手段は、複数の測定信号の各々と背景信号Ebgの平滑化された位相ずれに基づいて、平滑化された位相ずれに対応する前記背景信号の位相を調整する。当該処理によっても、本実施例と同様の効果を奏することができる。
[実施例2]
実施例1にかかるOCT装置1では、1つのBスキャンデータに対してFPNを除去する処理を行って、断層画像を形成した。これに対し、実施例2によるOCT装置では、複数のBスキャンデータを処理する場合に、特定のBスキャンデータに基づいて背景信号を生成し、生成した背景信号を複数のBスキャンデータの信号処理に共通して適用する。本実施例では、背景信号を複数のBスキャンデータの信号処理に共通して用いることで、信号処理を効率化することができる。
なお、複数のBスキャンデータを取得することで、眼底上の複数箇所を観察したり、ボリュームデータを構成したり、位置合わせした複数の断層画像の輝度を平均化することによりスペックルノイズを低減した高画質な断層画像を生成することができる。本実施例では、複数のBスキャンデータに基づいて複数の断層画像を形成する処理について説明する。
図6(a)及び(b)を参照して、本実施例に係る一連の信号処理の手順について説明する。図6(a)は、本実施例に係る一連の信号処理のフローを示す。図6(b)は、ステップS302における、背景信号生成処理のフローを示す。なお、本実施例によるOCT装置の構成要素は、実施例1によるOCT装置1の構成要素と同様であり、同じ参照符号を用い、説明を省略する。以下、本実施例に係る一連の信号処理について、実施例1に係る信号処理との差を中心に説明する。
情報処理部40で一連の信号処理が開始されると、ステップS301(測定信号取得)において、測定信号取得手段41は、実施例1におけるステップS101(測定信号取得)と同様に測定信号を取得する。本実施例では、1回のAスキャンに関するDAQボード32のサンプル数(N)をN=2048とし、1回のBスキャンを構成するAスキャン数(N)をN=1024とする。また、本実施例におけるBスキャンの数(N)をN=50とする。なお、これらの値は所望の構成に応じて任意の数に設定することができる。
測定信号取得手段41が、N回のBスキャンを行って測定信号を取得したら、情報処理部40は、ステップS302において、背景信号生成処理を行う。背景信号生成処理では、情報処理部40は、N回のBスキャンのうちの一つのBスキャンによるBスキャンデータを選択し、選択したBスキャンデータから、断層画像の形成処理に用いるBスキャンデータに共通して適用する背景信号を生成する。なお、選択されるBスキャンデータは、複数のBスキャンデータの平均をとって生成されたBスキャンデータ等でもよい。
情報処理部40は、図6(b)に示す背景信号生成処理を開始すると、ステップS401(Bスキャン選択)において、背景信号生成用に1つのBスキャンデータ(背景信号生成用Bスキャンデータ)を選択する。情報処理部40は、背景信号生成用Bスキャンデータとして、被検眼100のまばたきや、眼球の動きにより撮像が失敗していないデータを選択する。なお、情報処理部40は、撮像の失敗を、Bスキャンデータに含まれる値や、Bスキャンデータに基づいて形成される断層画像等に基づいて任意の方法により判定することができる。なお、検者等が手動で背景信号生成用Bスキャンデータを選択してもよい。
次に、ステップS402(フーリエ変換処理)〜S407(背景信号生成)において、情報処理部40は背景信号生成用Bスキャンデータについて、実施例1に係るステップS102(フーリエ変換処理)〜S107(背景信号生成)と同様に処理する。これにより、情報処理部40の背景信号生成手段46は、背景信号生成用Bスキャンデータに基づいて、以後の処理で共通して用いる背景信号(共通背景信号:Ebg2)を生成する。
ステップS302において共通背景信号:Ebg2を生成したら、ステップS303(初期値設定)〜S311(処理終了確認)において、情報処理部40はステップS301で取得した全てのBスキャンデータを信号処理し画像を形成する。なお、情報処理部40は、取得した複数のBスキャンデータの一部のみを画像形成に用いてもよい。
ステップS303(初期値設定)において、情報処理部40は、Bスキャンデータのインデックスnを初期値である1に設定する。
ステップS304では、情報処理部40は、n番目に取得したBスキャンデータ(測定信号)について、実施例1に係るステップS102と同様に、フーリエ変換処理を実施し、フーリエ変換データEを生成する。なお、背景信号生成用Bスキャンデータとして選択したBスキャンデータについては、ステップS402でフーリエ変換後のデータを既に取得しているので、ここでの処理から省いてもよい。
次に、位相ずれ算出手段43は、ステップS305(位相ずれ算出)において、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEとステップS407で生成した共通背景信号Ebg2との位相ずれを算出する。より具体的には、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEに対し、共通背景信号Ebg2を基準信号とし、実施例1のステップS104(位相ずれ算出)と同様に位相ずれを算出する。
ステップS306(位相ずれ平滑化)において、位相ずれ平滑化手段44は、実施例1のステップS105と同様に、算出した位相ずれを平滑化し、n番目のBスキャンデータに対する共通背景信号Ebg2の位相調整量θdeltaを求める。
次に、ステップS307(背景信号の位相調整)において、位相調整手段45は、共通背景信号Ebg2の位相に位相調整量θdeltaを加算し、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEに適用する共通背景信号Ebg2の位相を調整する。なお、実施例1では測定信号のフーリエ変換データEを位相調整していたのに対し、本実施例では、共通背景信号Ebg2を位相調整する。具体的には、位相調整手段45は、次式に従って位相調整された背景信号Ebgcを求める。なお、位相調整手段45は、背景信号Ebgcを、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEにおける各Aスキャンデータに対して生成する。そのため、位相調整手段45は、n番目のBスキャンデータに対し、背景信号EbgcをBスキャンに含まれるAスキャンの回数分(N個)だけ生成する。
ステップS308(背景信号減算)において、背景信号減算手段47は、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEから、位相調整された背景信号EbgcをAスキャンデータ毎に減算する。なお、Aスキャンデータ毎に減算を行う際には、フーリエ変換データEに含まれるAスキャンデータに対して生成された、位相調整後の背景信号を各Aスキャンデータから減算する。これにより、背景信号減算手段47は、n番目のBスキャンデータのフーリエ変換データEについて、背景信号を減算した測定信号(背景減算信号:Epure)を求める。具体的には、背景信号減算手段47は、次式に従って背景減算信号Epureを求める。
ここで、E,Ebgcは複素数であり式(18)は複素数の減算処理である。
次に、情報処理部40は、ステップS309(逆フーリエ変換処理)において、実施例1に係るステップS109と同様に、n番目のBスキャンデータの背景減算信号Epureに対して逆フーリエ変換を行う。
情報処理部40は、ステップS310(画像形成)において、実施例1に係るステップS110(画像形成)と同様に、n番目のBスキャンデータの背景減算信号Epureを逆フーリエ変換して得たデータに基づいて断層画像を形成する。
その後、情報処理部40は、ステップS311において、BスキャンデータのインデックスnがNに一致するか否かを判断し、nがNに一致していなければ、ステップS312においてnを1増やし、処理をステップS304に戻す。これに対し、情報処理部40は、nがNに一致していれば、N個のBスキャンデータに基づいて断層画像を生成し終えたとして、一連の処理を終了する。
上記のように、本実施例によるOCT装置では、背景信号生成手段46は、複数のBスキャンデータのうちの1つのBスキャンデータに基づく共通背景信号Ebg2を生成する。位相ずれ算出手段43は、複数の測定信号の各々と共通背景信号Ebg2の位相ずれを算出し、位相ずれ平滑化手段44は、複数の測定信号の各々と共通背景信号Ebg2の位相ずれをそれぞれ平滑化する。また、位相調整手段45は、複数の測定信号の各々と共通背景信号Ebg2の平滑化された位相ずれに基づいて、平滑化された位相ずれに対応する共通背景信号Ebg2の位相を調整する。背景信号減算手段47は、光干渉断層撮像における1回のBスキャンデータから生成した複数の測定信号に基づく、位相調整された背景信号Ebgcを、複数回のBスキャンから生成した複数の測定信号から共通して減算する。
本実施例によれば、複数のBスキャンデータに対して背景信号減算に用いる背景信号を共通して用いることで、各Bスキャンデータについて背景信号を生成する処理を省くことができる。より具体的には、背景信号生成用Bスキャンデータを除いた他の複数のBスキャンデータで、実施例1に係るステップS103(基準信号取得)とステップS107(背景信号生成)に対応する処理を省くことができ、信号処理を効率化、高速化することができる。
[実施例3]
実施例1及び実施例2に係る信号処理に関しては、一枚のフレームの断層画像では図3(b)に示す暗線は見られないが、複数の断層画像を平均化すると、僅かな輝度の低下領域が強調され、暗線が出現する場合がある。これは、位相調整の精度が、不自然に高いことで測定信号からノイズ成分を過剰に減算してしまう現象である。これに対し、実施例3によるOCT装置では、位相ずれをクリップして平滑化処理し、位相調整量の精度を調整する。これにより、複数の断層画像を平均化した場合でも、FPN(ノイズ成分)を過剰に減算せず、暗線の発生を抑制することができる。なお、本明細書におけるクリップとは、入力値に対して上限を設け、入力値のピークを上限の値までに抑える処理をいう。
本実施例によるOCT装置の構成要素は、実施例1によるOCT装置1の構成要素と同様であるため、同じ参照符号を用い、説明を省略する。以下、本実施例に係る一連の信号処理について、実施例1に係る信号処理との差を中心に説明する。
本実施例に係る情報処理部700の機能構成を図7に示す。本実施例に係る情報処理部700の機能構成は、実施例1に係る情報処理部40の機能構成に、位相ずれクリップ手段710を追加したものである。そのため、測定信号取得手段701〜表示制御手段709は、情報処理部40における測定信号取得手段41〜表示制御手段49と同様のものであり、これら機能構成については説明を省略する。
図8を参照して、本実施例に係る一連の信号処理の手順について説明する。図8は、本実施例に係る一連の信号処理のフローを示す。本実施例の信号処理手順は、実施例1に係る信号処理手順におけるステップS104(位相ずれ算出)の次に、ステップS505(位相ずれクリップ処理)を追加したものである。そのため、本実施例の信号処理手順において、ステップS501〜S504及びステップS506〜S511は、それぞれ、実施例1の信号処理手順におけるステップS101〜104及びステップS105〜S110に対応する。説明の簡略化のため、これらのステップについては、説明を省略する。
ステップS505(クリップ処理)における、位相ずれクリップ処理について説明する。ステップS505において、位相ずれクリップ手段710はステップS504(位相ずれ算出)で位相ずれ算出手段703が出力した相関値ρから振幅を抽出し、抽出した相関値ρの振幅をクリップする。位相ずれクリップ手段710は、クリップした相関値ρの振幅を元の相関値ρの偏角に結合した新しい相関値ρを生成する。
図9(a)乃至(c)を参照して、相関値ρの振幅のクリップについてより具体的に説明する。図9(a)は、或るAラインデータの相関値ρの振幅プロファイルの概念図である。なお、図9(a)乃至(c)では1回のAスキャンでのサンプル数Nに対し、Z方向のインデックスzが1〜N/2の範囲(前半部分)のみを表示している。
図9(a)に示されるピークF1,F2,F3,F4は、FPNに由来するピークであり、図3(a)に示されるFPNf1,f2,f3,f4に対応している。また、図9(a)に示されるピークRは網膜の信号に由来するピークであり、図3(a)に示される網膜の信号rに対応している。
位相ずれクリップ手段710は、相関値ρのZ方向のインデックスzの前半部分をN個に分割し、それぞれの領域でデータを昇順にソートしてデータ数のPパーセントより大きい振幅の値(クリップ値)を統計的に求める。本実施例ではN=3、P=96とする。なお、N及びPの値は所望の構成に応じて任意の数に設定することができる。
図9(b)は、相関値ρの振幅プロファイルに、Z方向のインデックスzの前半部分をNc個に分割する分割線と、上記クリップ値を重畳した図である。図9(b)において、分割線L1,L2,L3は、Z方向のインデックスzをN個に分割した位置を示す分割線である。クリップ値C1,C2,C3は、分割線によって仕切られたそれぞれの領域AR1,AR2,AR3におけるクリップ値である。
位相ずれクリップ手段710は、分割されたそれぞれの領域AR1,AR2,AR3について、クリップ値C1,C2,C3を上限として相関値ρの振幅の値を変更し、振幅をクリップした相関値ρ’の振幅プロファイルを生成する。
図9(c)は、相関値ρの振幅をクリップして生成した相関値ρ’の振幅プロファイルを示す。FPNに由来するピークF1,F2,F3,F4は、それぞれが含まれる領域AR1,AR2,AR3についてのクリップ値C1,C2,C3によってクリップされて、ピークP1,P2,P3,P4となる。
位相ずれクリップ手段710は、振幅をクリップして生成した相関値ρ’の振幅を、元の相関値ρの偏角に結合し、新しい相関値ρを生成する。その後、ステップS506(位相ずれ平滑化)において、位相ずれ平滑化手段704が、相関値ρについて平滑化を行い、FPNの位置における位相調整量θdeltaを求める。
上記のように、本実施例によるOCT装置は、位相ずれをクリップする位相ずれクリップ手段710をさらに備える。位相ずれクリップ手段710は、複数の測定信号の各々と基準信号との相関値ρを被検眼100の断層の深さ方向に対応する並びにおいて連続した複数の集合に分割する。その後、位相ずれクリップ手段710は、分割した複数の集合の各々に含まれる相関値ρの振幅毎に算出した統計値に基づいて、複数の測定信号の各々と基準信号の位相ずれをクリップする。本実施例では、位相ずれクリップ処理により背景信号の減算処理においてFPNを過剰に減算することを高精度に防ぐことができ、断層画像を平均化した場合でも暗線を防ぐことができる。
なお、本実施例におけるPが大きい程、暗線が生じやすい傾向があり、Pが小さい程、FPN(背景より明るいノイズ)が残りやすい傾向がある。このため、Pは好ましくは90〜99に設定することができる。さらに、Pは同じく画質に影響する処理である平滑化処理の窓の設定を勘案して決定されてもよい。
また、本実施例における位相ずれクリップ手段は一例であり、相関値ρのFPNに由来するピークを抑える処理であれば、任意の方法を用いてよい。
さらに、本実施例において処理する相関値ρの1つのAスキャンデータに対応するデータサイズはNsである。ここで、ステップS510(逆フーリエ変換処理)で後半部分を用いない場合には、Z方向のインデックスzが1〜Ns/2の範囲(前半部分)の測定信号のデータのみを処理して、処理による負荷を減らしてもよい。
また、本実施例に関しては、実施例1に係る信号処理手順に基づいた信号処理手順について説明した。しかしながら、本実施例の信号処理手順はこれに限られず、実施例2のように、複数のBスキャン画像に対して共通の背景信号を生成する信号処理手順において相関値ρのクリップ処理を行ってもよい。この場合には、図6(a)に示す実施例2に係る信号処理手順において、ステップS305の後にクリップ処理を行い、クリップ処理を施した相関値ρに基づいて、ステップS306において位相ずれ平滑化を行う。
なお、上記実施例においては、測定信号取得手段41,701が測定光学系2から測定信号や参照光に基づく信号を取得する構成について述べた。しかしながら、測定信号取得手段41,701は、院内ネットワークやインターネットなどのネットワークを介してサーバから測定信号や参照光に基づく信号を取得してもよいし、任意の記憶媒体からそれらを取得してもよい。
また、上記実施例では、OCT装置の干渉光学系としてマッハツェンダー型干渉計の構成を用いているが、干渉光学系の構成はこれに限られない。例えば、OCT装置1の干渉光学系はマイケルソン干渉計の構成を有していてもよい。さらに、測定光学系に含まれる構成要素の一部は測定光学系の外部に設けられていてもよい。このため、例えば、DAQボードは測定光学系に含まれる構成に限られず、情報処理部に含まれていてもよい。
さらに、上記実施例では、被検体として被検眼100(人眼)を挙げたが、被検体はこれに限られない。例えば、被検体は皮膚や臓器等でもよい。このとき、本発明は、眼科装置以外に、内視鏡等の医療機器に適用することができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
40:情報処理部(画像処理装置)、41:測定信号取得手段、42:基準信号取得手段、43:位相ずれ算出手段(算出手段)、44:位相ずれ平滑化手段(平滑化手段)、45:位相調整手段(調整手段)、46:背景信号生成手段(生成手段)、47:背景信号減算手段(減算手段)、48:画像形成手段、100:被検眼(被検体)

Claims (23)

  1. 被検体を光干渉断層撮像して得た、前記被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得する測定信号取得手段と、
    前記複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得する基準信号取得手段と、
    前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出する算出手段と、
    前記位相ずれの各々を平滑化する平滑化手段と、
    平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記測定信号の位相を調整する調整手段と、
    位相調整された前記複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する生成手段と、
    前記位相調整された前記複数の測定信号から前記背景信号を減算する減算手段と、
    前記背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成する画像形成手段と、
    を備える、画像処理装置。
  2. 前記位相ずれをクリップするクリップ手段をさらに備える、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記クリップ手段は、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号との相関値の振幅について算出した統計値に基づいて、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の前記位相ずれをクリップする、請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記クリップ手段は、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号との相関値を連続した複数の集合に分割し、前記複数の集合の各々に含まれる前記相関値の振幅毎に算出した統計値に基づいて、前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の前記位相ずれをクリップする、請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記基準信号取得手段は、フーリエ変換後の前記複数の測定信号の中央値を算出することによって前記基準信号を取得する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記測定信号取得手段は、前記光干渉断層撮像における参照光のみに基づく測定信号である参照信号を取得し、
    前記基準信号取得手段は、フーリエ変換後の前記参照信号の中央値を算出することによって前記基準信号を取得する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記算出手段は、前記測定信号と前記基準信号の相関値に基づいて前記位相ずれを算出する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記平滑化手段は、前記位相ずれに移動平均フィルタを適用して前記位相ずれを平滑化する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  9. 前記平滑化手段は、前記位相ずれに重み付けフィルタを適用して前記位相ずれを平滑化する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  10. 前記算出手段は、前記複数の測定信号の各々と前記背景信号の位相ずれを算出し、
    前記平滑化手段は、前記複数の測定信号の各々と前記背景信号の前記位相ずれをそれぞれ平滑化し、
    前記調整手段は、前記複数の測定信号の各々と前記背景信号の平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記背景信号の位相を調整する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  11. 前記生成手段は、フーリエ変換後の前記位相調整された複数の測定信号の中央値を算出することによって前記背景信号を生成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  12. 前記測定信号取得手段は、前記光干渉断層撮像における参照光のみに基づく測定信号である参照信号を取得し、
    前記基準信号取得手段は前記複数の参照信号に基づいて前記基準信号を生成し、
    前記算出手段は、前記複数の参照信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出し、
    前記平滑化手段は、前記複数の参照信号の各々と前記基準信号の前記位相ずれをそれぞれ平滑化し、
    前記調整手段は、前記複数の参照信号の各々と前記基準信号の平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記参照信号の位相を調整し、
    前記生成手段は、フーリエ変換後の位相調整された前記複数の参照信号の中央値を算出することによって前記背景信号を生成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  13. 前記減算手段は、k空間で前記複数の測定信号から前記背景信号を減算する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  14. 前記減算手段は、z空間で前記複数の測定信号から前記背景信号を減算する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  15. 前記基準信号取得手段、前記算出手段、前記平滑化手段、前記調整手段、前記生成手段、及び前記減算手段は、前記複数の測定信号の各々をフーリエ変換した値の前半部分及び後半部分のいずれか一方のみを用いてそれぞれの処理を行う、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  16. 前記減算手段は、前記光干渉断層撮像における1回のBスキャンから生成した前記複数の測定信号に基づく前記背景信号を、前記光干渉断層撮像における複数回のBスキャンから生成した前記複数の測定信号から共通して減算する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  17. 前記クリップ手段は、前記複数の測定信号の各々をフーリエ変換した値の前半部分及びは後半部分のいずれか一方のみを用いて前記位相ずれをクリップする、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  18. 被検体を光干渉断層撮像して得た、前記被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得する測定信号取得手段と、
    前記複数の測定信号に基づいて基準信号を取得する基準信号取得手段と、
    前記複数の測定信号と前記基準信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する生成手段と、
    前記複数の測定信号の各々と前記背景信号の位相ずれを算出する算出手段と、
    前記位相ずれの各々を平滑化する平滑化手段と、
    平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記背景信号の位相を調整する調整手段と、
    前記複数の測定信号から位相調整された前記背景信号を減算する減算手段と、
    前記位相調整された背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成する画像形成手段と、
    を備える、画像処理装置。
  19. 前記画像処理装置は、光源からの光を前記被検体に照射される測定光と参照光に分割し、前記被検体からの前記測定光の戻り光と前記参照光とを干渉させて得た干渉光に基づいて、前記測定信号を生成する測定光学系に通信可能に接続され、
    前記測定信号取得手段は、前記測定光学系から前記複数の測定信号を取得する、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  20. 前記被検体は被検眼である、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  21. 光源からの光を被検体に照射される測定光と参照光に分割し、前記被検体からの前記測定光の戻り光と前記参照光とを干渉させて得た干渉光に基づいて、前記被検体の断層の深さ方向の情報を含む測定信号を生成する測定光学系、及び、
    前記測定光学系に通信可能に接続された画像処理装置であって、
    前記測定光学系から複数の前記測定信号を取得する測定信号取得手段と、
    前記複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得する基準信号取得手段と、
    前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出する算出手段と、
    前記位相ずれの各々を平滑化する平滑化手段と、
    平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記測定信号の位相を調整する調整手段と、
    位相調整された前記複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成する生成手段と、
    前記位相調整された複数の測定信号から前記背景信号を減算する減算手段と、
    前記背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成する画像形成手段と、
    を含む画像処理装置、
    を備える、撮像装置。
  22. コンピュータによって、
    被検体を光干渉断層撮像して得た、前記被検体の断層の深さ方向の情報を含む複数の測定信号を取得することと、
    前記複数の測定信号に基づいて、基準信号を取得することと、
    前記複数の測定信号の各々と前記基準信号の位相ずれを算出することと、
    前記位相ずれの各々を平滑化することと、
    平滑化された前記位相ずれに基づいて、該平滑化された位相ずれに対応する前記測定信号の位相を調整することと、
    位相調整された前記複数の測定信号に基づいて、ノイズ成分に対応する背景信号を生成することと、
    前記位相調整された前記複数の測定信号から前記背景信号を減算することと、
    前記背景信号が減算された前記複数の測定信号に基づいて、前記被検体の断層画像を形成することと、
    を含む、画像処理方法。
  23. コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項22に記載された画像処理方法の各工程を実行させる、プログラム。
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