JP2018087296A - 潤滑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温、高圧、高速下の過酷な伸線加工条件で使用でき、細径から太径までの幅広い線径への縮径や、低速から高速までの幅広い線速にも対応でき、潤滑性、追随性、展着性、付着性、耐熱性、加工性、作業性、安全性、耐久性等に優れた高性能の乾式伸線用潤滑剤を提供する。【解決手段】乾式伸線用潤滑剤は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれている。乾式伸線用潤滑剤は、前記金属石鹸混合物が、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されており、及び/又は一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合されてもよく、前記金属石鹸混合物が、30〜80質量%含まれていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄線、鋼線及びステンレス等の特殊鋼線を塑性変形させる伸線加工の際に用いられる乾式潤滑剤に関するものである。
鉄線、鋼線及びステンレスのような鉄製又は非鉄金属製の被加工原材を、ダイスのような型鋼から引抜いて、線材や棒材に塑性変形させる伸線加工の際に、乾式伸線用潤滑剤が汎用されている。この潤滑剤は、被加工原材とダイスとが、直接接触して焼付くのを防止し、滑り易くして安定した加工状態を維持するために、用いられるものである。
従来の汎用の乾式伸線用潤滑剤は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸を主要有効成分とし、さらに無機物、添加剤を含んでいる。金属石鹸として、加工用途に応じてナトリウム系石鹸やカルシウム系石鹸が、適宜選択されて用いられている。
カルシウム系のようなアルカリ土類系の石鹸を含む乾式伸線用潤滑剤は、軟化点が高く、線材表面に潤滑が展着し易い特長を有している。その反面、伸線加工時の加工熱により潤滑剤が熱履歴を受け硬くなり易い所為で、連続して伸線加工する際、ダイス通過数量が多くなるに従い、潤滑剤の展着性が失われ、潤滑剤の被膜切れを起こし易いという問題があった。
潤滑剤の展着性を維持し潤滑剤の被膜切れを起こし難くする従来技術として、特許文献1に、飽和脂肪酸の金属石鹸の30〜90重量%と、加熱下及び/又は加圧下で多量体になる不飽和脂肪酸及び該多量体の少なくとも何れかの金属石鹸の1〜30重量%とが、含まれている乾式伸線用潤滑剤が、開示されている。その乾式伸線用潤滑剤によれば、分子間重合反応を起こし易い不飽和脂肪酸金属石鹸が含まれているので、伸線加工時に加熱面や加圧面で分子間重合反応が起こって多量化して、線材表面に柔軟性に富む潤滑性被膜を形成し、潤滑性、追随性、展着性、付着性を発現して、伸線加工し易くする。
生産性の向上のために、従来の飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸を含む乾式伸線用潤滑剤の特長を維持しつつ、多量体になる酸化し易い不飽和脂肪酸を用いなくとも、さらに高温、高圧、高速下の過酷な条件で伸線加工するのに耐え得る高性能の乾式伸線用潤滑剤が求められていた。
特開2009−132811号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、高温、高圧、高速下の過酷な伸線加工条件で使用でき、細径から太径までの幅広い線径への縮径や、低速から高速までの幅広い線速にも対応でき、潤滑性、追随性、展着性、付着性、耐熱性、加工性、作業性、安全性、耐久性等に優れた高性能の乾式伸線用潤滑剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた本発明の乾式伸線用潤滑剤は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれているというものである。
この乾式伸線用潤滑剤は、例えば前記金属石鹸混合物が、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されており、及び/又は一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合されているものである。
この乾式伸線用潤滑剤は、前記金属石鹸混合物が、30〜80質量%が含まれているものであってもよい。
この乾式伸線用潤滑剤は、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸から選ばれる少なくとも何れかの飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸からなるものであって20〜70質量%含まれているものであってもよい。
この乾式伸線用潤滑剤は、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸から選ばれる少なくとも何れかの直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸からなるものであって5〜20質量%含まれているものであってもよい。
この乾式伸線用潤滑剤は、金属石鹸混合物が30〜80質量%であって、かつ飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が20〜70質量%及び前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が5〜20質量%となることが好ましい。
この乾式伸線用潤滑剤は、例えば前記金属石鹸が、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩及び/又はそれらの何れかの複合金属塩であるというものである。
この乾式伸線用潤滑剤は、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂及び/又は硫黄が、含まれていてもよい。
前記の目的を達成するためになされた本発明の乾式伸線用潤滑剤を製造する方法は、飽和脂肪族モノカルボン酸と、直鎖脂肪族ジカルボン酸とを、夫々金属石鹸にしてから混合し、又は混合してから金属石鹸にして、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれている乾式伸線用潤滑剤を製造するというものである。
この方法は、金属石鹸混合物を混合時、及び/又は用時に、加熱し溶融させるものであってもよい。
本発明の乾式伸線用潤滑剤は、特に高温、高圧、高速の条件下で鋼型から引抜いて伸線加工する際に、簡便に用いられるものである。この潤滑剤は、その条件により可逆的な熱可塑性を示す飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸混合物が含まれているので、伸線加工時に加熱面や加圧面で金属石鹸混合物が溶融又は半溶融して、線材表面に柔軟性に富む潤滑性被膜を形成し、潤滑性、追随性、展着性、付着性を発現して、伸線加工し易くする。
この乾式伸線用潤滑剤は、従来のように飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸を用いた乾式伸線用潤滑剤よりも、加工数が多い、加工速度が速いなど過酷な条件下においても線材表面で剥がれ難い優れた滑り性を有する潤滑被膜を形成できる。ミクロンオーダーからセンチメートルオーダーまでの太線から細線の幅広い線径の伸線を形成する際に、特に有用である。
本発明の乾式伸線用潤滑剤を製造する方法によれば、高品質で均質となることによって、潤滑性、追随性、展着性、付着性、耐熱性、加工性、作業性、安全性、耐久性等に優れた高性能の乾式伸線用潤滑剤を、簡便かつ収率良く製造することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
乾式伸線用潤滑剤の好ましい実施の一態様は、可逆的な熱可塑性を有する飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との混合物が含まれたものである。
飽和脂肪族モノカルボン酸は、炭素数3〜29のもので、直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状の飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられ、より具体的には、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。飽和脂肪族モノカルボン酸は、市販品であってもよく、多種類の飽和脂肪族モノカルボン酸エステル及び不飽和脂肪族モノカルボン酸エステルを含んでいる動物性油脂や植物性油脂のような天然油脂を、水素添加して加水分解したものであってもよい。飽和脂肪族モノカルボン酸が、乾式伸線用潤滑剤中に、20〜70質量%含まれていることが好ましい。
直鎖脂肪族ジカルボン酸は、例えば炭素数4〜18の直鎖型で直鎖両末端にカルボキシル基を有する飽和脂肪族ジカルボン酸であり、より具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。直鎖脂肪族ジカルボン酸が、乾式伸線用潤滑剤中に、5〜20質量%含まれていることが好ましい。
この乾式伸線用潤滑剤は、金属石鹸混合物が30〜80質量%であれば、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が20〜70質量%及び前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が5〜20質量%の範囲となるように調製されていることが好ましい。
飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されていてもよい。また、一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合、例えば低融点の一方が高融点の他方に溶融して混合されて冷却され、又は両方が均一に溶融して混合されて冷却されていてもよい。
飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸や直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸である金属塩、とりわけ直鎖脂肪族ジカルボン酸は、伸線加工における加熱や加圧条件下で溶融してガラス状の無定形物質に変化する。これらのガラス状の無定形物質は、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とからなる金属石鹸混合物中に予め若しくは加熱/加圧条件下にて事後的又は伸線加工の用時に固溶状態にして均一に混合される事で、金属石鹸の耐酸化性及び耐熱性を著しく向上させる事ができる。
乾式伸線用潤滑剤は、これらの飽和脂肪モノカルボン酸の金属石鹸と、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との相乗効果により可逆的な熱可塑性を発現する。この飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とからなる金属石鹸混合物を含む乾式伸線用潤滑剤を用いると、伸線加工の際に金属製の被加工原材に、潤滑性、追随性、展着性、付着性、耐熱性、加工性、作業性、安全性、耐久性などの伸線特性がある潤滑剤被膜を形成することができ、細線から太線に至る幅広い線径に伸線加工したり、低速から高速に至る幅広い線速で伸線加工したりすることができる。
乾式伸線用潤滑剤中、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属塩である金属石鹸が、乾式伸線用潤滑剤中に、5〜20質量%含まれていることが好ましい。その範囲よりも少ないと、従来の潤滑剤程度の伸線特性しか得られず、一方その範囲よりも多いと、飽和脂肪族モノカルボン酸からなる金属石鹸に由来する展着性や滑り性などが発現し難くなる。直鎖脂肪族ジカルボン酸は、メチレン連鎖が少ない方が無定形に変化する温度域が高く炭素数8〜12のスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸を主成分とする事が伸線加工に使用するに好ましい。直鎖脂肪族ジカルボン酸は、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸を主成分とする事がより好ましい。乾式伸線用潤滑剤中、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が好ましくは5〜20質量%、一層好ましくは5〜15質量%、より一層好ましくは5〜10質量%含まれる。
乾式伸線用潤滑剤中の飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸との金属石鹸の混合物は、特にその金属の種類が限定されないが、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩であってもよい。飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と、直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とは夫々独立して、単一金属の塩であってもよく、それら塩の何れかの複合金属塩であってもよい。
乾式伸線用潤滑剤は、無機物や固体潤滑剤を含んでいてもよい。無機物や固体潤滑剤として、ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、例えばそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、消石灰、酸化チタンのような金属酸化物、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、有機酸分子がインターカレートしている層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂、硫黄が挙げられる。これらの無機物や固体潤滑剤は、乾式伸線用潤滑剤中、1〜60質量%含まれることが好ましい。
乾式伸線用潤滑剤は、必要に応じて増粘剤、バインダー、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防食剤、消泡剤のような添加剤を含んで総量が調整されていてもよい。これらの添加剤は、乾式伸線用潤滑剤中、1〜5質量%含まれることが好ましい。
乾式伸線用潤滑剤は、固形状、ワックス状、粉末状、顆粒状であってもよい。
乾式伸線用潤滑剤は、例えば飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸とを夫々別々に金属石鹸にしてから加熱することなく個別に混合し、又は飽和脂肪族モノカルボン酸と直鎖脂肪族ジカルボン酸とを混合しながら加熱して金属石鹸にして、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれている乾式伸線用潤滑剤を製造することによって、得られる。
乾式伸線用潤滑剤は、より具体的には、飽和脂肪族モノカルボン酸、直鎖脂肪族ジカルボン酸と消石灰と、必要に応じて、水のような媒体と、その他の無機物や固形潤滑剤や添加剤とを、混合して加熱し、乾燥後、粉砕することによって、調製される。加熱の際に一部又は全部を熱溶融させてもよい。
より具体的には、飽和脂肪族モノカルボン酸20〜70質量部と直鎖脂肪族ジカルボン酸5〜20質量部とを混合して加熱溶融し、消石灰20〜70質量部を加え、加熱攪拌した後、粉砕しても、乾式伸線用潤滑剤が得られる。
乾式伸線用潤滑剤は、金属製又は非金属製の被加工原材に、塗布、噴霧、浸漬等により、付される。それをダイスのような鋼型から引抜いて、塑性変形させて伸線加工すると、所望の線材や棒材が得られる。乾式伸線用潤滑剤は、固形状、ワックス状、粉末状、顆粒状のままダイスのような鋼型の引抜き穴を覆うように配置しておき引き抜き時に被加工原材に誘引されるようにして、塑性変形させて伸線加工すると、所望の線材や棒材が得られるという使用態様でもよい。
以下に、本発明を適用する乾式伸線用潤滑剤を試作した例を、実施例に示す。
(実施例1)
攪拌装置を備えた反応容器内に、純度40%以上の工業用ステアリン酸(主成分がステアリン酸、残余の副成分が他のパルミチン酸やラウリン酸のような脂肪族モノカルボン酸)45質量部と、純度90%以上の工業用セバシン酸(主成分がセバシン酸、残余の副成分が他の脂肪族モノカルボン酸及び/又は直鎖脂肪族ジカルボン酸)を10質量部とを加え、撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰45質量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、500メッシュ篩で通過率が60%程度になるように粉砕し、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を得た。
(比較例1)
攪拌装置を備えた反応容器内に、実施例1と同種の工業用ステアリン酸55質量部を撹拌しながら加熱融解させた後、消石灰45質量部を加えた。この混合物に粘性が生じるまで加熱攪拌を続けた。混合物が硬くなったら加熱攪拌を止め、取り出して冷却し、500メッシュ篩で通過率が60%程度になるように粉砕し、比較例1の乾式伸線用潤滑剤を得た。
実施例1及び比較例1の乾式伸線用潤滑剤を用いて、熱可塑性評価及び伸線機により伸線加工し、その性能評価を行った。
(熱可塑性評価)
実施例1及び比較例1を300℃の電気炉にて5分間加熱し放冷を繰り返した潤滑剤を評価に使用した。それぞれの回数加熱処理した実施例1及び比較例1をサンプル容器に入れ、10gf荷重の加わった測定円柱をサンプルに載せた。測定温度を室温〜300℃で評価し、サンプルへの測定円柱の侵入速度が最大の温度域を潤滑剤の可塑性温度として評価した。その結果を下表1に示す。
Figure 2018087296
表1から明らかな通り、実施例1は300℃熱処理を繰り返しても可塑性を示す温度の変化が認められないのに対して、比較例1は熱処理回数に従い可塑性を示す温度が高温になり可塑性を示さなくなる傾向が認められる。この結果により実施例1には可逆的な可塑性の特性を有していると判断される。
(伸線加工評価)
先ず、ダイスを用いて、伸線加工を行った。その加工条件は、下記の通りである。
被加工原材の材質:72A材
線速:40m/分
線径の縮径:2.8mmφ→2.5mmφ→2.25mmφ→2.00mmφの3段階
(1パスのみ実施例1及び比較例1を使用し、2,3パス目は潤滑剤を使用せずに
、伸線を行った。)
前処理:なし
伸線加工の性能評価方法は、以下の通りである。
被加工線材を12質量%塩酸水溶液にて、被加工線材表面の酸化スケールを酸洗除去した後、水洗を数回施し、乾燥し被加工線材とした。続いてダイスボックス内に評価潤滑剤を任意量投入して、被加工線材の伸線評価を上記の条件に従い行った。2.8mmφ→2.5mmφを実施例1及び比較例1を使用して伸線加工を行った。次に2.5→2.25mmφ及び2.25→2.0mmφを実施例1及び比較例1を使用せずに伸線加工を行った。伸線加工した線材を伸線線材用洗浄剤(共栄社化学株式会社製;ライトクリンA-1)で洗浄し、その表面をレーザー顕微鏡で400倍に拡大して観察した。その結果を表2に示す。
Figure 2018087296
表2から明らかな通り、実施例1の乾式伸線用潤滑剤を用いた場合は、いずれの線径においても、ダイスと線材との直接接触によって生じる平坦な部分、即ち顕微鏡で観察したとき焼付き部分が極めて少ないため、伸線状態が良好であると確認された。
それに対し、比較例1の潤滑剤を用いた場合は、1パス目は焼付きが少なく良好な伸線状態が観察されたが、潤滑剤を使用しない2,3パス目では明らかに焼付きが生じている事が観察された。
実施例1の乾式伸線用潤滑剤は可逆的な可塑性を有している為、1パス目に付着した潤滑剤が2,3パス目においても伸線加工熱により潤滑剤成分が溶融又は半溶融し良好な伸線性を発現したと考えられ、表1に示す可塑性評価の結果を示唆するといえる。
本発明の高性能乾式伸線用潤滑剤は、鉄鋼のような金属製のワイヤ、管、棒、ロッド等の被加工原材を、ダイス等の型鋼から引抜いて、線材や棒材に塑性変形させて縮径する伸線加工の際に、用いられる。
本発明の乾式伸線用潤滑剤を製造する方法は、伸線加工に先立ち簡便に大量生産する際に用いられる。

Claims (9)

  1. 飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれていることを特徴とする乾式伸線用潤滑剤。
  2. 前記金属石鹸混合物が、前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸とが、夫々の固体状態で混合されており、及び/又は一方の少なくとも一部が他方に固溶状態で混合されていることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  3. 前記金属石鹸混合物が、30〜80質量%が含まれていることを特徴とする乾式伸線用潤滑剤。
  4. 前記飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸から選ばれる少なくとも何れかの飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸からなるものであって20〜70質量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  5. 前記直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸から選ばれる少なくとも何れかの直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸からなるものであって5〜20質量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  6. 前記金属石鹸が、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩及び/又はそれらの何れかの複合金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  7. ホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、消石灰、酸化チタン、タルク、雲母、黒鉛、二硫化モリブデン、層状複水酸化物、フッ素樹脂、メラミン樹脂及び/又は硫黄が、含まれていることを特徴とする請求項1に記載の乾式伸線用潤滑剤。
  8. 飽和脂肪族モノカルボン酸と、直鎖脂肪族ジカルボン酸とを、夫々金属石鹸にしてから混合し、又は混合してから金属石鹸にして、飽和脂肪族モノカルボン酸の金属石鹸と直鎖脂肪族ジカルボン酸の金属石鹸との金属石鹸混合物が含まれている乾式伸線用潤滑剤を製造する方法。
  9. 金属石鹸混合物を混合時、及び/又は用時に、加熱し溶融させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112980555A (zh) * 2021-03-04 2021-06-18 天津市弘亚润滑粉制造有限公司 一种用于干式拉丝的拉丝皂

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