JP2018087833A - 光学フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、シクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムであって、高速度流延が可能で、かつイエローインデクッス値が低減した光学フィルムの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の光学フィルムの製造方法は、フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープが、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2018087833

(式中、Xがヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rは水素原子又は置換基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置に関する。より詳しくは、シクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムであって、高速度流延が可能で、かつイエローインデクッス値が低減した光学フィルムの製造方法に関する。
セルロースエステル、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンなどを含有している透明樹脂フィルムは、光学フィルム、主に液晶表示装置用光学フィルムに用いられている。
その中でもシクロオレフィン樹脂は、透明性と成形性が優れていることから広く用いられている。
また、これらの樹脂を用いて製膜する際に、溶融流延製膜法に対して、当該樹脂を溶液流涎製膜法を採用してフィルム化すると、高温加熱せずにフィルム化できるため、加熱分解による樹脂性能の低下を防止できるという利点がある。
特許文献1にはシクロオレフィン樹脂を用いて溶液流延製膜法によって製膜する際に、溶媒としてジクロロメタンのみを用いる手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の製膜方法では高速度流延時の剥離性が不十分であるという問題がある。一般に溶液流延製膜法における高速度流延を可能にし、剥離性を満足させる方法として、溶媒に貧溶媒としてアルコールを用いることが知られている。
ところが、上記のシクロオレフィン樹脂を当該アルコールの存在下で溶液流延製膜してフィルム化すると、当該樹脂粉体や当該樹脂ペレットの保存安定性を向上するために添加されている酸化防止剤と、前記アルコールとが反応し、フィルムが着色してイエローインデクッス値が増加するという問題が見出された。
特開2012−177127号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、シクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムであって、高速度流延が可能で、かつイエローインデクッス値が低減した光学フィルムの製造方法を提供することである。さらに、当該製造方法によって製造された光学フィルムを用いた、透明性の高い偏光板及び表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープが、特定の構造を有する化合物を含有する光学フィルムの製造方法によって、高速度流延が可能で、かつイエローインデクッス値が低減した光学フィルムが得られる製造方法を見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する光学フィルムの製造方法であって、
前記ドープが、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
Figure 2018087833
(式中、Xはヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表す。)
2.前記溶媒が良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であり、当該良溶媒がジクロロメタンであり、かつ当該貧溶媒がアルコール系溶媒であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることを特徴とする第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記芳香族ヘテロ環が、トリアゾール環又はトリアジン環であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルムを具備することを特徴とする偏光板。
6.第5項に記載の偏光板を具備することを特徴とする表示装置。
本発明の上記手段により、シクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムの製造方法であって、高速度流延が可能で、かつイエローインデクッス値が低減した光学フィルムの製造方法を提供することができる。さらに、当該製造方法によって製造された光学フィルムを用いた、透明性の高い偏光板及び表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
樹脂の保存安定性を向上するために添加されているフェノール系酸化防止剤は、樹脂の酸化によって生じるペルオキシラジカルとヒドロキシ基の水素原子が反応することで、ラジカル連鎖を停止するラジカル連鎖禁止剤として働く。
しかしながら、アルコール存在下では上記ヒドロキシ基のプロトンがアルコールに引き抜かれ、フェノラートと呼ばれるイオンとして存在する。
このため、アルコール存在下では、フェノール系酸化防止剤はラジカル連鎖禁止剤として作用せず、樹脂の着色が生じる。
これに対して、窒素原子近傍にヒドロキシ基を持つ一般式(1)で表される構造を有する化合物が存在すると、アルコールはそのヒドロキシ基の酸素原子と相互作用を持った状態で存在するため、フェノール系酸化防止剤の水素原子を引き抜く反応を起こさない。
上記アルコールが、一般式(1)で表される構造を有する化合物の酸素原子と相互作用する理由は、窒素原子が近接する水素原子と水素結合を形成しているため、ヒドロキシ基における酸素原子はより負の電荷をもっており、この酸素原子がアルコールの水素原子を電子的に引きつけているためと考えられる。
以上の理由で、一般式(1)で表される構造を有する化合物が存在すると、アルコール存在下でもフェノール系酸化防止剤はラジカル連鎖禁止剤として正常に作用し、樹脂の着色が生じないものと推定される。
本発明の光学フィルムの製造方法は、フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する際に、前記ドープが、窒素原子近傍にヒドロキシ基を有する特定の構造の化合物を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記溶媒が良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であり、当該良溶媒がジクロロメタンであり、かつ当該貧溶媒がアルコール系溶媒であることが、高速度流延を可能とする観点から好ましく、前記アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、より好ましい。
また、前記特定の構造の化合物が、トリアゾール環又はトリアジン環を有することが、紫外線吸収効果を発現することで、フィルムのイエローインデックス値をより低減する観点から、好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルムは。偏光板及び表示装置に好適に具備される。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの製造方法の概要≫
本発明の光学フィルムの製造方法は、フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープが、後述する一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
さらに、本発明の光学フィルムの製造方法は、高速度流延を可能にするために、良溶媒としてジクロロメタンを用い、貧溶媒としてアルコール系溶媒を用いることによって、剥離性を改善して、高速度流延であっても、剥離不良を生ぜずに製膜することが可能である。
なお、本発明でいう「高速度流延」とは、フィルム搬送速度20m/min以上の速度での流延をいう。
以下、本発明の構成要素について詳細に説明する。
〔1〕一般式(1)で表される構造を有する化合物
本発明の光学フィルムの製造方法においては、樹脂の着色を低減するために、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する。
Figure 2018087833
(式中、Xがヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表す。)
Xはヘテロ原子又は炭素原子を表し、Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表し、当該芳香族へテロ環は、置換基を有していてもよい。
芳香族ヘテロ環は、一般に不飽和ヘテロ環であり、好ましくは最多の二重結合を有するヘテロ環である。ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、N、S又はOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有するヘテロ環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,5-トリアジン環であることが好ましい。中でも、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,5-トリアジン環であることが好ましい。
ヘテロ環基は置換基を有してもよく、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。R〜Rの置換基、及び上記複素環基の置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を1個取り去った1価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリール基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った1価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った1価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を挙げることができる。
一般式(1)で表される構造を有する化合物は、前記へテロ環が、1,2,3−トリアゾール環であることが好ましく、以下の一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
Figure 2018087833
式中、Gは水素原子を表す。Gは水素原子、シアノ基、塩素原子、フッ素原子、−CF基、−CO−G基、ESO−基又はESO−基を表す。
は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数2ないし18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし4個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
は炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし4個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数2ないし18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個ないし3個によりフェニル環が置換された前記フェニル基又は前記フェニルアルキル基を表す。
又はEは1個又はそれより多くの−OH基、−OCOE11基、−OE基、−NCO基、−NH基、−NHCOE11基、−NHE基又は−N(E基、又はそれらの混合物(前記式中、Eは炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す)により置換された炭素原子数1ないし24の前記アルキル基又は炭素原子数2ないし18の前記アルケニル基;又は1個又はそれより多くの−O−基、−NH−基、又は−NE−基、又はそれらの混合物により中断され、そして非置換又は1個又はそれより多くの−OH基、−OE基又は−NH基、又はそれらの混合物により置換され得る前記アルキル基又は前記アルケニル基を表す。
11は水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基、炭素原子数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基または炭素原子数7〜15のアラルキル基を表す。
は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数2ないし20のヒドロキシアルキル基、炭素原子数3ないし18のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし15のフェニルアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基又は炭素原子数1ないし4のアルキル基1個又は2個により置換された前記アリール基、又は1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロアルキル基(この基のペルフルオロアルキル部分は、6個ないし16個の炭素原子からなる)を表す〕で表される化合物、又は、一般式(2)〔式中、Gは水素原子を表し、Gは塩素原子、フッ素原子、−CF基、ESO−基又はESO−基を表し、Eは水素原子又は炭素原子数1ないし24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Eは上記において定義されたものと同じ意味を表し、そしてEは炭素原子数1ないし7の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で表される化合物である。
以下、本発明に好ましいベンゾトリアゾール系化合物の具体例を、下記の例示化合物1〜6に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2018087833
また、本発明にかかる一般式(1)で表される構造を有する化合物は、前記へテロ環が、1,3,5−トリアジン環を有する化合物であることが好ましく、好ましい化合物は以下の一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2018087833
式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。ただし、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、前記の置換及び中断は組み合わされてもよい。Rは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基を表し、Rは少なくとも一つはヒドロキシ基であり、ヒドロキシ基でない場合は水素原子を表し、Rは水素原子又は−O−Rを表す。
本発明に係る前記一般式(3)のRで表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(3)のRで表される炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
前記一般式(3)のRで表される炭素原子数6〜18のアリール基又は炭素原子7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,5−ジ第三ブチルフェニル、2,6−ジ−第三ブチルフェニル、2,4−ジ第三ペンチルフェニル、2,5−ジ第三アミルフェニル、2,5−ジ第三オクチルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル等が挙げられ、炭素数7〜18のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル等が挙げられる。
前記一般式(3)において、R及びRで表される炭素原子数3〜8のアルケニル基としては、例えば、直鎖及び分岐のプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルが不飽和結合の位置によらず挙げられる。
前記一般式(3)において、Rで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、オクチル、第三オクチル等が挙げられ、中でもメチル基が、紫外線吸収能力に優れるため好ましい。
前記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物の具体例として、下記の例示化合物7〜17を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2018087833
Figure 2018087833
本発明において、一般式(1)で表される構造を有する化合物は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
一般式(1)で表される構造を有する化合物の分子量は、当該化合物と溶媒又はシクロオレフィン樹脂との相溶性の観点から、本発明に係る光学フィルムの乾燥膜厚が15〜50μmの場合は、100〜3000の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100〜800の範囲内である。100〜800の範囲内であれば、化合物自体の析出やブリードアウトの発生を抑制でき、ドープ内で化合物を均一に分散させることができる。
前述した一般式(1)で表される構造を有する化合物の添加方法は、後述するメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。また、有機溶剤は、1種類の有機溶剤を単独で用いてもよく、2種類以上の有機溶剤を任意の割合で混合して用いてもよい。
一般式(1)で表される構造を有する化合物の使用量は、本発明の効果を奏する範囲で特に制限ないが、ブリードアウトや析出の防止の観点から、シクロオレフィン樹脂に対して2〜20質量%の範囲内が好ましく、3〜10質量%の範囲がさらに好ましい。
〔2〕シクロオレフィン樹脂
本発明に係るシクロオレフィン樹脂としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
Figure 2018087833
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は極性基(すなわち、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された炭化水素基である。ただし、R〜Rは、二つ以上が互いに結合して、不飽和結合、単環又は多環を形成していてもよく、この単環又は多環は、二重結合を有していても、芳香環を形成してもよい。RとRとで、又はRとRとで、アルキリデン基を形成していてもよい。p、mは0以上の整数である。〕
上記一般式(4)中、R及びRが水素原子又は炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R及びRが水素原子又は1価の有機基であって、R及びRの少なくとも一つは水素原子及び炭化水素基以外の極性を有する極性基を示し、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリロキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R及びRの少なくとも一つが式−(CH)nCOORで表される極性基である単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。
本発明において、シクロオレフィン樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るシクロオレフィン樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5dL/g、さらに好ましくは0.3〜3dLl/g、特に好ましくは0.4〜1.5dL/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明のシクロポリオレフィンフィルムとしての成形加工性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃未満の場合は、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形するので好ましくない。一方、Tgが350℃を超えると、成形加工が困難になり、また成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性が高くなる。
シクロオレフィン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、又は公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良く、特定の波長分散剤、糖エステル化合物、ゴム粒子、可塑剤などの添加剤を含んでも良い。
以上説明したシクロオレフィン樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(ZEONOR)ZF14、ZF16、ゼオネックス(ZEONEX)250又はゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
〔3〕酸化防止剤
上記シクロオレフィン樹脂には、保存安定性を向上する観点から酸化防止剤として機能するフェノール系化合物が含有される。酸化防止剤はフェノール系化合物を単独で使用しても、他の一般的な酸化防止剤であるヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、アクリレート系化合物、ベンゾフラノン系化合物等を本発明の効果を阻害しない範囲で併用することもできる。
シクロオレフィン樹脂100質量部に対する前記フェノール系化合物の添加量は適宜設計できるが、0.001〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.05〜5質量部の範囲であることがより好ましい。
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4839405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018087833
式中、R51〜R56はそれぞれ水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、R51は水素原子、それぞれR52、R56はt−ブチル基であるフェノール系化合物が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物であることが好ましく、当該化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)等が挙げられる。
中でも有用なヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例として、下記の例示化合物を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2018087833
また、上記タイプのフェノール化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、”Irganox1035”、”Irganox1076”及び”Irganox1010”という商品名で市販されている。
〔4〕その他の添加剤
本発明に係る光学フィルムには、前記添加剤以外に可塑剤、酸化防止剤、マット剤、光安定剤、光学異方性制御剤、帯電防止剤、剥離剤などを含んでもよく、フィルム表面に偏在可能であれば、本発明に係る添加剤として用いることもできる。以下に主要な添加剤の詳細を記す。
[可塑剤]
可塑剤とは、可塑剤の例には、ポリエステル化合物、多価アルコールエステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物(フタル酸エステル化合物を含む)、グリコレート化合物、及びエステル化合物(脂肪酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などを含む)が含まれる。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の光学フィルムに好ましい可塑剤は、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含むポリエステル化合物である。
ポリエステル化合物を構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
ポリエステル化合物を構成するジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
中でも、ポリエステル化合物は、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。
ポリエステル化合物の分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよいが、フィルムの透湿性を低減する観点からは、封止されていることが好ましい。
また、多価アルコールエステル化合物は、2価以上の脂肪族多価アルコールと、モノカルボン酸とのエステル化合物(アルコールエステル)であり、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。多価アルコールエステル化合物は、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。
脂肪族多価アルコールの好ましい例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、キシリトール等が含まれる。中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールなどが好ましい。
モノカルボン酸は、特に制限はなく、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸等でありうる。フィルムの透湿性を高め、かつ揮発しにくくするためには、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、一種類であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。また、脂肪族多価アルコールに含まれるOH基の全部をエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の炭素数はより好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。中でも、セルロースアセテートとの相溶性を高めるためには、酢酸、又は酢酸とその他のモノカルボン酸との混合物が好ましい。
脂環式モノカルボン酸の例には、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸などが含まれる。
芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸;安息香酸のベンゼン環にアルキル基又はアルコキシ基(例えばメトキシ基やエトキシ基)を1〜3個を導入したもの(例えばトルイル酸など);ベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸(例えばビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸など)が含まれ、好ましくは安息香酸である。
多価アルコールエステル化合物の具体例は、特開2006−113239号公報段落〔0058〕〜〔0061〕記載の化合物が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物は、2価以上、好ましくは2〜20価の多価カルボン酸と、アルコール化合物とのエステル化合物である。多価カルボン酸は、2〜20価の脂肪族多価カルボン酸であるか、3〜20価の芳香族多価カルボン酸又は3〜20価の脂環式多価カルボン酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の例には、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が含まれる。
グリコレート化合物の例には、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が含まれる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類の例には、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が含まれ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
エステル化合物には、脂肪酸エステル化合物、クエン酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などが含まれる。
脂肪酸エステル化合物の例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、及びセバシン酸ジブチル等が含まれる。クエン酸エステル化合物の例には、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。リン酸エステル化合物の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリブチルホスフェート等が含まれ、好ましくはトリフェニルホスフェートである。
中でも、ポリエステル化合物、グリコレート化合物、リン酸エステル化合物が好ましく、ポリエステル化合物が特に好ましい。
可塑剤の含有量は、セルロースアセテートに対して好ましくは1〜20質量%の範囲であり、より好ましくは1.5〜15質量%の範囲である。可塑剤の含有量が上記範囲内であると、可塑性の付与効果が発現でき、光学フィルムからの可塑剤の耐染みだし性にも優れる。
[マット剤]
本発明に係る基材フィルムには、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の微粒子や樹脂の微粒子が挙げられる。無機化合物の微粒子の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの範囲内の2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの範囲内の粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
フィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
共流延法による多層構成のλ/4位相差フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが、基材フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
本発明に係る基材フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。
[5]光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法(以下、溶液流延法ともいう。)であり公知の方法を適宜採用することができる。
溶液流延法に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る溶媒は、良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であり、当該良溶媒は、例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、中でもジクロロメタンであることが好ましい。
貧溶媒はアルコール系溶媒であることが好ましく、当該アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。
本発明では、混合溶媒であれば、前記良溶媒を溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上用いることである。
溶液流延法にて光学フィルムを製膜する場合は、前記シクロオレフィン樹脂及び一般式(1)で表される構造を有する化合物と溶媒を含むドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延する。
すなわち、少なくともシクロオレフィン樹脂及び一般式(1)で表される構造を有する化合物を溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状又はドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程を有することが好ましい。
溶液流延法では、ドープ中のシクロオレフィン樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、シクロオレフィン樹脂の濃度が高すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶剤を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶剤の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶剤の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
光学フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶剤量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
残留溶剤量は下記式で定義される。
残留溶剤量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、光学フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶剤量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明に係る光学フィルムは、フィルムの平滑性や位相差の調整を行う観点から、延伸することが好ましい。
本発明に係る光学フィルムの製造方法においては、長手方向及び/又は幅手方向、若しくは斜め方向に延伸することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施しても良い。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行っても良いし、段階的に実施しても良い。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
延伸開始時の残留溶媒量は2〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、50質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上し好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に延伸しても良い。樹脂の種類によって異なるが、フィルムのガラス転移点(Tg)のうち最も低いTgをTgL、最も高いTgをTgHとしたときに、(TgL−200)〜(TgH+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れたシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムが得られる。延伸温度は、(TgL−150)〜(TgH+40)℃の範囲で行うことがより好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するフィルムを、延伸ローラーで走行速度を規制することにより長手方向に延伸することができる。長手方向の延伸倍率は、30〜250℃の温度範囲で1.03〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.80倍、更に好ましくは1.20〜1.60倍である。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全処理又は一部の処理を幅方向にクリップ又はピンでフィルムの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる。)、中でも、クリップを用いるテンター方式が好ましく用いられる。
長手方向に延伸されたフィルム又は未延伸のフィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態にてテンターへ導入され、テンタークリップとともに走行しながら、幅方向へ延伸されることが好ましい。幅方向の延伸倍率は、特に限定されないが、30〜300℃の温度範囲で1.03〜2.00倍が好ましく、より好ましくは1.10〜1.80倍、更に好ましくは1.20〜1.60倍である。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に50〜1000%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は50%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、1000%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
より好ましい延伸速度は、100〜500%/minの範囲内である。延伸速度は下記式によって定義される。
延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(上記式において、dは延伸後の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
また、斜め方向に延伸する場合は、特開2005−321543号公報及び特開2013−120208号公報を参照することができる。
次いで、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置したローラーでフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
巻取り工程は、得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻取り機は、一般的に使用されているもので良く、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻取り方法で巻き取ることができる。
本発明に係る光学フィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、10〜150μmの範囲が好ましく、液晶表示装置用には20〜110μmであることが好ましく、最近の薄型化を考慮すると40μm以下であることが、特に好ましい。
光学フィルムを40μm以下の薄膜化するにあたり、一般的には、透明樹脂フィルムの性能を維持するために添加剤の含有量を増す必要があり、添加剤のブリードアウトが問題となるが、本発明に係る一般式(1)で表される構造を有する化合物は、耐ブリードアウト性に優れるため、薄膜化が可能である
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた透明樹脂フィルムの幅は0.5〜4mの範囲が好ましく、より好ましくは0.6〜3mの範囲、さらに好ましくは0.8〜2.5mである。長さは1ロールあたり100〜10000mの範囲で巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜9000mの範囲であり、さらに好ましくは1000〜8000mの範囲である。
本発明に係る光学フィルムフィルムは使用するポリマー構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。
本明細書において、Ro、Rtは各々、光波長590nmにおける面内のリターデーション値及び厚さ方向のリターデーション値を表す。
Roは、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rtは、前記Ro、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したリターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したリターデーション値の計三つの方向で測定したリターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはn、n、nを算出し下記式(i)及び(ii)に基づいてリターデーション値を計算する。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−nz}×d(nm)
(式中、Roはフィルム内の面内リターデーション値を表し、Rtはフィルム内の厚さ方向のリターデーション値を表す。また、dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。nは、フィルムの面内の最大の屈折率を表し、遅相軸方向の屈折率ともいう。nは、フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率を表す。nzは、厚さ方向におけるフィルムの屈折率を表す。)
本発明に係る光学フィルムのリターデーション値は特に限定されるものではないが、Roが0〜70nmの範囲であり、Rtが50〜200nmの範囲であると、VA型液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、Roが120〜160nmの範囲であり、Rtが50〜200nmの範囲であると、円偏光板を備えた表示装置に好ましく用いることができる。
本発明に係る光学フィルムは、高透明性であることがコントラスト向上や輝度向上の観点で好ましい。23℃・55%RHの環境下で調湿後測定される全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。全光線透過率は、JIS7573「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定することができる。
本発明に係る光学フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が3%以下であることが位相差変動やベンディングの観点で好ましく、1%以下であることがより好ましい。平衡含水率を3%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学アナリテック(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。
〔6〕光学フィルムの応用
本発明に係る光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置やタッチパネルに用いられる機能フィルムであることが好ましい。具体的には、本発明に係る光学フィルムは、液晶表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムなどでありうる。典型的には、本発明に係る光学フィルムは、偏光板保護フィルムである。本発明に係る光学フィルムは、前記位相差フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムとして用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
[シクロオレフィン樹脂]
実施例に用いるシクロオレフィン樹脂として、下記構造のシクロオレフィン樹脂A及びBを用いた。
Figure 2018087833
[酸化防止剤]
a:IRGNOX1010(BASFジャパン(株)製)
b:IRGNOX1035(BASFジャパン(株)製)
c:IRGNOX1076(BASFジャパン(株)製)
上記シクロオレフィン樹脂及び酸化防止剤を、真空ナウターミキサーにて70℃、減圧下で3時間乾燥させた後、室温まで冷却し得られた混合物を、二軸式押出機にて235℃で溶融混練して、ストランド状に押し出した。ストランド状に押し出された樹脂組成物を水冷した後、カッティングしてペレットを得て、下記主ドープの調製に用いた。
酸化防止剤の添加量は、上記シクロオレフィン樹脂100質量部に対して、表1に記載の量をそれぞれ添加してペレットを作製した。
[一般式(1)で表される構造を有する化合物]
一般式(1)で表される構造を有する化合物として、下記例示化合物1及び7を用いた。
例示化合物1:チヌビン928(BASFジャパン製ジャパン(株)製)
例示化合物7:LA−F70((株)ADEKA製)
[比較化合物]
比較例として下記比較化合物1を用いた。
Figure 2018087833
〔光学フィルム101の作製〕
<微粒子分散液の調製>
11.3質量部の微粒子(アエロジル R812、日本アエロジル(株)製)と、84質量部のエタノールとを、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散した。
溶解タンク中の十分撹拌されているジクロロメタン(100質量部)に、5質量部の微粒子分散液を、ゆっくりと添加した。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFでろ過し、微粒子添加液を調製した。
<主ドープの調製>
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンを添加した。ジクロロメタンの入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン樹脂と微粒子添加液を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
シクロオレフィン樹脂A 100質量部
ジクロロメタン(表中MCと表記) 200質量部
微粒子添加液 3質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、主ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。ステンレスベルトの搬送速度は20m/minとした。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、160℃の条件下で幅方向に1.15倍延伸した。延伸開始時の残留溶剤は5質量%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、膜厚40μmの光学フィルム101を得た。
〔光学フィルム102の作製〕
光学フィルム101の作製において、下記主ドープを用いた以外は同様にして、光学フィルム102を作製した。
<主ドープの調製>
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタン及びエタノールを添加した。ジクロロメタン及びエタノールの入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン樹脂A(酸化防止剤添加済み)、一般式(1)で表される構造を有する化合物及び微粒子添加液を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
シクロオレフィン樹脂A 100質量部
(酸化防止剤a 0.5質量部)
ジクロロメタン 200質量部
エタノール(表中EtOHと表記) 10質量部
一般式(1)で表される構造を有する化合物 例示化合物1 3質量部
微粒子添加液 3質量部
〔光学フィルム103〜117の作製〕
光学フィルム102の作製において、酸化防止剤の種類と添加量、貧溶媒の種類(表中メタノールはMeOH、ブタノールはBtOHと表記)、一般式(1)で表される構造を有する例示化合物の種類と添加量をそれぞれ変化させて、光学フィルム103〜117を作製した。
〔光学フィルム118の作製〕
光学フィルム101の作製において、シクロオレフィン樹脂Aをシクロオレフィン樹脂Bに変えた以外は同様にして、光学フィルム118を作製した。
〔光学フィルム119〜124の作製〕
光学フィルム102の作製において、シクロオレフィン樹脂Bを用いて、酸化防止剤の種類、一般式(1)で表される構造を有する例示化合物の種類をそれぞれ変化させて、光学フィルム119〜124を作製した。
≪評価≫
作製した光学フィルム101〜124について、以下の方法で評価を実施した。
(1)樹脂の着色
上記樹脂と酸化防止剤を含む組成物を予備混練し、ロール条件190℃、30rpmの条件で3分間ロール混練した後、190℃で5分間プレスして厚さ1mmのシートを作製した。
得られたシートについて、白い紙を敷いた上に当該シートを置き、目視にて着色度合いを評価した。
◎:着色が見られない
○:やや黄色い着色が見られる
×:黄色い着色が明らかに見られる
(2)フィルムのイエローインデクッス(YI)
イエローインデックス(YI)は、JIS K−7105−6.3に記載の方法で求める。具体的なイエローインデックス値の測定方法としては、(株)日立ハイテクノロジー製の分光光度計U−3200と附属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックス値を求めた。
イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
イエローインデックス(YI)が1.0未満であると、透明性が高く、光学フィルムに好ましく用いることができる。
(3)高速生産適性
光学フィルムの高速生産適性は以下の基準で評価した。
○:フィルム搬送速度20m/minでステンレスベルトからフィルムを剥離する際に問題なく剥離できる
△:フィルム搬送速度20m/minでステンレスベルトから剥離する際にフィルムがやや剥離しにくい場合がある
×:フィルム搬送速度20m/minでステンレスベルトから剥離する際にフィルムが剥離しにくい
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2018087833
表1より、本発明の構成の光学フィルム102〜113、及び119〜122は、YI値が低く、かつ高速生産適性に優れていることが分かる。
実施例2
実施例1の光学フィルム103の作製において、化合物1の代わりに下記一般式(1)で表される構造を有する化合物の例示化合物2、3、8及び9に変えた以外は同様にして光学フィルムを作製し、実施例1で行ったフィルムのイエローインデクッス(YI)の評価を行ったところ、光学フィルム103の結果を再現し、イエローインデクッス(YI)に優れた結果が得られた。
例示化合物2:チヌビン109(BASFジャパン(株)製)
例示化合物3:チヌビン171(BASFジャパン(株)製)
例示化合物8:チヌビン479(BASFジャパン(株)製)
例示化合物9:チヌビン460(BASFジャパン(株)製)
実施例3
(1)偏光板の作製
作製した光学フィルム102〜117を用いて、以下の手順で偏光板を作製した。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光子を得た。アクリル系粘着剤を接着剤として、光学フィルム102を偏光子の両面に貼合して偏光板102を作製した。
同様に光学フィルム103〜117を用いて、偏光板103〜117を作製した。
(2)液晶表示装置の作製
SONY製40型ディスプレイBRAVIA X1のあらかじめ貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板102〜117をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面に、アクリル系粘着剤を用いて貼合した。
偏光板102〜117に対応する液晶表示装置102〜117を作製した。
(3)コントラストの目視評価
上記作製した液晶表示装置に画像を表示し、コントラストを目視で評価した。その結果、本発明の光学フィルム102〜113を用いた液晶表示装置は、画像がクリアであり、コントラストに優れていた。それに対し比較例の光学フィルム114〜117を用いた液晶表示装置は、画像が着色して観察され、コントラストが低かった。

Claims (6)

  1. フェノール系酸化防止剤を含むシクロオレフィン樹脂粉体又はペレットを溶媒に溶解させてドープを調製し、当該ドープを支持体上に流延して製膜する光学フィルムの製造方法であって、
    前記ドープが、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    Figure 2018087833
    (式中、Xがヘテロ原子又は炭素原子を表す。Qは窒素原子及びXとともに芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。R〜Rは水素原子又は置換基を表す。)
  2. 前記溶媒が良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であり、当該良溶媒がジクロロメタンであり、かつ当該貧溶媒がアルコール系溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記芳香族ヘテロ環が、トリアゾール環又はトリアジン環であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルムを具備することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板を具備することを特徴とする表示装置。
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