JP2018087546A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】
圧電素子の伸縮を直接弁体に伝えて駆動させ、且つ弁体が弁座から引上げられたときに燃料を噴射する燃料噴射弁において、弁体に作用する種々の力関係を適切に設定し、弁座と弁体接触の燃料油密性能の悪化を抑制する。
【解決手段】
軸方向に移動する弁体と、前記弁体を移動させるための駆動素子と、前記駆動素子の上流側に配置され温度による部品間の線膨張率の差を相殺するダンパー体と、を備えた燃料噴射弁において、前記駆動素子の上流側に配置された上部ケーシングと、当該上部ケーシングに固定されるとともに、前記ダンパー体の上流側に当接することで前記ダンパー体を固定する管形状、又は棒形状の固定部品と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図9
圧電素子の伸縮を直接弁体に伝えて駆動させ、且つ弁体が弁座から引上げられたときに燃料を噴射する燃料噴射弁において、弁体に作用する種々の力関係を適切に設定し、弁座と弁体接触の燃料油密性能の悪化を抑制する。
【解決手段】
軸方向に移動する弁体と、前記弁体を移動させるための駆動素子と、前記駆動素子の上流側に配置され温度による部品間の線膨張率の差を相殺するダンパー体と、を備えた燃料噴射弁において、前記駆動素子の上流側に配置された上部ケーシングと、当該上部ケーシングに固定されるとともに、前記ダンパー体の上流側に当接することで前記ダンパー体を固定する管形状、又は棒形状の固定部品と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図9
Description
本発明は、内燃機関に用いられる燃料噴射弁であって、印加電圧により全長が伸縮する圧電素子を有し、前記素子の全長の伸縮により弁体の開閉を行う弁に関する。
本発明の従来技術として以下の特許文献1には、通電の開始により圧電素子の伸びを直接弁体に伝えて、弁体を押すときに弁体先端部が弁座から離れることで、燃料流路を形成し、ここから燃料を噴射し、通電が終了すると弁体に備えられたスプリングの力により、弁体は引き戻され、弁座と当接し、燃料流路が閉鎖して燃料噴射を終了する構造を有した燃料噴射弁について記載されている。
しかしながら、圧電素子は電圧を印加すると伸長する構造であるために、直接弁体を動作させる場合、弁体を押すことになり、弁体が押しだされて形成される隙間から燃料を噴射する構造となる。弁体先端は円錐形状が一般的であり、生成される噴霧は傘状噴霧となる。一般的に用いられる電磁方式燃料噴射弁の機能である通電して直接弁体を引き上げて、燃料を多噴孔より噴霧する燃料噴射弁と比較すると、噴霧形状の自由度が少なく、燃焼性能の改善には限界がでてくる。それを改善するために、圧電素子の伸縮を直接弁体に伝えて駆動させ、且つ、弁体が弁座から引上げられる機構を設け、燃料を噴孔から噴射する燃料噴射弁を開発した。該燃料噴射弁において、弁体に作用する燃料圧力及び付勢部材の力関係が適切でない状態が生じ、弁座と弁体接触の燃料油密性能を悪化させる場合があった。
そこで本発明は、圧電素子の伸縮を直接弁体に伝えて駆動させ、且つ弁体が弁座から引上げられたときに燃料を噴射する燃料噴射弁において、弁体に作用する種々の力関係を適切に設定し、弁座と弁体接触の燃料油密性能の悪化を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では、軸方向に移動する弁体と、前記弁体を移動させるための駆動素子と、前記駆動素子の上流側に配置され温度による部品間の線膨張率の差を相殺するダンパー体と、を備えた燃料噴射弁において、前記駆動素子の上流側に配置された上部ケーシングと、当該上部ケーシングに固定されるとともに、前記ダンパー体の上流側に当接することで前記ダンパー体を固定する管形状、又は棒形状の固定部品と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、弁体に作用する力関係を適切に設定でき、油密性能の悪化を抑制することが可能となる。
以下に、本発明の構造が多く用いられる燃料噴射弁の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態にかかる燃料噴射弁100を説明する図である。図2は燃料噴射弁100の上流側シート部2a(図1のA部詳細)を示す図、図3は燃料噴射弁100の下流側シート部7b(図1のB部詳細)を示す図ある。図4はベローズ体8についての詳細図であり、図5はダンパー体12の詳細図である。
本実施例の燃料噴射弁100の構成について図1で説明する。ノズル体3の下流側(内燃機関側)に対してノズル体3と同軸上に下流側弁座2が接合されている。弁体1は弁座2の上流側に配置されている。弁体1はノズル体3に内包され、ノズル体3と同軸上に位置し、ノズル体3の内径側で摺動する。ノズル体3と弁体1の間には第一付勢部材(本実施例の場合はコイルスプリング)4が設置される。
弁体1の上流側には、燃料を封止するベローズ体8が設けられている。ベローズ体8の上流側には、駆動素子11が同軸上に位置する。駆動素子11はベローズ体8により燃料から遮蔽されている。駆動素子11の上流側には構成部品の線膨張を相殺するためのダンパー体12が位置している。ダンパー体12の上流側には、ダンパー体12の位置を固定する固定部品14が位置している。上記に記載した部品の外周にはケーシング体16があり、ケーシング体16は第二ケーシング9と第三ケーシング10とで二重円管構造を有する。この二重円管構造で形成される隙間で燃料通路を形成している。ケーシング体16の上流側に上部ケーシング13が接合されている。燃料は、上部ケーシング13の燃料供給口13aから供給され、ケーシング体16が有する燃料通路を通り、弁体1とノズル体3の隙間を流れて、下流側シート部2bから、燃料機関に噴射される。
次に各部の構造について、詳細に説明する。下流側弁座部材2は弁体1とともに、流路を形成し、噴孔2bから必要とされる噴霧を形成するための部品である。下流側弁座部材2はノズル体3の下流側端部に固定されている。下流側弁座部材2は上流側において下流側に凹むように円錐形状凹み部2cが形成される。円錐形状凹み部2cは円錐形状には限定される球面形状となっていてもよく、その他の形状でも構わない。また、下流側弁座部材2は下流側において下流側に凸となるように球状凸形状2dを有している。
燃料を噴霧するための噴孔2bは、球状凸形状2dに1箇所以上、形成され、複数であることが望ましい。この噴孔2bは円錐形状凹み部2cの上流面から球状凸形状2dの下流面まで連通している。噴孔2bは図3に示すように上流側の小径孔と下流側の大径孔とが連続的に組み合わされて形成される。下流側弁座部材2の円錐形状凹み部2cの上流面には弁体1の下流側シート部1bが衝突するために、高硬度、溶接性、機械的特性も良好な材料(例えば、SUS420J2の熱処理材)で製造することが望ましい。
弁体1は内燃機関へ燃料が洩れることを防止するために、弁体1の上流側、下流側のそれぞれに上流側、又は下流側に凸形状の略球面状シート部を有する。弁体1の詳細動作は図6、図7にてを用いて後述する。弁体1は図3に示すようにノズル体3の内面との摺動部18を1箇所以上有している。摺動部18は円筒形状で形成されるが円筒形状の一部を切り欠き、流路を形成することもある。
図2に示す弁体1の上流側シート部1aには弁体1の衝突力が印加されるので、上流側の外径が細い小径部と外側に凸となる凸部(つば部)とのつなぎ部にR部を形成し、衝撃による応力を緩和する構造とする。弁体1の下流側シート部1bは下流側弁座2のテーパー面に衝突するために、高硬度、溶接性、機械的特性も良好な材料(例えば、SUS420J2の熱処理材)で製作する。
ノズル体3は弁体1を内包し、弁体1を軸上下方に摺動可能に指示する部品である。ノズル体3は噴霧位相を決めるため、下流側弁座2との接合時の位置あわせに必要な形状(例えば平面)を具備する。弁体1のノズルの下流側外周には内燃機関で発生する燃焼ガスをシールするため、図1に示すように、シール部材19を取り付ける溝3aが1つ以上形成される。ノズル体3に摺動部18を有している。なお、弁体1の摺動部18はノズル体3内径に接触摺動する一部を切り欠いて、流路を形成することも出来る。
図1に示すようにノズル体3には上流側で径方向外側に拡大した、フランジ部が設けられている。このフランジ部に第一付勢部材4とストローク量の微調整に用いる円環状の調整リング5を組付ける。
第一付勢部材4は、弁体1を上流方向に付勢するための部品である。第一付勢部材4の内径は、弁体1の大径部の外径より大きく、弁体1の凸部(つば部)の外径よりも小さい。また、第一付勢部材4の外周部は第一ケーシング7の内周部と対向するように配置され、この対向する第一付勢部材4の外周部の外径は、第一ケーシング7の対応する内周部の内径よりも小さく設定される。なお、第一付勢部材4はノズル3と弁体1の同軸上に組付けられる。第一付勢部材4の下流側端面は、ノズル体3のフランジ部の上流側端面に着座している。一方、第一付勢部材4の上流側端面は弁体1の上流側シート部1aの凸部(つば部)の下流側端面に着座している。上流側シート部1aの凸部(つば部)のことをフランジ部と呼んでも良い。第一付勢部材4は、倒れを防止するために、両端面を研磨する。また、材質は、腐食に強く、バネ定数が大きいSUS631等が用いられる。
調整リング5の詳細は下記のとおりである。弁体1とノズル体3及び下流側弁座2の部品公差のばらつきでは、必要とするストローク量(100μm程度)を調整することは難しい。そこで、リング幅(弁体軸方向厚み)の公差を厳しく管理した調整リング5で、公差のばらつきを調整する。調整リング5の下流側端面はノズル体3のフランジ部の上流側端面に当接して固定される。一方で、調整リング5の上流側端面は第一ケーシング7の下流側端面に当接して固定される。調整リング5は、弁体1と下流側弁座2の流路部の必要ストローク量の差分を調整リング5の板厚で調整し、必要ストローク量を満足する。
第一ケーシング7は、第一付勢部材4を内包し、上流側シート部材7bにて機関停止時の燃料封止を行なう部品である。第一ケーシング7の上流側シート部材7bは弁体1の上流側シート1aと当接する弁座部7aを有している。第一ケーシング7を組付けると、弁体1の上流側面部は先に組付けた第一付勢部材4の力により、弁体1の上流側シート1aが第一ケーシング7の上流弁座面7aに当接して固定される。
第一ケーシング7の上流側には、ベローズ体8を支える構造を有している。例えば、第一ケーシング7とベローズ8の下流側の蛇腹状部材8aとの間に支持部材を設けて、ベローズ体8が支えされる構造とする。支持部材は第一ケーシング7と一体でも別体でもよい。図4に示すようにベローズ体8と弁体1の一部で、ベローズ体8と弁体1を結合するための弁体中間部材1cをレーザで接合するために、第一ケーシング7はビームを通すための貫通部7cを設けている。第一ケーシング7は高い燃料圧力が印加されるので、許容耐力が大きく、且つ溶接性の優れた材料(例えば、SUS630といった析出硬化系ステンレス鋼)で製作される。
図1に示すように、溶接リング6はノズル体3と第一ケーシング7を溶接するための部品である。溶接リング6はノズル体3と第一ケーシング7と圧入により仮固定され、その後、溶接にて完全固定される。
この箇所は、燃料の圧力が印加されるために、溶接長は0.5mm以上確保する必要がある。溶接リング6は高い燃料圧力が印加されるので、許容耐力が大きく、且つ溶接性の優れた材料(例えば、SUS630といった析出硬化系ステンレス鋼)で製作される。
ベローズ体8は燃料が駆動素子11側に流入しないよう、駆動素子11とその下流側を遮断する部品である。図4に示すようにベローズ体8は蛇腹状部材8a、上側金具8bで構成される。蛇腹状部材8aの端面の上流側は上側金具8bと、下流側は弁体中間部材1cと接合されている。上側金具8bは中心部が空洞となっており、蛇腹状部材8aをこれに溶接すると連通する穴となっている。弁体中間部材1cは蛇腹状部材8aの内部を貫通して、上側金具8bの端面から突出し、駆動素子11と線接触で接合している。本実施例では、駆動素子11が下流端面11aを円錐状の凹部を形成し、弁体中間部材1cの端を略球形とすることで構成している。ベローズ体8は初期に圧縮状態としておくことで、耐久性が増加する。そのため、圧縮を加えるために、第一ケーシング7の突当て部に隙間を設けている。初期圧縮についての詳細は、図7を用いて後述する。
蛇腹状部材8aの圧縮量を調整するための部品として、ベローズリング15が形成される。ベローズ体8の寸法は、ベローズの製作方法や接合により、ばらつきが大きく、必要とする蛇腹状部材8aの圧縮量がばらつく。そのため、ベローズリング15の厚さを調整して、圧縮量を調整する機構とした。
図4に示すように第二ケーシング9は、駆動素子11の周方向の位置とベローズ体8の圧縮量を保持し、燃料流路を構成する部品である。第二ケーシング9の下流側端面でベローズ体8の上側金具8bを付勢し、ベローズ体8を圧縮する。この状態でベローズ体8の上側金具8bの外周と第二ケーシング9の外周は重ねあわせ溶接で接合する。図5に示すように第二ケーシング9の上流側にはフランジ状突起9aの円周状の突起があり、これで上部ケーシング13との位置あわせを行なう。
第二ケーシング9は高い燃料圧力が印加されるので、許容耐力が大きく、且つ溶接性の優れた材料(例えば、SUS630といった析出硬化系ステンレス鋼)で製作される。
図1、5に示すように上部ケーシング13はダンパー体12とそれを固定する固定部材14を円周状に保持し、また燃料供給口13aを構成する部品である。さらに、燃料噴射弁100を内燃機関に組付けるための取付け部品でもある。上部ケーシング13には、第二ケーシング9、第三ケーシング10、ダンパー体12及び固定部品14の取付け穴が同軸上に開口している。また、燃料供給口13aは第二ケーシング9と第三ケーシング10を取り付ける穴の同軸上に設定されていない。
図5に示すように上部ケーシング13の下流側端面には第二ケーシング9及び第三ケーシング10を挿入する。第二ケーシング9のフランジ状突起9a及び第三ケーシング10のフランジ状突起10aがあり、これが上部ケーシング13に当接し、位置を固定後、全周溶接する。なお、固定及び溶接は、第二ケーシング9、第三ケーシング10の工順にて行う。
上部ケーシング13は高い燃料圧力が印加されるので、許容耐力が大きく、且つ溶接性の優れた材料(例えば、SUS630といった析出硬化系ステンレス鋼)で製作される。
駆動素子11は弁体1を移動させるための部品である。図4に示す通り、駆動素子11の下流側端面11aは弁体中間部材1cと当接されている。駆動素子11の下流側端面11aは円錐状の凹部を形成し、前記下流端面11aと同様、当接部の面圧を低減させ、磨耗を防ぐ。図5に示す通り、上流側端面11bも円錐状の凹部を形成しているが、円錐状の凹部を形成している別部材を上流部端面に組付けることもできる。駆動素子11は電圧を印加されると、全長が伸びる。一例として、圧電素子の場合、薄いセラミックス製の素子を積層して、電圧を印加させると数μmから数十μm全長が伸びる。素子は両端部を金属製の蓋で固定される、素子の外周は伸縮できる形状の金属ケーシングにて覆われる。セラミックス製の圧電素子では、金属に比べて非常に線膨張率が低く、ステンレス鋼の1/10程度となる。
第三ケーシング10は燃料流路を構成するための部品である。第三ケーシング10の上流側端面はフランジ状突起10aになっている。第三ケーシング10の下流側端面から上流に10mmほど上流側までの内径は第二ケーシング9と同じだが、それより上流側では第二ケーシング9の外径よりも1mm以上大きくなる。第三ケーシング10をノズル体3の下流側から挿入し、フランジ状突起10aを、上部ケーシング13に突き当てて、固定し、上部ケーシング13と第三ケーシング10のフランジ状突起10aを外周溶接する。また、第三ケーシング10の下流側内径部と第二ケーシング9の外径部は圧入となっており、この箇所を重ねあわせ、溶接で全周接合する。これにより、第二ケーシング9の外径と第三ケーシング10の内径の間が隙間となり、ここを燃料が流れる。
図5に示すダンパー体12は、部品間の線膨張率の差を相殺するための部品である。ダンパー体12は駆動素子11の上流側に位置している。ダンパー体12は略球状になっている突起部12cを具備しており、駆動素子11の上流側端面11bに形成された円錐状の凹部と当接している。ダンパー体12にはシリンダ12bとプランジャ12aとダイアフラム12dから構成されており、シリンダ12bとプランジャ12aとダイアフラム12dの間には油が封入されている。油は気泡が混入しないように、脱気した状態でシリンダ12bとプランジャ12aとダイアフラム12dの間に注入される。温度が高くなると油が膨張し、その膨張分、ダイアフラム12dが変形し、それに接続されているシリンダ12bが追従して移動する。この移動により、下流側弁座2と弁体1の隙間が発生しないように接触を維持する。ダンパー体12は駆動素子11が高周波で駆動した場合の挙動では変動しない特性を有する。
固定部品14はダンパー体12を固定する部品である。ダンパー体12に当接している駆動素子11の駆動力は1000N以上あり、この荷重を受けても、固定部品14が軸方向に移動しないように、固定部品14に印加する圧入荷重が設定される。
詳細は後述するが、固定方法は次のとおりである。固定部品14を上部ケーシング13に形成された穴部に圧入する。固定部品14の圧入長さが規定値となるよう微調整を行なう。弁体11の移動量が規定値となったときに、上部ケーシング13と固定部品14は仮固定される。固定方法は、かしめ等とする。その後、駆動素子11が駆動するときの荷重に耐えるように、上部ケーシング13と固定部品14を接合して完全固定する。
図6は上流側シート部の動作、図7に下流側シート部の動作について示した図である。また、図8は本件の燃料噴射弁100の動作方法について示した図である。加圧装置で規定圧力に加圧された燃料は、図示しない燃料配管を有し、上部ケーシング13に形成された燃料供給口13aに供給され、燃料噴射弁100の内部に流入する。
図6は、各条件における上流側シート部1aの状態を示した拡大断面図である。図7は、各条件における下流側シート部1bの状態を示した拡大断面図である。図8Aは、本発明に係る燃料噴射弁100の印加電圧と、上流側シート部1a及び下流側シート部1bの各弁座との当接状態との関係を示す図である。図8Bは、図8Aに示す上流側シート部1a及び下流側シート部1bの各弁座との当接状態を示す図である。なお図8Bでは、図8Aに示す段階(1)〜(6)に対応させて、上流側シート部1a及び下流側シート部1bの各弁座との当接状態を示している。
加圧装置で規定圧力に加圧された燃料は、図示しない燃料配管を介して、上部ケーシング13に具備された燃料供給口13aに供給され、燃料噴射弁100の内部に流入する。
図8A及び図8Bの(1)は機関及び燃料加圧装置の停止時の状態を示す。この時、駆動素子11への電圧の印加は行われていない。この状態では、弁体1に設けられた第一付勢部材4の力により、弁体1は上流側シート部1aが上流側弁座7aと当接する位置まで押し上げられ、上流側シート部1aと上流側弁座7aとの間の燃料通路が閉じた状態である(図6(a)の状態)。この場合、燃料加圧装置は停止しているため燃料の供給は行われていないが、前回、機関の運転を停止するまで供給されていた燃料は上流側シート部1a及び上流側弁座7aによって止められ、上流側シート部1a及び上流側弁座7aの下流側には流下しない。従って、燃料噴射弁100は閉弁した状態である。なお、下流側シート部1bと下流側弁座2cとの間の燃料通路は開いた状態である(図7(a)の状態)。
図8A及び図8Bの(1)で、機関が停止されたままの状態で燃料加圧装置が作動すると、燃料が供給される。しかしこの状態では、駆動素子11への電圧の印加は行われていない。そのため弁体1は、第一付勢部材4の付勢力とベローズ体8から作用する上流方向への力の双方により、上流方向へ押し上げられている。その結果、弁体1の上流側シート部1aは第一ケーシング7の上流側弁座7aと当接し、上流側シート部1aと上流側弁座7aとの間の燃料通路が閉じた状態が維持されている(図6(a)の状態)。この状態では、下流側シート部1b側の燃料通路は開いているものの、上流側シート部1a側の燃料通路が閉じているため、燃料の流れが遮断される。この場合も、燃料噴射弁100は閉弁した状態を維持している。このとき、燃料を遮断しないと、内燃機関の燃焼室内に燃料が流入してしまい、機関始動時に圧縮が発生し、内燃機関を破壊してしまう可能性がある。
図8A及び図8Bの(2)は、燃料加圧装置が始動された後、機関が始動された状態(機関の作動中の状態)を示している。この状態では、エンジンコントロールユニットからの指令値に基づいて、燃料を燃料噴射弁100から所定の流量だけ噴射する。弁体1は、必要とされる流量の燃料が流れ、圧力損失や噴霧性能が維持されるよう、下流側シート部1b側の流路面積と上流側シート部1a側の流路面積との比が最適となるように、駆動素子11に印加される電圧が制御されて駆動される。すなわち、駆動素子11の駆動電圧が図8Aの中間電圧に制御され、上流側シート部1aと上流側弁座7aとの間の燃料通路が開き(図6(b)の状態)、下流側シート部1bと下流側弁座2cとの間の燃料通路も開いている状態であり、燃料噴射弁100が開弁した状態である(図7(a)の状態)。
図8A及び図8Bの(3)は、機関及び燃料加圧装置が共に作動している状態において、燃料噴射を停止させる状態を示す。弁体1の下流側シート部1bと下流側弁座2cとが当接するように、駆動素子11に通電を行う。これにより、弁体1が下流側弁座2c側へ移動する。結果、燃料流路が閉塞され、燃料噴射が停止する。すなわち、上流側シート部1aと上流側弁座7aとの間の燃料通路は開いた状態(図6(c)の状態)であるが、下流側シート部1bと下流側弁座2cとの間の燃料通路が閉じた状態(図7(c)の状態)となり、燃料噴射弁100が閉弁した状態となる。
機関駆動時には、図8A及び図8Bの(2)の状態と(3)の状態とを繰り返すことにより、機関の燃焼に必要とされる燃料量を適切なタイミングで燃料噴射弁100から供給することが可能となる。図8A及び図8Bの(4)の状態は(3)と同じ状態、(5)の状態は(2)と同じ状態である。ただし、(5)の状態では、途中で機関及び燃料加圧装置が停止され、弁体1は第一付勢部材4の付勢力とベローズ体8から作用する上流方向への力の双方により、上流方向へ押し上げられる。これにより、上流側シート部1aが上流側弁座7aに当接し、燃料噴射弁100は閉弁した状態で動作を停止する。
すなわち本実施例の燃料噴射弁100は、上流側シート部1aが上流側弁座7aから離間し、下流側シート部1bが下流側弁座2cから離間した状態に、弁体1を駆動素子11により駆動して燃料を噴射する。燃料噴射弁100は、駆動素子11への通電を行っていない状態では、上流側シート部1aが上流側弁座7aと当接する向きに弁体1を付勢する、第一付勢部材4の付勢力を含む上流向き付勢力が、下流側シート部1bが下流側弁座2cと当接する向きに弁体1を付勢する下流向き付勢力よりも大きくなるように構成されている。燃料噴射弁100は、駆動素子11への通電中に、駆動素子11の駆動力を含む下流向き付勢力が上流向き付勢力よりも大きくなるように駆動素子11を駆動することにより、下流側シート部1bを下流側弁座2cに当接させて下流側燃料通路を閉じる。
図9にダンパー体12の固定方法について示す。ダンパー体12は、前述のとおり、部品間の線膨張率の差を相殺するための部品である。ダンパー体12の突起部12cは駆動素子11の駆動素子上流側端面11bと当接している。ダンパー体12は、組付け時からどのような周囲温度条件においても必ず駆動素子11の駆動素子上流側端面11bと当接する必要がある。燃料噴射弁100の温度が高くなると、筐体と駆動素子11の線膨張差をダンパー体12が相殺する。しかし、組立時からダンパー体12と駆動素子11の間に隙間が発生すると、所定の伸び量においても、筐体と駆動素子11の線膨張差を埋めることができず、ひいては駆動素子11と弁体1と接合している弁体中間部材1cのストローク量が小さくなる又はストロークせず、所定の燃料噴射量が得られなくなる。
そのため、ダンパー体12の突起部12cを確実に駆動素子11の駆動素子上流側端面11bと当接できるよう、固定部品14にてダンパー体12を押し込んで、固定部品14の上流側端面に荷重をかけながら、ダンパー体12を固定する。なお、固定部品14の外径は上部ケーシング13の挿入部の内径より大きくし、圧入となるような寸法設計とする。固定部品14による圧入時は、燃料圧力を印加させ、燃料噴射を行いながら実施する。これは、駆動素子11の変位量と弁体1の変位量の相関を確認し、燃料流量が想定通りに流れる位置にてダンパー体12の押込み量を調整するためである。燃料流量が規定範囲になると、固定部品14の圧入を停止し、上部ケーシング13の薄肉部13bを1か所以上加締め等により仮固定を行う。駆動素子11の駆動力は1000N以上あるために、加締めによる固定では、荷重によりダンパー体12が所定位置より動いてしまうため、上部ケーシング13の薄肉部13bと固定部品14を全周溶接にて本固定する。
以上の通り本実施例では、軸方向に移動する弁体1と、弁体1を移動させるための駆動素子11と、駆動素子11の上流側に配置され温度による部品間の線膨張率の差を相殺するダンパー体12と、を備えた燃料噴射弁において、駆動素子11の上流側に配置された上部ケーシング13と、上部ケーシング13に固定されるとともに、ダンパー体12の上流側に当接することでダンパー体12を固定する管形状、又は棒形状の固定部品14と、を備えたことを特徴とする。また上部ケーシング13には燃料供給口13aが形成されたことが望ましい。また駆動素子11の外周を覆う内径側ケーシング(第二ケーシング9)と、内径側ケーシング(第二ケーシング9)の外周を覆う外径側ケーシング(第三ケーシング10)と、を備え、内径側ケーシング(第二ケーシング9)及び前記外径側ケーシング(第三ケーシング10)は上部ケーシング13に固定されたことが望ましい。
また内径側ケーシング(第二ケーシング9)と外径側ケーシング(第三ケーシング10)との間には燃料流路が形成され、上部ケーシング13の燃料供給口13aから供給された燃料が燃料流路を介して下流に流れるように構成されたことが望ましい。
また上部ケーシング13に形成された孔部に対して固定部材14が圧入にて固定されていることが望ましい。また上部ケーシング13の一部をかしめることにより固定部材14を固定し、かつ、上部ケーシング13と固定部材14とがレーザ溶接にて固定されることが望ましい。また弁体1は下流側で燃料をシールする下流側シール部1bと上流側で燃料をシールする上流側シール部1aとを有することが望ましい。
1 弁体
1a 上流部シート部
1b 下流部シート部
1c 弁体中間部材
2 下流側弁座
2a 下流側シート部
2b 噴孔
3 ノズル体
4 第一付勢部材
5 調整リング
6 溶接リング
7 第一ケーシング
7a 上流側弁座部
7b 上流側シート
8 シール体(ベローズ体)
8a 蛇腹部材
8b 上側金具
8c すきま
9 第二ケーシング
9a フランジ状突起
10 第三ケーシング
10a フランジ状突起
11 駆動素子
11a 駆動素子下流側端面
11b 駆動素子上流側端面
12 ダンパー体
12a プランジャ
12b シリンダ
12c 突起部
12d ダイアフラム
13 上部ケーシング
13a 燃料供給口
13b 薄肉部
14 固定部品
15 ベローズリング
16 ケーシング体
17 流路
18 摺動部
19 シール部材
20 かしめ部
1a 上流部シート部
1b 下流部シート部
1c 弁体中間部材
2 下流側弁座
2a 下流側シート部
2b 噴孔
3 ノズル体
4 第一付勢部材
5 調整リング
6 溶接リング
7 第一ケーシング
7a 上流側弁座部
7b 上流側シート
8 シール体(ベローズ体)
8a 蛇腹部材
8b 上側金具
8c すきま
9 第二ケーシング
9a フランジ状突起
10 第三ケーシング
10a フランジ状突起
11 駆動素子
11a 駆動素子下流側端面
11b 駆動素子上流側端面
12 ダンパー体
12a プランジャ
12b シリンダ
12c 突起部
12d ダイアフラム
13 上部ケーシング
13a 燃料供給口
13b 薄肉部
14 固定部品
15 ベローズリング
16 ケーシング体
17 流路
18 摺動部
19 シール部材
20 かしめ部
Claims (7)
- 軸方向に移動する弁体と、前記弁体を移動させるための駆動素子と、前記駆動素子の上流側に配置され温度による部品間の線膨張率の差を相殺するダンパー体と、を備えた燃料噴射弁において、
前記駆動素子の上流側に配置された上部ケーシングと、
当該上部ケーシングに固定されるとともに、前記ダンパー体の上流側に当接することで前記ダンパー体を固定する管形状、又は棒形状の固定部品と、を備えたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記上部ケーシングには燃料供給口が形成されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1又は2に記載の燃料噴射弁において、
前記駆動素子の外周を覆う内径側ケーシング(第二ケーシング9)と、前記内径側ケーシング(第二ケーシング9)の外周を覆う外径側ケーシング(第三ケーシング10)と、を備え、
前記内径側ケーシング(第二ケーシング9)及び前記外径側ケーシング(第三ケーシング10)は前記上部ケーシングに固定されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
前記駆動素子の外周を覆う内径側ケーシング(第二ケーシング9)と、前記内径側ケーシング(第二ケーシング9)の外周を覆う外径側ケーシング(第三ケーシング10)と、を備え、
前記内径側ケーシング(第二ケーシング9)と前記外径側ケーシング(第三ケーシング10)との間には燃料流路が形成され、
前記上部ケーシングの前記燃料供給口から供給された燃料が前記燃料流路を介して下流に流れるように構成されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1又は2に記載の燃料噴射弁において、
前記上部ケーシングに形成された孔部に対して前記固定部材が圧入にて固定されていることを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1、又は2に記載の燃料噴射弁において、
前記上部ケーシングの一部をかしめることにより前記固定部材を固定し、かつ、前記上部ケーシングと前記固定部材とがレーザ溶接にて固定されることを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1、又は2に記載の燃料噴射弁において、
前記弁体は下流側で燃料をシールする下流側シール部と上流側で燃料をシールする上流側シール部とを有することを特徴とする燃料噴射弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016231988A JP2018087546A (ja) | 2016-11-30 | 2016-11-30 | 燃料噴射弁 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2018087546A true JP2018087546A (ja) | 2018-06-07 |
Family
ID=62494326
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016231988A Pending JP2018087546A (ja) | 2016-11-30 | 2016-11-30 | 燃料噴射弁 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018087546A (ja) |
-
2016
- 2016-11-30 JP JP2016231988A patent/JP2018087546A/ja active Pending
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