JP2018087943A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐フィルミング性に優れる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体30は、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は、電荷発生層321と、電荷輸送層322とを含む。電荷発生層321は、電荷発生剤を含む。電荷輸送層322は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含む。電荷輸送層322は、一層であり最表面層として備えられる。バインダー樹脂は、特定の構造で表されるポリアリレート樹脂を含む。正孔輸送剤の融点は、200℃以上である。感光層の弾性仕事率は、47.0%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター又は複合機)において用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体又は積層型電子写真感光体が用いられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。
特許文献1には、下記化学式で表されるポリアリレート樹脂の少なくとも1種を結合剤樹脂として含む電子写真感光体が記載されている。
Figure 2018087943
特開昭56−135844号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、耐フィルミング性が不十分である。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、耐フィルミング性に優れる電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、フィルミングに起因する画像不良の発生を抑制するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを含む。前記電荷発生層は、電荷発生剤を含む。前記電荷輸送層は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含む。前記電荷輸送層は、一層であり最表面層として備えられる。前記バインダー樹脂は、一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂を含む。前記正孔輸送剤の融点は、200℃以上である。前記感光層の弾性仕事率は、47.0%以上である。
Figure 2018087943
前記一般式(1)中、X1及びY1は、各々、化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X1とY1とは互いに異なっている。kr及びktは、各々独立に、2又は3を表す。r1及びs1は、各々独立に、数式(1a)及び(1b)を満たす正の数を表す。t1及びu1は、各々独立に、前記数式(1a)及び(1b)を満たす0以上の数を表す。
1+s1+t1+u1=100・・・(1a)
1+t1=s1+u1 ・・・(1b)
Figure 2018087943
Figure 2018087943
前記一般式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。X2及びY2は、各々、前記化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X2とY2とは互いに異なっている。r2、s2、t2及びu2は、各々独立に、数式(2a)、(2b)及び(2c)を満たす正の数を表す。
2+s2+t2+u2=100 ・・・(2a)
2+t2=s2+u2 ・・・(2b)
0.30≦s2/(s2+u2)≦0.70・・・(2c)
Figure 2018087943
前記一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。X3及びY3は、各々、前記化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X3とY3とは互いに異なっている。r3、s3、t3及びu3は、各々独立に、数式(3a)、(3b)及び(3c)を満たす正の数を表す。
3+s3+t3+u3=100 ・・・(3a)
3+t3=s3+u3 ・・・(3b)
0.30≦s3/(s3+u3)≦0.70・・・(3c)
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を負極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体へ転写する。
本発明の電子写真感光体は、耐フィルミング性に優れる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、フィルミングに起因する画像不良の発生を抑制する。
(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の構造を示す部分断面図である。 画像形成装置の構造の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 化学式(R−1)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。 化学式(R−2)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。 化学式(R−3)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。 化学式(R−7)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。 化学式(R−8)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。 引っかき装置の構成の一例を示す図である。 図8のIX−IX線における断面図である。 図8に示す固定台と、引っかき針と、電子写真感光体との側面図である。 感光層の表面に形成された引っかき傷を示す図である。 化学式(15−1B)で表される化合物の赤外線吸収スペクトルである。 化学式(15−1D)で表される化合物の赤外線吸収スペクトルである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。なお、本明細書において、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
反応式(r−1)〜(r−11)で表される反応を各々、反応(r−1)〜(r−11)と記載することがある。一般式(15)、(15−2)〜(15−6)、(15−6−1)、(15−6−2)、(15−6−3)、(15−7)及び(15−10)〜(15−18)で表される化合物を各々、化合物(15)、(15−2)〜(15−6)、(15−6−1)、(15−6−2)、(15−6−3)、(15−7)及び(15−10)〜(15−18)と記載することがある。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数6以上14以下のアリール基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子は、例えば、フッ素(フルオロ基)、塩素(クロロ基)又は臭素(ブロモ基)である。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基及び炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
<電子写真感光体>
本実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。本実施形態の感光体は、耐フィルミング性に優れる。その理由は、以下のように推測される。
理解を助けるために、まず、感光体の表面のフィルミングについて説明する。フィルミングは、感光体の表面に微小成分が付着して固着する現象である。微小成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又はトナーから遊離した外添剤である。微小成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)である。
本実施形態の感光体においては、電荷輸送層が、バインダー樹脂としての一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれをポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)と記載することがある)を含む。電荷輸送層がポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)を含むことで、感光層の弾性仕事率を高くすることができる。ここで、電荷輸送層にバインダー樹脂に加えて正孔輸送剤を添加すると、感光層の弾性仕事率は低下する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体においては、正孔輸送剤の融点が200℃以上である。200℃以上の融点を有する正孔輸送剤を電荷輸送層に含有させることで、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)の含有によって向上した感光層の弾性仕事率が、低下することを抑制できる。本実施形態の感光体においては、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)と、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤とを電荷輸送層が含むことで、感光層の弾性仕事率を47.0%以上に調整することができる。その結果、感光体の表面にフィルミングが発生することを抑制できる。
次に、図1を参照して、本実施形態に係る感光体30の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体30の構造を示す部分断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32とを備える。感光層32は、電荷発生層321と電荷輸送層322とを含む。感光体30は、積層型電子写真感光体である。電荷輸送層322は、一層である。電荷輸送層322は、感光体30の最表面層として備えられる。感光体30においては、例えば、導電性基体31の上に電荷発生層321が備えられ、電荷発生層321の上に電荷輸送層322が備えられる。感光層32は導電性基体31の上に直接備えられてもよい。電荷発生層321は、導電性基体31の上に直接備えられてもよい。
図1(b)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体31と、中間層33(下引層)と、感光層32とを備えていてもよい。感光層32は、導電性基体31の上に中間層33を介して備えられてもよい。中間層33は、導電性基体31と電荷発生層321との間に備えられてもよい。中間層33は、電荷発生層321と電荷輸送層322との間に備えられてもよい。
電荷発生層321の厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層322の厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。以上、図1を参照して、感光体30の構造について説明した。以下、感光体について、更に詳細に説明する。
<導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体の少なくとも表面部が、導電性を有する材料であればよい。導電性基体の一例は、導電性を有する材料で構成された導電性基体である。導電性基体の別の例は、導電性を有する材料で被覆された導電性基体である。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚みは、導電性基体の形状に応じて、適宜選択することができる。
<感光層>
感光層は電荷発生層と電荷輸送層とを含む。電荷発生層は、電荷発生剤を含む。電荷発生層は、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷輸送層は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含む。電荷発生層及び電荷輸送層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
(感光層の弾性仕事率)
感光層の弾性仕事率は、47.0%以上である。感光層の弾性仕事率が47.0%未満であると、既に述べたように感光体にフィルミングが発生する。本実施形態の感光体においては、電荷輸送層が一層であり最表面層として備えられることから、感光層の弾性仕事率は、電荷輸送層の弾性仕事率に相当する。
感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、感光層の弾性仕事率は、50.0%以上であることが好ましい。また、感光層の弾性仕事率は、60.0%以下であることが好ましく、55.0%以下であることがより好ましい。
感光層の弾性仕事率は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、ダイヤモンド圧子を備える微小硬度計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製「H−100」)を用いて、ステップA、ステップB及びステップCを行うことにより測定される。ステップAでは、ダイヤモンド圧子を用いて、最大荷重が9.8mmNになるように30秒間かけて感光層に負荷をかけ、負荷をかけたときの感光層の最大変形仕事量(EW1:塑性変形の仕事量+弾性変形の仕事量)を測定する。ステップBでは、30秒間かけて、ダイヤモンド圧子を感光層から離間させて感光層にかけられた負荷を除き、負荷を除いたときの感光層の復元量(EW2:弾性変形の仕事量)を測定する。ステップCでは、測定された感光層の最大変形仕事量(EW1)及び感光層の復元量(EW2)から、数式「弾性仕事率(%)=(100×EW2)/EW1」に従って、感光層の弾性仕事率を求める。以上、感光層の弾性仕事率の測定方法の概要を説明した。感光層の弾性仕事率の測定方法は、実施例で詳細に説明する。
(感光層の引っかき深さ)
感光層の引っかき深さは、0.50μm以下であることが好ましい。感光層は、引っかき深さが0.50μm以下であるような硬度を有することが好ましい。感光層の引っかき深さが0.50μm以下であると、画像形成時に画像形成装置の部材との接触により発生する感光層表面の傷を好適に抑制することができる。これにより、感光層表面の傷にトナー成分(例えばトナー又はトナーから遊離した外添剤)又は記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が入り込み、感光体の表面にこれらの成分が固着することを好適に抑制できる。その結果、感光体の耐フィルミング性を更に向上させることができる。
本実施形態の感光体においては、電荷輸送層が一層であり最表面層として備えられることから、感光層の引っかき深さは、電荷輸送層の引っかき深さに相当する。電荷輸送層が、バインダー樹脂としての一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂と、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤とを少なくとも含むことで、感光層の引っかき深さを0.50μm以下に調整できる。
感光体の耐フィルミング性を更に抑制するためには、感光層の引っかき深さは、0.00μm以上0.50μm以下であることが好ましく、0.20μm以上0.45μm以下であることがより好ましい。
感光層の引っかき深さは、以下の方法で測定される。感光層の引っかき深さは、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、JIS K5600−5−5で規定される引っかき装置を用いて、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ及び第四ステップを行うことにより測定される。引っかき装置は、固定台と引っかき針とを備える。引っかき針は、直径1mmの半球状のサファイアの先端を有している。第一ステップでは、感光体の長手方向が固定台の長手方向と平行になるように、感光体を固定台の上面に固定する。第二ステップでは、引っかき針を感光層の表面に対して垂直に当接させる。第三ステップでは、引っかき針を感光層の表面に対して垂直に当接させた状態で、引っかき針から感光層に10gの荷重を付与しながら、固定台及び固定台の上面に固定された感光体を、固定台の長手方向に30mm/分の速度で30mm移動させて、引っかき針によって感光層の表面に引っかき傷を形成する。第四ステップでは、引っかき傷の最大深さである引っかき深さを測定する。以上、引っかき深さの測定方法の概要を説明した。引っかき深さの測定方法は、実施例で詳細に説明する。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤であれば、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CGM−1)で表される。金属フタロシアニンの例は、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンである。チタニルフタロシアニンは、化学式(CGM−2)で表される。フタロシアニン顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されない。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、それぞれを、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。このような画像形成装置に備えられる感光体の電荷発生層には、電荷発生剤として、フタロシアニン顔料が含有されることが好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンが含有されることがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが含有されることが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが含有されることが一層好ましく、Y型チタニルフタロシアニンのみが含有されることが特に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しないことが好ましい。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体の電荷発生層には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が含有されることが好ましい。
電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含有されるベース樹脂1質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。また、電荷発生剤の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)を含む。電荷輸送層がバインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)と、融点が200℃以上である正孔輸送剤とを含むことで、既に述べたように感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。ポリアリレート樹脂(1)、(2)及び(3)の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。以下、ポリアリレート樹脂(1)、(2)及び(3)の各々について説明する。
(ポリアリレート樹脂(1))
ポリアリレート樹脂(1)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2018087943
一般式(1)中、X1及びY1は、各々、化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表す。X1とY1とは互いに異なっている。kr及びktは、各々独立に、2又は3を表す。r1及びs1は、各々独立に、数式(1a)及び(1b)を満たす正の数を表す。t1及びu1は、各々独立に、前記数式(1a)及び(1b)を満たす0以上の数を表す。
1+s1+t1+u1=100・・・(1a)
1+t1=s1+u1 ・・・(1b)
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1)は、一般式(1−10)で表される繰返し単位と、一般式(1−11)で表される繰返し単位と、一般式(1−12)で表される繰返し単位と、一般式(1−13)で表される繰返し単位とを有する。以下、一般式(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)で表される繰返し単位を、各々、繰返し単位(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)と記載することがある。
Figure 2018087943
一般式(1−10)中のkr、一般式(1−11)中のX1、一般式(1−12)中のkt、及び一般式(1−13)中のY1は、各々、一般式(1)中のkr、X1、kt及びY1と同義である。
一般式(1)中のr1は、ポリアリレート樹脂(1)に含まれる繰り返し単位(1−10)の数n1-10と繰り返し単位(1−11)の数n1-11と繰り返し単位(1−12)の数n1-12と繰り返し単位(1−13)の数n1-13との和に対する、繰り返し単位(1−10)の数n1-10の百分率を表す。r1は、数式「r1=100×n1-10/(n1-10+n1-11+n1-12+n1-13)」から求められる。一般式(1)中のs1は、ポリアリレート樹脂(1)に含まれる繰り返し単位(1−10)の数n1-10と繰り返し単位(1−11)の数n1-11と繰り返し単位(1−12)の数n1-12と繰り返し単位(1−13)の数n1-13との和に対する、繰り返し単位(1−11)の数n1-11の百分率を表す。s1は、数式「s1=100×n1-11/(n1-10+n1-11+n1-12+n1-13)」から求められる。一般式(1)中のt1は、ポリアリレート樹脂(1)に含まれる繰り返し単位(1−10)の数n1-10と繰り返し単位(1−11)の数n1-11と繰り返し単位(1−12)の数n1-12と繰り返し単位(1−13)の数n1-13との和に対する、繰り返し単位(1−12)の数n1-12の百分率を表す。t1は、数式「t1=100×n1-12/(n1-10+n1-11+n1-12+n1-13)」から求められる。一般式(1)中のu1は、ポリアリレート樹脂(1)に含まれる繰り返し単位(1−10)の数n1-10と繰り返し単位(1−11)の数n1-11と繰り返し単位(1−12)の数n1-12と繰り返し単位(1−13)の数n1-13との和に対する、繰り返し単位(1−13)の数n1-13の百分率を表す。u1は、数式「u1=100×n1-13/(n1-10+n1-11+n1-12+n1-13)」から求められる。
一般式(1)中のr1、s1、t1及びu1の各々は、1本の分子鎖から得られる値ではなく、電荷輸送層に含有されるポリアリレート樹脂(1)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。r1、s1、t1及びu1の各々は、例えば、次の方法で測定される。プロトン核磁気共鳴分光計を用いて、ポリアリレート樹脂(1)の1H−NMRスペクトルを測定する。溶媒としてCDCl3を、内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いる。得られたポリアリレート樹脂(1)の1H−NMRスペクトルにおける、繰り返し単位(1−10)に特徴的なピークと、繰り返し単位(1−11)に特徴的なピークと、繰り返し単位(1−12)に特徴的なピークと、繰り返し単位(1−13)に特徴的なピークとの比率から、r1、s1、t1及びu1の各々を算出する。
ポリアリレート樹脂(1)における繰返し単位(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)の配列は、芳香族ジオール由来の繰返し単位と芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位とが互いに隣接する限り、特に限定されない。芳香族ジオール由来の繰返し単位は、繰り返し単位(1−10)及び(1−12)である。芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位は、繰り返し単位(1−11)及び(1−13)である。例えば、繰返し単位(1−10)は、繰返し単位(1−11)又は繰返し単位(1−13)と隣接して互いに結合している。また、繰返し単位(1−12)は、繰返し単位(1−11)又は繰返し単位(1−13)と隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(1)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
ポリアリレート樹脂(1)は、繰返し単位(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)以外の繰返し単位を更に有していてもよい。ポリアリレート樹脂(1)に含まれる繰返し単位の総数に対する、繰返し単位(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)の合計数の比率は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。t1及びu1が0である場合、ポリアリレート樹脂(1)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1−10)及び(1−11)のみを有していてもよい。また、t1及びu1が0でない場合、ポリアリレート樹脂(1)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1−10)、(1−11)、(1−12)及び(1−13)のみを有していてもよい。
一般式(1)中のkr及びktは、各々、3を表すことが好ましい。
以下、一般式(1)中のt1及びu1が0でない場合について説明する。t1及びu1が0でないとき、ポリアリレート樹脂(1)は、下記一般式(1A)で表されるポリアリレート樹脂であることが好ましく、下記一般式(1B)で表されるポリアリレート樹脂であることがより好ましい。以下、一般式(1A)及び(1B)で表されるポリアリレート樹脂を、各々、ポリアリレート樹脂(1A)及び(1B)と記載することがある。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
一般式(1A)中のX1、Y1、kr及びktは、各々、一般式(1)中のX1、Y1、kr及びktと同義である。一般式(1B)中のX1及びY1は、各々、一般式(1)中のX1及びY1と同義である。一般式(1A)及び(1B)中、r11、s11、t11及びu11は、各々独立に、下記数式(1a’)、(1b’)及び(1c)を満たす正の数を表す。
11+s11+t11+u11=100・・・(1a’)
11+t11=s11+u11 ・・・(1b’)
0.30≦s11/(s11+u11)≦0.70・・・(1c)
一般式(1A)及び(1B)中、r11、s11、t11及びu11は、各々独立に、数式(1a’)、(1b’)及び(1c)に加えて、下記数式(1d)を更に満たす正の数を表してもよい。
0.30≦r11/(r11+t11)≦0.70・・・(1d)
数式(1c)で示される「s11/(s11+u11)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。数式(1d)で示される「r11/(r11+t11)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。
ポリアリレート樹脂(1B)は、化学式(1B−10)で表される繰り返し単位、一般式(1B−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1B−13)で表される繰り返し単位を含む。一般式(1B−11)中のX1及び一般式(1B−13)中のY1は、各々、一般式(1)中のX1及びY1と同義である。以下、化学式(1B−10)で表される繰り返し単位、一般式(1B−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1B−13)を、各々、繰り返し単位(1B−10)、(1B−11)及び(1B−13)と記載することがある。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1B)において、繰り返し単位(1B−10)の数n1B-10と繰り返し単位(1B−11)の数n1B-11と繰り返し単位(1B−13)の数n1B-13との和に対する、繰り返し単位(1B−10)の数n1B-10の百分率「100×n1B-10/(n1B-10+n1B-11+n1B-13)」は、50である。繰り返し単位(1B−10)の数n1B-10と繰り返し単位(1B−11)の数1B-11と繰り返し単位(1B−13)の数n1B-13との和に対する、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11と繰り返し単位(1B−13)の数n1B-13との和の百分率「100×(n1B-11+n1B-13)/(n1B-10+n1B-11+n1B-13)」は、50である。繰り返し単位(1B−11)の数1B-11と繰り返し単位(1B−13)の数n1B-13との和に対する、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11の比率「n1B-11/(n1B-11+n1B-13)」は、0.30以上0.70以下であることが好ましく、0.40以上0.60以下であることがより好ましく、0.50であることが特に好ましい。
一般式(1)中のt1及びu1が0でないとき、感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1)は、一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で表されるポリアリレート樹脂であることが好ましい。一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)中のr11、s11、t11及びu11は、一般式(1A)及び(1B)中のr11、s11、t11及びu11と同義である。以下、一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)で表されるポリアリレート樹脂を、各々、ポリアリレート樹脂(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)と記載することがある。ポリアリレート樹脂(1)のより好適な例は、ポリアリレート樹脂(1−1)である。ポリアリレート樹脂(1)のより好適な別の例は、ポリアリレート樹脂(1−2)である。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1−1)は、化学式(1−1−10)で表される繰り返し単位、一般式(1−1−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1−1−13)で表される繰り返し単位を含む。ポリアリレート樹脂(1−1)における化学式(1−1−10)で表される繰り返し単位の数n1-1-10、一般式(1−1−11)で表される繰り返し単位の数n1-1-11及び一般式(1−1−13)で表される繰り返し単位の数n1-1-13の関係は、ポリアリレート樹脂(1B)における繰り返し単位(1B−10)の数1B-10、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11及び繰り返し単位(1B−13)の数1B-13の関係と同じである。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1−2)は、化学式(1−2−10)で表される繰り返し単位、一般式(1−2−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1−2−13)で表される繰り返し単位を含む。ポリアリレート樹脂(1−2)における化学式(1−2−10)で表される繰り返し単位の数n1-2-10、一般式(1−2−11)で表される繰り返し単位の数n1-2-11及び一般式(1−2−13)で表される繰り返し単位の数n1-2-13の関係は、ポリアリレート樹脂(1B)における繰り返し単位(1B−10)の数1B-10、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11及び繰り返し単位(1B−13)の数1B-13の関係と同じである。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1−3)は、化学式(1−3−10)で表される繰り返し単位、一般式(1−3−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1−3−13)で表される繰り返し単位を含む。ポリアリレート樹脂(1−3)における化学式(1−3−10)で表される繰り返し単位の数n1-3-10、一般式(1−3−11)で表される繰り返し単位の数n1-3-11及び一般式(1−3−13)で表される繰り返し単位の数n1-3-13の関係は、ポリアリレート樹脂(1B)における繰り返し単位(1B−10)の数1B-10、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11及び繰り返し単位(1B−13)の数1B-13の関係と同じである。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1−4)は、化学式(1−4−10)で表される繰り返し単位、一般式(1−4−11)で表される繰り返し単位及び一般式(1−4−13)で表される繰り返し単位を含む。ポリアリレート樹脂(1−4)における化学式(1−4−10)で表される繰り返し単位の数n1-4-10、一般式(1−4−11)で表される繰り返し単位の数n1-4-11及び一般式(1−4−13)で表される繰り返し単位の数n1-4-13の関係は、ポリアリレート樹脂(1B)における繰り返し単位(1B−10)の数1B-10、繰り返し単位(1B−11)の数1B-11及び繰り返し単位(1B−13)の数1B-13の関係と同じである。
Figure 2018087943
以下、一般式(1)中のt1及びu1が0である場合について説明する。t1及びu1が0であるとき、一般式(1)中のr1及びs1は各々50を表す。t1及びu1が0であるときのポリアリレート樹脂(1)は、下記一般式(1C)で表されるポリアリレート樹脂であることが好ましく、下記一般式(1D)で表されるポリアリレート樹脂であることがより好ましい。以下、一般式(1C)及び(1D)で表されるポリアリレート樹脂を、各々、ポリアリレート樹脂(1C)及び(1D)と記載することがある。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
一般式(1C)中のX1及びkrは、各々、一般式(1)中のX1及びkrと同義である。一般式(1D)中のX1は、各々、一般式(1)中のX1と同義である。
ポリアリレート樹脂(1D)は、化学式(1D−10)で表される繰り返し単位及び一般式(1D−11)で表される繰り返し単位を含む。一般式(1D−11)中のX1は、各々、一般式(1)中のX1と同義である。以下、化学式(1D−10)で表される繰り返し単位及び一般式(1D−11)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(1D−10)及び(1D−11)と記載することがある。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1D)において、繰り返し単位(1D−10)の数n1D-10と繰り返し単位(1D−11)の数n1D-11との和に対する、繰り返し単位(1D−10)の数n1D-10の百分率「100×n1D-10/(n1D-10+n1D-11)」は、50である。繰り返し単位(1D−10)の数n1D-10と繰り返し単位(1D−11)の数n1D-11との和に対する、繰り返し単位(1D−11)の数n1D-11の百分率「100×n1D-11/(n1D-10+n1D-11)」は、50である。
一般式(1)中のt1及びu1が0であるとき、感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1)は、化学式(1−5)又は(1−6)で表されるポリアリレート樹脂であることが好ましい。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量は、35000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましく、45000以上であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量が35000以上である場合、電荷輸送層が摩耗しにくくなる。一方、ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量は、75000以下であることが好ましく、60000以下であることがより好ましく、55000以下であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量が75000以下である場合、電荷輸送層形成用の溶剤にポリアリレート樹脂(1)が溶解し易くなり、電荷輸送層の形成が容易になる。
(ポリアリレート樹脂(2))
ポリアリレート樹脂(2)は、下記一般式(2)で表される。
Figure 2018087943
一般式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。X2及びY2は、各々、化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表す。一般式(2)中の化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基は、一般式(1)中の化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基と同じである。X2とY2とは互いに異なっている。r2、s2、t2及びu2は、各々独立に、下記数式(2a)、(2b)及び(2c)を満たす正の数を表す。
2+s2+t2+u2=100 ・・・(2a)
2+t2=s2+u2 ・・・(2b)
0.30≦s2/(s2+u2)≦0.70・・・(2c)
2、s2、t2及びu2は、各々独立に、数式(2a)、(2b)及び(2c)に加えて、下記数式(2d)を更に満たす正の数を表してもよい。
0.30≦r2/(r2+t2)≦0.70・・・(2d)
感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、一般式(2)中、R21、R22、R23及びR24は、各々、メチル基を表すことが好ましい。同じ理由から、X2及びY2の一方が化学式(C)で表される二価の基を表し、X2及びY2の他方が化学式(E)で表される二価の基を表すことが好ましい。
2とs2とが互いに異なってもよい。r2とu2とが互いに異なってもよい。t2とs2とが互いに異なってもよい。t2とu2とが互いに異なってもよい。
ポリアリレート樹脂(2)は、一般式(2−10)で表される繰返し単位と、一般式(2−11)で表される繰返し単位と、一般式(2−12)で表される繰返し単位と、一般式(2−13)で表される繰返し単位とを有する。以下、一般式(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)で表される繰返し単位を、各々、繰返し単位(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)と記載することがある。
Figure 2018087943
一般式(2−10)中のR21、R22、一般式(2−11)中のX2、一般式(2−12)中のR23、R24、及び一般式(2−13)中のY2は、各々、一般式(2)中のR21、R22、X2、R23、R24及びY2と同義である。
一般式(2)中のr2は、ポリアリレート樹脂(2)に含まれる繰り返し単位(2−10)の数n2-10と繰り返し単位(2−11)の数n2-11と繰り返し単位(2−12)の数n2-12と繰り返し単位(2−13)の数n2-13との和に対する、繰り返し単位(2−10)の数n2-10の百分率を表す。r2は、数式「r2=100×n2-10/(n2-10+n2-11+n2-12+n2-13)」から求められる。一般式(2)中のs2は、ポリアリレート樹脂(2)に含まれる繰り返し単位(2−10)の数n2-10と繰り返し単位(2−11)の数n2-11と繰り返し単位(2−12)の数n2-12と繰り返し単位(2−13)の数n2-13との和に対する、繰り返し単位(2−11)の数n2-11の百分率を表す。s2は、数式「s2=100×n2-11/(n2-10+n2-11+n2-12+n2-13)」から求められる。一般式(2)中のt2は、ポリアリレート樹脂(2)に含まれる繰り返し単位(2−10)の数n2-10と繰り返し単位(2−11)の数n2-11と繰り返し単位(2−12)の数n2-12と繰り返し単位(2−13)の数n2-13との和に対する、繰り返し単位(2−12)の数n2-12の百分率を表す。t2は、数式「t2=100×n2-12/(n2-10+n2-11+n2-12+n2-13)」から求められる。一般式(2)中のu2は、ポリアリレート樹脂(2)に含まれる繰り返し単位(2−10)の数n2-10と繰り返し単位(2−11)の数n2-11と繰り返し単位(2−12)の数n2-12と繰り返し単位(2−13)の数n2-13との和に対する、繰り返し単位(2−13)の数n2-13の百分率を表す。u2は、数式「u2=100×n2-13/(n2-10+n2-11+n2-12+n2-13)」から求められる。
一般式(2)中のr2、s2、t2及びu2の各々は、1本の分子鎖から得られる値ではなく、電荷輸送層に含有されるポリアリレート樹脂(2)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。r2、s2、t2及びu2の各々は、例えば、次の方法で測定される。プロトン核磁気共鳴分光計を用いて、ポリアリレート樹脂(2)の1H−NMRスペクトルを測定する。溶媒としてCDCl3を、内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いる。得られたポリアリレート樹脂(2)の1H−NMRスペクトルにおける、繰り返し単位(2−10)に特徴的なピークと、繰り返し単位(2−11)に特徴的なピークと、繰り返し単位(2−12)に特徴的なピークと、繰り返し単位(2−13)に特徴的なピークとの比率から、r2、s2、t2及びu2の各々を算出する。
ポリアリレート樹脂(2)における繰返し単位(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)の配列は、芳香族ジオール由来の繰返し単位と芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位とが互いに隣接する限り、特に限定されない。芳香族ジオール由来の繰返し単位は、繰り返し単位(2−10)及び(2−12)である。芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位は、繰り返し単位(2−11)及び(2−13)である。例えば、繰返し単位(2−10)は、繰返し単位(2−11)又は繰返し単位(2−13)と隣接して互いに結合している。また、繰返し単位(2−12)は、繰返し単位(2−11)又は繰返し単位(2−13)と隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(2)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
ポリアリレート樹脂(2)は、繰返し単位(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)以外の繰返し単位を更に有していてもよい。ポリアリレート樹脂(2)に含まれる繰返し単位の総数に対する、繰返し単位(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)の合計数の比率は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(2)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(2−10)、(2−11)、(2−12)及び(2−13)のみを有していてもよい。
数式(2c)で示される「s2/(s2+u2)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。数式(2d)で示される「r2/(r2+t2)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(2)は、一般式(2−1)で表されるポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(2−1)と記載することがある)であることが好ましい。一般式(2−1)中のr2、s2、t2及びu2は、各々、一般式(2)中のr2、s2、t2及びu2と同義である。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(2−1)は、化学式(2−1−10)で表される繰り返し単位、化学式(2−1−11)で表される繰り返し単位及び化学式(2−1−13)で表される繰り返し単位を含む。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(2−1)において、繰り返し単位(2−1−10)の数n2-1-10と繰り返し単位(2−1−11)の数n2-1-11と繰り返し単位(2−1−13)の数n2-1-13との和に対する、繰り返し単位(2−1−10)の数n2-1-10の百分率「100×n2-1-10/(n2-1-10+n2-1-11+n2-1-13)」は、50である。繰り返し単位(2−1−10)の数n2-1-10と繰り返し単位(2−1−11)の数2-1-11と繰り返し単位(2−1−13)の数n2-1-13との和に対する、繰り返し単位(2−1−11)の数2-1-11と繰り返し単位(2−1−13)の数n2-1-13との和の百分率「100×(n2-1-11+n2-1-13)/(n2-1-10+n2-1-11+n2-1-13)」は、50である。繰り返し単位(2−1−11)の数2-1-11と繰り返し単位(2−1−13)の数n2-1-13との和に対する、繰り返し単位(2−1−11)の数2-1-11の比率「n2-1-11/(n2-1-11+n2-1-13)」は、0.30以上0.70以下であることが好ましく、0.40以上0.60以下であることがより好ましく、0.50であることが特に好ましい。
ポリアリレート樹脂(2)の粘度平均分子量は、35000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましく、45000以上であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(2)の粘度平均分子量が35000以上である場合、電荷輸送層が摩耗しにくくなる。一方、ポリアリレート樹脂(2)の粘度平均分子量は、75000以下であることが好ましく、60000以下であることがより好ましく、55000以下であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(2)の粘度平均分子量が75000以下である場合、電荷輸送層形成用の溶剤にポリアリレート樹脂(2)が溶解し易くなり、電荷輸送層の形成が容易になる。
(ポリアリレート樹脂(3))
ポリアリレート樹脂(3)は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2018087943
一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。X3及びY3は、各々、前記化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表す。一般式(3)中の化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基は、一般式(1)中の化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基と同じである。X3とY3とは互いに異なっている。r3、s3、t3及びu3は、各々独立に、下記数式(3a)、(3b)及び(3c)を満たす正の数を表す。
3+s3+t3+u3=100 ・・・(3a)
3+t3=s3+u3 ・・・(3b)
0.30≦s3/(s3+u3)≦0.70・・・(3c)
3、s3、t3及びu3は、各々独立に、数式(3a)、(3b)及び(3c)に加えて、下記数式(3d)を更に満たす正の数を表してもよい。
0.30≦r3/(r3+t3)≦0.70・・・(3d)
感光体の耐フィルミング性を更に向上させるためには、一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、各々、水素原子を表すことが好ましい。同じ理由から、X3及びY3の一方が化学式(C)で表される二価の基を表し、X3及びY3の他方が化学式(E)で表される二価の基を表すことが好ましい。
3とs3とが互いに異なってもよい。r3とu3とが互いに異なってもよい。t3とs3とが互いに異なってもよい。t3とu3とが互いに異なってもよい。
ポリアリレート樹脂(3)は、一般式(3−10)で表される繰返し単位と、一般式(3−11)で表される繰返し単位と、一般式(3−12)で表される繰返し単位と、一般式(3−13)で表される繰返し単位とを有する。以下、一般式(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)で表される繰返し単位を、各々、繰返し単位(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)と記載することがある。
Figure 2018087943
一般式(3−10)中のR31、R32、一般式(3−11)中のX3、一般式(3−12)中のR33、R34、及び一般式(3−13)中のY3は、各々、一般式(3)中のR31、R32、X3、R33、R34及びY3と同義である。
一般式(3)中のr3は、ポリアリレート樹脂(3)に含まれる繰り返し単位(3−10)の数n3-10と繰り返し単位(3−11)の数n3-11と繰り返し単位(3−12)の数n3-12と繰り返し単位(3−13)の数n3-13との和に対する、繰り返し単位(3−10)の数n3-10の百分率を表す。r3は、数式「r3=100×n3-10/(n3-10+n3-11+n3-12+n3-13)」から求められる。一般式(3)中のs3は、ポリアリレート樹脂(3)に含まれる繰り返し単位(3−10)の数n3-10と繰り返し単位(3−11)の数n3-11と繰り返し単位(3−12)の数n3-12と繰り返し単位(3−13)の数n3-13との和に対する、繰り返し単位(3−11)の数n3-11の百分率を表す。s3は、数式「s3=100×n3-11/(n3-10+n3-11+n3-12+n3-13)」から求められる。一般式(3)中のt3は、ポリアリレート樹脂(3)に含まれる繰り返し単位(3−10)の数n3-10と繰り返し単位(3−11)の数n3-11と繰り返し単位(3−12)の数n3-12と繰り返し単位(3−13)の数n3-13との和に対する、繰り返し単位(3−12)の数n3-12の百分率を表す。t3は、数式「t3=100×n3-12/(n3-10+n3-11+n3-12+n3-13)」から求められる。一般式(3)中のu3は、ポリアリレート樹脂(3)に含まれる繰り返し単位(3−10)の数n3-10と繰り返し単位(3−11)の数n3-11と繰り返し単位(3−12)の数n3-12と繰り返し単位(3−13)の数n3-13との和に対する、繰り返し単位(3−13)の数n3-13の百分率を表す。u3は、数式「u3=100×n3-13/(n3-10+n3-11+n3-12+n3-13)」から求められる。
一般式(3)中のr3、s3、t3及びu3の各々は、1本の分子鎖から得られる値ではなく、電荷輸送層に含有されるポリアリレート樹脂(3)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。r3、s3、t3及びu3の各々は、例えば、次の方法で測定される。プロトン核磁気共鳴分光計を用いて、ポリアリレート樹脂(3)の1H−NMRスペクトルを測定する。溶媒としてCDCl3を、内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いる。得られたポリアリレート樹脂(3)の1H−NMRスペクトルにおける、繰り返し単位(3−10)に特徴的なピークと、繰り返し単位(3−11)に特徴的なピークと、繰り返し単位(3−12)に特徴的なピークと、繰り返し単位(3−13)に特徴的なピークとの比率から、r3、s3、t3及びu3の各々を算出する。
ポリアリレート樹脂(3)における繰返し単位(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)の配列は、芳香族ジオール由来の繰返し単位と芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位とが互いに隣接する限り、特に限定されない。芳香族ジオール由来の繰返し単位は、繰り返し単位(3−10)及び(3−12)である。芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位は、繰り返し単位(3−11)及び(3−13)である。例えば、繰返し単位(3−10)は、繰返し単位(3−11)又は繰返し単位(3−13)と隣接して互いに結合している。また、繰返し単位(3−12)は、繰返し単位(3−11)又は繰返し単位(3−13)と隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(3)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
ポリアリレート樹脂(3)は、繰返し単位(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)以外の繰返し単位を更に有していてもよい。ポリアリレート樹脂(3)に含まれる繰返し単位の総数に対する、繰返し単位(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)の合計数の比率は、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、1.00であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(3)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(3−10)、(3−11)、(3−12)及び(3−13)のみを有していてもよい。
数式(3c)で示される「s3/(s3+u3)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。数式(3d)で示される「r3/(r3+t3)」は、0.40以上0.60以下であることが好ましく、0.50であることがより好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(3)は、一般式(3−1)で表されるポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(3−1)と記載することがある)であることが好ましい。一般式(3−1)中のr3、s3、t3及びu3は、各々、一般式(3)中のr3、s3、t3及びu3と同義である。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(3−1)は、化学式(3−1−10)で表される繰り返し単位、化学式(3−1−11)で表される繰り返し単位及び化学式(3−1−13)で表される繰り返し単位を含む。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(3−1)において、繰り返し単位(3−1−10)の数n3-1-10と繰り返し単位(3−1−11)の数n3-1-11と繰り返し単位(3−1−13)の数n3-1-13との和に対する、繰り返し単位(3−1−10)の数n3-1-10の百分率「100×n3-1-10/(n3-1-10+n3-1-11+n3-1-13)」は、50である。繰り返し単位(3−1−10)の数n3-1-10と繰り返し単位(3−1−11)の数3-1-11と繰り返し単位(3−1−13)の数n3-1-13との和に対する、繰り返し単位(3−1−11)の数3-1-11と繰り返し単位(3−1−13)の数n3-1-13との和の百分率「100×(n3-1-11+n3-1-13)/(n3-1-10+n3-1-11+n3-1-13)」は、50である。繰り返し単位(3−1−11)の数3-1-11と繰り返し単位(3−1−13)の数n3-1-13との和に対する、繰り返し単位(3−1−11)の数3-1-11の比率「n3-1-11/(n3-1-11+n3-1-13)」は、0.30以上0.70以下であることが好ましく、0.40以上0.60以下であることがより好ましく、0.50であることが特に好ましい。
ポリアリレート樹脂(3)の粘度平均分子量は、35000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましく、45000以上であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(3)の粘度平均分子量が35000以上である場合、電荷輸送層が摩耗しにくくなる。一方、ポリアリレート樹脂(3)の粘度平均分子量は、75000以下であることが好ましく、60000以下であることがより好ましく、55000以下であることが更に好ましい。ポリアリレート樹脂(3)の粘度平均分子量が75000以下である場合、電荷輸送層形成用の溶剤にポリアリレート樹脂(3)が溶解し易くなり、電荷輸送層の形成が容易になる。
電荷輸送層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)のみを含んでいてもよい。或いは、電荷輸送層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)に加えて、ポリアリレート樹脂(1)、(2)及び(3)以外の樹脂(その他の樹脂)を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(具体的には、ポリアリレート樹脂(1)、(2)及び(3)以外のポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂)、熱硬化性樹脂(具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂)又は光硬化性樹脂(具体的には、エポキシ−アクリル酸系樹脂又はウレタン−アクリル酸系共重合体)が挙げられる。その他の樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ポリアリレート樹脂(1)、(2)及び(3)の製造方法)
ポリアリレート樹脂(1)の製造方法は、特に限定されない。一般式(1)中のt1及びu1が0であるときのポリアリレート樹脂(1)の製造方法は、例えば、一般式(BP−A)で表される第一芳香族ジオールと、一般式(DC−A)で表される第一芳香族ジカルボン酸とを縮重合させて、ポリアリレート樹脂(1)を得る。一般式(1)中のt1及びu1が0でないときのポリアリレート樹脂(1)の製造方法は、例えば、一般式(BP−A)で表される第一芳香族ジオールと、一般式(BP−B)で表される第二芳香族ジオールと、一般式(DC−A)で表される第一芳香族ジカルボン酸と、一般式(DC−B)で表される第二芳香族ジカルボン酸とを縮重合させて、ポリアリレート樹脂(1)を得る。一般式(BP−A)中のkr、一般式(BP−B)中のkt、一般式(DC−A)中のX1、及び一般式(DC−B)中のY1は、各々、一般式(1)中のkr、kt、X1及びY1と同義である。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(2)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(2)の製造方法は、例えば、一般式(BP−C)で表される第一芳香族ジオールと、一般式(BP−D)で表される第二芳香族ジオールと、一般式(DC−C)で表される第一芳香族ジカルボン酸と、一般式(DC−D)で表される第二芳香族ジカルボン酸とを縮重合させて、ポリアリレート樹脂(2)を得る。一般式(BP−C)中のR21、R22、一般式(BP−D)中のR23、R24、一般式(DC−C)中のX2、及び一般式(DC−D)中のY2は、各々、一般式(2)中のR21、R22、R23、R24、X2及びY2と同義である。
Figure 2018087943
ポリアリレート樹脂(3)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(3)の製造方法は、例えば、一般式(BP−E)で表される第一芳香族ジオールと、一般式(BP−F)で表される第二芳香族ジオールと、一般式(DC−E)で表される第一芳香族ジカルボン酸と、一般式(DC−F)で表される第二芳香族ジカルボン酸とを縮重合させて、ポリアリレート樹脂(3)を得る。一般式(BP−E)中のR31、R32、一般式(BP−F)中のR33、R34、一般式(DC−E)中のX3、及び一般式(DC−F)中のY3は、各々、一般式(3)中のR31、R32、R33、R34、X3及びY3と同義である。
Figure 2018087943
芳香族ジオールである化合物(BP−A)〜(BP−F)の各々は、誘導体化して使用されてもよい。芳香族ジオールの誘導体の例は、芳香族ジアセテートである。芳香族ジカルボン酸である化合物(DC−A)〜(DC−F)の各々は、誘導体化して使用されてもよい。芳香族ジカルボン酸の誘導体の例は、芳香族ジカルボン酸ジクロリド、芳香族ジカルボン酸ジメチルエステル、芳香族ジカルボン酸ジエチルエステル又は芳香族ジカルボン酸無水物である。芳香族ジカルボン酸ジクロリドは、芳香族ジカルボン酸の2個の「−C(=O)−OH」基が各々「−C(=O)−Cl」基で置換された化合物である。
芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させる方法は、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合又は界面重合等)を採用することができる。重縮合反応は、アルカリ及び触媒の存在下で進行させてもよい。触媒としては、例えば、第三級アンモニウム(より具体的には、トリアルキルアミン等)又は第四級アンモニウム塩(より具体的には、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等)が挙げられる。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(より具体的には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等)又はアルカリ土類金属の水酸化物(より具体的には、水酸化カルシウム等)が挙げられる。重縮合反応は、溶媒中及び不活性ガス雰囲気下で進行させてもよい。溶媒としては、例えば、水又はクロロホルムが挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンが挙げられる。重縮合反応の反応時間は、2時間以上5時間以下であることが好ましい。重縮合反応の反応温度は、5℃以上25℃以下であることが好ましい。必要に応じて、重縮合反応後にポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)は精製されてもよい。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。
化合物(DC−A)〜(DC−F)の好適な例は、化学式(DC−1)〜(DC−6)で表される化合物である。以下、化学式(DC−1)〜(DC−6)で表される化合物を、各々、化合物(DC−1)〜(DC−6)と記載することがある。なお、化合物(DC−A)としては、化合物(DC−B)と異なる化合物が選択される。化合物(DC−C)としては、化合物(DC−D)と異なる化合物が選択される。化合物(DC−E)としては、化合物(DC−F)と異なる化合物が選択される。
Figure 2018087943
化合物(BP−A)及び(BP−B)の各々の好適な例は、化学式(BP−1)又は(BP−2)で表される化合物である。以下、化学式(BP−1)及び(BP−2)で表される化合物を、各々、化合物(BP−1)及び(BP−2)と記載することがある。
Figure 2018087943
化合物(BP−C)及び(BP−D)の各々の好適な例は、化学式(BP−3)、(BP−4)又は(BP−5)で表される化合物である。以下、化学式(BP−3)、(BP−4)及び(BP−5)で表される化合物を、各々、化合物(BP−3)、(BP−4)及び(BP−5)と記載することがある。
Figure 2018087943
化合物(BP−E)及び(BP−F)の好適な例は、化学式(BP−7)、(BP−8)又は(BP−9)で表される化合物である。以下、化学式(BP−7)、(BP−8)及び(BP−9)で表される化合物を、各々、化合物(BP−7)、(BP−8)及び(BP−9)と記載することがある。
Figure 2018087943
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤は、200℃以上の融点を有する。電荷輸送層が、200℃以上の正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)とを含むことで、既に述べたように感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、正孔輸送剤の融点は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、200℃以上210℃以下であることがより好ましい。正孔輸送剤の融点は、融点測定装置(例えば、柴田科学株式会社製「簡易融点測定装置 MEL−280型」)
を用いて測定することができる。電荷輸送層は、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤のみを含んでいてもよい。また、電荷輸送層は、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤に加えて、200℃未満の正孔輸送剤を更に含んでいてもよい。
200℃以上の融点を有する正孔輸送剤としては、例えば、一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)で表される化合物が挙げられる。以下、一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)及び(15)で表される化合物を、各々、化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)及び(15)と記載することがある。電荷輸送層は、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤として、化合物(10)〜(15)のうちの1種のみを含んでいてもよい。また、電荷輸送層は、200℃以上の融点を有する正孔輸送剤として、化合物(10)〜(15)の2種以上を含んでいてもよい。以下、化合物(10)〜(15)の各々について説明する。
化合物(10)は、下記一般式(10)で表される。
Figure 2018087943
一般式(10)中、R101、R102、R103及びR104は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R101、R102、R103及びR104のうちの少なくとも2つは水素原子である。一般式(10)中、R101〜R104が表わす炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
化合物(10)の好適な例としては、化学式(10−1)で表される化合物(以下、化合物(10−1)と記載することがある)が挙げられる。化合物(10−1)の融点は、204℃である。
Figure 2018087943
化合物(11)は、下記一般式(11)で表される。
Figure 2018087943
一般式(11)中、R111、R112、R113及びR114は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。一般式(11)中、R111〜R114が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はtert−ブチル基が好ましい。
化合物(11)の好適な例としては、化学式(11−1)で表される化合物(以下、化合物(11−1)と記載することがある)が挙げられる。化合物(11−1)の融点は、203℃である。
Figure 2018087943
化合物(12)は、下記一般式(12)で表される。
Figure 2018087943
一般式(12)中、R121、R122及びR123は、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。b1、b2及びb3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。一般式(12)中、R121〜R123が表わす炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR121は、互いに同一でも異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR122は、互いに同一でも異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR123は、互いに同一でも異なっていてもよい。b1は、2を表すことが好ましい。b2及びb3は、各々、0を表すことが好ましい。
化合物(12)の好適な例としては、化学式(12−1)で表される化合物(以下、化合物(12−1)と記載することがある)が挙げられる。化合物(12−1)の融点は、201℃である。
Figure 2018087943
化合物(13)は、下記一般式(13)で表される。
Figure 2018087943
一般式(13)中、R131、R132、R133、R134及びR135は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R131、R132、R133、R134及びR135のうちの少なくとも1つは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。つまり、R131、R132、R133、R134及びR135の全てが水素原子を表すことはない。一般式(13)中、R131〜R135が表す炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
化合物(13)の好適な例としては、化学式(13−1)又は(13−2)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(13−1)又は(13−2)と記載することがある)が挙げられる。化合物(13−1)の融点は、210℃である。化合物(13−2)の融点は、207℃である。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
化合物(14)は、下記一般式(14)で表される。
Figure 2018087943
一般式(14)中、R141、R142、R143、R144、R145及びR146、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。d1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。d5及びd6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(14)中、R141〜R146が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
一般式(14)中、d1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR141は、互いに同一でも異なっていてもよい。d2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR142は、互いに同一でも異なっていてもよい。d3が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR143は、互いに同一でも異なっていてもよい。d4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR144は、互いに同一でも異なっていてもよい。d5が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR145は、互いに同一でも異なっていてもよい。d6が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR146は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(14)中、d1〜d4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。d1及びd2の一方が0を表し他方が2を表し、且つd3及びd4の一方が0を表し他方が2を表すことがより好ましい。或いはd1、d2、d3及びd4が各々1を表すことがより好ましい。d5及びd6は、各々、0を表すことが好ましい。
一般式(14)中、R141〜R146は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。d1〜d4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。d1及びd2の一方が0を表し他方が2を表し、且つd3及びd4の一方が0を表し他方が2を表すことがより好ましい。d5及びd6は、各々、0を表すことが好ましい。
化合物(14)の好適な例としては、化学式(14−1)で表される化合物(以下、化合物(14−1)と記載することがある)が挙げられる。化合物(14−1)の融点は、203℃である。
Figure 2018087943
化合物(15)は、下記一般式(15)で表される。
Figure 2018087943
一般式(15)中、R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。aは、1以上3以下の整数を表す。b、c、d、e、f及びgは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
化合物(15)は、化学式「−CH=N−N=」で表される基を2個有し、更に所定の構造を有する。化学式「−CH=N−N=」で表される基は極性基である。極性基を2個有し、更に所定の構造を有することで、感光層形成用の溶剤に対する化合物(15)の溶解性を向上させることができる。また、バインダー樹脂が極性基(例えばカルボニル基)を有する場合に、極性基を2個有し更に所定の構造を有する化合物(15)とバインダー樹脂との相溶性を向上させることができる。これにより、化合物(15)が均一に分散した感光層が得られる傾向がある。その結果、感光層の弾性仕事率が低下することを抑制でき、感光体の表面にフィルミングが発生することを抑制できると考えられる。
一般式(15)のR151〜R156で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(15)のR151〜R156で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。
一般式(15)のR151〜R156で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族単環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の芳香族縮合二環炭化水素基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
151、R152、R153、R154、R155及びR156は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(15)中、aは1を表すことが好ましい。
一般式(15)中、b、c、d、e、f及びgは、各々独立して、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。b及びeは、各々独立して1又は2を表すことがより好ましく、1を表すことが更に好ましい。c、d、f及びgは、各々、0を表すことがより好ましい。
bが2以上5以下の整数を表すとき複数のR151は同一でも異なっていてもよい。cが2以上5以下の整数を表すとき複数のR152は同一でも異なっていてもよい。dが2以上5以下の整数を表すとき複数のR153は同一でも異なっていてもよい。eが2以上5以下の整数を表すとき複数のR154は同一でも異なっていてもよい。fが2以上5以下の整数を表すとき複数のR155は同一でも異なっていてもよい。gが2以上5以下の整数を表すとき複数のR156は同一でも異なっていてもよい。即ち、b、c、d、e、f及びgが2以上5以下の整数を表すとき、対応する複数のR151、R152、R153、R154、R155及びR156は同一でも異なっていてもよい。例えば、bが2を表すとき、2個のR151は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、bが2を表すとき、2個のR151は各々メチル基であってもよいし、2個のR151の一方がメチル基であり他方がメトキシ基であってもよい。
b、c、d、e、f及びgが1以上5以下の整数を表すとき、対応するR151、R152、R153、R154、R155及びR156の置換位置は特に限定されない。R151、R152、R153、R154、R155又はR156は、R151、R152、R153、R154、R155又はR156が結合するフェニル基のパラ位、メタ位又はオルト位の何れに結合してもよい。R151、R152、R153、R154、R155又はR156は、フェニル基のオルト位及び/又はパラ位に結合することが好ましい。
一般式(15)中、下記一般式(15−1−1)で表される基は、下記一般式(15−1−2)で表される基と同一であることが好ましい。感光体の耐フィルミング性を維持しつつ、反応工程を減らして効率的に化合物(15)を製造できるためである。
Figure 2018087943
一般式(15−1−1)中、R151、R152、R153、b、c及びdは、一般式(15)中のR151、R152、R153、b、c及びdと同義である。一般式(15−1−1)中のR151、R152、R153、b、c及びdの好適な例は、一般式(15)中のR151、R152、R153、b、c及びdの好適な例と同じである。Y151は、結合部位を表す。
Figure 2018087943
一般式(15−1−2)中、R154、R155、R156、e、f及びgは、一般式(15)中のR154、R155、R156、e、f及びgと同義である。一般式(15−1−2)中のR154、R155、R156、e、f及びgの好適な例は、一般式(15)中のR154、R155、R156、e、f及びgの好適な例と同じである。Y152は、結合部位を表す。
一般式(15−1−1)で表される基のY151は、下記一般式(15−1−3)で表される基のY151と結合する。そして、一般式(15−1−1)中のY151が結合する窒素原子と、一般式(15−1−3)中のY151が結合する炭素原子との間に、単結合が形成される。一般式(15−1−2)で表される基のY152は、一般式(15−1−3)で表される基のY152と結合する。そして、一般式(15−1−2)中のY152が結合する窒素原子と、一般式(15−1−3)中のY152が結合する炭素原子との間に、単結合が形成される。
Figure 2018087943
一般式(15−1−3)中、aは、一般式(15)中のaと同義である。一般式(15−1−3)中のaの好適な例は、一般式(15)中のaの好適な例と同じである。Y151及びY152は各々、結合部位を表す。
一般式(15−1−1)で表される基が一般式(15−1−2)で表される基と同一である場合、一般式(15)中のR151〜R156及びb〜gは次の関係を有する。一般式(15)中、R151及びR154は、互いに同じ基を表す。R152及びR155は、互いに同じ基を表す。R153及びR156は、互いに同じ基を表す。b及びeは、互いに同じ整数を表す。c及びfは、互いに同じ整数を表す。d及びgは、互いに同じ整数を表す。b及びeが互いに2以上5以下の同じ整数を表すとき、複数のR151は同一でも異なってもよく、複数のR154は同一でも異なってもよい。この場合、一のフェニル基の一の結合位置に結合するR151と、別のフェニル基のこのR151に対応する置換位置に結合するR154とは、同一である。理解を容易にするために一例を挙げて説明する。例えば、一のフェニル基のパラ位に結合するR151と、オルト位に結合するR151とは同一でも異なっていてもよい。この場合、別のフェニル基のパラ位に結合するR154と、オルト位に結合するR154とは同一でも異なっていてもよい。この場合、一のフェニル基のパラ位に結合するR151と、別のフェニル基のパラ位に結合するR154とは同一である。一のフェニル基のオルト位に結合するR151と、別のフェニル基のオルト位に結合するR154とは同一である。c及びfが互いに2以上5以下の同じ整数を表すときも、複数のR152及び複数のR155は同様の関係を有する。d及びgが互いに2以上5以下の同じ整数を表すときも、複数のR153及び複数のR156は同様の関係を有する。
一般式(15−1−1)で表される基が一般式(15−1−2)で表される基と同一である場合、一般式(15)中のR152、R153、R155及びR156は互いに同じ基を表し、c、d、f及びgは互いに同じ整数を表すことが好ましい。
化合物(15)例としては、下記化学式(15−1A)、(15−1B)、(15−1C)、(15−1D)又は(15−1E)で表される化合物(以下、化合物(15−1A)、(15−1B)、(15−1C)、(15−1D)又は(15−1E)と記載することがある)が好ましく、化合物(15−1E)がより好ましい。化合物(15−1E)の融点は、211℃である。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
Figure 2018087943
Figure 2018087943
Figure 2018087943
化合物(15−1A)〜(15−1E)のうちの代表例として、化合物(15−1B)及び(15−1D)の赤外線吸収スペクトルを、各々、図12及び図13に示す。図12及び図13中、縦軸は吸収ピークの波数(単位:cm-1)を示し、横軸は透過度(単位:%)を示す。赤外線吸収スペクトルは、KBr(臭化カリウム)錠剤法により調製された試料を、フーリエ変換赤外分光光度計(PerkinElmer社製「SPECTRUMONE」)を用いて測定することにより得ることができる。
ここで、化合物(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)は、各々、公知の方法を適宜選択することにより、製造することができる。化合物(15)は、例えば、以下の方法で製造することができる。
[化合物(15)の製造方法]
化合物(15)は、例えば、下記の反応(r−1)〜(r−11)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。反応(r−1)〜(r−11)で示す反応式において、R151〜R156及びa〜gは、一般式(15)中のR151〜R156及びa〜gと同義である。X15は、ハロゲン原子を表す。
[化合物(15−6)の製造]
まず、化合物(15−6)を製造する。化合物(15−6)は、下記一般式(15−6)で表される。化合物(15−6)は、化合物(15)を製造するための原料である。化合物(15−6)の製造方法として、化合物(15−6−1)、(15−6−2)及び(15−6−3)の製造方法を例に挙げて説明する。化合物(15−6−1)、(15−6−2)及び(15−6−3)は各々、一般式(15−6)中のaが1、2及び3である化合物である。
Figure 2018087943
化合物(15−6−1)は、下記反応(r−1)及び(r−2)に従って製造される。化合物(15−6−2)は、下記反応(r−1)及び(r−3)に従って製造される。
Figure 2018087943
反応(r−1)では、1モル当量の化合物(15−2)と1モル当量の亜リン酸トリエチルとを反応させて、1モル当量の化合物(15−3)を得る。反応(r−1)では、1モルの化合物(15−2)に対して、1モル以上2.5モル以下の亜リン酸トリエチルを添加することが好ましい。反応(r−1)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましい。反応(r−1)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
Figure 2018087943
反応(r−2)では、1モル当量の化合物(15−3)と1モル当量の化合物(15−4)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−6−1)を得る。反応(r−2)では、1モルの化合物(15−3)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(15−4)を添加することが好ましい。反応(r−2)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(r−2)の反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
反応(r−2)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(具体的には、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(具体的には、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又は金属塩(具体的には、n−ブチルリチウム)が挙げられる。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物(15−3)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。
反応(r−2)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はジオキサン)、ハロゲン化炭化水素(具体的には、塩化メチレン、クロロホルム又はジクロロエタン)又は芳香族炭化水素(具体的には、ベンゼン又はトルエン)が挙げられる。
反応(r−3)では、1モル当量の化合物(15−3)と1モル当量の化合物(15−5)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−6−2)を得る。反応(r−3)は、化合物(15−4)の代わりに化合物(15−5)を使用する以外は、反応(r−2)と同様の方法で行うことができる。
化合物(15−6−3)は、下記反応(r−4)及び(r−5)に従って製造される。
Figure 2018087943
反応(r−4)では、1モル当量の化合物(15−7)と2モル当量の亜リン酸トリエチルとを反応させて、1モル当量の化合物(15−8)を得る。反応(r−4)では、1モルの化合物(15−7)に対して、2モル以上5モル以下の亜リン酸トリエチルを添加することが好ましい。反応(r−4)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましい。反応(r−4)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
Figure 2018087943
反応(r−5)では、1モル当量の化合物(15−8)と2モル当量の化合物(15−4)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−6−3)を得る。反応(r−5)では、1モルの化合物(15−8)に対して、2モル以上10モル以下の化合物(15−4)を添加することが好ましい。反応(r−5)は、塩基の存在下で行われてもよい。反応(r−5)は、溶媒中で行われてもよい。反応(r−5)で使用される塩基及び溶媒の例は、反応(r−2)で使用される塩基及び溶媒の例と同様である。反応(r−5)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(r−5)の反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
[化合物(15−12)の製造]
次に、下記反応(r−6)及び(r−7)に従って、化合物(15−12)を製造する。化合物(15−12)は、化合物(15−16)を製造するための原料である。
Figure 2018087943
反応(r−6)では、1モル当量の化合物(15−3)と1モル当量の化合物(15−9)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−10)を得る。反応(r−6)は、化合物(15−4)の代わりに化合物(15−9)を使用する以外は、反応(r−2)と同様の方法で行うことができる。
Figure 2018087943
反応(r−7)では、反応(r−6)で得られた化合物(15−10)1モル当量と、1モル当量の化合物(15−11、ジフェニルヒドラジン誘導体の塩酸塩)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−12)を得る。反応(r−7)では、1モルの化合物(15−10)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(15−11)を添加することが好ましい。反応(r−7)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(r−7)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(r−7)は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、例えば、酸触媒が挙げられ、より具体的には、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸又はピリジニウム−p−トルエンスルホン酸が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の添加量は、1モルの化合物(15−10)に対して、少量であり、具体的には0.01モル以上0.5モル以下であることが好ましい。
反応(r−7)は、溶媒中で行われてもよい。反応(r−7)で使用される溶媒の例は、反応(r−2)で使用される溶媒の例と同様である。
[化合物(15−14)の製造]
次に、下記反応(r−8)に従って、化合物(15−14)を製造する。化合物(15−14)は、化合物(15−18)を製造するための原料である。
Figure 2018087943
反応(r−8)では、反応(r−6)で得られた化合物(15−10)1モル当量と、1モル当量の化合物(15−13、ジフェニルヒドラジン誘導体の塩酸塩)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−14)を得る。反応(r−8)では、1モルの化合物(15−10)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(15−13)を添加することが好ましい。反応(r−8)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(r−8)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(r−8)は、触媒の存在下で行われてもよい。反応(r−8)は、溶媒中で行われてもよい。反応(r−8)で使用される触媒及び溶媒の例は、反応(r−7)で使用される触媒及び溶媒の例と同様である。
[化合物(15−16)の製造]
次に、下記反応(r−9)に従って、化合物(15−16)を製造する。化合物(15−16)は、化合物(15)を製造するための原料である。
Figure 2018087943
反応(r−9)では、反応(r−7)で得られた化合物(15−12)1モル当量と、1モル当量の化合物(15−15)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−16)を得る。反応(r−9)では、1モルの化合物(15−12)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(15−15)を添加することが好ましい。反応(r−9)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応(r−9)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(r−9)では、触媒としてパラジウム化合物を用いてもよい。パラジウム化合物としては、例えば、四価パラジウム化合物、二価パラジウム化合物又はその他のパラジウム化合物が挙げられる。四価パラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物の添加量は、1モルの化合物(15−12)に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。これにより、反応(r−9)の反応性を向上させ易くなる。配位子としては、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル又は2,2’−ビス[(ジフェニルホスフィノ)ジフェニル]エーテルが挙げられる。配位子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。配位子の添加量は、1モルの化合物(15−12)に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
反応(r−9)は、塩基の存在下で行われてもよい。これにより、触媒活性を向上できると考えられる。塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、例えば、アルカリ金属アルコシドが挙げられ、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド又はカリウムtert−ブトキシドが挙げられる。無機塩基としては、例えば、リン酸三カリウム又はフッ化セシウムが挙げられる。1モルの化合物(15−12)に対して、パラジウム化合物を0.0005モル以上20モル以下添加する場合、塩基の添加量は、1モル以上50モル以下であることが好ましく、1モル以上30モル以下であることがより好ましい。
反応(r−9)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、キシレン(具体的には、o−キシレン)、トルエン、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
[化合物(15−18)の製造]
次に、下記反応(r−10)に従って、化合物(15−18)を製造する。化合物(15−18)は、化合物(15)を製造するための原料である。
Figure 2018087943
反応(r−10)では、反応(r−8)で得られた化合物(15−14)1モル当量と、1モル当量の化合物(15−17)とを反応させて、1モル当量の化合物(15−18)を得る。反応(r−10)は、化合物(15−12)の代わりに化合物(15−14)を使用すること、及び化合物(15−15)の代わりに化合物(15−17)を使用すること以外は、反応(r−9)と同様の方法で行うことができる。
[化合物(15)の製造]
次に、下記反応(r−11)に従って、目的化合物である化合物(15)を製造する。
Figure 2018087943
反応(r−11)では、反応(r−2)、(r−3)又は(r−5)で得られた化合物(15−6)1モル当量と、反応(r−9)で得られた化合物(15−16)1モル当量と、反応(r−10)で得られた1モル当量の化合物(15−18)とを反応させて、1モル当量の化合物(15)を得る。反応(r−11)では、1モルの化合物(15−6)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(15−16)及び1モル以上2.5モル以下の化合物(15−18)を添加することが好ましい。反応(r−11)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応(r−11)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(r−11)では、触媒としてパラジウム化合物を用いてもよい。パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。反応(r−11)は、塩基の存在下で行われてもよい。反応(r−11)は、溶媒中で行われてもよい。反応(r−11)で使用される触媒、配位子、塩基及び溶媒の例は、反応(r−9)で使用される触媒、配位子、塩基及び溶媒の例と同様である。
なお、一般式(15−1−1)で表される基が一般式(15−1−2)で表される基と同一である化合物(15)を製造する場合、化合物(15−16)と化合物(15−18)とは同じ化合物になる。この場合、反応(r−11)では、1モル当量の化合物(15−6)と、2モル当量の化合物(15−16)又は化合物(15−18)とを反応させて、1モル当量の化合物(15)を得ればよい。この場合、化合物(15−16)を製造する反応工程及び化合物(15−18)を製造する反応工程の何れかを割愛することができる。
反応(r−11)で得られた反応生成物を、必要に応じて精製することにより、目的化合物である化合物(15)を単離することができる。精製方法としては、公知の方法が適宜採用される。精製は、例えば晶析又はシリカゲルクロマトグラフィーにより行われてもよい。精製に使用する溶媒として、例えば、クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒を使用してもよい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、200℃以上である正孔輸送剤として、化合物(10)〜(15)のうちの化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(15)を含むことが好ましく、化合物(15)を含むことがより好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、200℃以上である正孔輸送剤として、化合物(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)、(14−1)又は(15−1E)を含むことが好ましく、化合物(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)又は(15−1E)を含むことがより好ましく、化合物(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−2)又は(15−1E)を含むことが更に好ましく、化合物(15−1E)を含むことが特に好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(1)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(15)とを電荷輸送層が含むことがより好ましく、ポリアリレート樹脂(1)と化合物(15)とを電荷輸送層が含むことが更に好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1A)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(1A)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(15)とを電荷輸送層が含むことがより好ましく、ポリアリレート樹脂(1A)と化合物(15)とを電荷輸送層が含むことが更に好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1B)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(1B)と化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(15)とを電荷輸送層が含むことがより好ましく、ポリアリレート樹脂(1B)と化合物(15)とを電荷輸送層が含むことが更に好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、以下に示すバインダー樹脂と正孔輸送剤とを電荷輸送層が含むことが好ましい。
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(10)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(11)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(12)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(13)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(14)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(15)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−2)であり、正孔輸送剤が化合物(13)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−3)であり、正孔輸送剤が化合物(13)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−4)であり、正孔輸送剤が化合物(13)である。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、以下に示すバインダー樹脂と正孔輸送剤とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(10−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(11−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(12−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(13−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(13−2)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(14−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−1)であり、正孔輸送剤が化合物(15−1E)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−2)であり、正孔輸送剤が化合物(13−1)であるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−3)であり、正孔輸送剤が化合物(13−1)であるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(1−4)であり、正孔輸送剤が化合物(13−1)である。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(1C)と化合物(13)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(1D)と化合物(13)とを電荷輸送層が含むことがより好ましく、ポリアリレート樹脂(1−5)又は(1−6)と化合物(13)とを電荷輸送層が含むことが更に好ましく、ポリアリレート樹脂(1−5)又は(1−6)と化合物(13−1)とを電荷輸送層が含むことが特に好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(2)と化合物(13)又は(15)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(2)と化合物(15)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(2)と化合物(13−1)又は(15−1E)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(2)と化合物(15−1E)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(2−1)と化合物(13−1)又は(15−1E)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(2−1)と化合物(15−1E)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。
感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(3)と化合物(13)又は(15)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(3)と化合物(15)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(3)と化合物(13−1)又は(15−1E)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(3)と化合物(15−1E)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させるためには、ポリアリレート樹脂(3−1)と化合物(13−1)又は(15−1E)とを電荷輸送層が含むことが好ましく、ポリアリレート樹脂(3−1)と化合物(15−1E)とを電荷輸送層が含むことがより好ましい。
電荷輸送層は、化合物(10)〜(15)に加えて、化合物(10)〜(15)以外の正孔輸送剤(その他の正孔輸送剤)を含有していてもよい。その他の正孔輸送剤としては、例えば、化合物(10)〜(15)以外の、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。その他の正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)の含有量は、正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。正孔輸送剤の質量に対する化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)の含有量100質量%であるとき、電荷輸送層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)のみを含有する。
(ベース樹脂)
ベース樹脂は、感光体に適用できる限り、特に限定されない。ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸系樹脂又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂とは異なることが好ましい。積層型感光体の製造では、例えば、導電性基体上に電荷発生層が形成され、電荷発生層上に電荷輸送層が形成される。その際に、電荷発生層上に、電荷輸送層用塗布液が塗布される。そのため、電荷発生層は、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、電子アクセプター化合物、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物又はホスファイト化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール化合物及びヒンダードアミン化合物が好ましい。本実施形態に係る感光体では、感光層はフィラー粒子(例えば無機粒子、より具体的にはシリカ粒子又はアルミナ粒子等)を含まないことが好ましい。感光層がフィラー粒子を含まない場合であっても、本実施形態に係る感光体によれば、感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。
<中間層>
中間層は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛等)の粒子又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機粒子は、表面処理を施してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
<感光体の製造方法>
感光体の製造方法は感光層形成工程を含む。感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と電荷輸送層形成工程とを含む。電荷発生層形成工程では、まず、電荷発生層用塗布液を調製する。電荷発生層用塗布液は、電荷発生層を形成するための塗布液である。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷発生層を形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、溶剤と、必要に応じて添加される成分(例えば、ベース樹脂又は添加剤)を含む。このような電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤及び必要に応じて添加される成分を溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
電荷輸送層形成工程では、まず、電荷輸送層用塗布液を調製する。電荷輸送層用塗布液は、電荷輸送層を形成するための塗布液である。電荷輸送層用塗布液を電荷発生層の上に塗布する。次いで、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層を形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)と、溶剤とを少なくとも含む。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの溶剤のうち、非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布する場合に、電荷発生層が電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散器を用いることができる。
各成分の分散性又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、塗布液は、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する工程は、公知の方法を適宜選択することができる。
<画像形成装置>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する図2は画像形成装置100の構造の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。
画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用してもよいし、中間転写方式を採用してもよい。以下、直接転写方式を採用する画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
帯電部42は、感光体30の表面(具体的には、周面)を負極性に帯電する。帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
帯電部42が感光体30の表面と接触しながら、帯電部42は感光体30の表面を負極性に帯電することができる。つまり、帯電部42は、接触方式であり得る。接触方式の帯電部42を備える画像形成装置100においては、感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)が固着し易く、フィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
接触方式の帯電部42としては、帯電ローラーを使用することができる。帯電ローラーは、例えば、感光体30の表面と接触しながら、感光体30の回転に従動して回転する。帯電ローラーは、例えば、少なくとも表面部が樹脂で形成される。帯電ローラーは、例えば、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーである帯電部42は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体30の表面を帯電させる。帯電ローラーの樹脂層に含有される樹脂の例は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン変性樹脂である。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
露光部44は、帯電された感光体30の表面を露光する。これにより、感光体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、感光体30に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
現像部46は、感光体30と接触しながら静電潜像をトナー像として現像することができる。すなわち、画像形成装置100は、いわゆる接触現像方式を採用することができる。
現像部46は、感光体30の表面を清掃することができる。すなわち、画像形成装置100は、いわゆるクリーナーレス方式を採用することができる。現像部46は、感光体30の表面に残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)を除去することができる。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Mの微小成分(例えば、紙粉)である。クリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、クリーニング部(例えば、クリーニングブレード)によって感光体30の表面の残留成分が掻き取られない。そのため、クリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、通常、感光体30の表面に残留成分が残り易く、残留成分によって感光体30の表面にフィルミングが発生し易い。しかし、画像形成装置100は、感光体30を備えている。感光体30は、既に述べたように、耐フィルミング性に優れる。このため、画像形成装置100がクリーナーレス方式を採用する場合であっても、画像形成装置100はフィルミングに起因する画像不良を抑制することができる。
現像部46が感光体30の表面を効率的に清掃するためには、以下に示す条件(a)及び条件(b)を満たすことが好ましい。
条件(a):接触現像方式を採用し、感光体30と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):感光体30の表面電位と、現像バイアスの電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<感光体30の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>感光体30の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)
条件(a)に示す接触現像方式を採用し、感光体30と現像部46との間に周速差が設けられていると、感光体30の表面は現像部46と接触し、感光体30の表面の付着成分が現像部46との摩擦により除去される。現像部46の周速は、感光体30の周速よりも速いことが好ましい。
条件(b)では、現像方式が反転現像方式である場合を想定している。トナーの帯電極性、感光体30の未露光領域の表面電位、感光体30の露光領域の表面電位及び現像バイアスの電位が何れも負極性であることが好ましい。なお、感光体30の未露光領域の表面電位及び露光領域の表面電位は、転写部48がトナー像を感光体30から記録媒体Mへ転写した後、帯電部42が次周回の感光体30の表面を帯電する前に測定される。
条件(b)の数式(b−1)を満たすと、感光体30に残留したトナー(以下、残留トナーと記載することがある)と感光体30の未露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ大きくなる。このため、感光体30の未露光領域の残留トナーは、感光体30の表面から現像部46へと移動し、回収される。
条件(b)の数式(b−2)を満たすと、残留トナーと感光体30の露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ小さくなる。このため、感光体30の露光領域の残留トナーは、感光体30の表面に保持される。感光体30の露光領域に保持されたトナーは、そのまま画像形成に使用される。
転写ベルト50は、感光体30と転写部48との間に記録媒体Mを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Mに相当する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、感光体30から記録媒体Mにトナー像が転写されるときに、感光体30は記録媒体Mと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、感光体が記録媒体Mに接触するため、感光体の表面に記録媒体Mの微小成分が付着し易く、フィルミングに起因する画像不良が発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように、耐フィルミング性に優れる。よって、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、感光体30を備える画像形成装置100は、フィルミングに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Mに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Mに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び加圧ローラーの一方又は両方である。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Mにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Mに画像が形成される。
以上、図2を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100について説明した。
<プロセスカートリッジ>
図2を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。しかし、プロセスカートリッジには、クリーナーレス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図2を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
感光体の電荷発生層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤を準備した。また、感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、実施形態で述べた化学式(CGM−2)で表されるY型チタニルフタロシアニンを準備した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、表1〜表4に示す化合物を準備した。各化合物の融点を、融点測定装置(柴田科学株式会社製「簡易融点測定装置 MEL−280型」)を用いて測定した。測定された各化合物の融点を表1〜表4に示す。表1及び表2に示す化合物(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)、(14−1)及び(15−1E)は、各々、200℃以上の融点を有していた。一方、表3及び表4に示す化合物(10−r)、(11−r)、(12−r)、(13−r)及び(14−r)は、各々、200℃未満の融点を有していた。
実施例に係る感光体の電荷輸送層を作製するために、表1及び表2に示す化合物(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)、(14−1)及び(15−1E)を使用した。また、比較例に係る感光体の電荷輸送層を作製するために、表3及び表4に示す化合物のうちの化合物(12−r)、(13−r)及び(14−r)を使用した。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
Figure 2018087943
Figure 2018087943
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、化学式(R−1)〜(R−8)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれをポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−8)と記載することがある)の各々を作製した。なお、化学式(R−5)及び(R−6)は、各々、実施形態で述べた化学式(1−5)及び(1−6)に相当する。
Figure 2018087943
Figure 2018087943
[ポリアリレート樹脂(R−1)の作製]
三口フラスコを反応容器として用いた。この三口フラスコは、温度計、三方コック及び容量200mLの滴下ロートを備えていた。反応容器に1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(実施形態で述べた化合物(BP−1))12.24g(41.28ミリモル)と、tert−ブチルフェノール0.062g(0.413ミリモル)と、水酸化ナトリウム3.92g(98ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.120g(0.384ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。反応容器の内容物に水600mLを加えた。反応容器の内容物を20℃で1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物の温度が10℃になるまで反応容器の内容物を冷却して、アルカリ性水溶液Iを得た。
一方、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ジクロリド(実施形態で述べた化合物(DC−3)のジクロリド)4.52g(16.2ミリモル)と、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロリド(実施形態で述べた化合物(DC−4)のジクロリド)4.10g(16.2ミリモル)とを、クロロホルム300gに溶解させて、クロロホルム溶液IIを得た。
次いで、アルカリ性水溶液Iを10℃で攪拌しながら、アルカリ性水溶液Iにクロロホルム溶液IIを投入した。これにより、重合反応を開始させた。反応容器の内容物の温度(液温)を13±3℃に調節しながら、反応容器の内容物を3時間攪拌して重合反応を進行させた。次いで、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量2Lの三角フラスコに、イオン交換水500mLを入れた。フラスコ内容物に、得られた有機層を加えた。フラスコ内容物に、クロロホルム300g及び酢酸6mLを更に加えた。次いで、フラスコ内容物を、室温(25℃)で30分間攪拌した。その後、デカントを用いてフラスコ内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。分液ロートを用いて、得られた有機層をイオン交換水500mLで洗浄した。イオン交換水による洗浄を8回繰り返した。その結果、水洗した有機層が得られた。水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量3Lのビーカーに1.5Lのメタノールを投入した。メタノールを攪拌した状態で、ろ液(有機層)をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。その結果、ポリアリレート樹脂(R−1)が得られた。ポリアリレート樹脂(R−1)の12.2gであり、収率は77モル%であった。得られたポリアリレート樹脂(R−1)の粘度平均分子量は、46,000であった。
[ポリアリレート樹脂(R−2)の作製]
次の点を変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の作製と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−2)を作製した。化合物(DC−3)のジクロリド4.52g(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジクロリド4.10g(16.2ミリモル)を、化合物(DC−1)のジクロリド16.2ミリモル及び化合物(DC−4)のジクロリド16.2ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R−2)の粘度平均分子量は、47,500であった。
[ポリアリレート樹脂(R−3)の作製]
次の点を変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の作製と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−3)を作製した。化合物(DC−3)のジクロリド4.52g(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジクロリド4.10g(16.2ミリモル)を、化合物(DC−3)のジクロリド16.2ミリモル及び化合物(DC−1)のジクロリド16.2ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R−3)の粘度平均分子量は、46,500であった。
[ポリアリレート樹脂(R−4)の作製]
次の点を変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の作製と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−4)を作製した。化合物(DC−3)のジクロリド4.52g(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジクロリド4.10g(16.2ミリモル)を、化合物(DC−2)のジクロリド16.2ミリモル及び化合物(DC−1)のジクロリド16.2ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R−4)の粘度平均分子量は、48,200であった。
[ポリアリレート樹脂(R−5)の作製]
次の点を変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の作製と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−5)を作製した。化合物(DC−3)のジクロリド4.52g(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジクロリド4.10g(16.2ミリモル)を、化合物(DC−1)のジクロリド32.4ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R−5)の粘度平均分子量は、49,000であった。
[ポリアリレート樹脂(R−6)の作製]
次の点を変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の作製と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−6)を作製した。化合物(DC−3)のジクロリド4.52g(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジクロリド4.10g(16.2ミリモル)を、化合物(DC−2)のジクロリド32.4ミリモルに変更した。得られたポリアリレート樹脂(R−6)の粘度平均分子量は、47,600であった。
[ポリアリレート樹脂(R−7)の作製]
三口フラスコを反応容器として用いた。この三口フラスコは、温度計、三方コック及び容量200mLの滴下ロートを備えていた。反応容器に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(実施形態で述べた化合物(BP−7))25.63g(82.86ミリモル)と、tert−ブチルフェノール0.124g(0.826ミリモル)と、水酸化ナトリウム7.84g(196ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.240g(0.768ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内の空気をアルゴンで置換した。その後、水600mLを反応容器に投入した。反応容器の内温20℃の条件下で、反応容器の内容物を1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物を冷却し、反応容器の内温を10℃まで下げた。その結果、アルカリ性水溶液IIIが得られた。
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロリド(実施形態で述べた化合物(DC−4)のジクロリド)9.84g(38.9ミリモル)と、4,4’−オキシビス安息香酸クロリド(実施形態で述べた化合物(DC−1)のジクロリド)11.47g(38.9ミリモル)とをクロロホルム300gに溶解させて、クロロホルム溶液IVを調製した。
アルカリ性水溶液IIIの温度を10℃とした。滴下ロートを用いて、クロロホルム溶液IVをアルカリ性水溶液IIIに110分間かけてゆっくりと滴下した。これにより、重合反応を開始させた。反応容器の内容物の温度(液温)を13±3℃に調節しながら、反応容器の内容物を3時間攪拌して重合反応を進行させた。次いで、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量2Lの三角フラスコに、イオン交換水500mLを入れた。フラスコ内容物に、得られた有機層を加えた。フラスコ内容物に、クロロホルム300g及び酢酸6mLを更に加えた。次いで、フラスコ内容物を、室温(25℃)で30分間攪拌した。その後、デカントを用いてフラスコ内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。分液ロートを用いて、得られた有機層をイオン交換水500mLで洗浄した。イオン交換水による洗浄を8回繰り返した。その結果、水洗した有機層が得られた。水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量3Lのビーカーに1.5Lのメタノールを投入した。メタノールを攪拌した状態で、ろ液(有機層)をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。その結果、ポリアリレート樹脂(Resin−7)を得た。ポリアリレート樹脂(Resin−7)の収量は35.3gであり、収率は88.7モル%であった。得られたポリアリレート樹脂(R−7)の粘度平均分子量は、48,000であった。
[ポリアリレート樹脂(R−8)の作製]
容量1Lの三口フラスコを反応容器として用いた。この三口フラスコは、温度計、三方コック及び容量200mLの滴下ロートを備えていた。反応容器に9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(実施形態で述べた化合物(BP−3))31.25g(82.56ミリモル)と、tert−ブチルフェノール0.124g(0.826ミリモル)と、水酸化ナトリウム7.84g(196ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.240g(0.768ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内の空気をアルゴンで置換した。その後、水600mLを反応容器に投入した。反応容器の内温20℃の条件下で、反応容器の内容物を1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物を冷却し、反応容器の内温を10℃まで下げた。その結果、アルカリ性水溶液Vが得られた。
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロリド(実施形態で述べた化合物(DC−4)のジクロリド)9.84g(38.9ミリモル)と、4,4’−オキシビス安息香酸クロリド(実施形態で述べた化合物(DC−1)のジクロリド)11.47g(38.9ミリモル)とをクロロホルム300gに溶解させて、クロロホルム溶液VIを調製した。
次いで、アルカリ性水溶液Vを10℃で攪拌しながら、アルカリ性水溶液Vにクロロホルム溶液VIを投入した。これにより、重合反応を開始させた。反応容器の内容物の温度(液温)を13±3℃に調節しながら、反応容器の内容物を3時間攪拌して重合反応を進行させた。次いで、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量2Lの三角フラスコに、イオン交換水500mLを入れた。フラスコ内容物に、得られた有機層を加えた。フラスコ内容物に、クロロホルム300g及び酢酸6mLを更に加えた。次いで、フラスコ内容物を、室温(25℃)で30分間攪拌した。その後、デカントを用いてフラスコ内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。分液ロートを用いて、得られた有機層をイオン交換水500mLで洗浄した。イオン交換水による洗浄を8回繰り返した。その結果、水洗した有機層が得られた。水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量3Lのビーカーに1.5Lのメタノールを投入した。メタノールを攪拌した状態で、ろ液(有機層)をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。その結果、ポリアリレート樹脂(R−8)が得られた。ポリアリレート樹脂(R−8)の収量は39.7gであり、収率は88.1%であった。得られたポリアリレート樹脂(R−8)の粘度平均分子量は、40,000であった。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、作製したポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−8)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうちポリアリレート樹脂(R−1)、(R−2)、(R−3)、(R−7)及び(R−8)を代表例として挙げる。図3は、ポリアリレート樹脂(R−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図4は、ポリアリレート樹脂(R−2)の1H−NMRスペクトルを示す。図5は、ポリアリレート樹脂(R−3)の1H−NMRスペクトルを示す。図6は、ポリアリレート樹脂(R−7)の1H−NMRスペクトルを示す。図7は、ポリアリレート樹脂(R−8)の1H−NMRスペクトルを示す。図3〜図7の横軸は化学シフト(単位:ppm)を示し、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示す。以下に、ポリアリレート樹脂(R−7)及び(R−8)の化学シフト値を示す。
ポリアリレート樹脂(R−7):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.81(d, 2H), 8.17−8.26(m, 6H), 8.09(d, 2H), 7.02−7.48(m, 20H), 2.74(brs, 2H), 2.50(brs, 2H), 2.02(brm, 4H), 1.41(brs, 2H), 1.23(brs, 2H), 0.99(d, 12H), 0.42(d, 6H).
ポリアリレート樹脂(R−8):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.81(s, 1H), 8.26(d, 1H), 8.20(d, 2H), 8.09(d, 1H), 7.74−7.80(m, 2H), 7.28−7.48(m, 7H), 6.99−7.18(m, 7H), 2.11−2.18(m, 6H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、ポリアリレート樹脂(R−1)、(R−2)、(R−3)、(R−7)及び(R−8)が得られていることを確認した。他のポリアリレート樹脂(R−4)、(R−5)及び(R−6)についても同じように、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、それぞれポリアリレート樹脂(R−4)、(R−5)及び(R−6)が得られていることを確認した。
ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−8)に加えて、化学式(R−B1)〜(R−B4)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれをポリアリレート樹脂(R−B1)〜(R−B4)と記載することがある)も準備した。化学式(R−B1)〜(R−B4)中の繰り返し単位に付された添え字は、各々、樹脂に含まれる繰り返し単位の総数に対する、添え字が付された繰り返し単位の数の百分率を示す。ポリアリレート樹脂(R−B1)〜(R−B4)の粘度平均分子量は、各々、46,500、47200、49100及び48600であった。
Figure 2018087943
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<感光体の製造>
上述した電荷発生剤、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を用いて、感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)を製造した。
(感光体(A−1)の製造)
まず、中間層を形成した。表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)(1質量部)とを、メタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)を含む溶剤に対して添加した。ビーズミルを用いて、これらの材料及び溶剤を5時間混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、中間層用塗布液を得た。得られた中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、ディップコート法を用いて、導電性基体の表面に中間層用塗布液を塗布した。導電性基体としては、アルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)を用いた。続いて、塗布した中間層用塗布液を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚2μm)を形成した。
次に、電荷発生層を形成した。詳しくは、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)(1質量部)とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)及びテトラヒドロフラン(40質量部)を含む溶剤に添加した。ビーズミルを用いて、これらの材料及び溶剤を2時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、電荷発生層用塗布液を作製した。得られた電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、中間層上にディップコート法を用いて塗布し、50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
次に、電荷輸送層を形成した。詳しくは、正孔輸送剤としての化合物(13−1)75質量部と、添加剤としてのヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF株式会社製「イルガノックス(登録商標)1010」)0.5質量部と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(R−1)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン350質量部と、溶剤としてのトルエン350質量部とを混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上にディップコート法を用いて塗布し、120℃で40分間乾燥させた。これにより、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。感光体(A−1)は、積層型電子写真感光体であった。感光体(A−1)において、導電性基体上に中間層が、中間層上に電荷発生層が、電荷発生層上に電荷輸送層が備えられていた。感光体(A−1)において、電荷輸送層は、一層であり最表面層として備えられていた。
(感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の製造)
下記(1)及び(2)の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々を製造した。
(1)感光体(A−1)の製造においてはバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(R−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々の製造においては表5に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
(2)感光体(A−1)の製造においては正孔輸送剤として化合物(HT−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々の製造においては表5に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
<弾性仕事率の測定>
感光体(A−1)〜(A−16)及び感光体(B−1)〜(B−7)の各々の感光層の弾性仕事率を測定した。感光層の弾性仕事率は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、ダイヤモンド圧子を備える微小硬度計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製「H−100」)を用いて、ステップA、ステップB及びステップCを行うことにより測定した。ステップAでは、ダイヤモンド圧子を用いて、最大荷重が9.8mmNになるように30秒間かけて感光層に負荷をかけ、負荷をかけたときの感光層の最大変形仕事量(EW1:塑性変形の仕事量+弾性変形の仕事量)を測定した。ステップBでは、30秒間かけて、ダイヤモンド圧子を感光層から離間させて感光層にかけられた負荷を除き、負荷を除いたときの感光層の復元量(EW2:弾性変形の仕事量)を測定した。ステップCでは、測定された感光層の最大変形仕事量(EW1)及び感光層の復元量(EW2)から、数式「弾性仕事率(%)=(100×EW2)/EW1」に従って、感光層の弾性仕事率を算出した。なお、弾性仕事率測定条件は、下記のとおりであった。
[弾性仕事率測定条件]
測定モード:dF/dt=const
最大荷重:9.8mmN
負荷時間:30秒
除荷時間:30秒
クリープ時間:5秒
感光層の表面の5箇所について弾性仕事率を測定し、弾性仕事率の数平均値を求めた。弾性仕事率の数平均値を、表5に示す。
<引っかき深さの測定>
感光体(A−1)〜(A−16)及び感光体(B−1)〜(B−7)の各々の感光層の引っかき深さを測定した。引っかき深さは、JIS K5600−5−5(日本工業規格K5600:塗料一般試験方法、第5部:塗膜の機械的性質、第5節:引っかき硬度(荷重針法))で規定される引っかき装置200を用いて測定した。
以下、図8を参照して、引っかき装置200を説明する。図8は、引っかき装置200の構成の一例を示す図である。引っかき装置200は、固定台201と、固定具202と、引っかき針203と、支持腕部204と、2つの軸支持部205と、基台206と、2つのレール部207と、分銅皿208と、定速モーター(不図示)とを備える。
図8において、X軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が鉛直方向である。X軸方向は固定台201の長手方向を示す。Y軸方向は、固定台201の上面201a(載置面)に平行な面内でX軸方向に直交する方向を示す。なお、後述する図9〜図11におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向も図8と同義である。
固定台201は、JIS K5600−5−5における試験板固定台に相当する。固定台201は、上面201aと、一端201bと、他端201cとを備える。一端201bは、2つの軸支持部205に対向している。
固定具202は、固定台201の上面201aにおける他端201cの側に設けられる。固定具202は、固定台201の上面201aに測定対象(感光体30)を固定する。固定台201の上面201aは水平面である。
引っかき針203は、先端203b(図9参照)を有する。先端203bの構造は、直径1mmの半球状である。先端203bの材質は、サファイアである。
支持腕部204は、引っかき針203を支持する。支持腕部204は、支軸204aを中心として、引っかき針203が感光体30に接近する方向及び離間する方向に回動する。
2つの軸支持部205は、支持腕部204を回動可能に支持する。
基台206は、上面206aを備える。上面206aの一端側には、2つの軸支持部205が設けられる。
2つのレール部207は、上面206aの他端側に設けられる。2つのレール部207は、互いに平行に対向するように設けられる。2つのレール部207は、各々、固定台201の長手方向(X軸方向)と平行に設けられる。固定台201は、2つのレール部207の間に取り付けられる。固定台201は、レール部207に沿って、固定台201の長手方向(X軸方向)に、水平に移動可能である。
分銅皿208は、支持腕部204を介して引っかき針203の上に設けられる。分銅皿208には、分銅209が載せられる。
定速モーターは、レール部207に沿って固定台201の長手方向(X軸方向)に移動させる。
以下、引っかき深さの測定方法を説明する。引っかき深さの測定方法は、第一ステップと、第二ステップと、第三ステップと、第四ステップとを含んでいた。引っかき深さは、JIS K5600−5−5で規定される引っかき装置200を用いて測定した。引っかき装置200として、表面性測定機(新東科学株式会社製「HEIDON TYPE14」)を使用した。引っかき深さの測定は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。感光体30の形状はドラム状(円筒状)であった。以下の引っ掻き深さの測定方法を採用することで、フィルミングの発生に影響する感光層32の特性を、精度よく測定することができた。
(第一ステップ)
第一ステップでは、感光体30の長手方向が固定台201の長手方向と平行になるように、感光体30を固定台201の上面201aに固定した。感光体30の中心軸L2(回転軸)方向が感光体30の長手方向に相当していた。なお、感光体30がシート状である場合には、感光体30の長辺方向が感光体30の長手方向に相当する。
(第二ステップ)
第二ステップでは、引っかき針203を感光体30の感光層32の表面32aに対して垂直に当接させた。図8に加えて、図9及び図10を参照して、ドラム状の感光体30の感光層32の表面32aに、引っかき針203を垂直に当接させる方法を説明する。図9は、図8に示すIX−IX線における断面図である。図9は、感光体30に引っかき針203を当接させたときの断面図である。図10は、図8に示す固定台201と、引っかき針203と、感光体30との側面図である。
引っかき針203の中心軸A1の延長線が固定台201の上面201aに対して垂直になるように、引っかき針203を感光体30に接近させた。そして、感光体30の感光層32の表面32aにおける、固定台201の上面201aから垂直方向(Z軸方向)に最も離れた点に、引っかき針203の先端203bを当接させた。これにより、引っかき針203の先端203bは、当接点P3で、感光体30の感光層32の表面32aと当接した。更に、引っかき針203の中心軸A1が接線A2に対して垂直になるように、引っかき針203の先端203bを感光体30に当接させた。なお、接線A2は、感光体30の中心軸L2に対して垂直な感光体30の断面が構成する外周円の当接点P3における接線である。これにより、感光体30の感光層32の表面32aに、引っかき針203が垂直に当接した。なお、感光体30がシート状である場合には、感光体30の感光層32の表面32a(平面)に対して、引っかき針203の中心軸A1の延長線が垂直になるように、引っかき針203を感光層32の表面32aに当接させる。
上述の方法で引っかき針203を当接させたとき、固定台201、感光体30及び引っかき針203の位置関係は次のとおりであった。引っかき針203の中心軸A1の延長線と感光体30の中心軸L2とが、交点P2で垂直に交わっていた。感光層32及び上面201aの接点P1と、交点P2と、感光層32及び引っかき針203の先端203bの当接点P3とが、引っかき針203の中心軸A1の延長線上に位置していた。また、引っかき針203の中心軸A1の延長線は、固定台201の上面201a及び接線A2に対して、それぞれ垂直であった。
(第三ステップ)
第三ステップでは、引っかき針203を感光層32の表面32aに対して垂直に当接させた状態で、引っかき針203から感光層32に10gの荷重Wを付与した。具体的には、分銅皿208に10gの分銅209を載せた。この状態で、固定台201を移動させた。具体的には、定速モーターを駆動させ、レール部207に沿って、固定台201の長手方向(X軸方向)に水平に移動させた。すなわち、固定台201の一端201bを、第一位置N1から第二位置N2まで移動させた。なお、第二位置N2は、第一位置N1に対して、固定台201の長手方向であって固定台201が2つの軸支持部205から離間する方向の下流側に位置していた。固定台201の長手方向への移動に伴い、感光体30も、固定台201の長手方向へ水平に移動した。固定台201及び感光体30の移動速度は、30mm/分であった。固定台201及び感光体30の移動距離は、30mmであった。固定台201及び感光体30の移動距離は、第一位置N1及び第二位置N2の間の距離D1-2に相当していた。固定台201及び感光体30が移動した結果、引っかき針203によって感光体30の感光層32の表面32aに引っかき傷Sが形成された。図8〜図10に加えて図11を参照して、引っかき傷Sを説明する。図11は、感光層32の表面32aに形成された引っかき傷Sを示す。引っかき傷Sは、固定台201の上面201a及び接線A2に対して、それぞれ垂直に形成された。また、引っかき傷Sは、図10に示す線L3を通るように形成された。なお、線L3は複数の当接点P3から構成される線である。線L3は、固定台201の上面201a及び感光体30の中心軸L2に対して、それぞれ平行であった。線L3は、引っかき針203の中心軸A1に対して垂直であった。
(第四ステップ)
第四ステップでは、引っかき傷Sの最大深さDsmaxである引っかき深さを測定した。具体的には、感光体30を固定台201から取り外した。三次元干渉顕微鏡(Bruker社販売「WYKO NT−1100」)を用いて、感光体30の感光層32に形成された引っかき傷Sを倍率5倍で観察し、引っかき傷Sの深さDsを測定した。引っかき傷Sの深さDsは、接線A2から、引っかき傷Sの谷部までの距離に相当していた。引っかき傷Sの深さDsのうちの最大深さDsmaxを、引っかき深さとした。測定された引っかき深さ(単位:μm)を、表5に示す。
<耐フィルミング性の評価>
感光体(A−1)〜(A−16)及び感光体(B−1)〜(B−7)の各々に対して、耐フィルミング性を評価した。評価機は、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)FS−C5400DN」)をクリーナーレス方式に改造した改造機であった。即ち、この評価機においては、クリーニングブレードが取り外され、現像部が感光体の表面を清掃する構成に改造されていた。この評価機は、直接転写方式を採用していた。この評価機は、帯電部として、帯電ローラーを備えていた。感光体の帯電電位を、−600Vに設定した。
感光体を評価機に搭載した。評価機のトナーカートリッジにシアントナーを充填した。高温高湿環境(温度32℃及び相対湿度85%RHの環境:以下、HH環境と記載することがある)下で、評価機を用いて、2,000枚の用紙に16秒間隔で印刷した。次いで、低温低湿環境(温度10℃及び相対湿度15%RHの環境:以下、LL環境と記載することがある)下で、評価機を用いて、2,000枚の用紙に16秒間隔で印刷した。LL環境下で2,000枚の用紙に印刷した後、評価機を2時間静置した。次いで、LL環境下にてソリッド画像(画像濃度100%)を1枚の用紙に印刷した。得られたソリッド画像を評価画像とした。目視で評価画像を観察し、画像の欠けの有無を確認した。なお、感光体の表面にフィルミングが発生すると、画像に欠けが現れる傾向がある。下記基準で感光体の耐フィルミング性を評価した。耐フィルミング性の評価結果を、表5に示す。
[耐フィルミング性の評価基準]
◎(特に良好):画像の欠けが全く確認されなかった。
○(良好) :画像の欠けがわずかに確認されたが、実使用上問題ない程度の欠けであった。
×(不良) :画像の欠けが明確に確認された。
表5中、樹脂及びHTMは、各々、バインダー樹脂及び正孔輸送剤を示す。
Figure 2018087943
感光体(A−1)〜(A−16)の各々は、導電性基体と感光層とを備えていた。感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを含んでいた。電荷発生層は、電荷発生剤を含んでいた。電荷輸送層は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含んでいた。電荷輸送層は、一層であり最表面層として備えられていた。バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)を含んでいた。正孔輸送剤の融点は、200℃以上であった。感光層の弾性仕事率は、47.0%以上であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−16)では、耐フィルミング性の評価が良好(○)又は特に良好(◎)であった。
感光体(B−1)及び(B−3)の各々では、電荷輸送層がバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(1)、(2)又は(3)を含んでいなかった。具体的には、感光体(B−1)では、電荷輸送層がポリアリレート樹脂(R−B1)を含んでいたが、ポリアリレート樹脂(R−B1)は一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂ではなかった。感光体(B−3)では、電荷輸送層がポリアリレート樹脂(R−B3)を含んでいたが、ポリアリレート樹脂(R−B3)は一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂ではなかった。また、感光体(B−1)及び(B−3)の各々では、感光層の弾性仕事率が、47.0%未満であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(B−1)及び(B−3)の各々では、耐フィルミング性の評価が不良(×)であった。
感光体(B−2)及び(B−4)の各々では、ポリアリレート樹脂(R−B2)及び(R−B4)が電荷輸送層形成用の溶剤に溶解し難く、電荷輸送層用塗布液がゲル化した。そのため、電荷輸送層を形成することができなかった。そのため、感光体(B−2)及び(B−4)の各々では、感光層の弾性仕事率、及び感光層の引っかき深さを測定することができなかった。更に、表5から明らかなように、感光体(B−2)及び(B−4)の各々では、耐フィルミング性を評価することができなかった。
感光体(B−5)〜(B−7)の各々では、正孔輸送剤の融点が200℃未満であった。また、感光体(B−5)〜(B−7)の各々では、感光層の弾性仕事率が、47.0%未満であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(B−5)〜(B−7)の各々では、耐フィルミング性の評価が不良(×)であった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、耐フィルミング性に優れることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、フィルミングに起因する画像不良を抑制することが示された。
本発明に係る感光体は、複合機のような画像形成装置に利用できる。本発明に係るプロセスカートリッジは、複合機のような画像形成装置に利用できる。本発明に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用できる。
30 感光体
31 導電性基体
32 感光層
32a 表面
321 電荷発生層
322 電荷輸送層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
100 画像形成装置
M 記録媒体

Claims (18)

  1. 導電性基体と感光層とを備える、電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを含み、
    前記電荷発生層は、電荷発生剤を含み、
    前記電荷輸送層は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含み、前記電荷輸送層は、一層であり最表面層として備えられ、
    前記バインダー樹脂は、一般式(1)、(2)又は(3)で表されるポリアリレート樹脂を含み、
    前記正孔輸送剤の融点は、200℃以上であり、
    前記感光層の弾性仕事率は、47.0%以上である、電子写真感光体。
    Figure 2018087943
    前記一般式(1)中、
    1及びY1は、各々、化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X1とY1とは互いに異なっており、
    kr及びktは、各々独立に、2又は3を表し、
    1及びs1は、各々独立に、数式(1a)及び(1b)を満たす正の数を表し、
    1及びu1は、各々独立に、前記数式(1a)及び(1b)を満たす0以上の数を表す。
    1+s1+t1+u1=100・・・(1a)
    1+t1=s1+u1 ・・・(1b)
    Figure 2018087943
    Figure 2018087943
    前記一般式(2)中、
    21、R22、R23及びR24は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、
    2及びY2は、各々、前記化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X2とY2とは互いに異なっており、
    2、s2、t2及びu2は、各々独立に、数式(2a)、(2b)及び(2c)を満たす正の数を表す。
    2+s2+t2+u2=100 ・・・(2a)
    2+t2=s2+u2 ・・・(2b)
    0.30≦s2/(s2+u2)≦0.70・・・(2c)
    Figure 2018087943
    前記一般式(3)中、
    31、R32、R33及びR34は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、
    3及びY3は、各々、前記化学式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)又は(F)で表される二価の基を表し、X3とY3とは互いに異なっており、
    3、s3、t3及びu3は、各々独立に、数式(3a)、(3b)及び(3c)を満たす正の数を表す。
    3+s3+t3+u3=100 ・・・(3a)
    3+t3=s3+u3 ・・・(3b)
    0.30≦s3/(s3+u3)≦0.70・・・(3c)
  2. 前記感光層の引っかき深さは、0.50μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)で表されるポリアリレート樹脂は、一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で表されるポリアリレート樹脂であるか、化学式(1−5)又は(1−6)で表されるポリアリレート樹脂であり、
    前記一般式(2)で表されるポリアリレート樹脂は、一般式(2−1)で表されるポリアリレート樹脂であり、
    前記一般式(3)で表されるポリアリレート樹脂は、一般式(3−1)で表されるポリアリレート樹脂である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018087943
    前記一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)中、r11、s11、t11及びu11は、各々独立に、数式(1a’)、(1b’)及び(1c)を満たす正の数を表す。
    11+s11+t11+u11=100・・・(1a’)
    11+t11=s11+u11 ・・・(1b’)
    0.30≦s11/(s11+u11)≦0.70・・・(1c)
    Figure 2018087943
    Figure 2018087943
    前記一般式(2−1)中、r2、s2、t2及びu2は、各々独立に、前記数式(2a)、(2b)及び(2c)を満たす正の数を表す。
    Figure 2018087943
    前記一般式(3−1)中、r3、s3、t3及びu3は、各々独立に、前記数式(3a)、(3b)及び(3c)を満たす正の数を表す。
  4. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(1−1)で表されるポリアリレート樹脂を含む、請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(1−2)で表されるポリアリレート樹脂を含む、請求項3に記載の電子写真感光体。
  6. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(1−6)で表されるポリアリレート樹脂を含む、請求項3に記載の電子写真感光体。
  7. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(2−1)で表されるポリアリレート樹脂を含む、請求項3に記載の電子写真感光体。
  8. 前記バインダー樹脂は、前記一般式(3−1)で表されるポリアリレート樹脂を含む、請求項3に記載の電子写真感光体。
  9. 融点が200℃以上である前記正孔輸送剤は、一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)で表される化合物を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018087943
    前記一般式(10)中、R101、R102、R103及びR104は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、R101、R102、R103及びR104のうちの少なくとも2つは水素原子である。
    Figure 2018087943
    前記一般式(11)中、R111、R112、R113及びR114は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
    Figure 2018087943
    前記一般式(12)中、
    121、R122及びR123は、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    1、b2及びb3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 2018087943
    前記一般式(13)中、R131、R132、R133、R134及びR135は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、R131、R132、R133、R134及びR135のうちの少なくとも1つは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。
    Figure 2018087943
    前記一般式(14)中、
    141、R142、R143、R144、R145及びR146、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    1、d2、d3及びd4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    5及びd6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
    Figure 2018087943
    前記一般式(15)中、R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、各々独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。aは、1以上3以下の整数を表す。b、c、d、e、f及びgは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
  10. 融点が200℃以上である前記正孔輸送剤は、化学式(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)、(14−1)又は(15−1E)で表される化合物を含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018087943
    Figure 2018087943
    Figure 2018087943
  11. 融点が200℃以上である前記正孔輸送剤は、前記化学式(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−1)、(13−2)又は(15−1E)で表される化合物を含む、請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 融点が200℃以上である前記正孔輸送剤は、前記化学式(10−1)、(11−1)、(12−1)、(13−2)又は(15−1E)で表される化合物を含む、請求項10又は11に記載の電子写真感光体。
  13. 融点が200℃以上である前記正孔輸送剤は、前記化学式(15−1E)で表される化合物を含む、請求項10〜12の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  15. 請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を負極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体へ転写する、画像形成装置。
  16. 前記被転写体は、記録媒体であり、
    前記転写部が前記トナー像を前記電子写真感光体から前記記録媒体へ転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している、請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記現像部は、前記電子写真感光体の前記表面を清掃する、請求項15又は16に記載の画像形成装置。
  18. 前記帯電部は、帯電ローラーである、請求項15〜17の何れか一項に記載の画像形成装置。
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